*オウガバトル64 Person of Lordly Caliber 【おうがばとる ろくじゅうよん ぱーそん おぶ ろーどりぃ きゃりばー】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&image(http://www.tsutaya.co.jp/images/jacket/00345/4902370503838_1L.jpg,width=150)| |対応機種|ニンテンドウ64|~| |メディア|320MbitROMカートリッジ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|クエスト、デュアル|~| |発売日|1999年7月14日|~| |価格|7,800円|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|2個+中断セーブ1個|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)&br()※バーチャルコンソール版で付与された物を記載|~| |配信|バーチャルコンソール&br()2010年1月26日/1,000Wiiポイント|~| |判定|なし|~| |ポイント|初の松野泰己非関与のオウガバトル&br()『伝説』よりハードルは低め&br()レギオンの存在意義&br()コアなファンからは矛盾点を指摘されることも|~| |>|>|CENTER:''[[オウガバトルサーガシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -『オウガバトルサーガ』シリーズ3作目。前作『[[タクティクスオウガ]]』(以下TO)とは違い、今作では『[[伝説のオウガバトル]]』同様の戦略シミュレーションとなっており、システムも『伝説』のものをベースにし、発展させたものとなっている。 -本作はサーガ内では第6章に位置し『TO』とほぼ同時期に展開された物語である。 --一部『TO』に出なかった『伝説』のキャラも登場する。 -本作発売当時、生みの親である松野泰己氏は既に旧スクウェアに移籍しており、本作はシリーズ初の松野氏非関与のオウガである。 --ただしプロットは松野氏が当時考案していたものが使用されている。また、松野氏の携わった作品ではおなじみの「っ」や「ん」のところだけカタカナで「ッ」や「ン」と表記される独特な口調のキャラクターも登場する。 -ちなみに当初は『オウガバトル3』というタイトルだったが、発売元が任天堂となった事に伴いタイトルが変更された。 **特徴 -複数のキャラクターで「ユニット」を形成するシステムは『伝説』と一緒である。細部が変更された。 -ユニットの陣形が3x2のマスから3x3のマスになった。また、ユニットの向きが戦闘に反映されるようになった。 --『伝説』での前衛・後衛に加え、新たに「中衛」の概念が追加されている。 ---その代わり、『伝説』のようにマス目の中間にキャラを配置することは出来なくなった。 --例えばユニットが後方から敵に接触された場合、前衛と後衛が逆転した状態で戦うことになる。ユニットメンバーをどこに置くのかも重要な要素となっている。 -初期クラス・ソルジャーの追加。 --ステージをクリアすると志願してくるキャラクターのクラスであり、基本クラスになる前の段階である。 --ある程度の経験を積むとファイター(男性)かアマゾネス(女性)にクラスチェンジする。どちらになるかはチームのリーダーの性別によって決まる。ちなみに逆の性別に出来るアイテムも有る。 --ユニットに配置する際は3人1組で1キャラクターとして扱われ、下記の通りの仕様になっている。 ---体力が1/3減るごとに一人減ってしまい、回復魔法をかけても減った人数分の体力は回復せず、3人に戻したい場合は本拠地に戻って補給する必要がある。 ---一組の中でクラスチェンジできるのは一人だけ。クラスチェンジ後のキャラクターはチェンジ前と同じ位置に配置され、それ以外の残っていたソルジャーはソルジャーストックに戻される。 -レギオンシステム --複数のユニット同士が陣形を取り、連携して移動するシステム。計5ユニットまで選択できる。 --レギオンコア(レギオンのリーダーとなるユニットのユニットリーダー)になれるキャラクターは、特殊クラスである『センチュリオン』及び一部の固有キャラのみ。またリーダーのユニットには、レギオンの加入チーム数と同数のソルジャー(通称メッセンジャー:伝令)を入れる必要がある。ソルジャーがいなくなるとその分だけレギオンパーツ(レギオン加入ユニット)がレギオンから外れてしまう。 --一度に複数のチームを動かせるため、移動や指示が楽にできるといったメリットがある。また戦闘時、レギオンパーツは支援攻撃が付くこともある。 -アライメント(ALI)関係の変更 --各キャラクターのALIはL(ロウ)/N(ニュートラル)/C(カオス)の区分けに変更され、天秤の傾きでどちらに傾いているかを表すようになった。 --拠点の解放に関しても変化。「拠点のモラリティ」と「解放ユニットのALIの平均値」が近いと「解放(カオスフレームUp)」となるが、離れていると「制圧(カオスフレームDown)」になってしまう。このため、『伝説』とは違い「解放部隊は高ALI一辺倒」では通用しない。 -カオスフレームは隠しパラメータ扱いとなり、視覚化されなくなった。 --ゲームをクリアし、エンディングの最後でカオスフレームの数値が表示される。 //記憶があいまいだから残しとくけど、これ天秤で出てなかったっけ? //↑それはキャラ毎のアライメントフレームでは? //カオスフレームは拠点の・制圧で増減するアレのほうじゃなかったっけ --もちろん、本作も恒例のマルチエンドであり、カオスフレームに応じた内容となる。 -精霊石「エルムペドラ」 --各属性のペドラによる強力な攻撃。使い方は『伝説』のタロットカードに近く、また『TO』の精霊召喚魔法のようなかんじでもある。タロットのように消費アイテムではなく、時間経過で再び使用可能になる。 **問題点 ''レギオンの意義が薄い'' -加入チーム数を増やすと、リーダーのユニットは(ソルジャーが増える為)どんどん弱くなってしまう。 --ソルジャーが倒されて居なくなるのはもちろん、下手に勝ってファイターやアマゾネスに昇格されても「ソルジャー」ではなくなってしまい、その分構成できるレギオンパーツが減るため、リーダーは戦闘自体を回避しなければならなくなる。 -支援攻撃も弱すぎてアテにならない。全体攻撃で威力はレギオン内のソルジャーの人数(最大12名)に比例するが、一桁ダメージも多々。 -更に「メンバー数に応じて移動速度が下がる」「方向はレギオンリーダーと同じ向きで固定されるため横や後ろを突かれやすい」といったデメリットもある。 -また、レギオンを率いるには特殊なクラスが必要になるが、汎用キャラでその適正のあるクラスは転職条件が特殊な上、能力が中途半端。しかも確実に加入するイベントキャラで代用できるためこちらも存在意義は薄い。 -加えてこのゲームは「1ステージ内に同時に存在できる自軍ユニットは最大で10ユニット」という制限がある。~ 無論レギオンを作ったからといってこの制限が緩むはずもなく、5ユニットのレギオンを2隊出してしまうともうそれ以上ユニットを出すことが出来なくなってしまう。 //って書こうとしたけど制限コレであってたかどうか自信ないからCO //確認したが制限はそれで合ってる。CO外す?↑第三者ですが文面変えて出しました。また公式ページより「ユニット」はチームを表す言葉なので記事を全体的に差し替え。 -正直な話、レギオンを強制的に作る必要は全く無いので、プレイ方法によっては使わない方が便利という本末転倒な結果になってしまうことも。 --カオスフレームを高くしたい場合は特にそう。レギオンに加入しているユニットには指示が出せないので町を直接指示できず、そのユニットで町を解放したい場合はレギオン自体を操作して目的のユニットだけを町に重ねないといけない。非常に面倒 ''ソルジャーが弱すぎる'' -未熟なクラス故に仕方ない事ではあるが、序盤はともかく中盤以降はソルジャーの攻撃は雀の涙程度となり、また装備固定で防御力も低いまま。このためゲームが進んでからソルジャーを正規兵に育てるのは困難。 --一応ソルジャーから正規兵に昇格した際のレベルは、味方の平均レベルに応じて上昇するため、昇格さえできればアライメント以外は何とかなる。 --とはいえ、能力値の方は低成長率のファイター/アマゾネス扱いで上昇するため、生え抜き組とは能力面で大きく水をあけられてしまう。なので強い軍を作りたいなら序盤に必要な人数を計画的に昇格させる必要がある。 ''戦闘関係'' -ゲームバランスは少し悪い。こちらにマスタークラスが居ない序盤~中盤は辛いが、マスタークラスが揃う終盤は圧倒的にこちらの方が有利となり、サクサク進めてしまう。 --とはいえ、何も知らないで適当に進めていると意外と難しい。 -『伝説』と違い、敵ユニットが復活することがなくなった。ゲーム進行がかなりスピーディになったが、キャラクターを育てにくくなったという弊害も存在する。 --トレーニング(有料)でユニットを鍛えることはできる。またフィールド上では低確率で野生ユニット(説得可能)が出現するが、経験値稼ぎの面からは効率は悪い。 -敵ユニット、特に敵本拠地を守る大将の構成がお粗末。''魔術師なのに自分の前がガラ空き''というのはどうなんだ。((よりによって王家3人が全員コレ。)) //戦士前列はセオリーとして正しい。 //アムリウスは魔術師というより魔法剣士じゃない?構成ユニット的に編成が変わったら難易度が変わるユミルはともかく見栄えを重視したとしか思えないプロカスは擁護不能だが。 --また、大将は大抵が移動「固定」で、向きを変えることすらできない。横や後ろを取って陣形を崩しやすく、とても有利に戦えてしまう。 --一般ユニットも前衛後衛を理解していないのか見栄え重視なのか、後衛向けの職業だけで編制されたユニットが後半まで出てくる。 ---第三章ともなると敵も味方もマスタークラスしか居ないような編成が多い中、ソーサレス1人にドラゴンパピー1匹という意味深なユニットも登場する。 -積極的に攻めてくる敵が少なく、殆どがこちらのユニットが近づくと襲ってくるタイプ。そのため各個撃破が容易。 --おまけにリーダーを倒された場合、ただ逃げ回るだけのユニットと化す。『伝説』では敵本拠地まで下がってリーダーを蘇生し体勢を立て直して再度進攻してくるのだが、本作ではそれが無い。 -合成術というシステムがあるが、これが強力な上に実質味方専用。 --同列に魔法使いキャラ2~3人がいると発動する。単体魔法同士の合成でも小範囲へ、2つ以上の小範囲魔法を含んで合成発動すると広範囲へと対象範囲が拡大され、また複数属性の合成で状態異常の追加効果が発生する、という強力な攻撃方法。 --発動させるには「信頼度」(マスクデータの為非表示)が必要なのだが、どうも敵ユニットは低く設定されているのか発動することは稀。さらに先の編制のお粗末さもあって発動できる編制でないことも多々。 ---信頼度は一定期間同じ編制でいることで上がる。そのためプレイヤー側は、該当ユニットの編成さえいじらなければ、数MAPもすれば発動し始める。 -竜言語魔法(一人で使える全体攻撃魔法)を魔術師キャラに持たせるとさらに簡単に。敵がパタパタ倒れていく。 --その気になれば第一章で手に入れることも可能。恐ろしく手間がかかるが。 //同人誌の内容は余談に移動。そもそもプロットなので変更されようが問題点ではない。 ''その他'' -中盤から敵ユニットに「コカトリス」という鶏の魔獣が現れるのだが、性能が異常。 --範囲石化攻撃のペトロブレスを、下手をすると2匹で2回ずつ吐いてくる上、成功率が非常に高いくユニット全員が石化し全滅扱いになることも多々。一応石化は死亡と異なりステージクリア時には直るが…。 ---尚、一部のキャラクター((主人公、ソルジャー、ストーンゴーレム、バルダーゴーレム。それと特殊だがゴーレム。))と序盤に手に入る霊木の盾を装備させたキャラクターなら石化を防ぐことが可能。一応他にも防げるアイテムはあるが入手が遅い。 ---治療手段も幾つかあるもののどれも扱い辛い。高額(通常の薬草50個分)なのに単体回復の治療アイテム((おまけに使う為には部隊を戦場から離脱させてからか、最高で10個までしか持てないユニットアイテム欄に入れなければならない。))か、回復魔法の合体魔法((但し当の回復役も後衛にいると巻き込まれ易い。かといって前衛に並べて戦闘するのは非常に危険。))