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三國志VI - (2016/01/26 (火) 02:27:16) のソース

*三國志VI
【さんごくししっくす】
|ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|
|対応機種|Windows 95&br()プレイステーション&br()セガサターン&br()ドリームキャスト&br()プレイステーション・ポータブル|
|発売・開発元|光栄|
|発売日|【Win】1998年3月13日|
|定価|14,800円|
|判定|なし|
|ポイント|リアル過ぎて疲れる人材の扱い&br();後のシリーズに多大な影響|
|>|CENTER:[[''三國志シリーズリンク''>三國志シリーズ]]|

**概要
光栄の歴史シミュレーション、三國志シリーズの6作目。~
本作からPC-9801からWindowsで展開されるようになり、メディアもFDDからCD-ROMに変化、~
データ量の増加に伴い、様々な試みが行われ、後のシリーズにも多くが取り入れられた。

**特徴
-武将の夢
--本作の武将は全て「夢」を持ち、それに従い好きな事と嫌い事が存在する。~
嫌いなコマンドを命じられると不満(マスクデータ)が溜まっていき、忠誠度が下がりやすくなったり、戦場で勝手な行動を取る他、最悪は下野・憤死してしまう事すらある。
--主に以下3つの夢に大別される。「義侠」「隠遁」という特殊な夢の持ち主もいる。
---「礼教主義」…後漢皇帝を自分の勢力で擁立する事を目的とする。劉備・孫堅らが該当。
---「中庸主義」…領土拡大よりは自領の安定を目的とする。孫権・劉表らが該当。
---「覇権主義」…自分の勢力による全土統一を目的とする。曹操・袁紹らが該当。
---「義侠」の夢を持つ武将は何をやっても不満に思わないワイルドカードのような存在なので使い勝手が良かった(関羽、張飛、高順といった忠臣が該当)。
---「義侠」は親分と認識した群雄(関羽にとっての劉備)を絶対に裏切らないので、その点でも頼りになる。ただし、ゲーム開始時の群雄を親分と認識していない場合(曹操に仕えている時の関羽など)、次に仕えた群雄を親分と認識するため、引き抜かれると二度と帰ってこなくなる。
---この特性上、群雄は「義侠」の夢を持つことはない。「義侠」の夢を持つ武将が群雄になると、新たに「維持」「大義」「征服」のいずれかの夢を持つ。
---「隠遁」はその真逆であり、何をしても不満度が上がることになる。(魏に渡った後の徐庶あたりが該当。また一度滅ぼした君主がこれに変化する場合もある)。「義侠」の夢を持つ武将同様に群雄になると、新たに「王佐」「割拠」「覇権」のいずれかの夢になる(世を拗ねて引きこもっていた分夢も大きくなる)。
--不満が溜まると、軍師から警告を受けたり、勢力内で同じ夢を持つ者同士で派閥が発生することもあり、そうなると君主(群雄)は配下へ会見を行い不満を取り除かなくてはならない。
--逆に不満がないと自然と忠誠度が上がっていく。同じ夢を持つ者同士ならば、コマンドの効果は上がる。
-内政
--『[[IV>三國志IV]]』と近い形になり、「開発」「商業」「治安」に担当武将と内政資金を設定することで毎月、自動的に行われる形になる。~
それまでのシリーズにおける「民忠誠度」は「治安」に変更され、武力が高い武将なら効率的に上げられるため、張飛などの武将も内政で活躍できるようになっている。
-能力の変化
--年令によって武将の能力が変化するようになった。
---成人時はどんな武将でも低能力だが、加齢によりピークを迎える事で本来の能力を発揮する事が出来、やがて老化する事で能力も下降する。
--能力の成長タイプも存在し、早熟や晩成、能力が維持しやすい神童、麒麟児等が存在する。後のシリーズにも取り入れられた。
--黄忠のように老将として有名な武将のために、老いてからの方が強い晩成型もしっかり存在する。劉備・曹操・趙雲なども晩成型の成長タイプである。
-ショートシナリオ
--短く遊ぶために、特定の勢力でいくつかの条件を期日までに達成する事を目標としたショートシナリオが登場。
---ショートプレイモード自体は信長の野望の17ヶ国モードや蒼き狼と白き牝鹿のモンゴル編などが存在していたが、今作のショートシナリオは年月や勢力、勝利条件が通常シナリオとは異なる専用の物が用意され、「呂布討伐戦」、「復讐の馬超」といったものから「皇帝袁術」、袁紹による「河北統一」といった変わったものまで存在する。
--達成した条件によってエンディングも変わる為、何度も遊ぶ事が出来る。
-異民族
--『IV』でも異民族は登場していたが外交で侵攻を要請する程度であり影が薄かったが、本作で初めて烏丸・山越…といった異民族が地図上に配置された。
--異民族の都市に隣接していると、時折攻めてくる事がある。異民族は蛮兵や鉄騎兵といった通常の兵科よりも強い兵を率いており、非常に手強い。
---異民族は他の都市を攻め落としても占領する事無く、即座に空白地にする。また、捕らえた武将は必ず斬るか解放し、登用はしない。斬るかどうかはランダムなので、どんな名将でも斬られる危険性がある。
---また、1都市しか持っていない群雄は原則として攻めない。~
ただし、複数都市を同時に攻めた結果、1ヶ月で群雄が滅亡してしまう状況ではこの限りではない。たとえば南海と交趾を領有する群雄が、南海を山越に、交趾を南蛮に攻められて滅亡することはあり得る((従って士燮、馬騰など、序盤から複数の異民族と隣接する群雄の難易度は高い。))。
--異民族の本拠を攻め落とす事で、異民族の兵を徴兵する事が出来るようになる。~
本作では訓練度が存在せず、兵の強弱は兵種に依存する為、他国に比べて非常に有利になれる。
