---- #contents ---- *恋愛シミュレーションツクール 【れんあいしみゅれーしょんつくーる】 |ジャンル|テキストゲームコンストラクションソフト|&amazon(B00008I5HW)| |対応機種|Windows 95|~| |発売元|アスキー((廉価版からはエンターブレイン。))|~| |開発元|エムビーアイ&br()ミンク|~| |発売日|1999年10月1日|~| |定価|10,290円(税込)|~| |廉価版|VALUE!:2001年11月21日/3,800円|~| |判定|なし|~| |ポイント|難易度は低いツクール&br()難易度は低いが出来ることもパッとしない&br()ジャンルがジャンルだけに根気が他より要求される&br()男性キャラ素材が薄い|~| |>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''| **概要 『ツクール95シリーズ』の流れを組む作品。 「恋愛シミュレーション」と題されているが、『[[サウンドノベルツクール]]』の系譜にある作品。~ 本作は同種のジャンルであるビジュアル付きのテキストアドベンチャーを作ることに重点を置いている。~ そのため本作はタイトルの恋愛シミュレーションだけでなく、サウンドノベルを製作することも可能。工夫次第ではそれ以上のものも作れるのは他のツクールと同様。 『[[ときめきメモリアル]]』が恋愛シミュレーションの代名詞として特に有名だった頃のツールで、パッケージの絵柄からも見て取れるようにその点は顕著。~ 開発は外注だが、二社ほど関わっており、「エムビーアイ」の他にアダルトメーカーである「ミンク」も携わっている。 テキストアドベンチャーを作るツールは、フリーソフトでいくつか登場していたが、本作は内部機能としてモンタージュシステムが搭載されているのが売り。~ 恋愛アドベンチャーを作りたくてもイラストが書けないというユーザーにはこの点はとてもありがたがられており、本作を選択する動機の一つとなっていた。~ あまり話題にこそあがらなかったが、『RPGツクールシリーズ』と比べても比較的作りやすい部類で、本作を利用した作品はそこそこ公開された。~ ただし大作をつくろうとするとそれだけフラグ管理などが複雑化するため、その点で挫折する人は多かった模様である。 **評価点 -シリーズの中では比較的楽に扱える --『サウンドノベルツクール』の流れを組む作品であるため、人によっては「RPGツクールよりも簡単」という声が出るほど取っ付き易い。 --勿論最初はわからないことも多いが、他のツクールに比べて機能の特性はかなり覚えやすい。 --一番考えるのが大変なのは分岐管理であるが、しっかり把握できるような環境を作ることはさほど難しくなく、飽き性でもなければ躓くことはないだろう。 -モンタージュ機能 --初めてのリリース作品にしては意外と細かく設定可能で、ポージングなどもなかなかバリエーションは広い。 --服装も勿論変更可能、本来の用途とは異なるが、自分の好みの外見にキャラを仕立てあげて服装を着せ替えまくるという遊び方も可能。 --RPGツクールでいうところの素材は、これを含めてなかなかの充実度である。SEやBGMはややバリエーションに欠けるが乏しくはない。 -製作やプレイを妨害するような目立ったバグはない --当然のことではあるが、この当時バグが目立って評価を落としていた他のツクールに比べれば安定感はある。 -ハードがPCになったことで文字入力がしやすい --特にこのゲーム特有の長所というわけではないが、『サウンドノベルツクール』の入力方法があまりにもしんどかっただけにこの点は嬉しい要素である。 **問題点 -男性キャラは固定素材 --男に関してはモンタージュやポーズ替えは一切出来ない。そのためあくまで本作だけでは男性向け恋愛シミュレーションしか作れず、乙女ゲー製作は厳しい。 --自分で用意した素材を使えば男性キャラでも同等のことはさせられるが、それが用意出来ない人のためのツールであるためやはりここは難点である。 -当時の時勢を考えても絵柄がやや古め --恋愛シミュレーションゲームというより、少女漫画のように見える絵柄((とは言え、当時のミンクはこの絵柄でエロゲーを出していた。))。一部はいわゆる作画崩壊を起こしているポージングも。 --また、肌の色が設定出来ず、やや個性をつけづらいところも。 -ボイスの使い所が薄い --音声素材としてプロの女性声優の声が収録されているが、当たり前ながら特定の台詞しかなく、使い道に困ってしまう。 --正直これを用意するくらいなら、男性キャラのパターンを用意してもらいたいところだろう。 -背景素材が全て実写のぼかし --当時もネットでそういったフリーの背景素材は落ちていたため、本作のものを使う必要性に乏しく、この点は手を抜いているとしか思えない点である。 ---- **総評 グラフィックが用意出来るのであれば、フリーソフトのほうがよほど使いやすい程度の内容でしかない。~ しかし、ツクールを求めるプレイヤーの多くはそれを用意出来ないため、ニーズとしてはちゃんと差別化されていると言える。~ また、キャラクターの管理システムなども存在する他、フリーソフトにおける入力等の面倒さと比べれば扱いやすく、フリーソフト利用者にもまったく選択の余地がないわけではない。~ 続編の『恋愛シミュレーションツクール2』が発売された際、本作のバリュー版が登場し、当時としてもこちらの選択の余地は十分にあった。 ---- **余談 -『2』の声優は当時としては新人か若手というレベルだが、現在大活躍している「釘宮理恵」「長谷優里奈(当時は落合祐里香。2014年より声優活動を休止中)」などが参加している。「千葉一伸」など有名所も地味に混ざっている。 -先の『恋愛シミュレーションツクール』を含め、本作を利用した有名なゲームは特に存在しない。 --コンテストパークで紹介されるレベルのものはあるが、それらの中で現在でも語り継がれるほどの内容はない。 -作りやすさで言えば相変わらずツクールの中では上位なのだが、そのためか同時発売の『格ツク2nd.』と比較すると現在はまったくと言ってよいほど利用されていない。 --現在でも利用するために工夫がなされてきた『格ツク2nd.』とは違い、現在では環境的に使用することが厳しいソフトである。 --公式では他のツクールと同じく動作が一切保証されておらず、それらを解消するための施策も練られていない。 -同じジャンルで優秀なフリーソフトもあることから、続編も他と比べると望む声は少ない。 --同系統の商業ツールも他社から発売されたが評価は芳しくなく、その後も続かず。 --現代において、モンタージュ程度では需要を満たせないのだろう。 -『恋愛シミュレーションツクール2』を最後に『サウンドノベルツクール』の系譜は長らく途絶えていたが、2017年にiOS/Androidアプリで『ラノゲツクール』『ラノゲツクールF』、PCで『ラノゲツクールMV』が配信・発売されて復活を果たしている。