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ノーモア★ヒーローズ3 - (2022/01/27 (木) 11:55:50) のソース

*ノーモア★ヒーローズ3
【のーもあひーろーずすりー】
|ジャンル|殺し屋アクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B0922T4WR9)&amazon(B0922RYRPK)|
|対応機種|Nintendo Switch|~|
|発売元|マーベラス|~|
|開発元|グラスホッパー・マニファクチュア|~|
|発売日|2021年8月27日|~|
|定価(税抜)|【通常版】6,800円&br;【KILLION DOLLAR TRILOGY】9,800円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|BGCOLOR(crimson):''&font(#ffffff){CERO:Z(18才以上のみ対象)}''|~|
|備考|限定版は『1』と『2』のパッケージ版が同梱|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|アクションゲームとして超パワーアップ&br;滅茶苦茶な物語も(悪い意味でも)超パワーアップ&br;『ノーモア★ヒーローズ』シリーズ完結編(''現状'')|~|
|>|>|CENTER:''[[ノーモア★ヒーローズシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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#center(){{
 &big(){''宇宙まるごと大決戦!!''}
}}
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**概要
アバンギャルドな作風で世界的にコアなファンを持つゲームクリエイター・須田剛一の代表作『[[ノーモア★ヒーローズ]]』シリーズの最新作にして(現状の)完結作。~
キャラクターデザインのコザキユースケ、サウンドデザインの福田淳と言ったお馴染みのスタッフに加え、メインコンポーザーに俳優兼ドラマーである金子ノブアキを起用している。

『[[ノーモア★ヒーローズ2 デスパレート・ストラグル]]』までは全米最強の殺し屋ランキングに挑む…という内容だった。~
だが、本作はそこからスケールアップして地球侵略に訪れた宇宙人から地球を守るため、銀河系No1を目指しランキングに挑むというハチャメチャなストーリーになっている。

『2』は開発国でありながら日本での発売が大幅に遅れてしまったが、今作は全世界同時発売であり、ゲーム内の表現も国内外で共通となっている(後述)。~
当初は2020年に発売する予定だったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で開発体制の変更を余儀なくされ、~
開発体制が整った後も製品クオリティを考慮し、2021年に発売を延期することになった経緯を持つ。

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**ストーリー

 全米No1の殺し屋:トラヴィス・タッチダウンは隠遁生活を終え故郷であるサンタデストロイへと帰還し自堕落な毎日を送っていた。
 
 そんなある日、銀河の彼方から突如として地球にやって来た極悪宇宙人である「ジェフ・パディスト・6世」、通称「FU(フー)」。
 圧倒的な力を持つ彼は瞬く間に政府要人を殺し地上を焼き払い、配下の宇宙人たちと共に「地球征服」を宣言した。
 そして、FUは地球侵略の余興として銀河系スーパーヒーローランキング戦を開催する。
 
 トラヴィスは守るべき物のため、三度ビーム・カタナを手に取りランキングに挑む。
 今ここに最強地球人VS最強宇宙人軍団による最終戦争が始まるのであった。

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**特徴
-前作『[[Travis Strikes Again: No More Heroes]]』は見下ろし視点アクションゲームとなっていたが、本作は『1』『2』同様のTPS視点の3Dアクションゲームに戻った。
--操作デバイスこそWiiリモコンからJoy-Conになったが基本的な操作自体も『1』『2』に近い物になっており、トドメスラッシュやプロレス技時の体感操作も復活した。

-ゲームの流れとしては『2』よりも『1』に近い物になっており、トラヴィスを操作して街中を探索するフィールドマップが復活した。
--『2』ではランキング戦に挑むのが無料だったが、本作は『1』同様ランカーと戦うためには指定された額のお金を納めるように戻った。
---地球侵略を目論む極悪エイリアンが相手なのに律義にいつものランカー戦をやるのかと疑問に思うかもしれないが、その理由も作中で語られている((簡単に言うと、その気になれば一気に地球を攻め滅ぼせる相手と対等に戦うため、UAA(全米殺し屋協会)が敢えてルールを持ちかけたというもの。))。
--『1』『2』のバイトミッションは無くなり、代わりにマップの各所で依頼を受けるサブクエストとしてボランティアミッションが登場した。アルバイトではなく、あくまでボランティアである。%%報酬込みの。%%
--『1』の殺しのミッションや、『2』の復讐ミッションに代わるフリーバトル「防衛ミッション」が登場。
--アクションゲームとしての作りもガラリと変わっており、雑魚を切り伏せて進むアクションステージが廃された。マップの各所に雑魚・中ボスと戦える「指定試合」が存在し、指定された回数以上戦うとボス戦専用のマップに直接アクセスできるようになった。
---指定試合はアイコンが赤と青が存在し、「赤・青・青」「赤・赤・青」などエピソード毎にランカーに挑むために必要な色とその数が異なる。赤は必ずクリアしなければならない「必須試合」。青は余分に配置されている「任意試合」となる。
---未クリアの指定試合は次のエピソードでも挑戦可能だが、こちらはクリア条件に影響しない。
--マップ上のショップやミッションを示すアイコンは最初は「?」になっているが、実際に訪れるか、''付近の公衆トイレの掃除''をすると表示されるようになる。
---但し、指定試合の場所は大まかな範囲しか表示されないため、実際に探す必要がある。
--これ以外にサブイベントも存在し、こちらでは『TSA』内の「Travis Strikes Back」同様のレトロなADVスタイルで展開される。

