ファイナルファンタジーXII

【ふぁいなるふぁんたじーとぅえるぶ】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2006年3月16日
定価 8,990円
レーティング CERO:全年齢対象
廉価版 アルティメットヒッツ:2008年6月26日/2,940円
判定 スルメゲー
ポイント オフライン版シームレスバトルの先駆け的作品
高い完成度と自由度だが複雑なシステム
世界観重視のシナリオ
脱・JRPGの嚆矢的存在として国内より海外で人気
長年のシステム解析・やり込みによる遊び方の大きな変遷
オイヨイヨ!
ファイナルファンタジーシリーズ

本項目ではオリジナル版の『ファイナルファンタジーXII』の紹介をしています。
インターナショナル版準拠の作品の詳細は『ファイナルファンタジーXII インターナショナル ゾディアック・ジョブ・システム』を参照。


概要

言わずと知れたファイナルファンタジーシリーズの、ナンバリング第12作。 当初の発表より約2年の延期を経て発売された。

ファイナルファンタジータクティクス(FFT)』『ベイグラントストーリー』の制作スタッフが、それらの舞台となった世界「イヴァリース」を巡る同一時間軸上の作品として制作した。
FFTA』のような他作とパラレルワールドの関係にある設定ではなく、FFTの約1200年前にあたる古代文明時代のイヴァリースを舞台とした正史である。

上記の理由により、同じ『FFT』チームが開発に関わった『FF9』と装備品の名前が共通しているなどの一部例外を除き、ナンバリング他作とはシナリオの方向性や世界観が全く異なっている。
またシステム面でも、ナンバリング他作のみならず、他のイヴァリース作品とも異なる斬新なものとなっており、総じてプレイ内容、演出ともナンバリング作品とは大きく異なる要素で成り立つ作品となっている。

監督は当初『FFT』『ベイグラントストーリー』の松野泰己氏が務めたが、同氏の病気療養のため途中で『サガ』シリーズの河津秋敏氏に交代となっている。


あらすじ

戦乱渦巻くイヴァリースの一小国ダルマスカは、急速に勢力を広げるアルケイディア帝国と戦争状態に陥っていた。
先日アーシェ王女と祝言を挙げたばかりのラスラ王子は自ら剣を取り前線に立つが、あえなく戦死する。
敗色濃厚のダルマスカはアルケイディアとの和平を結ぼうとするが、和平調印式にダルマスカのバッシュ将軍は、
ダルマスカ国王を売国奴と呼んで暗殺する。
かくしてダルマスカは和平の道も絶たれ、アルケイディアに降伏した。

2年後、ダルマスカの首都ラバナスタに住む、空賊に憧れる孤児の少年ヴァンは、
帝国に征服された祖国とその状態を受け入れつつある民たちに苛立ち、帝国兵からスリをするなどして抑圧された日々を送っていた。
彼の兄は、調印式を襲撃したバッシュ将軍との関係を疑われ、厳しい尋問の末廃人となり世を去っていたのだ。

そんな折、ラバナスタに新しい執政官が赴任することになり、それを記念したパレードが行われた。
新たな執政官ヴェインは「私が憎いか。帝国が憎いか」から始まる巧みな演説によって民衆の反帝国感情を見事に払拭してしまった。
ダルマスカに深い傷を与えたアルケイディアを許してしまっていいのか。憎しみを抑えられないヴァンは、
帝国が抑えているラバナスタ王宮の宝物庫に忍び込んだ。
そこでダルマスカ解放軍として活動するかつての王女アーシェ、そして空賊バルフレアと出会う。


特徴

ゲームシステム

アクティブディメンションバトル(ADB)

  • 敵が徘徊するフィールド上を探索し、その画面のまま戦闘も行われる、本当の意味でのシームレスバトル。
    • 敵と接近すると、抜刀して画面の切り替えなく戦闘に移行する。戦闘の流れは従来の-リスト 「アクティブタイムバトル(ATB)」に以下のような空間の概念が加えられたもの。戦闘中もフィールド上を自由に動き回ることができ、交戦開始前に敵の能力を調べてから攻撃を仕掛けるのも、交戦しかけた敵から逃走するのも自由。
      • 通常のRPGでは強敵相手だと「素早さが負けていて逃走は100%無理」だったり「逃走成功確率がごくわずか(1%等)」だったりすることもあるが、本作では逃げに徹すればとりあえず町に駆け込んで撒くこともできるなど、取れる行動の幅が広い。
    • すべての行動に、射程や効果範囲などの三次元的要素が存在する。
      • 離れていれば攻撃を受けない、散開していれば攻撃を受ける味方の数が減るなど臨場感につながり、マラソンや散開といった防御戦略を要求するなど、本作のバトルで非常に重要な要素になっている。
    • リアルタイムに移り変わる天候と地形。
      • 天候や地形により属性魔法の威力、遠隔武器の命中率、一部モンスターの出現条件、敵の能力などが変化する。
    • フィールド上には多種多様なトラップが仕掛けられている。
      • 有害なものがほとんどだが、中にはHPやMPが回復するものも。これらは「ライブラ」状態になると目視でき、魔法「レビテト」で回避できる。

ガンビット

  • キャラクターのバトルでの行動を制御するAIを、プレイヤーが自由にカスタマイズできるシステム。「条件文」と「コマンド」を組み合わせたものを優先順に並べることで、各メンバーが自動で自分好みに行動してくれるように設定できる。
    • 従来作では戦闘の都度「たたかう→敵」「まほう→ファイア→敵選択」などと毎回選択、入力していたのを自動化でき、使いこなせばプレイを大幅に快適にできる。
      • 当初は「味方1人に」などごく単純な条件のみが用意されているが、それでも十分実用的なガンビットを組むことは可能。次第に「HP<30%の自分に」のように複雑な条件も設定可能になる。
    • ガンビット起動中でも手動入力で直接コマンドを指示でき、この場合は手動入力のコマンドが優先される。よって、あえてガンビットを使わず従来作と同様に戦闘することも可能。
  • 例えば、下記のような設定が可能(数字が小さいものほど優先順位が上)。
    1. 1. HPが半分以下の見方がいたら - ポーションを使う
    2. 2. 状態異常の味方がいたら - 治療アイテムを使う
    3. 3. 戦闘不能の味方がいたら - 復活させる
    4. 4. 魔法に弱い敵がいたら - 魔法で攻撃
    5. 5. 敵がいたら - 物理攻撃
  • このガンビットの場合、「味方1人が毒状態でHP半分すれすれ」という状態だと、毒(一定時間ごとにダメージを受ける)のキャラのHPだけを延々と回復し根本的な毒が放置されてしまうおそれがある。これに対しては「手動で毒を治療する」「自力で見方のHPを大幅に回復する」「1と2を入れ替え自動化の順番を変える」によって解決できる。
    このような組み立てを非常に洗練させれば、特定の地点で何もしなくても延々とレベル上げができるような極めて有用なAIを組むこともできる。 初めは難しく感じられやすいが、雑魚モンスター相手にいくらでも試して習熟していくことが可能。

ライセンス

  • 本作の成長システム。「ライセンスボード」という習得アビリティの並んだパネルが用意され、敵を倒すと得られるLP(ライセンスポイント)を消費して「ライセンス」を習得する。
    • コマンドの習得、ステータスの底上げ、装備品追加など様々な効果のライセンスがあり、過去作で言う「アビリティ」に相当する。
    • 装備品や魔法、ミストナックや召喚獣など、戦闘に関わるほぼ全ての要素はここでライセンスを習得しなければ使えない。
    • ライセンスボードは、ライセンスのマスがチェスボードのように並んだマス目のマップ。新たに習得可能なのは習得済マスの上下左右いずれかに隣接するマスに限られるが、全キャラクターとも自由に習得を進めることができ育成の自由度は非常に高い(インター版およびTZA版については仕様が全く異なるためそちらの記事を参照)。

