信長の野望・新生

【のぶながのやぼう しんせい】

ジャンル 戦略シミュレーション


対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
開発元 コーエーテクモゲームス
発売日 2022年7月21日
定価 9,800円(税別)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 郡の追加
要地の取り合いの合戦
優秀なAI
信長の野望シリーズ


概要

戦略シミュレーションの金字塔の第16作目。
本作では「知行」「合戦」「戦略」「ドラマ」が一新。シリーズ初の自ら考え行動する“生きた武将”が躍動と謳うように、AIで敵味方ともに、それぞれの意思で動く武将たちが自動で動くようなった。


特徴

内政

  • 知行
    • 土地を奪い、土地を与えるという「知行」システム
    • 他国から勝ち取った土地を、適材適所を見極め家臣に与える「知行制」の再現がされ、知行地を与えると、家臣は自らその地を発展させてくれる。
      遠い城だと軍団にしないと収入が下がってしまう。
  • 市と農村
    • 城内には市と農村があり、これを強化することで兵糧と資金が増える。
  • 開発施設
    • 郡内で2~3つ自由に施設を作れる。金銭収入を強化したり、砦を作ることも可能。
  • 城下施設
    • 灌漑水路や商人町などを作ることができる。
  • 領内諸策
    • 国衆の懐柔や内政の強化などを命じて行うことができる。
  • 人事
    • 賞罰・縁組・隠居・解雇を行うことができる。
  • 本拠移転
    • 現在の本拠地から移転することができる。離れた場所ほど金がかかる。
  • 軍団
    • 軍団を創ることが可能で、前線への兵糧や兵の補充などを提案してくれる。
  • 政策
    • 政策には共通のものと、織田家等の一部大名家のみ固有のものがある。
    • 種類とレベルに応じて必要となる威信・発令に必要な身分、武将の人数・維持費が違う。
    • 寺社寄進など一部政策は特定の主義の武将のみが行える。
    • 政策毎に毎月の維持費があり、発令準備をした時点から維持費がかかるが効果は発令時に発揮する。
    • 発令すると赤字になる政策も発令条件さえ満たしていれば発令できる。
  • 取引
    • 商人と家宝・兵糧の売買を行う。商人は常駐しているが、季節毎に取引量の上限がある。
      米の価格は季節や豊作・凶作で変動する。
    • 取引できる家宝の種類は政策「楽市楽座」のレベルに応じて増える。
    • 城の一つ下の単位。城一つに4~8の郡があり、個々の郡に武将を配置できる。
    • 出世すると郡を任せられる数が増える。
  • 具申
    • 引き抜きや破壊工作などの謀略を家臣が提案してくれる。
  • 領内問題
    • 凶作による飢餓や台風、また野盗や国境の争いなどで領地の民が困窮し、金銭収入や兵糧が下がる。
      これを解決しないと一揆になり、出陣できないなどの制約がかかる。
    • また、農民や商人から上位集落の建設を勧められることもある。
  • 外交
    • 援軍・従属・臣従・防衛・同盟・婚姻・仲介・役職・破棄という交渉手段がある。
    • 従属はある程度巨大勢力の場合や親族を殺害していると従わない。
    • 外交姿勢は合戦内容で変化することもある。
  • 威信
    • 烈風伝』にも登場したシステム。
    • 勢力を拡大したり、朝廷や足利幕府に官位や役職を任命されると増加する。
    • この値が高いと他勢力が従属に応じやすくなり、自領に攻めてきた敵軍の兵士が萎縮し攻撃力が低下する。

