ウイニングポスト

【ういにんぐぽすと】

ジャンル シミュレーション(競馬)

対応機種 PC-9801 FMTOWNS X68000
スーパーファミコン メガCD 3DO
発売・開発元 光栄
発売日 【PC98】1993年1月14日 【TOWNS】 1993年5月1日 【X68000】1993年5月28日
【SFC】1993年9月10日 【MCD】1993年9月10日 【3DO】 1994年9月16日
定価 【PC98】12,800円 【TOWNS】12,800円 【X68000】12,800円
【SFC】12,800円 【MCD】9,800円 【3DO】9,800円
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント 人間模様を味わえる馬主特化の競馬シミュレーション
作業的な調教操作なども不要でサクサク進行できるのでお手軽
調教師に任せっきりでもそれなりに勝つ喜びを味わえる
現実再現の観点では簡略化しすぎかも


概要

1993年にPCなどで光栄から発売された競馬シミュレーションゲーム。
競馬系のシミュレーションは当時アスキーが既に『ダービースタリオンシリーズ』(通称「ダビスタ」)を展開していたが、本作は主に馬主目線に特化した形でのマネジメント型シミュレーションゲームとなる。
モデルは中央競馬のみで公営(地方)競馬*1はなく、他に海外の凱旋門賞(フランスのロンシャン競馬場)がある。

なお現実の競馬における馬齢表記は2001年から生誕時0歳(最短デビューは2歳・クラシックは3歳)となったが本記事ではゲーム内と同じ1993年当時同様の旧表記(生誕時1歳の数え歳)に合わせるものとする。


内容

  • 競馬の馬主(オーナー)として、持ち馬でGI(ジーワン)制覇、果ては世界最高峰のGI「凱旋門賞」制覇、馬主経験値の最上位を目標とするが中身は終わりないエンドレスプレイ。
    • ライバル馬主は関東、関西に20人ずつおり、プレイヤー自身を含めて41人の馬主が鎬を削る。
  • 普段は厩舎に行って自分の馬の出走登録をしたり、調教の指示出し、他オーナーとの取引、牧場での馬のチェックなどをする。
  • まずは最初にプレイヤーのプロフィールを入力する。
    • 拠点(関東・関西)名前、年齢、性別を入力する。
      • 後述の通り、年齢を20歳未満にしてしまうと馬券が買えなくなるので最低でも20歳にしたほうが良い。
      • 本作で自牧場開設は金さえあればできる(年末を迎えた時点で12億円)ので、1年目の終わりに牧場を開設したいならば、馬券による荒稼ぎは必須となる。
    • 最初に3歳・4歳の初期馬が与えられる(5頭から選択)ので、その名前を付け、委託する調教師を選択する。
      • 一部の調教師には断られるが、大多数は受け入れてくれる。
  • ゲーム中のカレンダーは1997年1月から始まるが、レースプログラムは1993年に準拠している。
    • もちろん後述の通り、開催できるレースが少ないため取りきれてはいないが。

平日のコマンド

日曜

  • 今週の平日行動を終え、日曜日(レース開催)を待つ。

情報

  • 馬主、調教師、騎手、競走馬のデータを見ることができる。

厩舎

  • 厩舎に行って情報を聞いたり、出走登録や調教指示などを行う。
    • 情報に関しては調教師、専属騎手、担当厩務員、その他厩務員から情報を聞くことができる。
      • 調教師………次走の登録状況や現状の調子などを聞く。
      • 専属騎手………その週での調教メニューを聞く。
      • 担当厩務員………対象馬の調子などを聞く。
      • その他厩務員………他厩舎の状況やフリー騎手の付き合っている他厩舎の状況を聞くことができる。
  • なお、調教指示や出走登録は一定の経験値に満たないとできない。
    • 特に調教指示に関しては膨大な経験値が必要になる。
    • 調教指示は「スピード」「スタミナ」「瞬発力」「全体」の4種類と簡素。

牧場

  • 牧場を訪問する。
    • ここでは主に馬の情報を聞くことになる。
    • 専売牧場、個人牧場では自身の4歳以上の所有馬なら引取り(年末を待たずの引退)を頼むことができる。
  • 専売牧場
    • 早来、静内、門別、三石、白老、浦河、新冠、十勝、8種類の専売牧場が対象。
      • ここで生産された馬は必ずセリ市に出てくる。
      • この8牧場中で早来・静内の2大牧場と、その他6牧場で違いがあり、前者は種牡馬も繋養しており後者では経験値が一定以上でその牧場の幼駒を持っていると牧童イベントが発生し、その牧童(将来の騎手)と知り合いの関係になる。
  • 個人牧場
    • 馬主の一部が所有している個人牧場で、ここの馬は後述の馬主コマンドで馬主を訪問して交渉して買うことになる。
  • 育成牧場
    • 7月以降の2歳馬をデビューに向けて調教するための牧場。6月までは訪問不可。
  • スタッド
    • 正式名称は「スタリオンセンター」で種牡馬専門の牧場。
    • 早来・静内の2大専売牧場で生まれた馬以外が種牡馬入りする場合はすべてここに入る。

