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*下級生 【かきゅうせい】 |ジャンル|恋愛シミュレーション|&image(kakyu.jpg)| |対応機種|PC-9801VM/UV以降|~| |発売・開発元|エルフ|~| |発売日|1996年6月7日|~| |定価|9,800円(税抜)|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |備考|【SS】1997年4月25日発売(セガ18推) &br()【Win】1998年6月26日発売 &br()【Mac】2000年6月23日発売&br()【Win】2008年7月25日発売(復刻版/DL専売) |~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 恋愛要素をもったアダルトゲームの先駆け『同級生』の派生作品。スケジュール管理を攻略の軸としADV色の強い『同級生シリーズ』と異なり、1年間を通じて会話やプレゼントで好感度を上げるシミュレーション形式をとった。 **ストーリー(完全ガイドより抜粋) 主人公は「卯月学園」の3年生。学園のお荷物と呼ばれるほどの彼は、スケベで女好きでケンカが強くて勉強はできないが、頭はキレて悪は許さないという人気者(?)。その名は学園中に知らない者はいないし、隣町の「葉月学園」には危険人物として恐れられているらしい。そんな主人公が、この学園にいられるのもあと1年。女のコに関しては、いろいろ悪いウワサのある主人公だが、実は本命の彼女はまだいなかったりする。(中略)主人公は、いろんな女のコと出会うことで自分の人生が何であるのかを探っていく…。この人だ、という最愛のパートナーを見つけるその日まで! **特徴 -『下級生』というタイトルながら13人のヒロイン中、下級生は4人。同級生は6人、年上は3人で事実上は「同級生」 --もっとも、その『同級生』も同級生5人に対し年上9人というシロモノだが(下級生は0)。『同級生2』なら同級生8人((ただし1人は長期入院で(3年分)落第確定、1人は学校に通っているかさえ不明。))、下級生1人、年上6人。 **評価点 -それまでのアダルトゲームといえばAVGが主で決まった手順を踏んで攻略することが当たり前だった。しかし、本作ではその概念をひっくり返す「1年間を自由に過ごしエンディングを迎える」という斬新な手法が話題となった。 --「『下級生』は『同級生』の派生」という位置づけだが、その内容はまったく異なるものに変化している。 -自由に行動できるが、特定の時期に重要なイベントを逃すと攻略が不可能になる場合もあり、ゲーム性も高い。 --また、その物語も短いシーンながら重厚でSEXを目的とする以上に恋愛関係に至るまでの過程を楽しめるものである。 ---新藤麗子のツンデレ(極度に少ないデレ)ぶりや、主人公・飯島美雪・南里愛の三角関係や、三月静香との生徒と教師の関係を越える過程にはエロを忘れてハラハラドキドキさせられる。 ---なかには門限を決められているキャラもおり、設定的にもゲーム内にもリアリティがある((あるヒロインは親が過保護で厳格なため、高校生とは思えないくらい門限が早いのだが。))。これを破ると親から叱られるため、ヒロインの好感度は下がってしまううえ、外出禁止令でしばらくデートできなくなってしまう。逆に好感度を上げていけば、親を説得して門限を伸ばしてくれたりもする。 -イベント分岐もあり、発生時期で一枚絵の服が違うという差分から、終盤である冬にSEXを経験済みか否かでイベントそのものが異なる、攻略フラグイベントが夏、秋と二種類用意されている場合も。 -門井亜矢によるキャラクターデザインも、それまでのアダルトゲームにない少女マンガっぽさとエロティックさを兼ね備えた絵柄で魅力があり、評価が高い。 --キャラ設定も多様で細部まで詰めており、Hイベントだけでもラブホテルを希望する、主人公の自宅を希望する、ヒロインの自宅を希望すると各キャラで設定が反映されている。攻略的にもそれはおおいに関係しており、似た手順で攻略できるキャラも確かにいるが、ヒロイン独自の手段でなければ攻略できないこともあり、メリハリがきいている。 ---「○○は出かけています」と言うだけのヒロインの親兄弟まで顔グラフィックがある。 **賛否両論点 -『同級生』のように自ら告白するエンディングではなく、『[[ときめきメモリアル]]』のようにヒロインの好感度にまかせるしかないエンディング方式。 --目当てのキャラのエンディングに到達したいなら、複数同時攻略ができないシステム(一応、2~3人程度なら中盤までは平行攻略可能)であり、イベント発生条件の関係もあって純愛プレイがほぼ必須。行動できるのが土日だけとはいえ1年間あるためけっこう長く、1周するのに10時間程度はかかる。全員攻略するには相当な根気と、イベントを逃さず発生させることが求められる。 --同時攻略は一応できるが、その場合はどのヒロインがエンディングに登場するか予想がつかない。狙ったヒロインとのエンディングを迎えたい場合、本命以外の好感度を意図的に下げる必要がある((てっとりばやいのは1ヶ月以上放置すること))。 --もっとも『ときメモ』とは異なり、八方美人的にご機嫌とりをする必要はないので((そもそも一定以上の好感度が上がったヒロインに他のヒロインとのデートシーンを見られると好感度が下がる。))、周回が面倒というのでなければ、同時攻略をする必要はない。だが例外もあり、一部キャラだけはストーリーの都合上、あえて途中まで同時攻略しなければ、イベントが進展しなくなる。 **問題点 -徹底的に会いまくれば簡単に好感度が上がり、お地蔵さんにお金を積めばさらに容易というシステムが不利に働き、季節や好感度レベルを指定された小イベントを見逃してしまう場合がある。 -凶悪な選択肢 --イベントで三択の選択肢を選ぶ場面があり、これによって好感度が上下するのだが、''選んだ時点で強制的に破局となり、そのヒロインのエンディングは絶対に見られなくなる''という凶悪なものがある。 ---たいていはあからさまな釣り((常識的に考えたら、このシーンで惚れた女相手には言わないだろうレベルのもの。))なのだが、一部キャラのそれは結構分かりにくく、ひっかかってしまったプレイヤーもいるだろう((とくにあるヒロインの場合、それまでとは真逆の態度をとらなければならず、そうしないとセックスフレンドのまま終わってしまい(恋人にならないので)エンディングを迎えられなくなる。))。 ---破局選択肢の数はヒロインの性格が反映されており、まったくないキャラもいれば、極端に多いキャラもいたりする。 -ヒロインの一人である「ティナ」は好感度がいっさい関係なく、スケジュールに合わせてイベントを起こさなければ攻略できない。 --格好はキワドイのだがエロ要素が少ないキャラでもある。「何故こういうキャラなのか?」というのはちゃんと理由があるのだが、その設定と物語が本作の世界観と合っていない。もっとも「南国から転校してきたお姫様」はともかく、「宙に浮かぶ病気」という時点でじゅうぶん浮いているのだが。 --SS版で音声が収録された際、ヒロインの中では唯一、一般的にも有名な声優が演じており、位置づけの特別性がうかがえる。 #region(ティナの正体(ネタバレ注意)) -表向きは「結城瑞穂」が王道的メインヒロインに見える本作((宣伝などでもティナは隠しキャラ扱いだった。))だが、実はティナこそが「裏ヒロイン」「真のメインヒロイン」なのである。 --ティナの正体は異星人の姫で、主人公は同じ星出身の婚約者。しかし浮気癖が問題となった主人公は、記憶を消され地球へ送られた。その状態で3年間女性に手を出さなかったら((ただし本番があったかどうかのみで判定するのでナンパどころか道端で抱き合ってもOK。ただしあるヒロインは「本番直前に怖くなってヤらずに帰る」という事態が起こるのだが、それでも不合格となる。))問題なしとして記憶を戻されたうえで故郷の星に戻りティナと結婚できる。つまり「卯月学園の生活はティナとの結婚を認めてもらうための試練だった」という、主人公の立場・存在意義を根本からひっくりかえしてしまう突拍子もないラストなのだ。つまりティナが最初から主人公に好意的なこと、逆にティナの弟(結婚反対派)が主人公を嫌悪していたこと((あくまでも嫌っているだけで、妨害工作などをしてくることはない。))には理由があったのである。 ---なお本来、ティナは地球には来ないはずであったが、我慢できなくなって会いに来てしまったんだそうな。それでも最低条件として、主人公との関係に関してはいっさい口外しないことになっている。 --シナリオ上、ティナとのエンディングを迎えるためには、ほかのヒロインに手を出してはならないという条件付き。