戦争

  • 戦闘
    • 戦闘は大軍ルートをめぐる熱い駆け引きが行われる多面ルートになった。
    • 大軍が戦える大道や小軍でしか戦えない小道など、地形によって採るべき戦術は多彩に変化して、城へと続く道を多く押さえれば攻城戦も格段に有利になる。
    • 外交で援軍を出す時は相手の勢力に指揮権があり、さぼることができない。
  • 腰兵糧
    • 城に出撃する際の兵の兵糧。これが無くなると、軍が崩壊してしまう。
  • 攻城戦
    • 攻城戦は包囲と強攻の2種類があり、包囲は兵の負担は少ないが、城のダメージも少ない。強攻は兵の負担は大きいが、城のダメージも大きい。
  • 国衆
    • 自勢力への従属度が高く出陣可能な国衆を出陣させることができる。
  • 攻略目標
    • 大名は城主に対して、敵城攻略の準備を命じることができる。
    • 命じられた城主は軍備を開始し、軍備が完了すると「臨戦状態」となって出陣する部隊の能力が上昇する。
    • 通常の出陣では落とせなかった敵城も、時間をかけてしっかりと準備をすることで勝率も高まる。
    • だが、その間、領地の発展は一時的に停滞してしまう。長期的な視点に立った軍事と内政のバランス感覚が試される。
  • 合戦
    • 「合戦指揮」は家臣たちが動き、変化し続ける戦局を指揮する。
    • 士気を0にすれば勝ちである。その為単純に兵を減らすということをしても正解ではない。要所の確保や本陣の確保なども重要となってくる。
    • 大名武将が交戦中もしくは、周辺の郡に進軍している場合実行可能。
      同時に参戦できる部隊数は最高で8部隊で、最大16部隊(初期部隊8+後詰8)まで合戦に参加出来る。
      溢れた部隊は後詰部隊となり、いずれかの部隊が画面上から去る(撤退完了か壊滅)と退き口から出陣する。
    • 合戦に勝利すると威風による影響で同盟国の評価や城や郡が手に入る。
      プレイヤーの勝利のため、己が功名のため、武将は自らの意思で戦う。

評価点

ゲーム

  • AIが優秀
    • 基本的にAIが優秀。敵、味方双方が前作にあったような首をかしげるような行動は取らず、実際の人間が考えるような行動を取ってくれる。
  • 豊富な歴史イベント
    • イベント数330以上の大ボリュームに増えた。武将たちが織り成すイベントも充実している。
    • 演出もただの紙芝居ではなく、アニメーションやナレーションやBGMを使い、歴史ドラマを見ているような雰囲気を出している。
    • 特に改名イベントが多く、当時の武士が如何に名前にこだわりを持っていたのか分かる。
    • 仮想イベントも用意されている。最近の学説に基づいた「幕府に忠義を尽くす松永久秀」なども存在する。
    • 弥助が『覇王伝』以来20年ぶりに歴史イベントに登場。当時とは異なり流暢な日本語を話しており、扱いが改善されている。
  • グラフィック
    • 今回順当に進化している。映像美で戦国時代を追体験できる。

内政

  • 全体的に分かりやすくなっている。石高と収入を上げれば兵力を増すという仕様で理解し易い。
  • また以前は終盤におざなりになる内政要素も、今作は放っておくことができない部分もあるので内政が需要となっている。
  • 災害
    • 台風や豪雨などの災害対策があり、戦国時代でも大名達が苦労した災害を追体験できる。
      これらを放置すると一揆になるという点も大名の気分を味わえる。
    • 攻撃目標を郡という単位でできるようになった。
      刈田などの挑発行動を行って、敵を出陣させるという戦国大名の戦略が行えるようになった。
    • また、城を攻めることはできないが、郡を取って敵の収入を減らすなどの戦略もできるようになった。
  • 具申
    • 家臣から出てくる調略が割と実用的なものが多く、こちらが対峙したい敵を把握して扇動や離間など、良い策を出してくる。
  • 遠隔登用
    • 前作は隣接した地域や仕えている家が滅んで浪人にならないと雇えなかったが、今作では浪人の武将なら遠隔でも雇える。
  • 知行
    • 下記の問題点は大きいが、武将に知行を設定するという部分は戦国時代に説得力が出た。
  • 論功行賞
    • 所属部将の身分や獲得勲功、昇進者の確認ができるのだが、確認しなくても自動で昇進が行われるので楽になった。

戦争

  • 敵AIが優秀であり、一方へ攻めると、第三国が攻めたり、攻略した城を空っぽにして退却するとすぐに攻めてくるなど優秀な行動を取る。プレイヤーの気が抜けない奥深い頭脳をしている。
  • 従属
    • こちらが相応の巨大勢力になっていれば、相手がかなりの大勢力でも従ってくれるので、プレイ時間が短縮される。史実でも長宗我部や島津などの大名が豊臣に臣従しているのでリアル感がある。
    • 下記のように全国制覇は非常に長いが、従属エンドにすれば小国を潰していく作業感を無くすことが出来る。
  • 合戦
    • ただの数の押し引きだけではなく要所の駆け引き、崖から攻撃など兵数じゃなく士気を重視しておりリアリティが増した。
    • また、大軍や強い武将を引き付けて、本拠地を攻撃などの戦略もでき、全滅以外の勝ち方が豊富。
      勇猛な武将はやはり強いが、体力を減らせば弱い武将でもワンチャンという救済措置がある。
    • ゲームとしても大規模な戦闘で、複数の城が獲得できるのでクリアまでの時間が短縮できる。
    • 合戦時のAIは概ね優秀で、サボったり、意味のないところを攻めたりなど敵味方妙な行動を取る部隊は少ない。