-戦闘パートは上記の通り『1』『2』に近いTPS視点だが、操作方法やシステムは『TSA』の要素が多く盛り込まれている。
--弱攻撃、強攻撃、ジャンプ、デススキルなど、基本操作は『TSA』を踏襲している。それでいてガード、ロックオン、上述した体感操作なども復活しており、体感的には『1』『2』に近いチャンバラを楽しめるものとなっている。
---デススキルは「5個以上存在するチップの中から4つ選び使用する。チップはシナリオの進行の他マップの探索でも入手可」という仕様だった『TSA』とは違い、~
「シナリオの進行で順次解禁される全4種類のスキル。それ以上は種類は増えない」という仕様になった。
--ビーム・カタナの強化・交換要素がなくなり、ゲーム開始から同じものを使い続けるようになった。
--新たに戦闘中に使える回復・バフ効果を持ったアイテムとしてSushiが追加された。
---Sushiは各マップ及びボス戦前に屋台で購入可能。携帯していつでも食べられる代わりに効果はそこそこのテイクアウトと強化幅が大きい代わりに次の一戦で効果が消滅するイートインが存在する。
---また、自宅地下のナオミ研究所でも出前を頼むことが可能。

-本筋と関係ない収集アイテムとして『1』はプロレスマスク、『2』は「ビザールジェリー」((通称「ビザジェリ」。トラヴィスが昔からハマっている萌えアニメ。))グッズがあったが、本作ではデスマンカードとガチャポンフィギュアが存在する。
--デスマンカードは作中作のゲーム「デスマン」に登場するキャラが描かれているカードで、街のあちこちに落ちている物を拾って入手する。
---条件を満たすと「デスマン」も自宅でプレイ可能となる。
--ガチャポンは特定のサブイベントを攻略すると拠点であるモーテル内にあるガチャマシンが解禁され、過去作に登場した敵や名場面を再現したフィギュアが入手できる。

-『1』『2』の国内版はレーティングをCOLOR(orange){''CERO:D''}(17歳以上対象)に抑える都合で「死んだ人間が黒い灰になって崩れ落ちる」という独特の規制表現がなされていたが、本作はCOLOR(red){''CERO:Z''}(18歳以上のみ対象)ソフトとして製作されたからか特に規制はなく、国内外双方のバージョンによる演出の違いはなくなった。
--10年前に比べると国内も規制はかなり緩くなっており((例えば残虐不謹慎ゲームで、2000年代の日本ではバカゲー化する事でなんとか発売できた『デストロイ オール ヒューマンズ!』もリメイク版は無規制で発売されている。))、前2作のSwitch移植版も国内ではCOLOR(red){''CERO:Z''}の無規制で発売されている。年月が経過した事による風潮の変化が大きいのだろう。
--過去作同様「字幕と(英語音声の)キャラが言っていることのニュアンスが若干異なる」ことはあるがストーリー自体には違いはない。

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**評価点
-アクション部分が大幅パワーアップ。
--ハードウェアの性能が上がったこともあって戦闘パートは常時60fpsでスピーディで滑らかな動作となっており、エフェクト・トラヴィスのモーションも視覚的にド派手な物になったため、爽快感アップ。
--過去作では充電時に毎回足を止めて自家発電する必要がありいちいち隙が出来ていたが、本作では微量であれば足を止めないままチャージできるようになった。
---また、プロレス技が成功すればカタナがフル充電されるようになり、これまで以上にプロレス技のメリットが大きくなると同時にうまく決め続けられれば途切れなくアクションを続けられる。
--『TSA』より引き続き採用されているデススキルだが、本作では4つに絞られ4種ともに汎用性が高く使いどころを選ばない物になった。また、グローブに装着するチップでさらなる強化も行える。
---前作のデススキルに存在した「4つしかセットできないにもかかわらず総数が多すぎる」「使える状況が限定的すぎるものがある」「発動時に潰されやすい」「リキャストタイムが長すぎる」という問題をいずれも解消している。
--これにより、「出が早い弱攻撃で削りつつ相手が動き出したらデススキルで吹き飛ばして強制ダウンさせ、ダメージの大きい強攻撃でダウン値を溜め敵が気絶したらブン投げてトドメを刺し電力を回復し次の相手へ…」と言った具合に各要素を生かしたアドリブ・コンボ性のあるアクションをノンストップでバンバン使っていけるため、非常にテンポがよく気持ちがいいアクションを楽しめるようになっている。
--一方、敵も宇宙人という事で人間とはかけ離れたトリッキーな攻撃を仕掛ける者が多く、バリエーション豊かになった上に手強くなった。
---また、ステージが無くなり一戦毎に回復する仕様になったため、一戦に全力を注げるようになっており、それに合わせるかのように雑魚敵も一筋縄ではいかなくなっている。時代劇の斬られ役のようにバッサバッサと倒して行けた旧作と異なり一体一体が強いため、進化したアクションも併せて歯応えが味わえる。

