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Wizardry 6 Bane of the Cosmicforge - (2020/09/02 (水) 08:24:19) のソース

このページでは、PC版『Wizardry #6』及び、その移植であるSFC版『ウィザードリィVI ~禁断の魔筆~』について扱います。~
判定はいずれも「良作」「シリーズファンから不評」です。
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#contents(fromhere)
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*Wizardry #6 Bane of the Cosmicforge
【うぃざーどりぃ しなりおしっくす べいんおぶざこずみっくふぉーじ】
|ジャンル|RPG|
|対応機種|IBM-PC、国産PC他多数|
|開発元&br;原語版発売元|Sir-Tech|
|発売日|1990年8月6日|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|
|~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|
|ポイント|システムを大幅改変&br()敵も味方も即死ゲー&br()''進行不可能バグあり''|
|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズリンク>Wizardryシリーズ]]''|

**概要
ナンバリングタイトルの第6作にして、シナリオ8まで連綿と続く「新ウィザードリィ三部作」の始まりの作品。~
これまでのシステムを一新し、「もはや別ゲー」と言ってもいいくらいの大幅な改革がなされた。
-画面構成や一部システムに『[[Dungeon Master]]』からの影響が見て取れるが、あちらと違ってリアルタイム制ではない。

**ストーリー
この世には知らねばならないことがある。~
100と20年ほどの昔、その城には、もっとも邪悪な王と妃が住んでいた。~
王は自らにならぶほど邪悪な魔法使いと手を結び、彼ら以外の邪悪なるものたちを滅ぼす魔法の戦いをくり広げた。~
彼らが「コズミック・フォージ」の存在を知ったのは、こうした戦いの最中だった。~
彼らが敵の魔神を倒したとき、その最後の言葉によって、彼らはその魔法のペンの存在を知った。~
コズミック・フォージと呼ばれるそのペンによって書き記された言葉はすべて現実のものとなるのだ。~
彼らはこのペンを盗み出し、だれも想像すらできないほどの恐怖を宇宙の中におりこみ始めた。~
しかし、ペンを盗み出すと間もなく、二人はおたがいの力をねたみ始めた。~
もはや彼らは、おたがいの力を必要とはしなくなっていたのだ。~
そして、おたがいの運命とこの魔法のペンの行く末を定める、最後の戦いがくり広げられた。~
それが知られていることのすべてである。~
城はそれ以来、住む者もなく、王、妃、魔法使い、魔法のペンがどうなったのかを知る者もない。~
しかし、今、新たな冒険者たちがこの城を訪れたことによって、すべてが変わろうとしている…~

(SFC版ストーリーより抜粋)

**新システム
-拠点となる町が存在しない。
--訓練場が廃止。ゲーム開始時にキャラメイクを行い、そのときに作ったパーティーで最後までプレイする。転職はメニュー画面からいつでも行える。
--ギルガメッシュの酒場が廃止。途中でキャラの入れ替えはできない。
--冒険者の宿が廃止。回復はダンジョン内で休息することによって行う。レベルアップは経験値が貯まり次第自動で行われる。
--ボルタック商店が廃止。アイテムの売買はダンジョン内にいるNPCと行う。一度売ったものを買い戻すことはできないが、品切れになることもない。
--カント寺院が廃止。死亡やステータス異常は呪文やアイテムで治す。軽いステータス異常なら休息でも治る。また、灰化・ロストは廃止された。
---毒も自然治癒するが、完全に治るまでの間はHPが減り続けるので、強めの毒を受けたまま休憩するとエラいことになる。

-味方キャラクター関連
--従来作の5種族に加えて、新たに6つの種族が追加。また、旧種族も多少パラメータが変更されている。
--性別システムの採用。男性は女性よりも力が2高く、魅力とカルマが1低くなっている。
--キャラクターの戒律システムは廃止された。
--特性値の「素早さ」が「器用さ」と「速さ」に分割され、「運」は「魅力」と「カルマ」に変更。
---「カルマ」は生まれた時点(キャラメイク時)に決定され、以後変動しない。極端に低いと色々と不幸な目に遭いやすくなる。最もわかりやすい例が、呪文を失敗したり逆流しやすくなること。
--「スタミナ」の概念が追加。行動すると減っていき、0になると行動不能になる。休息や呪文により回復する。
---HPとスタミナはレベルアップ時に現在の職業と生命力の値に応じて上がるようになり、従来作の「職業・生命力・現在レベルから算出する」方式ではなくなった。
--「アイテムの重量」と「リロード(積載量)」の概念が追加。キャラメイク時の特性値によってリロードが決定し、高ければ高いほど多くのアイテムを運搬できる。所持アイテムの合計重量がリロードの50%を超えてくると、攻撃命中率が下がったりACが上昇したりする。
--顔グラフィックの導入。種族に応じた顔が用意されているが、別種族の顔を使うことも可能。
--新職業が追加。女性専用の職業もある。
---旧作では侍と忍者は戦士同様の重装備が可能だったが、本作からは重装備ができなくなり、その職業専用の装備を身につけるようになった。また呪文が使えなかった忍者が錬金術を扱えるようになった。
--スキル制の導入。大きく分けて「武器スキル」「運動スキル」「学術スキル」の3つに分類される。レベルアップ時にスキルポイントを獲得し、それを各スキルに割り振っていく、または戦闘などで関連する行動を行うことで成長していく。
---職業によって上げられるスキルは決まっているが、スキル値を1以上にしておいたスキルは他の職業に転職しても忘れることがない。
--転職後の特性値が「その職業に就くのに必要な最低値」か「種族基本値」のうち高い方までしか下がらなくなった。転職後の職業に関係のない特性値は種族基本値まで下がるようになっている。