ミストカート

  • MP(ミストカートリッジ)を一定量消費することで繰り出せる大技。
    • 「ミストナック」は全MPを消費する必殺技。使用すると演出画面に映り、メンバーごとに連携を繋げると威力が増し、バトルメンバー3人全員での連携も可能。
      • ミストナックを2個/3個習得すると、最大MPが2倍/3倍となる。
    • 「召喚獣」は、バトルに召喚獣を呼び出す技。その召喚獣とのバトルに勝利するとライセンス習得が解放され、習得した1人が召喚可能になる。
      • 呼び出された「召喚獣」はNPCとして行動する。召喚者以外のバトルメンバーは一旦バトルを外れ、一定時間召喚者との2人パーティで戦うことになる。
      • 召喚獣の攻撃には通常技と発動後に召喚終了となる大技がある。大技には各召喚獣で異なる発動条件がある。

フィールド

  • 探索可能な世界は、すべて繋がりのある3Dマップの組み合わせで構成されている。
    • そのため『FF9』までのようなデフォルメされたアイコンが並ぶ巨大な一つの「フィールドマップ」はない。この点は『FF10』と同様だが、実質的なマップの構造が2Dであった同作とは異なり、今作は完全な3Dオブジェクトで表現されている。
  • 序盤から行動可能範囲が広く、敵レベルの高いロケーションに早期に入ることも可能。中盤からは行動可能範囲がほぼ無制限になる。
    • モブ・隠し召喚獣・ハントループなどの強力モンスターも早期から各地に配置されている。強力装備を早期に入手することも可能。
    • 序盤のロケーションに強力なモンスターが配置されていることもある。ゲームを先に進め、レベルが上がった後でもそのロケーションに訪れる価値を持たせる、これも当時のMMORPGでしばしばみられた工夫である。

「おたから」によるギルの入手と「交易品」

  • 敵は基本的にギルを持っておらず、倒した際のドロップや技「盗む」で入手できるアイテム「おたから」の売却が主な収入源になる。
    • 同種族の敵を倒し続けると「チェイン」が繋がる。チェインレベルが上がると様々な恩恵があり、敵がアイテムを落とす確率も上がるなど、金策のためにも重要になっている。
  • 特定の種類のおたからを特定の数以上ショップで売却すると、特定の「交易品」が並ぶようになる。
    • 「交易品」は通常より割安な店売り装備のセットや消耗品のセット、敵からは入手困難なレアアイテムなど。このため、安定した資金繰りとレアアイテム確保のために「盗む」の通常戦闘での活用がシリーズ他作以上に重要。

「レアモンスター」と「ハントループ」、および「ハントカタログ」

  • 本作には、特定の条件を満たすことで出現する「レアモンスター」が豊富に存在する。
    • 出現条件は「該当するフロアの敵を全滅させる/特定の一体だけ残すなどした後、一旦エリアを出て戻ってくる」「同一エリアで敵を一定数以上倒すと出現」「普段は転送装置を使って移動する箇所をあえて徒歩で移動する」「5分間同じ場所にいる」「プレイ時間の数字が特定の条件を満たす」など多彩。
  • 「ハントループ」は、各地のレアモンスターを倒してその印を収拾し、最終的に豪華報酬を得るという腕試し的な要素。メタルマックスメタルサーガシリーズのような賞金首システムにも通じる。
  • また、いわゆるモンスター図鑑の「ハントカタログ」もある。
    • 内容が充実しており、よくある1モンスターあたり2~3行の適当な記述というのではなく、ザコもボスも含めモンスターごとに1ページ割いている。単独でも読み応えがあるほか、イヴァリースの世界観を補完する設定資料としても機能している。

評価点

ライセンスシステムによる育成の幅広さ

  • モンスターを倒すことで得られるライセンスポイントを使って、各キャラクターの装備品や能力、役割を自由に決められる。
    • 多くのRPGのように、「キャラクターAは銃火器しか装備できない」「キャラクターBはローブ類しか装備できない」といった制約を取っ払うことで、「戦士タイプに見えるバッシュでも杖などの魔法使い系統の武器を装備する」などの個性的な育成も可能になっている。
      • 『FF8』のジャンクションシステムや『FF10』のスフィア盤にもそういった面はあるが、前者はドローやジャンクションや魔法精製などの理解が煩雑とされ、後者は本編終盤になるまでは育成ルートがほぼ固定であり、また両者とも装備品のカテゴリは固定であるなど制約があった。本作は、特に難しい過程を経なくても早期から自由な方針転換が可能である。*1

多彩な装備品

  • 武器は計17種類に分けられ、種類によって射程やダメージ計算に適用されるパラメータなどが異なる。
    + 武器種類について
    • 片手用・近接武器
      • 「剣」…片手武器で最もスタンダードな性能だが、攻撃間隔は遅め。
      • 「ダガー」…攻撃力は低いが、剣に比べて攻撃間隔は速い。何かしらの特殊効果がついていることが多い。
      • 「斧/ハンマー」…ダメージのランダム幅が広く、大きなダメージを出すこともあるが不安定。
      • 「メイス」…ダメージ計算式が魔力依存のため、魔装備と相性が良い。
      • 「計算尺」…攻撃した相手にバフ効果を与えるという非常に特殊な武器。
      • 「盾」…片手武器は、合わせて盾を装備できる。回避率を上げる効果がある。
    • 両手用・近接武器
      • 「槍」…一部除き片手武器と大差ない攻撃力だが、攻撃間隔が短い。両手武器のスタンダード。
      • 「刀」…槍よりも攻撃力がやや低いが、連撃の発生率が高い。攻撃力が力と魔力に依存する。
      • 「棒」…連撃発生率に加え回避率も高く、攻撃に巻き込まれても生存率が高くなる。敵防御力が魔法防御で判定される。
      • 「杖」…攻撃力は低いが、魔力を大幅に上げる効果がある。魔法使い向け。
      • 「ロッド」…攻撃力は低いが、最大MPと魔力の両方を上げる効果がある。魔法使い向け。
      • 「忍刀」…中盤頃から登場する。攻撃力は低いが、攻撃間隔が短く、回避率・連撃の発生率ともに高い。また、全ての忍刀が闇属性である。
      • 「両手剣」…終盤頃から入手できる。攻撃力が高く、特殊な性能を持つものが多い。
    • 両手用・遠隔武器
      • 「弓」…敵から離れて攻撃できる遠隔武器のスタンダード。
      • 「銃」…攻撃間隔は遅いが、ダメージは相手の防御力を無視することができる(ただし、これに耐性を持つ敵も存在する)。
      • 「ボウガン」…遠隔武器の中では攻撃間隔が最も短く敵のパリィを無視する効果もあるが、弓以上に強風で命中率が減少するという弱点がある。
      • 「ハンディボム」…斧・ハンマー同様ダメージのばらつきが大きい遠隔武器。天候の影響を受けないが、カウンターを受ける可能性がある。
      • 「矢/弾」…遠隔武器を使用する際には合わせて装備する。攻撃に属性や状態異常の追加効果を付けることができる。
  • それぞれに「最強武器」があり、また歴代のファイナルファンタジーシリーズで登場した名品(マサムネ、エクスカリバー等)もあるが、そのどれもが入手困難である。
  • 本作は装備品のパラメータ設定も緻密で、特に防具は同じような防御力のものが複数あってもそれぞれ属性耐性、状態異常耐性、ステータス補正効果(力、魔力、HPなど)などが大きく異なっており、装備品にこだわるだけでも多彩なキャラメイクができるようになっている。

戦術性の幅広さ

  • 育成の幅広さと洗練されたガンビットシステムによってもたらされる本作の戦術性の幅広さは、シリーズ随一のプレイの幅広さとされるFFVに並ぶという意見もある。
    • 装備品やライセンスの性能と敵の行動とのバランス感が絶妙であり、高度に理論的なガンビットでの自動対処が可能な内容でありながら、偶発的な運要素によってもたらされる不慮の事態のリスクによる適度な緊張感も加味されている。
      • 自分の考えた戦法が見事に決まり快適な戦線を実現させる爽快感と、一つのほころびから一気に崩れ手動での迅速な対処を余儀なくされるスリルとを併せ持つ。
    • 「複数キャラクターを操作するリアルタイムバトル」は一般に操作の忙しさやAIの問題などからプレイヤーの思い通りの形にしづらく快適になりにくいとされてきたが、ガンビットはこれに対する能動的な解決手段の完成形の一例であるとして高い評価を受けている。

