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DOOM - (2020/06/30 (火) 00:45:42) のソース

//良作専用意見箱の意見を踏まえ、批評点を始めとした記事内容を大きく変更しました。
*DOOM
【どぅーむ】
|ジャンル|FPS(ファーストパーソン・シューティング)|CENTER:&amazon(B00006LJTX)|
|対応機種|MS-DOS|~|
|発売・開発元|id Software|~|
|発売日|1993年12月10日|~|
|プレイ人数|1~4人|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|''FPSを爆発的に普及させた立役者''&br; SFとダークファンタジーを融合させた独特な世界観&br;大量の敵を撃ちまくる爽快感&br;クオリティの高い疑似3D&br;話題作故に社会問題にも|~|
|>|>|CENTER:''[[DOOM シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
id Softwareの代表作であるFPS『DOOM』シリーズの第1作。&br()本作の1年前に発売された『[[Wolfenstein 3D]]』のエッセンスを引き継ぎつつ、SFとダークファンタジーが融合した独特な世界観や疑似3Dのマップなど多数の新要素を取り入れている。

当初はMS-DOS用シェアウェアとして公開され、後にフロッピーディスク4枚組のパッケージ版が販売された。&br()1995年には、新エピソードを追加した完全版''『The Ultimate Doom』''が販売された。後発の移植版はこちらがベースとなっている。&br()無印を持っている場合、無料のパッチでUltimate版へのアップデートが可能。

日本での知名度はやや低いものの、&bold(){「FPS」(ファースト・パーソン・シューティング)というゲームジャンルを完全に確立した一作}として、世界的に認知度の高い作品である。~

**ストーリー
>火星に基地を構える軍事企業「Union Aerospace Corporation」は、火星の衛星フォボスとダイモス間で秘密裏にテレポーテーションの実験を行っていた。&br()ある日、テレポーテーションのゲートが地獄と繋がってしまい、ゲートから大量の悪魔が侵入。基地の人間は大半が殺されるか、あるいはゾンビと化した。
>
>主人公の海兵隊員はフォボス基地の唯一の生き残りとして、地獄と化した基地からの脱出を目指す。

***ゲームシステム
-ストーリーはフォボスから始まるエピソード1「Knee-Deep in the Dead」、ダイモスに移動したエピソード2「Shores of Hell」、地獄で悪魔が待ち構えるエピソード3「Inferno」の3種類であり、最初から自由に選択可能。Ultimate版ではエピソード4「Thy Flesh Consumed」が追加されている。
--各ストーリーは8+1(隠しステージ)のステージで構成されている。ストーリー開始時に武器やステータスはリセットされ、別のストーリーから引き継ぐことはできない。
//エピソードの舞台は1がフォボス、2がダイモス、3が地獄です。エピソード1にフォボス、2にダイモスの名を冠したマップがあることから明らかです。また、エピソード2のクリアメッセージに「ダイモスが地獄の空に浮かんでいる」「君は地獄に降り立った」という文章からエピソード3の舞台が地獄であることがわかります。

-プレイヤーは道中の敵を武器で倒しつつ、ゴールを目指す。
--扉には色のついたものがあり、扉の色に対応した鍵が必要。色は赤、青、黄色の3種類で、ステージによりカードタイプとドクロの形をしたタイプに分かれる。色の無い扉は普通に開けられる。
-敵は他の敵の攻撃が当たると時折怒り出し、攻撃を当ててきた相手に攻撃のターゲットを移す「同士討ち」を起こすことがある。&br()敵の数が多く弾薬が不足しがちな高難易度では、あえて敵を倒さず同士討ちを誘うことで戦闘の負担を減らすことができる。&br()同士討ちには法則があり、基本的に同種による攻撃では怒らない。ただし、ゾンビ兵士など一部の敵は同種の攻撃でも同士討ちを起こす。
-視点の上下変更やジャンプはできず、敵が違う高さの場所にいる場合は自動で照準が定まり弾が飛んでいく(いわゆるオートエイム)。
-残機の概念は存在せず、死亡するとステージの最初からやり直しとなる。その際武器やステータスは引き継がれず、初期状態に戻る。
-メニューから任意のタイミングでセーブおよびロードが可能。ただしどのような状況でもセーブが行えるため、残り体力や状況によっては詰む危険もある。

***武器
-武器は8種類。ピストルと素手は最初から所持しており、それ以外は道中落ちている武器を拾う必要がある。&br()素手とチェーンソー以外は弾薬を必要とする。近年のFPSと異なりリロードの動作が存在せず、弾切れまで撃ち続けられる。

#region(武器一覧)
&bold(){素手}&br()ナックルダスターを装備した素手でパンチを繰り出す。近接攻撃でリーチは短く、威力も低い。&br()ただし「バーサクパック」を取得すると威力が急上昇し、最大でロケットランチャー一発分に相当するダメージを叩き出す。

