探偵 神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件

【たんてい じんぐうじさぶろう しんじゅくちゅうおうこうえんさつじんじけん】

ジャンル 推理アドベンチャー
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売元 データイースト
【VC】アークシステムワークス
開発元 酒田SAS、データイースト
発売日
()は書換開始日
1987年4月24日(1987年6月24日)
定価 3,300円(書き換え:500円)
配信 【Wii】バーチャルコンソール:2008年2月19日/500Wiiポイント
レーティング CERO:A(全年齢対象)*1
判定 バカゲー
ポイント 杜撰な犯人
探偵 神宮寺三郎シリーズ


概要

ハードボイルドな世界観が魅力の『探偵 神宮寺三郎』シリーズ第1作。
『ポートピア連続殺人事件』に代表されるコマンド選択式のアドベンチャーゲームであり、シリーズ1作目ということもあってか、実験的要素が強い。

ストーリー

新宿中央公園でホステス・高田桃子の絞殺死体が発見される。私立探偵の神宮寺三郎は友人の熊野刑事から犯人探しを依頼される。 捜査を進めていく中で桃子が勤めていたバーのマスター、常連客の資産家、暴力団の組長など容疑者が次々と浮かび上がる。

特徴

  • 基本はコマンド選択式のADV
    • 「タバコすう」「おどす」などの独特なコマンドがある。推理をひらめくための「タバコすう」は、後に本シリーズを象徴するコマンドへと発展していく。
  • 「ナマエトウロク」でプレイヤー名を登録すると、捜査段階が自動でセーブされる。
    • ゲームオーバー時に「ソウササイカイ」を選択するとゲームオーバーの直前から再開できる。
    • 別プレイヤー名を登録すると新規データで上書きされてしまうので、セーブ枠は一つ。
  • 時間の概念が存在し、特定のコマンドを実行するたびに時間または1日が経過する。
    • 定められた期日までに事件を解決できないとバッドエンド→ゲームオーバーとなる。また、曜日に注意して進めないと詰んでしまうことがある。
    • 捜査の中断時には「そうさやめる」を選択する事で捜査状況を保存できるが、中断時と再開時には1日経過してしまう。その為、特定の曜日の捜査が必要な上に捜査期間の長くない本作では結構致命的。
  • 事件現場の新宿中央公園は『ドラクエ』のようなフィールドマップで表現されている。移動の際は二頭身のキャラになる、マップ上に人がいて会話ができるといった点もドラクエっぽい。

評価点

  • 作品全体に漂うハードボイルドな雰囲気とアダルトな渋さ。
    • 主人公がヘビースモーカーの大人の男性であり、わざわざ煙草を吸うコマンドまで存在する。周りの登場人物も助手に大人の女性、太った壮年の警察官、大物やくざと、大人向けのテイストで渋くまとめられている。
      このアダルトテイストな作風に人気が集まったことでシリーズ化され、後のシリーズの路線として貫かれていく。
    • BGMも作風にあった良質なもの。

賛否両論点

  • 全体的に捜査難易度は高め。
    • 間違った選択肢を選ぶとゲームオーバーになる箇所が多い。
      • 「アリバイを聞かれた熊野刑事が怒って依頼を取り下げてしまう」「ヤクザの本拠地に乗り込んだ際、挨拶を忘れてボコボコにされる」など、シリアスな雰囲気にそぐわない破天荒な内容のものある。
    • 新宿公園内の捜査もコマンド式でないためにしらみつぶしに捜査が必要。
    • 日にちによって違う人がいるという時間経過の概念も、捜査難航の原因ではあるが、捜査感を出すことには成功している。

