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恋愛シミュレーションツクール - (2015/02/15 (日) 22:41:32) のソース

この記事では、『恋愛シミュレーションツクール95』と『恋愛シミュレーション2』の2作品を取り扱うこととする。
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#contents
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*恋愛シミュレーションツクール
【れんあいしみゅれーしょんつくーる】
|ジャンル|テキストゲームコンストラクションソフト|&amazon(B00008I5HW)|
|対応機種|Windows 95|~|
|発売元|アスキー((廉価版からはエンターブレイン。))|~|
|開発元|エムビーアイ&br()ミンク|~|
|発売日|1999年10月1日|~|
|定価|10,290円(税込)|~|
|廉価版|VALUE!:2001年11月21日/3,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|難易度は低いツクール&br()難易度は低いが出来ることもパッとしない&br()ジャンルがジャンルだけに根気が他より要求される&br()男性キャラ素材が薄い|~|
|>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''|

**概要
『ツクール95シリーズ』の流れを組む作品。
「恋愛シミュレーション」と題されているが、『[[サウンドノベルツクール]]』の系譜にある作品。~
本作は同種のジャンルであるビジュアル付きのテキストアドベンチャーを作ることに重点を置いている。~
そのため本作はタイトルの恋愛シミュレーションだけでなく、サウンドノベルを製作することも可能。工夫次第ではそれ以上のものも作れるのは他のツクールと同様。

『[[ときめきメモリアル]]』が恋愛シミュレーションの代名詞として特に有名だった頃のツールで、パッケージの絵柄からも見て取れるようにその点は顕著。~
開発は外注だが、二社ほど関わっており、「エムビーアイ」の他にアダルトメーカーである「ミンク」も携わっている。

テキストアドベンチャーを作るツールは、フリーソフトでいくつか登場していたが、本作は内部機能としてモンタージュシステムが搭載されているのが売り。~
恋愛アドベンチャーを作りたくてもイラストが書けないというユーザーにはこの点はとてもありがたがられており、本作を選択する動機の一つとなっていた。~
あまり話題にこそあがらなかったが、『RPGツクールシリーズ』と比べても比較的作りやすい部類で、本作を利用した作品はそこそこ公開された。~
ただし大作をつくろうとするとそれだけフラグ管理などが複雑化するため、その点で挫折する人は多かった模様である。

**評価点
-シリーズの中では比較的楽に扱える
--『サウンドノベルツクール』の流れを組む作品であるため、人によっては「RPGツクールよりも簡単」という声が出るほど取っ付き易い。
--勿論最初はわからないことも多いが、他のツクールに比べて機能の特性はかなり覚えやすい。
--一番考えるのが大変なのは分岐管理であるが、しっかり把握できるような環境を作ることはさほど難しくなく、飽き性でもなければ躓くことはないだろう。

-モンタージュ機能
--初めてのリリース作品にしては意外と細かく設定可能で、ポージングなどもなかなかバリエーションは広い。
--服装も勿論変更可能、本来の用途とは異なるが、自分の好みの外見にキャラを仕立てあげて服装を着せ替えまくるという遊び方も可能。
--RPGツクールでいうところの素材は、これを含めてなかなかの充実度である。SEやBGMはややバリエーションに欠けるが乏しくはない。

-製作やプレイを妨害するような目立ったバグはない
--当然のことではあるが、この当時バグが目立って評価を落としていた他のツクールに比べれば安定感はある。

-ハードがPCになったことで文字入力がしやすい
--特にこのゲーム特有の長所というわけではないが、「サウンドノベルツクール」の入力方法があまりにもしんどかっただけにこの点は嬉しい要素である。

**問題点・賛否両論点
-男性キャラは固定素材
--男に関してはモンタージュやポーズ替えは一切出来ない。そのためあくまで本作だけでは男性向け恋愛シミュレーションしか作れず、乙女ゲー製作を求めていたプレイヤーには不評。
--当然自分で用意した素材を使えば男性キャラでも同等のことはさせられるが、それが用意出来ない人のためのツールであるためやはりここは難点である。

