【ふぁいなるふぁんたじーとぅえるぶ】
ジャンル | RPG | ![]() |
対応機種 | プレイステーション2 | |
発売・開発元 | スクウェア・エニックス | |
発売日 | 2006年3月16日 | |
定価 | 8,990円 | |
レーティング | CERO:全年齢対象 | |
廉価版 | アルティメットヒッツ:2008年6月26日/2,940円 | |
判定 | スルメゲー | |
ポイント |
オフライン版シームレスバトルの先駆け的作品 高い完成度と自由度だが複雑なシステム 世界観重視のシナリオ 脱・JRPGの嚆矢的存在として国内より海外で人気 長年のシステム解析・やり込みによる遊び方の大きな変遷 |
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ファイナルファンタジーシリーズ |
本項目ではオリジナル版の『ファイナルファンタジーXII』の紹介をしています。
インターナショナル版準拠の作品の詳細は『ファイナルファンタジーXII インターナショナル ゾディアック・ジョブ・システム』を参照。
言わずと知れたファイナルファンタジーシリーズの、ナンバリング第12作。 当初の発表より約2年の延期を経て発売された。
『ファイナルファンタジータクティクス(FFT)』『ベイグラントストーリー』の制作スタッフが、それらの舞台となった世界「イヴァリース」を巡る同一時間軸上の作品として制作した。
『FFTA』のような他作とパラレルワールドの関係にある設定ではなく、FFTの約1200年前にあたる古代文明時代のイヴァリースを舞台とした正史である。
上記の理由により、同じ『FFT』チームが開発に関わった『FF9』と装備品の名前が共通しているなどの一部例外を除き、ナンバリング他作とはシナリオの方向性や世界観が全く異なっている。
またシステム面でも、ナンバリング他作のみならず、他のイヴァリース作品とも異なる斬新なものとなっており、総じてプレイ内容、演出ともナンバリング作品とは大きく異なる要素で成り立つ作品となっている。
監督は当初『FFT』『ベイグラントストーリー』の松野泰己氏が務めたが、同氏の病気療養のため途中で『サガ』シリーズの河津秋敏氏に交代となっている。
戦乱渦巻くイヴァリースの一小国ダルマスカは、急速に勢力を広げるアルケイディア帝国と戦争状態に陥っていた。
先日アーシェ王女と祝言を挙げたばかりのラスラ王子は自ら剣を取り前線に立つが、あえなく戦死する。
敗色濃厚のダルマスカはアルケイディアとの和平を結ぼうとするが、和平調印式にダルマスカのバッシュ将軍は、
ダルマスカ国王を売国奴と呼んで暗殺する。
かくしてダルマスカは和平の道も絶たれ、アルケイディアに降伏した。2年後、ダルマスカの首都ラバナスタに住む、空賊に憧れる孤児の少年ヴァンは、
帝国に征服された祖国とその状態を受け入れつつある民たちに苛立ち、帝国兵からスリをするなどして抑圧された日々を送っていた。
彼の兄は、調印式を襲撃したバッシュ将軍との関係を疑われ、厳しい尋問の末廃人となり世を去っていたのだ。そんな折、ラバナスタに新しい執政官が赴任することになり、それを記念したパレードが行われた。
新たな執政官ヴェインは「私が憎いか。帝国が憎いか」から始まる巧みな演説によって民衆の反帝国感情を見事に払拭してしまった。
ダルマスカに深い傷を与えたアルケイディアを許してしまっていいのか。憎しみを抑えられないヴァンは、
帝国が抑えているラバナスタ王宮の宝物庫に忍び込んだ。
そこでダルマスカ解放軍として活動するかつての王女アーシェ、そして空賊バルフレアと出会う。
アクティブディメンションバトル(ADB)
ガンビット
ライセンス
ミストカート
フィールド
「おたから」によるギルの入手と「交易品」
「レアモンスター」と「ハントループ」、および「ハントカタログ」
ライセンスシステムによる育成の幅広さ
多彩な装備品
+ | 武器種類について |
戦術性の幅広さ
やりこみ要素の豊富さ
+ | ネタバレ注意 |
序盤から探索範囲の自由度が高い
作り込まれた世界観と美しいグラフィック