-後述の通りシナリオの流れに関してやや意見が分かれる部分はあるが、演出自体はピカイチ。
--体感操作を用いてプレイヤー自身が相手の息の根を止めるというゲームとシンクロした演出も健在。
---今回は上述の通り日本版も無規制になっており、過去作日本版(特に『2』)にあった不自然なカットやゴア表現の別物化も無く、ストレートに爽快感溢れる映像になっている。
--その一方で、血の表現が「ノーマル」か「マイルド」かの選択が可能となっており、「マイルド」にすると''COLOR(red){R}COLOR(orange){A}COLOR(yellow){I}COLOR(green){N}COLOR(blue){B}COLOR(#134A63){O}COLOR(purple){W}''、即ち''虹色''になる((『TSA』のダメージ表現を更に大袈裟にしたようなものか。))。
---今作はトドメ以外に通常の被弾でもかなり血が出るのだが、[[KIRAKIRA>ロリポップチェーンソー]]の虹になってしまえば、派手な演出も相俟って残虐さ・グロテスクさは大幅に緩和される。ムービー時のゴア表現も無規制だが、これも虹と通常とでは全くと言っていいほど印象が変わる((あるイベントの「壁や床に血がべっとり付くホラー演出」は、「ノーマル」だとどす黒い血で正真正銘のホラーなのだが、「マイルド」だとカラフル過ぎて完全にギャグになる。))。
---ちなみに宇宙人勢は血の色が元よりピンクや紫だったり複数色だったりと特殊であり、トドメスラッシュの時は「ノーマル」でもカラフルな血が噴き出る。これが「マイルド」になると地球人含めた全ての者の血が虹になる。
---前二作の無規制版はCOLOR(RED){首チョンパ}やCOLOR(RED){人体切断}にドバドバ噴き出るCOLOR(RED){血の雨}と、オーバーな残虐演出を(しかも生身の人間相手に)やっていたため、無規制版はきつ過ぎたという人や国内Wii版のコミカルな炭化演出に馴染んでいた人も安心(?)である。
--最後の敵を殺害した際には画面が赤黒く染まりCOLOR(RED){KILL}(ボス戦では○○(ボス名) COLOR(red){DEAD})と表示される演出が非常にクール。勝利のBGMも流れ、カタルシスのある演出になっている。
--ボスごとに1エピソード仕立てとなっており、「いかにも」な[[どこかの光の巨人>ウルトラマンシリーズ]]風OPと80年代ロボアニメ的なEDが毎回必ず流れるようになっている。
--一部アニメーションパートは『SHORT PEACE 月極蘭子のいちばん長い日』にも参加していたAC部が担当している。

-BGMは前作までの高田氏に代わって金子氏が担当しており、旧作と雰囲気の異なるものの新曲だけでも70曲近く用意されており、いずれも好評。
--特に寿司屋ではやたらノリノリな曲「ITADAKIMASU」が流れ、来店の度に聴くことになるため非常に耳に残る。
--各話のEDテーマ「プラハの夜」は金子氏が作曲のみならずボーカルも務めている。

-オープンワールドの改善・改良
--フィールド探索は『1』では移動の面倒さや必要性の薄さから不評で、『2』でバッサリカットされていたのだが、本作では全体的に改善された上で復活した。
---『1』はオープンワールドを用意しながらも基本はステージクリアタイプ、『2』はステージクリア型に特化したゲームデザインだったが、本作では逆にアクションステージの廃止と指定試合の導入で、オープンワールドの特色を活かしたデザインとなっている。
---ルーチンワークのように同じ施設に通い、それ以外は精々アイテム探ししか探索する意義が無かった『1』に対し、本作では指定試合の捜索の他、フィールドのあちこちにボランティアの依頼人やTシャツをくれる友好的な宇宙人が居たり、フリーミッションが点在しているため、探索のし甲斐が出来た。ミニゲームもフリーミッションも規定の施設から受けるのではなく、実際に発生場所に向かう形式なので、移動にもしっかり意味がある。
--アイテム探しに関しても、ロビィコフボールぐらいしか無かった『1』に対して本作はジーンの子供、デスマンカード、植林場所と言った豊富な収集要素がマップの随所に散らばっており、オープンワールドらしい探し回る楽しみがある。
---中にはラーメンの具材になる''サソリ''を探す、宇宙人の抜け殻(どう見ても''モアイ'')を拳一つで破壊するという珍妙な物も
--『1』ではパラメーターをアップする施設とナオミ研究所がモーテルを挟んで街の正反対に位置していたため行き来するのが面倒だったが、今作では(デスグローブのチップの作成やSushiの注文など本作の新要素も含めて)モーテルの地下に集約されている。
--ファストトラベル、マーカーの設置と言ったオープンワールドの基本機能が搭載され、探索がしやすくなった。また、セーブポイントも各所に配置されている。
--『1』では同じ街をゲームを通して行き来するだけだったが、今作ではいつものサンタデストロイに加えて4つの個性的なフィールドが追加され、計5つの多彩なエリアを持つオープンワールドとなった。
--バイクはボタン一つでいつでも呼び寄せ可能。『1』でも運んできてもらうことが可能だったが、今作では瞬時に転送する形なのですぐに乗れる。
--『2』ではフィールドもエントリー料もバッサリカットしたため、テンポと引き換えにボリュームを犠牲にしていたが、このように『1』の要素を改善しつつ復活させ、『2』ほどではないがテンポの良さも残しているため、テンポとボリュームを備えたある意味いいとこどりな作りになっている。
--オープンワールドらしく、今作ではエンディング後もエンドレスでプレイが可能になっている。勿論、いつも通りの周回プレイも可能なのでご安心を((一応、『1』もラスボス撃破にフィールド探索が可能だったが、その後に真のラスボスとエンディングを控えていた。今作は『TSA』を踏襲しているとも言える。))。

-その他過去作からの改善点
--過去作のミニゲームの中にはただの連打ゲーやタイミングよくボタンを押すだけ…と言うものがあったが、そうした単純すぎる物は廃されいずれも普通に遊べるものとなった。
--『1』ではかなり意図的に稼ぎプレイをしないと後半のランキング戦に挑めなかったが、今回は指定試合やサブイベントをクリアしていれば普通に払える程度の金額になった。
---主人公の強化には別のリソースを用いるため、振り込みの際にあまり残金を気にしなくて良いのもポイント。勿論、Sushi購入には必要だが。
--今作は中ボスクラスの強敵と何度も戦ったりと、難易度は高め。更に『TSA』と違ってゲーム中に難易度変更は出来なくなった。
---しかし救済措置であるリトライルーレットとSushiが導入されているため、初心者でも詰みにくくなっている。
---リトライルーレットは「攻撃力アップ」などの他、「''その場復活''」と言った強力なアシストがあり、しかも何度も負けているとルーレットが遅くなって目当てのアシストに止めやすくなる。
--研究所の装置にアクセスすれば、倒した過去のランカーとも再戦が可能。リソース稼ぎにも利用できる。
--ランカー戦前のシルヴィアからの電話が復活。『1』の時に比べると個人的な話題は少なく、ちゃんと対戦相手について解説してくれる。