問題点

  • 理不尽ともいえる一部の捜査難易度。
    • まず捜査に大事な公園内の派出所が見つからない
      • 公園内の人に派出所は北西にあると言われるのだが、北西にある建物が派出所ではない。近くにいる男性に話しかけても、事件の事は何も知らないとしか返ってこない。ではどこにあるかというと……
+ ネタバレにつき隠し
  • 北西の端の特に何もない場所で「あたりをみまわす」を実行することで発見できる。
    せめて1マス分の建物グラフィックでも用意できなかったのだろうか。 それともDECO製だしわざとだろうか
    どちらにしろ、当時派出所が見つからずに詰んだプレイヤーも多かった。
    • そしてその派出所に特定の曜日だけいる警官が第一発見者であり、捜査上非常に重要な人物である。
  • ちなみに『探偵 神宮寺三郎DS 伏せられた真実』のおまけ"神宮寺の住む町" 内で御苑洋子が「新宿中央公園の派出所の位置はオリジナルの『新宿中央公園殺人事件』でご確認下さい」とネタにしている。
  • 単調で作業感が強い
    • 捜査に関係ないセリフに遊び心を仕込んで楽しませるといった遊びの要素がなく、事件に関係ない人に色々尋ねてもそっけない返事が返ってくるばかりで味気ないため作業感が強く感じられやすく、ゲームとしては非常に飽きやすい。

バカゲー要素

本作がバカゲーと言われる最大の原因は事件の真相である。

+ 事件の真相(ネタバレ注意)

物語の冒頭で「死体発見現場は土の上なのに犯人の足跡がない」という謎が提示されるのだが、その真相は「近くのホテルで桃子を殺害したあと、ホテルの屋上からハンググライダーで飛んで中央公園に遺体を捨てる」というもの。

そんなことができるのかという疑問も残るが、何よりも目撃されなかったのが不思議なぐらい目立つトリックである(さらに言えば、犯人がそんなことをする理由が分からない)。
しかも、派出所の警官に共犯者(犯人は2人いる)の車を見られていたり、真犯人と共犯者の間に関わりがあることを知られる証拠を残していたりと犯人たちの行動もきわめて杜撰である。
それでいて、真犯人の最後の台詞は「やっぱり完全犯罪なんてできないものですね…」
こんな杜撰なトリックで完全犯罪を遂行したつもりとは、失笑物である。


総評

即死ゲームオーバー、後半の詰みパターンなど往年のアドベンチャーゲームらしい難しさはあるが、グラフィック(新宿中央公園を除く)やBGMの渋い雰囲気は秀逸で、後のシリーズに連なる要素はほぼ本作で確立されており、ハードボイルドな世界観を楽しみながらゲームを進められる。
それだけに、最後の最後で「ハードボイルドな世界観であるにもかかわらず真相が間抜け」というおバカ要素が際立ってしまった。
締めでやらかさなければ、独特の雰囲気と意欲的なアイデアを併せ持った「シリーズ初代作にして異色作」あたりで落ち着いていたことだろう。

とはいえ、本作が名作シリーズの初代作として十分な魅力を持ちえている事は、シリーズ化される程の人気を集めた事が証明していると言えよう。


その後の展開

  • 本作はディスクで発売されたが、第2作『横浜港連続殺人事件』(参考)はカセットで発売された。その後はメディアがディスクとカセットを往復したり、数年の空白があったり、開発会社が変わったりといった紆余曲折がありつつも、着々とタイトル数を伸ばす長寿シリーズとなった。シリーズ累計販売本数は2007年5月時点で222万本(エンターブレイン調べ)。
    • 現在の新作は携帯機での展開が中心。また、携帯アプリ版の配信やその逆輸入なども見られる。
  • 後に携帯アプリでリメイクされ、『いにしえの記憶』(DS)にも移植されたが、シナリオと真犯人は大きく変更され、物語はまったくの別物になった。まあ、そりゃそうだ。

余談

  • 本作の登場人物の名前は新宿周辺の地名や商店・建物の名前に由来している。後の作品でも登場人物の名前が舞台となる地名に由来していることがある。
  • 人気ゲーム番組『ゲームセンターCX』でも挑戦したことがある。
    • パッケージの寺田克也のイラストと、始まった瞬間のドラクエのようなマップ画面の二等身の神宮寺とのギャップに戸惑うなど、課長が初見プレイヤーの代弁を行うシーンが見られた。
  • 本作のパッケージイラストには、パンティ一枚で横たわる女性の姿が描かれている。中々アダルトチックだが、本編にはそのような要素はない。
最終更新:2021年10月22日 20:57

*1 ※バーチャルコンソールで付与されたレーティングを記載