&bold(){チェーンソー}&br()素手と同じく近接攻撃。攻撃ボタンを押している間、素手と同じ威力の攻撃を高速で繰り出しており、怯みやすい敵を倒すのに適している。&br()特に遠距離攻撃を持たず怯みやすい「デーモン」や「スペクター」に有効。

&bold(){ピストル}&br()使用弾薬はbullet。初期装備の一つで、威力は低い。ボタンを押しっぱなしで連射もできるが攻撃間隔は長い。&br()上位武器が手に入ると出番がなくなるが、狙いがブレにくいという利点もある。

&bold(){ショットガン}&br()使用弾薬はshell。ポンプアクションのショットガン。1回の発射で拡散する弾を7発発射する。&br()相手との距離が近いほど大ダメージを与えられる。発射後はポンプアクションによる長い硬直時間が発生する。&br()弾が水平に拡散するため、威力は落ちるが中距離で複数の敵を巻き込む、遠距離の敵を狙撃するといった使い方も可能。&br()序盤はメイン武器として活用できるが、後半になると複数の敵には隙の多さが、体力が多い敵には火力不足が目立つ。

&bold(){チェーンガン}&br()使用弾薬はピストルと同じbullet。ピストルよりも早い連射速度で弾を発射する武器。&br()1発1発の威力はピストルと同じだが、連射速度が速く射撃後の硬直時間がないため、敵の掃討や狭い道での一騎打ちに最適な武器。長時間撃ち続けると狙いがブレやすい。

&bold(){ロケットランチャー}&br()使用弾薬はrocket。敵や地形に当たると爆発する強力なロケット弾を発射する武器。&br()着弾まで時間がかかるため目標が動いたら外れる可能性もあるが、1発当たりのダメージは直撃だけでもショットガンを超えるほど威力は高い。&br()さらに爆風は周囲の敵にも大きなダメージを与えるため、雑魚敵の集団にも有効。爆風はプレイヤーも巻き込むため、離れて撃たないとプレイヤーにも被害が及ぶ。至近距離で爆風に巻き込まれた場合、アーマーの値にもよるが体力の8~9割が簡単に消し飛んでしまう。

&bold(){プラズマライフル}&br()使用弾薬はcell。青いプラズマ弾を連射する武器。同じ連射武器のチェーンガンよりも高威力で連射速度も早く、弾道が全くぶれない。&br()cellの量に余裕があるならメイン武器に据えても十分な性能。&br()ただし、ロケットランチャーと同じく着弾まで時間がかかる、撃ち終わった後に長い硬直時間が発生するといった欠点もある。

&bold(){BFG9000}&br()使用弾薬はcell。緑色の巨大なプラズマ弾を発射する、DOOMで一番威力の高い武器。&br()プラズマ弾自体がロケットランチャーの数倍の威力を持ち、着弾後に特殊な爆発によるダメージが発生する。&br()視界内の敵全体に大ダメージを与えられる他、密着して放つとボス敵ですら1~2発で倒す絶大な威力を誇る。&br()ただし、弾速が遅いうえ1回の発射でcellを40も消費するのが難点。&br()その強力さゆえ隠し武器となっており、エピソード3のシークレットエリアでようやく手に入る。&br()ちなみにBFGとは"Big Fucking Gun"、つまり“''クソデカい銃''”の略。
#endregion

***アイテム
-道中には武器以外にも多数のアイテムが落ちており、プレイヤーの助けとなる。&br()一部を除き、ステージクリア時に表示されるアイテム取得率に影響する。

#region(アイテム一覧)
&bold(){スティムパック/メディキット}&br()赤い十字架が描かれた救急箱。前者はライフを10%、後者は25%回復する。回復できる上限は100%までで、それ以上のライフだと拾うことはできない。&br()共にアイテム取得率には影響しない。

&bold(){ヘルスポーション}&br()ライフを1%増やす瓶。ライフが100%以上でも拾うことができ、最大200%まで増加する。

&bold(){アーマーボーナス}&br()アーマーを1%増やす兜。アーマーはダメージを軽減するが、ダメージ量に比例して減少する。アーマーが100%以上でも拾うことができ、最大200%まで増加する。