やりこみ要素の豊富さ

  • モブ、隠し召喚獣、レアアイテム、ハントループ、クランレポートなどのやりこみ要素がふんだんに盛り込まれている。
    • FFシリーズは同じ国民的タイトルであるドラクエやマリオなどとは異なり、ごく一部の例外*2を除き同名モンスターでもデザインや設定が作品ごとに大きく異なり*3、イヴァリースに馴染みのないシリーズファンでも新鮮な気持ちで楽しみやすい。
    • モブについては、報酬は得られるものの要する労力も大きく(特に後半は膨大な労力とアイテムの消費を余儀なくされる相手が多い)、ストーリー重視派のプレーヤーには敬遠されがちな要素である。しかしモブにまつわる様々な人間ドラマも描かれており、本作のものはストーリーを重視するプレーヤーであっても楽しめるように設計されている。

序盤から探索範囲の自由度が高い

  • FF12の魅力として特筆される要素。探索可能範囲は序盤から広めであり、中盤前頃には更に飛躍的に拡大する。
    • 「序盤から」という点がポイントで、ストーリーそっちのけであちこち探検するプレイスタイルが複数存在する(通称、王宮前プレイ、ガリフ前プレイ)。
      • こうした寄り道により、序盤でも最強クラスの武器防具の入手が可能。本編クリア後が適正時期のダンジョンではあり通常プレイではまず踏破困難だが、そこをあえて序盤に挑むようなプレイすら可能となっている。
      • ストーリー上全く戦う必要のない強力なボス・モブ・レアモンスターも多数いて、その多くにもストーリーの途中で挑戦可能。最強クラスの装備を早期に手に入れそうした強敵を倒していくのは本作のやりこみの最終形ともいえる。

作り込まれた世界観と美しいグラフィック

  • 松野泰己氏が手がけた作品の特徴である、世界観の細かい作りこみは本作でも健在。
    • 本筋とはあまり関係ないような設定まで非常に細かく練られており、NPCの話に耳を傾けたり世界設定を読み込んだりすることでイヴァリースの世界に深く浸って楽しめる。
  • また『FF10』でも高く評価されたグラフィックは更に進化し、同作とは異なり真の3Dフィールドとなった。
    • 足元の植物から遠くに見える山岳の背景まで作りこまれた世界をアナログスティックで360度カメラを回して堪能でき、当時のものとしては圧巻のクオリティ。
    • SFチックな飛空艇内部からミストの漂う幻想的な森林、綺麗な砂浜、広大な都市、エキゾチックな雰囲気漂う遺跡まで、冒険できるロケーションのバリエーションは幅広く、どれも美麗。

崎元仁氏による音楽

  • シリーズで初めて植松伸夫氏が外れ、代わり『FFT』『ベイグラントストーリー』で定評を得ていた崎元仁氏が担当。
    • 植松氏との作風の違いが明確な作家のため、発売前こそナンバリング作ファンから不安視されていたが、良質なオーケストラ調楽曲はいずれも世界観に見事に合致しており好評を博した。
      • 中でも「ファイナルファンタジー」(『FF4』の同曲のオーケストラ版)「帝国のテーマ」ラスボス戦「自由への闘い」などは特に人気がある。

イヴァリース資料集としての価値

  • ルカヴィ関連の設定や神々の設定、イヴァリースの地理・気候・宗教・神話など多岐にわたる設定がテキストで読める。
    • 中には伝説の大崩壊やアジョラの時代に関連すると思われるものが含まれており、イヴァリースシリーズのファンにとってはコレを読んでないとイヴァリースを語れないというほどの内容となっている。

賛否両論点

古典的和製RPGであったシリーズ旧作からの脱却指向

  • 『FF10』以前のナンバリング作品では、シナリオや世界観、バトルシステムなど様々な新要素を盛り込み着実に進化していたが、根本的な点では「ランダムエンカウント」「モンスターを倒すと金銭を落とす」など、よく考えればあまり現実的でない「ゲームの都合」は無言で踏襲され続けてきた。本作は、良く言えば「お約束」、悪く言えば「旧態依然とした伝統」であるそうした要素をほぼ全廃した非常に革新的な内容となり、旧作からの引用事項はコマンドやアイテム、モンスターの名前など一部の表面的な要素に限られた。
  • また、世界観もナンバリング作で一切描かれなかった『FFT』の世界「イヴァリース」のもので、これも作品ごとに世界が一新されてきた旧ナンバリング作とは機軸が異なっていた。
    • 『FFT』『ベイグラントストーリー』はいずれも根強いファンを獲得した作品ではあるが、売り上げはさすがにFFナンバリング作には遠く及ばず、「イヴァリースのことは一切知らない」というナンバリング作ファンも少なくなかった。
  • そのため、『6』以前や『9』のような「デフォルメされた主人公がその手で諸悪の根源を倒し世界を救う冒険活劇」を期待していた層と、『7』『8』『10』のような「ロマンスありサイバーパンクありの、美男美女が繰り広げる青年活劇」を期待していた層の両者から「これはFFではない」という激しい批判を浴びる事態となった。
  • 「FFナンバリング作品として見なければ、演出もシステムもゲームとして高い水準でまとまっている」という声も発売当時から聞かれており、その奥深さに魅入られる根強いファンも生み出してはいた。「期待していたものと違った」「お約束が撤廃されて驚いた」という「FFナンバリングとしての感想」が批判に繋がってしまった面が否めず、発売当初の論評は「否寄りの賛否両論」となってしまった。
  • その後、後述のように海外では当初から高く評価されていたことに加え、国内でもシステムの全容が時間をかけて判明していくにつれてその奥深さがじわじわと認知されていったことなどから、FFナンバリング作の一つではなく『FF12』という名の新作ゲームとして、味わい深いゲームであると評する論調が増えていくことになった。