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**おバカな点
-そもそもこれまで''一応は''人間同士で戦っていたのだが、いきなり本作では宇宙人対地球人の大決戦になるという%%[[どこかのギャングチーム>Saints Rowシリーズ]]ばりの%%ムチャクチャっぷり。
--キャッチコピーは「''宇宙まるごと大決戦''」。最早、殺し屋の領分など霞んで見えすらしないほど遠くに飛び出している。%%と言うか、『[[ドラゴンボール>ドラゴンボールシリーズ]]』にそんなタイトルの映画がありませんでしたっけ?%%

-個性派という言葉では言い表せない''奇人変人超人''まみれの「なんでもあり」なキャラクターも健在。
--敵が宇宙人ということで、大ボス・FUを始め、従来に輪を掛けたぶっ飛んだ面子が揃っている。しかしそんなカオスぶりでも調和が取れているのが「ノーモア」の世界の不思議である。
--FUは幼少期に地球に不時着し、出会った少年と心を通わせた末、彼の尽力で故郷に帰れたという感動的な過去を持ちながら、現在にて逆に地球侵略を目論むというぶっ飛んだ設定の悪逆非道キャラとなっている。言うなれば、''侵略者になって帰ってきた『E.T.』である''。
---一方、悪の親玉で極悪人ながら、各ランカー戦前には対戦相手のランカーとの妙に人間臭いやり取りが描かれる。タピオカミルクティーを飲む、ダイナーで電話相手にブチ切れる、''とんかつ屋で勝利祈願をする''などなど、憎き悪役のはずなのにどこか憎みきれない愛嬌も見せる。
---相対するまで存在すら不明だった『1』のジーン、登場はラストバトルまでお預けだった『2』のジャスパー・バット・ジュニア、キャラ像が掴みにくかった『TSA』のジュブナイルと言った旧作の敵役((本作のFU(ジェフ・パディスト・6世)を含め、全員名前が「ジ」から始まっているのは偶然だろうか。))と違ってイベントシーンに出ずっぱりであり、序盤から強い存在感を発揮している点も須田ゲーでは異質。
--お馴染みの主人公のトラヴィスも中年に差し掛かって外見上は渋さが増したものの内面はあまり変わっておらず、ギャグ・シリアス双方で魅せてくれる点は変わらず。
---ゲーム開始時はラフな格好に前髪を下ろして髭を生やした、同一人物とはとても思えない姿で登場する。その後、フルアーマーモードへのHensinを経ていつものスタイルに戻る。しかし当初のラフな中年の恰好でのプレイも可能である。
--シリーズヒロインのシルヴィアは『2』でトラヴィスと深い関係になっても相変わらず掴み所の無い態度でトラヴィスとプレイヤーを翻弄する。しかし何故か今回はそのランカー戦会場に合わせたコスチュームで登場し、''大阪のおばちゃんスタイルで自転車を引いてきたり''、''ジャージ姿でゴミ出し''をしたりと、イメージを崩す事も厭わない役者ぶりを見せる。
--今作では、シリーズ過去作や近年の須田作品でお馴染みのコザキ氏に加え、何人ものイラストレーター、漫画家を招いている。多数のデザイナーによって生み出されたキャラが入り混じり、一層カオスさに磨きがかかっている。しかしそれでも調和が(ry

-旧作のダークサイドモードではトラヴィスがスー◯ーサ◯ヤ人や本物の虎に変わっていたが、本作のフルアーマーモードではどっからどうみても''ロボット''にHenshinできるようになった。
--強化形態であるフルグリーンモードの初解禁時はなんだか[[T字の物が飛び出して>機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]][[青緑色に変わる>機動戦士ガンダムUC]]という何かを連想さざるを得ないような展開となっている。

-デスグローブの強化チップの名前が前作は[[どこかの機動戦士>ガンダムシリーズ]]染みたネーミングだったが今回は「タロウ」「ティガ」「ゼロ」…など、OP演出同様にどこかの光の巨人を彷彿させる名前になっている。
--元々本作は2020年発売予定で延期したのだが、故に発売ギリギリまで調整できたのか「トリガー」まであったりする。

-ボスマップの奇抜な演出も(後述のような賛否両論点のあるボスもあるにはあるが)引き続き好評。
--宇宙空間でロボットバトル、アイドルのステージ、''椅子取りゲーム''、''主観視点ホラーゲーム''…などまさになんでもあり。また、ゲームルール自体が変わってしまいノーモア「らしい」解決法で突破する3位戦などは特に評価が高い。
--最終章の展開は正に''やりたい放題''。特に真のラスボス戦は任天堂ハードで発売され、そして本シリーズが任天堂ハード発祥であることを最大限生かした演出と言える((任天堂のクリーンなイメージが特に強かった頃、須田氏は任天堂ハードにパンクな作品を提供する事に使命感を見せていた。本シリーズや『killer7』はその表れでもあった。))。%%ここまでやると他社ハードで出せないんじゃあ…。%%
---最終決戦の最中には仲間達が一人ずつ駆け付けて敵にダメージを与えていくという、純粋に熱い展開もある。

