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Bloodstained: Ritual of the Night - (2022/08/02 (火) 22:06:45) のソース

*Bloodstained: Ritual of the Night
【ぶらっどすていんど りちゅあるおぶざないと】
|ジャンル|アクション|#image(https://steamcdn-a.akamaihd.net/steam/apps/692850/header.jpg?t=1574788164,height=160)|
|対応機種|Windows(Steam)&br;Nintendo Switch&br;プレイステーション4&br;Xbox One|~|
|開発元|ArtPlay、インティ・クリエイツ、DICO、&br;WayForward Technologies|~|
|発売元|505 Games|~|
|発売日|2019年6月18日|~|
|定価|5,480円(税10%込)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:C (15歳以上対象)|~|
|備考|国内Switch、PS4版は10月24日発売|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|復活のIGA城&br()豊富な武器種や収集要素&br()詰まって総当りになりがちな難しい探索|~|
|>|>|CENTER:''Bloodstainedシリーズ''&br;[[Curse of the Moon>Bloodstained: Curse of the Moon]] / [[Curse of the Moon 2>Bloodstained: Curse of the Moon 2]] /''Ritual of the Night''|
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#contents(fromhere)
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**概要
[[悪魔城シリーズ>悪魔城ドラキュラシリーズ]]のプロデューサーであった「IGA」こと五十嵐孝司氏がKONAMIから独立後に手掛けたBloodstainedシリーズの第二作((発表順序的にはこちらが第一作だが、クラウドファンディングでの資金が一定以上溜まったために、先行スピンオフとしてCotMが先行で開発された。))。~
本作の開発にあたり、2015年にkickstarterにてクラウドファンディングが行われた。~
このクラウドファンディングによる調達金額は開発開始の100万ドルを半日で達成、締切時点での出資総額は554万ドルにも及び、どちらも『シェンムーIII』に抜かれるまでビデオゲームの最速、最高記録となっていた((シェンムーIIIは100万ドル突破が1時間44分、総額が633万ドル。))。~
五十嵐氏に寄せられた期待の大きさを感じさせるエピソードだが、ゲームの仕上がりもそれに応えるものとなっている。~

なお、前作の『[[Bloodstained: Curse of the Moon]]』はこのクラウドファンディングの中で確約された「Prequel(前日譚)」が実際に制作されたものである。~
実際には時系列の繋がりこそはないものの((CotMの「10年前」が今作ストーリーのミリアムの昏睡状態の年数と矛盾する。他にもRotNでは戦闘力皆無のアルフレッド、ジーベルと残月&ミリアムは対立している等。))、本作と同じキャラクターやモンスターが多数登場する、外伝的な位置づけとなっている。
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**ストーリー
18世紀末、産業革命によって起こった科学の発展に伴い、錬金術は急速にその地位を失いつつあった。~
これに危機感を抱いた錬金術ギルドは、科学の発展は悪魔に魂を売ることだと吹聴するが、科学の発展は止まることは無かった。~
業を煮やした錬金術ギルドは、結晶を移植した幼子を生贄にし、悪魔を召喚した。~
しかし、それから1年後、錬金術ギルドは崩壊する。

それから10年、地獄の城がこの世に復活する。~
それと同時に、儀式の生贄として使われる予定だった女性ミリアムが昏睡状態から目を覚ました。~
ミリアムは、自らの結晶化の解決と、さらなる大きな目的のために戦いに身を投じた。~

