*川のぬし釣り ワンダフルジャーニー 【かわのぬしづり わんだふるじゃーにー】 |ジャンル|釣りRPG|&amazon()| |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|DVD-ROM 1枚|~| |発売元|マーベラスインタラクティブ|~| |開発元|パック・イン・ビデオ|~| |発売日|【通常版】2005年1月27日&br;【廉価版】2005年12月8日|~| |定価|【通常版】7,140円&br;【廉価版】2,940(税5%込)|~| |プレイ人数|1人|~| |対象年齢|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''黒歴史''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~| |ポイント|釣り好きを突き放した内容&br;ネタ・キャラゲーと見ても微妙&br;システムに細かい粗多数|~| **概要 初の3D進出を果たした「かわぬし」シリーズ。ぬしとの因縁を持つ父、料理の腕を磨きたい母、父の意思を継ぐ長男(ぼく)、大好きな彼に魚をプレゼントしたい長女(あたち)のいずれかを選んで魚を釣っていくのがゲームの目的。 **システム -基本 --セーブは各集落にあるお地蔵さんで可能。 --釣った魚は魚屋で売ることが出来、その資金でそれぞれ武器・回復アイテムに該当する新しい釣り道具やお弁当を購入できる。 --魚に逃げられたり水域を泳ぐと体力が減ってしまい、0になると最後にセーブしたところからやり直しになる。体力回復は宿屋やお弁当の類を食べることで行える。 --家族4人によるセーブデータは宿屋の掲示板で共有されており、 -釣り --餌釣り、ルアー、フライの3種類で釣りができる。ルアー、フライは何度でも釣りに使えるが、魚に逃げられると疑似餌が消失する。 -料理 --本作は釣った魚を飼育するシステムはないが、レシピを店から購入するもしくはイベントで入手すれば対応した料理することが出来る。 --料理はレシピごとに難易度が存在し、難しい料理ほど成功率が低く、成功したときの経験値が高い。逆に失敗すると魚は消滅してしまう。経験値を稼ぐことで料理の腕を上げられる。 **評価点 -ロケーションの臨場感 --川のせせらぎや沼のカエルの声などがリアルで3Dに一新した本作の雰囲気を醸し出すことに成功している。 -コレクション要素 --アルビノも釣ることが出来る。 --料理レシピを集めることで料理の選択肢が広がる。 **難点・賛否両論点 -3Dに対応しきれていない --水域に釣竿を垂らす際、魚影を参考にすることになるのだが、カメラの寄りと引きは可能だがアングルは固定されており、物陰になってキャラや魚影が全く見えなくなる事もある。また魚影そのものがフリーズしたり処理落ちする事も。 --マップを広くした割にはキャラの歩行速度が足りず、またワープする機能も存在しない。 --魚との格闘シーンがFCのものをベースにしたまま3Dにしているので、やや挙動が不自然。具体的にキャラが右に引っ張り魚が左に引き返すという問答が続き、魚を暴れさせて弱らせるなどのテクニックが生かせるわけではない。 ---ここはいわゆる戦闘シーンではあるのだが、勇ましい音楽がかかるわけでもなくひたすら魚との綱引きが始まる。かなり大きい魚をHitさせたときはリアルなポリゴンの迫力も相まってなかなかホラー。 -「リアルな釣り」を楽しめない --本作はあくまで釣りのシミュレーションではなく、釣りのようなことをするRPGであるので、リアリティを出すことが最重要点ではないともいえる。しかし今までのかわぬしシリーズにあったリアリティが、本作でかなり欠如している。 --図鑑の情報量が格段に低下しており、魚の釣れるロケーション(細かい範囲は未指定)とちょっとしたトリビアを知ることしかできないので、プレイヤーが釣れるポイントを記憶するしかない。 --またアロワナやデンキウナギ、シーラカンスといったありえない魚が釣れるなどネタとしての色が強く、どこでどんな魚が釣れるかを予想するのにプレイヤーの常識が通用しない。 --釣竿や餌の相性はかなり細かく設定されてはいるが、ルアーでグッピーのつり上げが可能などどこか現実味のない調整もちらほら。 ---小魚や邪道に該当する魚以外の小動物であれば、タモで捕獲できるシステムがあっても良かったのではないか。 --ロケーションのマップは確かにきれいになったが、バリエーション自体は減少。状況・釣れる魚の種類ともにメルヘンな「地底湖」というエリアもある。 -シナリオの進め方 --初期では渓流でしか釣りが出来ず別ロケーションに続く道はNPCが通せんぼしている。 ---序盤は金銭をそろえて装備を整えることが目的になるが、生き餌も取れるポイントさえ見つければ、「調べる」コマンドを連打することで無限回収がたやすくできる。逆にそれに気付けないと、ルアーやフライのような疑似餌釣り道具を手に入れるまでの間、生餌購入のため高く売れるアメマスあたりを釣り続けることに。 --シナリオを進めるための課題は基本的に難しい物はないのだが、進めるためのフラグに関してはほとんどノーヒント。誰に話しかければシナリオが進むかどうかは手探り状態。 --シナリオを進める課題の大半は、NPCが課す「特定の条件を満たした魚を釣って持ってくる」というおつかいをクリアする事。 ---釣竿や餌では魚のサイズまでは選別できない。最大級サイズを指定されてしまうと完全に運任せになってしまうことも。 ---通せんぼするNPCも時期が来ればプレイヤーに依頼を出してくるのだが、中には釣れる確率の低い外道のテナガエビを依頼するケースもあり詰みやすい。 --また細かい事だが、操作キャラは泳ぎ方を教えてもらうまで水域に入れない。うっかり入ろうとする度にNPCから注意されるので鬱陶しい。 -シナリオ --シナリオの各所に、社会派というよりは不条理な類のブラックユーモアが散りばめられている。 --上述のお使いに関しては殆どがモブの思いつきによる無茶振りであり、さらにおつかいに応えても感謝されているとも限らず徒労感の残る仕上がりになっている。 --あまり細かいことを突っ込むとキリがないが、ロケーションをふさぐNPCが道をふさぐ理由が大抵はプレイヤー側からすればどうでもいいと思える身勝手な物。 --ネタバレになるので詳しくは伏せるが「あたち」ルートでぬしを釣った時のEDが人によっては不愉快、少なくともぬしを釣ったプレイヤーの労力に見合ったものではない。 -やりこみ要素の薄さ --プレイヤー自身がハマれば良いのだが、やりこみ要素を究めたことによるゲーム上の利点が弱い。 --集落で開かれるコンテスト系(釣り、料理)の難易度が異様に高いので優勝するにはそれなりの準備が必要。 --ランダムで遭遇する「どうぶつ」が出してくる二択クイズの存在意義が薄い。また「パンダぬき」という動物はペットにできるのだが、作中で一度も会わない事すらありうる。 -キャラ絵 --汚くなったなどの事は決してないが、絵のタッチがファンシー路線になったので過去作からプレイしている人には異質に見えるかもしれない。 **総評 3Dに登場した初のぬし釣り作品であり多くの期待が寄せられたのだが、3Dへの移植が上手にいかなかったためか、グラフィックの挙動や処理などの細かい粗が目立つほか、かつてあった戦略性が薄れ、飼育などのやりこみ要素も弱くなったおつかいゲームとしての印象が強い。~ 肝心の魚をコレクションする楽しさはあり最低限遊べなくもないので、クソゲーとまではいかない。また意図的にネタ路線に走ったようにもとれるが、シナリオの不条理さやゲームシステムの不親切な所が壁となり、釣りのシミュレーションとみても萌えキャラ路線で見ても、満足のいく出来とは言えないだろう。