馬主

  • 馬主を訪問する。
    • 馬主自身が出走させる馬の情報を聞いたり、幼駒や繁殖牝馬、種付権の交渉などをする。
      • もちろん相手側馬主の意向もあり、金さえあれば何でも譲ってくれるとは限らない。
      • 繁殖牝馬や種付権は自分の牧場を持っていないと成り立たない。また訪問した馬主が牧場を持っていない場合も同様(この場合メニューが「仔馬購入」「仔馬売却」しか出ない)。

秘書

  • 現在の馬主経験値や、GI優勝トロフィーの獲得状況などを見ることができる。
  • 他に競馬用語辞典があり、五十音順で索引して調べることができる。
    • ゲーム中、対象の用語は赤字で表示される。

機能

  • セーブやゲーム中の設定を行う。
    • レースを観戦するか否かも、ここで選択する。

競馬場

  • 本作中では日曜開催のみの1日4レース構成で4レースが最終レースとなる。
    • 北海道の競馬場(札幌・函館)は取り入れられておらず、必ず東西1場ずつでの2場開催なので1日トータル8レース。
      • 新潟、福島、中京、小倉は夏競馬(7・8月)のみの開催で他はすべて東京、中山、京都、阪神での開催となる。
  • 対象のレースは前述の「設定」でレース観戦をするか否かを選択し、その条件に合う場合に競馬場へ行くことになる。
    • 1つも観戦条件に合うレースがない場合は、結果だけ「勝ち馬と騎手」が一覧で表示される。
  • 基本的にプレイヤーは自身の拠点となる競馬場に行くのだが、GI開催週は拠点外の競馬場に行くこともできる(秘書に聞かれて選択)。
    • 自分の所有馬がGIに出走する場合は強制的にそちらへ行く。
    • 必然的に関東を拠点とするなら中京・小倉、関西を拠点とするなら新潟・福島に行く機会はまったくない。
  • 1レースあたりの登録数が5頭に満たないと、そのレースの開催そのものが中止となる*2
  • 自分の馬と、自分より馬主経験値のランクが1つ上のライバル馬主が同レースに出走する場合、その馬主が話しかけてくる。
    • そのレースでそのライバル馬主より先着し3着以内に入着すれば、その馬主が経験談をしてくれて馬主経験値がアップする。
    • もちろんプレイヤー自身が馬主経験値1位ならばこのイベントそのものが発生しない。

パドック

  • この次のレースの馬が周回待機する場所で、それぞれの調教師や騎手から馬の様子や、相手との比較所感が聞ける。
    • もちろん、当該競馬場のみで同時開催の他場のは見られない。

掲示板

  • 終了したレースの結果を表示する。
    • 発送前のレースでは、枠順を見ることができる。

投票

  • 馬券を購入する。
    • ただし20歳に達していないと購入できず秘書に止められてしまう。

新聞

  • 評論家による予想を見る。

レース

  • レースを開始する。
    • プレイヤーの所有馬は白色に点滅している。
    • 直線では横からみた構図になり、コーナーではコーナー出口から見たようなアングルになる。
  • レース前に騎手から、今回はこの戦法で行きますと話してくれる。
    • この時、馬主経験値が一定以上あれば指示を出すことができる。

