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スーパーロボット大戦X - (2018/08/03 (金) 20:51:15) のソース

*スーパーロボット大戦X
【すーぱーろぼっとたいせんえっくす】
|ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&amazon(B0781ZSR8B)&amazon(B078733Z4R)|
|対応機種|プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ|~|
|発売元|バンダイナムコエンターテインメント|~|
|開発元|B.B.スタジオ|~|
|発売日|2018年3月29日|~|
|定価|通常版 / 初回限定生産版&br;【PS4】8,600円 / 12,600円&br;【PSV】7,600円 / 11,600円(各税別)|~|
|レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|異世界ならではの魅力的なクロスオーバー&IF要素&br()サイバスター大活躍&br()上級者向けの難易度「エキスパートモード」が追加|~|
|>|>|CENTER:''[[スーパーロボット大戦シリーズリンク>スーパーロボット大戦シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
人気キャラクターゲームである『スーパーロボット大戦』シリーズの一作品。~
本作ならではの大きな特徴として、メインとなる舞台が、地球ではなく本作オリジナルの異世界「アル・ワース」で展開され、登場キャラクター達が元の世界から召喚されるというものがある。~
『[[スーパーロボット大戦EX]]』という前例こそあるが、こういった展開は珍しく、アル・ワースという世界そのものや、プレイヤーユニットがどういった形で召喚され、そして戦っていくのかに対して、注目が集まった。

#region(参戦作品一覧)
★マークは新規参戦作品。

-無敵鋼人ダイターン3
-聖戦士ダンバイン
-聖戦士ダンバイン New Story of Aura Battler Dunbine
-機動戦士Ζガンダム
-機動戦士ガンダムΖΖ
-機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
-機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
-機動戦士ガンダムF91
-機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人
-新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
-★ガンダム Gのレコンギスタ
-★魔神英雄伝ワタル
-勇者特急マイトガイン
-コードギアス 反逆のルルーシュR2
-★バディ・コンプレックス
-★バディ・コンプレックス 完結編 -あの空に還る未来で-
-クロスアンジュ 天使と竜の輪舞
-マジンカイザー(オリジナル版)
-真マジンガー 衝撃! Z編
-真マジンガーZERO vs 暗黒大将軍
-天元突破グレンラガン
-劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇
-★ふしぎの海のナディア

-本作では、ガンダムシリーズの準新作であり、宇宙世紀と密接なかかわりを持つ『ガンダム Gのレコンギスタ』、これとほぼ同時期に放映されたサンライズの『バディ・コンプレックス』シリーズ、『[[スーパーロボット大戦V]]』の『宇宙戦艦ヤマト2199』に引き続き、戦艦を主体とした『ふしぎの海のナディア』が新たに参戦。そして、1980年代後半のロボットアニメの中でも特に人気を集めており、多くのファンから待ち望まれていた『魔神英雄伝ワタル』がついにお披露目となった。
--また、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』は、クレジットされるのは初めてだが、この作品に登場する「Hi-νガンダム」や「ナイチンゲール」は過去作にも登場しているため、新規参戦という扱いにはなっていない。
#endregion

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**評価点
***システム
-合体攻撃の仕様変更
--シリーズでは、複数のユニットが協力して行う「合体攻撃」と呼ばれる要素があるが、従来の作品では、協力するユニットの全てがマップに出撃している必要があり、特に4~5機で行う場合は窮屈を強いられていた。
--本作ではこの要素を改善し、起点となるユニットが出撃していれば、その合体攻撃を使えるようになった。ただし、参加ユニットが少なくなるにつれて威力は激減し、1機だけの場合は普通の攻撃より威力が低くなってしまう場合も多い。
---とはいえ、合体攻撃のアニメーション自体はいつでも鑑賞可能になったため、それを目的とする人もいれば、消費ENこそ多めだが射程に優れていたり、逆に多くの機体を必要とするために個々のEN消費が少なかったりする場合もあるので、いずれにせよ優れた救済策と言える。
--なお、このポイントについては事前に告知があったわけではなかったため、バグかと疑ったユーザーもいたようだが((スタッフや関係者からもバグかと疑われたことがあるらしい。))、れっきとした仕様である。