&bold(){セキュリティアーマー/コンバットアーマー}&br()アーマーを増やし、アーマーが0%になるまでさらにダメージを軽減する。緑のセキュリティアーマーは100%まで増加しダメージを3分の1軽減、青のコンバットアーマーは200%まで増加しダメージを2分の1軽減。&br()共にアイテム取得率には影響しない。

&bold(){バーサクパック}&br()黒い救急箱。取るとしばらくの間画面が赤くなるが、取ったステージでのみ素手の威力が急上昇する。さらにライフも100%まで回復する。

&bold(){バックパック}&br()全ての弾薬の保有数を2倍に増加させるリュック。弾薬も少し入っている。

&bold(){コンピューターマップ}&br()ミニマップの全域が表示される。取得したステージでのみ有効。

&bold(){対放射能スーツ}&br()60秒の間画面が緑色になり、歩くとダメージを受ける床に入ってもダメージを受けない。

&bold(){暗視ゴーグル}&br()120秒の間画面が明るくなり、暗所でも視界が明瞭になる。

&bold(){ソウルスフィア}&br()不気味な顔が描かれた青色の球。ライフを100%増やす。ライフが100%以上でも拾うことができ、最大200%まで増加する。

&bold(){Blur Artifact(透明の球)}&br()赤と青をした球。60秒の間透明になり、敵の攻撃の狙いがズレやすくなる。

&bold(){Invulnerability(不死身の球)}&br()不気味な顔が描かれた緑色の球。30秒の間画面がネガのようになり、無敵となる。

&bold(){弾薬}&br()bullet、shell、rocket、cellの4種類。取得量の多いものと少ないものがある。
//ライフとアーマーが200%になる玉(MegaSphere)は続編の2にのみ登場します。
#endregion

***マルチプレイ
-ネット通信によるマルチプレイに対応しており、協力プレイやプレイヤー同士の対戦が楽しめる。&br()ただし、通信コードがIPX/SPXというイントラネット向けのコードのため、現在は利用不可。
--ネットコード周りを調整するMODや、「Zdaemon」「Zandronum」などの有志による改造エンジンを使えばインターネットによるオンラインマルチプレイが可能。

**評価点 
-''よく練られたステージ構成とシステム''
--システム自体は非常にシンプルだが、各ステージの敵配置や仕掛けが凝っており、飽きることなく楽しめる。&br()戦闘も単に撃って避けるだけに留まらず、敵に見合った武器を使用する、同士討ちを誘うなど状況に応じて戦術を考える楽しさがある。

-''大量の敵をなぎ倒す爽快感''
--操作性は非常に軽快で、動作や武器の切り替えもスムーズに行える。
--ステージ内の敵が多く、難易度によっては一つの場所に10体以上の敵が群れていることも多い。それでも操作に影響が出ることは稀で、武器の強さも相まって敵を倒す爽快感が味わえる。
--本作の軽快な操作感が、ステージ内を激しく動き回るタイプのFPS、いわゆる「スポーツ系FPS」の基礎になったと言っても過言ではない。

-''クオリティの高い疑似3D''
--本作のマップはいわゆる疑似3Dで構成されており、プログラムで高さの概念があるように見せかけているだけである。それでも違和感は少なく、全てのステージが平面的であった『Wolfenstein 3D』と比べると技術の進歩が伺える。
--前述したオートエイムの仕様も、近年のFPSに慣れていると違和感を感じるかもしれないが、裏を返せば細かい狙いを必要とせず他の動作に集中できる利点がある。

-''初心者から上級者まで幅広く楽しめる難易度調整''
--本作は難易度を5段階から選択可能で、初心者から上級者まで幅広く楽しめる。
---最低難易度の「I'm too young to die」は敵の数が少なく、さらに被ダメージ半分かつ弾薬アイテムの回復量が2倍となるため、初心者でも余裕を持ってプレイできる。
---一方、最高難易度の「Nightmare!」は敵の数が多い事に加え、敵の速度が上がり倒した敵が一定時間後に復活するため、敵配置やステージ構成を熟知していないとクリアすらままならない別次元の難易度となる。&br()マルチプレイを前提とした難易度ではあるが、一人プレイでのクリアも十分可能。
---一つ下の「Ultra Violence」は、敵の数こそ多いものの敵の速度アップや敵の復活はないため、慎重なプレイを心がければクリアは難しくない。&br()実際、本作の各ステージはこの難易度で初期状態から始めてクリアできるように調整されている。