(Wikipediaより引用)
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**特徴・システム
-基本的には、拠点である「アーヴァント村」と悪魔のひしめく城を行き来して探索を進めていく、「探索型ドラキュラ」ライクの2Dアクションゲームである。~
探索型ドラキュラのフォロワーは「メトロイドヴァニア」という通称で呼ばれるが、語源の一方である『[[メトロイド>メトロイドシリーズ]]』は任天堂の商標であるため一般的には使えず((なお、同じ任天堂ハードだからOKだったのか、Switch版のパッケージ裏面には何故か使われている。もっとも、そんなことを言ったら「ヴァニア」の元も「キャッスルヴァニア」でありコナミの商標に引っかかってるだろというツッコミも十分にあり得るが。))、代わりに「イガヴァニア」という名称が付けられている((が、五十嵐氏本人は「自分の名前が付くのは流石に恥ずかしい」と否定気味。))。
--悪魔城シリーズで言うと『[[暁月の円舞曲>キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲]]』、『[[蒼月の十字架>悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架]]』を発展、進化させたような作風・システムになっている。
//武器がある分、刻印よりこちらの方が近いかと。
-シャード
--敵を倒すと「シャード」と呼ばれる魔力の結晶を主人公ミリアムが吸収し、新しい能力を得ることがある。
---ボスモンスターから入手出来る特殊なシャードによって探索範囲が徐々に広がっていく。
---雑魚敵の落とすシャードは単純な戦闘用が多い。
---シャードは実質的に装備品の一種であり、分類ごとに別個の装備枠を持っている。同じシャードを複数集める事による「グレードレベル」と、アイテムを使って強化する「ランクレベル」が存在する。
--シャードの種類I:ボタン操作で使用するシャード。三種とも違うボタンが割り当てられる。
---トリガーシャード・・・一般的なサブウェポン。内容は、飛び道具、簡易的なバリア、設置型の攻撃など様々。
---エフェクティブシャード・・・発動ボタンを押している間発動する。主にギミック操作に用いられるシャードだが、戦闘に使える物もある。
---ディレクショナルシャード・・・右スティックで方向を調整出来る飛び道具や召喚魔法。
--シャードの種類II:自動で効果を発揮するシャード
---エンチャントシャード・・・ミリアムのステータスを高める常時発動型のシャード。レベルをMAXまで上げるとスキルシャード扱いになり、常時装備状態になるが、ここからさらに同じエンチャントシャードを装備して能力を上げることも可能。
---ファミリアシャード・・・常時ミリアムに追従してサポートしてくれる使い魔のシャード。
---スキルシャード・・・二段ジャンプなどの追加アクションを可能にするシャード。この分類は自動的に全て同時装備され、ON/OFF切り替えが出来る。
--大半のシャード使用時にはMPを消費する。MPは時間経過やアイテムによって回復出来る。
-豊富な武器種
--リーチは短いが素早い攻撃が出来る「短剣」、標準的で使いやすい「剣」、振りは遅いが範囲が広く威力も高い「大剣」などのオーソドックスな物から、蹴り技で戦う「武足」、独特の攻撃範囲を持つ「鞭」、有限の弾丸を使う飛び道具の「銃」など、様々な武器が存在し、状況やプレイスタイルに応じてチョイスすることが出来る。
--表記が同じカテゴリであってもリーチや攻撃判定の出方などが異なる武器が多く、単純なカテゴリ数以上に性能の幅がある。
-奥義
--武器によっては必殺技と呼ばれるコマンド技が存在する。使用時にMPを消費する。技によっては無敵時間が存在し、敵の攻撃を抜けつつ反撃も可能。
--奥義の情報は城内の本棚から発見することが出来る。
--同じ武器種でも使える奥義が異なっていることが有り、武器選択の幅を広げている。
---なお一部の奥義((「武器を伸ばす」等の武器そのものの効果を発揮させる奥義が該当。))を除き、一定回数奥義を使って敵を攻撃すると「奥義習得」となり、他の同カテゴリ武器でも使えるようになる。
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**評価点
-主人公の育成要素の多彩さ
--レベルアップ、装備集め、シャード、合成や料理など主人公を育成する要素が極めて多彩であり、広大なマップを探索してアイテム集めなどをする動機づけに優れる。
--特筆すべきはエンチャントシャードを最大まで強化するとスキル化することで、エンチャントとの二重装備が可能なこともあり劇的な強化を実現することができる。
--類似するシステムを持つ『暁月の円舞曲』『蒼月の十字架』のタクティカルソウルシステムと比較すると、アイテムドロップ確率(シャード含む)に対するLCKの効果が大幅に上昇しており、育成が前提とはなるもののアイテム集めが極端に困難なことはない。

-上質なBGM
--『[[バンパイアキラー]]』からドラキュラシリーズのBGMに携わった山根ミチル氏、ノイジークロークのいとうけいすけ氏、藤岡竜輔氏、石綱淳泰氏((2018年退社なので、おそらくこの作品参加時はノイジークローク在籍時))。インティ・クリエイツの山田一法氏が参加、山根節とも言える重厚なオーケストラサウンドがメインとなり、他の4人もその雰囲気を壊さないオーケストラ調のBGMで、時代背景にしっかりマッチした曲を手掛けている。
--中でも双竜の塔のBGM(作曲は藤岡竜輔氏)は%%いやらしいマップ構造に反して%%軽快なBGMで評価も高い。