崎元仁氏による音楽
イヴァリース資料集としての価値
古典的和製RPGであったシリーズ旧作からの脱却指向
当時としては斬新すぎたバトルシステム、戦術性の理解に時間のかかる造り
+ | 本作の戦術的要素について |
プレイヤーの思考と知識に大きく左右されるガンビット
+ | 詳細 |
ギル収入のランダム性
本作は、ストーリーの描き方については全体的に賛否が分かれている。
国同士の争乱が主題の大人向けなストーリーと、それを取り巻く渋いキャラクター描写
主人公達の行動が直接的に人類の歴史を動かすプロットではない
群像劇形式のパーティキャラクターの扱い
ストーリーの結末
+ | ネタバレのため格納 |
ミストナック
召喚獣の扱いの難しさ
ゲストメンバーの仕様
「最強の矛」など一部トレジャーの仕様
序盤を過ぎると主人公のヴァンが目立たない
ストーリーの解釈に必要な情報の説明不足
エンディングの展開の唐突さ
+ | ネタバレのため格納 |
ヴァン役のモーションキャプチャ俳優であり、声優である武田航平氏の「声の演技力」
謎解きヒントの難解さ
満を持して発売された本作であったが、ほどなくして「これはFFではない」と激しい批判に晒されることとなった。
青年ドラマ的なシナリオを求める人からは、人物描写の渋さ、カタルシスの薄さ、あまりに壮大で大人向けなシナリオなどが批判の対象となった。
明快な新規システムを求める人からは、まだ日本で馴染みのなかったMMORPGをベースにしたシステムと、それを補完するためのガンビットというこれまた新しすぎるシステムが批判を招いた。
しかしこれらの評価は発売直後になされた節もあり、意欲的すぎた作風に時代が追いついていなかったという側面も否定できない。
現在は練り込まれた世界観、やりこみ要素の豊富さ、自由度の高さ、先進的なバトルシステムなど、理解できればプレイが快適になる完成されたシステムを評価する声も増えてきており、2022年現在では「早すぎた傑作」という声も上がっている。
長い製作期間を経ただけあって致命的な欠陥はほとんどなく、ゲームそのものの完成度は高い。
今作の先進的な試みを咀嚼してその旨味を理解するのに非常に長い時間を要した、FFナンバリング作随一の「スルメゲー」といえるだろう。
幸い長い年月を経て本作の研究は確立されており、快適にプレイしつくすための土壌はようやく整っているともいえる。
政治劇というシナリオは好みが分かれるところだが、質実剛健の渋いRPGを渇望している人は本作や移植版を一度手に取ってみてはどうだろうか。
※なお、システムが異なるインターナショナル版やそれをベースにした『ザ・ゾディアック・エイジ』は、本作とはゲームバランスが大きく異なる。そのためそれらのシステム面での評価は必ずしも本作に対する評価を下敷きにしているとは限らず、本作が必ずしもシステム面での下位互換とみなすことができない点には留意されたい。
*1 ただし、開発者側であらかじめキャラの個性を用意しておいてほしい(またはそれを大事にしたい)、自身で育成の方向性を決めるのが苦手なプレイヤーにはこういったシステムは不評。
*2 サボテンダーやトンベリなどはシリーズを通してデザインが共通である
*3 例えば、今やイメージの固まったシリーズの代表的キャラクターであるチョコボですら、初出のFF2では10m程度の恐竜のような生物とされていた
*4 ゲーム中に流れる主題歌には関わっており、完全に離れるのは『FFXIII』から。
*5 サウンドトラックでは「ビッグブリッジの死闘」という曲名である。
*6 各地に出現するエレメント族の敵が代表的な例。
*7 ゲーム中では説明されないシステムであり、正式な名称ではない。
*8 敵対心システムがある作品には「敵を挑発してヘイトを大きく稼ぐ」といった技がつきものであるが、FF12にはそうした技がない。一応、ダメージよりもヘイト稼ぎ重視の技としては、「時間攻撃」「歩数攻撃」「算術」などが適している。これはダメージ自体は低い・不安定だが、敵対心増加量が「たたかう」より高く、かつ攻撃範囲があり複数の敵に攻撃できる(=敵対心を与えられる)ため。