-''豊富な隠し要素''
--各ステージには「シークレット」と呼ばれる隠し通路や隠し部屋が用意されており、シークレットを探しながらマップを探索するのも醍醐味の一つである。&br()シークレット内には強力なアイテムが隠されていることが多く、見つければクリアが楽になる。
--シークレット探しの難易度はまちまちで、マップの形状から位置を調べられるものも多いが、場所は分かっていても入り方が分からない、場所がマップからでは分からない場合も多く、中には攻略上必要のないテクニックを使わないとたどり着けないものも存在する。
--シークレットの数はマップから確認可能であり、ステージクリア時にはシークレットの発見率が表示されるため、どれだけ見つけたか実感しやすい。

-''SFとダークファンタジーを見事にマッチさせた世界観''
--当時としては他に例がない、近未来SFとダークファンタジーを融合させた独特な世界観が特徴であり、ゲームシステムと合わせて強烈な個性を放っている。
--世界観を分かりやすく表しているのがステージデザイン。フォボスの軍事基地を舞台としたエピソード1は大半が人工物で構成されているが、地獄に近づいたエピソード2ではゴシック調のデザインが混ざっていき、地獄そのものが舞台のエピソード3ではマグマや肉の壁などいかにも地獄らしい風景となる。
--敵のデザインも個性的で印象に残りやすい。
---特に悪魔ながら愛嬌のある顔をした「カコデーモン」や、体の一部が機械となった''サイボーグの悪魔''であるボスキャラ「サイバーデーモン」「スパイダー・マスターマインド」は有名。

-''メタルとホラーの個性が入り混じったBGMと不気味感ありのSE''
--ロバート・プリンス氏が手掛けたBGMは、メタルとホラーが絶妙なバランスで融合されており評価が高い。
---メインテーマの「At Doom's Gate」を初め、「Kitchen Ace (And Taking Names)」、「On The Hunt」、「I Sawed The Demons」などテンポの速い曲もあれば、「The Imp's Song」や「Dark Halls」といった不気味さを全面に押し出した曲もある。
--SEも銃火器関連やモンスターの鳴き声がリアルで、臨場感を出している。

-''オリジナルのDOOMを作れる''
--DOOMが今もなお衰えぬ人気を持つ最たる要因。専用のビルダーソフトを始め様々なツールを用いる事で、続編のDOOM II共々自分だけのオリジナルのDOOMが制作できる。&br()単純にマップの構造のみならず、武器やアイテム、モンスターのグラフィック・挙動、BGM等々最低限のDOOMの下地以外のほぼ全てを改造する事ができ、中には凄まじいゴア表現を実現したものやぶっ飛んだ威力の兵器を大量投入したものまである。
---その数たるや到底数えきれない程存在する。当然玉石混交だが、数あるWAD((DOOMのデータが一括で入っているファイルの事で、“Where's All the Data?”の略))の中から秀逸なものをピックアップする企画が2004年から有志の手で開催されている。

**賛否両論点 
-''きつめのゴア表現''
--当時のゲームとしてはゴア要素を前面に押し出しており、銃火器やチェーンソーなどのリアルな描写もあって暴力的な印象が強い。
---顕著なのが敵の死亡時。出血が当たり前のようにあり、攻撃や敵の種類によっては全身がバラバラになる、内臓を垂れ流して死ぬなどかなり生々しい死に方をするものもいる。良くも悪くもインパクトが強く好みが分かれるところ。
---マルチプレイぐらいでしか見る機会はないが、主人公の死亡シーンも「首を押さえて倒れ込んだ後、ヘルメットから血が流れ出す」という中々エグいもの。ちなみに、主人公も攻撃の種類によってはバラバラの肉塊と化す。

**問題点
-''環境によっては視認性が悪い''
--当時のDOSの解像度は320x200であるが、この解像度では至近距離や遠方のグラフィックが荒くなり、状況が把握しづらい。動作を軽くするなどの目的で画面サイズを縮小させた場合はさらに顕著となる。&br()後発の移植やGZDoom、Zandronum等の最新のソースポートではこれよりも高い解像度を選択可能で、一部の移植版はフルHD(1920×1080)に、GZDoomでは4K画質(4096×2160)に対応している。

**総評 
シンプルながら奥深いゲームシステム、独特なデザイン、雰囲気にマッチしたBGMとあらゆる面で完成度が高く、シリーズの原点にしてFPSというジャンルそのものの基礎を創り上げた名作。
その過激さゆえ社会的な議論も引き起こしているが、それもまた本作の人気による影響の裏返しである。