そのためエロ要素はほぼ皆無のプレイになる。さらにエンディングも「事後のシーン」のみなので、18禁ゲームのエロとしては微妙。 ---ちなみに他のヒロインとエッチした場合、ティナのフラグどうこうにかかわらず、かならず恨み言(?)を言われる。PC98版及び復刻版では、デート後にキスをしただけでもティナに何か言われる。シナリオを知らない(当たり前だが)プレイヤーは「なんでこの娘はこんなにつっかかってくるんだろう?」「ストーカーかよ?」と首をひねるだろう。上記の設定上、本当のことを言えず(言えば不合格にされる)、思わせぶりなことしか言えないのでなおさらである。 ---しかし彼女からしてみれば、文句のひとつも言いたくなるのは当然((主人公の現在の境遇については「周囲の猛反対に対し、ティナが必死に懇願して勝ち得た譲歩案」という設定。つまりティナの願いがなければ、他のヒロインたちとは出会うことさえなかった。))。真相を知った後で、他のヒロインを攻略中にティナから&bold(){「はは、ピエロでーす…」}と力なく笑いながら言われるのは、けっこうな鬱要素である。他のヒロインを攻略できないよ… --余談だが、「主人公の叔父兼後見人であるアルバイト先のマスター」の正体は何なのかとファンから疑問視されている((主人公を監視する異星人なのか、主人公の後見人とするべく記憶を操作された地球人なのか。もっとも、異星人の監視員にしては面倒ごとを起こしすぎだが…チョーさん(魔女っ娘メグちゃん)でも参考にしたのだろうか?))。 #endregion ---- **総評 もともとエルフ作品は、ジャンルを問わない冒険的な内容が多かったが、大ヒット作を出した後、またもやアダルトゲームに革新を起こした。キャラクター・ゲーム性ともに高水準で、その人気はSS版・Win版など、10年以上に渡り幅広くリメイクされたという事実がなによりの証拠であろう。純愛エロゲーの基礎を作った大きな柱のひとつである。 ---- **余談 -PC98版はフロッピーディスク17枚であり、異常に多い枚数である。 --容量の増加にともない、媒体がCD-ROMへの移行が進んでいる時期で、17枚のFDをコマンド入力しながらインストールするのは一種の伝説や苦行として語られる。 //--HDDへのインストール必須がという仕様も、当時のアダルトゲームでは常識の範囲外。 //93年のランス4ならともかく、Win95も出てる時代にHDD必須が常識外なんてことはなかったと思うが。 //むしろ下級生の頃は、もうインストールが当たり前だった。 -SS版もCD-ROM3枚組と多い。 -ゲームシステム的に『同級生』と『ときメモ』の折衷で、ヒロインの設定もかなりの数が『ときメモ』とかぶっている((ある意味ステレオタイプなので仕方が無いと言えなくもないが。しかしティナは「館林見晴」の設定を極端に尖らせたものと言える。))。しかし『ときメモ』自体『同級生』を参考にしたと認めているためか、あの訴訟大好きなコナミが本作を訴えることはなかった。 **その後の展開 -1997年、SSに18歳以上推奨タイトルとして移植された。ストーリーとシステムを調整し、ヒロインに音声がつき、Hシーンは全裸でなく下着ありとなった。 --売上本数も約23万本と、年齢制限のあるタイトルながら、SSソフト全1,057タイトル中36位である。 -同年にメインヒロインの結城瑞穂を中心にした一般向けのOVA(最終巻のみ一般向けと15禁の2バージョン)が製作された。また、同ビデオはUHF局でも放送された。 -1998年にSS版をベースとして、彩色をし直し、PC98版のSEXシーンも収録したWin版と、『SCREEN SAVER COLLECTION』が発売。ドラマCDも制作された。 -1999年に飯島美雪と南里愛をヒロインとしたTVアニメが放送。なおこのふたりは本当に下級生である。 -2000年にMac版発売。 -2004年に8年の時を経て続編の『[[下級生2]]』が発売。 -2008年にPC98版シナリオをそのまま使用し、音声つきのダウンロード専売タイトルとしてXP/Vista/7版(64bit版動作保障外)が発売。 --制作元のエルフは2017年に解散し、現在はDMMが本作の版権を所有している。