EXIT

  • レースを見ないで次へ進める。
    • 全レース終了後ならば帰宅して翌週へ。

その他

  • 月ごとにイベントがある。
    • 4月の最初には各牧場で受胎した馬が出産する。
    • 5月は種付けが行われる。
      • 種付けの順番は前年の生産者成績の順番で行われる。
    • 6月は宝塚記念、11月はジャパンカップ、12月は有馬記念のファン投票。
      • なお、この時選ばれた場合でしか、この3レースには出走登録できない。
    • 7月の最初に条件を満たしていれば凱旋門賞への出走を対象馬を管理している調教師から勧められる。
      • 出走を承諾するとレースは10月1週ながらその間その調教師はずっと帯同するため不在となる。
    • 8月はセリ市。
      • 専売牧場で生産された馬がここで売りに出される、自分の牧場を持っていればそれをセリにかけることも可能。
  • 月初めに新聞の競馬ニュースを見ることができ、その中にはそれぞれ月ごとの特集と、馬主、騎手、調教師、予想家のランキングが見られる。
    月ごとの特集は下記の通り。
    • 1月・新人騎手の紹介。
    • 2月・古馬スターホースの動向。
      • 東西で最上位馬とそれ以外の上位馬がぞれぞれ1頭ずつ紹介される。
    • 3月・クラシック展望。
      • 東西4歳馬のトップとなる牡・牝1頭ずつ紹介される。
    • 4月・GI展望(桜花賞・皐月賞)
      • 対象のGIへの登録状況が本賞金のランキング毎に並べられて発表(トライアルなどで優先出走権を持っている方が上位と扱われる)。
      • なお以下の「GI展望」は宝塚記念・ジャパンカップ・有馬記念を除いてすべて同じ。
    • 5月・GI展望(天皇賞春・安田記念)
    • 6月・GI展望(オークス・日本ダービー・宝塚記念)
      • 宝塚記念はファン投票の結果を表示(有馬記念も同様)。
    • 7月・注目の新馬紹介。
    • 8月・凱旋門賞挑戦する場合はその特集で、それ以外は「ジャパアンカップの有力馬を探る」として外国馬の情報。
    • 9月・セリ市速報。
      • 当歳・2歳の最高額で落札された馬と、競り落とした馬主を紹介。
    • 10月・GI展望(天皇賞秋)
    • 11月・GI展望(菊花賞・エリザベス女王杯・マイルチャンピオンシップ・ジャパンカップ)
      • ジャパンカップは出走してくる外国馬と地方馬の紹介。
      • 凱旋門賞に出走した場合は「凱旋門賞速報」として、その結果を報じるものに変わり、定例の「GI展望」はカットされる。
    • 12月・GI展望(阪神3歳牝馬ステークス・朝日杯3歳ステークス・スプリンターズステークス・有馬記念)
  • 競馬のシステムが簡略化されている。
    • レース開催は日曜のみで東西1場ずつの2場開催。そのため新潟・福島・中京・小倉は7・8月のみの開催。函館・札幌はカットされている。
    • 1500万下クラス(準オープン)が存在しない。
      • 現実の1500万下レースの一部はゲームではオープンまたは900万下特別の扱いになっている。
    • 馬券の種別に枠番連勝がない。
    • フルゲートは12頭(現実は18頭)。
    • 新馬戦は3歳のみで4歳でのデビューは未勝利戦となる。
    • セン馬(去勢した牡馬)は存在しない。
  • 騎手の得意戦法は「逃げ」「先行」「差・追」「自在」の4パターンに分かれている。
  • ライバルホースはみな馬主の冠名の後ろに固有名(例・武野雅氏は冠名「メイジ」なので「メイジナニナニ」、松尾政男氏は冠名「アウト」なので「アウトナンヤラ」等)で均一。
    • だが初期のスーパーホースは例外で、アイアンキング、ダークレジェンド、スーパーシュート、サードステージ、アンビリーバブルと、それに縛られていない。
      • そんな中意外なのが初期4歳ライバル馬で同じく冠名のないミスターパルモアでいかにもな強さがあるのに実は意外にもスーパーホースではなかったりする。これは単純に父がスタミナゼロで他はパーフェクト級なダンシングブレーヴであること、それに合わせて短距離戦線で戦うこと(皐月賞やダービーを無視してクリスタルカップやニュージーランドトロフィー4歳ステークスに向かう)、大体のレースで岡路が乗ることが合わさってそう見えているだけ。
    • また初期の馬のみ冠名が後ろについている馬もいる。
  • どんな競走馬も7歳を超えて現役を続けることはできず、7歳の年末を以て強制引退となる。
    • 大元のPC98版では6歳まで。
  • 一部の種牡馬にはシンジケートが組まれており、普通の種付けでは必ず「BOOKFULL」になっている。
    • これは馬主や専売牧場が種付けの権利を8等分して持っているようなもので、実質的な完全予約のようなもの。
    • そのため、これを持っている馬主に交渉して譲り受けることで、順番を待たずして確約で種付けできる。
      • 自分の牧場を持っている場合、自分の所有馬が種牡馬となってシンジケートが組まれると3株分を所有できる。また他の馬にシンジケートが組まれるときも有料で1株購入できる。
      • 早来・静内の2大専売牧場で生まれた馬でもシンジケートが組まれた場合はスタッドに入ることになる。
  • 調教師や騎手には友好度があり、これはその調教師や騎手でレースに勝つと上がっていく。
    • ただし拠点が違う騎手とは友好関係を築けない(騎乗依頼は可能だが常にゼロの扱いなので断られる可能性が高い)。
    • 前述のイベントで知り合った牧童が騎手としてデビューした場合、拠点が同じなら友好度はのっけから高くなる。
    • 最初に選んだ調教師とその専属騎手はこの友好度が1からスタート。
  • 毎年年末になると発生する引退。
    • 種牡馬は必ず3頭が引退する。
      • 26歳になると年末で強制引退となり、26歳の馬がいないと実績下位から引退させられる。
      • なおノーザンテーストのみ初年度で27歳で現役(もちろん1年で引退)。
    • 繁殖牝馬は15歳になると種付けをできなくなり、その年を以て引退となる。
    • 騎手は2名が引退する。
      • 翌年明けに2名の騎手がデビューする。そのうちの1人は牧童で、もう1人は不定。