日本では当時一部の層にしか受けなかったものの、世界的な影響力の大きさとしてはゲーム史を語る上で欠かせない作品の一つと言える。

**移植
人気の高さから『DOOM』が移植されないハードはないと言われる程公式・非公式問わず無数の移植作が存在する。&br()主なメーカー公認の移植作については以下の通り。

特に記載がない場合、括弧内は日本における発売日と販売会社を示す。

-''DOS/V版(1994年2月1日、イマジニア)''
-''PC-98版(1994年12月1日、イマジニア)''
--いずれもMS-DOS版に忠実な移植。無印の移植であり、ファイル形式の違いからUltimate版へのアップデートは不可。
--日本向け移植としては珍しく日本語ローカライズが行われており、アイテム取得時のメッセージとエピソードクリア時のデモが日本語に訳されている。

-''スーパー32X版(1994年12月3日、セガ)''
--家庭用ゲーム機初の移植であり、スーパー32Xのローンチタイトルの一つ。&br()「1994年最大の問題作 君はこの恐怖に耐えられるか?」という挑戦的なキャッチコピーが特徴。
--エピソード1と2の17ステージで構成され(エピソード2のステージ8のみカット)、エピソード制ではなく全ステージを通しでプレイする形となっている。隠しステージ2つを除く全ステージの中から好きなステージを選んでプレイ可能。
--操作性に関してはMS-DOS版並に快適だが、BGMの迫力が薄い、解像度が低く遠方が見えづらい、エピソード2のボス及びマップの廃止、エピソード3が丸々消滅、同士討ちがないなど物足りない点も多い。

-''Atari Jaguar版(1995年2月17日、ムーミン/アタリ)''
--ステージ数は24ステージで、一部オリジナルのステージが含まれている。スーパー32X版同様、全ステージを通しでプレイする形である。
--動作自体はスーパー32X版より滑らかなのだが、Jaguarのコントローラー自体が操作しにくい形状なので、操作性があちらより優れているとは言い切れない。
--ゲーム機本体の処理の都合上((地形の当たり判定と音楽の再生が同じプロセッサーで処理されており、両立が不可能なため。))、全てのBGMが削除されている。

-''スーパーファミコン版(1996年3月1日、イマジニア)''
--MS-DOS版と同様にエピソード制を採用しており、カットされたステージはあるが全3エピソードを収録。スーパー32X版やジャガー版ではカットされたボスモンスター2種も登場。
--[[スターフォックス]]や[[スーパーマリオ ヨッシーアイランド]]などにも使用されているスーパーFXチップを搭載、疑似3Dを再現している。&br()しかし、グラフィックが荒く遠方がかなり見づらい、FPSが低く動きがもっさりとしている、ボタン入力に遅延が起きるなど、視認性と操作性に難がある。
--BGMはSFCの音源に合わせたアレンジがなされており、原曲の激しさが再現されているとして好評。

-''プレイステーション版(1996年4月19日、ソフトバンク)''
-''セガサターン版(1997年7月11日、ソフトバンク)''
--Ultimate版と『DOOM2』の同時収録。Ultimate版は全33ステージ(内隠しステージが3つ)で、一部ステージのカットや変更、オリジナルステージの追加が行われている。スーパー32X版やJaguar版同様、全ステージを通しでプレイする形である。
--Jaguar版がベースではあるが、視認性や操作感が更に快適となり、MS-DOS版とほぼ変わりないレベルに。
--最大の特徴として、BGMがダークアンビエント調のものに一新され、同様に一新された重苦しいSEと共にホラー要素が強くなっている。&br()BGMはオリジナルのロバート・プリンス氏ではなくオーブリー・ホッジズ氏が担当。
--セガサターン版はプレイステーション版と同内容だが、動作のもっさり感が目立つ。

-''3DO版(1996年4月26日、バショウハウス)''
--Jaguar版をベースにした移植作。BGMとしてオリジナルの曲をヘビーメタル調にアレンジしたものが使用されており、中々格好いい。
--しかしその代償としてかはフレームレートが物凄く低い。どうやら開発期間の短さによるものだった。
--国内では海外版に日本語マニュアルを付けたものが通販限定で販売された。発売時期が3DO末期であり、流通量が少なく非常に希少なソフトとなっている。

-''ゲームボーイアドバンス版(2001年10月26日、アクティビジョン)''
--日本未発売。初の携帯機向け移植版。
--ステージ構成はJaguar版と同じ24ステージ。
--解像度がSFC並に低いが操作性は快適で、ゲーム機のスペックを考慮すると良移植と言える。

-''Xbox版(2005年、アクティビジョン)''
--『Doom 3 Limited Collector's Edition』(日本未発売)に収録。&br()Ultimate版の移植だが、解像度や音質が悪くバグが存在するなど移植度は低い。