---また、シナリオ開始時には実在異民族武将を配下にしている異民族がいる。異民族は捜索も登用も全く行わないので配下が増えることはないが、武将不足の群雄にとっては武将登用も異民族攻略の目的になり得る。
---通常版では、情報力を20にして兵1で攻めると即籠城戦に持ち込めることを利用して、一部の異民族はターン経過による士気低下で戦わずして勝てる抜け道があった。これは籠城戦では守備側は基本的に打って出ないからである。~
パワーアップキットでアルゴリズムが改良され、守備側が打って出てくるようになったので通用しない。しかし今度は、大軍で攻めても守備側が強攻してくるようになった。
--ただ、拠点を手薄にすると反乱によって再度独立される事もある。
---通常版では、反乱の頻度も成功率も高く、制圧した翌月に独立されてしまうことも稀ではなかった。~
パワーアップキットで確率が調整され、ある程度の守備兵を置けば高確率で再独立を防げるようになった。
-一騎討ち
--本作で初めてプレイヤーが一騎討ちに介入できるようになった。
--予め手持ちの技能で方針を決めておき、後はオートで見守る形になる。
---相手の方針はわからない為駆け引きは少なめだが、必殺技を警戒して先制弓矢を撃つ、武力差のある武将を生け捕りにする、'''弱い武将で一騎討ちを受けておいてさっさと強い武将と交代する'''という戦法が使えるようになった。
--一部の有名武将は必殺技を持っており、特殊なカットインが流れる。
-戦闘
--セミリアルタイム形式となった。3日分の行動をあらかじめ指定し、進行させる事で敵味方が同時に動き出してリアルタイムに戦況が変化する。
---後のシリーズで言えば[[三國志IX]]の形式に似ている。
--一度進行すると3日経過するまで行動を変更する事が出来ない為、強襲してきた敵に兵糧を奪われる、といった事も発生する。
--不満を持つ武将や派閥がある状態で出陣すると、勝手な行動を取られて足元をすくわれることもある。
--また、戦前に武将を諜報官に任命しておかなければ、敵の侵攻に気付けずに一気に籠城戦から始まるようになった。
-皇帝と官爵
--それまでのシリーズでは、後漢皇帝((シナリオによっては変わる事がある。))はイベントのみで登場していたが、本作ではゲームに本格的に介入してくるようになった。
---時折、かなり厳しい要求(金銭の要求、特定勢力との同盟、特定の部下の追放)をしてくる事があり、要求を飲む事で、官爵を得る事が出来る。
--官爵を得る事で人徳([[II>三國志II]]の信用度に相当。様々な行動の成否に影響)が増加する他、武将に将軍位を与える事が出来る。
---最低の将軍位でも無官に比べると率いれる兵士数が2倍近くまで増加する為、官爵は非常に重要である((「牧」の官爵ならある程度都市を支配下に入れれば自称する事はできるが、それ以上を求めるなら後漢皇帝の力が欠かせない。))。
--また、漢皇帝がいる都市を支配する事で『擁立』した事となり、謁見を行う事で上記の要求をいつでも起こせるようになる。
---曹操さながらに漢室の威光を利用する事が出来るようになった。
---大勢力でも官爵が低ければ大軍を動員出来ない為、皇帝を擁立する事のアドバンテージは非常に大きい
--逆に皇帝からの要求をはねつける事で後漢皇帝の人徳が下がり、0まで落とすと威光が失墜したという事になり、方法次第では曹丕さながらに帝位を簒奪して自分が皇帝になる事も可能。
---ただしこれをやっていると自分の人徳も同時に下がる他、後漢皇帝を支持する夢を持つ武将の不満が溜まる為、帝位の簒奪はハイリスク・ハイリターン。
--人徳の影響は大きい。はっきり影響が判るのが、人材登用の成否や忠誠度の上下。また、人徳が大きく下がると、&bold(){直接利害関係の無い遠方の群雄まで、目の敵にして謀略を仕掛けてくる。}一度この状態になると非常に厄介なので、とにかく人徳は高く保っておこう。
-三国志私史(PC版のみ)
--「群雄年表」
---実際の三國志の年表と、ゲーム設定での年表を見比べる事が出来るようになった。年表を取り入れられたシリーズ作品では本作の仕様に従うことが多い。
--「傑士回顧録」
---''武将ひとりひとりに対応するゲーム内年表が保存されるようになった''。
---はじめは全員の没年が???となっており、ゲーム内で死亡する事で没年が記録されていく。他にも勢力に仕えた・官位を得られた・戦争で捕まった等の出来事が随時書き込まれる。~
これによって、志半ばで死んでしまった忠臣や苦杯をなめさせられた敵など、プレイの記録がかなり詳細に残るようになった。~
処刑してばかりだと''多くの武将に「戦いに敗れ○○(プレイヤー君主)に処刑される」という記録が残る''。
---埋伏の毒(敵国のスパイ武将)も''「傑士回顧録」を見れば''…という欠点も持っているが。
-その他
--陳到、賀斉といった三国志正史の武将が初めて本格的に登場した((過去にも正史の武将として呂覇(三國志II)、陳寿(三國志V)の登場例があるが、本格的に多数登場したのは本作が初めて。))。
---正史のみの異民族武将も多数登場。羌の蛾遮塞、氐の千万、山越の潘臨など、シリーズでも本作のみ登場の武将は多い。
--『II』から使者アニメと信用度(名称は人徳に変更)が復活。
--シルクロードによる貿易といった珍しい要素も存在する。
---特定の都市を支配下に置いている際の定期収入といった形だが。
--モンタージュ顔の武将がいなくなり、全ての武将に固有の顔グラフィックが用意された(ただし、有名武将(孫権等)に前作からの使い回しが目立つ。もちろん、16色から256色になり、解像度が上がったために、使い回しの絵でも描き直されている)。
--妖術や幻術といった超能力めいた能力は無くなり、黄巾党が大幅に弱体化。史実さながらの農民反乱が再現されている。
---とどめに反乱軍の悲しさで官位もないため、折角の大軍をろくに活かせないという有様。
--王や皇帝になった際に、国号を決めれるようになった。君主の一人称も「朕」に変わる。