-装備品の追加仕様
--「片手持ち武器/両手持ち武器の概念の追加」「低威力だがサブウェポンとして装備可能、利き手のメインウェポンと合わせて二刀流も可能」といった新システムが追加された。
--装備品に「種族による装備制限」が追加された。装備可能な種族が限定されている武具は、必須ではないが総じて強めの性能にある物が多い。
---性別による装備制限もできた。女性専用の装備品が多めだが、男性専用の装備もある。
--武器によって「振る」「突く」「撃つ」などの攻撃方法を選んで攻撃するようになった。行動によって命中率や貫通率に補正がかかる。
--鎧は上半身と下半身を別々に装備するようになった。

-呪文体系の変更
--「錬金術師呪文」と「超能力者呪文」の2系統が追加。従来作の「魔法使い呪文」「僧侶呪文」と合わせて4系統の呪文体系となり、総数も大幅に増えた。
--呪文はレベルアップ時に1個を選んで覚える方式になった。高ランクの呪文は各系統のスキル値を高くすることで覚えられるようになる。
---呪文は各系統で独立しているとは限らない。例えばHP回復呪文「ヒールウーンズ」は魔術以外の3系統のどれでも覚えられる。
--呪文は6つの領域(火・水・気・地・心・魔)のいずれかに分類され、MPも6領域ごとに独立している。
---MPは旧来の回数制から数値制になった。呪文を覚えた領域のMPはレベルアップで成長していく。
--呪文の威力と消費MPを調節できる「パワーレベル制」が導入された。パワーレベルは最大6まで存在し、呪文を詠唱する際にパワーレベルを決定して強弱を調整する。ただし、その系統の呪文に精通していないと、高いパワーレベルで呪文を唱えても失敗することが多い。
--戦闘中の呪文は「発声術」スキルが低いと、発動に失敗したり詠唱者に逆流したりすることがある。ただし錬金術を扱う職業のキャラは発声術を必要とせず、状態異常「沈黙」の影響を受けることもない。
---たとえ錬金術として覚えた呪文であっても、錬金術を扱わない職業に転職した場合は発声術が必要となる。
--アイテムとして手に入る「魔法の本」を使う事でも呪文を覚えられるようになった。ただし、その呪文を覚えることができる職業であることと、呪文の強さに見合ったレベルが必要。

-ACシステムの変更。「全体AC」と「体の各部位AC」に分けられる。
--全体ACは旧作と同様、攻撃の当たりにくさを表す。パラメータの速さを高める、盾を装備する、モンクや忍者が「忍術」スキルを高める、元々体が小さい(味方キャラクターでは新種族の「フェアリー」が該当)…などで全体ACは下がる。
--各部位ACは、その部位への攻撃の貫通のしにくさを表す。貫通できないとダメージは通らない。
---各部位に防具を装備することで下がる。空を飛ぶ敵は頭を、地を這う敵は足を狙ってくることが多い。
---モンスター限定で「翼」や「尾」などにACが設定されている者もいる。
--この仕様が敵味方に適用されるため、後述の様な物理攻撃不遇に繋がるのだが‥‥

-毒などのステータス異常に強度の概念ができた。
--強力なものほど自然治癒に時間がかかり、対応する治癒呪文も高いパワーレベルで唱えないと治らない。
---どのくらい強力なものなのかは見た目で判別できない。
--「恐怖」などの行動に支障をきたすものは、強力なものだと体が動かなくなったり、勝手に逃走したりするようになる。
--「睡眠」や「麻痺」など行動不能になるものは、全体ACが+15になり、完全無防備になる。
--「石化」の場合、強度によっては即死するようになった。
---石化を解いても既に死んでいるため、復活が二度手間になる。生命力も二度低下する。
---正直、一人でも石化したらリセットした方が被害が少ない。

-宝箱・罠システムの仕様変更
--宝箱はダンジョン内に置かれるようになり、中身を手に入れられるのは1度だけになった。また、戦闘終了後に宝箱が出現することはなくなり、直接アイテムをゲットする形になった。
--最強クラスのアイテムは強敵が落とすのは変わっていない。その確率が異様に低く、種類も多いためかなり偏りが出る。
--従来作では盗賊が罠を識別する→仕掛けられているであろう罠の名前が表示される→前述の罠を指定して解除コマンドを選択…という方式であったが、本作では罠の識別を行うと、「仕掛けられている罠の名前に使われているアルファベットが表示される」方式に変更になった。そしてそのアルファベットをヒントに、プレイヤー側で罠の名前を推測することになった。
---宝箱を開けずに一旦その場を離れると、仕掛けられている罠の種類が変わる。解除失敗しても安全そうな罠になるまで粘ることも可能。

-次作へのキャラ引継ぎ
--#6から#8までは3部作となっており、#6のクリアデータを次作#7に引継ぎ可能。#7は新規データでも開始可能なので引き継ぎは強制ではないが、引き継いだ場合は序盤戦が有利になる特典が付く。

**評価点
-演出の強化。
--NPCやモンスターがアニメーションするようになり、迫力が増した。
--ロケーションの増加に伴い、壁や風景などのグラフィックも多数追加。マッピングしているだけでも飽きがこない。

-ダンジョン数の増加。
--旧作では1つの地下迷宮を探索するだけだったが、本作では複数のダンジョンを渡り歩く方式になり、それらをつなぐ屋外マップも存在する。
--「地上階」の概念ができ、階層を1つずつ探索する平面形式から複数階にわたって探索する立体形式になった。

