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//STAR OCEAN Till the End of Time 注意:このページでは、オリジナル版の『スターオーシャン Till the End of Time』と、その調整版『スターオーシャン Till the End of Time ディレクターズカット』について解説する。判定はオリジナル版が「シリーズファンから不評」、調整版が「良作/シリーズファンから不評」。 #contents() ---- *スターオーシャン Till the End of Time 【すたーおーしゃん てぃるじえんどおぶたいむ】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B00006D2DI)※重大なバグあり&br() 購入時要注意! | |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|DVD-ROM 1枚|~| |発売元|エニックス|~| |開発元|トライエース|~| |発売日|2003年2月27日|~| |定価|8,190円|~| |プレイ人数|1人|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|『[[聖剣2>聖剣伝説2]]』並みなバグの総合商社&br()後半以降のストーリー展開にシリーズファンから批判多数&br()3D化により洗練されたハイテンポな戦闘システムは高評価&br()後半を除けばシナリオは良く、キャラクターやBGMの人気も高い|~| |>|>|CENTER:''[[スターオーシャンシリーズ]]''| **概要 ゲーム開発会社・トライエースの看板タイトルである『[[スターオーシャン]]』シリーズの本編タイトル3作目。~ ナンバリングタイトルだが、見ての通り正式名称には『3』とは付いていない。~ 一方でタイトルには「スターオーシャン3」と併記されており、略称も『SO3』が最も浸透している。~ その理由は開発時の仮称が「スターオーシャン3」だった事と、実際の三作目にあたる『[[スターオーシャン ブルースフィア]]』より開発開始が早かった事や、そもそも『ブルースフィア』は外伝である事、などが挙げられる((尚、『4』『5』も本作同様にタイトルロゴにナンバリングを含まず、その下にナンバリング付きタイトルを併記する形になっているが、ややこしい事に正式名称にナンバリングを含まないのは本作のみとなっている。))。 時系列は前作『[[スターオーシャン セカンドストーリー]]』の400年後となっており、シリーズが『6』まで続いた現在でも最も未来を描いたものとなっている。 PS2のHDD(BB-UNIT)に対応しており、インストール中の画面には戦闘システムの説明が表示される。 ---- **ストーリー >全宇宙の破壊を目論む「神の十賢者」との戦い、そしてエナジーネーデの消滅から約400年後。~ 西暦2858年(宇宙暦772年)には銀河連邦は既に銀河の1/3の探査を終えるほどの繁栄を極めていた。~ ~ 地球人の青年フェイト・ラインゴッドは銀河有数の紋章遺伝子学の権威である両親と、幼馴染のソフィア・エスティードと共に保養惑星ハイダを訪れていた。~ ソフィアに駄々をこねられて渋々同行したフェイトだったが、趣味のファイトシミュレータに興じたりソフィアとホテルを散策したりと何だかんだで家族旅行を満喫していた。~ ~ しかしその平穏な時間も長くは続かなかった。~ ~ 突如、ハイダが正体不明の宇宙軍に攻撃され、無残に蹂躙されたのだ。~ 避難の最中、両親と引き離されつつもフェイトはソフィアと共に脱出艇で星を飛び立つが、宇宙にて敵軍の更なる追撃を受け、ソフィアとも離れ離れになってしまう。~ たった一人になったフェイトを乗せた脱出ポッドは、付近の未開惑星へと降下していった。 ---- **基本システム -3D作品となったことで、移動には大きく手が入っている。 --ワールドマップは廃され、『1』と同じく街などの拠点とそれを繋ぐ街道などの操作を区別しない形式となった。 --敵とのエンカウントはシンボルエンカウント式となり、移動で敵を回避できるようになった。 ---- **戦闘システム -戦闘は3Dのフィールドで行われ、左スティックで自由な移動が可能。 --また、方向キーをキャラ正面以外の方向に押す事で「バトルステップ」と呼ばれる定距離移動ができる。 -戦闘参加人数は、前作までの4人から3人に減った。HPだけでなく、MPも0になると戦闘不能になり、そのシステムのために他のRPGよりもMPにダメージを与える攻撃が格段に多い。L1・R1ボタンで操作キャラを瞬時に切り替えられる。 --MP0でも戦闘不能という仕様は不利な要素と思われがちだが、これは敵側にも適用される。高いHPを持つ敵も、MPを削れば楽に倒せる場合も多い。 ---HPとMPのダメージを両立させようとすると火力が中途半端になりがちなので、HPとMPに大差がある敵でなければ、重点的に攻める側を決めたほうがいい。 -敵味方ともに最大100%の「Guts」を行動ごとに決まった量を消費し、0になると移動などはできるが攻撃や呪文が一切行えなくなる。 --Gutsは静止することで高速で回復していき、2、3秒ほど立ち止まれば全快する。 -三すくみの戦闘アクション --○ボタンで予備動作が短いが威力の低い「小攻撃」。出の早さを活かして敵の大攻撃を潰す事ができるが、プロテクトで防がれてしまう。 --×ボタンで動作が大振りで威力の高い「大攻撃」。相手のプロテクトを崩してダメージを与えられるが、隙が多く小攻撃で潰されやすい。 --Gutsが最大値+静止状態で小攻撃を受けると「プロテクト」が発生して攻撃を無効化した上、攻撃や補助の効果を持つ「カウンターオーラ」を敵や味方に飛ばすことが出来る。ただし、大攻撃を受けると攻撃は防げない上、「プロテクト破壊」が発生してGutsを大幅に下げられてしまう。また、プロテクト成立時にもGutsが1%減少するので、多段ヒットする攻撃は小攻撃であっても捌ききれない。 ---カウンターオーラは初期状態では、攻撃してきた敵1体を気絶させて行動不能にする効果だが、ゲーム進行に伴って追尾機能付き気絶オーラになったり、オーラの効果をダメージや味方の回復などへ切り替えることができる。 ---大小2つの攻撃はSレンジ・Lレンジで性能が変化する。また、キャラによっては敵の密集具合・行動・追加入力等によっても変化する。 --また、上記3つのアクションとは別に十字キーを押す事で、敵の攻撃を回避できる「ステップ」を行える。~ 無敵時間が発生するため敵の大攻撃の回避する時に使用する他、距離を取って攻撃レンジを切り替える等にも使う。~ ステップの性能はキャラクターによって異なっており、一部キャラはステップ中の小攻撃で特殊アクションを行える。 -バトルボーナス --画面右に「ヒートアップゲージ」というゲージがあり、敵に攻撃を当てる度に溜まっていく。味方と敵の強さの差が大きいほど速く溜まり、逆だと一切溜まらなくなる。 --100%まで溜まると、その時の攻撃方法に応じてボーナスを1つ(「経験値3倍」「入手フォル2倍」「勝利時回復率UP」「アイテム入手率UP」のいずれか)得る事ができ、以降戦闘回数を重ねる毎に残りのボーナスを順々にランダムで得られる。 --効果は「操作キャラがクリティカル攻撃を受けるか戦闘不能になる」「戦闘から逃走する」「セーブデータをロードする」のいずれかで終了する。 -各キャラには従来のシリーズでいう必殺技に相当する「バトルスキル」をセットでき、攻撃ボタン長押しで発動する。 --「Sレンジ(近距離)・Lレンジ(遠距離)」の「小攻撃・大攻撃」、計4ヶ所にそれぞれセット可能。 ---ただし、バトルスキルにはそれぞれキャパシティポイント(CP)と呼ばれる値が設定されており、その合計値が上限値を超えないようセットしなければならない。上限は全キャラ共通で15。 --発動にはHPまたはMPを消費する。大攻撃で発動させた方が威力・消費量が大きく、プロテクトも破れる。この大攻撃での消費量は固定値になっている。 ---ただしDC版では、一部のバトルスキルは小攻撃でもプロテクトブレイクが発生するので、大攻撃にこだわらずに色々試してみるのも面白い。 --前作と同様に各スキルには熟練度が設定されており、使用回数が一定に達する毎に効果が上昇する。 --従来作の戦闘スキルに相当する補助スキルを2つまでセットできる。熟練度があり、セットにCPを使うのもバトルスキルと同じ。 -キャンセルチェイン --格闘ゲームのキャンセルのように、技の出終わりの隙をキャンセルして、新しくバトルスキル(技)を発動させる事ができる。 --キャンセルの順番には制約があり、(通常小攻撃→)小バトルスキル→大バトルスキル→小バトルスキル…と、小攻撃にセットした技と大攻撃の技を繰り返す形でのみ発動できる。 ---同じ技を繋げられないという制約はなく、小攻撃と大攻撃に同じ技をセットしていれば、技A(小攻撃)→技A(大攻撃)と繋げることは可能。 --技を繋げる回数そのものに制限はないが、技の発動それぞれにGutsを消費するため、繋げられる現実的な回数は基本的には1~5回程度となり、大技を組み込むと繋げられる回数は少なくなる。 //---DC版ではキャンセルを繰り返すと、最大で300%までバトルスキルの威力が増加するシステムが新たに追加された。 //効果は永続ではないが、戦闘中何度でも発生させられるので、コレによりCPの低いバトルスキルにも目を向ける機会が与えられた。 //↑DC版に記載されている要素なのでCO -レベルが上がると溜まる「スキルポイント」を振り分けることで、HP・MPとCPU操作時のAIの補強ができる。 --HPやMPが上がる「生命力」「精神力」、AIの攻め・守り頻度が上がる「攻撃術」「見切り」の4種類をそれぞれレベル10まで上げることができる。 --ただし、これらのレベルは一度上げたら元に戻せない。AIを司る「攻撃術」「見切り」はあくまでパターンの変化で、レベルが高ければ良い行動をしてくれるとは限らないので、注意しなければいけない。 -タクティカルスキルが追加。バトルスキルとは別個に能力を設定でき、戦闘中でも変更できる。 --カウンターオーラの種類の変更。防御力を低下するかわりに、HPダメージを30%増加させて、消費ガッツを半減させるバーサークの有無。受けたHPかMPへのダメージをもう一方へのダメージに変化させるバランスコンディションの設定と有無、といったものがある。 -前作同様、敵が後方や上方から奇襲してくる「バックアタック」「レイドアタック」が発生する。 --本作はシンボルエンカウントとなったため、これらの奇襲戦闘はランダム発生ではなく、後ろから敵シンボルに接触されることでいずれかが発生する。 -前作の「ボイスコレクション」が廃止された代わりに、新たに「バトルコレクション」システムが追加。 --いわゆる実績システムであり、「バトル」の名の通り、全て戦闘に関するものになっている。 --戦闘中に特定の条件を満たすことで達成でき、取得時のスクリーンショットと共に記録される。 --戦闘回数などの回数蓄積、特定ボスの撃破、特定ボス撃破時間のタイムアタックなどの定番に加え、「初期装備の武器で99999ダメージを出す」「攻撃アイテムをマップ上の障害物にぶつける」などの変わったものもある。 --バトルコレクションの達成率が一定に達すると、ゲーム開始時に選択できる難易度のうち高難易度のものが解禁される。 **キャラクター -キャラクター人気は、主人公のフェイトやヒロインのソフィアなど賛否両論のキャラがいるが、他のシリーズにも劣らない。 --人気キャラとして、公式ファン投票で主人公のフェイト以上の人気を獲得したアルベルや、重要キャラクターであるマリアの名前がよく挙がる。 ---マリアは登場までの経緯もあってか発売まで存在が伏せられていたため、プレイヤーに驚きをもって迎えられた。 ---後述するサブキャラクター人気を含め、女性キャラクター評価は全体的に高い。メインキャラクターでも、序盤から仲間になり長らく唯一の女性キャラとして活躍するネルや、スラング「○○の●●はエロカワイイ」((2ちゃんねるのキャラ萌えスレッドのスレッドタイトルとして、よく使われるスラング。))の元ネタとして有力なソフィアも、マリアに一段劣るが人気はある。 ---男性キャラでも前述のアルベルは、従来作には無いキレッキレのキャラクター性、「偉い奴が強いんじゃねぇ、強い奴が偉いんだ」「''阿呆なクソ虫共''」などの強烈な台詞の数々から高い人気を誇る。 ---本作の東地宏樹枠であるクリフも、普段は軽口を叩いたり熱くなりやすく喧嘩っ早かったりするところもあるが、年長者だけあって現実的な思考で、決める時はバシッと決める、頼れる良き兄貴分であり人気がある。 --パーティーキャラクターの総数こそ減ったが、その分サブキャラクターが魅力を強めている。クレアやミラージュなどの人気は、メインキャラクターに迫るものがある。 --因みに、主人公のフェイトは、声優が一緒・双子の姉弟がいる((但し姉弟か兄妹か不明などころかゲーム中で血縁関係がある事自体はっきり言及されておらず、血縁関係ではないかとプレイヤーに思わせるだけに留まっている。))・親から遺伝子改造を受けているなどと、偶然とはいえ、同時期に放映していた某アニメの主人公との共通点が多い(詳しくは余談を参照)。 ---余談だが、ロジャーというキャラクターは、初登場時のシーンで助けないと、&bold(){EDでも牢屋に入ったまま}というギャグシーンが見られる((ただ、彼のキャラクターは『男性には常に喧嘩腰で、女性に媚を売りまくる生意気な12歳の子供』であり、否定的な意見も多い。わざわざ助けなかった場合の専用シーンを作るあたり、ある意味、スタッフも狙ってやったのかもしれない))。 //3にも人気キャラはいますし、ロジャーが賛否分かれるのも事実。 -今回は8人のプレイアブルキャラが登場するが、前作、前々作ほどの編成の自由度は無く、最大6人パーティのうち4人が固定。後の2人分の枠を残り4人の仲間から選ぶ事となる。 --最終的な固定メンバーはフェイト、クリフ、マリア、ソフィアの4人。選択可能キャラはネル、ロジャー、アルベル、スフレの4人である。ネル、アルベル、スフレはストーリーの途中でも一時加入し、特にネルは長らくパーティー入りはするが必須メンバーではない。 --ある地点までに発生させた特定イベントに応じてアルベル、ロジャー、ネルの三人の中から一人が仲間になる。条件を満たしていればアルベルかロジャーが。どちらの条件も満たさなかった場合はネルが仲間になる。 --スフレはその後のイベントで仲間にするか選択可能。スフレを仲間にしなかった場合は終盤にて他三人のうち仲間にならなかったキャラを追加で加入させる事ができる。 ---- **評価点 -完成度の高い戦闘システム --前作までは奥行き描写のある2Dだったために縦方向には攻撃できなかったが、今作では3D化により方向を問わず攻撃可能になり、アクション性が高くなった。 ---前作までのように「位置取りを合わせるためにのたのたと走り回る」事態も起きなくなり、ストレスを感じさせることは少なくなった。 ---主人公のフェイトが、主人公としては珍しくパーティキャラ内で戦闘中の移動速度が最速ということもあり、戦闘のテンポも良好に感じられる。 ---一部の攻撃・技には意図的に空中に浮かせるものや対空性能を持っているものがあり、「敵を打ち上げて空中に飛ばし、落ちて来た無防備な敵に追撃する」というコンボを決められるようになっている。本格的なアクション性を求めるプレイヤーにも応えられる出来。 ---かと言って初心者お断りという訳でもなく、敵のモーションがはっきりしているため、ヒット&アウェイに近い安全策の戦闘も選べる。 --シリーズで初めて呪文や技の演出時に戦闘が止まることがなくなり、バトルテンポが損なわれなくなった。 ---処理落ちもしにくく、2D時代と変わらないと言い切れるほどにサクサク動く。 ---呪文や技が全画面攻撃や必中攻撃ではなくなったため、基本的に全ての攻撃は自分の腕のみで回避可能。コマンド型RPGを引きずった部分がなくなり、アクション性が高まった。 --キャラの使う技は派手なものがあり、エフェクト・効果音・攻撃モーションといった演出面でも優れており、爽快感が非常に高い。 ---特に各キャラクターの最強技は圧巻。極太ビームを発射する、フィールド中に隕石を落とすなどといった演出自体は前作までにもあったものだが、3Dに起こしたことで非常に画になっており、テンポと演出性を非常によく両立している。 --ワンボタンでキャラクターを切り替えられるシステムが前作から継承されている。当時の3D作品としては、戦闘中に操作キャラを待ち時間なしで切り替えられるのはかなり先進的。 ---ハイテンポな戦闘を演出するのに役立っており、操作キャラを上手く切り替えて別のキャラでコンボを繋げる遊び方もある。 --前述の三竦みも戦略性の増加に一役買っている。特にカウンターオーラは重要で、敵によってはディフェンス中心に立ち回るほうが有利に進められる。 --バトルステップの導入によりとっさの回避が行いやすくなり、上級者がアクションの腕で能力値をカバーできるような作りになった。 -前作までと異なりサブキャラクターにも見せ場が多く与えられており、ミラージュ・クレアなどの準主要キャラクター((ミラージュに関しては、当初は仲間入りする予定だった。カップルEDに彼女のEDがあるのはその名残。))の他に個性的なクリエイターの面々も人気がある。 --後にシリーズ定番キャラとなる「ウェルチ・ビンヤード」が初登場したのも本作。可愛く外面もいいギルドの受付嬢だが、実際は自分勝手でしょっちゅうギルドマスターら身内に八つ当たりしたり、かと思えば度々中継カメラを切り忘れて醜態を晒したりというコメディリリーフで強い印象を残した。 -キャラグラフィックも好評。3Dポリゴンだが、適度にアニメ調にデフォルメされている。 --特に、ネルの初登場シーンはその美しさに心奪われたプレイヤーも多いという話がある。 -アイテムクリエーションに「合成」が追加。武器に様々なファクターを付加することで、自分好みにカスタマイズすることができる。 --攻撃力に特化するも良し、攻防のバランスをとるも良しと自由度は高い。その気になれば比較的早い時期から攻撃力をカンストさせたり、最高難易度のFDモードで最強の隠しボスの必殺技をも耐えられるようにできたりする。 --ただし、合成には莫大な費用がかかる。合成を行うのに必要なアイテムがクリア前は入手個数限定で、クリア後も低確率ランダム入手。そして多くの特殊効果は消去できないことから熟考が必要。クリア後を含めて後半までなら合成がなくとも十分ゲームを進行できる。 ---惜しむらくは無印でもDC版でも、防具やアクセサリーに合成が出来なかった点か。せめてDC版で、それが出来るようになっていれば、もっと色々と作る楽しみもあっただろうが… -詳しくは後述するが、ストーリーは終盤に大きく賛否が分かれる展開になるものの、それまでの評価は決して悪いものではない。 --主人公のフェイト達は自分達が先進惑星の人間であることを隠さなければならないという事情の中、2国の戦争の真っ只中に放り込まれる。その深刻さはもちろん、街などの拠点が果たす役割が小さく単なる通過点に近いものになりがちだった前作までと比べ、舞台となる惑星での各地の事情がシリアスに描かれている。 --上述した通りサブキャラクターにも見せ場が与えられた他、前作ではメンバーの多さや編成の自由度のために本編では薄くなりがちだった仲間キャラの描写もかなり濃くなっている。 --メインストーリー自体も、略奪や戦争に巻き込まれつつ進むため、目的が明確で「とりあえず行ってみよう、やってみよう」という無秩序で緩い展開が少なく過去作より動きがある。その中に重い展開や(中盤まではほどよく)意外性のある演出を盛り込むことで、ドラマ性が増している。 ---一方で、ストーリーに関与しない会話などではギャグイベントやパロディ、ユーモラスなテキストがちりばめられており、思わずクスリと笑えて楽しめる。決してゲーム全体が重苦しく陰鬱な雰囲気が漂っている訳ではなく、適度なメリハリが利かされている。 --一つの惑星をメインに冒険し、シナリオ進行に応じて別の星や世界に移動したりするという点は従来と同じだが、今回は複数の惑星間を移動したり、宇宙船での航行や宇宙ステーションなども登場するなど、ファンタジー色が強かった前二作に比べてスペースオペラらしい雰囲気が強まっている。 -クリア後のおまけダンジョンも充実。 --今回はお馴染みの試練の遺跡に加え、全211フロアにも及ぶ高層ビル「スフィア211」という長大なダンジョンも用意されており、やりごたえは抜群。 ---スフィア211自体は本編でも行くのだが、その時は5階からエレベーターで最上階に直行するので6階以降は探索の必要が無い。 --これまたAAA作品お馴染みの隠しボス「イセリア・クイーン」も登場するが、今回はそれすら凌ぐボスも登場。 --もちろんお約束のはっちゃけ具合も健在。むしろパワーアップしている。 --やりこみ派のプレイヤーからは「本編はおまけ、こちらが本番」とまで称されるほど。 -全てではないが、イベントをスキップできるようになった。 --一般的な作品のようにイベント中に任意にスキップできるのではなく、イベント開始時にスキップするか聞く形式なのでやや不便さはあるが、それでも機能が搭載された事は大きな進歩である。 -エンカウントがシンボルエンカウント方式になり、回避してサクサク進むことや任意の敵を選んで資金や経験値稼ぎをすることなどがやりやすくなった。 --消費アイテムを使えば敵の移動を一定時間封じる事が出来るので、戦闘をしたくない時に便利。(一部のダンジョンではそれがあだとなり、アイテムの効果が切れるまで進行不能になったりもするが…。) -3D化したが、視点変更やミニマップ表示がダンジョン・街問わず付いているため迷いにくい。 --L1R1ボタンで視点を回転できる。また、ミニマップも視点に合わせて回転するか、ノースアップ(北が上)に固定するか選択できる。近年のような右スティックで視点操作をするゲームに慣れているとやや使い辛いかもしれないが。 --ダンジョン内のマップはプレイヤーが踏破した場所のみ徐々に解放される方式となっているため、探索のやり甲斐も損なわれていない。マップを埋め尽くすとアイテムが貰える特典もある。 ---特典の所持しているだけで効果を発揮するので、装備枠を圧迫されない。 ---ただし、中にはデメリットにしかならない特典もあり、不用意に取得してしまうと強制的にハードモードになる(一応売却可能なので、処分してしまえば効果は消えるが、再入手は不可能な点に注意)。 -今回も全曲桜庭統氏による作曲、それも今作ではプロのミュージシャンを起用した生演奏が用いられており、戦闘曲をはじめとして評価は非常に高い。特に一部のボス戦で流れる「The Divine Spirit of Language」は高い人気がある。 --その一方で終盤のボス戦によく使われる「Bitter Dance」という特定のボス戦のラップ曲は、前後の展開や世界観から著しくズレていて賛否両論である。((この曲が始めて流れるボス戦にあっていないという理由だが、今までの音楽と違い何故この音楽が流れるのか申し訳程度に推察できる理由はある。……が、辞書の項目をこまめに見ていないと分かりようがない)) -登場人物や作中の用語を解説する「辞書」があり、世界観をより深く堪能できる。 -ザコ、ボス問わずボイス付きの敵が大幅に増えた。 --自分は何もせずに仲間に命令だけ((命令とは言うがその場で立ち止まって「何をやっておるか!」と嘆くだけで、実質的には何の効果もない))し、終いには換金アイテムを差し出して命乞いをする「貴族メン」という雑魚は、茶風林氏による怪演も相まってプレイヤーに強烈なインパクトを与える。 ---序盤での金策のために、何度も狩られる姿が多数報告されている。奴の財力は底無しか…? --また、本作のラスボスは声優・藤原啓治氏の怪演と数々の迷ゼリフによりネタ的意味で人気がある((ちなみにアーリグリフ王もこのお方))。 -イベントシーンによるキャラクターボイス --前作までは戦闘中など一部のシーンにしかボイスが無かったが、本作からはイベントシーンはフルボイスで展開するようになった。 --ただし、隠しダンジョンでのイベントシーンはボイス無し。残念ながらDC版でもフルボイスにはならなかった。 ---- **賛否両論点 -アイテムクリエーションはシステム自体が大きく変更されているため賛否がある。 -今作では街にある「ファクトリー」と呼ばれる施設でのみ行えるようになり、さらに仲間を割り振ってICの種類、開発プランを選んだ上で開発資金を消費して行う。実行中にはレシピ開発に必要な時間を表す「TIME」((TIMEゲージが最大になるとコストとなる資金が消費される。))と開発アイテムの良し悪しを表す「QUALITY」のゲージが変動し、両者のバランスを見極める必要がある。 --開発には、武器や機械といったカテゴリを選択→対応するクリエイター((クリエイターにはパーティメンバーも選択可能。))を3人選択→クリエイターのメンツでテーブルが決まる→テーブルからアイテムが1つ選出される→アイテムに設定された範囲からコストが決定する→クリエイト開始、というプロセスを踏む。 ---選出されたアイテムを作り続ける形になり、クリエイトレベルに見合わない高度なアイテムだと失敗してしまうことも。 ---アイテムはクリエイターを選び直すことで再選出される。アイテムごとにコストが決まっているため、これを把握していれば狙ったアイテムを作ることが可能。 --他にも資金を使ってファクトリーを拡張する事でより良いアイテムを開発でき、開発したアイテムのレシピを「特許申請」する事で通常のショップに流通させられるようになる。 --さらにプレイヤー以外にも競争相手となるクリエイターが存在しており、プレイヤー以外のクリエイターが特許申請したアイテムは通常より高額になってしまう。クリエイターは条件を満たす事で契約することも可能で、契約したクリエイターが申請したアイテムは安価で購入可能になる。 -作中、ほとんど説明されず、一方で難儀な罠仕様の数々がプレイヤーを襲う。 --開発アイテムは絞り込めはしてもランダムで、狙ったアイテムが作れているかは終了後でないと分からない。 ---一回一回に多少の時間を必要とし、それで狙ったアイテムができていないとなるとがっかり度も割増しである。TIMEゲージ上昇待ちも、別に演出が楽しいという訳でもなし。 --パーティメンバーは得手不得手に差異はあれど全てのカテゴリに参加でき、ものによっては非常に高いレベルを持つ。一方、クリエイト中寝ている時がある。 ---寝ている場合、&bold(){クリエイトレベルが0として計算される}。 --開発中、TIMEゲージの途中でいきなり資金が減少することがある。これは、元々「開発資金は全部フェイトたちが持つ」という契約を結んでいるためで、要は他のクリエイターたちも開発を行っていることによる。 ---つまり、契約クリエイターを増やすとその分猛烈な勢いで金が減っていってしまう事態になる。 ---なお、全てのクリエイターと契約する意味はほとんどなく、慣れたプレイヤーならトップクラスのクリエイターたちと他一部だけ契約すれば事足りる。 -と、このように新要素が非常に多いのだが、実際のゲーム中では基本的な事しか教えてもらえず、多くの部分は手探りで覚えていかねばならない。熱中するプレイヤーも多い一方、大量の資金が必要となる事もあって苦手とするプレイヤーも多い。 --説明されない中にはTIMEゲージや居眠りの導入など、従来システムに対して改悪としか言えない要素が紛れ込んでいる点も問題と言える。 -テーマソングの使われ方 --本作のテーマソングはMISIAの『飛び方を忘れた小さな鳥』。名曲で曲自体には何の問題もないのだが、流れる場面に妙な違和感がある。 --使われているのはオープニング、主人公のフェイトがソフィアに遊びに行こうと誘われた際、&bold(){水着から軽装に着替えるソフィアを待つために部屋の前で待っている場面。}…なぜここで? --曲調的にゆったりとした曲であり、かつサビはかなり強く歌うバラードなので、確かに使いどころの難しい曲と言われればそうなのだが、とは言えこの使われ方は謎。 --波乱に巻き込まれる前の前兆としての穏やかな雰囲気を表していると&s(){無理矢理}解釈できなくもなく、結果として曲を印象付けることには成功しているのだが、「他に入れるシーンがないからここに入れた」ような感を覚えずにはいられない。 --ちなみにエンディングでも流れるようになっており、こちらは何の問題もない。タイミングは勿論演出面でも練られており、十分にテーマソングとしての役割を果たしている。 ---- **主な問題点 ***多くのバグ -AAAというメーカーを知っているプレーヤーならば、当時「AAA作品=バグ完備」なのは最早当たり前の事実であった(無論例外もある)が、本作もその例に漏れず、バグの量と質はSO2にも匹敵する。以下はその中でも悪質&有名なものを挙げている。 --PS2本体の型番によっては、ゲーム序盤のイベント戦でほぼ100%フリーズしてプレイ不能になる(ボスの取り巻きのチンピラとの戦いで起きることから「チンピラバグ」などと呼ばれる)。主に初期型(SCPH-10000)で起こる現象だが、薄型PS2でも発生するとの声もある。これが本作のバグで最も有名かつ凶悪なものであろう。 ---ただし、このバグのそもそもの原因はSCEが提供した開発用ライブラリにあったことを特記しておく(故に、不具合対応はトライエースやエニックスではなくSCEが行っている)。またこれに限らず、薄型PS2には動作不良を起こすPS・PS2ソフトが幾つも存在することを付け加えておく。 ---とはいえ、序盤で起きる進行不能が絡むバグということもあり、対応策(不具合のディスクを修正版と交換)が発表されるまで購入そのものを見合わせる人もいたために、結果として売上本数を落とす原因の1つになってしまった。 --実績要素の「バトルコレクション」がある一定の条件を満たしてしまうと全て白紙に戻ってしまい、更に新たなバトルコレクションを得ることも不可能になる。 --戦闘中に一定確率で壊れる一部の強力なアクセサリを武器に合成すると、破壊確率が無視される(アクセサリ自体の効果は全て引き継がれる)。 ---特に有名なのが、「物理(or術)ダメージを1/10に軽減」(破壊確率は15%)というアクセサリで、これを合成する事で破壊確率を無視して常時被ダメージを1/10にする事が可能になる。低~中難易度の本編で使えば確実にバランスブレイカーだが、シリーズ恒例であるクリア後ダンジョンや隠し難易度の敵はいずれも凄まじい火力を誇るため、この合成をして丁度いいバランスと言われる事もある。~ DC版では流石に修正されたため、最終的な難易度でのプレイでは、かなりの凶悪さの敵に限られた攻略手段で挑まなくてはならないので、やり込みの楽しみは増えたと言える。 -それ以外にも、再現性や深刻さは落ちるもののバグの報告例は多い。プレイを阻害するものから、楽に進めるためのもの、単なるネタレベルのものまで多種多様に備えられている。 --あまりに数が多く書ききれないため、詳しく知りたい人はゲーム攻略ページや動画投稿サイトなどを閲覧してみるのをオススメ。 --なお、本作にはAAA独自のコピーガードが施されているのだが、これが原因で起こっているバグも多数存在する。 -%%よく訓練された%%一部の古参AAAユーザーにとってバグは想定の範囲内だったので、「AAAだからしょうがない」と発売前から半ば諦めていた者も少なくなかった。しかし…。 ***ストーリー展開 -前半と後半のストーリー展開の落差は衝撃的の一言。しかも過去作品の世界観をも巻き込んでいるので、古参のAAAユーザーの衝撃は計り知れないものとなった。 --前半のストーリーはシリーズ恒例の、ファンタジー+SFの世界観で問題無く進んでいくのだが…。 #region(ネタバレ) -後半では、''「主人公達の世界は、実は「FD世界」と呼ばれる他の世界で作られたシミュレーター『エターナルスフィア』の中の世界である」''というまさかの展開になる。~ (エターナルスフィア側の人物が上位世界を便宜的にFD(Four-dimensions=四次元)と名付けた)~ 過去作品は全て本作と同一の世界設定で展開されていたので、自動的に過去作品の出来事もシミュレーター中での出来事という事になる。~ 所謂「シミュレーテッドリアリティ」の概念が使われているという事であり、モチーフ元は新スタートレック「甦ったモリアーティ教授」と思われる。~ なおFD人は現実の人類のような存在ではなく、FD世界上で空間と同じように時間も移動する、名前通りの四次元人である。~ -実際に『2』のラスボスである十賢者の暴走に関して、このFD世界ではただの「イベント」と認識されてしまっている。 --ただし、実際のところはこの「イベント」(=FD世界の人間が意図的にこの事件を引き起こした)というのも一般FD人に情報が伝わっていない故の勘違いであり、シミュレーター内で十賢者を時間停止空間「エタニティスペース」に閉じ込めたところを、そうとは知らず開発者の1人であるベリアル(本作のボス敵でもある)が「時間停止のバグを解除」したため十賢者が復活してしまったというのが真相であると本作の「辞書」で述べられている。 --とは言え、この一般人の台詞だけを見た状態ではこの「イベント」という発言が誤解によるものだと認識するのは非常に難しい。実際、この台詞を素直に受け取って「『2』の終盤は『3』でただのイベントという設定にされてしまった」という認識をしてしまっているプレイヤーも多い。 --加えて言えば、「イベント」という露骨な作為ほどではないにしろ、十賢者事件の発端はFD世界のエンジニアがたまたまバグと認識した現象を修正したことで起きたものでした、という実際の設定も広く納得されているとは言い難い。 -補足しておくと、正確には「精神投影式の極めて高度なワールドシミュレーター」である。~ プログラム内部の要素が様々な要因で進化・発展し続け、人(というよりプログラム生命体)の思考が現実の人間と変わらないほどにまでなり、結果、シミュレーター製作者からすらも「独自の世界を築いているので干渉するのは失礼」と言われるほどの世界となった。「シミュレーターか現実か存在している空間が違うだけの、一種のパラレルワールド」というほどにまでなっている。 --なおFD人は様々な関与や生命体を作ったり世界を眺めたりすることはできるものの、内部の生命体に宿って直接操作することはできない。 --また干渉についても当初は自由にできたが、世界が複雑に発展していくにしたがって世界が干渉を受け付けない不可能な事柄が増えていったことが語られている。 -上記の通り、''SO1やSO2の主人公や仲間・敵の行動や出会った人々の言動は、世界を創造したFD人達と変わらない思考能力を持っている本人達の自我によるもの、つまり彼らを操作している「プレイヤー」がいる訳ではない。'' --しかし、作中のFD世界の被創造物扱いされた事で、SO1やSO2の物語が非常にチンケな物にされてしまったと感じた人もいる。 ---これについてはリアルや他作品等で「AIに人権を認めるか」といった議論で両極端な意見が出やすい事からも、「あくまで自我を持った人間同様の存在の物語」と取る人も「所詮作られた存在の物語のような物」と取る人も、どちらの意見も出て当然だろう。 -しかし、シリーズファンにとってはある意味一番大事なそこの部分が作中で具体的に強調されておらず、''「スターオーシャンの世界は、オンラインゲームの世界である」''というインパクトのある部分だけがネットで有名になり、本作をプレイしていない人間にも伝わるほど一人歩きした結果、シリーズ全体を非難する声が挙がってしまったのは問題点と言える。もう少し作中で丁寧なフォローがあれば誤解無く受け入れられただろう。 --なお、上記の簡潔なまとめが広がってしまったために誤解を招きやすくなったが、''本作で作中世界を「ゲーム」と表現した事はなく、一貫して&color(red){「シミュレーター」}と表現している。''「私達の世界はゲームなの?」という台詞もあるが、「ゲームではなくシミュレーターに近い」と否定されている。 --実際のところ(我々の)現実においてゲームとシミュレーターの境界は曖昧であり、「(オンライン)ゲーム」という表現も全くの誤りではないのだが、作中の設定を理解した上で「(オンライン)ゲーム」と言っている人は少なく、大抵我々が遊んでいるオンラインゲームのイメージで語られる事が多い。 -そしてラスボスはそのシミュレーターシステムの製作会社社長にしてメインプログラマ。つまり''正真正銘の一般人''(ただし半仮想空間での戦いになるので、ボスらしく超人化・超強化されてはいる)。一応、「ラスボスが創造主」というだけの作品なら他にも数多くあるのだが…。 -最終的に世界を物理シミュレートして形作っていたプログラムは消去されてしまう。しかし精神、心は、ラスボスがエターナルスフィア内の生命を軽視していたおかげで消去する方策を取られずに済んだ。残った人々の心によって世界があるかのように認識することはできるため、エンディング後は物理シミュレートのプログラムに代わって人々の認識が世界を形作ることになる。 -このように、シリーズの根幹とも言える最重要設定が堂々と出てきたにも拘らず、ゲーム後半という時期に明かされた事もあって、''肝心の「FD世界」という世界自体の掘り下げが非常に不足している。'' --FD世界にはどのような統治機構があるのか、何故これほどの技術力を手にするに至ったのか、等といった深みのある事柄は大して語られず、歩き回れるのもいくつかのマップとスフィア社内部ぐらい。この辺も超展開と言われてしまう理由である。 --本作のラスボスにしても、上記の通り作中情報では社長兼メインプログラマであるといった表面的な情報しか語られず、世界を創造した目的、身内を遠ざけてまで頑なに消去に拘る理由、等の細かい事情についてはやはり不明である。