評価点

  • ダービースタリオンシリーズ』と違って毎週のように馬の調子を見たり、調教メニューを組んだりする必要がないのでお手軽に競走馬を管理して馬主の気分を味わえる。
    • 実際ただ競走馬を買って調教師に任せっきりにして時折レース登録したりするぐらいでもそこそこの成績は上げられる。
    • そのため、さして手間もなくそれなりに勝てる楽しさを味わいながら徐々に慣れていくことができる。
      • 慣れてくると自分で調教の指示を出したりと、楽しめる幅をどんどん広げていける。
  • プレイヤー自身のオーナーブリーダーへのサクセスストーリーを味わえる。
    • 他作品はのっけから牧場を持っているのがほとんどだが、本作は馬だけ所有の小オーナーから始まり、じわじわと地位を高めながら資金を増やし、そして牧場を持つといった具合に自身の成長が他作品よりもドラマチックに味わえる。
  • 上記に付随して様々な人間模様まで体験できる。
    • 他作品では調教師などはあってなきような存在だったのだが本作では、人間味ある報告をするなど、それぞれに感情が感じられる。
    • 馬主たちの性格も多種多様。
      • 血液型によるセリ市での粘り度合いや、競馬場で出会った時の態度が強気だったり謙虚だったりなど、性格がよく出ている。
      • 馬の庭先取引でも、そんな彼らの性格がよく出ており、すぐ応じてくれる人や反対に相当経験値を上げないと売ってくれなかったりなど、性格付けがなされている。
    • 牧童イベントでは後に騎手となる彼らと話したり、競馬学校に入ると手紙をくれたりなどがあり、そこにも彼らの若さや純粋さを感じ取ることができる。
    • 騎手引退時でも、友好度が高いと引退のあいさつをしてくれるなど人間味をたっぷり感じることができる。
  • 未勝利古馬が切り捨てられない。
    • 基本的に5歳になると未勝利戦がなくなりいきなり500万になる。このようなゲーム作品では、そこまでに未勝利だと強制引退となってしまうが本作では普通に500万等に出走登録できる(ただし本賞金ゼロなので登録過多になると優先的に除外される)。そのため未勝利脱出をそこまであせる必要がない。
      • なお実際の競馬でも当時、そのような未勝利古馬でも500万等に出走可能だったが賞金順で除外されやすい上に中央4場(東京・中山・京都・阪神)では登録ができず遠征が必須*3という縛りがあるためチャンスが少なく管理が難しいことから現役を続ける場合は地方移籍、または障害転向が一般的だった。ゲーム作品では障害や地方競馬が取り入れられていないため強制引退になっていた。
      • もっとも後述の通り初期馬も、それなりに強くなれるので相当なことがない限り起こり得ないケースではあるが。
  • ライバル馬を見ると、実史の夢の続きのようなロマンを感じさせるものがあり、バックストーリーにも皆それぞれドラマがありいずれも父の辿った道を再現している部分が垣間見える。
    • 典型的なのが、初年度5歳馬のダークレジェンド(父・オグリキャップ)とクロスリング(父・タマモクロス)。
      実際笠松競馬から4歳時に中央へ移籍したオグリキャップは中距離を中心に活躍し6戦全勝と順風満帆な所で初めて土を付けられた相手がタマモクロスであり、有馬記念ではそのタマモクロスに対して不利な距離での戦いになったが、それを破って一矢を報いた。上記のゲーム中の両馬も同様で、デビュー2着もその後順風満帆7連勝で皐月賞を制したダークレジェンド(直後骨折でダービーは回避)は菊花賞でクロスリングに敗れたが、有馬記念で雪辱勝利と父そっくりの経緯をたどっている。
    • サードステージはトウカイテイオーの産駒で、「皇帝(シンボリルドルフ)」「帝王」に続く「第3の舞台」という意味。父と同じく3歳時は2戦2勝で順風満帆なままクラシック年度へ。
    • デビュー前のため名前は不定だが開始時点で2歳馬の「メイジキンバリーの96」は芦毛で父メジロマックイーンなので言うなればアサマ、テイターン、マックイーンに続く系譜の第4代である。
      • このように、少し前のスターホースたちの再現または夢の続きを感じさせるものが盛り込まれている。
  • 初期馬は決してカス馬ではない。
    • スーパーホースの可能性はゼロでクラシック制覇こそまず無理ながら、4歳馬の方はオープン~重賞ぐらいなら充分狙えるぐらいの力はある。
      • 晩成型ならば7歳までの間にマイルチャンピオンシップ等の下等GIぐらいは十分現実的に狙うことは可能なぐらいにはなる。
    • これにより「最初からうまくいかなさ過ぎてやる気がなくなる」という事態が起きにくい。
    • 3歳馬の方はやっとこ未勝利を逃れる程度に終わるなどカスになることが多いが2頭揃ってカスを掴まされるケースはほぼない。
  • 自分の所有馬が種牡馬になり、そして他馬主にも開かれる。また種付料も変動する。
    • 例えば『ダービースタリオン』ならば名目の上で種牡馬になったとはいえ実質高額売却できるだけでその馬で種付けは出来ない。『クラシックロード』や『サラブレッドブリーダー』では自分しか使えない。
    • だが本作は、ちゃんと種牡馬市場に出て他の馬主にも開放されるのでそんな自分の愛馬の第2の馬生を見られる。また実績に応じて種付料が上下するのでその馬の産駒が活躍して、その価値が上がっていくのを見ると、そんなかつての自分の愛馬の産駒ならば例え他オーナーの馬でも見ていてうれしい気分になれる。