-上記のストーリーに代表される重厚なシナリオと、味のあるテキスト。
--ストーリーを要約すると「記された言葉が現実となる魔法のペンを冒険者たちが取りに行く」というものなのだが、そのペンを巡って何が起きたか、現在進行形で何が起こっているのかが、徐々にかつ断片的に語られていく。
--プレイヤーの行動によってストーリーが分岐し、終盤の展開が変化する。シナリオの真相を理解できていないと重要人物(裏ボス)を殺してしまうルートへ突入してしまう。ただしバッドエンドというわけではなく、次作へのデータ引継ぎも可能。このルートだと引き継ぎ時のスタートが若干不利にはなるが。
--前作からあったNPCもより個性的なキャラが増え、会話内容も独特の魅力あるものとなった。
---呪文でNPCの心の中を読めるようになった。内容はちょっとしたヒントだったり、ウィットに富んだジョークだったりする。

-謎解きが多彩になった。
--ダンジョンマスターの影響か、壁にあるスイッチの発見、アイテムの組み合わせなどの仕掛けも用意されるようになった。

**賛否両論点
-グラフィックが海外向けで非常に濃い。

-ハクスラゲーからの方向転換
--6以降、シリーズ完結の8まで「明確なエンディングがあり、エンディングを迎えたらゲーム終了」と言う、いわゆる普通のRPGスタイルとなった。
--Wizシリーズはエンディング終了後からが本番、と捉えているプレイヤーも多いため、縛らなければ序盤でキャラ育成が終了し、またシリーズを代表するレアアイテム((最強装備が殆どだが、職業によっては別のレアドロップに最強装備がある))が確定ドロップする仕様には賛否が分かれた。
--ハクスラゲーの血統は、いわゆる和製Wizが引き継ぐ形になっている。

-呪文の名称の変更。
--いわゆる「トゥルーワード」と呼ばれる従来作のネーミングから、英単語の名前に変更された。カティノ→スリープ、ディオス→ヒールウーンズ、ラツモフィス→キュアポイズン、ティルトウェイト→ニュークリアブラスト、など。
--名前から効果を予想しやすくなったが、慣れ親しんだ旧作呪文名から大幅に変わってしまったため、旧作ファンに叩かれる要素でもある。

-ゲームのセーブは前作と同様、戦闘中以外に任意で行う形式で、リセットによるやり直しが効く。
--別パーティによる救助という概念がなくなったため、全滅した場合はセーブしたところから再開するしかなくなり、いわゆるノーリセット進行ができなくなった。

-休息によりダンジョン内でも回復が可能になった。
--いつでもどこでも回復できるようになり、旧作のような「MPを節約しながら進んで引き際を見極める」から「全力で敵を倒して休息で回復してとにかく先へ進む」という様式に変貌した。
---ただし時々休息中に敵に襲われることがあり、場合によっては睡眠状態で戦闘開始することもあるため、休息に頼りすぎると痛い目を見る。

-転職をすればするほど強くなる。
--旧作では転職のたびに加齢するため何度も転職するのはタブーだったが、本作では加齢しないので転職のデメリットがほとんどない。
---しかも冒険中に歳を取る場合の加齢が非常に緩やかになっており、かなり寄り道をしまくりレベルを上げまくっても、ラストダンジョンまでに30歳を超えているような状況はまず起こらない。参考までに『加齢により能力が落ち始め、やがて死亡してしまう』のは&bold(){50歳を過ぎてから}である。
---なお、ラスダンにたどり着く頃には若返りの消費アイテムがそれなりに手に入るので、年齢は完全にフレーバー要素となっている。
--低レベル帯で転職してレベル1に戻ってもすぐ取り戻せるし、それどころかわざとレベル1に戻って何度もレベルアップすることでHP・MP・呪文・スキルポイントの荒稼ぎができてしまう。
---転職回数を縛らないで育成した場合、最初のダンジョンの探索が終わるくらいのタイミングでありながら、全呪文習得&武器スキルとキリジュツカンストのスーパーキャラだらけの強力パーティーを作り上げることも可能。
--「転職は各キャラ1回まで」などと制限することで、本来のバランスを損なわない程度に楽しむことはできるが…。

**問題点
//-BGMがない機種版が存在する。
//もともと家庭用移植以外のウィザードリィシリーズにはBGMは存在していないのでこれは問題点とは言えない
-序盤のゲームバランスがかなり厳しい。
--まず敵に攻撃が当たらない。序盤はネズミやコウモリなどの「弱いが小さいので攻撃が当たりにくい敵」が多く出現するのだが、戦闘スキルが低いこともあってか命中率がかなり低い。武器スキルを上げれば当たりやすくはなるのだが、最初にもらえるポイントを全て武器に振っても雀の涙。
--攻撃呪文は確実に当たるが、失敗することもあるし、レベル1では多くても2回しか使えない。
---職業によっては確実に当たる魔法発動アイテムを持っているが、1回しか使えない。しかもスキルが低いので失敗することもある。
--序盤のダンジョンからいきなり最終盤のダンジョンの一部に出れてしまう。行き止まりなので先には進めないが、当然ながら上位ランクの敵が出現、たいていの場合はなすすべもなく全滅する。ただし、豪の者になるとここで敵を選んで勝つことで序盤からキャラを育て切る人もいる。
--キャラが死んでしまったら基本的にはリセット推奨。死者蘇生アイテムが手に入るが7回しか使えず、もしこれを使い切ると蘇生呪文「リザレクション」を覚えるまでの長期間、メンバーが欠けた状態での探索を強要される。ただし、この蘇生アイテムは高額で売れるので、売って装備を整えるかもしもの時のために取っておくかは悩ましいところ。