賛否両論点

  • イベント
    • 前述の通り、イベントが増えたが、改名などのイベントは能力が上がるわけでもなく、ゲームとして全くが意味がない。
    • 後述の通りイベントによっては急に武将が死んだり、大名が強制的に滅びたりするが、城が手に入ることもあるなどプレイヤーの恩恵がある場合もあるのでケースバイケース。
  • 政策
    • 何故か政策中止というコマンドがないので、収入を考えないと赤字になる。
    • ただし、財政がマイナスになると、自動的に政策をストップしてくれて施行し直せられる。
  • 難易度
    • 難易度の振れ幅が極端になることが多い。隙あらば全力かつ執拗に攻めるAIや何度でも復活する敵の兵力、一方で攻撃指定されると急に出陣を停止する城のAI、自由自在に敵部隊を孤立させて合戦に巻き込める仕様など、理不尽を理不尽で攻略する局面が頻出する。
    • 難易度の途中変更が可能だが、ペナルティや記録無しでいつでも上下に行き来できる仕様のため、一人相撲感が強い。
      初級でもある程度の難度があったためまだ良かったが、超初級が追加されて以降のバージョンではプレイの歯応えを本気で楽しむゲームでなくなってしまった。
      • 武将プレイならともかく、大名プレイにおいてスタート以降の難易度の固定が最上難易度であっても存在しないのはいただけない。
  • 武将の特性
    • 1人の武将が持てる特性の上限数が少なく抑えられており、それを組み合わせる内政や戦闘であるため考える楽しみがある。
      しかしその上昇量が総じてかなり少なく、統率や政務などの基本的なパラメータの差の前では微力である。
  • チュートリアル
    • 問題点と言うほどではないが、シリーズお馴染みの寸劇チュートリアルは今作にはなく、どの勢力でも開始時に家臣からの説明を受ける形で統一されている。一応、操作マニュアルに似たものがあるので、昔を懐かしむ方はこちら。

問題点

ゲーム

  • 全体的にプレイ時間が長い
    • 下記の様々な理由で、長時間になる。そのため、史実の年月に合わせるのが困難。
    • 例えば秀吉の天下統一の1590年などは結構な確率でオーバーする。
  • 身分
    • 組頭の身分では郡以上を治められず、いちいち出世させなくてはいけない。特に敵国は出世させていないので、組頭が多く、攻めると名もなき城主・郡代と対決といういまいち盛り上がらないことが多い。
    • しかも、何故か降伏武将でも組頭からのスタートが多く、大名ですら侍大将からのスタートである。降伏武将の忠誠が低いのはこのせいかもしれない。(pkでは朝倉の固有政策によってそのままの身分で登用できる) 
  • イベント
    • どんな状況でも勝手に起こり、勝手にイベントが進んでいく。そのため、プレイ次第で矛盾が起こるようなイベントも多い。
    • イベント合戦というものがなく、歴史の追体験という点では劣化している。(pkで追加)
  • UI
    • UIが非常に煩雑になっている。SwitchだとXボタンで決定やYボタンで否定などわざわざ無駄にボタンを使わされる。特に戦争後の処断の際はZR+Xで決定という裏技のようなボタン配置である。
    • また、いちいち「〇〇になりますが、本当にいいんですか?」的なしつこい配慮があり、選択を長くしている。
  • 報告
    • 相変わらず報告が多い病の報告や同盟切れなど鬱陶しい。自動で流せない報告も多い。
    • おまけに元服や死亡報告などは、一度武将が台詞を発してさらに武将一覧表で消えたことも見せてくる。