ゲームシステム・ゲームバランスの賛否両論点

当時としては斬新すぎたバトルシステム、戦術性の理解に時間のかかる造り

  • 本作はシームレス、リアルタイム、範囲、ヘイト、順番待ち…などMMORPGに特有の、オフラインゲームでは見慣れない概念が数多く採用されていたが、その詳細が作中であまり説明されなかった。
    • そのためFFファンに限らず、MMORPG未経験の当時の日本人ゲーマー全般からシステムに対する戸惑いの声が聞かれた。
    • モンスターの反応ひとつとっても以下のように、普通のRPGとして漠然とプレイしている分には気づきにくいMMORPG的要素が非常に丁寧に作り込まれている。
      しかし説明の少なさゆえその作り込みの細かさは発売当初にはほとんど認知されず、評価に繋がるには非常に長い時間を要した。
      • 「アクティブ・ノンアクティブ」:敵を認識したら襲い掛かる/掛からない。
      • 「視覚・聴覚・魔法感知」:視覚は前を横切ると認識される。聴覚は近づくと後ろにいてもバレる。魔法感知は真横まで近づいても無反応だが、何か魔法を使うと(例えば回復魔法で味方を治療しても)反応。
      • 「こちらのレベルに応じて対応を変える」:弱いと見るや襲ってくるもの、逆に雑魚には興味がない…など。
  • 一方、前作が当時の日本では数少ない国産MMORPGのパイオニアとして同ジャンルの愛好家には圧倒的な人気・知名度を誇ったため、それをオフライン仕様に落とし込んだという意味では「ナンバリング作としても正当に進化した」とも評せる。
    • しかしナンバリングの中で前作だけ売上本数が大幅に低く、前作のみプレイしていなかったシリーズファンが大多数であった。そのためこの点の理解も得られず、「アクションRPGなのに行動がコマンドで手抜きだ」と、アクションRPGと誤認されての評価を下されるという、今では一目で的外れだとわかる考えられない批評が当時は真剣になされたほど。
  • こうした、リアルな流れを重視したシステムは、金銭の入手などの細かな要素にも反映されており、たとえば戦利品の入手に関しても「倒しても金銭自体が得られない代わりに、高確率で得られる戦利品を売って、金銭を入手しつつ新たな商品が店頭に並ぶよう仕向ける」というシステムになっている。
    • 狩猟ゲームが一大ジャンルとして確立した後世には多くのゲームで普通に見られているシステムだが、当時としてはあまり例がなかった。
      • 好意的に受け入れる層も一定数いたが、当時は「手間が増えて面倒なだけだ」という批判的意見が主流であり、やはり時代を先取りしすぎたと言えよう。
+ 本作の戦術的要素について
  • 成長システム(ライセンス)
    • 自由度の高さが特徴だが、その一方でパネルを開放するためのライセンスポイントが溜まりやすく、特別やり込まなくても全てのライセンスを習得することが可能となっている。
    • この事はDQ6に準えて「全キャラ同じ」「全員勇者」とされ批判の的になり、ライセンス全習得後は「全員で物理攻撃・全員で回復魔法を行う」というパーティを組むパターンになりやすい。
      • ある意味、過去のFF(『1』『3』)の要素の復活である。
    • 実際は「ライセンスを習得すること」ではなく「何を装備するか」により性能が大きく変わるシステムになっており、ライセンスを全て習得しても戦闘においてキャラクターが無個性になることはなく、そして研究が進んだ現在では「パーティの役割分担」を行うことで戦術的に、かつ楽に進める。
      • 力が上がる「重装備」、魔力が上がる「魔装備」、最大HPが上がる「軽装備」という3種類の防具がある。これらは「FF2にあった『魔法干渉』システムと同じ考え方を引き算ではなく足し算で作ったもの」などと説明されることがある。
      • さらにライセンスの中には、HP満タン時や瀕死時限定で強力な効果を発揮するものがある。盾役が攻撃を引き付けることで重装備や魔装備でステータス強化したキャラクターの性能を格段にアップできる仕組みになっており、キャラクターの方向性が特化される。
  • 敵対心システム*4
    • 敵がこちらのメンバーをランダムに攻撃するのではなく、「敵対心(ヘイト)を最も多く集めているキャラ」を優先して攻撃するというシステム。
      • MMORPGなどでは一般的なものだが、当時のコンシューマ機のRPGでは例がなかった。
    • 本作は武器のみならず防具も「攻撃強化用」「防御用」で性能が二極化されており、火力を重視すると防御が脆く、防御を重視すると火力不足に、それぞれなりやすい。
      • 一般に上位魔法が敵対心を大きく高めるため、このことは魔力重視の後衛で特に問題となる。火力重視の後衛は脆いにもかかわらず攻撃を受けやすくなるが、かといって防御重視の装備を行ったりヘイトを集めにくい下位魔法を使ったりすれば火力不足になる。
      • この問題は、アビリティ等を駆使して防御重視のキャラがより多くのヘイトを集め、火力重視のキャラが攻撃に専念できるようにすれば解決できる。また、敵が繰り出す範囲攻撃の攻撃範囲は味方の遠隔攻撃の射程よりも短いように調整されており、立ち位置をしっかり管理すればPT全体の被害は少なくできる。
    • このように、知っているかどうかで攻略法に大きな違いが生まれるシステムであるにもかかわらず、ゲーム内では説明がほぼない。
      • 作中にはどの行動がどれだけヘイトを稼ぐかの情報もなければ、ヘイト稼ぎ専用のアビリティも用意されていない*5。「特定の魔法を使ったキャラに敵が群がる」といった現象に気付いたプレイヤーに端を発し、徐々に敵対心の存在が研究され明らかになっていった。よって発売当時にこのことを意識して戦略を組み立てるのは現実的とは言えなかった*6
  • 処理落ち対策用の「順番待ち」
    • 各行動には通称「エフェクト量」というエフェクトの重さの概念がある。これが限界値以上になると「順番待ち」が起こり、後の行動はエフェクト空きができるまで発動を待たされる。ただし通常攻撃などは順番待ちの影響を受けずに行動できる。
      • とくに顕著に現れる点として、HPが減っても回復が順番待ちになって回復できない場面が目立つ。
      • 正式なシステムではなく、あくまで裏の処理なので、当初はこうした仕様の存在が分からなかった。そのためストレス要因になり、不評の一因となった。特に全員で攻撃・回復を行う編成で頻出する。
    • 魔法を使うキャラを少なくする・上級魔法を用いずに装備・ライセンス補正で強化する事により改善される。これは先述した「役割特化」「ヘイトコントロール」とも噛み合った仕様となっている。
      • 逆にホーリー、フレアーといった最上級魔法は「ヘイト量が非常に高い」「一発で順番待ちを起こし味方の邪魔をする」「強化してもダメージは9999止まり」と、本作では非常に使い勝手の悪いものとなっている。
      • 敵の行動も順番待ちに影響するため、逆にこちらでわざと順番待ちを起こし、敵の行動を妨害し封じるという戦術も考案されるように。

プレイヤーの思考と知識に大きく左右されるガンビット

  • 「ガンビット」は決して使用を強要されているわけではなく、どれだけ密に設定するかのさじ加減は自由である。例えガチガチに論理的に設定していても、コマンドを手動入力すればそっちが優先されるので、プレイスタイルを選ばない幅の広い仕様である点は純粋に評価に値する。
  • しかし、各キャラのコマンドを自分の戦術に合わせて1から設定する必要があり(デフォルトのお勧め設定などは用意されていない)、真剣に運用しようとすると思考力の差が戦果にダイレクトに反映される。
    • 状況に必要な戦術をコマンド単位で分解して明文化しなければならず、やっていることはプログラミングそのもの。プログラミング的な思考の素養を持っている必要があるうえ、ゲーム内の各行動やパラメータに関する細かい知識も要求される。
    • 条件文の少ない序盤であっても高度な戦術を作成できるほど洗練されたシステムであり、工夫を凝らせば「プレイヤーが寝ている間に最強の敵を自動で倒してくれるガンビット」を組むことすら可能であるが、よく分かっていないと「目の前の敵をタコ殴りにする」程度のAIしか組めず面白みが感じられないという、両極端なシステムになっている。
  • ただ多数用意された「条件文」や行動順の詳細など、仕様に関する説明は明らかに不足しており、プログラミング的思考が可能なプレイヤーであっても真の有効活用に至れない可能性があった。
    • 特にガンビットには「無駄になる行動はしない」という節約機能が最初から備わっているが、そのことがあまり知られていないせいで、取れる戦略の幅が狭いと誤解するケースが多発した。
+ 詳細
  • たとえば「味方一体に毒消しを使う」というガンビットを組むと「味方が誰も毒状態でなければ、毒消しは無駄なので使わない」という節約機能が働き「味方が毒状態のときだけ回復してくれる」という十分有用なガンビットができあがる。
    • しかし一般的なプログラミング的思考だと「味方一体に毒消しを使う」とだけプログラムすれば「味方が毒状態であってもなくても、そのキャラは延々と毒消しを使い続ける」と考えるのが普通で、「毒状態の味方」という条件がなければ意図するガンビットを組めないと誤解するプレイヤーは当時から非常に多かった(そして「毒状態の味方」などの豊富な条件文が実際に用意されていることもそれを助長した)。
    • この誤解は逆にプログラミングをよく理解している人ほど陥りやすいもので、そのことは制作側が一番よくわかるはずだが、そのような便利仕様になっていることの説明がほとんどなかった*7
  • 行動順についても、先述の通りヘイトや順番待ちやなどの仕様に関する説明がなく、これらの要素をガンビットに最も適した形で活かせるレベルで理解するには、後の長年の研究による膨大な知識の蓄積が必要であった。