-当時の時勢を考えても絵柄がやや古め
--恋愛シミュレーションゲームというより、少女漫画のように見える絵柄。一部はいわゆる作画崩壊を起こしているポージングも。
--また、肌の色が設定出来ず、やや個性をつけづらいところも。

-ボイスの使い所が薄い
--音声素材としてプロの女性声優の声が収録されているが、当たり前ながら特定の台詞しかなく、使い道に困ってしまう。
--正直これを用意するくらいなら、男性キャラのパターンを用意してもらいたいところだろう。

-背景素材が全て実写のぼかし
--当時もネットでそういったフリーの背景素材は落ちていたため、本作のものを使う必要性に乏しく、この点は手を抜いているとしか思えない点である。

**総評
グラフィックが用意出来るのであれば、フリーソフトのほうがよほど使いやすい程度の内容でしかない。~
しかし、ツクールを求めるプレイヤーの多くはそれを用意出来ないため、ニーズとしてはちゃんと差別化されていると言える。~
また、キャラクターの管理システムなども存在する他、フリーソフトにおける入力等の面倒さと比べれば扱いやすく、フリーソフト利用者にもまったく選択の余地がないわけではない。~
続編の『恋愛シミュレーションツクール2』が発売された際、本作のバリュー版が登場し、当時としてもこちらの選択の余地は十分にあった。

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*恋愛シミュレーションツクール2
【れんあいしみゅれーしょんつくーるつー】
|ジャンル|テキストゲームコンストラクションソフト|&amazon(B00008I5HS)|
|対応機種|Windows 95~Vista|~|
|発売元|エンターブレイン|~|
|開発元|エムビーアイ|~|
|発売日|2001年12月5日|~|
|定価|10,290円(税込)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|システムは正統進化だが退化部分も多し&br()男キャラにもモンタージュを追加&br()男性強化の弊害か女性キャラはパーツ減少&br()ポージング幅の減少、体型をいじれないなど厳しい面も&br()前作を持っていればそこまで必要なし|~|

**概要(2)
『2D格闘ツクール2nd』と同時発売した、ツクール派生作品の生き残り組。『恋愛シミュレーションツクール』の続編で、前作のブラッシュアップ版。~
本作は、前作において携わっていたミンクが製作から離脱している。それ以外の開発はほぼ同じであり、前作の体験者であればそこまで差異なく使える。~
キャラクター素材は一新され、絵柄も前作とは変更され、上記のパッケージに書かれている絵柄がそのままゲームでも使用されている。~

本作は、前作での欠点の見直しに着手しつつ、作れるゲームの幅を拡大。~
特に前作ではやや工夫が必要だった「マップ移動要素」「プレイヤーの能力強化要素」といったゲームシステムが、デフォルトとしてより作りやすくなっている。~
公式では「カードゲーム」も作れると豪語しており、実際サンプルゲームにもそのお手本となるゲームが収録された。~
そういったブラッシュアップが多い反面、劣化点も存在、同時に変わり映えが他のツクールシリーズと比べて薄く、「前作で十分」と言われてしまう原因となった。

**評価点(2)
-背景がイラスト化した
--キャラクターと合わせた時の違和感も減少し、より恋愛シミュレーションらしい空気を出せるようになった。

-ゲーム性をより取り込んだゲームがより作りやすくなった。
--良くも悪くもテキストアドベンチャーは「読むだけ」「選択肢を選ぶだけ」という感が強いが、本ツールは先に記した能力を強化するゲームなどゲーム性を取り込んだ内容が作りやすい。

-インターフェースがさらに取っ付き易くなった
--特にキャラクターのモンタージュ製作は前作よりもシンプル化し、わかりやすくなった。
--この点に関しては後述するパーツの減少が原因とも言えなくもない。

-キャラクター素材が優秀
--変に癖のある絵柄でもなく、かといって古過ぎるということもなく、安定感のある絵柄なので男女ともにキャラが扱いやすい。
--ちなみにキャラクター設定においては前作で出来なかった肌の色設定が可能になった。夏だけ「肌が焼けました」ということも不可能ではない。

-男性キャラの強化
--前作ではグラフィック固定だった男性キャラが、本作ではモンタージュ出来るようになった。ただしバリエーションは女性と比べて目に見えて少なめ。
--ちなみに相変わらず使い所に困るが、男性声優のボイスも追加された。