戦争

  • 大軍同士の戦いだと、渋滞になり、時間だけが経過して兵糧不足で敗北することが多い。基本的に合戦で兵を破り、兵を少なくしてから城攻めをするのが良い。
  • 合戦
    • 何故か大名でしか行えず、ゲームプレイ時間の増加につながる。
  • 本拠地を攻めても大名は処断できず脱出してしまう。城の包囲を毎回突破するという現実味の無い仕様となっている。
    • そのためAI城主は本拠地が攻められてもほっておくというおかしなことをしてしまう。
  • 処断
    • 今回何故か16歳以下の武将は処断できない。子供に甘い大名になっている。清盛入道かよ。
    • 族滅も少なくない戦国時代でこの処分は軽すぎる。
  • 兵科
    • 軍に兵科を指定出来ないので、騎馬隊や鉄砲隊を勝手に決められる。もし今回の合戦で兵科の指定などあればより深い物になっただけに残念。
  • 威風
    • 合戦に勝利すると威風による影響で同盟国の評価や城や郡が手に入るのだが、部隊数や山岳地域など地形によっては威風の規模が小さい。
    • 合戦時の敵の部隊数によって威風が弱、中、強と変わるので、10万の軍勢を倒したとしても肝心の部隊数が少なければ城一つ、二つ手に入るかどうかという場合がある。
    • 地形の影響によって威風大を起こしても山に阻まれて威風が広まらないという事態が発生してしまい、逆に、威風を遮るものがなく近畿などの城が密集している場所で威風大を起こすと城を10寝返らすなどもできてしまうので、東北など城数が少ない地域での差が激しい。

内政

  • 築城ができないので、戦術の腰兵糧への補給や軍の維持が非常に困難。
  • 1つの城に1回しか町を設置できない。
  • 婚姻
    • 15歳以下は婚姻できないという仕様で、15歳以下の婚姻が頻繁に行われていた戦国時代とは全く違う。
  • 政策
    • 武将の移動や城内内政の自動化などが政策として実施しないとできなくなった。特に家宝の売買は、どうして政策を実施しないと買えないのだろうか……。(pkでは政策を使わず特定条件を満たすことでより高い家宝が購入できる)
    • 政策による主義思想もあまり無く、キリスト教徒大名が寺社を建てたり、仏教徒大名がキリスト教寺院を建てることも可能であり、個性がない。
    • 城一つに4~8の郡がある。ということは、ただでさえ城の管理が面倒くさかったのが、郡の管理も加わり余計に手間になった。おまけに自動で武将を配置ということもできないので、領土が大きくなると非常に手間。
  • 知行
    • 侍大将になってようやく城一つの領地が任せられる。しかし、一国どころか、何国も貰っている史実にまるで合わず、功労者に恩恵が少なすぎる。(家老以上で軍団が作成でき、何個か城が与えられるがそれでも足りない)
    • 個々の武将に土地を与えるため、領土を変えるのが手間である。(しかも制度改新を発布しないと一度領主や城主を任命してたら変えれない)
    • また、石高や立地によって武将の忠誠度が下がるなどはない。
  • 武将
    • 郡という単位が増えたため、武将が圧倒的に足らない。
    • 味方も敵も、モブ郡代やモブ城代が多くなることもある。
  • 拠点移動
    • 非常に高額で気軽にできない。遠方での遠征などは兵糧の問題もあるので非常に厄介。また、上記のように合戦が大名しかできないので、プレイ時間も増加する。
  • 腰兵糧
    • 今作最大の問題点。本作の軍は城から出ると「腰兵糧」が設定されるのだが、この腰兵糧が固定されており、なくなると軍が崩壊してしまう。
    • しかも、腰兵糧は他の城から補充することや兵糧部隊を送るということもできない。
      そのため、九州や東北などは中央に大軍を送ることができない。(pkでは補給拠点を任命して兵糧が補給できるようになった)
    • この仕様のせいで、AIがちょっと兵を出して自軍を攻撃して、時間稼ぎし、兵糧切れで自軍が崩壊という戦略を取ってきて非常に厄介。(pkでは部隊が壊滅したら動揺状態になり、動けなくなるので改善されたと言える)
  • AI
    • 非常に好戦的である。設定で非好戦的を選んでも、どんどん攻めてくる。地方が気づいたら大勢力だらけということも多い。