-新難易度「エキスパート」の追加
--歯ごたえのあるプレイを楽しみたいというユーザーに答える形で、新たな難易度である「エキスパート」が追加された。これは、最初から難易度がハード固定で、さらに、ハードの改造段階にさらに3段階の改造がなされているというもので、必然的に敵が強く設定されるようになる。とりわけボスユニットは、一度の改造におけるステータスの上昇値が高いため、精神コマンドなしでは手も足も出なくなるほど。
---そのスペックたるや、防御力の高いボス相手であればスーパーロボットクラスの必殺技ですら無改造なら最低ダメージの場合もあるという異様なレベルになる。それでも、無改造・1周目でも、手段を尽くせば十分クリア可能となっている。
--『OGシリーズ』などに実装されていたEXハードと違い1周目からプレイ可能。概ね「クリアすればスペシャルモードが解禁される」という恩恵があったEXハードとは違い、「全てのSRポイント獲得条件が一度も敗北せずにシナリオクリアする」というものとなった。
---そのため、どんな条件が設定されているか知らずにプラチナトロフィー獲得まで行く可能性もある。
//ビギナーズ→エキスパートって通れば2周目でもいいと思います
--この要素は、最近リリースされた『V』や『[[スーパーロボット大戦BX]]』などが、低い難易度だったということもあり、結果的にいいスパイスとして機能した。

-オープニングアニメーション・デモムービーの復活
--『V』は、当作品における記事の問題点にもあるようにPS系統のスパロボでは珍しくオープニングアニメーションが存在しなかった。
---本作はこれが復活しており、『V』に引き続くかもしれないと不安だったユーザーを安心させた。なお、本作のオープニングムービーは、異世界モノらしい、ファンタジックな内容になっている。また、ムービーでは、『スーパーロボット大戦F』などで「ギリアム・イェーガー」役などを演じた田中秀幸氏のナレーションが挿入されるが、これは、一度クリアするとその意味がわかるようになっている。
--また、『[[スーパーロボット大戦α]]』等で見受けられたものの、最近のシリーズ作品ではまったく見られていなかったデモムービーも、久しぶりに本作で見られるようになった。
---主に『ワタル』や『勇者特急マイトガイン』関連が該当。マイトガインは『V』にも参戦しているが、合体シーンが存在しなかったため、こちらで見られたことを喜ぶ声も多い。

-ユニークな強化パーツ
--本作においてもさまざまな強化パーツが存在し、味方ユニットの強化に一役買っているが、ただ単純に機体の性能を上げるのではなく、スパロボにおけるシステムを上手く活かしたものが存在する。
---ひとつは、最強武器の攻撃力を5500に固定する「エクストラアームズ」。主人公機などの強力な機体は、改造次第で5500を越える攻撃力を簡単に叩きだせるため使う意味はないが、修理や補給が本分のユニットなどの攻撃力の補強に大いに役立つ。こういった機体は、武器の燃費がいい事も追い風となっている。
---もうひとつは、こちら側の命中率が70%以上なら確実に命中し、敵の命中率が30%以下なら確実に回避できる「因果律操作装置」。かつて存在したスキルである「ハーフカット」をより強力にしたもので、特に「集中」を修得するパイロットの搭乗する機体に取り付ける事で、高い効果を発揮する。
--なお、これらのパーツは、強力な効果を持つゆえに希少品で、特に因果律操作装置は、シークレットマップで一つ入手できるのみとなっている。

-戦闘アニメーション
--スパロボのアイデンティティとすら言われる、戦闘によるアニメーションは本作でも好評。特に、「龍王丸」と「G-セルフ」に関してはほぼ満場一致で絶賛されている。
---一方で、アニメーションによる労力の重さからか、ユニットの中でも武装の数に偏りがあり、この点は問題とされている。詳しくは後述。