ギル収入のランダム性

  • 主なギル収入源は、敵から入手するおたから、トレジャー(宝箱)の二つ。しかしこれらは非常にランダム性が強く、収入が安定しない。
    • 「盗む」のアビリティを使えば高確率でおたからが入手できる。
    • 売却用のおたからのドロップ率はだいたい5割前後。
    • トレジャーは出現するか否か、中身がギルかアイテムかもランダム。中身がギルなら金額はランダム(最低額は1ギルで共通)、アイテムでも2種の内からランダムで選択される。
  • 特に稼ぎを行わず、店に新しい品があれば買う、というプレイをしていると、たちまち金欠に陥る。そのためどう稼ぐか、もしくはどう節約するかを考えなければならない。
    • 一方、それらを解消するためにほどよく「稼ぎ」を行うことでスムーズにゲームを進めるようになるため、本作はクリアまでの難易度自体はそこまで高くない。
  • バトルチェインを生かした絶好の狩り場と言えるロケーションも用意されており、それさえ把握しておけば稼ぎ自体も容易に行え人によっては楽しむ余地はあるが、それに気づけなければ苦痛となる。

ストーリー(賛否両論点)

本作は、ストーリーの描き方については全体的に賛否が分かれている。

国同士の争乱が主題の大人向けなストーリーと、それを取り巻く渋いキャラクター描写

  • 本作のストーリーを一言で表すなら「政治劇を主軸とする戦記物」であり、きわめて大人向けな内容である。
    • 勢力間の対立理由はほぼ政治的な利害や思想の衝突であり、「安易な勧善懲悪に落着しない」という点では直近のFFナンバリング作と近い面もあるが、どの作品にも一定程度みられた「無条件で滅ぼすべき絶対悪」はほぼ存在せず、善悪の観念は非常に複雑である。
      • 例えば、主人公の母国ダルマスカを制圧した帝国は「現地住民を圧政で苦しめる非道な支配者」といったテンプレートな立ち位置ではなく「それなりの善政を布き安定をもたらす、統治者としては有能な存在」として描かれ、「悪の帝国による悪政を打ち砕く」という単純な物語に帰結していない*8
      • また主な敵勢力となる帝国の首都は、能力と運があれば使い走りからでも立身出世が叶うが、一夜にして上流階級から転落することもあるという厳しくも活気のあるリアルな実力主義社会として描かれており、「帝国=搾取する側の上流社会」というステレオタイプな描写はない。
  • 更に、本作のテーマは「自由」と「義務」であるが、ストーリー(社会の流れ)を大きく動かすのは主人公達ではなくウォースラ、ガブラス、ヴェイン、シドなど主に「義務」側のキャラクターである。
    • 殺生や謀略などといった個別の行動の善悪はともかくとして、そのような行動に至らしめた「義務」の何たるかは実際に社会的責任が求められる社会人にならなければ真の理解は難しく、従来ナンバリング作の主要なファン層であった青少年がストーリーの真意を理解するのはとても難しい。
  • ストーリー内のキャラクター描写についても、間接的な感情描写が多用されている点は賛否が分かれている。
    • 自分の感情を明言する場面は多くなく、洒落や皮肉、目配せや息づかいなどを多用した遠回しな感情描写が多用されている。
      • その作り込みは非常に丁寧で、分かる人が見れば深く共感でき、地味な演出による渋い表現の方が説明的描写よりはるかにリアリティがあってよいとする好意的な意見もある。
      • しかし「これを青少年が理解できるのか?」という疑問は、国内のみならず概ね好評としていた海外プレイヤーからも発売当時から投げかけられていた。
      • 移植版の発売を機に「大人になって改めてプレイしたところ初めてストーリーの意味と必然性が理解できた、細かな仕草や回りくどい言い回しの真意に初めて気づいた」と評する声が聞かれている。
    • 発売前にはアーシェの恋愛模様が描かれることが示唆されていたが、本編でそのような直接的描写はほぼなく、従来ナンバリング作のような恋愛ドラマ要素を期待した人は肩透かしを食らった。
      • 初期監督の松野氏は「恋愛シナリオは不得意」「主人公とヒロインでは何かの関係がなければおかしいが、単純な愛ではなく他の愛」と答えていた。
      • 一方、従来作のように恋愛模様が前面に出ない点をしつこくなくて良いとする声もあり、好みの問題も大きいと言える。
  • ただし、ストーリーの内容自体を好意的に捉える層であっても「複雑な世界情勢を的確に理解するための情報が本編だけでは不足している」とする批判は多い(これについては「問題点」を参照)。

主人公達の行動が直接的に人類の歴史を動かすプロットではない

  • 上記のような政治劇にあって、ヴァン一行は各勢力との関係性がそれぞれ異なる少人数の一集団に過ぎない。
    • 一貫して特定の勢力には属さず、世界情勢の裏に潜む事情に関わることになり、その行動は表舞台の歴史には間接的な影響を与えるにとどまる。
    • それゆえ、主人公が世界を直接変革させる従来ナンバリング作同様の主人公がもたらすカタルシスを期待したプレイヤーからは「ストーリーが物足りない」と評価されることになった。
  • もっとも、表舞台に関わりたくても関われないという設定*9に基づくストーリーであり、この描き方が意図されたであるのは明白。
  • またこれに関連して、主人公が世界の救世主になるというありきたりな現実離れした展開ではなく、傍観者としてリアルに描かれたことを好意的に受けとめる声もある。
    • 主人公ヴァンの扱いは、問題点の項にて詳述されるように「印象が弱い」とする批判が主流ではある。しかし一方で「激流の世に生まれた一般市民で、政治情勢に疎く難しいことはよく分からないがとにかく前に進む」というヴァンのポジションは多くのプレイヤーが取るであろう立場とほぼ一致しており、プレイヤーの代弁者として敢えてこのような役回りになった、イヴァリースという世界を市民目線でリアルに描くには必然的なポジションであったとする見方もある。

群像劇形式のパーティキャラクターの扱い

  • 制作スタッフは本作のストーリーについて、
    「FF10ではティーダの物語が先にあって、それを描くために設定を広げていった。今回はそうではなく、まずイヴァリースという世界があって、そこで生きているキャラを描くという逆の作り方。そういう意味では『主人公』というものの考え方はFF6に近い。」 と述べている。
    • 先述の通り、ヴァン一行は各自の信念や行動目的が皆異なり、利害の一致により同行しているに過ぎない。帝国に対する認識ひとつとっても立場は様々である*10
    • 主人公側にも敵側にもこのように多様な立場のキャラクターを用意して描かれる世界観と人間ドラマは、理解できれば非常に濃厚で考察しがいのあるものだが、従来ナンバリング作のように主人公の行動と感情からストーリーを紐解くつもりでいたプレイヤーには「視点が散漫で善悪も不明瞭な、何を表現したいのかわからない物語」と映り、ついていけなくなるケースも多かった。

ストーリーの結末

+ ネタバレのため格納

本作の結末、特にオキューリアを巡る描写はやや消化不良であるとする意見が多い。

  • 終盤に登場する「オキューリア」は人里離れた空間に籠る種族で、自分たちが有能であると認めた特異な人間に「破魔石」という強大な力を与えることでイヴァリースの流れを実質管理してきた、神に近い存在。
    • 本作のストーリーの根底には「オキューリアの一体であったヴェーネスが『引きこもるオキューリアに歴史を導く資格などない』と離反し、ヴェインおよびシドと組んでその支配権限を独占しようと画策したが、それをよく思わない他のオキューリアがヴェーネスらを滅ぼす意図でアーシェに破魔石を授けようとする」という流れがある。
      • シドの初登場シーン、覇王レイスウォールやガリフ族の伝承、ミュリンのそばに現れたヴェーネス等々…、その存在の伏線は序盤から積み重ねられてはいた。そしてヴェイン達がアーシェの祖国を滅ぼした理由が「覇王レイスウォールに与えられた破魔石を奪い、人造破魔石を作るため」だということが明かされ、オキューリアとヴェーネス達との確執が戦乱の根本的背景であることが判明する。
      • そしてこのオキューリアは、ヴェーネスもそれ以外も非常に傲慢で独善的な態度をとるなどいかにも「倒すべき黒幕」然としており、プレイヤーとしては鬱憤が溜まる相手である。
    • 物語の核に関わる憎き黒幕として全員倒すことになるのかと思いきや、結局彼らとの戦闘は一度も発生せず*11、肩透かしであると不満の声が多く上がった。
  • この内容を補完するゲーム内テキストはそれなりに充実しており、オキューリアの足跡や目的などを考察する議論が活発に行われ、同じイヴァリースを舞台とした作品である『FFT』と絡めた考察も盛んだった。
    • イヴァリースの歴史は「FF12の後に文明が滅びる謎の天変地異が起こり、中世世界観のタクティクスへと繋がる」という設定。FF12のゲーム内テキストはその文明崩壊にオキューリアが関わっていると解釈できるような内容が豊富にあり、イヴァリースファンにとっては、消化不良な結末であることが逆に考察意欲を駆り立てられ、プラス面に働いているという声もある。