賛否両論点

  • スーパーホースがそこまで絶対的な存在とは限らない。裏を返せば、どんな馬でも可能性がある。
    • 実際、そうでない馬も勝ち続ければそれに劣らない力をつけることができる。
    • 4歳になると同時に調教師から「この馬は間違いなくクラシック級」と言われるとスーパーホース確定で嬉しいコメントだが、それに過信していると「やっとこ下等GIを1つ2つ勝てただけ」で終わることもしばしばで期待が大きかっただけにガッカリなんてことも普通にある。
      • 反対に説明書でスーパーホースとして取り上げられているアイアンキングやサードステージなどはプレイヤーの初期馬でも強くなれば、それを破ることも現実的にできる。

問題点

  • エンドレスなプレイシステムが災いしてある程度期間が過ぎると種牡馬、繁殖牝馬ともオール父内国産馬という不自然な状態になる。
    • 実際、ゲーム内で登録されている種牡馬で一番若いのがヘクタープロテクター(9文字までしか枠がないので「ヘクタープロテクタ」表記)でスタート時10歳(1988年生まれ)なので16年後の2013年には引退し外国産の種牡馬は1頭もいなくなってしまう。
    • 気にしなければいいと言われたらそれまでだがリアル競馬を意識すると不自然。
  • 有利な脚質パターンが両極端。
    • 逃げが圧倒的に強く、続いて直線での溜めが一気に吐き出せる追込が続き、中途半端な差しや先行はほとんどいいところなし(特に先行)。
    • 実際逃げは「のっけから先頭を走るので他馬は邪魔のしようがない*4」という利点はあるとはいえ「最後の直線で粘る脚を温存できない」という難点もある。
      • 現実では逃げの大半は直線に入った時点で数馬身ものセーフティリードが取れなければ、あっさり捕まってずるずる落ちて上位入着すらままならないことが多いが、作中では逃げて一度捕まっても二の足で差し返したりもできる。
      • ほかに着目すると先行は「多少邪魔される可能性はあるが、そこまで不利は受けず逃げよりも多少脚を温存できる*5」、差しは「溜めて直線スパートのスタイルは勝負は変わらないものの最後方待機よりは不利を受けにくい」など、それぞれ利点があり、ここまで極端ではない。むしろ本作で2番目に有利である追込は「脚の溜め度合いこそ抜群だが最後方からのため進路的に不利をたっぷり受ける上、限られた距離で一気に勝負を決めなければならない」というリスクの方が大きく、むしろ不利な脚質と言われているほど。
  • 上記に付随して騎手ラインナップでは栗東(関西)がかなり不利。
    • それというもの栗東の騎手は得意戦法が最も不利な「先行」ばかりなので(「差・追」なら「追込」で活路が見いだせる)、騎手のポテンシャルを多少殺すことを余儀なくされてしまうのだ(騎手に合わせて「先行」させるよりは無視して「逃げ」「追込」を強行した方がマシなため)。
      • 特に河口(河内洋)・鷹(武豊)・安谷*6(安田隆行)などトップ級の騎手の大半が「先行」タイプなのが痛い。「差・追」なら南(南井克己)・角谷(角田晃一)あたりがいるものの、逃げは新人同然で実力では最下位クラスの佐渡(佐藤哲三)ぐらいしかいないし「自在」は日原(田原成貴)ぐらい。
        その日原もステータスではやっとこ良からず悪からずの中堅レベルでしかない。一応本多(本田優)御池(小屋敷昭)も形式的には「自在」だが実質的には能力が低すぎて「逃げから追込までこなす」というより「これと言って得意なものがない」というだけで、とどのつまり「何をやっても公平にダメ」のようなものなので論外。