そのため見方によっては「自社プログラムのデバッグをしていただけなのにそのプログラムのキャラに殺される」とすら見えてしまう事から、一周回って''和製RPG屈指の不幸ラスボス''と言われる事がある。 -なお作中で神の正体はスフィア社員だったと推測される一方で、創造神トライア(=スタッフルームに登場する開発スタッフたち)は何となく違う気がすると、創造神トライアはFD世界の設定とは関係ないことが言及されている。 #endregion //--このストーリー展開は製作当時から問題視されていたようであり、某攻略本に掲載された開発者インタビューでも言及されている。 //「某」とぼかす理由が不明。今のままでは閲覧者の混乱を招くだけであり、攻略本名の明記が必要。 -ネタとしてはSF作品にはありがちではあるのだが、本作についてはメタフィクション的演出・脚本としても「作られた存在(主人公)VS創造主(ラスボス)」という構造の類似作品と比較しても、あまりに露骨。オチも類似作品によくある「考えオチ(のようなもの)」とはお世辞にも言えず、ただの丸投げと言ったほうが的確。((本作はその内容から2019年に公開された『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を基にした映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を語る際にも同系統のストーリー展開だとして引き合いに出されることが少なくなく、その『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』に関しても批難された。)) --当然ながらファンの反応は賛否両論の雨あられ。シリーズ作品全てを巻き込んだために、特に旧作ファンからは「シリーズの汚点」「黒歴史」等の過激な批判すらもあった。先述した通り、せめてもう少し丁寧なフォローがあれば、ここまで荒れる事はなかっただろう…。 ---勿論決して否定意見だけではなく、「割と許せる」という旧作プレイヤーも多く、新規プレイヤーからは普通の評価もあった。 --ただこの設定のおかげで、過去作の「作りかけ部分」や「声優の変更」に変な説得力が出来ることとなった。狙ってやったわけではないだろうが。 --しかし後のシリーズ展開でこの設定が残したダメージは決して少なくなく、特に続編『[[SO4>スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-]]』の評判の悪さにはこの件が少なからず影響しているとの声も大きい。『4』は時系列で最初の時代の話であるためどうしても本作の設定が絡むのである。((「世界は新生したのであって作り物で完結したわけではない」という声も少なく無いが「なら、その後の話をちゃんとみたい」という声もまた少なく無い。しかし、シリーズは頑なに過去時系列の作品しか出さないという状態が続いているため、ファンのモヤモヤは晴れないままとなっている。)) //-実を言うと、『ソードアート・オンライン』『BLAME!』『マトリックス』等、SFというジャンルではかなりよくあるパターン。科学力の発達・宇宙への進出・未知との遭遇・星間戦争。と来れば次は上位存在の話になるだろうとされるほどのド定番である。実際、SO1の時点で既にタイムゲートがあり、SO2でも十賢者の眠りを覚ました上位者の存在を仄めかしていた。 //最初から明示されてる作品を例として挙げても話にならない。SAOに至ってはあらすじ時点で『オンラインゲームに閉じ込められる』なんだが? ***その他の問題点 -終盤であるにもかかわらず、&bold(){LV1}で加入してくるキャラが存在する。もっとも、あるバトルコレクションの習得に必須((PTメンバー3人がLV1の状態でラスボスを倒すというもの。コレのためにLV1で加入するんじゃないかと揶揄された。))なのだが、流石に終盤でLV1は色々ときついものがある。 --ただし、低LVのメンバーの戦闘参加によりヒートアップゲージが上昇しやすくなるという恩恵もある。 --この後から、雑魚戦を含め敵の強さが格段に上がっていく(Lv1キャラが加入する場所で出た強力なボスが、次の場所ではザコとして複数体でウロウロしている)ため、「ここでレベル上げしろよ」ということかも知れないが… -トライエース作品ではいつもの事だがゲームバランスが悪い。 --「敵味方の強さの激しいインフレ」「キャラ格差」「ファクター格差」「BSの強弱の幅が大きい(殆どのBSの熟練度による変化が威力の割合増加のみであることや、属性耐性持ちの敵の多さから)」「実際の強さとEXPや金が不釣り合いな敵が多い」などの理由がある。 --また、ゲームバランスを破壊してしまうほどに強力すぎる技が存在する。簡単にダウンさせて延々とハメられるマリアの「グラビティ・ビュレット」、すさまじく長い射程をはじめとした高い性能を持つネルの「黒鷹旋」、クリア後ダンジョン終盤と習得は遅いが、遠距離から連発して信じられないダメージをたたき出すロジャーの「スター・フォール」とソフィアの「メテオスォーム」がよく挙がる。 ---特に黒鷹旋は、使用者のネルが選択メンバーながら「序盤から一時参加」「低レベルで習得」「素早い移動速度とかみ合う飛距離」「MPダメージ付き」「隙が少なくて連発可能」「多段ヒットでプロテクトが気にならない」「他の選択メンバーの正式加入フラグが解りにくい」「キャラ人気が高い」と非常に黒鷹旋の強さを認識しやすくなっている。 //黒鷹旋が強すぎるのは確かだが、「ブーメランゲー」という言葉はあまり浸透していないと思われるのでCO --本作の戦闘では小攻撃・大攻撃・プロテクトの三竦みがあるが、中盤以降、この三竦みの意味が薄くなる。 ---敵を攻撃しても必ず怯む訳ではなくランダムであるため、怯み難い敵が多い中盤以降は、大攻撃前の隙に対して小攻撃を当てても、怯まずに反撃されてしまうことも多い。大攻撃を避けた上で小攻撃を当てる手もあるが、あまり隙がない、範囲が広い大攻撃も少なくない。結果として、「小攻撃が大攻撃に対して優位」という点が次第に崩れていく。 ---また、こちらの大攻撃は、攻撃前後の隙が大きいため敵に回避や反撃をされたり、プロテクトを破ってもやはり怯ませられずに反撃されることが多い。 ---さらに、プロテクトするとガッツが減少するため短い間隔ではプロテクトできず、連続で攻撃判定が発生する小攻撃に対してもプロテクトが有効とは断言できない。 ---さらにさらに、''バトルスキルは大でも小でも発生速度が変わらない''。「大攻撃は予備動作が大きい」というのは、通常攻撃に限った話である。 ---そのため、「大小のバトルスキルを色々と組み合わせた連携」を考える意味は極めて薄い。小バトルスキルは「HP(またはMP)とGutsの消費が少ない」以外の長所が無いため、中盤以降は存在意義が極めて薄くなり、結局、プロテクトされる心配がない大バトルスキルを連発するだけで良い大味な展開になる。 -アイテムクリエイション「合成」の影響力とゲーム難易度設定別の攻撃力設定のバランスが極端。 --アイテムクリエイションで「バトルブーツ」という攻撃力・防御力が割合上昇するアクセサリーを大量に作り、武器へ合成することで、防御力が最大4倍となる。この状態だと、通常難易度「ギャラクシー」では&bold(){ラスボスや隠し最終ボス含む一切の敵からダメージを受けない}という状態となる。強化呪文も併用すれば計6倍になり、敵の攻撃力が1.4倍になる高難易度の「ユニバース」でさえもノーダメージになる。 --一方で最高難易度「FD」では、大味なゲームバランスがさらに顕著になり、こちらの操作で敵の動きを操れる一方、敵の攻撃力が2.5倍になるので一瞬で死ぬことが多くなる。特にクリア後のダンジョンではそれが顕著で、防御力を6倍まで強化しても、敵の攻撃を受けるとあっという間に死亡する。通常難易度の敵の攻撃を400、味方の防御を100と仮定して計算すると問題が分かりやすい。 ---実は耐久性は防御以外が重要で、最も防御の高いキャラでもブーツ一つで防御が約400上昇(強化呪文+ダメージ倍率が高い技でも精々2000程度軽減するだけ)だが、HP上昇ファクターなら一つで約12000も増加するし、確率でダメージや死亡を回避するといったファクターもある。また殺られる前に殺る戦法も重要で、防御半減の代わりに攻撃2倍のファクターが有効(前述の計算なら受けるダメージがたった50増加するだけ)で、余った欄に耐久ファクターを付けるのが攻守両面で得策である。だが「高難易度でもブーツで余裕。だから最高難易度でもブーツがベストに違いない」と誤解し、攻守両面で半端になって苦戦するプレイヤーが続出した。難易度で有効ファクターが違うのはいいが、極端に差が出るのは不適切なバランスと指摘すべきである。 --もっとも、前述の通り「合成」は素材や資金の関係上ゲームクリア後でないとまともに手を出せない代物であり、ラスボスまで1周クリアする範囲では全く関係のない完全なやり込み要素である。 ---「合成」がないとまともに隠しダンジョンや隠しボスと渡り合えないという訳でもなく、少なくとも準最高難易度「ユニバース」までは、「合成」なしか軽微な利用程度で全ての隠しボス打倒まで十分こなせる。 -AIの頭が悪く、ゴリ押しで突っ込んでいくため反撃でやられてしまうことが多々ある。 --ゴリ押しでも何とかなる雑魚戦はまだしも、強敵相手に攻撃を避けたりプロテクトしたりしてくれることはほぼ期待できない。 --場合によっては、AIが何も操作しなくなる「何もするな」に設定して、自分で操作した方がいい場合もある。 //-敵シンボルが微妙によけにくい。稼ぎに必須のヒートアップが壊れやすい。戦闘前後のイベントスキップを個別に指定できない。SEとボイスに比べてBGMの音量がかなり小さい。最初の隠しダンジョンの試練の遺跡にセーブポイントがない。などをはじめに全体的に不親切だったり不便な仕様が見受けられる。 //↑雑に細かな問題点を並べ立てているだけだったのでCO。重要性が高いフィールド移動とアイテムクリエイションの問題だけ個別化。 -ワールドマップを廃したため、『1』に存在した遠距離の移動の面倒さが再燃している。 --ゲーム上頻繁に後戻りを強いられる構成ではないが、ストーリー中盤以降に既に攻略したマップに戻る機会は何度かある。 --特に、アイテムクリエイションが物語のメインである惑星・エリクール2号星の街でしかできないため、終盤や隠しダンジョンの攻略などでエリクール2号星を離れた際に、アイテムクリエイションで再度アイテムを作りたい場合にいちいち戻ってこなければならないのは煩わしい。 -前述した「スフィア211」はやり込みとしてはボリュームがあるものの、マップは全8種類から選択された使い回し。さらには何故か空っぽの宝箱が多い。 --一応進行度によって出現モンスターなどは変わり、途中には約10体ほどのボスもいるのだが、それでも単に長いだけで単調で退屈な道中の構成には批判がある。 ---途中でセーブポイントへ引き返せること、再開時には一度到達した階はスルーできることは補足しておく。 -「難易度『ユニバースモード』で○○を○分以内に倒す」など、ゲーム開始時の難易度が指定されたバトルコレクションを、さらに高難度の『FDモード』で取得できない。((BCの取得設定ができないアースモードを除けば難易度不問のBCがあり、それをユニバースで取得可能だったことから、指定難易度よりも上位であればどのBCも取得できると勘違いされることがある。)) -バトルコレクションの中には「戦闘回数が50,000回になる」「敵を50,000体倒す」「戦闘時にボタン入力した回数が1,000,000回になる」という、連射機使用でも達成困難なものがある。 --コレクションのコンプリート率特典は95%達成(全300個中、285個)で打ち止めになるため、上記のような極端なものは無視出来るが、他のコレクションも基本的に「上手ければ自然に達成できる」という物は少なく、時間のかかる面倒な物が多い。 ---高難易度を解禁するには達成率を上げなくてはならず、その場合作業的なプレイを強いられる。 -ミニゲーム「バーニィレース」が色々と酷い。 --馬券のように、4匹の「バーニィ」が行うレースの勝者を予想するミニゲームである。当てればポイントを獲得でき、外れてもデメリットはない。獲得した合計ポイントに応じて景品が貰える(景品を貰ってもポイントは消費しない)。 --まず問題なのは''一試合に約2分もかかる''こと。そもそもがプレイヤーが介入できず見ているだけなのに加え、試合中はバーニィがジャンプで地震を起こし他者を妨害するモーションが何回か入るぐらいで、大した動きも無い。 --そしてもう1つはポイント効率の悪さ。単勝方式(勝率1/4)で最大3ポイント、連勝複式(勝率1/6)でも最大9ポイントしか貯まらないのに対して、&bold(){最後の景品の獲得には1,000ポイントも必要}と尋常ではない。 ---連射機を使った放置プレイ以外での取得は困難だが、開発も予想済みだったのか、最後の景品を貰う際に「連射機じゃなかったらスゴイね」と言われる。そんなセリフを入れる時点で何か問題だと思わなかったのだろうか…。 --景品にそこまで魅力的な物が多くなく、あくまで進行に影響のないミニゲームに留まっているのは幸いだが、100ポイントの賞品にアイテムクリエイションのクリエイターの加入条件になっているアイテムがあり、これだけは重要性が高い。 ---入手ポイントが上記の通りなので、100ポイント貯めるだけでも結構な時間がかかる。 -エンディング内においてキャラクターの「その後」を描く「カップルエンディング」のうち、前作『2』にあった仲間同士のカップルエンディングが消滅しており、主人公と仲間キャラいずれか1人のタイプしかなくなった(単独エンディング除く)。 --グラフィックの3D化に伴う作業量増大を考えれば非常に困難な作業になることは容易に察せられるため、責められない点ではあるが、前作で大きく評価された部分なので規模縮小されたのはやはり惜しまれるところ。 --以降のシリーズでも、未だ仲間同士のカップルエンディングを再び実現させた作品は無い。 --なぜかエンディングのこの部分はボイスがない。 ---- **総評 本作のプレイヤーは、まず数々のバグによる強烈な洗礼をあびせられ、それを乗り越えた前作ファンも終盤のストーリーによって止めを刺されることになった。~ そのため、発売当初は関連スレやファンサイトは大いに荒れ、特に前作の熱心なファンからはシリーズ最駄作の烙印を押される例も複数見られた。~ その反面、爽快感の高い戦闘システムや前作にも匹敵するキャラクター性など評価すべき点は少なくなく、今作から入った新規プレイヤーからの評価は比較的高い。~ また、上記の点を評価する古参のプレイヤーも少なくなく、シリーズファンの間でも評価がかなり分かれている。~ ただ、肯定派もバグだけは擁護できず、これさえなければ…と言う声も多かった。~ もっとも、現在ではDC版の存在もあり、そういった声はほぼ聞かれない。 ---- *スターオーシャン Till the End of Time ディレクターズカット 【すたーおーしゃん てぃるじえんどおぶたいむ でぃれくたーずかっと】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B000FO2ABS)| |対応機種|プレイステーション2&br;プレイステーション4|~| |メディア|【PS2】DVD-ROM 2枚組&br;【PS4】ダウンロード専売ソフト|~| |発売元|スクウェア・エニックス|~| |開発元|トライエース|~| |発売日|2004年1月22日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |廉価版|アルティメットヒッツ&br;2006年7月20日/2,800円(税別)|~| |配信|アルティメットヒッツ HD&br;2017年3月31日/2,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|さらに評価を高めた戦闘&br無印に存在したバグはほぼ一掃&brダンジョン・ボス・コス替えなど様々な追加要素&brストーリーの変更はない&br;PS4版はHD解像度・トロフィー機能に対応|~| **概要(DC版) 無印版の発売から1年足らずと、程なくして発売されたバージョンアップ作品。~ 追加要素や調整を加えたいわゆる完全版ではあるが、当時は[[ファイナルファンタジーシリーズ]]の「インターナショナル版」などの同様の販売形式が多かったことや、本作の発売によってバグ問題がほぼ一掃されたことから、比較的批判無く受け入れられた。~ システムの刷新で主要な問題点にも手が入り、本作は無印に代わる作品として位置づけられることとなった。~ **主な変更点・評価点 -殆どのバグの修正。ディスク2枚組になった事により、容量面での問題がなくなった事が大きいだろう。後述の追加要素もこれによる。 -ゲームシステムの調整 --攻撃をキャンセルチェインで繋げることでダメージが増加する「キャンセルボーナス」システムの追加。 ---攻撃を繋げるごとに、ダメージ割合が175%→200%→250%→300%と急激に上昇する。 ---キャンセルは小攻撃⇔大攻撃の繰り返しでないと行えないため、無印版でゲームが進むに従って使い勝手が悪くなってしまっていた小攻撃の立場は大幅に回復した。 ---また、キャンセルボーナスを繋ぐためにGutsやCPの消費が少ない小技を使用する意義も強くなり、技全体の格差が縮まった。出が早くて当てやすいフェイトの「リフレクト・ストライフ」などが好例で、繋ぎ技として十分な存在感を確立している。 ---このシステムの採用により、もともと好評だったアクション性と爽快感が更に増し、バトルシステムに限定すればトライエース最高傑作の評価を得る事になる。 //---無印版や前2作の終盤はヒット数を上げた通常攻撃を連発するバランスになりがちだったが、このシステムの採用により最後まで多彩な技を使って遊べる良好なバランスとなった。もともと好評だったアクション性と爽快感が更に増し、バトルシステムに限定すればトライエース最高傑作の評価を得る事になる。 //通常攻撃を強化する装備品の入手時期や個数、必殺技の汎用性、元々の通常攻撃性能の良し悪しから「通常攻撃連発のバランス」は誤り。またDCでもBSの格差は依然として残っている。 --無印版で強すぎた大BSの連発をやりにくくするシステムとして、大BSによるHP・MPの消費量が固定値から最大値に比例した値に変更されている。 ---本作は呪文(ごく一部に限られるが)を習得できるアイテムの追加で誰でもHP回復呪文を使えるようになったほか、MPを一定時間ごとに自動回復するファクターがあるため、連発できなくなったわけではない。 --プロテクトが発動してもGutsを消費しなくなった。 ---このため、無印版では中盤から崩れていた三すくみのバランスがやや改善された他、「連続プロテクト成功数○○」のバトルコレクションを獲得しやすくなった。 --各キャラクターの調整 ---主人公のフェイトは通常攻撃を補助するエンチャント技頼みの地味で微妙な性能だったが、本作ではストレイヤー・ヴォイドやイセリアル・ブラストなどの必殺技の強化により、胸を張って主人公と言える能力を持った。 ---クリフは隠しBSのマックス・エクステンションが超強化され、無印と打って変わって遠距離戦も得意になった。 ---マリアはグラビティビュレットが弱体化した半面、バーストエミッションの大幅強化により遠近両方をこなせるハイスペックキャラへ変貌((無印版ではグラビティの力を発揮できる近距離型だった。))。更に補助術を使用できるようになり、彼女の貢献度は計り知れないものがある。 ---ネルは黒鷹旋を始めとした一部の技が弱体化した半面、有限アイテムを使用しなくても回復術が使用可能になった。メンバー構成の選択肢に入れやすくなった他、彼女が仲間になる序盤のバランスが改善された。 //有限とは言え全4個(序盤で2個)入手でき、ヒーリングのみで黒鷹旋の大幅に弱体化を補っているとは思えない。また本作の調整は「固定メンバーが強化され、選択メンバーにはキャンセルボーナス抜きのキャラ性能はスフレは同等、スフレ以外は弱化」とされている。 //確かに一定以上育成を進めると弱体化の影響はかなり気になってくるけど、元が強すぎたわけで十分妥当な調整の範囲かと。一応無印の方でネルが強すぎるという問題点が書いてあって、それが改善されているという意味も踏まえて記述を追加してCO解除しときます。 ---ソフィアは無印版はHPとMPダメージが全キャラ最強の通常攻撃でアタッカーになったが、DC版では武器にINT上昇効果が付加可能になり、更にほぼ全ての紋章術を小大問わずセットできるようになったため、紋章術による遠距離アタッカーにできるようになった。彼女の紋章術には「プロテクトされないがプロテクトブレイク可能、且つ気絶を解除させない」という特徴があり、これによるサポートは非常に強力。無印版ではロジャーやスフレと並ぶ3強と評価されていたがさらに強化され、DC版のバランス調整の恩恵を最も受けたキャラと言える。 //---その他全てのキャラが程良く調整されており、キャラの個性も相まってアクション性が大きく向上している。AIも改善されており、無印版ほどユーザーを苛立たせる事は少なくなった。 //スフレは調整がほとんど無いとされ、アルベルは酷く弱体化されていると指摘されているのでCO。 ---無印は固定メンバーよりも選択メンバーのほうが強力BSなどで目立っていたが、本作は固定メンバーは強化・選択メンバーは弱化の傾向となっている。ただし元々強キャラのスフレはこれといった変更点が無く、同じく強キャラのロジャーが弱化されたのはスター・フォールくらいである。 --その他、ゲームバランスとAIの改善、武器に付加されるファクターの修正やアクセサリーの効果修正、隠しボスの行動修正など、多くの細かなバランス調整が行われている。他にも多くの追加要素がある。 -2人のプレイアブルキャラクターの追加 --ミラージュ・コースト ---無印版からサブキャラクターとして登場していたが、DC版で晴れてプレイアブルキャラクターに昇格。 ---クリフとマリアの通常攻撃と近接系バトルスキルを併せ持ち、それらの多くはクリフとマリアのものより強化・変化されていて、移動速度はフェイトに次ぐ同率2位を誇る。加入時期がかなり後半という欠点はあるが、装備可能武器がクリフと共通になっているため融通が利くのも評価点。 ---なお、彼女の分の準最強武器と最強技は、追加ダンジョンのウルザ石窟寺院での入手となっている。下記のアドレーも同様。 --アドレー・ラーズバード ---DC版新規のキャラクターで、人気サブキャラクターであるクレア・ラーズバードの父親。詳しくは後述。 --なお、無印版では強制加入キャラが男女2人ずつだったため、任意加入キャラの選択によっては一部のバトルコレクションが取得できなかったが、男女1名ずつ強制加入キャラが増えたことで、性別限定のバトルコレクションが取得出来ない心配はなくなった。 -プレイヤーキャラ同士の対戦モードの追加。あくまでおまけ程度のものだが、対CPU戦、対人戦ともに遊ぶ事ができる。 -新たな隠しダンジョンが2か所追加 --1つは比較的序盤に行ける「サーフェリオ空中庭園」。上記の対戦モードは、ここでアイテムを入手する事により遊べるようになる。 --もう1つはクリア後に行ける「ウルザ石窟寺院」。追加キャラの武器・技はここで入手できる他、カップルエンディングの後日談を見る事ができる。 -戦闘中のコスチュームチェンジ要素の追加。各キャラにデフォルトのものを含め、4~6種類((主人公のフェイトと、最も加入の早いソフィアのみ6種類。他のキャラは4種類。))のコスチュームが用意されている。 --元は地球の学生であるソフィアには女子高生の制服があったり、スフレには中華娘風の衣装があったりと、設定や雰囲気に合わせた衣装が揃っており、いずれも十分な評価を得ている。 --ゴスロリ風の衣装も各女性キャラに揃えられているが、露出度の高さなどには頼らず適度なあざとさに抑えられている。 -AIが改善され、「攻撃術」「見切り」といったAI関連のステータスは気にせずMAXまで上げてしまってもほぼ問題は無くなった。 -一部イベントにボイスが付いた。特に、カップルエンディングにボイスが付いた事は大きい。 --一方、エンディングでは最終メンバーに加えなかったキャラの後日談は描かれなくなり、少々寂しくなった。 -ラストダンジョンの最終フロアに脱出用イベントが用意された。 --無印だと長い上に連続したダンジョンを歩いて帰る必要があったため、地味に嬉しい点である。 -2017年にはPS4版が配信。SIEのHDエミュレーター技術の協力によって、グラフィックのHD化・トロフィー機能の対応が行われている。~ ちなみにあくまでHD化であってリマスターではないため、高解像度化しただけでテクスチャやエフェクト等はそのままである。~ //セーブ方法やPlayStation2のロゴの表示もそのままであり、事実上の''PS4初にして唯一のPlayStation2ゲームアーカイブス''と言える。 //↑他にも『ジャック×ダクスター』シリーズの作品があるためCO **問題点(DC版) -新たなバグの存在。 --内部時計を動かした場合やHDDやネットワークアダプタを接続した場合に、バトルコレクションの取得に不具合が生じる事がある。 --尤も状況は限られており、ゲームの進行に支障が出ることは稀なため無印と比べれば遥かにマシではある。 -無印よりは改善されたが、それでも今までのトライエース作品通りゲームバランスと仕様に荒削りが目立つと指摘されている。 --強すぎた技が極端に弱体化された一方で、グラビティ・ビュレットが無くともマリアが強すぎると指摘される事が多い。 //マリアと同等かそれ以上に強力な技はあるが、無印版のネルと似た理由からマリアゲーと言われる事も。 //↑他所で見かける表現とは言い難いためCO。 --ゲームバランス以外についても、マゾ仕様のスフィア211やバーニィレース等、未改善あるいは解消されていないものも多い。 -レベルアップ時のステータス上昇がランダム上昇に変更された。 --やり込み派のプレイヤーにとっては、吟味に莫大な時間がかかるので、レベルアップ時のステータス上昇のランダム化は評判が悪い。しかもランダムの幅も結構大きい。 --特に難易度GalaxyとUniverseでは、DEFの成長具合によって隠しダンジョンや隠しボスとの戦い方までが変化してしまう。DEFの成長がヘタった場合はいちいちプロテクションを使わなければならなくなる。 --ステータスの成長運によってはキャラ同士の戦力格差に繋がることも。 -新仲間キャラ2人はストーリー上強制加入するにも拘わらず、シナリオ変更がないため、イベントでの出番は少なく殆ど空気である。 --ちなみに、旧作のリメイク・移植である『[[スターオーシャン1 First Departure]]』・『[[スターオーシャン Second Evolution>スターオーシャン セカンドストーリー#id_eedd4b5e]]』の追加キャラであるウェルチもこのような扱いであった。 -追加キャラのアドレーの問題 --術師に見合わぬ筋骨隆々の外見から窺えるように、物理技と紋章術の両方をバトルスキルとしてセットできる唯一のキャラである。~ しかし実際は典型的などっちつかずのキャラになってしまっており、セットできる紋章術は極一部のみ、物理技は5つしかなく使い勝手も悪い。 --装備品は術士基準であるため、最強防具は中盤の店売り防具で揃うことから、後半や隠しダンジョンでは心許ない性能となる。 --通常攻撃では武器が刀なのに斬らずに柄で殴ったり、前作で演出が散々ネタにされた技「スピキュール」をバトルスキルとして使用できたりと、意図的なネタキャラ要素が各所に見受けられる。ただ、お陰で通常攻撃は性能が悪く、スピキュールも属性付き+後隙が大きすぎて使い勝手は劣悪と、キャラ性能には完全にマイナスに作用してしまっているのが悲しいところである。~ また、このスピキュールには別の角度からの意見として、「何故クリフではなくアドレーが覚えるのか」という批判がある。~ クリフの声優は前作のミカエルと同じ東地宏樹氏であり、たとえネタ性能でも、彼が覚えればファンサービスとして上手く機能しただろう。 --そもそもアドレーというキャラクターは、無印版には影も形も存在せず、メインストーリーにも一切関わらない。~ 人気キャラであるクレアを押しのけて加入する・お節介が過ぎる暑苦しいキャラ設定と弱すぎる能力…といった点が重なり不満が多く出た。 ---彼のコスチュームチェンジで、背中のイレズミがクレアのデフォルメイラストになる。そして彼のエンディングは単独・カップルともに実質クレアのエンディングである。だがそんな父親を介した要素よりも直接本人が加入すればいいと考えるのがプレイヤーの本音だろう。 ---後のインタビュー((シリーズ20周年記念のアニバーサリーブックにて、トライエース小川浩氏が回答。))において、最初はクレアがプレイアブル化の予定((ネルの使い回しではあるものの、内部データにクレアの戦闘中のグラフィックが存在しているとの事。))だったが、各所から男女比の悪さを責められたため、紆余曲折を経てアドレーが作られた事が明かされている。しかしその評価は上記の通りで、クレアを仲間にできない事と、肝心のアドレー関連に不満が噴出している。 ---そもそも『SO1』『SO2』は男性キャラの方が多く、『SO4』『SO5』は女性キャラの方が多い。特にSO4は3:5と男女比が悪い((正確には4:5だが、男性キャラの1人は離脱するので最終的にこうなる。そうでなかったとしても平等ではないが。))。わざわざ1:1に拘っているのは本作だけである((ちなみに『SO1』『SO2』もPSP版ではキャラの追加で女性率が上がっている。これも時代の流れか。))。 --尤も、上記の批判はあくまで''「クレアという人気キャラを引っ込めてまで出すには余りに荷が重すぎる」''という面が非常に大きい。~ アドレーというキャラを絶対的に見た場合は決して人気キャラではないものの、殊更に嫌うようなプレイヤーはまず見られない。 --中には「アドレーとクレアを2択にしてほしい」や、上記のようなアドレーの問題もあって「追加キャラを任意加入にしてその枠を他キャラ加入に使いたい」という意見もある。 --結果として、パーティ編成の自由度は変わらず仲間キャラは増えたが、強制加入キャラとしての追加のみだったため、パーティメンバーは増えたのに自由枠は増えていないジレンマが発生してしまったと言えよう。 **総評(DC版) 更に完成度を高めた戦闘システムやバグの修正もあり、プレイヤーからの評価は概ね好評、無印の汚名を返上できたと言える。~ 特に戦闘システムの評価は今もって高く、シリーズ内どころかPS2のRPG全体で見てもトップクラスの人気がある。~ また、戦闘以外にも音楽やCGのクオリティも高く、同時代の名作・大作と比べても決して見劣りしない。~ ~ そのためか、現在はシリーズで前作『SO2』に次ぐ評価を確立しており、キャラクター人気等にもそれが表れている。~ 反面、今作の(後半の)シナリオはやはり現在まで尾を引いていて、本作でシリーズを見限ってしまったという人も散見される。~ ---- *余談 -漫画家・柴田亜美がファミ通で連載していた漫画『ドキばぐ』で発売前のトライエースへ取材に行く回があった。 --当初は4ページ目で「どうせ延期するんだろう」的なオチだったが、''本当に延期してしまった''ため、あまりにも洒落にならないと急遽4ページ目が描き変えられた逸話がある。 ---よほど急だったらしく、通常は全ページカラーの漫画が、そのページだけ白黒である。 -『1』と『2』がPSPへ移植されたため、本作も携帯機へ移植するのでは? と思われたが、PSP版SO2の攻略本にて「もしも本作をUMDに換算すると実に&bold(){UMD3~4枚組}になってしまう」と返答されている。 -無印のバグ騒動は流石にトライエースも懲りたのか、これ以降同社のゲームでバグが話題になることはほとんどなくなる。 -主人公であるフェイトの性格・境遇・能力がアニメ『機動戦士ガンダムSEED』の主人公であるキラ・ヤマトと似ており、声優まで同じであることはしばしばネタにされる。 --本作の発売と『SEED』の放映時期が完全に被っているため、実際に影響があった可能性は考え難い。それにしてもよく似ているが。 --ストーリー全般については、ベストセラー小説『ソフィーの世界』をモチーフにのではないかという噂が一部でされているが真相は不明である。 -後に小説版が発売、多少の矛盾はあるものの、ゲーム内で投げっぱなしだった伏線や裏設定などもちゃんと明かされた。 #region(ネタバレ) --その中で最も大きかったのは、ゲームでは世界の演算プログラムと住人の思考プログラムが独立していて世界のプログラムが消去されても住人の思考プログラムから世界が再演算される展開だったが、小説では&bold{主人公たちの世界は実はプログラムではなくプログラムと同名の実在する世界}であるというもの。 ---つまり小説ではラスボスたちはただのシミュレーションを作ったつもりが、異世界の物理法則を書き換えるプログラムを作ってしまっていたのである。 --このような理由により「ストーリーはこちらで見た方がよい」とも言われる。 #endregion -神田晶氏によるコミカライズが『月刊少年ガンガン』にて連載されていた。全7巻。 --キャラクターの設定を活かした描写やオリジナルキャラクターの登場など、ゲームとはまた違った印象で読むことが出来る。サイドストーリー的な外伝も頻繁に掲載されていた。 --だがその反面ストーリーの進行は遅く、前半部分だけでかなりの話数を費やしている((1巻はクリフ登場まで進むが、2巻でアーリグリフ地下水路まで、3巻でカルサア山洞まで。本編をプレイした人なら展開の遅さが分かるだろう。))。その煽りなのか打ち切りなのかは不明だが、中盤~終盤はかなりのハイペースで話が進んでいく。 --ゲームには無いオリジナルの設定も多く、前述の小説版とは異なるが、こちらもストーリーの結末に「フェイト・ソフィア・マリアが紋章遺伝子の力を使って、FD空間にエターナルスフィアの世界を作り出す」という独自の解釈を盛り込んでいる。 -本作でプレイアブルキャラとして使えることを熱望されていたクレアだが、2016年12月から配信されているスマートフォンアプリゲーム『スターオーシャン:アナムネシス』にて操作キャラに追加された。 --本作をベースとした『5』と似たシステムであるため本作とあまり変わらない操作感で、声優等の変更もないという万全の待遇であり、DC版で''まさかの親父プレイアブル化''という事態に涙を呑んだ当時からのファンは約14年越しに願いが叶うこととなった。 --同作実装直後の「実装してほしいキャラアンケート」では本作のアルベルとクレアがワンツーに輝き、キャラ人気の高さも感じさせる。 -本作の説明書は何故かサイズがパッケージに収まらないほど大きく、扱いに困る。本作の購入時は、恐らく何かしらの袋にパッケージと説明書が一緒に入れられた状態で受け取る事になる。 --この扱いづらさのため、中古だと説明書が付属していない可能性が高い。購入前にはちゃんとチェックすることをオススメする。 --これはPS2版『[[FF11>ファイナルファンタジーXI]]』と同様の仕様。それが意図的なものであるかは不明。 -本作のバトルシステムの評価の高さから、以降のAAA作品にもそれをベースとした作品が登場する事となった。 --本作の2年後に発売された『[[ラジアータ ストーリーズ]]』も本作を参考としている。 -後に続編の『[[スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-]]』が発売された。戦闘システムは本作とは全く異なるものになっていて上手く差別化をしており、目立ったバグも無いのだが、ストーリー((上述の通り、本作のシナリオが尾を引いている所為と言う声が多い。))やモデリングの面で評価を落としてしまい、良作という評価を得る事はできなかった。 --その後、更に7年もの時を経て『[[スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-]]』が発売される。本作『3』をベースとしつつシリーズ集大成を目指した作品ではあるが、戦闘システムを始めとした様々な要素が軒並み低評価で、逆にシリーズ最低とまで評されてしまった。 --皮肉な事に『5』の低評価を切っ掛けに『3』と『4』が再評価される事となった。しかしその反面『4』や『5』はいずれも本作より前の時代を描いた物語となっており、今作のシナリオとそれに対する反響が、のちのシリーズ展開に重大な影響を与えていたことも改めて認識されることとなった。 --スマホアプリ作品『スターオーシャン:アナムネシス』では、ヒロインのイヴリーシュ及び敵役のジヴェルが「FD世界」の人間であることが示唆されており、初めて本作で明らかになった根幹設定への言及が行われた形だが、本作で有耶無耶にされたままの詳細な説明には至っていない。 ---イヴリーシュはエターナルスフィアにはまっていた一般人(父親が元スフィア社員)で、SO3の出来事を経てサービスを利用できなくなったエターナルスフィアに、方法は不明だが直接入り込んだ設定。 -発売後、購入者を対象に「火星の土地権利書」が貰えるキャンペーンを行っていた。 --ルナエンバシーという会社が「天体の個人所有を禁じる法律はない」という根拠で販売しているものだが、法的拘束力のないお遊びのような紙切れであり、実際の不動産としての価値はない([[Wikipedia「地球外の不動産」>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E5%A4%96%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3]]等も参照)。 --当時でも3000円程度で買えたものだが、一応現在は非売品である(現在は「月の土地権利書」のみ販売)。