*9 敵の狙いを味方一人に集中させる「デコイ」という魔法はある。ただし、これは「成功率が低い」「持続時間が短く、頻繁な掛けなおしが必要」「ヘイトそのものは稼がないので、効果が切れた瞬間に敵の狙いが変わる」など難点が多く、使いこなすには工夫が必要。
*10 一応、ガンビット開放時にバルフレアが「『味方1人にポーションを使う』を最優先に設定すると“HPが減っているときは”延々とポーションを使い続けるお節介野郎になる」旨をさらりと述べてはいるが、この言い回しだけで仕様の全貌を正確に理解するのは無理がある
*11 スタッフ曰く「大国が悪なのはおかしい。国民が苦しみ、自分たちの国に誇りを持てないなら強大にはなれない。敵には敵なりの正義がある」とのこと
*12 「アーシェとバッシュは世間では死亡したことになっており、それを誤って公表したのが解放軍の長であるオンドール侯爵。もし表舞台に立って解放軍に協力すると、二人の死亡が嘘だと世間に知れわたり、侯爵が信用を失って解放軍の団結に支障をきたしてしまうため出来ない。そして侯爵に偽の情報を伝えて公表させたのが、帝国の司令官であり敵対勢力の代表的人物であるヴェインである
*13 亡国の王女であるアーシェと同国の将軍であったバッシュは「打倒帝国、祖国再興」を悲願とするが、その手段として強大な武力をどう扱うかなど、根本的な信念は異なっている。ヴァンも強い反帝国感情によって行動するが、政治的信条というよりは「戦争で兄を失った怒りや、懐柔された同郷人や無力な自分への苛立ちに起因する反骨」といった色合いである。パンネロはヴァンと同じ身分だが、強い反帝国感情を持つというよりヴァンの身を案じて同行している面が強い。バルフレアは帝国に同調するわけではないものの、単純な反帝国論を唱える立場でもなく、独自の信条に沿って行動している。フランに至っては純粋にバルフレアのパートナーであるに過ぎず、そもそも自発的に帝国と戦う動機がない
*14 ヴェーネスとは間接的に戦闘することになるが
*15 中身は「ポーションor目薬or少額のギル」のトレジャー
*16 しかしPSP版『FFT』に参戦したバルフレアがスタッフ人気が高いという理由で贔屓されたり、『DFF』でもスタッフからバルフレア出演が推されていた事が発覚したりなどで、無駄にバルフレアへのヘイトを溜めてしまった時期もある。
*17 たとえば「オンドール公爵がアーシェとバッシュの死亡を公表しておきながら、生存が確認された際には匿うかと思いきや帝国へ引き渡す」といった展開は、大変複雑であり一見矛盾しているようにも見える。この時点ではオンドール、ヴェインやウォースラの立場や思惑などが作中で明言されているわけではない。設定資料まで参照して考え合わせれば辻褄が合う行動だと分かるが、本編だけを見てこれをリアルタイムで理解するのは大人でも非常に難しい
*18 武田氏の名誉のために補足すると、起用の理由は「ヴァンには先入観を持って接して欲しくないため、あえて無名の俳優を使った」というスタッフの前向きな意向であった。「見慣れない無名の役者を使って人物像をゼロから作りあげる」「声優以外を主演声優に大抜擢し、意外性で新鮮な風を吹き込む」という起用の仕方はゲームに限らず様々なフィクション作品によくある珍しくないパターン。そういった挑戦的姿勢は評価に値するものの、悪く言えば「未経験者が大作の大黒柱として一発当たるか否か」という博打でもあり、それが裏目に出てしまったと言える
*19 タイムアタックなど、分野によっては国内のやり込みのほうが進んでいる。
*20 ちなみに着色料に人工色素である青色1号が使われていたこともカルト的な話題となった。
*21 栄養ドリンクやサプリメントを混ぜた物が有名。
*22 もっとも本作から後の作品である『ファイナルファンタジー零式』ではPVなどでやたらと有名声優を表記しているため、一部からくどいと言われてもいる。
*23 抜擢された理由は本作のパッケージを飾ったから。そしてそのキャラも正確には人数合わせのゲストのようなものであり、元々DFFにはXII枠がなかったのである。