-種族、職業の格差の拡大。従来作ではそもそもの数が少ないのもあって、「役に立たない」種族や職業は存在しなかったのだが…。
-強種族・強職業
--種族「ドラコン」
---とにかく序盤が辛い本作において、序盤の安定度を上げてくれる新種族。
---元々防御に優れているが、特技「ブレス」が頼りになる。後列からでも敵に届くオールレンジ必中攻撃、かつリソースがスタミナなので、直接攻撃が当たらない前衛からでも、呪文を使い切った後衛からでも撃つことができ、攻撃の手数を稼げる。
---序盤を過ぎた辺りからは、ブレスが火力不足になり突出した強さがなくなるのがデメリットか。

--種族「フェルパー」
---バランス系の基礎能力を持つ種族では一番使いやすい。基礎値合計がフェアリーに次いで高く、フェアリーほど尖った能力でもないので大抵の職業をこなせる。女フェルパー×6人パーティでも序盤から終盤まで隙が無い。ついでにネコミミ付き。
//---人間の上位互換なので、種族「人間」の存在価値を完全に奪っている。(まぁ、従来作に人間の出番があったかと言うと‥‥)
//人間よりも力、信仰心、生命力が低いので上位互換とは言えない

--職業「ヴァルキリー」
---女性だけの新職業「ヴァルキリー」は、僧侶の呪文を覚えて戦闘力は戦士並み、おまけに本職の僧侶よりもレベルアップが早い(ただし神学スキルの成長速度は僧侶に劣る)という非の打ちどころのない職業となっている。
---僧侶系即死呪文を使うことができ、直接攻撃についても攻撃回数や命中率も高いため、僧侶→侍(orモンク)→ヴァルキリーと転職することで文句なく前衛職最強となれる。転職条件も比較的緩いので、転職を繰り返す際の繋ぎとしても優秀。
---デメリットはほぼ無い。キリジュツを持たないため、転職0回縛りプレイの場合のみ侍の方が火力で若干有利になる程度。
---ヴァルキリーの陰に隠れる形で「ロード」が不遇になった。成長も遅いし、専用装備である聖なる鎧もなくなってしまった。ちなみにヴァルキリーには専用武器がある。

--職業「バード」
---リソース不要の遠隔武器である「楽器」を使いこなし、盗賊技能を持つ新職業。
---初期装備のリュートが「敵1パーティーを睡眠」と言う、各職業の初期装備でも頭2つ抜けた良性能である。発声ではなく演奏であるため、沈黙の影響を受けないのもメリット。
---レンジャーと違い解錠で指先技が成長するため、盗賊やレンジャーを作るくらいならバードを作った方が遥かに有利。
---初期装備が存在価値の半分を占めるため、バードなし初期パーティで途中からバードに転職するとメリットが薄いのが難点。

--職業「モンク」
---ヴァルキリーほどの派手さはないものの、新職業では強いと言われる前衛職。
---キリジュツとニンジュツという、攻撃と防御面両方の必須スキルを持つため、前衛の転職経路としては必須であり、転職0回縛りプレイでも前衛候補の一角となる。
---忍者と同じように忍術スキルを上げることでACが下がっていき、最終的に敵の直接攻撃がほとんど当たらなくなる。防具はローブ程度しか装備できないが、そもそも当たらないのでどうという事はない。
---欠点としては武器に恵まれないこと。素手スキルを上げれば武器なしでも戦えるが、貫通力が頼りない。モンク専用武器「ざとういちぼう」は強力だが、超レアアイテムであり手に入れるまでが大変。
---サイオニック呪文を覚える複合職でもある。知恵と生命力が必要なサイオニックに比べて信仰心や素早さなどを要求されるため、相互転職は難しい。
---成長速度はロード並みに遅いが、忍者と比べると早い。安い忍者。


-弱種族・弱職業
--職業「レンジャー」
---新職業「レンジャー」は「不遇の代名詞」と呼ばれるほどの役立たず職業である。
---得意武器は弓だが、このゲームの弓は「1ターン内の攻撃回数が1回固定(他の武器は複数回攻撃する)」「矢は消耗品、かつ最強の矢が超貴重品」という二重苦を背負った欠陥武器である。「弓を扱う=後衛職」というイメージのせいか、防具もろくなものが装備できない。
---レベルアップ時に役に立たない弓スキルとスカウトスキルに勝手にポイントを割り振られるため、盗賊技能や錬金術を伸ばす余裕が全然ない。ついでにレベルアップもロード並みに遅い。
---盗賊技能である「指先技」のスキルを持つ職業のうちの一つであるが、何故かそれらの職業で唯一、鍵のかかった扉を開けても指先技スキルが上達しない。
---長所と言えば「転職するのに全てのパラメータがそこそこ必要なため転職してもあまりパラメータが下がらなくてすむ」ということくらい。

--種族「リザードマン」
---新種族である「リザードマン」は「魔法の扱いが苦手」という設定であり、魔法を使えないわけではないがMP回復量が全領域に-1補正が付くため他の種族よりも遅い。代わりにHP回復量にプラス補正があるのだが、このゲームで大事なのはMPの回復量であるため、利点が薄い。
---さらに魅力が3(女性は4)と異常に低いため、魅力が必要な職業に就くのが非常に難しい。転職をすればするほど強くなるこのゲームに根本的に向いていない。