-「ドグマ」
--主人公機は、ファクトリーで「Magicカスタマイズ」を行なうことで、「ドグマ」と呼ばれる6種類の特殊能力を使えるようになるという独自システムが搭載されている。
---もっとも、『第3次スーパーロボット大戦Z 天獄篇』のソーラリアンほど強力ではなく、早期に覚えられるものは範囲内の一体のSP25回復や範囲内全機のEN50等、困ったときにあると便利、程度ではある。
---ただしポイント条件の厳しい後半になると、「周囲2マスの敵全員の性能ダウンとEN-100」「4マス以内の味方機一体を同じ範囲内で好きに動かす」「3マス以内の1機に「魂」「気迫」「ダイレクトアタック」「スマッシュヒット(効果は1戦闘のみ)」をかける」等、強力な物も使えるようになる。
---なお、これらのドグマは、1マップに1度しか使用できない。
//主人公機の目だって強力な独自要素はこっちへ移動
//後半3つは十分強いと思う

***シナリオ
''新規参戦関連''
-前述した4つ(バディ・コンプレックスシリーズを1つの作品と考えた場合)の新規参戦作品は、いずれも本作のストーリーの中核を担っている。
--中でも『魔神英雄伝ワタル』は、本作の中心と言っても過言ではない。本作の当初の目的自体が「ドアクダー打倒」という内容でほぼ一貫しており、プレイヤー部隊は、救世主である「戦部ワタル」と、その仲間達という体裁になっている。ワタルと、彼の搭乗機であり相棒でもある「龍神丸」は、最初こそ力不足な面も見受けられるが、成長するにつれてその実力を発揮できるようになり、終盤では最強ユニットの一角として機能するようになる。
---敵対者も、「ドアクダー」やその息子である「虎王」、腹心の「ドン・ゴロ」、「ザン兄弟」のほか、全ての界層ボスが登場する。さらに、界層ボスはその全員が、『ワタル』以外の作品の登場人物と密接に関わる機会があり、秀逸なクロスオーバーの一つとして機能している。それ以外にも、下記にいくつか見受けられるように世界観に関わるレベルのクロスオーバーが非常に多く、参戦作品の中でも随一とされている。