//STAR OCEAN Till the End of Time 注意:このページでは、オリジナル版の『スターオーシャン Till the End of Time』と、その調整版『スターオーシャン Till the End of Time ディレクターズカット』について解説する。判定はオリジナル版が「シリーズファンから不評」、調整版が「良作/シリーズファンから不評」。 #contents() ---- *スターオーシャン Till the End of Time 【すたーおーしゃん てぃるじえんどおぶたいむ】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B00006D2DI)※重大なバグあり&br() 購入時要注意! | |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|DVD-ROM 1枚|~| |発売元|エニックス|~| |開発元|トライエース|~| |発売日|2003年2月27日|~| |定価|8,190円|~| |プレイ人数|1人|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|『[[聖剣2>聖剣伝説2]]』並みなバグの総合商社&br()後半以降のストーリー展開にシリーズファンから批判多数&br()3D化により洗練されたハイテンポな戦闘システムは高評価&br()後半を除けばシナリオは良く、キャラクターやBGMの人気も高い|~| |>|>|CENTER:''[[スターオーシャンシリーズ]]''| **概要 ゲーム開発会社・トライエースの看板タイトルである『[[スターオーシャン]]』シリーズの本編タイトル3作目。~ ナンバリングタイトルだが、見ての通り正式名称には『3』とは付いていない。~ 一方でタイトルには「スターオーシャン3」と併記されており、略称も『SO3』が最も浸透している。~ その理由は開発時の仮称が「スターオーシャン3」だった事と、実際の三作目にあたる『[[スターオーシャン ブルースフィア]]』より開発開始が早かった事や、そもそも『ブルースフィア』は外伝である事、などが挙げられる((尚、『4』『5』も本作同様にタイトルロゴにナンバリングを含まず、その下にナンバリング付きタイトルを併記する形になっているが、ややこしい事に正式名称にナンバリングを含まないのは本作のみとなっている。))。 時系列は前作『[[スターオーシャン セカンドストーリー]]』の400年後となっており、シリーズが『6』まで続いた現在でも最も未来を描いたものとなっている。 PS2のHDD(BB-UNIT)に対応しており、インストール中の画面には戦闘システムの説明が表示される。 ---- **ストーリー >全宇宙の破壊を目論む「神の十賢者」との戦い、そしてエナジーネーデの消滅から約400年後。~ 西暦2858年(宇宙暦772年)には銀河連邦は既に銀河の1/3の探査を終えるほどの繁栄を極めていた。~ ~ 地球人の青年フェイト・ラインゴッドは銀河有数の紋章遺伝子学の権威である両親と、幼馴染のソフィア・エスティードと共に保養惑星ハイダを訪れていた。~ ソフィアに駄々をこねられて渋々同行したフェイトだったが、趣味のファイトシミュレータに興じたりソフィアとホテルを散策したりと何だかんだで家族旅行を満喫していた。~ ~ しかしその平穏な時間も長くは続かなかった。~ ~ 突如、ハイダが正体不明の宇宙軍に攻撃され、無残に蹂躙されたのだ。~ 避難の最中、両親と引き離されつつもフェイトはソフィアと共に脱出艇で星を飛び立つが、宇宙にて敵軍の更なる追撃を受け、ソフィアとも離れ離れになってしまう。~ たった一人になったフェイトを乗せた脱出ポッドは、付近の未開惑星へと降下していった。 ---- **基本システム -3D作品となったことで、移動には大きく手が入っている。 --ワールドマップは廃され、『1』と同じく街などの拠点とそれを繋ぐ街道などの操作を区別しない形式となった。 --敵とのエンカウントはシンボルエンカウント式となり、移動で敵を回避できるようになった。 ---- **戦闘システム -戦闘は3Dのフィールドで行われ、左スティックで自由な移動が可能。 --また、方向キーをキャラ正面以外の方向に押す事で「バトルステップ」と呼ばれる定距離移動ができる。 -戦闘参加人数は、前作までの4人から3人に減った。HPだけでなく、MPも0になると戦闘不能になり、そのシステムのために他のRPGよりもMPにダメージを与える攻撃が格段に多い。L1・R1ボタンで操作キャラを瞬時に切り替えられる。 --MP0でも戦闘不能という仕様は不利な要素と思われがちだが、これは敵側にも適用される。高いHPを持つ敵も、MPを削れば楽に倒せる場合も多い。 ---HPとMPのダメージを両立させようとすると火力が中途半端になりがちなので、HPとMPに大差がある敵でなければ、重点的に攻める側を決めたほうがいい。 -敵味方ともに最大100%の「Guts」を行動ごとに決まった量を消費し、0になると移動などはできるが攻撃や呪文が一切行えなくなる。 --Gutsは静止することで高速で回復していき、2、3秒ほど立ち止まれば全快する。 -三すくみの戦闘アクション --○ボタンで予備動作が短いが威力の低い「小攻撃」。出の早さを活かして敵の大攻撃を潰す事ができるが、プロテクトで防がれてしまう。 --×ボタンで動作が大振りで威力の高い「大攻撃」。相手のプロテクトを崩してダメージを与えられるが、隙が多く小攻撃で潰されやすい。 --Gutsが最大値+静止状態で小攻撃を受けると「プロテクト」が発生して攻撃を無効化した上、攻撃や補助の効果を持つ「カウンターオーラ」を敵や味方に飛ばすことが出来る。ただし、大攻撃を受けると攻撃は防げない上、「プロテクト破壊」が発生してGutsを大幅に下げられてしまう。また、プロテクト成立時にもGutsが1%減少するので、多段ヒットする攻撃は小攻撃であっても捌ききれない。 ---カウンターオーラは初期状態では、攻撃してきた敵1体を気絶させて行動不能にする効果だが、ゲーム進行に伴って追尾機能付き気絶オーラになったり、オーラの効果をダメージや味方の回復などへ切り替えることができる。 ---大小2つの攻撃はSレンジ・Lレンジで性能が変化する。また、キャラによっては敵の密集具合・行動・追加入力等によっても変化する。 --また、上記3つのアクションとは別に十字キーを押す事で、敵の攻撃を回避できる「ステップ」を行える。~ 無敵時間が発生するため敵の大攻撃の回避する時に使用する他、距離を取って攻撃レンジを切り替える等にも使う。~ ステップの性能はキャラクターによって異なっており、一部キャラはステップ中の小攻撃で特殊アクションを行える。 -バトルボーナス --画面右に「ヒートアップゲージ」というゲージがあり、敵に攻撃を当てる度に溜まっていく。味方と敵の強さの差が大きいほど速く溜まり、逆だと一切溜まらなくなる。 --100%まで溜まると、その時の攻撃方法に応じてボーナスを1つ(「経験値3倍」「入手フォル2倍」「勝利時回復率UP」「アイテム入手率UP」のいずれか)得る事ができ、以降戦闘回数を重ねる毎に残りのボーナスを順々にランダムで得られる。 --効果は「操作キャラがクリティカル攻撃を受けるか戦闘不能になる」「戦闘から逃走する」「セーブデータをロードする」のいずれかで終了する。 -各キャラには従来のシリーズでいう必殺技に相当する「バトルスキル」をセットでき、攻撃ボタン長押しで発動する。 --「Sレンジ(近距離)・Lレンジ(遠距離)」の「小攻撃・大攻撃」、計4ヶ所にそれぞれセット可能。 ---ただし、バトルスキルにはそれぞれキャパシティポイント(CP)と呼ばれる値が設定されており、その合計値が上限値を超えないようセットしなければならない。上限は全キャラ共通で15。 --発動にはHPまたはMPを消費する。大攻撃で発動させた方が威力・消費量が大きく、プロテクトも破れる。この大攻撃での消費量は固定値になっている。 ---ただしDC版では、一部のバトルスキルは小攻撃でもプロテクトブレイクが発生するので、大攻撃にこだわらずに色々試してみるのも面白い。 --前作と同様に各スキルには熟練度が設定されており、使用回数が一定に達する毎に効果が上昇する。 --従来作の戦闘スキルに相当する補助スキルを2つまでセットできる。熟練度があり、セットにCPを使うのもバトルスキルと同じ。 -キャンセルチェイン --格闘ゲームのキャンセルのように、技の出終わりの隙をキャンセルして、新しくバトルスキル(技)を発動させる事ができる。 --キャンセルの順番には制約があり、(通常小攻撃→)小バトルスキル→大バトルスキル→小バトルスキル…と、小攻撃にセットした技と大攻撃の技を繰り返す形でのみ発動できる。 ---同じ技を繋げられないという制約はなく、小攻撃と大攻撃に同じ技をセットしていれば、技A(小攻撃)→技A(大攻撃)と繋げることは可能。 --技を繋げる回数そのものに制限はないが、技の発動それぞれにGutsを消費するため、繋げられる現実的な回数は基本的には1~5回程度となり、大技を組み込むと繋げられる回数は少なくなる。 //---DC版ではキャンセルを繰り返すと、最大で300%までバトルスキルの威力が増加するシステムが新たに追加された。 //効果は永続ではないが、戦闘中何度でも発生させられるので、コレによりCPの低いバトルスキルにも目を向ける機会が与えられた。 //↑DC版に記載されている要素なのでCO -レベルが上がると溜まる「スキルポイント」を振り分けることで、HP・MPとCPU操作時のAIの補強ができる。 --HPやMPが上がる「生命力」「精神力」、AIの攻め・守り頻度が上がる「攻撃術」「見切り」の4種類をそれぞれレベル10まで上げることができる。 --ただし、これらのレベルは一度上げたら元に戻せない。AIを司る「攻撃術」「見切り」はあくまでパターンの変化で、レベルが高ければ良い行動をしてくれるとは限らないので、注意しなければいけない。 -タクティカルスキルが追加。バトルスキルとは別個に能力を設定でき、戦闘中でも変更できる。 --カウンターオーラの種類の変更。防御力を低下するかわりに、HPダメージを30%増加させて、消費ガッツを半減させるバーサークの有無。受けたHPかMPへのダメージをもう一方へのダメージに変化させるバランスコンディションの設定と有無、といったものがある。 -前作同様、敵が後方や上方から奇襲してくる「バックアタック」「レイドアタック」が発生する。 --本作はシンボルエンカウントとなったため、これらの奇襲戦闘はランダム発生ではなく、後ろから敵シンボルに接触されることでいずれかが発生する。 -前作の「ボイスコレクション」が廃止された代わりに、新たに「バトルコレクション」システムが追加。 --いわゆる実績システムであり、「バトル」の名の通り、全て戦闘に関するものになっている。 --戦闘中に特定の条件を満たすことで達成でき、取得時のスクリーンショットと共に記録される。 --戦闘回数などの回数蓄積、特定ボスの撃破、特定ボス撃破時間のタイムアタックなどの定番に加え、「初期装備の武器で99999ダメージを出す」「攻撃アイテムをマップ上の障害物にぶつける」などの変わったものもある。 --バトルコレクションの達成率が一定に達すると、ゲーム開始時に選択できる難易度のうち高難易度のものが解禁される。 **キャラクター -キャラクター人気は、主人公のフェイトやヒロインのソフィアなど賛否両論のキャラがいるが、他のシリーズにも劣らない。 --人気キャラとして、公式ファン投票で主人公のフェイト以上の人気を獲得したアルベルや、重要キャラクターであるマリアの名前がよく挙がる。 ---マリアは登場までの経緯もあってか発売まで存在が伏せられていたため、プレイヤーに驚きをもって迎えられた。 ---後述するサブキャラクター人気を含め、女性キャラクター評価は全体的に高い。メインキャラクターでも、序盤から仲間になり長らく唯一の女性キャラとして活躍するネルや、スラング「○○の●●はエロカワイイ」((2ちゃんねるのキャラ萌えスレッドのスレッドタイトルとして、よく使われるスラング。))の元ネタとして有力なソフィアも、マリアに一段劣るが人気はある。 ---男性キャラでも前述のアルベルは、従来作には無いキレッキレのキャラクター性、「偉い奴が強いんじゃねぇ、強い奴が偉いんだ」「''阿呆なクソ虫共''」などの強烈な台詞の数々から高い人気を誇る。 ---本作の東地宏樹枠であるクリフも、普段は軽口を叩いたり熱くなりやすく喧嘩っ早かったりするところもあるが、年長者だけあって現実的な思考で、決める時はバシッと決める、頼れる良き兄貴分であり人気がある。 --パーティーキャラクターの総数こそ減ったが、その分サブキャラクターが魅力を強めている。クレアやミラージュなどの人気は、メインキャラクターに迫るものがある。 --因みに、主人公のフェイトは、声優が一緒・双子の姉弟がいる((但し姉弟か兄妹か不明などころかゲーム中で血縁関係がある事自体はっきり言及されておらず、血縁関係ではないかとプレイヤーに思わせるだけに留まっている。))・親から遺伝子改造を受けているなどと、偶然とはいえ、同時期に放映していた某アニメの主人公との共通点が多い(詳しくは余談を参照)。 ---余談だが、ロジャーというキャラクターは、初登場時のシーンで助けないと、&bold(){EDでも牢屋に入ったまま}というギャグシーンが見られる((ただ、彼のキャラクターは『男性には常に喧嘩腰で、女性に媚を売りまくる生意気な12歳の子供』であり、否定的な意見も多い。わざわざ助けなかった場合の専用シーンを作るあたり、ある意味、スタッフも狙ってやったのかもしれない))。 //3にも人気キャラはいますし、ロジャーが賛否分かれるのも事実。 -今回は8人のプレイアブルキャラが登場するが、前作、前々作ほどの編成の自由度は無く、最大6人パーティのうち4人が固定。後の2人分の枠を残り4人の仲間から選ぶ事となる。 --最終的な固定メンバーはフェイト、クリフ、マリア、ソフィアの4人。選択可能キャラはネル、ロジャー、アルベル、スフレの4人である。ネル、アルベル、スフレはストーリーの途中でも一時加入し、特にネルは長らくパーティー入りはするが必須メンバーではない。 --ある地点までに発生させた特定イベントに応じてアルベル、ロジャー、ネルの三人の中から一人が仲間になる。条件を満たしていればアルベルかロジャーが。どちらの条件も満たさなかった場合はネルが仲間になる。 --スフレはその後のイベントで仲間にするか選択可能。スフレを仲間にしなかった場合は終盤にて他三人のうち仲間にならなかったキャラを追加で加入させる事ができる。 ---- **評価点 -完成度の高い戦闘システム --前作までは奥行き描写のある2Dだったために縦方向には攻撃できなかったが、今作では3D化により方向を問わず攻撃可能になり、アクション性が高くなった。 ---前作までのように「位置取りを合わせるためにのたのたと走り回る」事態も起きなくなり、ストレスを感じさせることは少なくなった。 ---主人公のフェイトが、主人公としては珍しくパーティキャラ内で戦闘中の移動速度が最速ということもあり、戦闘のテンポも良好に感じられる。 ---一部の攻撃・技には意図的に空中に浮かせるものや対空性能を持っているものがあり、「敵を打ち上げて空中に飛ばし、落ちて来た無防備な敵に追撃する」というコンボを決められるようになっている。本格的なアクション性を求めるプレイヤーにも応えられる出来。 ---かと言って初心者お断りという訳でもなく、敵のモーションがはっきりしているため、ヒット&アウェイに近い安全策の戦闘も選べる。 --シリーズで初めて呪文や技の演出時に戦闘が止まることがなくなり、バトルテンポが損なわれなくなった。 ---処理落ちもしにくく、2D時代と変わらないと言い切れるほどにサクサク動く。 ---呪文や技が全画面攻撃や必中攻撃ではなくなったため、基本的に全ての攻撃は自分の腕のみで回避可能。コマンド型RPGを引きずった部分がなくなり、アクション性が高まった。 --キャラの使う技は派手なものがあり、エフェクト・効果音・攻撃モーションといった演出面でも優れており、爽快感が非常に高い。 ---特に各キャラクターの最強技は圧巻。極太ビームを発射する、フィールド中に隕石を落とすなどといった演出自体は前作までにもあったものだが、3Dに起こしたことで非常に画になっており、テンポと演出性を非常によく両立している。 --ワンボタンでキャラクターを切り替えられるシステムが前作から継承されている。当時の3D作品としては、戦闘中に操作キャラを待ち時間なしで切り替えられるのはかなり先進的。 ---ハイテンポな戦闘を演出するのに役立っており、操作キャラを上手く切り替えて別のキャラでコンボを繋げる遊び方もある。 --前述の三竦みも戦略性の増加に一役買っている。特にカウンターオーラは重要で、敵によってはディフェンス中心に立ち回るほうが有利に進められる。 --バトルステップの導入によりとっさの回避が行いやすくなり、上級者がアクションの腕で能力値をカバーできるような作りになった。 -前作までと異なりサブキャラクターにも見せ場が多く与えられており、ミラージュ・クレアなどの準主要キャラクター((ミラージュに関しては、当初は仲間入りする予定だった。カップルEDに彼女のEDがあるのはその名残。))の他に個性的なクリエイターの面々も人気がある。 --後にシリーズ定番キャラとなる「ウェルチ・ビンヤード」が初登場したのも本作。可愛く外面もいいギルドの受付嬢だが、実際は自分勝手でしょっちゅうギルドマスターら身内に八つ当たりしたり、かと思えば度々中継カメラを切り忘れて醜態を晒したりというコメディリリーフで強い印象を残した。 -キャラグラフィックも好評。3Dポリゴンだが、適度にアニメ調にデフォルメされている。 --特に、ネルの初登場シーンはその美しさに心奪われたプレイヤーも多いという話がある。 -アイテムクリエーションに「合成」が追加。武器に様々なファクターを付加することで、自分好みにカスタマイズすることができる。 --攻撃力に特化するも良し、攻防のバランスをとるも良しと自由度は高い。その気になれば比較的早い時期から攻撃力をカンストさせたり、最高難易度のFDモードで最強の隠しボスの必殺技をも耐えられるようにできたりする。 --ただし、合成には莫大な費用がかかる。合成を行うのに必要なアイテムがクリア前は入手個数限定で、クリア後も低確率ランダム入手。そして多くの特殊効果は消去できないことから熟考が必要。クリア後を含めて後半までなら合成がなくとも十分ゲームを進行できる。 ---惜しむらくは無印でもDC版でも、防具やアクセサリーに合成が出来なかった点か。せめてDC版で、それが出来るようになっていれば、もっと色々と作る楽しみもあっただろうが… -詳しくは後述するが、ストーリーは終盤に大きく賛否が分かれる展開になるものの、それまでの評価は決して悪いものではない。 --主人公のフェイト達は自分達が先進惑星の人間であることを隠さなければならないという事情の中、2国の戦争の真っ只中に放り込まれる。