**評価点
-歴史イベントが多数増加した
--前作で大幅に追加された歴史イベントが本作ではさらに増加。100個に渡る歴史イベントが存在する。
---「美女連環の計」「三顧の礼」といったおなじみのエピソードから、領土譲渡(陶謙、劉備に徐州を譲る)や人材推挙イベント(程イク推挙から始まる一連の推挙イベント)などのイベントが用意され、史実に沿った展開が起こりやすくなった。
--赤壁前夜である孔明の大論陣(諸葛孔明が呉の論客10人を舌戦で説き伏せる)も存在するが、孔明ではなく''張飛''を向かわせる事も出来る。彼らしい方法でしっかりと論客を説き伏せる様は見モノ。
--後のシリーズのように簡単に発生せず、条件が厳しい物も多い。その為に露骨に版図が変わる事は少ない。
--また、シナリオ開始時に全ての勢力に対応したオープニングイベントが入るようになった。
---一見シナリオに関係なさそうな勢力(董卓誅殺時の馬騰等)でもその時の時勢を案じているイベントが用意されている。

-後のシリーズへの影響
--本作を境に「正史」の要素がシリーズに加えられるようになり、オープニング/エンディングイベントといった演出面も基本的には本作のものを発展させた形になっていく。
--上記の歴史イベントの数々を始め、異民族や漢皇帝もゲーム中に深く関わってくるようになり、これらをうまく制する事で三國志らしい大勢力を持った曹操のようなプレイが可能となった。
---本作では派閥によって武将が憤死する事があるなど、呉の二宮事件のような展開が起こることも。