か、特定の都市にある「魔女の館」に立ち寄る((しかしコカトリスの初登場シナリオではよりにもよって敵陣の奥深くの都市にある。))か。 ---味方として使った場合は、敵を石化させると経験値が入らないので微妙。 ---なおストーリー終盤には石化全体攻撃を使ってくる「ゴーゴン」も登場するが、こちらはそこまで脅威ではない(最前列の時に1回使えるだけであり、また簡単な対策で石化を防げる)。 -『TO』同様セーブ数が少ない。 --『TO』はSFC版ではターボファイルに対応し、PS・SSなどのディスクメディアにも移植されたため、まだマシな方ではあるが、本作はコントローラパックにも対応していない。 ---- **総評 コアなファンからは不満もあるものの、全体的に見て出来は良い方である。~ 難易度は『伝説』よりも下がっており、比較してみてプレイしやすくなったと言える。 ---- **余談 -ゲーム開始時点の設定で決められる主人公の誕生日。一見何の意味も無さそうだが、実はその日に主人公の誕生日パーティーが行われている。 --さらにその様子をヒューゴー・レポートで確認すると仲間達から誕生日プレゼントがもらえる。貰えるプレゼントは様々で「ガラントくん((仲間たちの手作りの主人公そっくりの人形。武器扱いで性能は主人公のバラメータに依存。))」や「武芸指南書((所持しているユニットは貰える経験値が2倍に。))」といった貰って嬉しい品物から「混沌の壺((覗き込んだものの心を闇に沈めアライメントが下がる。消耗品。))」「ディアドラの唄声((恋人との別離を嘆き自殺した少女の魂が宿る鎧。))」といったそれを誕生日に贈るのはどうなのよ…といった品々まである。 --主人公はゲーム開始時点では18歳だが、誕生日イベントは''99歳''になるまで行われる。…ちょっと待て、ヒューゴーやサラディン(ゲーム開始時点で50歳超え)は大丈夫なのか!?((尚、仲間になるキャラクターで最年長なのは79歳のシィンだが、彼は人間より寿命が長い有翼人なので除外。)) -TOではシェリーやオリビアが死んだ際に即座に転生して問題となったエンジェルナイトだが、今作では逆に条件を満たしているのに一向に転生してくれないから困るという世にも奇妙な状態になっている。 --転生条件自体はアライメント以外は比較的甘めで、転生に必要なアイテムも1つを除いて普通に店で売っている((残りの一つはとある場所で開催されている闇市で買える。))。…しかし、転生の判定がステージクリア時のみに行われ、その確率もLUKの1/4と低い。さらに''LUKはマスクデータでゲーム中に確認できない''。 ---おまけに同時にゾンビ((全くと言っていい程役に立たないこのゲーム最弱ユニット。戦闘中に条件を満たせば上位のアンデッド(スケルトン→ゴースト)になれるが、どちらも普通に野生で現れる。))に30%の確率で転生してしまうおまけ付き。一応ゾンビに転生するのを防げるアイテムはあるにはあるが…やはりなかなか転生しない事に変わりは無い。 ---この為ラブアンドピース((敵ユニットを自軍に寝返らせるアイテム。結構な確率で失敗するが敵の部隊単位で判定が行われる為運が良ければ複数のユニットが寝返る。部隊のリーダーや敵専用クラスなど一部のユニットには無効。))はエンジェルナイトか、サデュロス((魔族の魔法戦士。さほど強いユニットではないが、野生に居ない為ラブアンドピース以外の手段では仲間に出来ない。))か、店では売っていない貴重な武器を装備したリーダー以外のユニットに使えと言われる。 -本作のテレビCMはエレファントカシマシの宮本浩次がバーで「従属か、革命か」「戦いか、和平か」など様々な二者択一で悩み続けるという渋い内容。 #region(参考動画) &youtube(http://www.youtube.com/watch?v=sFkvkIGJ2kw) #endregion -同人誌『パルチさん会議中』においてオウガバトルサーガ最終章のプロットがあるらしい。あくまでプロットであり製品版のオウガとは異なる面もある。 --なお、プロットの内容は[[こちら>http://ameblo.jp/negi-game/entry-10058436303.html]]で読める。 -ガイドブックに、すがわらくにゆきのシュールな4コマ漫画が掲載されている。