-トラヴィスの愛猫・ジーンは本作で突然シブい男性ボイスでしゃべるという設定が追加された((厳密にはジーンが人語を話すこと自体は前作『TSA』で明らかになっていたが、オスとメスの判断のつかない見た目やジーンの名前がトラヴィスの妹の名前に由来するため雌ないしかわいい声と思われていた。実際、飼い主のトラヴィスすら雌だと思っていた。))が後付け感をさっぱり感じないほど非常にハマっている。
--前作までは基本的に留守番だったが、喋れるようになった事で今作ではランカー戦に付いてきてくれる他、戦闘中も画面外からアナウンスする。ストーリー上でもトラヴィスの良き相棒として色々助言をしてくれるので、『TSA』のADVパートでのかなり生意気なキャラ付けと比較しても好感が持てる。
--初めて出会った雑魚敵には児童誌風にトラヴィスとジーンが解説するという手の込んだカットが入る。
--ただの猫だった『1』の頃のような戯れも可能。ちなみに体型はまた『2』時代のぽっちゃりに戻ってしまっている。
---『2』ほど種類は無いが一緒に遊ぶ事もできる。喋れるようになった為に、失敗すると「へたくそ!」「ちゃんと投げろ!」などとストレートに罵倒されるが…。

-ボランティアミッションもまたトンデモぶり。『2』のような8bitスタイルではなくなり、『1』のような普通の画面でのミニゲームになった。
--ワニの跋扈する超危険な場所でゴミ拾い、ハイウェイを我が物顔で走る暴走族をバイクの体当たりでぶちのめす、戦車でワニが陸に上がってくるのを防ぐ((こう書くとさほど変でもなさそうだが、そのワニはどう見ても上陸しようとしている巨大怪獣である。))と全体的にバカゲーテイスト満載な仕上がりになっている。ボランティアも変わったものである…。

-サブイベントではテキストADVが展開され、『TSA』のような豊富な須田作品ネタこそ無いものの、内容は理解し易くなっている。
--思いがけない人情話もあり、『TSA』での三枚目を抑えたトラヴィスの粋な面を堪能できる。
--と思いきや、抱腹絶倒のギャグもあったりと読み進めるのが楽しい作りになっている。

-今作ではメニュー画面からメールチェックが可能だが、本編のメールだけではなくNetflixならぬ''Not''flixからオススメ映画の紹介が''スパムメール扱い''で届くというネタも盛り込まれている(映画名はパロディ)。

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**賛否両論点
-作風の変化
--『TSA』を挟んだとは言えナンバリングとしては10年以上空いたことによる世相の変化や須田氏を始めとした開発スタッフが年齢を重ねたことによる思想の変化もあるのか、過去作とはやや作風が異なる印象を受ける箇所がある。
--旧作は敵も同じ穴の狢且つ主人公側に「仇討ち」などの目的があっても、結局は「自らのエゴで同じ人間を殺して回る」内容で、その中で殺し合いの虚しさや無情さ、それでも戦い続ける事しか出来ない者達の悲哀を描いたハードボイルドな内容だったのだが、今作は「正義のヒーローが宇宙人から地球を守る」という創作物として正統派の世界観になっている。
---そのため、旧作と同じテイストを求めていたファンからはやや不評を買う結果となった。%%この点も[[某ギャングチームの第4作>Saints Row IV]]と似ている。%%
---逆に言えば後ろ暗さでバカ騒ぎに水を差される事が無く、気兼ね無しにおバカでド派手な戦いを楽しめるという事でもある。また、過去作の焼き直しになっていない点は評価できる。
---一方、過去作キャラとの再戦関連のエピソードでは元の雰囲気を踏襲しているものもある。

-一部の「やりすぎ」なメタギャグ
--メタギャグ自体は過去作でもやっているのだが、本作はある場面で特定の製作スタッフの個人名を名指するというギャグがあり、プレイヤー置いてきぼりの内輪ネタ感も感じなくはない。
--そうでなくとも、今作は当たり前のようにメタ発言が飛び出す。笑い続けられるか流石に辟易するかは人によって分かれるだろう。

-ディープなパロネタが増えた。
--「三池崇史監督の映画」「プロレス」「ロボアニメ」「特撮」のどれかをある程度知らないとやや面白みが感じられないかもしれない。逆に言うと全部知っている人にはとにかく刺さりまくるギャグとなっているが。
--特に三池監督については『2』でゲスト出演して以来、何かとネタが取り上げられるようになっており、今作では各エピソードの冒頭でトラヴィスとビショップの三池映画トークが毎度繰り広げられる。映画を知らないと付いていけない。
---しかもあるシーンでは三池監督自身が『2』に続いて出演。『2』ではビームカタナを託す謎の人物扱いだったが、本作でははっきり正体が明言され、ファンであるトラヴィスが大はしゃぎする展開になる。
--バナー広告からして「[[最後の一撃は、''えげつない''。>ワンダと巨像]]」なんてものも([[参考>https://twitter.com/suda_51/status/1435026399341940738]])。…正にえげつない。

-下ネタやB級映画的なセクシー要素も減少傾向にある。
--もっとも作中のトラヴィスが%%脱童貞して%%歳を重ねた((『2』で既に三十路過ぎで、それから10年も経っている訳で…。))ため、あまりそうしたものにセンシティブに食いつくギャグが笑えるかと言うと意見が割れるかもしれないが。
--トラヴィスがハマっていた作中作である「ビザジェリ」ネタもほぼなくなった。前作ではわざわざ専用ムービーを作る力の入れようだったのだが…。