        それだけでなく、そんな「先行」ばかりの上位陣が引退を始めるのは5年目からなので長く頭打ち状態が続く。特に序盤は自身に資金力がないことも手伝って騎手のマイナスを馬の力でゴリ押すこともしにくい。もちろん、新しく入ってくる騎手はまっさらな新人なので、しっかり育成しなければ元も子もない。いうまでもなく、これがまた「先行」タイプだったら以後長年にわたって騎手の枠が1つ潰されるも同然なのでそれこそ目も当てられないことに。
      • 反対に美浦は岡路(岡部幸雄)・柴(柴田善臣)・横平(横山典弘)・中田(田中勝春)など「差・追」や「自在」タイプが多く、特に岡路以外は若いので当面主戦を張れる。上位陣で「先行」は柴原(柴田政人)・的矢(的場均)ぐらいで、特に柴原は引退が近いためすぐ新人に入れ替わるのも利点。
      • さすがにあんまりなバランスと思ったかPKやEXなら「逃げ」タイプとしてそこそこ実力のある山目(山田泰誠)が追加され*7、数少ない「自在」型の日原もステータスが横平や中田のやや下ぐらいの水準まで高められたなど補正されているが2人増えた程度ではまだまだ不公平。
  • 現実再現では簡略化や規模縮小が著しい。
    • 北海道の競馬場がなく、本来土日で12レースずつ開催されるのに4レースと現実を意識するとかなり規模が縮小されている。
    • また本来ならば、東京・中山・京都・阪神の他にローカル1場の開催もあるのに、それもないため新潟・福島・中京・小倉は年1回のみの開催になってしまっている。
      • 初作品だからということで多少は仕方ないとしても、さすがにこぢんまりしすぎている。
  • 八大競走を勝っていても乗馬にされることがある。
    • 種牡馬は全体の数が決まっていて年間3頭ずつ引退するため、その分しか新しく種牡馬になれない。
      • そのため同年に引退する馬がいて、それらがGIを何勝もしていたりで相対的に3番手以内に入れないとGIを勝っていても乗馬にされることもある。マイルチャンピオンシップやスプリンターズステークスなどの下等GIならばまだしも日本ダービーや有馬記念など八大競走を勝っていながら乗馬というのは、さすがに理不尽に感じられる。
    • なお、史実の直近ではゴールドシチー(1986年・阪神3歳ステークス)、後にはサクセスブロッケン(2009年・フェブラリーステークス)*8などもいるがいずれも下等GIの1勝でしかなくさすがにクラシックホースでそのような屈辱を受けた例はない*9
      • 一応現実でも競走成績では文句なしながら上記の馬のように様々な問題で種牡馬になれなかった例も珍しくないがゲームではGI勝ちぐらいの実績があるならば認められるのが通例なだけに、そんな馬が乗馬になるのはショックが大きい。
  • 男性騎手は50歳近くまで現役でいられるのに、女性は弱冠30歳の年末に引退してしまう。
    • そのため、せっかく育てても主戦力として使える時期が短い。
    • 当時の中央競馬には女性騎手が不在だっただけにゲームの世界だけでも花があるのは良いことではあるのだが。
  • シンジケート権が専売牧場に握られていると、どうにもならない。
    • 特に痛いのがゲーム開始時からシンジケートが組まれているタマモクロスで、なんとすべて専売牧場に握られているので折角自身の牧場を開設できても使えないのだ。オグリブームの過熱度合いは激しかった上に当時はまだあれから5年しか経たずタマモクロスのファンも多かっただけにそれが使えないというのはじれったさを感じてしまう。
      • 解散してからなら普通に使えるのだが、それも相当な時間がかかる。
  • 主人公に顔がないので、秘書の桜子が実質的な自分の顔になってしまう。
    • 主人公の性別が女性ならばさほど気にならないが、男性だと男の名前なのに顔が女という異様なものになる。