-''Xbox360(Xbox LIVE ARCADE)版(2006年9月27日、アクティビジョン→ベセスダ・ソフトワークス)'' 
--Ultimate版の移植だが、フルHDおよび5.1chサラウンドに対応。
--『DOOM3 BFG Edition』にも収録されている。
--Xbox One版の配信に伴い、2019年7月に配信が終了した。360版を購入している場合、Xbox Oneに無料でインストール可能。

-''Windows(Steam)版(2007年8月4日)''
--Ultimate版の忠実移植。MS-DOS版をエミュレーターで動作させている。
--続編である『DOOM2』、『Master Levels for Doom II』『Final DOOM』が同時収録された『DOOM CLASSIC COMPLETE』も販売されている。

-''プレイステーション4/Nintendo Switch/Xbox One版(2019年7月27日、ベセスダ・ソフトワークス)''
--『DOOM』名義だが、内容はUltimate版と同一。Xbox360版同様、フルHDおよび5.1chサラウンドに対応。&br()さらに人数分のコントローラーがあればオフラインでマルチプレイが可能。
--CERO:C (15歳以上対象)。本編のグロさからするとこの判定で済んだのは奇跡というべきか……。
---ちなみに『DOOM2』はCERO:D (17歳以上対象)。
--配信当初はベゼスダのアカウントに登録しないと遊べない仕様に加え、BGMの再現度の低さによりユーザーから大きな反発を受けた。後日のアップデートでアカウントの登録が不要となり、BGMも改善された。

-この他、個人レベルの非公式な移植では''デジカメ、iPod、プリンター、関数電卓、カーナビ、ATM、オシロスコープ''などありとあらゆる機器に移植されており、モニターさえあれば何にでも移植されると海外ではネタにされる。
--中には&bold(){ピアノで操作できるようにしたもの}や、&bold(){実際に走らせると車の運転とゲーム内の操作が連動するポルシェ}といった珍品まで制作されている。
&br()&bold(){地球上に存在する全ての工業製品は『DOOM』が移植される余地がある}と言っても過言ではない。

**続編
//記事未作成のゲームにリンクを張らないでください
-''[[DOOM II: Hell on Earth]]''
--前作からわずか1年後にリリースされた続編。前作と異なり最初からパッケージ形式で販売された。
--基本システムは前作と変わりないが、武器やモンスターが新しく追加され、ゲーム性がより洗練されている。&br()エピソード制が廃止され、全32ステージ(内隠しステージが2つ)で構成されている。
--BFG Editionに収録されているDoom2はGZDoom等の改造エンジンで同じく動作するものの、一部モンスター、一部テクスチャ、マップ等が規制されており一部のWadおよびModが読み込めないことがある。

-'' Master Levels for Doom II ''
--『DOOM2』の追加ステージ集。id Softwareが作成した個性的な21ステージが収録されており、タイトル通り難易度は高め。

-''Final Doom''
--1996年にリリースされた、『DOOM2』の続編。謎解きを重視した『TNT:Evilution』と、戦闘を重視した『The Plutonia Experiment』の2シナリオを収録。いずれも30ステージ+隠しステージ2つの構成。&br()基本システムはそのままだが、難易度は共に高くやり応えがある。
--日本ではプレイステーション版がソフトバンクから販売された。ステージ構成がPC版から変更されており、中には『Master Levels for Doom II』のステージも含まれている。

-''DOOM 64''
--1997年にリリースされた、Nintendo 64オリジナルの作品。MIDWAY GAMESが開発及びパブリッシャーを担当している。&br()システムは『DOOM2』を元にしているが、グラフィックが新規のものとなり、ダークな雰囲気が強くなった。&br()BGMはプレイステーション版DOOMと同じくオーブリー・ホッジズ氏が担当。
--日本では同年にゲームバンクから販売された。&br()日本向け移植としては珍しく日本語ローカライズが行われているが、翻訳されているのはアイテム取得時のメッセージのみで、なぜか「○○ニュウシュ」とカタカナ表記である。
---移植ではなく続編として位置づけられており、ストーリーも『DOOM2』から続く内容となっている(主人公も同一人物)。
--長らく非公式再現MODを除くと他機種への移植がされていなかったが、Nintendo Switch/PS4/Xbox One/PCへの移植版が2020年3月20日に発売された。移植をクラシックPCゲームの復刻やリマスターを手掛けているNightdive Studiosが担当している。同日発売の『DOOM ETERNAL』を予約購入したユーザーには特典として無償配布された。
---なお、移植の際には新たなエピソードも追加され、旧作と比べてボリュームも増している。
-''DOOM3''
--2004年にリリースされた、完全に3DのFPSとして製作されたリブート作品。
--システムが一新され、暗い通路に出現する少数の敵を倒していく、『F.E.A.R.』などに代表される「ホラーFPS」として生まれ変わった。従来の作品に比べ、ストーリー性が強化されているのも特徴。&br()この変更に関して、初代のフォロワー作品である『[[Serious Sam]]』の影響があった事をスタッフは述べている。
---日本では日本語マニュアル付きの海外版が輸入販売されている。当然ながらゲーム自体はローカライズされておらず、公式による日本語ローカライズは下記の『BFG Edition』を待つことになる。現在はSteamでも購入可能だが、BFGの字幕がレトロフィットされている訳ではないので、基本的にはBFGの購入が推奨される。一応マルチプレイが可能だが、COOPは出来ず、専用のマップで殺し合うアリーナFPSモードのみである。発売から時間が経ちすぎているというのもあり、基本的に人は居ないので考慮する必要はほぼない。