-『2』及び前作に存在したトラヴィス以外のプレイアブルキャラがなくなった。
--シノブ、ヘンリー、バッドマン、バッドガールは登場はするのだが、いずれも操作する事は無い。
--もっともこれに関しては『2』では問題点にもなっていた(詳しくは『2』の記事参照)ため、トラヴィス一人に絞ってゲーム性を高めたこと自体も悪いわけではない。そのトラヴィスも宇宙戦や各種ミニゲームなど操作感が変わるパートがあるため飽きの来ないゲームデザインにはなっている。

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**問題点
-ランカー戦の展開。
--本作にも個性豊かな10人のランカーが登場し、彼らと死闘を繰り広げる。実際にランカー戦に挑むまで顔も名前も不明だった『2』までとは異なり、今作は序盤でしっかり全員紹介される。
#region(しかし…(ネタバレ))
--なんとその10人の''半数とは戦わない。''乱入者に倒されるなど、何らかの理由で別のボスに変更される。つまり彼らはただのフェイクである。
---過去作でもランキング戦の対戦相手が直前に変更されるというネタはあったのだが、精々一作に一回か二回で意表を突く演出になっていたのに対し、本作では乱発のし過ぎで逆に意外性がなくなっている。
---また、前作までの乱入はそれ自体が一発ギャグや後の伏線にうまく生きていたのに対し、本作は「とりあえずとっかわる」という投げやりな感じになっているのもマイナス点。
--公式サイトにはランカー達の紹介がある一方、「その他」の項に旧作のライバルやいかにもボス然とした強敵らしきキャラが何人も載っている。つまり…。
--7位戦に関してはシリーズファンなら予想の付き易い展開であり、このパターンが上手く働いた例と言える。ただ、前章から連続しているのは褒められた事ではないが…。
#endregion

-終盤のとあるエピソード。
--本作は基本的に悪の宇宙人との戦いという分かり易い構図で、倒すべき敵もはっきりしており、敵側の描写も多く理解しやすい作りになっているのだが…。
#region(軽いネタバレ)
--エピソード9(ランキング3位撃破後~1位に挑戦するまで)はそれまでと一転して極めて難解な展開になっている。
--エピソードそのものは「主人公がどん底に叩き落されるも、そこから再起して最終決戦に臨む」という王道のクライマックス展開であり、通常なら終局に向けて盛り上がるはずの所である。
---だが、その一連の流れが今作や過去作と全くと言っていいほど繋がっていない上にプレイヤー置いてきぼりの超展開が続き、しかもそこにも自重せずにギャグが混じるため、完全に理解が追いつかない。
---このエピソードで張られた伏線や謎は結局回収される事は無く、ゲームをクリアしても謎のままである。
--ひたすら難解な『[[シルバー事件]]』『killer7』などは元より、ギャグと超展開の大洪水で終盤は完全にプレイヤー置いてきぼりの『月極蘭子のいちばん長い日((全10ステージ中、ステージ8まではムチャクチャながらも判りやすいアクションギャグなのだが、それ以降は最低限の説明すら無く、理解させる事を完全に放棄したクリエイターの感性だけで突っ走る展開となっている。))』のように、理解するのではなく「感じる」展開を持って来るのは須田作品では珍しくないが、本シリーズは比較的分かり易い作りだったため、初代からのシリーズファンだからという安心は通用しない。
--ラストバトル最中にもとんでもない超展開があるものの、上記のような理不尽さは無く勢いで押し切るタイプであり、解答についても暗示はされている。
--海外インタビューによると、当初ゲーム内に盛り込む予定だったムービーシーンを一時間近く削除及び改変してしまったとのことである。
---実際の所、このエピソードの「難解さ」は過去の須田作品のようなプレイヤーを煙に巻く展開と言うよりは、''描くべきストーリーがすっぽ抜けて訳が分からなくなっている''ような感覚であり、この改変の煽りを露骨に喰らった事が見て取れる。
---ただし同インタビューにおける須田氏曰く「製品版の形も一つの完成形」とのことで、ただストーリーの細かな解説を盛り込めなくて意味不明になったというだけの話ではなく、意図的に整合性よりも観客の予想を裏切る展開を取ったと言える。もっとも製品版を見る限りそれがあまり良い選択だったとは言いにくいが…。
#endregion

-「多彩なエリア」とは上述したが、実際は進入不可マップが相当広い。
--マップ画面を開くとマップのかなりの部分が進入不可エリアとなっており、シナリオが進むといずれ解禁されるのだろう…と思ってプレイするかもしれないが、結論から言ってしまうと''このエリアには立ち入ることはできない''。[[マップのほとんど>Deadly Premonition 2: A Blessing In Disguise]]とは言わずとも、半分近くは無駄になっている。
---マップ上はなんらかの施設や地形、移動可能な道に繋がる道路がしっかりと描かれており、「当初は使う構想だったが没になってしまった」感がありありと出ている。
--最初から行ける「パーフェクトワールド」からして、面積の大半が進入不可。全然パーフェクトじゃない。
--最後に行ける「ネオブラジル」は近未来的な高層ビル街が特徴的だが、''そのビル街には入れない''。ビル街を臨む公園内しか移動出来ず、しかも建物らしい建物もほとんど存在しない''ほぼ平地''である。フィールドとして最後に解禁されるエリアだけに、尻すぼみ感が凄まじい。
---三番目の「サンダードーム」も奥の歓楽街「ネオオサカ」以外は建物の無い不毛の大地だが、「ネオオサカ」にはしっかり入れる上にボス戦もサブイベントもある。しかし「ネオブラジル」にはそれすら無く、ビル街は本当にただの背景でしかない。
--最終マップの「デーモンタワー」は一応エリアの一つという扱いではあるが、アクションステージ廃止の煽りを受けたのか、通路で雑魚を蹴散らしたらボス戦というもはやマップとして用意する必要があったのか疑いたくなるぐらい簡素なものとなっている。