-美しいグラフィック
--ゲームエンジンとしてUnreal Engine4を使っており、このUE系特有の重厚感がゲームのフレイバーとしてしっかり機能している。

-快適なUI
--シャード「ショートカット」による簡単な装備の切り替え、多彩な図鑑要素、大きさや透明度を変更できるミニマップなど、UI周りの作り込みは相当なものであり非常に快適((ただしPC版のアップデート前は「キャンセルボタンでマップを閉じられない」等、引っかかるポイントもあった。))。

-調整しやすい難易度とやりごたえ
--意図的なレベル稼ぎやアイテム集めなどをしない場合、難易度は過去のIGA作品の中でも高めで、初見では為す術もなく死ぬことも多い。
--しかしプレイヤーにとって使いやすいシャードを強化したり、装備品や耐性などの対策を試行錯誤すれば、少しずつハードルは下がっていく。
--プレイヤーに課せられる努力量とハードルが下がる度合いのバランスが絶妙で、難しすぎず、あっけなさすぎず、プレイヤー達が個々に思う「ちょうど良いやりごたえ」ラインへの調整が行いやすい。

-豊富な小ネタ、ファンサービス
--通称「ぶっころおばさん」ことリンジーの依頼は亡き人物への弔いに特定の魔物を数体倒すといった内容なのだが、その人物の中にはIGA氏がかつて手掛けていた悪魔城ドラキュラシリーズのキャラと同名の人物も混じっている。
---ちなみにこの通称は、クエスト依頼時に毎回「ぶっ殺しておくれえぇぇ!」と無闇に気合の入ったシャウトを聞かせてくれることに由来する。
--近年のインディーゲーにおいてコラボ例が多い『[[ショベルナイト>ショベルナイト]]』が「ショベルアーマー」という名前で本作にも登場する。条件を満たせば自分で操作することも可能。
--その他にも過去の作品に対するオマージュはそれこそ山のように仕込まれている。特にIGAヴァニア代表作の『[[月下の夜想曲>悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲]]』出典の小ネタが多い。特定条件で歌ってくれる妖精、見覚えのある図書館の司書、座っている司書を下のフロアから突き上げるなどなど……。
--DLCを導入すると、とあるポイントにIGA本人が隠しボスとして登場。しかも登場場所は「直前のボス撃破後の展開から入って確かめたくなる場所」であり、壮大な初見殺し。
---しかもその存在はぶっころおばさんの指定モンスターということで序盤から示唆される。きゃあ、じぶんごろし。
---ちなみにIGA氏が登場するDLCはKickstarterのストレッチゴールの公約の1つであった。

-豪華声優陣
--日本語版では主人公ミリアムを担当する小清水亜美氏を始めとし、興津和幸氏や水橋かおり氏、置鮎龍太郎氏等、ベテランの声優が起用されている。

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**賛否両論点
-アクション関連のやや古風な仕様
--悪魔城シリーズ伝統の接触ダメージ制を採用しており、敵が攻撃中でなくとも触れるだけでダメージを受け、軽く怯む。現今の2Dアクションゲームでは採用していない作品も多く、そうした作品に慣れていると戸惑うかも知れない。
---本作では、大半の敵がこちらの攻撃を受けても怯みやノックバックを起こさない。手早く倒せる攻撃力がないうちは攻撃中に接触されてダメージを受けやすく、単純に突っ込んでくるだけのような敵も意外に厄介。
---また、前述の「奥義」で格ゲーのようなコンボ技を使える武器もあるが、大抵の敵は怯まないため、一方的に連撃を決めることは不可能。実際、ほとんどが魅せ技である。
--無敵時間を持つ回避動作がない。接触ダメージ制と相まって、敵をすり抜けることはできない。
---回避動作的なものとしてスライディングとバックステップが可能だが、どちらも当たり判定は消えず、動作後の硬直もあってあまりアテにできない。
--武器の通常攻撃はコンボなし。攻撃ボタンを連打すると同じ攻撃を繰り出し続ける。
--これらの点で、2019年リリースのアクションゲームとしては少々オールドスクールな作りになっている。いずれも悪魔城シリーズのファンには「これだよ」という仕様なのだが、現今のゲームを基準に、これらを不満点として挙げるプレイヤーレビューも散見される。
--開発者が挙げたコンセプトが「[[月下>悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲]]を遊んでいた当時のプレイヤーが安心して遊べるようにする」とインタビューで答えており、上記の良くも悪くも古風な作りは意図されたものである。
--爽快感のないチマチマした戦いを強いられるという訳でもなく、MPを潤沢にしてシャードを使うことで、絶え間ない遠距離攻撃や瞬時に敵を殲滅する火力を手に入れることも可能。追尾・反射する稲妻を放つ「テプス・オシウス」や、MP回復手段が不要なほどのコスパを誇るビーム「ティス・ロザイン」のタップ撃ちが特に強力。
-移動速度がややもっさり。ダッシュも無い。