**問題点・賛否両論点(2)
-モンタージュ素材の減少
--男性キャラ増加の弊害からか、本作ではキャラのパーツの多くが削減され、やや窮屈さを感じる部分がある。
--絵柄上の問題か、男性キャラは好青年、肝心の女性はやや幼い感じのキャラになりがちで、男性は年下系、女性は年上系が作りづらい。
--特に、物語の演出に必要であろう「泣き顔」の削除は多くのツクラーからダメ出しされていた。
--なお、男性キャラはモンタージュ出来るようにこそなったが、女性キャラがメインなため相変わらず数が少なく、個性を出しづらい。
---恐らくこれ、恋愛シミュレーションゲームにおける「主人公の友人を作る」ことを前提としたためであろう。よって乙女ゲーは依然としてまともには作れない。
--これとは無関係だが、背景が手描きになった反面、素材数は大きく減少。さらに基本学園モノの素材に偏っているなどの問題もある。

-変わり映えが薄い
--いろいろ強化されているが、微々たるもの。このゲームを買う時に考察するべきは「前作と比較して絵柄が好みかどうか」とまで言われるほど。
--先も述べた通り、確実に前作よりはパワーアップしているため、非所持者であれば『2』がオススメだが、『無印』を所持しているのであれば乗り換える必要性に乏しい。

-文章演出が貧相
--前作とは違い文字の大きさの演出は出来るようになったが、『[[RPGツクール2000]]』で出来た「文章スピードの変更」「強制文字送り」などは一切出来ず、文章スピードは固定。

-相変わらずボイスの使い所がなく、予算の無駄遣い感がある
--なお、声優に関しては当時としては新人か若手というレベルの人だが、現在大活躍している「釘宮理恵」「長谷優里奈(当時は落合祐里香)」などが参加している。
--男性キャラに至っては3人分しかなく、さらに使い所に悩む。ただし声優は「千葉一伸」など有名所が地味に混ざっている。
--しかもこのボイス、選択する際にどれがどの声を判別(テスト)する機能がなく、かなり不便。そういう意味でも必要性に乏しい要素。

**総評(2)
恐らく前作の好評のため作られたのだろうが、本作で作られたゲームは前作よりも少ない。~
取っ付き易いことは確かなのだが、今度は続編としての変わり映えが薄く、例えるなら『[[RPGツクール2000]]』→『[[RPGツクール2003]]』に似た関係と言える。~
そのため、本作の存在価値は「初めてシリーズを購入する」人物に限られてしまい、前作の利用者は「変わり映えの薄さからソフトを乗り換えない」など、話題性に欠けるという評価が目立つ。

『2D格闘ツクール2nd』はかなり人気の作品となり、10年以上に渡り使い続けられているのに対し、こちらは存在すら忘れられているレベルである。~
素材の用意のために約10,000円は流石に高すぎるうえ、前作と変化点が薄いと聞かされれば、フリーソフトで十分と思えてしまうからである。~
本作の良さは、やはり各種素材の用意しやすさに限る。しかしその点がこの値段とか見合うかと言われれば、答えはNOである。

先の『恋愛シミュレーションツクール』を含め、本作を利用した有名なゲームは特に存在しない。~
コンテストパークで紹介されるレベルのものはあるが、それらの中で現在でも語り継がれるほどの内容はない。~

作りやすさで言えば相変わらずツクールの中では上位なのだが、そのためか同時発売の『格ツク2nd.』と比較すると現在はまったくと言ってよいほど利用されていない。~
現在でも利用するために工夫がなされてきた『格ツク2nd.』とは違い、現在では環境的に使用することが厳しいソフトである。~
公式では他のツクールと同じく動作が一切保証されておらず、それらを解消するための施策も練られていない。

同じジャンルで優秀なフリーソフトもあることから、続編も他と比べると望む声は少ない。~
が、モンタージュに関しては数少ない利点であることから、煮詰めた続編があれば評価がガラリと変わるかもしれない。~
ただし本作発売後、同系統の商業ツールも他社から発売されたが評価は芳しくなく、その後も続かず。~
現代において、モンタージュ程度では需要を満たせないのだろう。