-従来より弱体化した種族・職業等
--性別「男」
---前衛職向きにもかかわらず前衛職用の専用装備には女性専用が多いと差を付けられている上、男はヴァルキリーになれないと言う前衛職としては最大のデメリットがある。
---男性でもなれる上級職「ロード」は他の前衛職と比べてメリットがほぼ無いため、転職先としては選択外なのが辛いところ。
---力ボーナスがあるため、戦士にして荷物運び役にすることで、フェアリー入りのパーティでは役に立つかも知れない。

--種族「ノーム」
---「ノーム」は旧作ではホビットと並ぶ素早さ10の種族であったが、本作では何故か器用さ8、速さ6とどちらもかなり低い。
---その代わり信仰心が13と全種族最高値だが、僧侶になるには12で十分なため無駄振りであり、魅力も低いためロードにも向かない。「ドワーフ」や新種族「ラウルフ」のほぼ下位互換と言っていい種族になってしまった。

--職業「盗賊」
---旧作ではパーティーに一人はほぼ必須だった「盗賊」が、スキル制になったため他の職業でも盗賊技能を上げられるようになり、「呪文を覚えない」という欠点だけが残る職業になってしまった。
---戦士も呪文を覚えないが、他に特技もないため「好きなスキルを上げられる」という特徴があり、盗賊ほど不遇ではない。特に力ボーナスがありヴァルキリーになれない男性にとっては便利な職業。

--職業「ビショップ」
---旧来の上級職「ビショップ」は僧侶と魔法使いの呪文を両方使えるが習得が遅い。本作でもそれは同様だが、本作では僧侶と魔法使いを交互に転職することで遥かに効率良く上級呪文を早期に覚えられるため、ビショップのまま育てる意義が薄い。さらにビショップの特権であったアイテムの鑑定技能がなくなり、存在意義を疑われる職業になってしまった。
---魔法使いはニュークリアブラスト、僧侶はデスウィッシュなどの最上位呪文でも失敗しにくいが、ビショップはどちらも失敗しやすいので最終職業としての価値もない。
---上級職の中ではレベルアップが早い方であったが、本作では忍者に次ぐワースト2の遅さになってしまった。おまけに上級職であることが災いし、ビショップへの転職には相当高いパラメータが必要になった。HPや攻撃力も僧侶に劣るので、無理して転職する必要もないが…。
---ちなみに「このクラスだけMP回復速度が早い」という噂があったが、これは誤認である((種族がフェアリーか、初期ステータス割り振りで生命力が16以上だったキャラはMP回復速度が早くなるボーナスが付く。))。

--職業「忍者」
---ゲームクリア後のやりこみがない本作においては、ラスダン近くまで完全にお荷物であるニンジャが活躍できる場面が少なすぎる。
---初期装備が最終装備で、初期ニンジャでない場合はドロップから装備が手に入るのが終盤も良いところなので、前衛職が途中で転職する候補としても優先度は低い。ともかく成長が遅く、成長しきらないと役立たずなので、キリジュツとニンジュツのスキルが欲しい場合でもモンクに転職した方が遥かに楽で便利。

-その他、特筆する種族・職業等
--種族「フェアリー」
---どの職業においても武器・防具制限が多く、初期に選んだ職業によっては「職業の初期装備が装備できない」という不遇さである。また、荷物も装備品以外殆ど持つ余裕がない。
---しかし、種族特性として「AC-2」「最高の魔抵抗」「全領域のMP回復+1」「専用装備で全領域のMP回復+1」と攻撃呪文偏重の本作にマッチした能力を持ち、一人旅プレイにはもっとも有利な種族と言われている。
---なれると一人旅の方が楽まである本作で((自パーティの人数が少ないと経験値にプラス補正が入るため、成長速度が段違いになる))、「フェアリー忍者一人旅・転職0回クリア」なる記録もある。

-一部スキルがほぼ役に立たない。
--武器スキルのうち「投げる」と「スリング」は該当する武器自体が非常に少なく、新たな武器を手に入れてパワーアップを望みにくい。「弓」は種類こそ多いものの、前述通りの欠陥品。
---これらに共通して、弾が消耗品であるため無くなると使用できなくなるし、大量に持ち歩こうにも金がかかったり、重量制限がのしかかってくる。
--「盾」スキルを上げると盾の扱いが上手くなる…わけではなく、盾でブロック(防御行動)した場合にのみ回避しやすくなる。序盤はスキルポイントが低くて役に立たないし、後半はブロックなど使わなくなる。
--「スカウト」スキルは隠されたものを発見する能力だが、スキルポイントを最大まで上げても感知しないことがある。おまけに100%感知できる常駐魔法が存在する。
--「早業」スキルはNPCからアイテムを盗みやすくなるが、前作と違ってクリアに必須ではなく、盗みでしか手に入らないアイテムも無く、見つかって戦闘になってしまうリスクもある。
---ただしリセットに制限がないので、リセットプレイを厭わないのならスミッティーやマイ・ライなどの優秀な武器防具を扱っているNPCから盗みを繰り返し、いらないものは売る(見つかったらリセット)ということをすれば簡単に強い装備が揃えられる。
--「工芸学」「書術」スキルはアイテムや巻物に封じられた魔法の力を引き出す。通常の呪文に比べて強力なものは少なく、戦闘中以外ならスキル0でも失敗しないので上げる価値は低い。