-コスチュームに関して
--本作は装備を変更すると外見も変更されるのだが、胴防具で外見が変わるのは「ヴァルキリードレス」のみ。それ以外は何を装備していても初期衣装のまま。
---初期衣装はカラーの変更が可能だが、ヴァルキリードレスは不可。衣装のバリエーションはこれだけで、少々寂しい。
--一方で、頭装備やアクセサリーはそれぞれのビジュアルが適用される。
---顔面を完全に覆う仮面や鉄兜のような装備もあるが、こういった物を装備しているとイベントシーンでミリアムの表情が見えなくなり、場面のニュアンスが把握しづらくなってしまう。体は初期衣装とヴァルキリードレスのどちらでも軽装になるため、頭だけ仮面や兜というビジュアルは違和感も凄い。
---装備によるステータスアップも重要なため、攻略のためにビジュアルを諦める結果にもなりやすい。デフォルトの頭装備「アリエスホーンズ」は公式イラストでも使われているミリアムのトレードマークだが、ゲーム内では開始数分でお役御免になりがち。
--装備の外見を別の装備に移植するような機能もなく、着せ替えを楽しむには自由度が低い。
---髪型や色の変更(髪色はもちろん上述の様に初期の物のみではあるが衣装、瞳の色や果てには肌の色まで)は出来るので残念なところである。

-料理アイテムによる回復が強力過ぎる
--料理は「初回使用ボーナス」によってステータス強化が出来るというキャラ育成の要素なのだが、実は回復アイテムとして異常に強力なものになっている。むしろこれに気づかないとポーションが枯渇しやすい。~
まず前提としてステータス値が露骨に与/受ダメージに効くゲームデザインとなっているため、強化するだけで回復アイテムを使う機会自体を減らすことが出来る。~
これに加え、ポーションの所持数は最大9個の制限があるのに対し、料理は所持数制限99、つまり事実上無制限。食材回収の手間がかかるという欠点こそあるが、料理を積んでゴリ押しという手段も取れる。~
回復量的にはポーションも料理も2020年5月のアップデートで「値段×0.25」で共通になっている。ミリアムの最大HPを考えると、エクスポーションはコスパ的には割に合わなかったりする((エクスポーションの値段が10000=2500回復なのに対し、ミリアムの最大HPは2171止まりなため。))。~
一応ナイトメアモードでレベルが上げられない事に対する救済にはなっている。

-ややユルめの雰囲気
--ノリとしては『[[奪われた刻印>悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印]]』よりも、寧ろその前の『蒼月の十字架』『[[ギャラリーオブラビリンス>悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス]]』のような、少年・少女漫画的な雰囲気に近い。直近の『Curse of the Moon』『奪われた刻印』共にシリアスだったため、それを期待していた層には不満かもしれない。
--ミリアムもクールな大人びた容姿ではあるが、実は意外と明るい性格で印象と違うという声も見られた。
---公式のゲーム紹介では、ミリアムは体が結晶化してゆく呪いに侵されている人物であることが大きく扱われているが、ゲーム内ではほぼ触れられない。結晶化の進行、それに伴うミリアムの苦悩や恐怖が描かれることもなく、むしろ天然ぶりや愛嬌を感じさせる描写の方が多かったりする(斬月のセリフをモノマネするように伝えたりする等)。

-キャラのテキストが不自然
--「お前の指示は聞いてやる」「俺の懸念が正しかったことがわかった」などと、実はオリジナルのト書きは英語だったのでは?と感じるほど滑らかさにかけ、自然ではない言動(現在は修正済みだが「いつでも」というセリフが「いつもで」と誤植されていたこともあった等)が時折目に付く。~
実際バッカー特典の体験版は英語版だけだったので、英語版先行でストーリー含め開発が進んでいたものと思われる。