北条無双

  • 今作では城数が部隊数と兵数に直結するのと、内政が戦力強化において非常に重要になっているため、如何にして内政と戦争を両立していくかが攻略の鍵となっている。
    それが北条家に追い風になっており、ほぼすべてのシナリオと難易度においてNPC北条一強になる事が多い。
    • シナリオ開始時から強い大名は織田や武田等、いくらでもいる。ならば何故北条が伸びやすいのかと言うと、周辺の大名が弱すぎるからである。
      武田との戦闘を避けて西に逃げられる織田はともかく武田は周囲を強大名に囲まれており今作では伸びにくいのに対し、北条は最初期のシナリオですら9もの城を最初から所有し関東圏に城数2~3の小大名が食べてくださいと言わんばかりに配置されていて、難易度が中級以上ならシナリオ開始半年程度で北条の進行が始まり早ければ5年程度で伊達と交戦を始める。それくらい北条の侵攻速度が早いのである。
    • その上、大名である北条氏康の固有特性「禄寿応穏」*1のおかげで内政をせずともガンガン戦争を仕掛けられる。他の大名が激戦を制して城を奪い、1000~1500人の兵数から再スタートしているところを北条だけは3000~5000から再スタート出来るので、余程武将能力に差が無いと勝負にならない。
    • せめて武将能力が全体的に控えめなら、内政重視・兵力重視の大名として、ある意味個性的な大名で終わっていたかもしれない。
      しかし北条氏康の能力は全武将の中でもトップクラス*2で、家臣も武田ほど層が厚くはないが、北条綱成を筆頭にかなり優秀な人材が揃っている。
      更に周囲の小大名は家臣こそイマイチなものの大名本人はかなりの強さ(特に里見と佐竹)を持っていて、彼らが飲み込まれた後は圧倒的な物量を持って武田を飲み込み、優秀な武田家臣団をも全員北条家になる。
    • 対抗策は北条家付近の大名で初めて大きくなる前に北条を叩くか、遠方で始める場合は北条と接敵する前に巨大勢力を作り上げることのみ。
      勿論巨大勢力となった北条と戦うのが楽しいという遊び方もあるが、毎回北条相手なのは少々問題。
      織田は西に延びて巨大勢力になる事もあるが、武田・上杉はほぼ飲み込まれる*3
      • ちなみにシナリオ「群雄繚乱」では、全大名の城数初期値が1~4に抑えられているため北条の強みである初期の城数の強みは失っているが、北条早雲・北条氏綱というどのシナリオにも登場しない先祖武将が追加されており、武将の質はとんでもなく上がっている。しかも周囲の小大名は兵数に問題があり、配置された酒井忠次や本多忠勝のような勇将が一瞬で飲み込まれて北条家臣となる。
        結局、北条無双になりやすい*4

総評

本作は郡という新しい単位ができて、史実の戦国時代にもリアリティあるものになった。
その代わりに、大名の自由度が下がり、出来ないことや制約が多くなって窮屈となり、プレイ時間も増加した。
一方で合戦や内政のバランス、AIの頭脳は良く、長時間プレイに耐えられるなら遊べるゲームになっている。


その後の展開

  • 2023年7月20日に大型拡張ディスク『信長の野望・新生パワーアップキット』が発売。

信長の野望・新生パワーアップキット

【のぶながのやぼう しんせい ぱわーあっぷきっと】

ジャンル 戦略シミュレーション

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
開発元 コーエーテクモゲームス
発売日 2023年7月20日
定価 9,800円(税別)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 改善
良作
ポイント 北条一強の改善
目玉の攻城戦は賛否両論
アップデートによりシステムが簡略化
信長の野望シリーズ

概要(PK)

信長の野望シリーズ40年の集大成として発表された、シリーズ恒例のパワーアップキット。 攻城戦や直談などの新システムやパワーアップキット恒例の各種エディタ機能が追加された。


追加要素(PK)

新たなシナリオ

  • 「関ヶ原の戦い」や「大坂の陣」に加え、北条征伐中に秀吉が病死、一部大名が離反した設定の仮想シナリオである「天下無事ならず」等新たに数本のシナリオが追加。
    • トレジャーボックス限定で本作最古のシナリオである「鉄砲伝来」も追加された。

新個性や新政策の追加

  • 新個性として合戦で敵を撃破すると全ての味方部隊の体力が20%回復する「島左近」の固有特性(鬼左近)や、敵戦法の混乱を無効化し敵部隊の防御を20下げる「柳生宗矩」の(剣弾一致)などが追加された。
  • 新政策は軍団の統治範囲が広くなる「伝馬制」や同盟勢力の数×3の分だけ部隊能力が増加する佐竹家の固有政策「常州旗頭」などが追加された。

イベント合戦や仮想イベントの追加

  • 本作の目玉である「関ヶ原の戦い」・「大坂の陣」に加え、桶狭間の戦いや長篠の戦いなどの主要合戦の流れを再現したイベント合戦が複数実装された。
  • 無印にも存在していた仮想イベントは追加シナリオを中心に複数追加され、特に「関ヶ原の戦い」の仮想イベントは選択肢に応じて非常に多くのルート分岐が存在している。