#region(界層ボスと他版権キャラの関連について)
-第一界層のボスである「クルージング・トム」は、『聖戦士ダンバイン』のドレイク軍の残党や、『天元突破グレンラガン』の獣人などの取り込みに積極的で、その中で、「ヴィラル」や「トッド・ギネス」を自軍に引き入れる事に成功している。もっとも、双方とも後に愛想を尽かされて出奔されており、ヴィラルやトッドが自軍入りした際には、彼の人望のなさが言及されている。
-第二界層のボス「デス・ゴッド」は、『コードギアス 反逆のルルーシュR2』のキャラクターとの絡みが濃厚。中でも「ルルーシュ・ランペルージ」の事は、元の世界における所業から「魔王」と呼んで恐れており、自分と同じく悪の側にいると信じて疑わないまま、味方に引き入れようと躍起になっていた。しかし、いわゆる偽悪者であるルルーシュと思考が一致するはずもなく、あえなく敵対する羽目に陥っている。それどころか、結果的にとはいえ、ルルーシュ復活の功労者にすらなっている。また死神つながりで『新機動戦記ガンダムW』のデュオ・マックスウェルをライバル視する場面があり、お互いに特殊戦闘セリフがある。
-第三界層のボス「ソイヤ・ソイヤ」は、直情的な思考が『真マジンガー 衝撃!Z篇』の「兜甲児」と似通っており、互いにライバル視する一幕がある。
-第四界層のボス「ドクトル・コスモ」は、姑息な手段を用いて、ワタルと『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』の主人公である「アンジュ」を陥れようとする。しかし、目論見が見事に失敗し、自分の失敗を認めようとしないコスモに対し、アンジュが呆れ返るというシーンがある。
-第五界層のボス「アック・スモッグル」は、『機動戦士ガンダムΖΖ』の「マシュマー・セロ」を操り、用心棒として自軍に加えているというシーンがあり、後に正気に戻ったマシュマーから、怒りを向けられている。ただし、進行ルートの関係上、マシュマーがスモッグルと再会する事はないため、彼との因縁は「忍部幻龍斎」が言及するにとどまっている。
-第六界層のボス「ビビデ・ババ・デブー」は、かつて敗れたトッドを拾っており、後に敵対する事になりながらも感謝の意を向けられている。また、魔法使いということもあり、味方側の魔法使いである「イオリ・アイオライト」、「アマリ・アクアマリン」とも因縁が生じている。
#endregion
--いわゆる「タイム・リープ」を描いている『バディ・コンプレックス』は、原作において恋愛感情のもつれから嫉妬を爆発させて破滅への道を走る事になったライバルキャラ「ビゾン・ジェラフィル」に、救いがもたらされる展開がみられる。
---クロスオーバーは、『Gのレコンギスタ』や『新機動戦記ガンダムW』、および『クロスアンジュ』との関連が目立つ。互いに明るい性格であるうえ、一人の女性のために戦うという共通点を持つ「渡瀬青葉」と「ベルリ・ゼナム」は、早々に打ち解けており、親友と言っても過言ではないポジションに落ち着いている。また、自分の思い通りの世界を作ろうとしている「エンブリヲ」にとって、時間軸に干渉できるカップリング・システムは極めて都合が悪く、これを阻止するために元の世界に干渉を行っており、この事を敵・味方問わず強く憎まれている。
---ビゾンは、原作では、青葉と「ヒナ・リャザン」に憎悪を募らせたまま過去に飛ばされ、「エフゲニー・ケダール」と名を変えて世界を破滅に導くために動き出すが、本作ではゼロシステムによってある程度の未来が予測できる「ヒイロ・ユイ」が、早いうちからビゾンの存在に引っかかりを覚えており、中盤では彼のある行動によって、過去の世界に飛ばされず、結果的に救われるきっかけを得ている。さらに、ビゾンとエフゲニーが別人として存在するという展開になり、条件を満たす事でビゾン自身が青葉やヒナと和解するという展開を見る事ができる。
--『ふしぎの海のナディア』は、本作の世界観の関係上、潜水艦である「ノーチラス号」は登場しないが、その代わりに、終盤登場する「N-ノーチラス号」の参戦が大幅に前倒しされている。その性能も、『V』の「宇宙戦艦ヤマト」には及ばないものの、戦艦ユニットの中では最強レベルの一角として認識されている。
---主人公である「ナディア」は、原作においてはやや極端な性格をしており、必ずしも好かれる人物としては描かれていなかったが、本作では序盤こそ協調性に欠ける言動が見られたものの、自軍の仲間達との交流によってその改善が早められており、その魅力を早いうちから見られるようになっている((過去作でいうとTV版『機動戦士Ζガンダム』のカミーユが近いか。))。