*下級生 【かきゅうせい】 |ジャンル|恋愛シミュレーション|&image(kakyu.jpg)|&amazon(B000069UG6)|&amazon(B001FLSW0S)|&amazon(B00008HXDR)| |対応機種|PC-9801VM/UV以降|~|~|~|~| |発売・開発元|エルフ|~|~|~|~| |発売日|1996年6月7日|~|~|~|~| |定価|9,800円(税抜)|~|~|~|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|~|~|~| |備考|【SS】1997年4月25日発売(セガ18推) &br()【Win】1998年6月26日発売 &br()【Mac】2000年6月23日発売&br()【Win】2008年7月25日発売(復刻版/DL専売) |~|~|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|~|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 恋愛要素をもったアダルトゲームの先駆け『同級生』の派生作品。スケジュール管理を攻略の軸としADV色の強い『同級生シリーズ』と異なり、1年間を通じて会話やプレゼントで好感度を上げるシミュレーション形式をとった。 **ストーリー(完全ガイドより抜粋) 主人公は「卯月学園」の3年生。学園のお荷物と呼ばれるほどの彼は、スケベで女好きでケンカが強くて勉強はできないが、頭はキレて悪は許さないという人気者(?)。その名は学園中に知らない者はいないし、隣町の「葉月学園」には危険人物として恐れられているらしい。そんな主人公が、この学園にいられるのもあと1年。女のコに関しては、いろいろ悪いウワサのある主人公だが、実は本命の彼女はまだいなかったりする。(中略)主人公は、いろんな女のコと出会うことで自分の人生が何であるのかを探っていく…。この人だ、という最愛のパートナーを見つけるその日まで! **特徴 -『下級生』というタイトルながら13人のヒロイン中、下級生は4人。同級生は6人、年上は3人で事実上は「同級生」 --もっとも、その『同級生』も同級生5人に対し年上9人というシロモノだが(下級生は0)。『同級生2』なら同級生8人((ただし1人は長期入院で(3年分)落第確定、1人は学校に通っているかさえ不明。))、下級生1人、年上6人。 **評価点 -それまでのアダルトゲームといえばAVGが主で決まった手順を踏んで攻略することが当たり前だった。しかし、本作ではその概念をひっくり返す「1年間を自由に過ごしエンディングを迎える」という斬新な手法が話題となった。 --「『下級生』は『同級生』の派生」という位置づけだが、その内容はまったく異なるものに変化している。 -自由に行動できるが、特定の時期に重要なイベントを逃すと攻略が不可能になる場合もあり、ゲーム性も高い。 --また、その物語も短いシーンながら重厚でSEXを目的とする以上に恋愛関係に至るまでの過程を楽しめるものである。 ---新藤麗子のツンデレ(極度に少ないデレ)ぶりや、主人公・飯島美雪・南里愛の三角関係や、三月静香との生徒と教師の関係を越える過程にはエロを忘れてハラハラドキドキさせられる。 ---なかには門限を決められているキャラもおり、設定的にもゲーム内にもリアリティがある((あるヒロインは親が過保護で厳格なため、高校生とは思えないくらい門限が早いのだが。))。これを破ると親から叱られるため、ヒロインの好感度は下がってしまううえ、外出禁止令でしばらくデートできなくなってしまう。逆に好感度を上げていけば、親を説得して門限を伸ばしてくれたりもする。 -イベント分岐もあり、発生時期で一枚絵の服が違うという差分から、終盤である冬にSEXを経験済みか否かでイベントそのものが異なる、攻略フラグイベントが夏、秋と二種類用意されている場合も。 -門井亜矢によるキャラクターデザインも、それまでのアダルトゲームにない少女マンガっぽさとエロティックさを兼ね備えた絵柄で魅力があり、評価が高い。 --キャラ設定も多様で細部まで詰めており、Hイベントだけでもラブホテルを希望する、主人公の自宅を希望する、ヒロインの自宅を希望すると各キャラで設定が反映されている。攻略的にもそれはおおいに関係しており、似た手順で攻略できるキャラも確かにいるが、ヒロイン独自の手段でなければ攻略できないこともあり、メリハリがきいている。 ---「○○は出かけています」と言うだけのヒロインの親兄弟まで顔グラフィックがある。 **賛否両論点 -『同級生』のように自ら告白するエンディングではなく、『[[ときめきメモリアル]]』のようにヒロインの好感度にまかせるしかないエンディング方式。 --目当てのキャラのエンディングに到達したいなら、複数同時攻略ができないシステム(一応、2~3人程度なら中盤までは平行攻略可能)であり、イベント発生条件の関係もあって純愛プレイがほぼ必須。行動できるのが土日だけとはいえ1年間あるためけっこう長く、1周するのに10時間程度はかかる。全員攻略するには相当な根気と、イベントを逃さず発生させることが求められる。 --同時攻略は一応できるが、その場合はどのヒロインがエンディングに登場するか予想がつかない。狙ったヒロインとのエンディングを迎えたい場合、本命以外の好感度を意図的に下げる必要がある((てっとりばやいのは1ヶ月以上放置すること))。 --もっとも『ときメモ』とは異なり、八方美人的にご機嫌とりをする必要はないので((そもそも一定以上の好感度が上がったヒロインに他のヒロインとのデートシーンを見られると好感度が下がる。))、周回が面倒というのでなければ、同時攻略をする必要はない。だが例外もあり、一部キャラだけはストーリーの都合上、あえて途中まで同時攻略しなければ、イベントが進展しなくなる。 **問題点 -徹底的に会いまくれば簡単に好感度が上がり、お地蔵さんにお金を積めばさらに容易というシステムが不利に働き、季節や好感度レベルを指定された小イベントを見逃してしまう場合がある。 -凶悪な選択肢 --イベントで三択の選択肢を選ぶ場面があり、これによって好感度が上下するのだが、''選んだ時点で強制的に破局となり、そのヒロインのエンディングは絶対に見られなくなる''という凶悪なものがある。 ---たいていはあからさまな釣り((常識的に考えたら、このシーンで惚れた女相手には言わないだろうレベルのもの。))なのだが、一部キャラのそれは結構分かりにくく、ひっかかってしまったプレイヤーもいるだろう((とくにあるヒロインの場合、それまでとは真逆の態度をとらなければならず、そうしないとセックスフレンドのまま終わってしまい(恋人にならないので)エンディングを迎えられなくなる。))。 ---破局選択肢の数はヒロインの性格が反映されており、まったくないキャラもいれば、極端に多いキャラもいたりする。 -ヒロインの一人である「ティナ」は好感度がいっさい関係なく、スケジュールに合わせてイベントを起こさなければ攻略できない。 --格好はキワドイのだがエロ要素が少ないキャラでもある。「何故こういうキャラなのか?」というのはちゃんと理由があるのだが、その設定と物語が本作の世界観と合っていない。もっとも「南国から転校してきたお姫様」はともかく、「宙に浮かぶ病気」という時点でじゅうぶん浮いているのだが。 --SS版で音声が収録された際、ヒロインの中では唯一、一般的にも有名な声優が演じており、位置づけの特別性がうかがえる。 #region(ティナの正体(ネタバレ注意)) -表向きは「結城瑞穂」が王道的メインヒロインに見える本作((宣伝などでもティナは隠しキャラ扱いだった。))だが、実はティナこそが「裏ヒロイン」「真のメインヒロイン」なのである。 --ティナの正体は異星人の姫で、主人公は同じ星出身の婚約者。しかし浮気癖が問題となった主人公は、記憶を消され地球へ送られた。その状態で3年間女性に手を出さなかったら((ただし本番があったかどうかのみで判定するのでナンパどころか道端で抱き合ってもOK。ただしあるヒロインは「本番直前に怖くなってヤらずに帰る」という事態が起こるのだが、それでも不合格となる。))問題なしとして記憶を戻されたうえで故郷の星に戻りティナと結婚できる。つまり「卯月学園の生活はティナとの結婚を認めてもらうための試練だった」という、主人公の立場・存在意義を根本からひっくりかえしてしまう突拍子もないラストなのだ。つまりティナが最初から主人公に好意的なこと、逆にティナの弟(結婚反対派)が主人公を嫌悪していたこと((あくまでも嫌っているだけで、妨害工作などをしてくることはない。))には理由があったのである。 ---なお本来、ティナは地球には来ないはずであったが、我慢できなくなって会いに来てしまったんだそうな。それでも最低条件として、主人公との関係に関してはいっさい口外しないことになっている。 --シナリオ上、ティナとのエンディングを迎えるためには、ほかのヒロインに手を出してはならないという条件付き。