-即死技が強すぎる。該当するのはスキル「キリジュツ(斬り術)」と、呪文「アスフィクシエイション」。
--キリジュツは「通常攻撃にクリティカル(即死効果)を付与、スキルポイントに比例して即死発動率が上昇する」という効果で、侍、モンク、忍者が習得可能。問題なのは習熟したキリジュツスキルが転職してもそのまま残ることで、前述の3職のどれかでキリジュツを習得した後転職すれば、以降どの職業でも通常攻撃に即死効果が付与される。さらにキリジュツを育て切ると「物理攻撃はキリジュツが本体で武器は飾り」状態になる。
---とは言え、物理攻撃については「対象は単体のみ」「当たらない」「当たってもダメージが通らない」「ダメージが通っても雀の涙」なので、キリジュツがないと前衛職はまとめて産廃になってしまうのだが‥‥
--アスフィクシエイションは高パワーレベルで詠唱することで高確率で成功するようになり、しかも効果範囲は敵全体。さすがにボス敵や一部の強敵は完全耐性を備えているが、雑魚ならばほとんどの敵に通用する。ただし、パワーレベルを上げるほど消費MPが大きくなる、発動失敗しやすい、逆流したら超危険…とそれなりにリスクもある。
--他にも、敵全体を高確率で即死させる「デスウィッシュ」、毒ダメージ呪文だが低確率で即死効果のある「デッドリーポイズン」、アンデッドを即死(成仏?)させる「ディスペルアンデッド」、悪魔系を即死させる(魔界に送り返す)「アストラルゲート」など、実質的に即死呪文である「ライフスティール」を含めるとマジックユーザ職のすべてが何らかの即死呪文を持っている。
--当然、中盤以降の敵モンスターもこれらの即死呪文を平気で撃ってくるため、最終的にはどちらが先に即死呪文を通すかと言うギャンブルになりがちである。

-一部呪文の効果が強力すぎる。
--敵を盲目にする「ブラインディング・フラッシュ」
---普通RPGで盲目と言えば多少命中率が下がるだけという程度の効果であることが多いが、本作では命中率の下げ幅が尋常で無い上に直接行動を阻害する効果もあり、物理攻撃一辺倒の敵はほぼ無力化する。しかも睡眠などより自然回復が遅い。低レベル呪文のため序盤から使えるのも強み。
--敵のAC(アーマークラス)を上げる「アーマーメルト」と敵の呪文を阻害する「アンチ・マジック」
---呪文への依存度が異常に高い本作だが、最終盤には呪文を無効化してくる敵も頻繁に登場するようになる。そんな中この二つの呪文は無属性のため何と「絶対に抵抗されない上に重ねがけが可能」という特徴を持っている。特にアーマーメルトはこれを覚えてようやく通常攻撃が日の目を見るようになる(逆に言えばこれがない限り使い物にならない)。
--敵からHPを吸収する呪文「ライフスティール」は、パワーレベルを上げるとダメージ(=吸収するHP)が指数関数的に上がっていく。そのため、この魔法だけ基礎威力がやたらと高い。
---パワーレベル最大で放つと、無効化されなければ1000以上のダメージを余裕で叩きだし、ラスボスや隠しボスも一撃必殺の威力である。当然、自分のHPは一発で満タンになるため、攻守ともに非常に強力。むろんだが敵に使われた場合、すさまじい脅威となる。
--扉や宝箱を開ける「ノックノック」の呪文は、確率にもよるがパワーレベル最大なら全ての鍵つき扉を開けることができる。
---しかも開けようとして失敗した場合でも、箱の罠を発動させてしまったり、扉の鍵をジャムってしまうことがないため、明らかに使い勝手が良い。このため、盗賊技能の「指先技」スキルはある一部を除いて不要になってしまう((一つだけ、ノックノックでは非常に開けにくい扉が存在する。そこは指先技で突破するほうが時間的に楽。なお、この扉の鍵をジャムってしまった場合、ノックノックで開けるしかなくなる。))。
--逆に、味方が使っても大した効果はないが敵に使われるとやっかいな呪文も揃っている。
---1パーティを麻痺させる「ホールドモンスターズ」は、名前に反してモンスター相手には効果が微妙だが((敵は殆ど複数パーティかつ確率で回避されるため、攻撃呪文そのまま撃った方が効率的である))、敵パーティが数に物を言わせて連続して唱えてくるとあっという間に味方全員行動不能にさせられ、大抵はそのまま復帰できず全滅する。
---1パーティに即死含むランダム状態異常を与える「プリズミックミサイル」、1パーティを確率で行動阻害する発狂状態にする「サイオニック・ブラスト」など、味方側は単体の状態異常回復しかできないにも係わらず数の暴力でばらまかれる状態異常呪文は敵側の独壇場である。

-逆にシビアすぎる回復呪文。
--多種多彩な攻撃呪文に対し、HP回復呪文がなんと単体小回復の1種類しかない。その代わり僧侶以外でも使える職業が多いのだが、敵側の攻撃回数が多い本作ではダメージを受けてから回復していると完全にじり貧となる。
--状態異常呪文が味方全体対象で乱発されるのに対し、状態異常回復呪文は単体でしか詠唱できない。誇張抜きに、誰の・どの状態異常を・誰が回復するのか、を1手間違えただけで全滅する。
--僧侶は回復役と言うよりもアンデッド、悪魔特攻の前衛職である。やられる前にやるバランスはいつものシリーズだが、即死呪文・全体状態異常呪文の強力さから更に攻撃偏重のバランスになっている。