その深刻さはもちろん、街などの拠点が果たす役割が小さく単なる通過点に近いものになりがちだった前作までと比べ、舞台となる惑星での各地の事情がシリアスに描かれている。 --上述した通りサブキャラクターにも見せ場が与えられた他、前作ではメンバーの多さや編成の自由度のために本編では薄くなりがちだった仲間キャラの描写もかなり濃くなっている。 --メインストーリー自体も、略奪や戦争に巻き込まれつつ進むため、目的が明確で「とりあえず行ってみよう、やってみよう」という無秩序で緩い展開が少なく過去作より動きがある。その中に重い展開や(中盤まではほどよく)意外性のある演出を盛り込むことで、ドラマ性が増している。 ---一方で、ストーリーに関与しない会話などではギャグイベントやパロディ、ユーモラスなテキストがちりばめられており、思わずクスリと笑えて楽しめる。決してゲーム全体が重苦しく陰鬱な雰囲気が漂っている訳ではなく、適度なメリハリが利かされている。 --一つの惑星をメインに冒険し、シナリオ進行に応じて別の星や世界に移動したりするという点は従来と同じだが、今回は複数の惑星間を移動したり、宇宙船での航行や宇宙ステーションなども登場するなど、ファンタジー色が強かった前二作に比べてスペースオペラらしい雰囲気が強まっている。 -クリア後のおまけダンジョンも充実。 --今回はお馴染みの試練の遺跡に加え、全211フロアにも及ぶ高層ビル「スフィア211」という長大なダンジョンも用意されており、やりごたえは抜群。 ---スフィア211自体は本編でも行くのだが、その時は5階からエレベーターで最上階に直行するので6階以降は探索の必要が無い。 --これまたAAA作品お馴染みの隠しボス「イセリア・クイーン」も登場するが、今回はそれすら凌ぐボスも登場。 --もちろんお約束のはっちゃけ具合も健在。むしろパワーアップしている。 --やりこみ派のプレイヤーからは「本編はおまけ、こちらが本番」とまで称されるほど。 -全てではないが、イベントをスキップできるようになった。 --一般的な作品のようにイベント中に任意にスキップできるのではなく、イベント開始時にスキップするか聞く形式なのでやや不便さはあるが、それでも機能が搭載された事は大きな進歩である。 -エンカウントがシンボルエンカウント方式になり、回避してサクサク進むことや任意の敵を選んで資金や経験値稼ぎをすることなどがやりやすくなった。 --消費アイテムを使えば敵の移動を一定時間封じる事が出来るので、戦闘をしたくない時に便利。(一部のダンジョンではそれがあだとなり、アイテムの効果が切れるまで進行不能になったりもするが…。) -3D化したが、視点変更やミニマップ表示がダンジョン・街問わず付いているため迷いにくい。 --L1R1ボタンで視点を回転できる。また、ミニマップも視点に合わせて回転するか、ノースアップ(北が上)に固定するか選択できる。近年のような右スティックで視点操作をするゲームに慣れているとやや使い辛いかもしれないが。 --ダンジョン内のマップはプレイヤーが踏破した場所のみ徐々に解放される方式となっているため、探索のやり甲斐も損なわれていない。マップを埋め尽くすとアイテムが貰える特典もある。 ---特典の所持しているだけで効果を発揮するので、装備枠を圧迫されない。 ---ただし、中にはデメリットにしかならない特典もあり、不用意に取得してしまうと強制的にハードモードになる(一応売却可能なので、処分してしまえば効果は消えるが、再入手は不可能な点に注意)。 -今回も全曲桜庭統氏による作曲、それも今作ではプロのミュージシャンを起用した生演奏が用いられており、戦闘曲をはじめとして評価は非常に高い。特に一部のボス戦で流れる「The Divine Spirit of Language」は高い人気がある。 --その一方で終盤のボス戦によく使われる「Bitter Dance」という特定のボス戦のラップ曲は、前後の展開や世界観から著しくズレていて賛否両論である。((この曲が始めて流れるボス戦にあっていないという理由だが、今までの音楽と違い何故この音楽が流れるのか申し訳程度に推察できる理由はある。……が、辞書の項目をこまめに見ていないと分かりようがない)) -登場人物や作中の用語を解説する「辞書」があり、世界観をより深く堪能できる。 -ザコ、ボス問わずボイス付きの敵が大幅に増えた。 --自分は何もせずに仲間に命令だけ((命令とは言うがその場で立ち止まって「何をやっておるか!」と嘆くだけで、実質的には何の効果もない))し、終いには換金アイテムを差し出して命乞いをする「貴族メン」という雑魚は、茶風林氏による怪演も相まってプレイヤーに強烈なインパクトを与える。 ---序盤での金策のために、何度も狩られる姿が多数報告されている。奴の財力は底無しか…? --また、本作のラスボスは声優・藤原啓治氏の怪演と数々の迷ゼリフによりネタ的意味で人気がある((ちなみにアーリグリフ王もこのお方))。 -イベントシーンによるキャラクターボイス --前作までは戦闘中など一部のシーンにしかボイスが無かったが、本作からはイベントシーンはフルボイスで展開するようになった。 --ただし、隠しダンジョンでのイベントシーンはボイス無し。残念ながらDC版でもフルボイスにはならなかった。 ---- **賛否両論点 -アイテムクリエーションはシステム自体が大きく変更されているため賛否がある。 -今作では街にある「ファクトリー」と呼ばれる施設でのみ行えるようになり、さらに仲間を割り振ってICの種類、開発プランを選んだ上で開発資金を消費して行う。実行中にはレシピ開発に必要な時間を表す「TIME」((TIMEゲージが最大になるとコストとなる資金が消費される。))と開発アイテムの良し悪しを表す「QUALITY」のゲージが変動し、両者のバランスを見極める必要がある。 --開発には、武器や機械といったカテゴリを選択→対応するクリエイター((クリエイターにはパーティメンバーも選択可能。))を3人選択→クリエイターのメンツでテーブルが決まる→テーブルからアイテムが1つ選出される→アイテムに設定された範囲からコストが決定する→クリエイト開始、というプロセスを踏む。 ---選出されたアイテムを作り続ける形になり、クリエイトレベルに見合わない高度なアイテムだと失敗してしまうことも。 ---アイテムはクリエイターを選び直すことで再選出される。アイテムごとにコストが決まっているため、これを把握していれば狙ったアイテムを作ることが可能。 --他にも資金を使ってファクトリーを拡張する事でより良いアイテムを開発でき、開発したアイテムのレシピを「特許申請」する事で通常のショップに流通させられるようになる。 --さらにプレイヤー以外にも競争相手となるクリエイターが存在しており、プレイヤー以外のクリエイターが特許申請したアイテムは通常より高額になってしまう。クリエイターは条件を満たす事で契約することも可能で、契約したクリエイターが申請したアイテムは安価で購入可能になる。 -作中、ほとんど説明されず、一方で難儀な罠仕様の数々がプレイヤーを襲う。 --開発アイテムは絞り込めはしてもランダムで、狙ったアイテムが作れているかは終了後でないと分からない。 ---一回一回に多少の時間を必要とし、それで狙ったアイテムができていないとなるとがっかり度も割増しである。TIMEゲージ上昇待ちも、別に演出が楽しいという訳でもなし。 --パーティメンバーは得手不得手に差異はあれど全てのカテゴリに参加でき、ものによっては非常に高いレベルを持つ。一方、クリエイト中寝ている時がある。 ---寝ている場合、&bold(){クリエイトレベルが0として計算される}。 --開発中、TIMEゲージの途中でいきなり資金が減少することがある。これは、元々「開発資金は全部フェイトたちが持つ」という契約を結んでいるためで、要は他のクリエイターたちも開発を行っていることによる。 ---つまり、契約クリエイターを増やすとその分猛烈な勢いで金が減っていってしまう事態になる。 ---なお、全てのクリエイターと契約する意味はほとんどなく、慣れたプレイヤーならトップクラスのクリエイターたちと他一部だけ契約すれば事足りる。 -と、このように新要素が非常に多いのだが、実際のゲーム中では基本的な事しか教えてもらえず、多くの部分は手探りで覚えていかねばならない。熱中するプレイヤーも多い一方、大量の資金が必要となる事もあって苦手とするプレイヤーも多い。 --説明されない中にはTIMEゲージや居眠りの導入など、従来システムに対して改悪としか言えない要素が紛れ込んでいる点も問題と言える。 -テーマソングの使われ方 --本作のテーマソングはMISIAの『飛び方を忘れた小さな鳥』。名曲で曲自体には何の問題もないのだが、流れる場面に妙な違和感がある。 --使われているのはオープニング、主人公のフェイトがソフィアに遊びに行こうと誘われた際、&bold(){水着から軽装に着替えるソフィアを待つために部屋の前で待っている場面。}…なぜここで? --曲調的にゆったりとした曲であり、かつサビはかなり強く歌うバラードなので、確かに使いどころの難しい曲と言われればそうなのだが、とは言えこの使われ方は謎。 --波乱に巻き込まれる前の前兆としての穏やかな雰囲気を表していると&s(){無理矢理}解釈できなくもなく、結果として曲を印象付けることには成功しているのだが、「他に入れるシーンがないからここに入れた」ような感を覚えずにはいられない。 --ちなみにエンディングでも流れるようになっており、こちらは何の問題もない。タイミングは勿論演出面でも練られており、十分にテーマソングとしての役割を果たしている。 ---- **主な問題点 ***多くのバグ -AAAというメーカーを知っているプレーヤーならば、当時「AAA作品=バグ完備」なのは最早当たり前の事実であった(無論例外もある)が、本作もその例に漏れず、バグの量と質はSO2にも匹敵する。以下はその中でも悪質&有名なものを挙げている。 --PS2本体の型番によっては、ゲーム序盤のイベント戦でほぼ100%フリーズしてプレイ不能になる(ボスの取り巻きのチンピラとの戦いで起きることから「チンピラバグ」などと呼ばれる)。主に初期型(SCPH-10000)で起こる現象だが、薄型PS2でも発生するとの声もある。これが本作のバグで最も有名かつ凶悪なものであろう。 ---ただし、このバグのそもそもの原因はSCEが提供した開発用ライブラリにあったことを特記しておく(故に、不具合対応はトライエースやエニックスではなくSCEが行っている)。またこれに限らず、薄型PS2には動作不良を起こすPS・PS2ソフトが幾つも存在することを付け加えておく。 ---とはいえ、序盤で起きる進行不能が絡むバグということもあり、対応策(不具合のディスクを修正版と交換)が発表されるまで購入そのものを見合わせる人もいたために、結果として売上本数を落とす原因の1つになってしまった。 --実績要素の「バトルコレクション」がある一定の条件を満たしてしまうと全て白紙に戻ってしまい、更に新たなバトルコレクションを得ることも不可能になる。 --戦闘中に一定確率で壊れる一部の強力なアクセサリを武器に合成すると、破壊確率が無視される(アクセサリ自体の効果は全て引き継がれる)。 ---特に有名なのが、「物理(or術)ダメージを1/10に軽減」(破壊確率は15%)というアクセサリで、これを合成する事で破壊確率を無視して常時被ダメージを1/10にする事が可能になる。低~中難易度の本編で使えば確実にバランスブレイカーだが、シリーズ恒例であるクリア後ダンジョンや隠し難易度の敵はいずれも凄まじい火力を誇るため、この合成をして丁度いいバランスと言われる事もある。~ DC版では流石に修正されたため、最終的な難易度でのプレイでは、かなりの凶悪さの敵に限られた攻略手段で挑まなくてはならないので、やり込みの楽しみは増えたと言える。 -それ以外にも、再現性や深刻さは落ちるもののバグの報告例は多い。プレイを阻害するものから、楽に進めるためのもの、単なるネタレベルのものまで多種多様に備えられている。 --あまりに数が多く書ききれないため、詳しく知りたい人はゲーム攻略ページや動画投稿サイトなどを閲覧してみるのをオススメ。 --なお、本作にはAAA独自のコピーガードが施されているのだが、これが原因で起こっているバグも多数存在する。 -%%よく訓練された%%一部の古参AAAユーザーにとってバグは想定の範囲内だったので、「AAAだからしょうがない」と発売前から半ば諦めていた者も少なくなかった。しかし…。 ***ストーリー展開 -前半と後半のストーリー展開の落差は衝撃的の一言。しかも過去作品の世界観をも巻き込んでいるので、古参のAAAユーザーの衝撃は計り知れないものとなった。 --前半のストーリーはシリーズ恒例の、ファンタジー+SFの世界観で問題無く進んでいくのだが…。 #region(ネタバレ) -後半では、''「主人公達の世界は、実は「FD世界」と呼ばれる他の世界で作られたシミュレーター『エターナルスフィア』の中の世界である」''というまさかの展開になる。~ (エターナルスフィア側の人物が上位世界を便宜的にFD(Four-dimensions=四次元)と名付けた)~ 過去作品は全て本作と同一の世界設定で展開されていたので、自動的に過去作品の出来事もシミュレーター中での出来事という事になる。~ 所謂「シミュレーテッドリアリティ」の概念が使われているという事であり、モチーフ元は新スタートレック「甦ったモリアーティ教授」と思われる。~ なおFD人は現実の人類のような存在ではなく、FD世界上で空間と同じように時間も移動する、名前通りの四次元人である。~ -実際に『2』のラスボスである十賢者の暴走に関して、このFD世界ではただの「イベント」と認識されてしまっている。 --ただし、実際のところはこの「イベント」(=FD世界の人間が意図的にこの事件を引き起こした)というのも一般FD人に情報が伝わっていない故の勘違いであり、シミュレーター内で十賢者を時間停止空間「エタニティスペース」に閉じ込めたところを、そうとは知らず開発者の1人であるベリアル(本作のボス敵でもある)が「時間停止のバグを解除」したため十賢者が復活してしまったというのが真相であると本作の「辞書」で述べられている。 --とは言え、この一般人の台詞だけを見た状態ではこの「イベント」という発言が誤解によるものだと認識するのは非常に難しい。実際、この台詞を素直に受け取って「『2』の終盤は『3』でただのイベントという設定にされてしまった」という認識をしてしまっているプレイヤーも多い。 --加えて言えば、「イベント」という露骨な作為ほどではないにしろ、十賢者事件の発端はFD世界のエンジニアがたまたまバグと認識した現象を修正したことで起きたものでした、という実際の設定も広く納得されているとは言い難い。 -補足しておくと、正確には「精神投影式の極めて高度なワールドシミュレーター」である。~ プログラム内部の要素が様々な要因で進化・発展し続け、人(というよりプログラム生命体)の思考が現実の人間と変わらないほどにまでなり、結果、シミュレーター製作者からすらも「独自の世界を築いているので干渉するのは失礼」と言われるほどの世界となった。「シミュレーターか現実か存在している空間が違うだけの、一種のパラレルワールド」というほどにまでなっている。 --なおFD人は様々な関与や生命体を作ったり世界を眺めたりすることはできるものの、内部の生命体に宿って直接操作することはできない。 --また干渉についても当初は自由にできたが、世界が複雑に発展していくにしたがって世界が干渉を受け付けない不可能な事柄が増えていったことが語られている。 -上記の通り、''SO1やSO2の主人公や仲間・敵の行動や出会った人々の言動は、世界を創造したFD人達と変わらない思考能力を持っている本人達の自我によるもの、つまり彼らを操作している「プレイヤー」がいる訳ではない。'' --しかし、作中のFD世界の被創造物扱いされた事で、SO1やSO2の物語が非常にチンケな物にされてしまったと感じた人もいる。 ---これについてはリアルや他作品等で「AIに人権を認めるか」といった議論で両極端な意見が出やすい事からも、「あくまで自我を持った人間同様の存在の物語」と取る人も「所詮作られた存在の物語のような物」と取る人も、どちらの意見も出て当然だろう。 -しかし、シリーズファンにとってはある意味一番大事なそこの部分が作中で具体的に強調されておらず、''「スターオーシャンの世界は、オンラインゲームの世界である」''というインパクトのある部分だけがネットで有名になり、本作をプレイしていない人間にも伝わるほど一人歩きした結果、シリーズ全体を非難する声が挙がってしまったのは問題点と言える。もう少し作中で丁寧なフォローがあれば誤解無く受け入れられただろう。 --なお、上記の簡潔なまとめが広がってしまったために誤解を招きやすくなったが、''本作で作中世界を「ゲーム」と表現した事はなく、一貫して&color(red){「シミュレーター」}と表現している。''「私達の世界はゲームなの?」という台詞もあるが、「ゲームではなくシミュレーターに近い」と否定されている。 --実際のところ(我々の)現実においてゲームとシミュレーターの境界は曖昧であり、「(オンライン)ゲーム」という表現も全くの誤りではないのだが、作中の設定を理解した上で「(オンライン)ゲーム」と言っている人は少なく、大抵我々が遊んでいるオンラインゲームのイメージで語られる事が多い。 -そしてラスボスはそのシミュレーターシステムの製作会社社長にしてメインプログラマ。つまり''正真正銘の一般人''(ただし半仮想空間での戦いになるので、ボスらしく超人化・超強化されてはいる)。一応、「ラスボスが創造主」というだけの作品なら他にも数多くあるのだが…。 -最終的に世界を物理シミュレートして形作っていたプログラムは消去されてしまう。しかし精神、心は、ラスボスがエターナルスフィア内の生命を軽視していたおかげで消去する方策を取られずに済んだ。残った人々の心によって世界があるかのように認識することはできるため、エンディング後は物理シミュレートのプログラムに代わって人々の認識が世界を形作ることになる。 -このように、シリーズの根幹とも言える最重要設定が堂々と出てきたにも拘らず、ゲーム後半という時期に明かされた事もあって、''肝心の「FD世界」という世界自体の掘り下げが非常に不足している。'' --FD世界にはどのような統治機構があるのか、何故これほどの技術力を手にするに至ったのか、等といった深みのある事柄は大して語られず、歩き回れるのもいくつかのマップとスフィア社内部ぐらい。この辺も超展開と言われてしまう理由である。 --本作のラスボスにしても、上記の通り作中情報では社長兼メインプログラマであるといった表面的な情報しか語られず、世界を創造した目的、身内を遠ざけてまで頑なに消去に拘る理由、等の細かい事情についてはやはり不明である。そのため見方によっては「自社プログラムのデバッグをしていただけなのにそのプログラムのキャラに殺される」とすら見えてしまう事から、一周回って''和製RPG屈指の不幸ラスボス''と言われる事がある。 -なお作中で神の正体はスフィア社員だったと推測される一方で、創造神トライア(=スタッフルームに登場する開発スタッフたち)は何となく違う気がすると、創造神トライアはFD世界の設定とは関係ないことが言及されている。 #endregion //--このストーリー展開は製作当時から問題視されていたようであり、某攻略本に掲載された開発者インタビューでも言及されている。 //「某」とぼかす理由が不明。今のままでは閲覧者の混乱を招くだけであり、攻略本名の明記が必要。 -ネタとしてはSF作品にはありがちではあるのだが、本作についてはメタフィクション的演出・脚本としても「作られた存在(主人公)VS創造主(ラスボス)」という構造の類似作品と比較しても、あまりに露骨。オチも類似作品によくある「考えオチ(のようなもの)」とはお世辞にも言えず、ただの丸投げと言ったほうが的確。((本作はその内容から2019年に公開された『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を基にした映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を語る際にも同系統のストーリー展開だとして引き合いに出されることが少なくなく、その『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』に関しても批難された。)) --当然ながらファンの反応は賛否両論の雨あられ。シリーズ作品全てを巻き込んだために、特に旧作ファンからは「シリーズの汚点」「黒歴史」等の過激な批判すらもあった。先述した通り、せめてもう少し丁寧なフォローがあれば、ここまで荒れる事はなかっただろう…。 ---勿論決して否定意見だけではなく、「割と許せる」という旧作プレイヤーも多く、新規プレイヤーからは普通の評価もあった。 --ただこの設定のおかげで、過去作の「作りかけ部分」や「声優の変更」に変な説得力が出来ることとなった。狙ってやったわけではないだろうが。 --しかし後のシリーズ展開でこの設定が残したダメージは決して少なくなく、特に続編『[[SO4>スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-]]』の評判の悪さにはこの件が少なからず影響しているとの声も大きい。『4』は時系列で最初の時代の話であるためどうしても本作の設定が絡むのである。((「世界は新生したのであって作り物で完結したわけではない」という声も少なく無いが「なら、その後の話をちゃんとみたい」という声もまた少なく無い。しかし、シリーズは頑なに過去時系列の作品しか出さないという状態が続いているため、ファンのモヤモヤは晴れないままとなっている。)) -根本的な事を言うなら、''単独の作品として出していればここまで波及することはなかったのだが''。 //-実を言うと、『ソードアート・オンライン』『BLAME!』『マトリックス』等、SFというジャンルではかなりよくあるパターン。科学力の発達・宇宙への進出・未知との遭遇・星間戦争。と来れば次は上位存在の話になるだろうとされるほどのド定番である。実際、SO1の時点で既にタイムゲートがあり、SO2でも十賢者の眠りを覚ました上位者の存在を仄めかしていた。 //最初から明示されてる作品を例として挙げても話にならない。SAOに至ってはあらすじ時点で『オンラインゲームに閉じ込められる』なんだが? ***その他の問題点 -終盤であるにもかかわらず、&bold(){LV1}で加入してくるキャラが存在する。もっとも、あるバトルコレクションの習得に必須((PTメンバー3人がLV1の状態でラスボスを倒すというもの。コレのためにLV1で加入するんじゃないかと揶揄された。))なのだが、流石に終盤でLV1は色々ときついものがある。 --ただし、低LVのメンバーの戦闘参加によりヒートアップゲージが上昇しやすくなるという恩恵もある。 --この後から、雑魚戦を含め敵の強さが格段に上がっていく(Lv1キャラが加入する場所で出た強力なボスが、次の場所ではザコとして複数体でウロウロしている)ため、「ここでレベル上げしろよ」ということかも知れないが… -トライエース作品ではいつもの事だがゲームバランスが悪い。 --「敵味方の強さの激しいインフレ」「キャラ格差」「ファクター格差」「BSの強弱の幅が大きい(殆どのBSの熟練度による変化が威力の割合増加のみであることや、属性耐性持ちの敵の多さから)」「実際の強さとEXPや金が不釣り合いな敵が多い」などの理由がある。 --また、ゲームバランスを破壊してしまうほどに強力すぎる技が存在する。簡単にダウンさせて延々とハメられるマリアの「グラビティ・ビュレット」、すさまじく長い射程をはじめとした高い性能を持つネルの「黒鷹旋」、クリア後ダンジョン終盤と習得は遅いが、遠距離から連発して信じられないダメージをたたき出すロジャーの「スター・フォール」とソフィアの「メテオスォーム」がよく挙がる。 ---特に黒鷹旋は、使用者のネルが選択メンバーながら「序盤から一時参加」「低レベルで習得」「素早い移動速度とかみ合う飛距離」「MPダメージ付き」「隙が少なくて連発可能」「多段ヒットでプロテクトが気にならない」「他の選択メンバーの正式加入フラグが解りにくい」「キャラ人気が高い」と非常に黒鷹旋の強さを認識しやすくなっている。 //黒鷹旋が強すぎるのは確かだが、「ブーメランゲー」という言葉はあまり浸透していないと思われるのでCO --本作の戦闘では小攻撃・大攻撃・プロテクトの三竦みがあるが、中盤以降、この三竦みの意味が薄くなる。 ---敵を攻撃しても必ず怯む訳ではなくランダムであるため、怯み難い敵が多い中盤以降は、大攻撃前の隙に対して小攻撃を当てても、怯まずに反撃されてしまうことも多い。大攻撃を避けた上で小攻撃を当てる手もあるが、あまり隙がない、範囲が広い大攻撃も少なくない。結果として、「小攻撃が大攻撃に対して優位」という点が次第に崩れていく。 ---また、こちらの大攻撃は、攻撃前後の隙が大きいため敵に回避や反撃をされたり、プロテクトを破ってもやはり怯ませられずに反撃されることが多い。 ---さらに、プロテクトするとガッツが減少するため短い間隔ではプロテクトできず、連続で攻撃判定が発生する小攻撃に対してもプロテクトが有効とは断言できない。 ---さらにさらに、''バトルスキルは大でも小でも発生速度が変わらない''。「大攻撃は予備動作が大きい」というのは、通常攻撃に限った話である。 ---そのため、「大小のバトルスキルを色々と組み合わせた連携」を考える意味は極めて薄い。小バトルスキルは「HP(またはMP)とGutsの消費が少ない」以外の長所が無いため、中盤以降は存在意義が極めて薄くなり、結局、プロテクトされる心配がない大バトルスキルを連発するだけで良い大味な展開になる。 -アイテムクリエイション「合成」の影響力とゲーム難易度設定別の攻撃力設定のバランスが極端。 --アイテムクリエイションで「バトルブーツ」という攻撃力・防御力が割合上昇するアクセサリーを大量に作り、武器へ合成することで、防御力が最大4倍となる。この状態だと、通常難易度「ギャラクシー」では&bold(){ラスボスや隠し最終ボス含む一切の敵からダメージを受けない}という状態となる。強化呪文も併用すれば計6倍になり、敵の攻撃力が1.4倍になる高難易度の「ユニバース」でさえもノーダメージになる。 --一方で最高難易度「FD」では、大味なゲームバランスがさらに顕著になり、こちらの操作で敵の動きを操れる一方、敵の攻撃力が2.5倍になるので一瞬で死ぬことが多くなる。特にクリア後のダンジョンではそれが顕著で、防御力を6倍まで強化しても、敵の攻撃を受けるとあっという間に死亡する。通常難易度の敵の攻撃を400、味方の防御を100と仮定して計算すると問題が分かりやすい。 ---実は耐久性は防御以外が重要で、最も防御の高いキャラでもブーツ一つで防御が約400上昇(強化呪文+ダメージ倍率が高い技でも精々2000程度軽減するだけ)だが、HP上昇ファクターなら一つで約12000も増加するし、確率でダメージや死亡を回避するといったファクターもある。また殺られる前に殺る戦法も重要で、防御半減の代わりに攻撃2倍のファクターが有効(前述の計算なら受けるダメージがたった50増加するだけ)で、余った欄に耐久ファクターを付けるのが攻守両面で得策である。だが「高難易度でもブーツで余裕。だから最高難易度でもブーツがベストに違いない」と誤解し、攻守両面で半端になって苦戦するプレイヤーが続出した。難易度で有効ファクターが違うのはいいが、極端に差が出るのは不適切なバランスと指摘すべきである。 --もっとも、前述の通り「合成」は素材や資金の関係上ゲームクリア後でないとまともに手を出せない代物であり、ラスボスまで1周クリアする範囲では全く関係のない完全なやり込み要素である。 ---「合成」がないとまともに隠しダンジョンや隠しボスと渡り合えないという訳でもなく、少なくとも準最高難易度「ユニバース」までは、「合成」なしか軽微な利用程度で全ての隠しボス打倒まで十分こなせる。 -AIの頭が悪く、ゴリ押しで突っ込んでいくため反撃でやられてしまうことが多々ある。 --ゴリ押しでも何とかなる雑魚戦はまだしも、強敵相手に攻撃を避けたりプロテクトしたりしてくれることはほぼ期待できない。 --場合によっては、AIが何も操作しなくなる「何もするな」に設定して、自分で操作した方がいい場合もある。 //-敵シンボルが微妙によけにくい。稼ぎに必須のヒートアップが壊れやすい。戦闘前後のイベントスキップを個別に指定できない。SEとボイスに比べてBGMの音量がかなり小さい。最初の隠しダンジョンの試練の遺跡にセーブポイントがない。などをはじめに全体的に不親切だったり不便な仕様が見受けられる。 //↑雑に細かな問題点を並べ立てているだけだったのでCO。重要性が高いフィールド移動とアイテムクリエイションの問題だけ個別化。 -ワールドマップを廃したため、『1』に存在した遠距離の移動の面倒さが再燃している。 --ゲーム上頻繁に後戻りを強いられる構成ではないが、ストーリー中盤以降に既に攻略したマップに戻る機会は何度かある。 --特に、アイテムクリエイションが物語のメインである惑星・エリクール2号星の街でしかできないため、終盤や隠しダンジョンの攻略などでエリクール2号星を離れた際に、アイテムクリエイションで再度アイテムを作りたい場合にいちいち戻ってこなければならないのは煩わしい。 -前述した「スフィア211」はやり込みとしてはボリュームがあるものの、マップは全8種類から選択された使い回し。さらには何故か空っぽの宝箱が多い。 --一応進行度によって出現モンスターなどは変わり、途中には約10体ほどのボスもいるのだが、それでも単に長いだけで単調で退屈な道中の構成には批判がある。 ---途中でセーブポイントへ引き返せること、再開時には一度到達した階はスルーできることは補足しておく。 -「難易度『ユニバースモード』で○○を○分以内に倒す」など、ゲーム開始時の難易度が指定されたバトルコレクションを、さらに高難度の『FDモード』で取得できない。((BCの取得設定ができないアースモードを除けば難易度不問のBCがあり、それをユニバースで取得可能だったことから、指定難易度よりも上位であればどのBCも取得できると勘違いされることがある。)) -バトルコレクションの中には「戦闘回数が50,000回になる」「敵を50,000体倒す」「戦闘時にボタン入力した回数が1,000,000回になる」という、連射機使用でも達成困難なものがある。 --コレクションのコンプリート率特典は95%達成(全300個中、285個)で打ち止めになるため、上記のような極端なものは無視出来るが、他のコレクションも基本的に「上手ければ自然に達成できる」という物は少なく、時間のかかる面倒な物が多い。 ---高難易度を解禁するには達成率を上げなくてはならず、その場合作業的なプレイを強いられる。 -ミニゲーム「バーニィレース」が色々と酷い。 --馬券のように、4匹の「バーニィ」が行うレースの勝者を予想するミニゲームである。当てればポイントを獲得でき、外れてもデメリットはない。獲得した合計ポイントに応じて景品が貰える(景品を貰ってもポイントは消費しない)。 --まず問題なのは''一試合に約2分もかかる''こと。そもそもがプレイヤーが介入できず見ているだけなのに加え、試合中はバーニィがジャンプで地震を起こし他者を妨害するモーションが何回か入るぐらいで、大した動きも無い。 --そしてもう1つはポイント効率の悪さ。単勝方式(勝率1/4)で最大3ポイント、連勝複式(勝率1/6)でも最大9ポイントしか貯まらないのに対して、&bold(){最後の景品の獲得には1,000ポイントも必要}と尋常ではない。 ---連射機を使った放置プレイ以外での取得は困難だが、開発も予想済みだったのか、最後の景品を貰う際に「連射機じゃなかったらスゴイね」と言われる。そんなセリフを入れる時点で何か問題だと思わなかったのだろうか…。 --景品にそこまで魅力的な物が多くなく、あくまで進行に影響のないミニゲームに留まっているのは幸いだが、100ポイントの賞品にアイテムクリエイションのクリエイターの加入条件になっているアイテムがあり、これだけは重要性が高い。 ---入手ポイントが上記の通りなので、100ポイント貯めるだけでも結構な時間がかかる。 -エンディング内においてキャラクターの「その後」を描く「カップルエンディング」のうち、前作『2』にあった仲間同士のカップルエンディングが消滅しており、主人公と仲間キャラいずれか1人のタイプしかなくなった(単独エンディング除く)。 --グラフィックの3D化に伴う作業量増大を考えれば非常に困難な作業になることは容易に察せられるため、責められない点ではあるが、前作で大きく評価された部分なので規模縮小されたのはやはり惜しまれるところ。 --以降のシリーズでも、未だ仲間同士のカップルエンディングを再び実現させた作品は無い。 --なぜかエンディングのこの部分はボイスがない。 ---- **総評 本作のプレイヤーは、まず数々のバグによる強烈な洗礼をあびせられ、それを乗り越えた前作ファンも終盤のストーリーによって止めを刺されることになった。~ そのため、発売当初は関連スレやファンサイトは大いに荒れ、特に前作の熱心なファンからはシリーズ最駄作の烙印を押される例も複数見られた。~ その反面、爽快感の高い戦闘システムや前作にも匹敵するキャラクター性など評価すべき点は少なくなく、今作から入った新規プレイヤーからの評価は比較的高い。~ また、上記の点を評価する古参のプレイヤーも少なくなく、シリーズファンの間でも評価がかなり分かれている。~ ただ、肯定派もバグだけは擁護できず、これさえなければ…と言う声も多かった。~ もっとも、現在ではDC版の存在もあり、そういった声はほぼ聞かれない。 ---- *スターオーシャン Till the End of Time ディレクターズカット 【すたーおーしゃん てぃるじえんどおぶたいむ でぃれくたーずかっと】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B000FO2ABS)| |対応機種|プレイステーション2&br;プレイステーション4|~| |メディア|【PS2】DVD-ROM 2枚組&br;【PS4】ダウンロード専売ソフト|~| |発売元|スクウェア・エニックス|~| |開発元|トライエース|~| |発売日|2004年1月22日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |廉価版|アルティメットヒッツ&br;2006年7月20日/2,800円(税別)|~| |配信|アルティメットヒッツ HD&br;2017年3月31日/2,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|さらに評価を高めた戦闘&br無印に存在したバグはほぼ一掃&brダンジョン・ボス・コス替えなど様々な追加要素&brストーリーの変更はない&br;PS4版はHD解像度・トロフィー機能に対応|~| **概要(DC版) 無印版の発売から1年足らずと、程なくして発売されたバージョンアップ作品。~ 追加要素や調整を加えたいわゆる完全版ではあるが、当時は[[ファイナルファンタジーシリーズ]]の「インターナショナル版」などの同様の販売形式が多かったことや、本作の発売によってバグ問題がほぼ一掃されたことから、比較的批判無く受け入れられた。~ システムの刷新で主要な問題点にも手が入り、本作は無印に代わる作品として位置づけられることとなった。~ **主な変更点・評価点 -殆どのバグの修正。ディスク2枚組になった事により、容量面での問題がなくなった事が大きいだろう。後述の追加要素もこれによる。 -ゲームシステムの調整 --攻撃をキャンセルチェインで繋げることでダメージが増加する「キャンセルボーナス」システムの追加。 ---攻撃を繋げるごとに、ダメージ割合が175%→200%→250%→300%と急激に上昇する。 ---キャンセルは小攻撃⇔大攻撃の繰り返しでないと行えないため、無印版でゲームが進むに従って使い勝手が悪くなってしまっていた小攻撃の立場は大幅に回復した。 ---また、キャンセルボーナスを繋ぐためにGutsやCPの消費が少ない小技を使用する意義も強くなり、技全体の格差が縮まった。出が早くて当てやすいフェイトの「リフレクト・ストライフ」などが好例で、繋ぎ技として十分な存在感を確立している。 ---このシステムの採用により、もともと好評だったアクション性と爽快感が更に増し、バトルシステムに限定すればトライエース最高傑作の評価を得る事になる。 //---無印版や前2作の終盤はヒット数を上げた通常攻撃を連発するバランスになりがちだったが、このシステムの採用により最後まで多彩な技を使って遊べる良好なバランスとなった。もともと好評だったアクション性と爽快感が更に増し、バトルシステムに限定すればトライエース最高傑作の評価を得る事になる。 //通常攻撃を強化する装備品の入手時期や個数、必殺技の汎用性、元々の通常攻撃性能の良し悪しから「通常攻撃連発のバランス」は誤り。またDCでもBSの格差は依然として残っている。 --無印版で強すぎた大BSの連発をやりにくくするシステムとして、大BSによるHP・MPの消費量が固定値から最大値に比例した値に変更されている。 ---本作は呪文(ごく一部に限られるが)を習得できるアイテムの追加で誰でもHP回復呪文を使えるようになったほか、MPを一定時間ごとに自動回復するファクターがあるため、連発できなくなったわけではない。 --プロテクトが発動してもGutsを消費しなくなった。 ---このため、無印版では中盤から崩れていた三すくみのバランスがやや改善された他、「連続プロテクト成功数○○」のバトルコレクションを獲得しやすくなった。 --各キャラクターの調整 ---主人公のフェイトは通常攻撃を補助するエンチャント技頼みの地味で微妙な性能だったが、本作ではストレイヤー・ヴォイドやイセリアル・ブラストなどの必殺技の強化により、胸を張って主人公と言える能力を持った。 ---クリフは隠しBSのマックス・エクステンションが超強化され、無印と打って変わって遠距離戦も得意になった。 ---マリアはグラビティビュレットが弱体化した半面、バーストエミッションの大幅強化により遠近両方をこなせるハイスペックキャラへ変貌((無印版ではグラビティの力を発揮できる近距離型だった。))。更に補助術を使用できるようになり、彼女の貢献度は計り知れないものがある。 ---ネルは黒鷹旋を始めとした一部の技が弱体化した半面、有限アイテムを使用しなくても回復術が使用可能になった。メンバー構成の選択肢に入れやすくなった他、彼女が仲間になる序盤のバランスが改善された。 //有限とは言え全4個(序盤で2個)入手でき、ヒーリングのみで黒鷹旋の大幅に弱体化を補っているとは思えない。また本作の調整は「固定メンバーが強化され、選択メンバーにはキャンセルボーナス抜きのキャラ性能はスフレは同等、スフレ以外は弱化」とされている。 //確かに一定以上育成を進めると弱体化の影響はかなり気になってくるけど、元が強すぎたわけで十分妥当な調整の範囲かと。一応無印の方でネルが強すぎるという問題点が書いてあって、それが改善されているという意味も踏まえて記述を追加してCO解除しときます。 ---ソフィアは無印版はHPとMPダメージが全キャラ最強の通常攻撃でアタッカーになったが、DC版では武器にINT上昇効果が付加可能になり、更にほぼ全ての紋章術を小大問わずセットできるようになったため、紋章術による遠距離アタッカーにできるようになった。彼女の紋章術には「プロテクトされないがプロテクトブレイク可能、且つ気絶を解除させない」という特徴があり、これによるサポートは非常に強力。無印版ではロジャーやスフレと並ぶ3強と評価されていたがさらに強化され、DC版のバランス調整の恩恵を最も受けたキャラと言える。 //---その他全てのキャラが程良く調整されており、キャラの個性も相まってアクション性が大きく向上している。AIも改善されており、無印版ほどユーザーを苛立たせる事は少なくなった。 //スフレは調整がほとんど無いとされ、アルベルは酷く弱体化されていると指摘されているのでCO。 ---無印は固定メンバーよりも選択メンバーのほうが強力BSなどで目立っていたが、本作は固定メンバーは強化・選択メンバーは弱化の傾向となっている。ただし元々強キャラのスフレはこれといった変更点が無く、同じく強キャラのロジャーが弱化されたのはスター・フォールくらいである。 --その他、ゲームバランスとAIの改善、武器に付加されるファクターの修正やアクセサリーの効果修正、隠しボスの行動修正など、多くの細かなバランス調整が行われている。他にも多くの追加要素がある。 -2人のプレイアブルキャラクターの追加 --ミラージュ・コースト ---無印版からサブキャラクターとして登場していたが、DC版で晴れてプレイアブルキャラクターに昇格。 ---クリフとマリアの通常攻撃と近接系バトルスキルを併せ持ち、それらの多くはクリフとマリアのものより強化・変化されていて、移動速度はフェイトに次ぐ同率2位を誇る。加入時期がかなり後半という欠点はあるが、装備可能武器がクリフと共通になっているため融通が利くのも評価点。 ---なお、彼女の分の準最強武器と最強技は、追加ダンジョンのウルザ石窟寺院での入手となっている。下記のアドレーも同様。 --アドレー・ラーズバード ---DC版新規のキャラクターで、人気サブキャラクターであるクレア・ラーズバードの父親。詳しくは後述。 --なお、無印版では強制加入キャラが男女2人ずつだったため、任意加入キャラの選択によっては一部のバトルコレクションが取得できなかったが、男女1名ずつ強制加入キャラが増えたことで、性別限定のバトルコレクションが取得出来ない心配はなくなった。 -プレイヤーキャラ同士の対戦モードの追加。あくまでおまけ程度のものだが、対CPU戦、対人戦ともに遊ぶ事ができる。 -新たな隠しダンジョンが2か所追加 --1つは比較的序盤に行ける「サーフェリオ空中庭園」。上記の対戦モードは、ここでアイテムを入手する事により遊べるようになる。 --もう1つはクリア後に行ける「ウルザ石窟寺院」。追加キャラの武器・技はここで入手できる他、カップルエンディングの後日談を見る事ができる。 -戦闘中のコスチュームチェンジ要素の追加。各キャラにデフォルトのものを含め、4~6種類((主人公のフェイトと、最も加入の早いソフィアのみ6種類。他のキャラは4種類。))のコスチュームが用意されている。 --元は地球の学生であるソフィアには女子高生の制服があったり、スフレには中華娘風の衣装があったりと、設定や雰囲気に合わせた衣装が揃っており、いずれも十分な評価を得ている。 --ゴスロリ風の衣装も各女性キャラに揃えられているが、露出度の高さなどには頼らず適度なあざとさに抑えられている。 -AIが改善され、「攻撃術」「見切り」といったAI関連のステータスは気にせずMAXまで上げてしまってもほぼ問題は無くなった。 -一部イベントにボイスが付いた。特に、カップルエンディングにボイスが付いた事は大きい。 --一方、エンディングでは最終メンバーに加えなかったキャラの後日談は描かれなくなり、少々寂しくなった。 -ラストダンジョンの最終フロアに脱出用イベントが用意された。 --無印だと長い上に連続したダンジョンを歩いて帰る必要があったため、地味に嬉しい点である。 -2017年にはPS4版が配信。SIEのHDエミュレーター技術の協力によって、グラフィックのHD化・トロフィー機能の対応が行われている。~ ちなみにあくまでHD化であってリマスターではないため、高解像度化しただけでテクスチャやエフェクト等はそのままである。~ //セーブ方法やPlayStation2のロゴの表示もそのままであり、事実上の''PS4初にして唯一のPlayStation2ゲームアーカイブス''と言える。 //↑他にも『ジャック×ダクスター』シリーズの作品があるためCO **問題点(DC版) -新たなバグの存在。 --内部時計を動かした場合やHDDやネットワークアダプタを接続した場合に、バトルコレクションの取得に不具合が生じる事がある。 --尤も状況は限られており、ゲームの進行に支障が出ることは稀なため無印と比べれば遥かにマシではある。 -無印よりは改善されたが、それでも今までのトライエース作品通りゲームバランスと仕様に荒削りが目立つと指摘されている。 --強すぎた技が極端に弱体化された一方で、グラビティ・ビュレットが無くともマリアが強すぎると指摘される事が多い。 //マリアと同等かそれ以上に強力な技はあるが、無印版のネルと似た理由からマリアゲーと言われる事も。 //↑他所で見かける表現とは言い難いためCO。 --ゲームバランス以外についても、マゾ仕様のスフィア211やバーニィレース等、未改善あるいは解消されていないものも多い。 -レベルアップ時のステータス上昇がランダム上昇に変更された。 --やり込み派のプレイヤーにとっては、吟味に莫大な時間がかかるので、レベルアップ時のステータス上昇のランダム化は評判が悪い。しかもランダムの幅も結構大きい。 --特に難易度GalaxyとUniverseでは、DEFの成長具合によって隠しダンジョンや隠しボスとの戦い方までが変化してしまう。DEFの成長がヘタった場合はいちいちプロテクションを使わなければならなくなる。 --ステータスの成長運によってはキャラ同士の戦力格差に繋がることも。 -新仲間キャラ2人はストーリー上強制加入するにも拘わらず、シナリオ変更がないため、イベントでの出番は少なく殆ど空気である。 --ちなみに、旧作のリメイク・移植である『[[スターオーシャン1 First Departure]]』・『[[スターオーシャン Second Evolution>スターオーシャン セカンドストーリー#id_eedd4b5e]]』の追加キャラであるウェルチもこのような扱いであった。 -追加キャラのアドレーの問題 --術師に見合わぬ筋骨隆々の外見から窺えるように、物理技と紋章術の両方をバトルスキルとしてセットできる唯一のキャラである。~ しかし実際は典型的などっちつかずのキャラになってしまっており、セットできる紋章術は極一部のみ、物理技は5つしかなく使い勝手も悪い。 --装備品は術士基準であるため、最強防具は中盤の店売り防具で揃うことから、後半や隠しダンジョンでは心許ない性能となる。 --通常攻撃では武器が刀なのに斬らずに柄で殴ったり、前作で演出が散々ネタにされた技「スピキュール」をバトルスキルとして使用できたりと、意図的なネタキャラ要素が各所に見受けられる。ただ、お陰で通常攻撃は性能が悪く、スピキュールも属性付き+後隙が大きすぎて使い勝手は劣悪と、キャラ性能には完全にマイナスに作用してしまっているのが悲しいところである。~ また、このスピキュールには別の角度からの意見として、「何故クリフではなくアドレーが覚えるのか」という批判がある。~ クリフの声優は前作のミカエルと同じ東地宏樹氏であり、たとえネタ性能でも、彼が覚えればファンサービスとして上手く機能しただろう。 --そもそもアドレーというキャラクターは、無印版には影も形も存在せず、メインストーリーにも一切関わらない。~ 人気キャラであるクレアを押しのけて加入する・お節介が過ぎる暑苦しいキャラ設定と弱すぎる能力…といった点が重なり不満が多く出た。 ---彼のコスチュームチェンジで、背中のイレズミがクレアのデフォルメイラストになる。そして彼のエンディングは単独・カップルともに実質クレアのエンディングである。だがそんな父親を介した要素よりも直接本人が加入すればいいと考えるのがプレイヤーの本音だろう。 ---後のインタビュー((シリーズ20周年記念のアニバーサリーブックにて、トライエース小川浩氏が回答。))において、最初はクレアがプレイアブル化の予定((ネルの使い回しではあるものの、内部データにクレアの戦闘中のグラフィックが存在しているとの事。))だったが、各所から男女比の悪さを責められたため、紆余曲折を経てアドレーが作られた事が明かされている。しかしその評価は上記の通りで、クレアを仲間にできない事と、肝心のアドレー関連に不満が噴出している。 ---そもそも『SO1』『SO2』は男性キャラの方が多く、『SO4』『SO5』は女性キャラの方が多い。特にSO4は3:5と男女比が悪い((正確には4:5だが、男性キャラの1人は離脱するので最終的にこうなる。そうでなかったとしても平等ではないが。))。わざわざ1:1に拘っているのは本作だけである((ちなみに『SO1』『SO2』もPSP版ではキャラの追加で女性率が上がっている。これも時代の流れか。))。 --尤も、上記の批判はあくまで''「クレアという人気キャラを引っ込めてまで出すには余りに荷が重すぎる」''という面が非常に大きい。~ アドレーというキャラを絶対的に見た場合は決して人気キャラではないものの、殊更に嫌うようなプレイヤーはまず見られない。 --中には「アドレーとクレアを2択にしてほしい」や、上記のようなアドレーの問題もあって「追加キャラを任意加入にしてその枠を他キャラ加入に使いたい」という意見もある。 --結果として、パーティ編成の自由度は変わらず仲間キャラは増えたが、強制加入キャラとしての追加のみだったため、パーティメンバーは増えたのに自由枠は増えていないジレンマが発生してしまったと言えよう。 **総評(DC版) 更に完成度を高めた戦闘システムやバグの修正もあり、プレイヤーからの評価は概ね好評、無印の汚名を返上できたと言える。~ 特に戦闘システムの評価は今もって高く、シリーズ内どころかPS2のRPG全体で見てもトップクラスの人気がある。~ また、戦闘以外にも音楽やCGのクオリティも高く、同時代の名作・大作と比べても決して見劣りしない。~ ~ そのためか、現在はシリーズで前作『SO2』に次ぐ評価を確立しており、キャラクター人気等にもそれが表れている。~ 反面、今作の(後半の)シナリオはやはり現在まで尾を引いていて、本作でシリーズを見限ってしまったという人も散見される。~ ---- *余談 -漫画家・柴田亜美がファミ通で連載していた漫画『ドキばぐ』で発売前のトライエースへ取材に行く回があった。 --当初は4ページ目で「どうせ延期するんだろう」的なオチだったが、''本当に延期してしまった''ため、あまりにも洒落にならないと急遽4ページ目が描き変えられた逸話がある。 ---よほど急だったらしく、通常は全ページカラーの漫画が、そのページだけ白黒である。 -『1』と『2』がPSPへ移植されたため、本作も携帯機へ移植するのでは? と思われたが、PSP版SO2の攻略本にて「もしも本作をUMDに換算すると実に&bold(){UMD3~4枚組}になってしまう」と返答されている。 -無印のバグ騒動は流石にトライエースも懲りたのか、これ以降同社のゲームでバグが話題になることはほとんどなくなる。 -主人公であるフェイトの性格・境遇・能力がアニメ『機動戦士ガンダムSEED』の主人公であるキラ・ヤマトと似ており、声優まで同じであることはしばしばネタにされる。 --本作の発売と『SEED』の放映時期が完全に被っているため、実際に影響があった可能性は考え難い。それにしてもよく似ているが。 --ストーリー全般については、ベストセラー小説『ソフィーの世界』をモチーフにのではないかという噂が一部でされているが真相は不明である。 -後に小説版が発売、多少の矛盾はあるものの、ゲーム内で投げっぱなしだった伏線や裏設定などもちゃんと明かされた。 #region(ネタバレ) --その中で最も大きかったのは、ゲームでは世界の演算プログラムと住人の思考プログラムが独立していて世界のプログラムが消去されても住人の思考プログラムから世界が再演算される展開だったが、小説では&bold{主人公たちの世界は実はプログラムではなくプログラムと同名の実在する世界}であるというもの。 ---つまり小説ではラスボスたちはただのシミュレーションを作ったつもりが、異世界の物理法則を書き換えるプログラムを作ってしまっていたのである。 --このような理由により「ストーリーはこちらで見た方がよい」とも言われる。 #endregion -神田晶氏によるコミカライズが『月刊少年ガンガン』にて連載されていた。全7巻。 --キャラクターの設定を活かした描写やオリジナルキャラクターの登場など、ゲームとはまた違った印象で読むことが出来る。サイドストーリー的な外伝も頻繁に掲載されていた。 --だがその反面ストーリーの進行は遅く、前半部分だけでかなりの話数を費やしている((1巻はクリフ登場まで進むが、2巻でアーリグリフ地下水路まで、3巻でカルサア山洞まで。本編をプレイした人なら展開の遅さが分かるだろう。))。その煽りなのか打ち切りなのかは不明だが、中盤~終盤はかなりのハイペースで話が進んでいく。 --ゲームには無いオリジナルの設定も多く、前述の小説版とは異なるが、こちらもストーリーの結末に「フェイト・ソフィア・マリアが紋章遺伝子の力を使って、FD空間にエターナルスフィアの世界を作り出す」という独自の解釈を盛り込んでいる。 -本作でプレイアブルキャラとして使えることを熱望されていたクレアだが、2016年12月から配信されているスマートフォンアプリゲーム『スターオーシャン:アナムネシス』にて操作キャラに追加された。 --本作をベースとした『5』と似たシステムであるため本作とあまり変わらない操作感で、声優等の変更もないという万全の待遇であり、DC版で''まさかの親父プレイアブル化''という事態に涙を呑んだ当時からのファンは約14年越しに願いが叶うこととなった。 --同作実装直後の「実装してほしいキャラアンケート」では本作のアルベルとクレアがワンツーに輝き、キャラ人気の高さも感じさせる。 -本作の説明書は何故かサイズがパッケージに収まらないほど大きく、扱いに困る。本作の購入時は、恐らく何かしらの袋にパッケージと説明書が一緒に入れられた状態で受け取る事になる。 --この扱いづらさのため、中古だと説明書が付属していない可能性が高い。購入前にはちゃんとチェックすることをオススメする。 --これはPS2版『[[FF11>ファイナルファンタジーXI]]』と同様の仕様。それが意図的なものであるかは不明。 -本作のバトルシステムの評価の高さから、以降のAAA作品にもそれをベースとした作品が登場する事となった。 --本作の2年後に発売された『[[ラジアータ ストーリーズ]]』も本作を参考としている。 -後に続編の『[[スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-]]』が発売された。戦闘システムは本作とは全く異なるものになっていて上手く差別化をしており、目立ったバグも無いのだが、ストーリー((上述の通り、本作のシナリオが尾を引いている所為と言う声が多い。))やモデリングの面で評価を落としてしまい、良作という評価を得る事はできなかった。 --その後、更に7年もの時を経て『[[スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-]]』が発売される。本作『3』をベースとしつつシリーズ集大成を目指した作品ではあるが、戦闘システムを始めとした様々な要素が軒並み低評価で、逆にシリーズ最低とまで評されてしまった。 --皮肉な事に『5』の低評価を切っ掛けに『3』と『4』が再評価される事となった。しかしその反面『4』や『5』はいずれも本作より前の時代を描いた物語となっており、今作のシナリオとそれに対する反響が、のちのシリーズ展開に重大な影響を与えていたことも改めて認識されることとなった。 --スマホアプリ作品『スターオーシャン:アナムネシス』では、ヒロインのイヴリーシュ及び敵役のジヴェルが「FD世界」の人間であることが示唆されており、初めて本作で明らかになった根幹設定への言及が行われた形だが、本作で有耶無耶にされたままの詳細な説明には至っていない。 ---イヴリーシュはエターナルスフィアにはまっていた一般人(父親が元スフィア社員)で、SO3の出来事を経てサービスを利用できなくなったエターナルスフィアに、方法は不明だが直接入り込んだ設定。 -発売後、購入者を対象に「火星の土地権利書」が貰えるキャンペーンを行っていた。 --ルナエンバシーという会社が「天体の個人所有を禁じる法律はない」という根拠で販売しているものだが、法的拘束力のないお遊びのような紙切れであり、実際の不動産としての価値はない([[Wikipedia「地球外の不動産」>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E5%A4%96%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3]]等も参照)。 --当時でも3000円程度で買えたものだが、一応現在は非売品である(現在は「月の土地権利書」のみ販売)。

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