ドミノ君をとめないで。
【どみのくんをとめないで】
ジャンル
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ドミノ連鎖型アクションゲーム
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対応機種
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プレイステーション
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開発・発売元
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アートディンク
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発売日
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1998年1月8日
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定価
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5,800円
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プレイ人数
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1人
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廉価版
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ARTDINK BEST CHOICE 2000年1月6日/2,800円
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判定
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なし
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ポイント
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アクション+パズル+レース?
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概要
薄い板状の物体を立てて並べて倒す、「ドミノ倒し」をテーマにしたゲーム。
『カルネージハート』『Neo ATLAS』などを開発した、アートディンクらしい個性的な作品に仕上がっている。
システム
大量のドミノ牌(以下、牌)が並べられ、倒されていくドミノ倒しをTV番組などで見たことがある人も多いだろう。
その見所の1つに、機械仕掛けのおもちゃが動いたり、牌で造った塔が崩れるなどの「仕掛け」が動作して次のドミノ列の起点となる牌を倒すというものがある。
本作はその仕掛けと仕掛けの間をうまく牌で繋ぐことが目的となる。
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クオータービューで描かれる周回コース上に、仕掛けが点在している。各仕掛けの手前には仕掛けを作動させる「スイッチ」、後ろには次のドミノ列の起点となるポイント(以下、起点)が示されている。
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コースの床は正方形のタイル状に模様が付いていて、スイッチと起点以外にも「障害物」「数秒間、強制的に加速/減速する」「時限ライフを回復」など特殊なマスが存在する。
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プレイヤーは牌の形をしたキャラを操作する。
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キャラは常に前進し続ける。左右キーでその方向へ斜めに走る。
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↑キーを押している間は加速して早く走り、制御が難しくなるがスコアが加算され続ける。逆に↓キーでは減速して歩き、スコアが減り続けるが攻略は楽になる。
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○ボタンを押している間、その場に(自分の残像のように)牌を置き続ける。
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置ける牌の数はステージ開始時に決められているが、ステージの仕掛けを起動させることで一定量回復する。闇雲に不必要な場所にも置けば牌が足りなくなり、リトライ確定。
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2周目以降、置いた牌にキャラをぶつけることで牌が倒れ、その前方に牌があればドミノ倒しが続いていく。その結果スイッチが入れば仕掛けが動いてボーナス点が入る。
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そのまま起点からドミノ倒しが繋がって次の仕掛けが作動すれば、ボーナスに倍率がかかり更に高得点。
評価点
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操作系統が簡単。
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使用するのは十字キーと牌を置く1ボタンのみ。↑キーで加速、↓キーで減速と直感的に操作できる。
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シュールでカオスで独特な演出と世界観。
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コンビニ店内・夜の遊園地・家の中などステージ毎に風景が大きく異なるが、いずれも色んなモノが寄せ集められた様は(後発の作品になるが)PS2『塊魂』に近い。
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1面こそ仕掛けは牌やサイコロ等の馴染みある玩具だが、中盤からは幽霊や学生服から体操服姿に変身する女子中学生、最終面に至っては戦車が登場するなどカオス。
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操作キャラが可愛い。
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牌の上半分に顔が描かれた2頭身(?)で、短い手足を動かして疾走する姿が微笑ましい。モノで溢れた無機質な世界における癒しになっている。
問題点
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癖のある操作性。
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「クオータービュー + 強制スクロール」は他のゲームとの差別化になっているのでいいとして、これに「キャラの進行方向によらず、コーナーに差し掛かる手前で先行してカメラが回転する」という仕様が加わる。
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そのため、コーナー付近で横方向の位置を変える必要がある場合、慣れないうちはコーナー後に想定と違うコースに移動してしまい、スイッチ手前に牌を置き損ねる事態が多発。
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周辺にあるモノたちの見せ方を考慮すればこの視点がいいのは理解できるが、レースゲームのように後方視点の方がプレイヤーのイライラは少なかっただろう。
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キャラの座標はドットではなく床の模様と同じマス単位で管理されるため、左右キーや○ボタンを押した際にレスポンスの速さにバラつきがあるように感じてしまう。それを差っ引いても、キャラの動きがもっさり気味。
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全ての仕掛けを繋いでも達成感や爽快感に欠ける。
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極端な話、各スイッチの手前に牌を1個置き、後からチマチマ倒してまわっても仕掛けが動くのを見ることは可能。また序盤のステージなら、規定スコアを満たせるためクリアもできる。
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前述の操作性に耐えながらプレイを継続させるのであれば、連鎖数が上がるほど仕掛けの演出が派手になる等のインセンティブが欲しかったところ。
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ボリュームが少ない。
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全6ステージで、無駄なく全ての仕掛けを繋いでクリアした場合の所要時間は20分弱。常に加速状態でクリアできるまで極めれば12分を切る。追加ステージの解放なども無い。
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クリア後は加速による加点頼りのハイスコア更新しかやることがない上に、操作性を考えれば修行の域である。
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また、ボリューム不足を補うためにプレイ時間を水増しさせるかのような初見殺しの多さも気になる。
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筆頭は、床のオブジェクトがスイッチなのか障害物なのか、それとも只の模様なのか分かりにくい点。
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評価点で触れたネタ要素もどちらかと言えば、序・中盤に集中しており後半は息切れ気味。
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2面でいきなり難易度が跳ね上がる。
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1面では初期状態で牌を88個置けるのに対し、無駄なく置けば10個ほど余る。これが2面では同130個に対し余りは2、3個。
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3面以降は障害物のいやらしい配置など別の難しさがあるものの、同130-150個程度に対し数十個余る。
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このように2面だけ極端にコース取りのミスが許されないため、投げたプレイヤーも多かったと思われる。
家庭用ゲームなのにカプコンの2面殺しをオマージュしたのだろうか
総評
近年では目にする機会も減ったが、自治体や学校が体育館などを使って「ギネス記録に挑戦!」とドミノ牌を並べていく様子を密着取材したTV特番が一定の視聴率を取れていた時代の作品である。
障害物を避けるアクション性、効率的な牌の置き方をめぐって試行錯誤するパズル性、更には「ステージ構成を覚えてからが本番、早くクリアするほど高得点」というレースゲーム的な性質もある。
しかし演出面に力点を置きすぎた為か、楽しさを感じる前に挫折しかねない操作性となってしまっている点が惜しまれる。
題材や世界観を考えれば、低年齢層向けのゲームとして低難度であったならもっと良い評価になっただろう。
最終更新:2024年02月09日 11:50