-前作までのあらすじやキャラ解説が全くなく、知っている前提で進む。
--公式の発売前PVでは「過去作を遊んでなくてもノープロブレム」と言ってるが、はっきり言って''大嘘''である。
---イントロダクショントレイラームービーでは「『3』が初めてのルーキーも安心して遊べる」「初見プレイヤーを無視したナンバリングは好みが真っ二つだからな。''ユーザー思いだぜ!''」と語られている。%%よくもまあ、いけしゃあしゃあと…。%%
--単純に『1』『2』だけでなく外伝作である『TSA』を(DLC編込みで)やっていないと分からないポイントがある。
#region(ネタバレ注意)
--『TSA』から続いている話がいくつかあるのだが、「倒したはずの『TSA』の黒幕がいきなり味方になっている」「『TSA』でせっかく復活したバッドガールは序盤で戦意喪失してしまい長期離脱する」「あるボスは『TSA』に登場したキャラの関係者だったのが前触れなしに発覚して結局見逃す」「ある敵は『TSA』でトラヴィスと因縁を持ち、彼に殺意を抱いている事が序盤から描写されるのだが、敵がその件について一言漏らしたことでトラヴィスが因縁があったことをようやく思い出す」という作品間のリンクのさせ方としても微妙な点がある。
---何より『TSA』でトラヴィスの相棒として共闘したバッドマンは序盤で登場して早々に''非業の死を遂げてしまう''。実は生きていた、娘同様に復活する、などと言った展開は勿論無い。その死がトラヴィスを戦いに駆り立てる理由の一つとなるため、『2』のビショップのような役回りになっている。仮にも主人公の一人なのだが…。~
一応、バッドガールが父のことを本当は慕っていたことが明かされ、キャラの意外な面の掘り下げに貢献できてはいるのだが、その親子の掛け合いがストーリー上で描かれないまま((『TSA』でもバッドガール復活後の顛末はバッドマンのモノローグで語られただけであり、以降は両者ともトレーラーハウスで思い思いに過ごしているだけでやり取り自体は描かれていない。))終わってしまうのは残念な所ではある。
---最初のランカー「Mr.ブラックホール」は『TSA』で既に登場済みという事からなのか、自己紹介も無いままいきなりトラヴィスと会話している。しかし顔見知りなのかも判別に困るやり取りなので、『TSA』をやっていても分かり辛い。
---また、『TSA』のADVパートで語られたトラヴィスの子供達は本作では存在こそ所々で語れるものの、実際に関わるのは最後の最後。しかも『TSA』をプレイ済みの人ですら置いてきぼりな登場の仕方である。
---連続したドラマとして描きたいのであれば改めて本作でもっとこれらのエピソードを掘り下げるべきだし、逆に『3』から入る人を考慮するならばこれまでの話と無関係にするかのどちらかに吹っ切った方がよかっただろう。
---『2』でも『1』でモブ同然だったキャラの血縁者を黒幕にしたり、ショップの店員だったNPC((トラヴィスの親友ではあるが、一般人なので本編には絡まない。))の死を戦いの動機にする、と言った斜め上気味のリンクが存在したが、あちらは元が然程重要ではなかった為に知らなくとも影響は少なく、それでいて作品のテーマともうまく絡ませていた。
---尚、上記のトレイラーではさり気なく「''これ、絶対に『TSA』もやっといた方が良さそうだな…''」と呟かれている。''どこが「ルーキーも安心」なのか''。
--『1』『2』のキャラにしても扱いが悪かったり、微妙な登場のさせ方も見受けられる。特にメインキャラが顕著。
---シノブは早々に戦線離脱し、終盤まで登場しない。バッドマンと違って命は助かり、終盤に活躍シーンがあるのが救いだが。
---ヘンリーは詳細も明かされないまま豹変し、トラヴィスとプレイヤーを翻弄するだけ翻弄し、何も明かさないまま退場する。エピローグでネタ的に語られるが、本作のストーリーそのものには関われていない。と言うか、上述した「難解な展開」の主な原因はこの男である。『1』では真のラスボスであり、『2』ではプレイアブル化した上、ラストバトルで共闘までしたのだが…。
---『1』『2』でビームカタナの強化をしてくれたナオミ博士は驚愕の姿での登場である。しかし何故そうなってしまったのかは本編中は語られない。
#endregion
--人物以外にも「ビザジェリ」に触れたり『2』に登場したグラストンベリーの話が急に出てきたりするのだが前作までをプレイしていないと全く分からない。
--『2』でも「説明してたら長くなる」「長いと嫌われる」などという理由で説明を放棄していたが、旧作から時が流れた(一応の)完結編でもそのスタンスは変わらなかったようだ。ガチャポンのフィギュアに解説文を載せるなどやり方はあったように思えるが…。
---ただし、過去三作を遊んでいても置いてけぼりにされるポイントに関しては、やろうがやらまいが一緒ではある。
--挙句、スタッフロールでは本作のみならず『1』『2』『TSA』のキャラがさも本作に登場していたかのように表示される。本作から始めたプレイヤーには誰が誰だかさっぱり分からない。ガチャポンのフィギュアに(ry