問題点

ゲームシステム・ゲームバランス

ミストナック

  • ミストナックは一気に大ダメージを与えられるため、ボスの発狂前にトドメを刺すのに有効。
    • しかしダメージにランダム性が高いうえに連携が続くと反射神経が要求される(発動可能なミストナックの入れ替えなど)ことに加え、「戦闘メンバー全員のMPを全て消費する」という甚大なコストのため連携を失敗すると一転して全滅の危険にさらされる。
    • 運が絡む仕様ではあるものの、序盤のボスならほとんど何もさせずに倒せてしまう。しかし中盤からボスのHPが急激に増加するためミストナックだけで倒し切るのが困難になる。序盤をミストナックでゴリ押ししようとすれば育成もミストナックの習得に偏るため、中盤で行き詰った後の育成面のリカバリーが大変になる。
    • 高い戦術性が評価される今作においてこの要素は所謂「ゴリ押し」であり戦略の幅を著しく狭めてしまうのため、やりこみプレイヤーはおろか上記の件との兼ね合いから通常のプレイヤーですら使用しないことが多い。

召喚獣の扱いの難しさ

  • 召喚獣を召喚すると単純に戦闘人数が減るためリスクが高い。何も考えずに使うと大抵どちらかのHPがすぐに尽きて召喚終了ということになりがち。
    • 召喚獣の攻撃には、通常技と、発動後は召喚終了になる大技がある。しかしどちらも特徴的な特性のものが多い。上手く活かせば数万ダメージを連発できるような者もいるが、それぞれの召喚獣の行動パターンを把握しないと難しい。
    • 扱いは難しいものの、行動パターンの把握に加え召喚者がしっかりヘイトコントロール等を行ない敵の攻撃を捌いていくことが出来れば召喚獣を思う存分暴れさせることもできるため、ミストナックよりは今作らしいゲーム性を保つことが出来る。

ゲストメンバーの仕様

  • ゲストメンバーは加入時のレベルが高かったり、回復アイテム無限に使用してくれたりなど頼もしい部分もあるが、こちらが指示を出したりガンビットを組むことが出来ないため、戦術によってはそれを妨害するような行動も起こすため非常に扱いづらい。
  • 中でも、終盤の一部メンバーは同行するダンジョンの仕様も相まって「勝手に敵へ向かって走っていき、途中でトラップを踏んづけて断末魔を上げながら戦闘不能に陥る」場面が頻発することから特にネタにされている。
  • 邪魔なため戦闘不能状態にして攻略を進めるプレイヤーも多いが、その場合戦闘不能回復用のガンビットに一工夫必要な他、セーブクリスタルに触れるたびに復活するため煩わしい。
  • インター版では上記の召喚獣やゲストメンバーの問題点は解消されている。

「最強の矛」など一部トレジャーの仕様

  • 貴重なアイテムが確定で手に入るはずの一部の宝箱は「それを空けるより前に、別の場所に置かれた特定のトレジャー4つのうち1つでも空けてしまっていると、出てくるアイテムが大きく劣化する」という謎の仕様になっている。
    • 「リンクトレジャー」と呼ばれるシステムだが、これについての説明は作中で一切なく、何と言っても最大の問題は本作の最強武器「最強の矛」の入った宝箱がこれに該当するという点。
      • 「最強の矛」の入った宝箱にリンクした4つのトレジャーはどれもかなり目立つところにあり、特にうち1つは最序盤に自然に取得してしまう可能性が非常に高いもの。
      • この条件に引っかかって取り逃した場合、「最強の矛」は本編クリア後クラスの難関ダンジョンにある、10%でランダムに出現するトレジャー(宝箱)から、更に0.1%のレアアイテムを引いて(すなわち確率1万分の1で)入手するしかなく、苦行を強いられる。
  • 「リンクトレジャー」を作った理由は、攻略本によると「『欲張り者は損をする』を表現するため(要約)」とのこと。
    • しかしシナリオや世界観からそうする必然性は全く不明である。そもそもFF12は「トレジャーが豊富に置かれたマップの探索と敵の討伐によるアイテム入手によって、自分の装備を固めて強くなる」というゲームデザインであり、「広大な世界をくまなく探索すると最強武器を入手できなくなる」というシステムとは明らかに相容れない。
    • さらにそれに対する救済措置が更なる苦行を強いるものでほぼ救済措置になっていないということもあり、批判が噴出した。
      • 入手方法が最初からランダムトレジャーだけであったら、条件が厳しすぎることへの不満は出ていたとしても「問題点」とはみなされなかったと思われる。

ストーリーの問題点

序盤を過ぎると主人公のヴァンが目立たない

  • 中盤以降、物語の展開において最も重要なキャラはアーシェとなり、主人公のヴァンは「自由」というテーマを象徴するいち市民代表という位置づけ。
    • こうした立場ゆえ、表立って活躍するバルフレアや、キーパーソンであるアーシェと比べてシナリオ上の活躍が目立ちにくい。
      • 見せ場は序盤に集中しているがどれも渋めであり、終盤へ進むにつれ非常に影が薄くなり、ストーリーの終盤はもはや「アーシェの成長物語」のよう。
    • また本作は「自由」の対比として「義務」が存在するというコンセプトで、先述の通り「義務」側の都合でストーリーが動くため、「義務」の象徴である、法を司る「ジャッジ」のガブラスや敵の司令官であるヴェインが目立ち、「自由」側のヴァンは目立ちにくいうえ、アーシェ、バルフレア、バッシュのような信念や行動理念も見えない。
      • 感情や思想が明確に描かれてきた従来ナンバリング作の主人公達とは描写の仕方が一線を画しており、ヴァンがどういう人間なのかわからない、何をしたいのか分からないという意見に繋がった。
  • 過去についても、ヴァンより仲間の方が掘り下げが深い。
    • 本来、ヴァンも敵の重要人物との間に深い個人的な因縁を抱える立場である。しかしいざ因縁の相手と対峙するとアーシェやバッシュばかりが盛んに敵と舌戦を繰り広げ、主人公のヴァンはあまり発言せず、敵もヴァンを因縁の相手と認識しないまま話が進んでしまう。
      • 主人公なのだから宿敵と表立って激突する描写が合っても良いのに、それがほとんど無く、因縁があるというせっかくの設定が活かされていない点は残念とされる。
    • 過去についても、アーシェはOPから終盤まで続くふんだんな描写で詳細に描かれるが、主人公であるはずのヴァンの過去はテキストで軽く触れられるだけ。
      • 過去を匂わせるようなイベントもあるが、単なる白昼夢扱いをされて終わる。ヴァンに実際にどういう過去があったのかは想像を膨らませるしか無い。
  • ここまで述べた通り「ヴァンを中心に話が動いている」という様相はほぼなく、シナリオ面で目立った従来ナンバリング作の主人公と比較され「空気主人公」と揶揄されることになってしまった。
    • バルフレアが劇中で自身を指した台詞「この物語の主人公さ」は、意図してか意図せずかはともかく、文字通りの意味でヴァンの扱いを決定づける文言となってしまった。
      • ストーリー後半にはバルフレアが自身の秘められた過去を仲間に打ち明けるシーンがあるが、ここでも打ち明ける相手はヴァンではなくアーシェ。こういったシーンや上の台詞を合わせると、本当にバルフレアが主人公であるようにしか見えなくなってしまう。
  • ヴァンは「空賊になって自由に飛び回る夢を持つ青年」という肩書きが発売前の段階から積極的にアピールされていたが、これもストーリーにほぼ活かされていない。
    • 本編前半では「空賊になる夢は単なる現実逃避だった」と切なげに述べるという、ヴァンには数少ない丁寧な心情描写がされており、「自己反省」や「真の夢の発見」などといった掘り下げにつながる前振りなのかと思いきや、それ以降は将来の夢や空賊の技術などヴァンの夢に関する描写は一切なく、なおかつ複数の味方からとってつけたように「空賊に向いてる」と評されまんざらでもない(そして続編では実際に空賊になっている)など、キャラクター設定の主軸の描写すらブレている。