そのためエロ要素はほぼ皆無のプレイになる。さらにエンディングも「事後のシーン」のみなので、18禁ゲームのエロとしては微妙。 ---ちなみに他のヒロインとエッチした場合、ティナのフラグどうこうにかかわらず、かならず恨み言(?)を言われる。PC98版及び復刻版では、デート後にキスをしただけでもティナに何か言われる。シナリオを知らない(当たり前だが)プレイヤーは「なんでこの娘はこんなにつっかかってくるんだろう?」「ストーカーかよ?」と首をひねるだろう。上記の設定上、本当のことを言えず(言えば不合格にされる)、思わせぶりなことしか言えないのでなおさらである。 ---しかし彼女からしてみれば、文句のひとつも言いたくなるのは当然((主人公の現在の境遇については「周囲の猛反対に対し、ティナが必死に懇願して勝ち得た譲歩案」という設定。つまりティナの願いがなければ、他のヒロインたちとは出会うことさえなかった。))。真相を知った後で、他のヒロインを攻略中にティナから&bold(){「はは、ピエロでーす…」}と力なく笑いながら言われるのは、けっこうな鬱要素である。他のヒロインを攻略できないよ… --余談だが、「主人公の叔父兼後見人であるアルバイト先のマスター」の正体は何なのかとファンから疑問視されている((主人公を監視する異星人なのか、主人公の後見人とするべく記憶を操作された地球人なのか。もっとも、異星人の監視員にしては面倒ごとを起こしすぎだが…チョーさん(魔女っ娘メグちゃん)でも参考にしたのだろうか?))。 #endregion ---- **総評 もともとエルフ作品は、ジャンルを問わない冒険的な内容が多かったが、大ヒット作を出した後、またもやアダルトゲームに革新を起こした。キャラクター・ゲーム性ともに高水準で、その人気はSS版・Win版など、10年以上に渡り幅広くリメイクされたという事実がなによりの証拠であろう。純愛エロゲーの基礎を作った大きな柱のひとつである。 ---- **余談 -PC98版はフロッピーディスク17枚であり、異常に多い枚数である。 --容量の増加にともない、媒体がCD-ROMへの移行が進んでいる時期で、17枚のFDをコマンド入力しながらインストールするのは一種の伝説や苦行として語られる。 //--HDDへのインストール必須がという仕様も、当時のアダルトゲームでは常識の範囲外。 //93年のランス4ならともかく、Win95も出てる時代にHDD必須が常識外なんてことはなかったと思うが。 //むしろ下級生の頃は、もうインストールが当たり前だった。 -SS版もCD-ROM3枚組と多い。 -ゲームシステム的に『同級生』と『ときメモ』の折衷で、ヒロインの設定もかなりの数が『ときメモ』とかぶっている((ある意味ステレオタイプなので仕方が無いと言えなくもないが。しかしティナは「館林見晴」の設定を極端に尖らせたものと言える。))。しかし『ときメモ』自体『同級生』を参考にしたと認めているためか、あの訴訟大好きなコナミが本作を訴えることはなかった。 **その後の展開 -1997年、SSに18歳以上推奨タイトルとして移植された。ストーリーとシステムを調整し、ヒロインに音声がつき、Hシーンは全裸でなく下着ありとなった。 --売上本数も約23万本と、年齢制限のあるタイトルながら、SSソフト全1,057タイトル中36位である。 -同年にメインヒロインの結城瑞穂を中心にした一般向けのOVA(最終巻のみ一般向けと15禁の2バージョン)が製作された。また、同ビデオはUHF局でも放送された。 -1998年にSS版をベースとして、彩色をし直し、PC98版のSEXシーンも収録したWin版と、『SCREEN SAVER COLLECTION』が発売。ドラマCDも制作された。 -1999年に飯島美雪と南里愛をヒロインとしたTVアニメが放送。なおこのふたりは本当に下級生である。 -2000年にMac版発売。 -2004年に8年の時を経て続編の『[[下級生2]]』が発売。 -2008年にPC98版シナリオをそのまま使用し、音声つきのダウンロード専売タイトルとしてXP/Vista/7版(64bit版動作保障外)が発売。 --制作元のエルフは2017年に解散し、現在はDMMが本作の版権を所有している。

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