-その他、不親切な点
--『TSA』のボスキャラ「ドッペルゲンガー」を探すサブイベントが存在するのだが、他の収集要素と異なり、メールで居場所を知らせる⇒発見⇒次のメール、という感じで一つずつ回収していく形になる。
---しかしそのメールに書かれているのは「どのエリアか」だけで他にヒントは無いので、後はそのエリアを宛ても無く探し回る羽目になる。
--ボランティアの一つの発掘ミニゲームは3回ダメージを受けないように鉱石を発掘し、スタート地点に戻る形式なのだが、途中で雑魚敵との戦闘もある。
---失敗してやり直しても勿論雑魚戦はあるので再挑戦が面倒である。ミニゲーム自体の難易度も高めなので、やり直しの度に雑魚戦を消化しなければならず、億劫に感じがち。

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**総評
アクション部分に関しては『ノーモア★ヒーローズ』以外の過去の須田ゲー含め上位の出来で、独創的なデザインやユニークなカットシーンに関しても相変わらずの尖りぶりである。~
ゲームデザインも過去作の特色を折衷・進化させつつ独自性も出し、表現面では''規制版と無規制版の折衷''すらも行うという、正にシリーズの集大成と言える内容となっている。~
アクションゲーム、オープンワールドゲームとしての完成度なら間違いなくシリーズ及び、須田ゲーの最高峰と言えるだろう。

その一方、殺しのエゴと業を描いた旧作と打って変わってタイトルの通りのヒーローものへと変化した事は、同じ雰囲気を求めていたファンからは不満の声もある。~
かと言って、正統派になった割にはストーリーは「一般的な商業作品に求められる整合性」を完全に放棄してしまっており、クリエイターの感性のみに任せた結果が良い方にも悪い方にも作用している。

ただし、あくまで(過去作からのという意味と本作内でのという両方の意味で)線と点が繋がっていないことが問題というだけで、点に注目して見るならば十二分に見どころはある作品と言える。

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**余談
-本作は従来通り英語音声だが、[[My Nintendo Store>https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000030357.html]]のトレイラームービーでは『英雄たちの楽園』でトラヴィス役を務めた中井和哉氏が再びトラヴィスとして紹介を行なっている。
--発売前PVはシルヴィアが紹介を行うものだが、こちらは本編同様に英語音声。こちらは''紹介している最中に「広告まであと○秒」の表示と共に動画広告が割り込まれる''というYouTubeの仕様をネタにした作りになっている。

-前作と違ってサブタイトルの無い本作だが、当初は付ける予定だったと須田氏は語っている。
--その名も『''ノーモア★ヒーローズ3 FINAL BOUT -宇宙まるごと大戦争!-''』。''長い''。
--やはり長過ぎるということでロッキーシリーズ並みにシンプルに行く事になったとのこと。%%というかやっぱり[[ドラゴンボール>ドラゴンボール FINAL BOUT]]じゃないか!((須田氏が初期に携わった『スーパーファイヤープロレスリング3』も「Final Bout」のサブタイトルがあったためそこから取ったのかもしれないが、キャッチコピーや過去にもDBネタを使っていた事を考えるとそちらの可能性も、或いは両方の可能性も十分ある。))%%

-本作の敵サイドの登場人物にデーモン・リカテロというキャラが存在するのだが、このネーミングに関してある疑惑が存在する。
--というのも、「リカテロ」という性は現在のUnity Technologies社CEOジョン・リカテロ氏と同じであり、本作がUnityの対抗馬であるUnreal Engineを用いて製作されているためUEのライバルであるユニティの社長からとったネタではないかという意見。と、ここまでなら単なるひねったネーミングの域なのだが…。
--実はジョン・リカテロ氏はUnity Technologies社に努める前にElectronic ArtsのCEOを担当していたのだが、同時期に須田氏たちはEAがパブリッシングを務めた『Shadows of the DAMNED』を製作していた。
--だが、同作はEA側から様々な横やりが入った結果須田氏(及び共同開発にあたっていた三上氏)の当初のビジョンとは大きく異なる結果となってしまったことで有名であり、本作で敵キャラにリカテロと名付けたのは須田氏なりの意趣返しではないかという指摘がある。
---もちろん、公式で明言されていない以上単なる偶然の一致という可能性もないわけではないが、意味深なネーミングと言えよう。%%というか本当だったら、それこそ公式に明言などする訳が無いが。%%
--ちなみにデーモン・リカテロの初出は『TSA』であり、''『Shadows of the DAMNED』がステージのモチーフになっている「Serious Moonlight」絡み''で登場していた((より正確に言うと「Serious Moonlight」を起動したら『Shadows of the DAMNED』の続編を意識したゲームが始まったという流れだが、ゲーム的にはステージは「Serious Moonlight」となっている。))。偶然の一致と言う可能性もないわけでは(ry
---また、同作でのリカテロは「開発中のSerious Moonlightに''勝手な異を唱えたクソ野郎''」とされ、作中でもボロクソな扱いを受けていた。偶然の一致と(ry

-須田氏曰く本作が『ノーモア★ヒーローズ』シリーズ最終作になる…とのことだが、この主張は二転三転しており作中でも次回作を匂わすギャグがあったりとはっきりしない。
--実際、本作のエンディング自体は綺麗に終わるのだが、エピローグではまた新たな戦いが示唆される。
---と言っても、「終わったと思ったら戦いはまだまだ続くらしい。一体いつになったら終わるのだろうか」という感じでギャグ作品の最終回などに時折見受けられる展開であるため、一発ネタ、続編への布石のどちらにも成り得る。
--なお、雑誌のNintendo DREAMにて行われた須田氏へのインタビューによると「''続編の案はあるが、新規IPの計画を3本抱えているためすぐには取り掛かれない''」とのことで、可能性が0ではないがすぐに出ることもないというのが実情と思われる。
---もっとも、上記の発言を見れば須田氏が現在も精力的にゲーム制作に取り組んでいるのは明白であり、いずれ『ノーモア★ヒーローズ』の新作が開発される可能性は充分にあり得るだろう。