-美しい反面、細部が気になるグラフィック
--グラフィック自体は先述の通り美しいのだが、ミリアムや敵キャラはともかくNPCの動きが少々不自然。走る・歩く、どちらのモーションも競歩にしか見えないキャラは少なくない。ゲームプレイ上は問題ないので気にしないプレイヤーも多いが、目には付きやすい。
--また、ぱっと見は綺麗ではあるのだが3Dモデルの表現はやや固い。風にさらさらとなびく髪…というような表現は期待できない。
--料理を作成すると主人公であるミリアムが「やった!」というセリフと共に、女子らしいポーズをするといったリアクションをとるのだが、反面表情が全く変わらないので、違和感を感じる人もいるのではないかと思われる。
---会話シーンでも、声優の演技は感情が籠っているが、キャラの表情は一切動かないので、声はドラマチックなのに顔はポーカーフェイスという、大根役者的な状態になってしまっている。感情を失っている設定の「奪われた刻印」のシャノアですら、声は無いが表情は変化していた。

-ビットコイン系武器
--特殊な効果を持つ武器が多い「ビットコイン」系のアイテムを素材とした武器だが、素材の入手条件が店売りのみかつ恐ろしく高額。
--初期段階の入手に必要な「8ビットコイン」はともかく、上位版の合成に必要な「16ビットコイン」や「32ビットコイン」は相当な価格で、全て揃えるには相当なお金稼ぎが必要。
--小技として、シャード「クラフトマスタリー」((一定確率で合成による生産物が複数得られるようになる。))と合成物を素材に分解する「アルカヘスト」を駆使するという手段があるが、こちらはこちらでセーブ&ロードが必要。

-コマンドについて
--本作では上記の通り武器ごとに奥義が存在するのだが、その発動方法が格ゲーさながらのコマンド入力。
---コマンド入力が得意な人には問題にもならないが、苦手な人にとっては奥義を発動するのが難しい。もっとも使わなくてもクリアは可能だが……
---しかし移動用の技の中にはコマンド入力が必須なものも存在する。比較的楽なコマンドとはいえ苦手な人にはそこで躓くこともある。


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**問題点
-進行上必須なのに気付きにくい事項が多い。
--先に進むために必要なアイテムが、「以前通過したエリアのごく小さな未踏破箇所」に置いてあるといったことがある。
---このため、新しい移動手段やギミック操作手段を手に入れる度に過去のマップを虱潰しに探索し直すことになる。一応「ダブルジャンプがあれば届きそう」「隙間をくぐる方法があれば向こうに行けそう」等、ヒントはあるのだが、それを覚えておけるかは別の話。~
一応マップの怪しい箇所にマーキングは出来るが、マークが1種類しか無い上に置ける個数も限定されているので、機能として不十分である。マークにメモ等を添えられる機能でもあれば少しはマシになったかもしれないが…。~
一見ストーリー進行のキーアイテムではなさそうな新技が実は重要なギミック操作と兼用になっている場面もあり、とにかく閃きや総当りが要求されがちである。
--中盤では水中に潜るためにとある雑魚敵が落とすシャードがゲーム進行に必須となっている。ボスではなく雑魚からのシャードが必須となっているのはこの1つのみ。
---この敵は討伐クエストの対象でもあるため、それをこなしている内にまず入手出来る(あくまで入手確率が高めというだけなので、運が悪いと必要なシャードを入手出来ないままクエストをクリアしてしまう可能性もある)が、クエストをスルーして進めていた場合、進行に行き詰まる可能性がある。
//一応2周目以降は特定の方法で無理やり突破する事も可能。
//2周目ならどうやって突破したかわかるでしょうに

#region(大ネタバレ注意)
-特定のボス戦で条件を満たさないとバッドエンドはIGA氏が関わったドラキュラシリーズでよく見受けられたが、本作も例外ではない。~
終盤のジーベル戦にてうっかり彼を倒すとゲームオーバー(簡素なバッドエンド)となる。~
ある程度ダメージを与えると背景の月が紅く染まり、その状態で「斬月刀」を装備して月を斬るのが正解なのだが、『Curse of the Moon』をプレイしていても初見では分かりづらい。
一応斬月刀を受け取った時にそれらしい説明はしてくれる。
//また2周目以降は「とあるトリガーシャードの威力が高くなりすぎて、月が赤くなる段階をすっ飛ばしてジーベルを倒してしまう」という事故を起こすことも。
//↑さすがに2周目のプレイで「強すぎて倒しちゃった」って文句出すのは滑稽がすぎる
--なお、ジーベル自体は斬月刀入手のかなり手前から戦闘が可能だが、その場合はボス戦に入った段階で未解決エンドが確定となる(バッドエンドとはまた別物)。
#endregion