城役割

  • 追加された政策の「制度改新・弐」を実施することで自軍の城を防衛拠点・支援拠点・補給拠点に設定可能となる。防衛拠点では後述の攻城戦も行えるようになり、支援拠点は防衛拠点ごとに設定可能でそこに防衛兵力を支援することが可能。補給拠点は兵数が大幅に減少する代わりに通過した部隊に腰兵糧を一定量補給することができる。

攻城戦

  • 前述の防衛拠点に敵部隊が到達すると攻城戦が可能となり、結果に応じて威風も発生する。
    • 攻城側は城を包囲していた部隊全てが参戦し、守備側は城に配属された武将が兵の兵力を均一化した部隊で参戦する。
    • 敵を撃破すると形勢ゲージが傾くが攻城側は重要施設を制圧すると形勢ゲージが大きく傾く。時間経過で守備側に形勢ゲージが傾いていく。
      • 攻城側は本丸を制圧するか一定条件で発生する降伏目標を達成すると勝利。守備側は形勢ゲージが完全に傾くと勝利となる。
      • 合戦と共通条件として敵部隊の全滅や敵大名の討取でも勝利となる。

評定衆

  • 自勢力の家宰と奉行を設定できる。
    • 家宰は自勢力家臣から1人・従属勢力の大名から2人の合計3人まで任命でき、家宰特性によってさまざまな効果が自勢力にかかる。家宰効果にはすべてメリット・デメリットがあり、メリットが大きいものほどデメリットも大きく設定されている(後述)。
    • 奉行は自勢力家臣から任命でき、それによって新たな政策が実施可能になったり政策維持費が削減されるなどの恩恵が得られる。また一部武将には一門固有の政策が設定されており、奉行に任命することで無印では勢力固有だった政策も実施可能となる。
      • 初期状態では1人しか任命できないが、政策の「制度改新・弐」レベル2を実施後は金銭を支払うことで最大5人まで拡張できる.

直談

  • 武将出奔の際や敵武将の引き抜き・捕虜の登用失敗時などに直談が発生することがあり、金銭や所領安堵などの交渉材料を提示することで出奔の停止や武将の加入ができ、さらに交渉材料を増やすと城ごと寝返り、忠誠上昇などの追加効果が得られる。
  • また外交にも貢物・停戦の直談が追加され、家宝や領地の譲渡といった交渉材料に応じて外交姿勢の改善や長期間の停戦が可能となった。

軍団戦略

  • 配下軍団の軍団長のステータスに応じて広域作戦や陽動作戦といった作戦が提案されるようになった。

恩賞

  • 戦闘や内政・調略で功績を稼いだ家臣に感状を与えることで二つ名がつき、追加効果が得られるようになった。二つ名は最大4段階までレベルアップさせることができる。

動揺

  • 壊滅した部隊の所属していた城は一定期間動揺し、出撃不可能となった。また合戦の際の威風によっても周辺の城が動揺状態となり一定期間出撃できなくなる。

名所

  • 全国各地に点在しており、名所のある城を支配している勢力はさまざまな恩恵が得られる。また名所には発展レベルがあり、所属城や周辺地域の内政率を上げることで具申によって最大3まで発展させることができる。

評価点(PK)

動揺や停戦交渉の実装によるゲームバランスの改善

  • 無印では大勢力相手だと敵増援が「わんこそば」や「ゾンビ兵」と揶揄されるほど永続的に押し寄せてくることが多く対処が非常に難しかったが、動揺や停戦交渉が実装されたことで、無印と比べ対処がしやすくなった。

北条家の強さ調整

  • 無印では政策や立地のあまりの強さから「北条の野望」「北条無双」と揶揄されるほどであったが、バランス調整により政策が大幅に弱体化*5し、また周辺の里見氏や武田氏が新要素で強化されたことでNPC時に勢力拡大しにくくなった。

軍団の使い勝手の向上

  • 無印では侵攻頻度が非常に低く、また任意のタイミングで侵攻させることも不可能なため使い勝手が悪かったが、軍団戦略により任意タイミングで軍団のみの出陣も可能になり、使い勝手が向上した。

賛否両論点(PK)