-ショートシナリオの実装
--ショートシナリオのおかげで短い時間でも充実したプレイが可能になって敷居が低くなった。
--PK版では戦争のみを題材とした戦術シミュレーションモードも搭載されている。
---「赤壁の戦い」等の有名な戦いが初めてシミュレーションされるようになったのもこのモードの搭載から。~
また、「夏口の戦い」で甘寧と一緒にされた凌統が途中で命令を無視するようになるといったゲームシステムを使用した演出もある。

**問題点
-武将の個性を表現しすぎた結果、テンポが悪い
--どの命令を行えばどの夢の武将が不満に思うかといった情報は開示されないため、いつの間にか多くの武将が不満を抱くことになる。また、命令をあたえないで放置する事でも不満が溜まる為、扱いづらい。
---勢力が大きくなり、多くの武将を抱える頃になると、''君主はひたすら会見を行い、配下の愚痴を聞き続けるセラピスト''((不満が溜まり過ぎると主君に対しても堂々と暴言を吐く。))に徹する事になる。
--全ての命令を嫌がる「隠遁」は論外として((ただし、何もさせずに放っておけば不満は増えない。))、次に扱いづらいのが礼教主義(「王佐」「大義」「才幹」)の武将。彼等が喜ぶ仕事は外交と人事と埋伏なのだが、本国でしか実行できない。覇権主義は軍事(徴兵や罠設置でもいい)、中庸主義は内政をさせておけばよいため、比較的扱いやすい。
-武将が集まりづらい
--人徳による補正が強いせいか、開始時はほとんどの武将が登用に応じない。その為、勢力を拡大しても、武将が足りない事が多々ある。
---武将に対する褒美はアイテム以外に存在しない為、忠誠度が自然上昇する前に他国に引きぬかれてしまうことも多い。
--戦争時の捕虜の登用に失敗すると「嫌悪武将」にされる事もあり、こうなってしまうと登用に応じなくなる。
---牢に入れる事もできるが、一年以内に処理を決めなければならない他、脱走される事もある。その為、登用に失敗した武将は斬らざるをえない事が多い。
---嫌悪武将は新年を迎えるとフラグが解除されることがある。義理が低いほど解除されやすい。また、群雄が代替わりすると当然フラグは消えるので、途端に仕官を願い出てくるようになる。
---また、戦後処理で登用を試みずに捕虜を解放すると、人徳が1上がる。登用できそうにない武将は、最初から逃がすのも作戦のうちである。
-CPUの思考
--兵士の輸送をあまり行わない。その為、最前線で徴兵を繰り返して最前線の人口が5万(徴兵できる下限)になっている事がしばしばある。
--戦場では、日数が経つと兵糧守備部隊が攻撃に動く為、パターンを掴めば兵糧を奪うことが容易。
--CPUは嫌悪武将は必ず斬首にするほか、能力の低い武将も斬首する。前者は設定的に当然として、後者は「現時点の能力」を参照にするのが問題。10代の武将は、「早熟」「神童」タイプの武将でもまだ能力が育っていないので、CPUは&bold(){現時点の能力だけを見て、将来の名将でも惜しげも無く斬首してしまう。}この点はシミュレーションとしては問題点とは言い切れないが、武将コレクターにとって頭の痛い設定になっている。
-要素の簡略化
--前作の『三國志V』の戦争は様々な特技や陣形で高い戦略性があったが、本作の戦争はリアルタイムのプロット以外では大半が簡略化され、特技も陣形も存在しない。
---負傷兵の概念も無くなったため、戦争での消耗がダイレクトに反映される形に戻った。
--以前のシリーズには存在していた内政特技や戦闘特技といった武将に個性をつけていた要素も軒並み無くなってしまったため、夢以外での個性が薄くなった。
-UIグラフィックがショボい(Win版のみ)
--ボタンのグラフィックだけが描き込まれており、ウィンドウはWindowsアプリのポップアップウィンドウのような味気ない表現となっている為、手抜き感がひどい。

**総評
Windowsにプラットフォームを移したと同時に新たな方向性を見だした三國志シリーズ。~
次回作の『VII』でも全武将プレイといった新たな方向性を打ち出すことになるが、その根底には本作における武将の性格付けを中心とした様々な要素が洗練されて取り入れられている。
**余談
-一騎討ちで見られる必殺技での技名は同社発売の格闘ゲーム[[三國無双]]の設定から取られている。