-拠点内のマップ配置
--プレイヤーは「アーヴァント村」を拠点として城の探索を進めるのだが、この村内のセーブポイントとワープポイントの位置が離れており、「危なくなったので村に戻ってセーブしてまた探索を再開する」というサイクルにおいて無駄な移動量が多くなっている。
//---ある程度ミリアムの能力が上がるまで((ダブルジャンプ解禁後に村側から使えるようになる。))、このワープポイントは各所から村への一方通行へしたいという意図もあると思われるので仕方ない部分もある。~
//同様のマップデザインは[[IGAの旧作>キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲]]でも見られる。
//↑足場を乗り継げばダブルジャンプ取得前から使えますよ。

-一部ダンジョンについて
--本作のダンジョンには巨大化をテーマとしたダンジョンが存在するのだが、その内容は''ゲーム序盤の「静寂の庭園」~「禁忌地下水洞」前のルートと酷似したような構造''となっている。
---もっとも一部登場モンスターの違いやボス部屋周辺等、若干細かい違いは存在するが。
--モンスターまで巨大化しているのだが、巨大化以外には単純に序盤雑魚のステータスを強化しただけであり、特有のアクションはジャイアント・モコ((食虫植物を模したモンスター「モコプラント」の巨大化版))が地形を破壊して登場する程度しかない。
---砲台型の巨大化モンスターに至っては上に乗ってポコポコ殴っているだけで安全に倒せる。しかもそれが3段重ねになっている。脱力物である。
--これも一つのコンセプトと言われるとそれまでだが、他のダンジョンと比べると新鮮味が薄く、低予算感が溢れる…
---ストーリーも大詰めというところで唐突に(一応最序盤に仲間との会話で舞台となる城の説明をしてもらう場面があり、そこで「巨大化について研究している者もいた」といった話題が出るといった伏線は張られてはいるが…)この奇妙で緊張感の薄いエリアが挟まってくるという点にも違和感がある。
//終盤のダンジョンであるため、場合によってはregionプラグインで隠す必要あり

-数が多い割に、使い分ける意味があまりない武器や攻撃系シャード
--武器については、「接触ダメージ制+敵の怯みほぼなし」というゲームの仕様上、リーチが短い武器や一撃が軽い武器は単純に不利で、基本的には攻撃力と攻撃範囲に優れるものが強い。特定の武器でなければ倒せない敵もいない。
---振りかぶりの斬撃で背面、頭上、足元までカバーしダメージも高い大剣、弾を消費する代わりに素早く遠距離攻撃ができる銃あたりが強く、手数勝負の短剣や武足が攻撃において輝く場面はあまりない。~
ただし大剣は「バクステでの攻撃キャンセルが1度しか効かない」というゲームの仕様に引っかかりやすく、少ない攻撃チャンスに確実に当てるという部分はテクニックが必要。また奥義もスーパーアーマーは持つが、無敵やカウンター技は持たないのでダメージを受けやすいデザインにはなっている。~
このあたりは「雑に飛び込んで、攻撃が来たらアサシネイト」で裏抜けする短剣や、無敵時間の長い奥義を持つ武足で抜けつつ攻撃など、プレイスタイル次第では誤魔化せる範疇。
---炎や雷といった武器の属性によるダメージ変動はあるものの、戦闘において絶対的な要素でもなく、使い分けを意識させる仕掛けが少ない。
--攻撃系シャードはやたらと数があるが、大半が何かを飛ばす遠距離攻撃で、やはり弾の性能が低いものを選ぶ意義が薄い。
---前述の「テプス・オシウス」は、自動追尾と反射で格下の敵なら一撃で全滅させるような性能であり、攻撃系シャードの大半を食ってしまう。
---一方で、雑魚敵の姿と行動パターンを模した弾を放つ「サモン・〇〇」系のシャードは使う必要がないレベルのものばかりで、水増し感も強い。
--「質より量」の盛り沢山ぶりは『月下の夜想曲』譲りとも言えるが、別に使わなくてもいいものが9割というバランスは味気なさが否めない。
---ちなみに、ほぼ全ての敵に何らかの撃破報酬が設定されており、シャードも報酬の数合わせ用に作られたような性能のものが少なくない。

-スタート時やゲームオーバー時、再開までのロード時間が長い。場合によっては移動によるエリアの切り替えでも長いロードが発生することがあり、いちいちうんざり。クラシックモードではさらに長く、本当にうんざり。