攻城戦

  • 今作最大の賛否両論ポイント。攻城戦はスキップすることができないため、攻め側は城の攻城準備が完了している場合は必ず攻城戦を行って城を落とすこととなる。そして基本的に守備側が圧倒的有利のバランスのため、3倍から5倍以上の兵力で攻めることがゲーム内でも推奨されており、また防衛拠点に設定した城は威風を強弱問わずせきとめる仕様も相まってゲームテンポが悪化したとの意見もある。
    • ただ根本的なバランスは良い。そもそも堅固に構築された城は10倍の兵力で攻めて然るべきなのが日本の戦国時代の通例である。場合によっては10倍程度では落とせなかった要塞も史実にはある(大阪本願寺や、結局は城を攻め落としていない小田原などもそうである)。それを無視してファンタジー城攻めを奨励してきた今までのシリーズが果たしてまともにシミュレーションゲームしていたのかという問題が根っこにあり、もっと言えば別に準備された城の周りを攻略して郡を取って飢え殺しするような攻略が可能(史実の小田原攻めや小谷攻めと同じ)であり、なおかつ爽快感あるリターン(威風)もあるため、慣れれば慣れるほど史実重視の仕様として受け入れるプレイヤーが多い
      • ちなみに、後半に出来上がった巨大勢力に対抗する手段としては守城戦の威風はむしろ救済措置になっているレベルで、詰みの勢力盤面が大幅に減った
    • 後述の重要設備等を駆使することで弱小勢力でも数十倍の敵兵を退けることが可能になり、引きこもりプレイ等のしやすさは格段に上昇した。
  • ただ城を守るための施設となる設備バランスは悪い。重要設備は井楼*6や工作兵陣所*7といった一部のものが異常に強く、これの有無だけで攻城戦の難易度が大幅に変化してしまうほどである。
    • この辺りはある程度アクの強い戦いとなり初心者には厳しい攻城戦への救済要素としてバランスを悪くしているフシもあるが、さすがに育てると異常な勢いで敵方を削っていく井楼の超性能は違和感がある。

「大坂の陣」シナリオ関連

  • 徳川家が江戸幕府を開いた後の時代のシナリオだが、前作や前々作では一大名として独立していた親藩・譜代大名がすべて徳川宗家に吸収されており、非常に強大な勢力となっているため他勢力でのプレイ難易度は非常に高い。
  • 今作の仕様によりこのシナリオでは淀殿は武将として存在しておらず、イベントのみの登場となっている。
  • その他武将の配置の杜撰さ*8の問題点があったが、こちらはバージョン1.0.8アップデートで修正された。

編集機能

  • 編集機能まわりも申し分なく充実している。 一方で、大志から続くシナリオ設定をタイトル画面で決めるレイアウトによるものなのか、恒例だったゲーム中編集機能のONOFF機能が欠落しており、その代わりに編集を行うと実績にロックがかかるという仕様が続投された。
  • これをアップデートで解除したことにより使用時の警告文が無くなり、ゲーム開始前ではなく開始後にいつでもゲームを改変できる機能が、使用された痕跡がそのプレイデータ中に一切残らないという仕様をOFFにすることが出来ずこれをDLCなどではなくデフォルトで搭載しているという、20年前までの過去作と同じ状態になっており、人によってはプレイのモチベーションに致命的な影響を与えてしまう。

問題点(PK)

補給拠点の使い勝手の悪さ

  • 補給拠点は制度改新・弐のレベル3で設定可能になるが、補給できる腰兵糧の総量に限りがあり、また城の兵数も大幅に減少するためお世辞にも使い勝手がいいとは言えない。

家宰特性のバランスの悪さ

  • 家宰特性にはメリットとデメリットが存在するが、基本的にメリット以上にデメリットが大きく、それによって半分死に特性と化しているものも複数存在している。例えば口米追微*9や謀攻主義*10など。
    • 逆に強力な家宰特性の例として騎馬・鉄砲教練*11や騎兵・鉄砲兵強化*12等は非常に使い勝手がよく、これらの特性の優を持つ家臣のいる武田*13・鈴木・織田家などは大幅に強化されており、相馬氏などは従属の価値が上がった。
  • また従属勢力がいないかぎり一つしか設定できず、再任命も大名が変わるまで不可能なため、何度も付け替えてメリットだけを得るというプレイも困難である。

アップデートにより改善された点(PK)