総評

現実再現の観点では過剰に簡略化されている不足感こそ目立つものの、ゲームとしては非常に手軽に楽しめ同時に、そこまで難しく考えたり作業的な調教指示などを継続的に行わなくても勝つ楽しさを味わえるなど初心者への門戸は広い。
競馬好きなら気軽に手を出して特に深く考えなくても勝つ喜びを味わいやすく、それから楽しみながら細かい部分を知って楽しむ幅を広げていける点は理想的なバランスと言えるだろう。
他作品ではほとんど感じられない人間同士のつながりも見えるものとなっており、ちょっとしたホースマンのドラマ気分も味わえるなど光栄作品らしい良さも兼ね備えている。
当時すでに地位を築いていた『ダービースタリオン』は元よりこの後発売される『サラブレッドブリーダー』(ヘクト)『クラシックロード』(ビクター)などとも差別化された独自の魅力を持っている。


その後の展開

  • 続編『ウイニングポスト2』が1995年に発売。
    • 北海道の競馬場が取り入れられ土曜開催など現実の競馬システムに大きく近づいて、他に地方競馬の大井、海外もロンシャンだけでなくエプソムやサンタアニタなどイギリスやアメリカの競馬場が多数取り入れられ更にイベントも充実した。
    • プレイリミットも無制限から30年になった。
      • さらに後々にはレースプログラムを1996年に設定して多少のアレンジを加えた『ウイニングポスト2 プログラム'96』も発売されている。

余談

  • 大元のPC98版では6歳までで6歳を終えると強制引退となる。
    • だがSFC版以降は7歳まで現役を続けることが可能になった。しかしスタート時の競走馬データはPC98版ありきで作られているため7歳(1991年生)の現役馬は1頭もいないという不自然な状況になっている。
  • PC98版にのみいる栗東の騎手、沖潤一のモデルは「ジューンペー」こと岡潤一郎であり、ご存じの通り発売直後の1993年1月30日に行われた新馬戦で騎乗したオギジーニアスの骨折落馬事故により翌月24歳の若さでこの世を去った。
    • 後発版ではいずれも沖の能力を継いで(ただし年齢の差異を加味して実績勝利数は異なる)下村洋(モデルは塩村克己)が入っている。
      • なお本物の塩村は小林稔厩舎所属ではあるが、そこはゲーム都合で遠藤正利(岡が生前所属していた安藤正敏)厩舎の所属となっている。
  • 後に日本競馬の血統構成をそっくり塗り替えるほどの大種牡馬となったサンデーサイレンスが収録されているが、まだ当時産駒デビュー前だったこともあってか設定された能力はそれほど強くない。
    • 頑丈さではトップクラスでダートや重馬場にめっぽう強いという特徴こそ際立っているものの、トータルではトニービンやノーザンテーストの方が圧倒的に強い。
      • とはいえ、この当時サンデーサイレンスはノーマークに近く、それを早くも取り込んでいることそのものには開発スタッフの先見性の高さを感じる。
    • なお本作中で最強格の種牡馬は外国場で唯一シンジケートが組まれているダンシングブレーヴであり後々「現実のサンデーサイレンスのポジションが作中ではダンシングブレーヴになっている」と言われることが多いが、これも能力自体はパーフェクト級ながらスタミナが限りなくゼロに近い短距離馬となっており実はそこまで使い勝手は良くはなく、後々のダンシングブレーヴともサンデーサイレンスともイメージとは異なる*10
  • 後に本シリーズのライバル馬の看板的存在となるサードステージだが、実は本作ではスーパーホースながら大体同期のユーエスエスケープの足元にも及ばず3冠を丸ごとかっさらわれ無冠のまま現役を終えて種牡馬になれずに乗馬として消えてゆくというぶざまな末路を辿ることが多い。
    • それも本物のテイオーの3歳時は新馬デビュー戦、オープン特別のシクラメンステークスの2戦2勝だったことを意識してか、サードステージの3歳時は新馬デビュー戦の次はGIIIのラジオたんぱ杯3歳ステークスで肝心のGIである朝日杯3歳ステークスを勝っていない設定になっているため*11それほど能力が高くない。そして成長力の影響で5歳で現役を引退してしまうのだ。
      • 同じタイミングでユーエスエスケープのみならずアイアンキング(7歳)とクロスリング(6歳)も引退するので、その3頭どれかの実績を上回らなければならないというのもとんでもなくハードルが高い。
    • 後の作品ではユーエスエスケープらとは1年下(初年度で3歳)にずらされてクラシックは普通にやっていれば取れるようになった。また実績を無関係に強制イベント的に種牡馬入りするようになった。
  • 前述のスーパーホースの中でアイアンキングは父ホリスキーと経緯が似ていないためそのルーツが疑問視される一面がある。
    • それというのも、その経緯は「デビューが遅れた上に4歳春から夏は骨折休養。秋に復帰した神戸新聞杯は着外だが京都新聞杯3着で菊花賞の優先出走権をかろうじて得て、菊花賞本番は不人気ながら優勝。その後有馬記念は2着に終わるも翌年の春の天皇賞で優勝」というものである。
      • 父ホリスキーと共通しているのは「不人気で菊花賞を勝った」「デビューが遅れた(3歳のうちにデビューできなかった)」ことぐらいしかないのだ。ホリスキーは骨折は一度もしたことがなく天皇賞は勝てずじまいで有馬記念の出走経験もないので似ても似つかない。
      • 恐らく半分はスーパークリークの再現モデルと思われる。スーパークリークは3歳のうちにデビューしたとはいえ12月なので充分「遅れた」とみなせるし、4歳春シーズンの骨折、神戸新聞杯・京都新聞杯とトライアルを2つとも出走している*12ことも共通しているし、天皇賞を制覇して有馬記念は好走するも勝てずじまいだったのも同じ。
        またアイアンキングの主戦騎手もスーパークリークの主戦だった鷹匠(武豊)なので、これに関しても共通する。調教師は鷹國彦(武邦彦)である点は合致していないが*13、これは親子コンビを強調したかったものと思われる。
        もっとも、だとすれば「何故父をスーパークリークにしなかったのか?」という別の疑問も浮かんでくるのだが*14