-重要アイテムを捨てることができないため、持ち物欄を圧迫してしまう。
--鍵が必要な扉を呪文や盗賊技能でこじ開けると、鍵が余ってしまう。「銅の鍵」と「鉄の鍵」は重要アイテムではないので捨てることができるが、それ以外の鍵は捨てられない。
--NPCを殺すと重要アイテムを落とすので詰むことはないが、既にそれを持っている状態だと重複して片方余ってしまう。
--あるアイテムは4つ集める必要があるが、それを落とす敵は5匹いるので、全部倒すと1個余ってしまう。
--アイテムを使わないと罠が発動する場面があるが、罠をくらいつつも強引に突破すると、突破用アイテムが余ってしまう。
--突破ルートが複数あるイベントは、ルート選択によっては突破用アイテムを使う機会がなくなり余ってしまう。
--イベントクリアに必須なのに、クリア後も自動で廃棄されないアイテムもある。
--イベントクリアに特に必要ないのに、拾ってしまったが最後手放せなくなるアイテムもある。一部は武器として使えたりもするのだが、性能が低いため出番はほぼ無い。
--必須でないイベントアイテムはできるだけ拾わずに進みたいところだが、あるアイテムは手に入れずに進むとラストダンジョンに入れなくなり、取りに戻ることもできず詰む((SFC版では手に入れないと先に進めなくなったので詰む事はなくなった。))。

-直接攻撃の不遇さ
--「全体AC」「体の各部位AC」と物理攻撃に対する障壁が多く、それが敵味方ともに適用される。
--直接攻撃は1体のみ対象であるが敵パーティは平気で10体1セットで出てくるし、適正レベルでも「全体ACで避けられる」「部位ACで貫通しない」「部位耐性でダメージ軽減」と、ダイス目によっては呪文職が数発で敵を全滅させる間に前衛職が与えたダメージ総量が0ダメとか運が良くて1桁とか、殆どゲームに参加できていない状態になる。
--転職を積極的に使えば早々に「僧侶スタートでキリジュツ持ちのヴァルキリー」と言ったテンプレ強キャラを作ることも可能であるが、転職0回とか1回縛りでプレイする場合は直接攻撃をあてにしない運用に割り切りが必要である。

-休憩に時間がかかる
--呪文偏重かつ戦闘バランスがシビアな本作では、戦闘1回ごとのMP消費が激しいため連戦で無理はできず頻繁な休憩が必須である。
--にも係わらず、休憩でのHP/MP/スタミナ回復は一瞬ではなく、待ち時間に応じてリアルタイムで回復する形式となっている。また、1回の休憩には時間制限があり、全回復していなくとも自動で休憩が終了する他、スペースキーで任意に休憩を中断することができる。
--この回復ペースが悠長であり、MP総量が増えたからと言って単位時間当たりの回復量が増えないないため、MP総量が少ない序盤ならともかく使える呪文が増えてくる中盤以降は「1回のフルタイム休憩で回復するのがMP総量の1/4未満」と言う有様である。
--種族や職業によって領域ごとのMP回復速度に差があり、それによってキャラごとの特徴が出ているのだが、それにしても1回の戦闘にかかる時間よりも消費MPを回復する時間(プレイヤーは画面の前で待っているだけ)の方が長い、と言うのは、ユーザエクスペリエンスの面で優れているとは言いにくい。

-''進行不可能バグ''の存在
--レベルアップ時に獲得できるスキルポイントは、余らせることなく使い切らないとレベルアップを終えることができない。~
その職業で習得・習熟できる全てのスキルが育ち切っている状態でレベルアップしてしまうと、スキルポイントを振り切ることができなくなり、結果リセットしてレベルアップ前の状態に戻すしか打つ手が無くなる。
--転職して別のスキルを育てられるようにすれば一時しのぎにはなるが、もし全てのスキルを育て切ってしまった場合は、今後一切のレベルアップとそれに関わる戦闘ができなくなるも同義という、極めて厄介な不具合である。

**総評
発売当時、ウィザードリィのファンを賛否両論真っ二つに分けた作品。~
システムの刷新を行った結果、旧来のシステムに馴染んだファンにとっては期待を裏切る形となり不評を買ってしまってはいるが、実際にプレイしてみると、旧作Wizardryの良さを引き継ぎつつも強化された部分もしっかりあることがわかる。

**移植
家庭用ハードへの移植は、アスキー&ゲームスタジオが移植したスーパーファミコン版『ウィザードリィVI ~禁断の魔筆~』と、データイーストが移植したセガサターン版『ウィザードリィ VI&VIIコンプリート(シナリオ#6と7のカップリング移植)』の2種類が存在している。

-残念ながらSS版は数々のバグ・不具合があるため、「まともにプレイする事すら難しいクソゲー」と言わざるを得ない出来になってしまっている。以下、SS版に存在する不具合の一例。
--難易度設定が可能なのだが、「やさしい」だと戦闘で必ず味方先行、「ふつう」以上だと必ず敵先行になってしまう。
--スカウトのスキルや探索呪文を使っていなくても勝手に隠しスイッチに100%気付く。
--動きを遅くする呪文「スロー」がかかったキャラは、その戦闘中に一切動けなくなってしまう。
--発声術が必要ないはずの錬金術師呪文が、沈黙すると使用不可能になってしまう。
--入手したアイテムを床に置くと使用回数が255になってしまう。
--宝箱の中身を何回でも入手可能。

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*ウィザードリィVI ~禁断の魔筆~
【うぃざーどりぃしっくす きんだんのまひつ】
|ジャンル|RPG|&amazon(B000068I0C)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|24MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|アスキー|~|
|開発元|ゲームスタジオ|~|
|発売日|1995年9月29日|~|
|定価|12,800円(税抜)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|3個(バッテリーバックアップ)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|
|ポイント|日本人向けに良アレンジ&br()''再開不可能バグあり''|~|
|>|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズリンク>Wizardryシリーズ]]''|