-クエストについて。
--形見集めとか敵討ちとか、内容が陰気過ぎ。特に敵討ちの方、依頼を1つ受けるたびに「ぶっ殺しておくれ!」と大声で言われるのが不快。また、敵討ちはどれを受けるか自由に選べるのに対して、形見集めは選べない。さらに、形見集めの方は全部終わったらその旨のセリフがあるが、敵討ちの方は何も無く、全部終わっても依頼のリストが出る。意味不明。
-料理のクエスト、食材を集めて調理して…面倒。食材がレアアイテムの場合もあり、なお面倒。

-隠匿された砂漠など、結構な範囲の中にセーブ部屋もワープ部屋も無いことがある。結構キツい。

-ミリアムについて。女戦士で、男の協力者がいて、顔がキツくて、体に紋章みたいなものがあって、特殊能力に適合できる体で、敵から吸収した能力を使って…ほぼ「奪われた刻印」のシャノアそのまんま。

-巨大な猫や犬の姿の敵、図鑑の説明文が全部同じ。芸が無い。

-回復アイテム。調理で作ったものなんかは99個まで持てるのに、ポーションは9個、ハイポーションは5個までしか持てない。ハイポーションでも回復量は1個あたり250と少ないのに、持てる数が少な過ぎ。

-水中で動くシャード・アクアストリーム。水流の反動とスティックの操作がめんどくさいし、水中の宝箱は取れないし、リフレクションレイも使えないし、もうちょっと先で自由に動けるディープシンカーを取ったらいらなくなるし、いいことが何も無い。ディープシンカーだけでよかったのではなかろうか。



-ハード間の格差
--一応インディー開発という事情もあり、ハード間の格差が非常に激しい。~
家庭用ハードによってはパッチの発行時期が大幅に遅れるのも当たり前で、PCで2019年8月に発行されたパッチがPS4では12月なんて事もある。~
パフォーマンスの最適化もかなり微妙で、PC版では問題ないボスがPS4版では止まりそうになるレベルの処理落ちが起こる。~
実際にフリーズすることもそれなりにあるため、できるだけ頻繁にデータのバックアップを残しておかないと、いざという時に泣きを見ることも…。
--Switch版だと双竜の塔で処理落ちがあったり(2020年1月のアプデで改善)、リブリ・エクス・マキナの一部フロアで若干長めのロードが入ったりする。~
この最適化を優先するため、後述の斬月DLCの開発をまだ開始できていないとオフィシャルから通知されていたほど。

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**総評
五十嵐孝司氏の独立後に手掛けたまさしくIGAvaniaの復活作。『Curse of the Moon』で高まった期待に見事応えてみせた。~
探索型悪魔城を遊び尽くした人でも未プレイな人でもお勧めの一作。
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**余談
-CotMでは主人公を担当し、本作でもキーキャラクターを務めた斬月をプレイアブルキャラとして操作できるDLCの配信が予定されていたが、当初のスケジュールより遅れに遅れ、2020年5月に無事配信された。ミリアムでゲームを一度クリアすると、ニューゲームから斬月を選択可能となる。
--斬月でプレイするとストーリーや謎解きギミックが無くなり、高性能な斬月でガンガン突き進むスピードラン向けのモードとなる。また、特定のシャードがないと進めない狭い通路のような場所は『悪魔城ドラキュラ 闇の呪印』のラルフモードのように鳥居が出現し、これを使って移動する。
---斬月は初期状態でも非常に高いステータスと強力なコマンド技を持っているが、斬月モードではレベルアップとHP・MPの最大値増加アイテム以外のキャラ強化要素が無くなり、ポーションや料理によるHP回復も出来なくなるので、先に進むほど難易度が高くなる。
--同時にドロップアイテムやドロップシャードをランダムで入れ替える「ランダマイザーモード」も追加された。~
当初はマップもランダムになる「ローグライクモード」となる予定だったが、初期に書かれたコードと干渉する事が分かり、マップはオリジナルのままと縮小されることとなった。~
しかし最初の最初で武器アイテムが拾えずに攻撃力1のキックで武器のドロップ待ちをしたり、序盤でいきなりハイジャンプが出たり、ストーリー進行上必要なアイテムが出ずに遠回りを強いられたりと、カオス度はかなり高い。~
「どのアイテム/シャードが入れ替わったか」というのを数字化した「シード値」が存在し、このシード値を指定してプレイが可能になっているため、他の人と同じ条件でのタイムアタック合戦も可能となっている。~
一部のシード値では「斬月刀やダブルジャンプなどが必要となる場面までに手に入れられない」というシードが存在したが、アップデートで「そのようなシードでは、本編で出ないところにシャード台や宝箱を設置し、その中に必須アイテムが入る」ようになったため、基本的にはすべてのシードでクリア可能とされている。~
このアップデートに伴い、シード値が全面的に変更になったため、同じ数字でも旧バージョンなのか新バージョンなのかチェックが必要。
--2020年11月のアップデートでボスキャラである「ブラッドレス」でプレイ出来るモードも追加。~
こちらは一部能力が最初は封印されており、各所にある「血の燭台」((見た目はミリアムモードでのスキルシャードが入っている物と同じ。))でステータスや特殊アクションを解放しながら深部を目指す。~
スタート地点がミリアムモードでのボス部屋となっていて、敵の強さが「この部屋を起点に遠くなるほど強くなる」というように調整されている。~
吸血鬼故、血の燭台で能力を得る前に水に浸かると凄まじいダメージが入る。