''既存作品関連''
-最凶のマジンガーとして知られる「マジンガーZERO」が引き続き参戦し、なおかつ本作では、原作『真マジンガーZERO vs 暗黒大将軍』同様、この機体が強力な敵として登場している。その実力は、「マジンガー」の世界においても最強クラスとされる「暗黒大将軍」や「闇の帝王」すら凌駕しており、さらに自分以外のマジンガーの存在を許さないという行動理念によって、そのパイロットである甲児や「剣鉄也」を執拗に追い詰めようとする。
--これに対し、二人も「マジンガーZ」、および「グレートマジンガー」を上回る性能を誇る「マジンカイザー」、および「マジンエンペラーG」を使い、ZEROに対抗。スパロボオリジナル版の「マジンカイザー」が参戦したのは『[[スーパーロボット大戦α外伝]]』以来となり、『真マジンガー』版の甲児がカイザーに乗るのは本作が初の試みとなる。さらに、合体攻撃である「魔神双皇撃」が採用され、多くのマジンガーファンを喜ばせた。
//第2次α以降のカイザーはデザインがOVA版準拠のため、本作のオリジナル版カイザーとは別物
---さらにBGMも「マジンカイザー」((タイトルがよく似ているため誤解されやすいが、「マジンカイザーのテーマ」ではなく、『αシリーズ』などで採用された方である。))が採用されており、限定版では水木一郎氏の熱唱をバックに戦闘出来る為、ファンを歓喜させた。
-『コードギアス』関連においては、前述したデス・ゴッドの介入のほかにも、舞台の関係上、死者さえ復活しているという状況で、ルルーシュにまつわる非常に意外なキャラが復活&暗躍しており、それに対してDVE付きオリジナル展開でもって締める、というなかなか燃えるイベントとなっている。
--ちなみに、そのやり方は「心を盗む」と形容できるもので、一部のプレイヤーはCVも相まって発売直後に放映が始まったゲーム原作の某アニメの怪盗を連想したりもしている。
--クロスアンジュとのクロスオーバーも魅力の一つ。根は善人ながらも、目的のためなら手段を選ばないという共通点を持つアンジュとルルーシュの対比が度々なされており、アルゼナルのメンバーからは「男アンジュ」と呼ばれる事もある。また、バディ・コンプレックスの「隼鷹・ディオ・ウェインバーグ」ともども、「足が不自由な妹がいる」という共通点を持ち、これにおいてもクロスオーバーのひとつとして機能している。
-『聖戦士ダンバイン』は、立ち位置としては『[[スーパーロボット大戦UX]]』に近く、原作終了後となっている。ただし、参入自体は非常に早いうえに、主人公の「ショウ・ザマ」やヒロインである「マーベル・フローズン」、ライバルであるトッドの全てが、一度死を迎えたはずという事実が突き付けられており、前述したルルーシュの件も併せて、本作の舞台であるアル・ワースの謎に迫る展開となっている。また、前述した通り、『ワタル』とのクロスオーバーも充実している。
--単独で召喚されたため、オーラ・シップにこそ乗らないものの、「シーラ・ラパーナ」や「ショット・ウェポン」なども登場。特にショットは、アル・ワースの成り立ちにおいてもほぼ独断で解明しているなど、本作でも非凡な才能を見せてくれる。
---また、主役機である「ビルバイン」には本作で初めて、「ハイパーオーラ斬り」を凌駕する必殺技「オーラシュート」が追加。屈指の威力を誇る上にアニメーションの出来栄えも非常に秀逸で、その存在感は決して他作品に劣っていない。
-『New Story of Aura Battler DUNBINE』は主人公「シオン・ザバ」は今回も参戦せず、「サーバイン」と「シルキー・マウ」のみの参戦だが、その分演出等には力が入っている。
--シオンが登場する『[[スーパーロボット大戦COMPACT3]]』以外では本作で初めて「サーバイン」を無条件で入手できるようになった。
---性能面でも、攻撃力においては前述したように新たな武器を獲得したビルバインには及ばない代わりに、シールドが新たに搭載されているため防御に優れているほか、強化パーツのスロットもひとつ多い。今までは純粋なビルバインの強化版とされていたが、本作においては、攻撃力で劣る代わりに使い勝手の面で優れるという形で、うまい具合に差別化が図られている。
--フェラリオである「シルキー・マウ」が機体固定のサブパイロットとして、スパロボ初となるCV付きで参戦。
---ショウを搭乗させることで、彼とチャム、シルキーの3人乗りも可能になっている。台詞やカットインは共通で使えるように作られており、他のキャラを乗せた場合でも喋ったりカットインに出てきてくれる。
-『勇者特急マイトガイン』は、1年前に参戦した『V』に引き続きの参戦となるが、ところどころに新たな試みが実現されている。
--まず、前述した通り、デモムービーが復活した関係で、「マイトガイン」および「グレートマイトガイン」の合体シーンが追加された。さらに、原作でも一話のみ披露された合体攻撃「ジョイントドラゴンファイヤー」が新たに追加され、これを知るファンを唸らせた。原作では、この攻撃はマイトガイン、「マイトカイザー」、「マイトガンナー」、「バトルボンバー」、「ガードダイバー」の5機で行われるものだったが、本作ではこれに「ブラックマイトガイン」も加わっている。前述した通り、本作の合体攻撃は全員が出撃していなくても実行できるので、数が増えた事で窮屈になったということもない。
-『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』は原作再現は多少控えめとなったが、代わりに上述の通り各参戦作品とのクロスオーバーが多い。
--上記の他にも、アウラの民が『ワタル』の神部七龍神の恩恵を受けたというクロスオーバーがあり、その影響から、サラマンディーネが龍神丸に対して執心しているという描写が見受けられた。

