恋愛シミュレーションツクール2

【れんあいしみゅれーしょんつくーるつー】

ジャンル テキストゲームコンストラクションソフト
対応機種 Windows 95~Vista
発売元 エンターブレイン
開発元 エムビーアイ
発売日 2001年12月5日
定価 10,290円(税込)
判定 なし
ポイント システムは正統進化だが退化部分も多し
男キャラにもモンタージュを追加
男性強化の弊害か女性キャラはパーツ減少
ポージング幅の減少、体型をいじれないなど厳しい面も
前作を持っていればそこまで必要なし
ツクールシリーズリンク


概要

2D格闘ツクール2nd.』と同時発売した、ツクール派生作品の生き残り組。『恋愛シミュレーションツクール』の続編で、前作のブラッシュアップ版。
本作は、前作において携わっていたミンクが製作から離脱している。それ以外の開発はほぼ同じであり、前作の体験者であればそこまで差異なく使える。
キャラクター素材は一新され、絵柄も前作とは変更され、上記のパッケージに書かれている絵柄がそのままゲームでも使用されている。

本作は、前作での欠点の見直しに着手しつつ、作れるゲームの幅を拡大。
特に前作ではやや工夫が必要だった「マップ移動要素」「プレイヤーの能力強化要素」といったゲームシステムが、デフォルトとしてより作りやすくなっている。
公式では「カードゲーム」も作れると豪語しており、実際サンプルゲームにもそのお手本となるゲームが収録された。
そういったブラッシュアップが多い反面、劣化点も存在、同時に変わり映えが他のツクールシリーズと比べて薄く、「前作で十分」と言われてしまう原因となった。

評価点

  • 背景がイラスト化した
    • キャラクターと合わせた時の違和感も減少し、より恋愛シミュレーションらしい空気を出せるようになった。
  • ゲーム性をより取り込んだゲームがより作りやすくなった。
    • 良くも悪くもテキストアドベンチャーは「読むだけ」「選択肢を選ぶだけ」という感が強いが、本ツールは先に記した能力を強化するゲームなどゲーム性を取り込んだ内容が作りやすい。
  • インターフェースがさらに取っ付き易くなった
    • 特にキャラクターのモンタージュ製作は前作よりもシンプル化し、わかりやすくなった。
    • この点に関しては後述するパーツの減少が原因とも言えなくもない。
  • キャラクター素材が優秀
    • 変に癖のある絵柄でもなく、かといって古過ぎるということもなく、安定感のある絵柄なので男女ともにキャラが扱いやすい。
    • ちなみにキャラクター設定においては前作で出来なかった肌の色設定が可能になった。夏だけ「肌が焼けました」ということも不可能ではない。
  • 男性キャラの強化
    • 前作ではグラフィック固定だった男性キャラが、本作ではモンタージュ出来るようになった。ただしバリエーションは女性と比べて目に見えて少なめ。
    • ちなみに相変わらず使い所に困るが、男性声優のボイスも追加された。

問題点

  • モンタージュ素材の減少
    • 男性キャラ増加の弊害からか、本作ではキャラのパーツの多くが削減され、やや窮屈さを感じる部分がある。
    • 絵柄上の問題か、男性キャラは好青年、肝心の女性はやや幼い感じのキャラになりがちで、男性は年下系、女性は年上系が作りづらい。
    • 特に、物語の演出に必要であろう「泣き顔」の削除は多くのツクラーからダメ出しされていた。
    • なお、男性キャラはモンタージュ出来るようにこそなったが、女性キャラがメインなため相変わらず数が少なく、個性を出しづらい。
      • 恐らくこれは、恋愛シミュレーションゲームにおける「主人公の友人を作る」ことを前提としたためであろう。よって乙女ゲーは依然としてまともには作れない。
    • これとは無関係だが、背景が手描きになった反面、素材数は大きく減少。さらに基本学園モノの素材に偏っているなどの問題もある。
  • 変わり映えが薄い
    • 色々強化されているが微々たるもの。このゲームを買う時に考察するべきは「前作と比較して絵柄が好みかどうか」とまで言われるほど。
    • 先も述べた通り、確実に前作よりはパワーアップしているため、非所持者であれば『2』がオススメだが、『無印』を所持しているのであれば乗り換える必要性に乏しい。
  • 文章演出が貧相
    • 前作とは違い文字の大きさの演出は出来るようになったが、『RPGツクール2000』で出来た「文章スピードの変更」「強制文字送り」などは一切出来ず、文章スピードは固定。
  • 相変わらずボイスの使い所がなく、予算の無駄遣い感がある
    • しかもこのボイス、選択する際にどれがどの声を判別(テスト)する機能がなく、かなり不便。そういう意味でも必要性に乏しい要素。
    • 男性キャラに至っては3人分しかなく、さらに使い所に悩む。

総評

恐らく前作の好評のため作られたのだろうが、本作で作られたゲームは前作よりも少ない。
取っ付き易いことは確かなのだが、今度は続編としての変わり映えが薄く、例えるなら『RPGツクール2000』→『RPGツクール2003』に似た関係と言える。
そのため、本作の存在価値は「初めてシリーズを購入する」人物に限られてしまい、前作の利用者は「変わり映えの薄さからソフトを乗り換えない」など、話題性に欠けるという評価が目立つ。

『2D格闘ツクール2nd』はかなり人気の作品となり、10年以上に渡り使い続けられているのに対し、こちらは存在すら忘れられているレベルである。
素材の用意のために約10,000円は流石に高すぎるうえ、前作と変化点が薄いと聞かされれば、フリーソフトで十分と思えてしまうからである。
本作の良さは、やはり各種素材の用意しやすさに限る。しかしその点がこの値段と釣り合うかと言われれば、答えはNOである。


余談

  • 『2』の声優は当時としては新人か若手というレベルだが、現在大活躍している「釘宮理恵」「長谷優里奈(当時は落合祐里香。2014年より声優活動を休止中)」などが参加している。「千葉一伸」など有名所も地味に混ざっている。
  • 先の『恋愛シミュレーションツクール』を含め、本作を利用した有名なゲームは特に存在しない。
    • コンテストパークで紹介されるレベルのものはあるが、それらの中で現在でも語り継がれるほどの内容はない。
  • 作りやすさで言えば相変わらずツクールの中では上位なのだが、そのためか同時発売の『格ツク2nd.』と比較すると現在はまったくと言ってよいほど利用されていない。
    • 現在でも利用するために工夫がなされてきた『格ツク2nd.』とは違い、現在では環境的に使用することが厳しいソフトである。
    • 公式では他のツクールと同じく動作が一切保証されておらず、それらを解消するための施策も練られていない。
  • 同じジャンルで優秀なフリーソフトもあることから、続編も他と比べると望む声は少ない。
    • 同系統の商業ツールも他社から発売されたが評価は芳しくなく、その後も続かず。
    • 現代において、モンタージュ程度では需要を満たせないのだろう。
  • 『恋愛シミュレーションツクール2』を最後に『サウンドノベルツクール』の系譜は長らく途絶えていたが、2017年にiOS/Androidアプリで『ラノゲツクール』『ラノゲツクールF』、PCで『ラノゲツクールMV』が配信・発売されて復活を果たしている。