攻城戦の事前降伏直談

  • 城の過半数の街道を封鎖し城の兵数の10倍以上の兵力で攻城戦を開始しようとすると敵城主が降伏する旨を伝えてきて直談となる。
    • 城の武将を全て解放する代わりに攻城戦をせずに城を無償で譲り受けたり、勢力と停戦を結ぶ代わりに城の武将を全て捕縛するといった事が可能。
      • 勢力が弱っていると勢力を従属させたり、勢力の全ての城主を10年間確約させる代わりに勢力を吸収するといった事が可能。

攻城戦での忠誠低下、郡開発維持

  • 攻城戦で捕縛した武将は忠誠が低下しなかった為、登用応じにくかったが攻城戦でも忠誠が低下するようになり登用に応じやすくなった。
  • また通常は制圧した城の郡の開発状況が全て初期化されるが攻城戦で制圧した城は開発状況は維持されるようになり開発の手間が省けるようになった。

評定衆(家宰、奉行)の再任

  • 一度設定した家宰や奉行は大名が代替わりするまで変更が出来なかったが、政策の「裁量権移譲」を施行すると最短3年で家宰、奉行の再設定が可能になった。

従属勢力もクリア条件の対象に

  • 以前は自勢力だけで近畿地方の全ての城を所持したうえで自勢力の城数が104以上で三職推任(エンディング)となっており、従属させた勢力が近畿地方の城を所持していたり従属させた勢力が多すぎて自勢力の城数が103以下だった場合は従属を破棄したり、従属させて3年以上経過し月変わりに具申される「従属吸収」をしなければならなかったが、そのような事をしなくてもクリアが可能になった。

城主、領主の自動任命

  • 新しく城を獲得した場合は随時家臣を城主として任命したり配置する郡を任命しなければならなかったが、新たに任命出来る家臣がいる場合は自動で配属される機能が追加された。

配下軍団が捕縛登用した武将の所属先が変更可能に

  • 配下軍団が捕縛し登用した武将は大名軍団所属となり所属先を逐次変更する必要があったが、捕縛した軍団にそのまま所属させる事が可能になった。

登録武将の一括編集

  • 登録武将の所属城、生年、寿命が一括で変更可能になった。

総評(PK)

  • 目玉の攻城戦こそ賛否が分かれるものの、ゲームバランスの改善などで無印より遊びやすくなっている。
    発売当時はシステムが若干複雑で初心者には勧めにくかったが、多くのアップデートにより面倒だった部分が快適化され遊びやすくなった。
  • 『信長の野望』40周年に恥じることのない遊びごたえのある良好な作品と言えよう。 興味を持たれた御仁は是非に手に取って頂きたい。

余談(PK)

  • 信長の野望40周年記念として顔グラ人気投票が行われ上位5位と追加特性がDLCで配信中。
    • 対象は(蒼天録)「二階堂盛義」、(覇王伝)「立花道雪」、(蒼天録)「最上義光」、(天道)「山中鹿之助」、(創造)「武田勝頼」。
  • また創造、戦国立志伝大志のBGM40曲もDLCで配信中。
    • 上記2つのDLCは無料でダウンロード可能
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最終更新:2024年03月11日 14:38

*1 通常、敵勢力の群や城を奪うと土地が荒らされ内政を1からやり直しになるのだが、この特性を持った武将が群を奪うと土地が荒らされずにそっくりそのまま奪える。

*2 ステータス総合値8位。

*3 上杉は上手く東北に延びられれば生き残って北条を飲み込む場合もあるが、武田はかなり絶望的。

*4 あくまでNPCの話。酒井家や本多家で開始して北条家を打倒するのは、他シナリオの佐竹や里見で北条に挑むより格段に楽。

*5 郡掌握効果がレベル2からになり、また掌握維持効果に変更され、未掌握の郡を即時掌握することはできなくなった。

*6 範囲内の敵兵数を一定時間ごとに減少させる

*7 範囲内の敵の防御力と機動力を減少

*8 母里太兵衛が細川家に所属している、小野寺家が石見に転封されていない、など。

*9 兵糧収入が最大30%増加するが家臣の忠誠が最大3減少

*10 調略成功率が最大20%増加するが兵力が最大25%減少する

*11 騎馬か鉄砲のレベルが最大3上昇する代わりにもう片方のレベルが最大5減少する

*12 騎馬・鉄砲スキル所持で威力最大100%上昇・未所持で最大95%減少

*13 これに加え、政策効果とさらに名所の諏訪大社もあるため騎馬レベル10を量産可能