''ガンダム関連''
-前述した通り、新規参戦作品のひとつである『Gのレコンギスタ』は、本作にも多く参戦している「宇宙世紀」の遠い未来である「リギルド・センチュリー」が舞台とされている。本作においてもこの設定はもちろん活かされており、リギルド・センチュリーの存在自体が、「シャア・アズナブル」が敵対する理由の一つとして取りざたされている。
--主人公であるベルリは、前述した青葉との友人関係のみならず、その明るく前向きな姿勢で自軍を引っ張る原動力として機能しているほか、原作でも多々見られた聡明な面を幾度も覗かせており、宇宙世紀の中心人物として広く知られている「アムロ・レイ」やシャアからも、未来に希望を見出すほどの高い評価を受けている。
--原作においても黒幕として暗躍し続けた「クンパ・ルシータ」は、「アル・ワース」に召喚され、過去や異世界の存在を目の当たりにした事で自らの野望を果たすために動き、自軍、敵軍共に大いにかき乱している。その中で、自らが管理していた「ヘルメスの薔薇」((端的に言えば、かつて存在したモビルスーツの設計図の集合体のようなもの。))を流出させる事で、原作では博物館に飾られている程度だった宇宙世紀のモビルスーツが多数作られ、「キャピタル・アーミィ」、「ドレット軍」、「ジット団」など、クンパが陰で操っていた部隊に多数配備されている。また、ライバルキャラである「マスク」が、ヘルメスの薔薇から再現した「ジェガン」を誇り、事情を知らない『ガンダムΖΖ』のキャラである「ジュドー・アーシタ」が、それを非難するというものや、味方パイロットである「クリム・ニック」が、ヘルメスの薔薇から組み上げられた「ヤクト・ドーガ」に乗ったはいいものの、ニュータイプ専用武装である「ファンネル」が使えずに機能不全を疑うなど、スパロボならではのクロスオーバーも多数見られる。さらに、「Hi-νガンダム」や「ナイチンゲール」、「ラフレシア」、「クロスボーン・ガンダムX1フルクロス」など、元の世界から持ち込まれたものではなく、ヘルメスの薔薇から作り上げられたという設定の機体も多い。
---また、ベルリが教官である「デレンセン・サマター」を殺害してしまった事を、デレンセンの同僚である「ケルベス・ヨー」に告白したり、「マニィ・アンバサダ」がキャピタル・アーミィに加入する時期が早められている関係で、友人である「ノレド・ナグ」と躊躇いつつも敵対するなど、原作でなされていなかった描写も存在する。
---原作では敵対したまま死亡してしまうパイロットの多くを自軍に加えられる点も大きな魅力の一つ。シリーズには幾度か参戦しているものの、その立場上、味方になる事はなかった「グレミー・トト」をはじめ、「バララ・ペオール」((彼女に関しては生死不明という扱い))、「キア・ムベッキ」、「ロックパイ・ゲティ」などを、条件付きではあるが加入させられるようになっている。
--また、敵対したまま終わってしまうものの、『機動戦士ガンダムF91』の参戦に伴い、「鉄仮面」こと「カロッゾ・ロナ」が久々に登場。ガンダムシリーズの敵における総大将として立ちふさがる。宿敵である「シーブック・アノー」や娘である「セシリー・フェアチャイルド」はもちろん、「トビア・アロナクス」と対戦した際にも、「クロスボーン・バンガード」に対するそれぞれの想いを目の当たりにできる。また、クロスオーバー方面では、シャアやクンパ、そして、仮面を被ったもの同士となる、マスクとの対比が見どころとなっている。

