2D格闘ツクール2nd.
【つーでぃーかくとうつくーるせかんど】
ジャンル
|
2D格闘ゲームコンストラクションソフト
|
|
対応機種
|
Windows 95~Vista
|
発売元
|
エンターブレイン
|
開発元
|
OUTBACK
|
発売日
|
2001年12月5日
|
定価
|
10,290円(税込)
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
やっぱり簡単じゃないツクール 色数が増えて、ますます市販レベルのゲームに近づける 制限時間設定に起因するバグが足を引っ張る 元プロも使用するほどお助けツールとしては優秀な部類 実はロングランなツール
|
ツクールシリーズリンク
|
概要
『恋愛シミュレーションツクール2』と同時発表された、ツクール95派生作品の生き残り組の一つで、名前の通り『2D格闘ツクール95』の続編。
前作のバグや不便な仕様の改善、色数の増加、さらなる機能追加による作成幅の増大など、パワーアップ版として十分な性能は誇っている。
何より強化されたのは画面で、サイズが広がった他、色数が増加これにより現代レベルの鮮やかなグラフィックの格闘ゲームも作りやすくなった。
ただしその代わりに新たなバグが生まれており、ある程度パッチで改善されたものの、基本的な使い方をするとそのバグに苦しめられることになる。
主な変更点
-
ストーリーモード限定だが1対多数のバトルが可能になった。
-
最初から複数の敵が出現していたり、とあるキャラが倒れたりなどの条件を満たす事で新たな敵が途中出現するなど、うまく使えばボーナスゲームやアクションゲーム風のようなゲームが作れる。
-
キャラセレクト画面が一般的な顔アイコンをカーソルで選ぶ方式に変更。
-
チームバトルがデフォルトで搭載。3VS3の勝ち抜き制のチームバトルとなる。
-
ラウンドごとにライフは継続しないのでKOFとは毛色が異なる。
-
命令の増加、スクリプトの途中にコマンド入力を挟んだり、変数や乱数を使用できるようになった為、自由度が飛躍的に高まった。
評価点
-
色数の増加
-
グラフィックの彩度がかなり上がったことに加え、前作のようなズームイン・アウトを廃止したことで、作ったグラフィックが汚く見えることはなくなっている。
-
製作者が腕の立つドッターであれば、現在でも通用する市販レベルのものをいくらでも作ることが可能である。
-
ツクール博物館では「ハイ・クオリティなゲームを作ることも可能」とされているが、これに関しては偽りなしと言えるだろう。
-
変数導入による自由度の増加
-
前作以上に様々なことが出来るようになり、キャラ別の特殊ゲージの作成、バトルスタイルの導入、2on2など出来ることの幅がかなり広がっていたり、作りやすくなったりしている。
-
それ以外にも、特定の攻撃のみ変わるK・O演出、超必殺などフルで見せたい技は留めの一撃までK・Oにならないなど演出面も強化可能。
-
実際この点は本当に自由度が高く、本作が10年以上に渡って利用される理由の一つと言える。
問題点
-
制限時間を無限にしないと不具合が起きる
-
本作最大の問題点と言える。かなり声高に叫ばれていたのだが、この点はアップデートでも修正されず、仕様となった。
-
しかも、制作側ではなくプレイヤー側が設定出来る項目なので、説明書に「制限時間は∞のままにしてください」と注意書きをしなくてはならなかった。
-
両手で数えられないほどあるバグ
-
研究の末、その多くは「プレイヤーの工夫で避けられる」ことが判明している。まさしく愛の賜物であるが、公式の時点でもっとじっくり丁寧にサポートして欲しかったものである。
-
この当時のツクールは外注作品が大変に多く、修正への対応を要請しづらかったのかもしれないが…。
-
上記の制限時間の不具合を含め、やはり回避出来ないものもあるが、それらは制約を付けることで一部避けられるものもある。
-
相変わらずハードルが高い
-
前作のブラッシュアップ版という側面が強いため、インターフェースは大分改良されているが、初心者にはまるで向かない。
-
専門的な部分は前作よりもさらに複雑化しているところもある。よって、「プログラミング知識がなくても簡単にゲームが作れる」というツクールのキャッチコピーに見合わない内容となっている。
-
ただし色数が増え、ズーム機能が消えたため、ドット絵でなくてもゲームとしての体裁は保てるようになった。
-
変数が実装されたが、デバッグプレイなどでもプレイ中に変数の値を直接確認する事は不可能。
-
また、「キャラ変数」というラウンド毎にリセットされるという変数の説明が違っていたり、「~以上、~以下」なのにその数値を含まないといった「仕様」を頭に叩き込んでおかなければならない
-
加えて変数に任意の名前を付ける事も出来ないので非常にバグりやすい。使用する際にメモは必須である。
-
ツクールと思えないほどグラフィック素材が貧相
-
要はサンプルゲームのものを使うしかないのだが、そのサンプルゲームも一般的なゲームデザインとは言えず、背景はともかくそれ以外は前作以上に自分の作品には使いづらい。
-
一部の前作の要素のカット
-
ストーリーモードや対戦モードにおける勝利後のセリフが「デモ画面で各自表現してください」の一言で丸々カットされてしまった。
-
前作では対戦相手の「年齢」や「性別」に応じてセリフを変える事が出来たが、本作では同パラメーターは存在するものの参照する事が出来ず、たんなる「気分を出すためのパラメーター」に成り下がってしまったのが痛い。
-
もちろん工夫次第で勝利セリフシーンを作る事は可能だがお手軽に設定できていた前作に比べて敷居が高くなってしまった。
総評
Vista以降は動作保証されていないのにもかかわらず、研究によって最新に近いOSでも動く方法が見出されているほどユーザーに愛されているソフト。
なんと一部の不具合はファンメイドでいくらか解決してしまった部分があるほど、本作の愛用者の息の長さと謎の技術力が窺える。
ただ、バグの多さで人が退いてしまったのも事実で、さほど当たらなかったのか、シリーズは本作で頓挫。
発売から10年以上経っているが、後継シリーズは一切登場していない。そのため仕方なく本作を使っている部分もある。
格ツクラーの中には「続編の3rdを」との声もよくあがっているが、現状は一切続編の芽もなければ、血筋を受け継いだツールもない。
その結果、本作は10数年近く前のツールでありながら、長らく使い込まれてきたことによって、現在でも通用するゲームを生み出せるというポテンシャルを出せることが発覚。
不満点はあがっているものの、ツールとしての優秀さはしっかり証明されることとなった。
余談
高額のプレミアがつくほどではないが、本作の入手はやや困難であり、買うとしても10年前のゲームでありながら当時の定価かそれ以上を支払わないと購入出来ない。
この点は、『恋ツク2』と同様、廉価版が結局リリースされなかったことも尾を引いていると思われる。ただし『恋ツク2』は本作ほど値上がりはしていない。
流石にOSとの相性的に不便さも目立つことから、続編が大変望まれるが、今のところ派生ツクールは『アクションゲームツクール』の失敗から全滅しているのが現状である。
格ツク2ndを用いた作品で有名なのは、システムやグラフィック等全てが商業作品に匹敵するクオリティな「ヴァンガードプリンセス」。
また、「クリムゾン アライヴ(Crimson Alive)シリーズ」などといった有料の同人格ゲーも市販されている。
最終更新:2020年06月08日 08:48