最終更新:2025年09月28日 21:50

*1 ただしオールカマー・ジャパンカップで地方馬なるライバル馬が登場する。

*2 現実では2頭いればレースそのものは行われる(その場合、馬券は単勝のみの発行)。

*3 2024年度から中央4場でも登録は可能になり、状況次第で出走可能になった。

*4 「逃げだけは苦手」という印象が強かった武豊も「本当の意味で最強馬は2000mなら前半、後半1000mをそれぞれ58秒台で常に先頭を走る馬」と自身で述懐していたように「逃げ=最強」という認識だったが、あくまで「そのような地力があれば(基本的にそれだけ飛び抜けた力のある馬はマークされ妨害を受けやすいため)」という前提の話。

*5 実際ダービースタリオンではこれが最も有利とされている。

*6 SFC以降では安井

*7 代わりに安谷(SFC以降の安井)がいなくなっている。

*8 本作発売当時は「フェブラリーハンデ」としてGIIIだった。1994年に現在の名称になり同時にGIIに昇格し、1997年からGIとなった。

*9 近い例として1980年のダービー馬オペックホースは7歳で引退を決断するも一度種牡馬適正試験に落ちてしまった。最終的にはもう1年現役を続け翌年種牡馬になることはできたがダービー馬が危うく乗馬になりかけた稀有な例。なお同馬はダービー後一度も勝てず32連敗した不名誉の方が有名。

*10 自身は2000m前後を適正とする中距離馬。産駒からはキョウエイマーチ(1997年・桜花賞)やキングヘイロー(2000年・高松宮記念)など短距離GI馬も出しているが、両馬ともどっちかといえばマイラーに近く産駒は全般的には2000m前後での勝ち鞍が多かった。

*11 なおゲーム中で1996年の朝日杯を制したのは上記のユーエスエスケープ。また本物のテイオーの3歳時にあたる1990年は関西馬なら遠征不要な阪神3歳ステークス(翌年に阪神3歳牝馬ステークスになり、牡馬・牝馬で分かれた)を目指すが一般的だった(テイオーと同期はイブキマイカグラが制している)。

*12 実際のスーパークリークは反対で神戸が3着、京都が着外。なお1988年当時神戸新聞杯はトライアルではなかったので出走権は得られていない。

*13 本物のスーパークリークは伊藤修司師で、ゲームでも同師をモデルとした尾藤修二として取り込まれている。

*14 ゲーム中のアイアンキングは1992年生まれでスーパークリークが種牡馬入りしたのは1991年なので矛盾しない。