ストーリーの解釈に必要な情報の説明不足

  • 大国間の思惑が複雑に絡み合う大人向けストーリー自体は賛否両論だが、好意的に捉える人であっても本編中の情報不足を指摘する声は少なくない。
    • 無数の水面下交渉の存在が前提となっているようなストーリー展開が幾つも見られるが、どういった交渉をいつ誰が行った結果なのか本編からは読み取りづらく、理由付けが難しく唐突ともとれるような展開が散見される*12

エンディングの展開の唐突さ

  • 上記の説明不足とも関係するが、エンディングの展開が唐突であるとする声は根強い。
    + ネタバレのため格納
  • 人間関係で本作は渋い作風を一貫していたと思いきや、ラスボスを倒した後にとあるキャラの恋愛感情が唐突に描かれる。
    • 超展開に感じられることを回避するために必要な伏線も、このラスボス後のイベントの存在を意識しながら注視しないと分からないレベルで微細。
    • 戦争中の出来事なので、登場人物の立ち位置や交戦する人物の人間関係を考えると将来の雲行きを不穏にする可能性も十分に考えられる。
    • 結局、そのあとどうなったかはプレイヤーのご想像に殆ど丸投げ状態。

その他の問題点

ヴァン役のモーションキャプチャ俳優であり、声優である武田航平氏の「声の演技力」

  • 全体的に滑舌の問題があり、字幕が無ければ何を言っているのか聞き取りづらい場面が複数見られた。
    • 中でも「『飛び降りろ!』が『オイヨイヨ!』に聞こえる」という序盤のシーンはネット上で非常に有名になった。参考動画
      • こうした滑舌の悪さから、ヴァン自体を「オイヨイヨ」と揶揄する動きも多く、もしくは滑舌ネタ繋がりでオンドゥルなどと呼ばれることもあった。
    • 滑舌のみならず、声のトーンに関しても難色を示す意見が多い。終盤に近付き台詞ごとの重みが増すほどに、場面の緊張感と声の緊張感のなさの乖離による違和感が生じる。
      • ラストシーンで第一人称を間違えて「てへぺろ」的な表現は衝撃的。
    • 「発声がまともなら」という意見が極端に多く、インター版で英語音声の方が違和感がなくなるとまで言われている。
    • 他にもパンネロなど声優未経験の俳優が起用されたキャラはいたが、ヴァンの場合は主人公であり、シナリオ内での影が薄いという意見は多く聞かれるものの台詞自体は必然的に多く、多数のプロ声優とやりとりする中で悪目立ちしてしまったとも言える。
  • そもそも当時20歳の武田氏は本業が俳優(それも芸歴4年程度)であり、声優はそもそも未経験であるなど、スクエニの看板でもある国民的RPGの主人公という大役がかなりの重荷であっただろう面は考慮されてしかるべきである。*13
    • なお主人公に声優でなく芸歴自体も浅めな若手俳優が起用されたのは『FF10』におけるティーダ役の森田成一氏も同様。彼のときも演技が素人くさいという意見は散見されたが概ね好評であり、後に氏自身が声優へ転向したほど。この経験をもとに本作で同様の起用に至った可能性もあるが、武田氏は後に声優よりむしろ本業の俳優として大成しており、向き不向きがあったのは事実だろう。

謎解きヒントの難解さ

  • ダンジョンの石碑などに記されている進行のヒントが一部分かりづらい。
    • 回りくどい古文風の表現が多く、滅多に使われないような漢語が混じったものもあるが、特定の年代の文法に沿っているわけでもなく、あくまで古文「風」。漢字を使った造語も混じり、かなりおかしな文章もあるなど、悪い意味で懲りすぎているとの指摘がある。
    • 人物のセリフにも大仰で大時代な表現が散見されるため、演出として浮いている訳ではないが、謎としてではなく文章自体が読みにくいというのはどうか。

総評

満を持して発売された本作であったが、ほどなくして「これはFFではない」と激しい批判に晒されることとなった。
青年ドラマ的なシナリオを求める人からは、人物描写の渋さ、カタルシスの薄さ、あまりに壮大で大人向けなシナリオなどが批判の対象となった。
明快な新規システムを求める人からは、まだ日本で馴染みのなかったMMORPGをベースにしたシステムと、それを補完するためのガンビットというこれまた新しすぎるシステムが批判を招いた。
しかしこれらの評価は発売直後になされた節もあり、意欲的すぎた作風に時代が追いついていなかったという側面も否定できない。
現在は練り込まれた世界観、やりこみ要素の豊富さ、自由度の高さ、理解できればプレイが快適になる完成されたシステムを評価する声も増えてきている。
長い製作期間を経ただけあって致命的な欠陥はほとんどなく、ゲームそのものの完成度は高い。
咀嚼してその旨味を理解するのに非常に長い時間を要した、FFナンバリング作随一の「スルメゲー」といえるだろう。
幸い長い年月を経て本作の研究は確立されており、快適にプレイしつくすための土壌はようやく整っているともいえる。
政治劇というシナリオは好みが分かれるところだが、質実剛健の渋いRPGを渇望している人は本作や移植版を一度手に取ってみてはどうだろうか。

※なお、システムが異なるインターナショナル版やそれをベースにした『ザ・ゾディアック・エイジ』は、本作とはゲームバランスが大きく異なる。そのためそれらのシステム面での評価は必ずしも本作に対する評価を下敷きにしているとは限らず、本作が必ずしもシステム面での下位互換とみなすことができない点には留意されたい。


海外評価

  • 「ストーリー重視のJRPGでは珍しく、プレイヤーを信頼し、尊重してくれるゲーム」と評価された。
    • 海外では「RPG」というと、文字通り自分で役割を決め好き好きに行動していく「自分でroleを決めるゲーム」という印象が強く、日本のRPGは「JRPG」という古典的な独自のゲームジャンルであるという見かたが強い。更に日本のプレイヤーも保守派が多いと思われていて、先進的なRPGが生まれる土壌すらないとまで考える人も少なくない。
      こうした考え方が根強かったこともあってか、先進的なシステムを取り入れた本作は、海外では驚きをもって歓迎された。
    • 本作の開発チームは元クエスト所属のスタッフが多い言わば外様のチームであり、ナンバリングタイトルを制作した経験がないスタッフが多い。
    • またFFの生みの親である坂口博信氏も「他がやってることをやってもしょうがない。好きなものを作ればいい。」と彼らを後押ししていたという。
  • FF12のやり込みは海外のほうが進んでいると言われている*14。国内評価の低さ、海外評価の高さがこうした所にも表れている。
  • 後年にIGNが歴代FFのランキング付けをしたこともあったが、FF6に次ぎ本作が2位にランクインしている。
  • 本作のメタスコアは92と非常に高い(これもFFシリーズでは2番目の高さ)。国内の評価とは裏腹に海外での評価の高さが改めて窺える。
  • 「海外版はインターナショナル版準拠だから好評なんじゃないの?」という主張も見受けられるが、実際に発売された海外版FF12はほぼ国内版と同一仕様でありこの主張は誤りである