--2012年には拡張パック「Resurrection of Evil」と追加ストーリー「Lost Mission」を収録、システムにも変更が入った完全版『DOOM3 BFG Edition』がリリースされた。
---日本ではPS3版とXBOX360版がベセスダ・ソフトワークスから販売されたほか、Windows版もSteamでDL配信された。&br()一部のゴア描写が削られている、(おまけ程度だった)マルチプレイができないなどの不満点はあるが、日本人ファン待望の日本語ローカライズおよび日本語音声収録が実現、Steam版もCS版準拠のローカライズ版となっている。ボーナス扱いでローカライズはされていないがDOOMとDOOMIIも収録されており、この1本でDOOMの歴史を体験可能。

-''DOOM(2016)''
--2016年にリリースされた、二度目となるリブート作品。ベセスダ・ソフトワークスからの販売。
--主人公はこれまで一貫して海兵隊員だったが、この作品ではパワードスーツを纏った寡黙で超強い謎の男''ドゥームスレイヤー''となっている。
---システムは初代のようなスポーツ系FPSに回帰し、多数の敵を強力な武器と卓越した運動能力でなぎ倒すスタイルが復活した。その一方で、弱った敵に残虐なとどめを刺す「グローリーキル」や、スーツ・武器アップデートなどの新要素も取り入れられている。
--Nintendo Switch/PS4/Xbox One/PC のマルチプラットフォームで展開され、日本語ローカライズもしっかりと行われている。
--2020年3月20日には続編である『DOOM ETERNAL』が発売された。

-''DOOM Eternal''
--2020年3月20日には発売された『DOOM(2016)』の続編。プラットフォームはPS4/XboxOne/PC(Steam)/Switchと海外のみだがGoogleの登録型クラウドゲームサービスであるStadia版がある。
---スポーツ系FPSへの回帰路線はそのまま、新要素や新勢力、前作の登場人物も多く登場しよりド派手なFPSとしてパワーアップ。
--発売と同時にDOOM 64の移植版の配信も開始され、『DOOM Eternal』の予約購入者には無料配布もされたのだが、なんと本編中にそのDOOM 64での話が密接に関わってくる。前作では多くの謎が明かされなかった謎の男『スレイヤー』の真実が徐々に明かされる、リブート版の集大成とも言えるストーリーは必見。
---過去作へのオマージュもボスから小物までそこかしこに仕込まれており、特にDOOM(1993)のエンディングで登場したDOOMGUYのペット『Daisy』に関連するネタはやたら多い。これらの要素はファンにもネタにされ、「うさぎを愛でるドゥームスレイヤー」のファンアートが多く描かれることに。
//『DOOM Eternal×あつまれ どうぶつの森』絡みのネットミーム話はここでは書かんほうがいいな(当該記事が出来たらということで)。逆に『あつまれ どうぶつの森』の記事にもこの話は書かんほうがいいな。海外の話題だからってのもあるけど日本のファン層から不快感示されるのが関の山だろうし。。

**余談
-敵キャラクターやその死体、アイテムの画像はビルボード方式で描写されており、基本的にプレイヤーの位置に関わらず常に正面の画像が表示される。
--ただし、こちらに気づいていない敵キャラクターや同士討ち中の敵キャラクターは他の方向を向くこともあり画像も用意されているため、違和感が少なくなる工夫がされている。

-ゲーム画面の下には主人公の顔が常に表示されており、武器アイテムを取るとニヤつき、体力が減ると傷まみれになるなど表情豊か。回復アイテムを拾えばケロッと元通りになるのもまたシュール。
--この演出、前作の『Wolfenstein 3D』、遡るとさらなる原型となる『Catacomb 3D』から引き継がれた要素でもある。
--プレイヤーの体力の状態を簡易的に表したステータスであるが、DOOMでは攻撃された方向を向いてくれるため、おおよその敵の位置を探るのにも役に立つ。