**概要(SFC版)
シナリオ6のSFC移植作品。~
日本人向けに良アレンジを施した「わかっている」作品ではあるが、残念ながら続編の移植には至らず、引き継ぎは不可能である。~

**特徴・評価点(SFC版)
新規アイテム・モンスター・ダンジョンの追加などは行われてはいないが、「アスキー製ウィズに望んでいる変更」及び「オリジナルの時点で発覚していた不具合やバランス調整ミスの修正」が随所に見受けられる。~
ゆえに、SFC版における変更点がそのまま評価点へとつながっている。
-グラフィックがゲームスタジオ監修版ではおなじみの末弥純氏によりフルリライトされた。NPCやモンスターもカクカクではあるがアニメーションする。
--ニンジャやグレーターデーモンなど過去作から続投するモンスターに関しても、今回は新規イラストが書き下ろされた。
--PC版では「姿は全く同じだが、強さは天と地ほど違う」というモンスターがかなり多かったが、SFC版は描き分け・色分けなどで区別がつくようになった。その分、敵の正体を見極める「神話学」のスキルの価値が微妙になってしまってもいるが。
-BGMはこれまたゲームスタジオ監修版ではおなじみの羽田健太郎氏によって新たに作り直された。また、モンスターが鳴き声や叫び声を発するようになった。
-顔グラフィックのエディット機能が搭載された。顔グラのセーブ枠は6つあるので6人全員の顔を作成可能。また、顔グラはいつでも変更可能。
-リロードは現在の力・生命力から算出される形に変更となり、初期状態で低くてもレベルアップで上げられるようになった。
-オートマップ機能が搭載され、現在地の確認がしやすくなった。ON・OFF切り替えも可能なので、手動マッピング派の人は使わないことも可能。
-PC版ではNPCに伝えるキーワードが手入力方式だったが、SFC版では自動で会話する代わりに、キーワードを知らないと話が進展しないようになっている。
-アイテム図鑑の追加。一度手に入れたことのあるアイテムは、簡単なデータを確認できるようになった。
--入手した段階では白文字で、分析すると緑文字、鑑定呪文をかけると黄文字になる。全てのアイテムを黄色にするといったやりこみも可能。ただし、二者択一のアイテムなどもあるため、ひとつのセーブデータにおいてのコンプリートはできない。
-不要になったイベントアイテムの一部をNPCが引き取ってくれるようになった。しかしそのNPCが行方不明になると当然引き取ってもらえなくなる。
--使用することで情報を得られるだけのアイテムは、使用後に消えるようになりアイテム欄に残り続けることがなくなった。消えてしまっても、情報はアイテム図鑑でいつでも再確認可能。
-PC版で存在した「スキルポイント割り振り時にポイントを余らせてしまうと進行不可能になる」不具合の解消。全スキルをカンストさせても問題が無くなり、気のすむまでキャラを育成・強化できるようになった。
-二刀流に比べて攻撃回数が少ないためイマイチ使いづらかった両手武器の攻撃回数が2倍になり、二刀流との格差が是正された。
-パワーレベルに応じて攻撃対象が増えるタイプの呪文を二人以上で重ねて唱えた場合、ターゲットの再指定がされるようになった((PC版では再指定されなかったので、1ターンで攻撃できる敵の数に限界があった。))。

**問題点(SFC版)
-''「最悪の場合、ゲームをプレイすること自体が不可能になる」''という、致命的な不具合が存在する。
--開始時のメニューに「ぼうけんをやりなおす」というコマンドがあるが、それを実行したデータで既存のキャラを二人以上消し、新規キャラを作ってアイテム欄を開くとバグる。その後はこのバグが発生したセーブデータにカーソルをあわせただけでフリーズするようになってしまう。
--そしてこのバグを1番目のスロットのデータで実行してしまうと、「ゲームの開始、セーブデータからの再開、セーブデータの消去」全てが実行不可能になり、起動してもオープニングデモを眺めることしかできなくなってしまう。
--この状態を解除するには、バックアップ用の電池を外してバックアップクリアをするしかない。当然ながら知識と特別な工具が必要になるので、素人は生兵法で手を出さず電池交換サービス(とセットでセーブデータの消去)を依頼した方が無難。
-屋外マップには壁のない通路が多く、通路部分と踏み込めないマスでマップの大部分が構成されているのだが、オートマッピングでは踏み込めない部分と通路の間の見えない壁が描画されない。
--そのため、屋外の分岐路はオートマッピングが頼りにならず、未踏破の場所は自分で記憶しておく必要がある。目的地にたどり着けば良いだけならまだいいが、マップ埋めにこだわるプレイヤーは非常にもやもやを感じる部分である。((そして、Wizプレイヤーには性癖がマップ埋めと言うマッパーが非常に多い。))
-PC版は戦士系職業の攻撃回数が最終的に4回になるが、SFC版は3回まで((あるアイテムのSPを使うと4回になるが、レベルアップするとまた3回に戻ってしまう。))。ただでさえ物理不遇のバランスなのに、さらに不遇になった。
-特定の武器攻撃しか通じないイベントボスに対して、普通の武器でも攻撃が通じるようになってしまった。捨てる事ができないゴミ武器を拾わなくてすむのは改良点と言えるかもしれないが…。

**総評(SFC版)
%%SS版がダメすぎることと%%オリジナルからの改良点が多いことから、シナリオ6をこれからプレイする、というのであれば一番おすすめできる作品ではある。前述の不具合は起きてしまうと致命傷だが、知っていれば回避はできるので行わないようにしよう。

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