''バンプレストオリジナル関連''
-本作の主人公は、「菫青石(きんせいせき)の術士」の二つ名を持つ男性である「イオリ・アイオライト」と、「蘭柱石(らんちゅうせき)の術士」の異名を持つ女性「アマリ・アクアマリン」から選択する事になり、選択された方はオウムの姿をしたホープスと共に旅に出るという設定。
--主人公は、アル・ワースで広く信仰されている魔従教団の出身で、「ドグマ」と呼ばれる魔法を使う事ができる。アル・ワースの住人であるため、必然的に地理や歴史などには詳しく、召喚されたキャラクター達に、その都度解説をする、いわゆる案内役を務めている。
---本作同様に、バンプレストオリジナルの異世界を描いた『EX』は、終始主人公視点で物語が展開されており、舞台となる異世界に関する解説が必ずしも十分とは言えなかった。そのため、召喚されたキャラクターや、プレイヤー自身が混乱する事態も見られたが、本作ではその点における反省がなされており、イオリ、アマリ、ホープスの解説によって、アル・ワースの特徴がわかりやすくなっているというメリットがある。
---案内を務めるという立場上、最近ではいつもの事とはなったものの、本作においてもクロスオーバーには積極的で、プレイヤー部隊「エクスクロス」の実質的な総大将であるワタルをはじめ、さまざまなキャラクターとの絡みを楽しむ事ができる。


-バンプレストオリジナルの中でももっとも有名な機体とされる「サイバスター」と、そのパイロットである「マサキ・アンドー」が、ゲストキャラとして参戦している。
--彼が版権スパロボに参戦した経験は少なくなく、ゲストキャラとしては『スーパーロボット大戦Operation Extend』にも出演している。ただし、『OE』においては有料DLCであるため、シナリオデモには全くと言っていいほど絡んでいなかった。
--本作ではシナリオデモにおいて多く顔を見せるほか、戦闘前会話なども充実している。さらに、サイバスターの性能が非常に高く((機体、武器共に空の適応が「S」であるため、数値以上の戦力を有する。))、初回特典版を購入している場合は序盤から活躍させる事ができる。最近の『OGシリーズ』などでは今一つ実力を発揮しきれていなかった事もあり、OGシリーズとは一味違う秀逸なアニメーションでファンを魅了した。

''DLC関連''
-シリーズお馴染みのDLCシナリオは本作においても健在。本編で描かれなかったストーリーの数々を楽しむ事ができる。
--中でも好評なシナリオは、「プリティ・サリアンの冒険」と「アムロ・レイの夢」の二つ。前者は、コスプレ趣味のある「サリア」が、「聖戦士」のショウと、皇子のルルーシュ、そして、「魔法使い」のイオリ、あるいはアマリを従えるというコンセプトのシナリオで、本編では見られなかった、サリアのコミカルな一面や、それに振り回される一行の様子を楽しむ事ができる。後者は、優れたパイロットでありながら、メカニックに精通するアムロと、リギルド・センチュリーにおける名メカニックのハッパさまざまなモビルスーツに関する見解を聞かせてくれる。いずれも、原作ファンはもちろん、スパロボならではのクロスオーバーを楽しみたい人にはお勧めのシナリオとなっている。
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**賛否両論点
-『ベルトーチカ チルドレン』のアニメーションについて
--「Hi-νガンダム」の最強武器である「オールレンジ・アタック」が、「攻撃していたはずがHi-νガンダムが動かなくなり、白鳥が飛んで復帰」という戦闘シーンには向かない演出になっている。
---原作再現ではあり、演出自体は凝っているのだが、原作を知らない人にとっては理解しづらいアニメーションになってしまい、原作を知っている人からも賛否が分かれている。格闘武器である「ビーム・サーベル」や準最強武器である「ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー」などでは見事な描写がなされており、無論それらは評価すべき点であるが、皮肉にもそれが余計に悪目立ちする要因にもなってしまった。
---一方で「ナイチンゲール」は、スマートかつ格好良い演出になっており好評。本作でも引き継がれたサザビーの「オールレンジ・アタック」の演出が散々な評価だった為、見事に汚名返上となった。