-エピソード1及び2の舞台である衛星フォボスとダイモスは、実在する火星の衛星である。
--直径はフォボスが約22km、ダイモスが約12kmと小さく、重力も地球と比べ物にならないほど低いため、作中のような基地の建設は不可能に近い。
---これを踏まえたのか『DOOM3』では火星そのものが舞台となった。
---が、『DOOM ETERNAL』ではフォボスが舞台の一つとして返り咲いた。

-90年代後半にソースコードがGNU General Public Licenseに公開され、ファンの手でゲームエンジンの改造が盛んに行われた。
--インターネットの普及による配布のしやすさも相まって人気は爆発的に高まり、21世紀に入ってなお衰えることなく活動が続けられている。
---現在では、GZDoomやZandronum向けにmodなどを作ることが多く、Brutal Doomといった大規模Modは主にそれで動作する。
---またこれによりDoomの著作権に触れるところを作り直したフリー版である[[Freedoom>https://freedoom.github.io/]]がある。一部のDoom(GZDoom)エンジンで動作するゲーム(例:Hedon)はこれをベースにしている。マップの出来やテクスチャの出来、キャラクターデザインは本家よりは劣るが、試しにDoomをやってみたい方が遊んでみてはいかがだろうか。

-2005年に『DOOM3』を原案とした映画『DOOM』が公開された。主演はかのロック様ことドウェイン・ジョンソン氏。
--但し''敵は地獄の悪魔ではなく“人間の実験によって生まれたクリーチャー”''となっている。
---アメリカでは週末興行成績で初登場1位を獲得。翌年に日本でも公開されたが知名度の低さからか不振に終わった。

-ストロング国立演劇博物館が毎年選定する「ビデオゲームの殿堂(World Video Game Hall of Fame)」にて記念すべき第1回目の2015年の6つの候補から本作が選ばれた。
--選定の理由には「PC-DOS用のシェアウェアで公開された後にゲーマーの間で大流行し、FPSというジャンルのゲームをメジャージャンルに押し上げた作品」、「暴力的な描写が含まれているため、当時の批評家や政治家の中にはゲームの内容を批判する人もいました。いわゆる、ゲーム内の暴力的描写がプレイヤーに影響を与えるのではないか、と批判された最初のゲームであり、社会に与えた影響も大きかったとのこと」、「ゲームシステムが多くのゲームで採用され、FPSのスタンダードになったと言っても過言ではない」とある。

-総括にもあるように本作のゴア描写は社会的に問題視され、何かとマスメディアに取り上げられていた。
--『[[Mortal Kombat]]』と共に北米のレーティング機関であるESRBの設立に影響を与えたとよく言われているが、これは誤りで、実際は「Mortal Kombat」と同時に米国上院議会で槍玉に挙げられたのはセガCD版の『ナイトトラップ』である。((ゲーム中のシーンに「婦女暴行を想起させる部分が多く見られる」という指摘によるもの。))((ESRBが設立されたのは本作発売の翌年である))。
--また、1999年に起きたコロンバイン高校銃乱射事件では、主犯の生徒二人が本作のファンだったことから証拠品として挙げられ、ゲームの暴力表現に関する議論や販売規制が行われるようになり、現在に至るまで続いていくこととなる。((他にも『Quake』、『DukeNukem 3D』、『Postal』のファンであることを公言しており、この事件以降『Postal』が全米で発売禁止になった。))
--言うまでもないが、''本作に罪は無い''。

-本作のゲームエンジンを使用したFPS作品で有名なものにジョン・ロメロがプロデューサーとして参加した、Raven Software開発による『Heretic』と『Hexen』がある。こちらはid Softwareがパブリッシャーとして販売したことや、根幹部分はDOOMを踏襲している部分から「ファンタジー版DOOM」などと言われることがある。
--また、アメリカで現在も販売されている朝食向けシリアル食品である「Chex(チェックス)」の6~9歳児向けのプロモーションとして、1996年に『The Ultimate Doom』のトータルコンバージョン((要はModの一種で、元のゲームからは基本的なシステムだけ残し、キャラやグラフィックなど全体部分を全くの別物に置き換えたものを指す。))である『Chex Quest』が制作されており、キャンペーン期間中の商品にCD-ROMが付属する形で配布された。((尚、その後2020年5月18日にUnreal Engine4でHDリメイクされた『Chex Quest HD』がSteamで無償配布されている。))


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