-全世界累計販売本数が100万本突破したことが五十嵐氏によって発表された。((五十嵐氏のインタビューでは「正直Kickstarterのバッカーの分を含めて100万本行けばいいかなと思っていたが、実際は純粋な販売本数で100万本を超えたことを聞いて驚いている」という旨を述べている。))
--これを記念して2020年末までにボス達を操作する「ボスリベンジモード」を始めとした様々なモードを追加する無料アップデートを複数予定。

-2021/05/28に公開された505 Gamesの親会社「Digital Bros」の財務報告で、''続編が製作中''であることが明らかにされた。([[Game Sparkの記事より>https://www.gamespark.jp/article/2021/05/29/109043.html]])


***ゲーム外の部分における対応の悪さ
//ゲーム内容に直接関係ない部分は余談扱いとするルールになっております

-クラウドファンディングリターンの雑さ
--ゲーム以外の返礼品として、化粧箱入りのサントラやグッズが(一定以上投資した人に)配布されたが、この化粧箱が最初から傷物になっているという報告が相次いだ。~
化粧箱の外側に保護用のダンボール(しかもロゴが書いてあるほど豪華)とプチプチが巻いてあったのにもかかわらず、である。
--他にもパッケージをリターンとして受け取った人に至っては「公式のサイン会までに到着が間に合わなかった」ため、クラウドファンディングのバッカー特典画面をスタッフに提示してダミーパッケージを貰い、そちらにサインを行うという事になった。~
このサイン会は発売2日後に行われたのだが、この時点で来ていないという事は「予約していたのにもかかわらず発売日にソフトを受け取っていない」ということでもある。しかも一般流通分より高い金額((最低60$、クラファン開始直後のレートだと7200円。))を支払いながら公式konozamaというのはいかがなものか。

-開発が長期に渡った事による弊害
--一時はクラウドファンディングの公約によってWiiUやVita版も発売される予定だったが、途中でゲームエンジンをUnreal Engine 4へと切り替えたために、非対応であるこの2機種が対象外に変更されてしまった。
---WiiU版は代わりにSwitch版の開発へスライドする形となったが、ゲーム機本体の生産が終了してしまっていたためVita版は立ち消えとなってしまった。
---尚、WiiU版やVita版を選択していたバッカーには他機種版への変更や返金措置による対応が取られた。

-日本への対応難。
--国内版のみ「流通上の問題」という理由でSteam版以外の物理・デジタルソフト販売が3ヶ月もずれ込んだ。それも延期決定が発売の直前も直前(発売予定だった前の週のファミ通に、五十嵐氏へ発売直前インタビューを行った記事が掲載されてしまっていたくらい)であり、かなり物議を醸した経緯がある。
--ソフト自体は当然マスターアップ済みであったため、開発側ではなく発売元(つまり505 Games側)の不手際ではないかと推測されている。
---ちなみに505 Gamesは海外((本拠地はイタリアのミラノ市))のゲームパブリッシャーであり、日本支社が置かれたのは2018年とかなり最近のことである。日本の流通事情を知らなかった可能性も十分考えられる。
---PS4日本版が待てないので英語版に切り替えてほしいという要望を出した人がいるのだが、解答は「Windows(Steam)版へなら切り替える」という解答が来たという。PS4は持っているが、このゲームが動くPCは持っていない人も居るだろうし、それで解決したとは到底思えない。
--販売遅れの補填として日本国内のクラウドファンディング支援者にはSteamデジタル版のダウンロードコードが配布された。%%Steamデジタル版支援者はDLコードが2つに…。%%