-異世界が舞台である事
--本作は異世界が舞台になっておりそれを活かしたクロスオーバーが魅力となっているが、一方でそれが原因で、原作シナリオの再現度が弱くなっているという側面がある。これは、アル・ワースに舞台が設定されている『ワタル』以外の新規参戦作品においても例外ではない。
---例えば、『Gレコ』は「宇宙に依存した地球勢力」と「地球に帰還したい宇宙勢力」といった環境ありきのストーリーであり、『バディコン』も「世界を二分した大戦」という体でシナリオができていたのだが、本作では異世界に召喚されたという関係で、双方とも「エクスクロスと助け合う事で元の世界に帰還したい勢力」と「神聖ミスルギ皇国(実質的にはエンブリヲ)、および魔従教団の力を借りて元の世界に帰還したい勢力」と、その勢力図が変更されている((前者は、アメリア軍、レイハントン勢力、自由条約連合。後者は、キャピタル・アーミィ、ドレット軍、ジット団、大ゾギリア共和国、ネオ・アトランティスが該当。))。『ナディア』も、機動兵器が登場しない部分は大幅カットされている((これは必ずしも、異世界が舞台である事だけが原因とは言えない。))。
---もっとも、『EX』や『α外伝』など、異世界((後者は未来世界だが))を舞台とした過去作と比較すれば、再現の度合いは高く、他作品とのクロスオーバー自体もしっかりとなされている。また、オリジナル偏重というわけでも、『ワタル』と他の三作品の扱いに極端な差が生じているというわけでもなく、原作とは違う形になりつつも、各作品のキャラクターの見せ場は非常に多い。ビゾンなど、原作では死亡してしまうキャラクターが生き残ったりするなど、いい方向にアレンジされた面も決して少なくない。
--また、異世界が舞台とするならファンタジー路線の作品をもっと増やして欲しかったという声も見受けられている。

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**問題点
-デモムービーが復活したものの、ライブラリには登録されない。
--前述した『α』などでは、ライブラリから選択していつでも鑑賞する事ができていた。

-新規参戦作品やオリジナルのユニット数、および武装の数が少ない。
--「G-セルフ」のいくつかの形態はアイコンのみの登場。「クリシュナ」、「オーガ」も、隊長機である「アルシエル」の召喚攻撃による登場にとどまっているなど、いささか寂しいことになっている。
--主人公クラスのユニットの武装はいつも通り充実しているが、サブクラスのユニットは武装が2つしかない場合が多い。アニメーション内では他の武装とセットで使っている場合も多く、そのモーション自体が見られないわけではないのだが、やはり武装欄が寂しくなってしまう為、個別の武装として搭載してほしかったという声は多い。
---また、この影響で弾数などに不安が出るユニットもあるが、最強武器でも比較的消費が抑えられていたり、カスタムボーナスで改善されたりするため、戦力面で困ることはあまりない。無論主人公機よりは劣るが、それはいつもの事と言える。
--オリジナル主人公機である「ゼルガード」は、シナリオ進行により、徐々にバージョンアップしていく仕様であり、最後のパワーアップでは、最強技の追加+パラメーター強化+最初に選ばなかった方の主人公がサブパイロットとして追加され二人乗りになるという形をとっている。しかし、スパロボ定番の後継機への乗り換えや、強化傾向を選択する事で別バージョンへと進化するという変化がないことには惜しむ声も聞かれた。
--敵のボスユニットもいつにも増して武装欄が寂しい傾向にあり、バディ・コンプレックスのラスボス機である「カルキノス」は武装が一つしかない。また、ナディアのラスボス機「レッドノア」が、特に理由もないのに代名詞的な武器「バベルの光」を使用できない事にも、原作ファンから非難の声が上がった。いずれもアニメーション自体は優れているだけに、つくづく惜しいといえる。
-これらの問題は、アニメーションのクオリティを重視しつつ、1年という短期間で開発した事が原因と思われ、いわゆる「量より質」を重視した弊害であるといえる。

-新規作品のDVEが最近のスパロボにしては少ない
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**総評
異世界が舞台という風変わりな設定を持つ異色作だが、ストーリーやアニメーションなどの出来栄えは秀逸で、クロスオーバーも依然高いレベルを維持している。~
『ワタル』のファンはもちろん、昨今のシリーズ作品を楽しめた人にもお勧めの一作。~
また、『EX』や、『魔装機神』、および『無限のフロンティア』などの『OGサーガ』、『NEO』など、ファンタジー要素の濃い作品を好むユーザーにも、手に取って損はない内容となっている。
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**余談
本作のコマーシャルには、角界で人気を博した元高見盛関である振分親方がイメージキャラクターとして抜擢された。~
『V』のコマーシャルを担当した博多大吉氏同様、振分親方もスパロボシリーズのファンであり、ファンならではの反応を見せ、ユーザーを驚かせた。
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