続編・インターナショナル・リマスター

  • 2007年に派生作品『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』が発売された。
    • 本作最大の問題点とも言えるヴァンの扱いが大幅に改善され、ちゃんと主人公をしているとして評価が高い。
      • 開発経緯が少々特殊であり、本作のスタッフは『FFXIIRW』にはほとんど関わっていない。設定もTやXIIとの矛盾が多く、一部で混乱を招いた。
      • 一応公式には続編ではなく「オリジナルの新作」という見解。ただし、ストーリーは本作の続きとなっている。
  • 正史続編の『ファイナルファンタジータクティクスA2 封穴のグリモア』も2007年に発売。こちらにもXIIの一部キャラクターが登場している。
    • XIIのシナリオ担当の渡辺大祐は、Xの「ティーダの物語を描くためにスピラや『シン』の設定を広げた」という制作秘話を比較に出して、XIIではXとは逆に「まずイヴァリースという世界が存在していて、そのなかで生きているキャラを描く作りかたをした」と話している。
      • XIIまでは世界観中心だったが、後継作品ではキャラクター中心の考え方がスタッフ内に出てきたものと推測される。
  • 『Fortress』というFFXIIの続編が作られていた。
    • プラットフォームはPS3/Xbox360/PC(Windows)と、本格的な続編だった様子。
    • 2010年1月に外注先の開発会社が経営難で閉鎖し、開発中の技術デモ動画や大量のアートワークが流出したため判明。しかし現在は開発中かどうかは一切不明となっている。
  • HD版『FFX/X-2』の発売インタビューにて、北瀬佳範氏によるXIIのHDリマスターに向けて意欲的なコメントがあった。
    • 2017年7月13日にPS4用ソフトとしてインターナショナルをベースに改良を施したHDリマスター版『ファイナルファンタジーXII ザ・ゾディアックエイジ』が発売された。
      2018年2月2日にはSteamにてPC版の配信が開始。おま国されることなく無事に国内ストアで購入できる。ただし、限定パッケージ(コレクターズエディション)は北米スクエニeストア専売となる。
      PC版では60fpsに対応するほか、ウルトラワイドモニタ(21:9)にも対応。更に3画面マルチモニタ(48:9)にまで対応している。
      また、「強くてニューゲーム(Lv90でスタート)」「弱くてニューゲーム(経験値獲得不可)」「ギル・LPブースト機能」も付加され、思い思いの難易度で楽しめる。
      • 2019年4月25日にはNintendo Switch/Xbox One版が発売された。
        「強くてニューゲームの強化」、「ジョブリセット」、「ガンビットのセットを拡張」など、PS4/PC版にはない要素が追加されたが、Xbox One版のみ60fpsに対応している。
    • 東京ゲームショウでの発表の際には武田航平氏が現れ「オイヨイヨでーす!」と自らネタにするという場面もあった。

余談

  • 当時は派生作もまだ少なく、FFといえば「近未来的な世界観を舞台に現代的な風貌の美男美女が繰り広げるメカニックファンタジー」というイメージが近年以上に根強かったこともあり、中性ファンタジー的世界観というだけで否定的な印象をもたれやすくもあった。
    • 世界観やシステムは徐々に再評価されて来たが、シナリオ面では未だに批判も根強い。
  • 2年もの発売延期、開発トップの病気療養による途中降板があったため、この批判はスタッフにまで及んだ。
  • クロスレビューで40点満点を付けたファミ通にも批判が殺到。2chの批判スレはわずか半月間に100スレを突破し、ディスク割り画像も散見された。
  • 本作に登場した「ガンビット」はプロ・アマ問わずゲームプログラマに使われる言葉となった。
  • 漫画版
    • ナンバリング作品としては久々にコミカライズがされていた。当初はガンガンパワードにて連載されていたが、当誌の休刊に伴いガンガンONLINEに移籍し、直後に終了となった。
    • ストーリーは序盤のウォースラ戦までが展開。コミックス1巻はゲームのプロローグ部分を丸々描いている。
  • コラボ商品
    • なんと「ポーション」が商品化してコンビニに陳列された。しかしあまりにも「回復アイテムである」ことを強調しすぎたがゆえに薬臭いマズいものとなってしまった*15。が、それが逆に話題となり、FFVIIAC・DDFFでもポーションが、FFXIIIではエリクサーが発売され、FF・DQコラボ食品の先駆けとなった。味は改良され普通に炭酸飲料らしいものとなっていったが、瓶から缶に代わってしまったことや独特の薬っぽい味が失われたことを嘆く声も一部ではある。
    • ネットではこれをベースにして魔改造を施したハイポーション*16が作られるなど一時期大流行した事も。
  • グランディアIIIへの影響
    • 本作の度重なる延期の穴埋めとして『グランディアIII』が発売される形になった。
      • おそらく、開発中だった『グランディアIII』の発売日を早められ、短期間での開発を迫られたものと思われる。
      • もっとも他にも途中で無茶な納期を迫られたが一応は遊べる形にまとめた例はあり、『グランディアIII』の場合そもそもゲームとしての根本的な問題点が多いため、この評価の原因がFFXIIであるとは言い切れないが…。
  • 自社作品であるドラクエの「ロトの剣」をパロった「トロの剣」が登場する。
    • アイテム説明文にはDQ1で使用可能な復活の呪文が記載されている。このDQ1勇者の名前は「ゔぁん」。
    • DQ11でも使用可能。ちなみにHD版の発売時期が近い。
  • 声優起用の傾向
    • FF12発売以降、スクエニの作品は主役クラスのキャラの声に声優仕事が少ない非声優を起用する作品が極端に減った。
      • それでも脇に起用していた作品はあったが2011年3月発売のDDFFの時のヴァン役変更で権利問題や芸能事務所の移籍問題も絡んだからかDDFF発売以降はこの流れが更に加速し、その後のFFの主要級の起用は声優事務所所属の声優やFF起用前から声優としてのキャリアがあるタレントが主である。このあたりは怪我の功名というべきか*17
      • ただ鹿賀丈史氏や伊藤歩氏はその後も続投しており、DDFF前に決定している声優は非声優でも死去以外では変えない意向のようだ。またオリジナルキャストを重視し芸能界引退したと思われたユウナ役の青木麻由子女史も名義を変更して久々に復帰している。
    • スクエニの別作品だと『ドラッグオンドラグーン3』ではピーターこと池畑慎之介氏が別役とはいえ起用されているし、『ドラゴンクエストヒーローズ~』では松坂桃李氏や桐谷美鈴女史、中川翔子女史に片岡愛之助氏といった比較的メジャーな人々を起用して盛大な宣伝効果を招いている。セガの『龍が如く』シリーズのように芸能人起用が主な作品もあるので作品ごとのスタッフの考え方にもよる。
  • 武田氏のその後
    • 武田氏はその後俳優として着実に経験を積んでおり、特撮『仮面ライダーキバ』『仮面ライダービルド』や朝ドラ『ウェルかめ』などの有名作にもレギュラー出演した。
      • FFシリーズのお祭りゲー、『ディシディア ファイナルファンタジー』に『XII』からはガブラスが登場したが*18、武田氏は公式ブログでDFF発売後に、ヴァンに思い入れがありもう一度演じたいと述べ、ディシディアに出たかった事などを「待ってますよスクエニさん(笑)」と冗談半分で仄めかしている。
      • 続編『ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー』で遂にヴァンが参戦。成長した氏の演技力による新たなヴァンに注目が集まっていたのだが、まさかの前の事務所サーカス側と本人の事情で小野賢章氏へ変更。ファンにとっても残念な結果になってしまった。本人は出演を希望していたのはブログを見れば明白だった。
      • 現在この問題はクリアされたらしく、のちに発売された『仮面ライダー バトライド・ウォーII』では武田氏が声優として出演している。実際に移籍後もちょくちょくヴァンの話題をブログやニコ生で出していて2011年の現在の公式サイト開設当初からFF12の事は書かれている。2015年3月6日の公式ブログではFFの思い入れや変更当時の事などの他にディシディアのアーケード版の事を聞いて再びヴァンとして戻りたいという意思がある事を表明している。
      • しかし、ディシディアアーケードにおいても小野氏がヴァンの声として続投。さらに「ディシディアのヴァン役の小野賢章さんは代役ではなく交代としての起用であり、難しい状況の中受け入れてくれた小野さんと事務所様に対する敬意を含めた意味で今後もヴァンの声優としてはディシディアを含めて小野さんにお願いしたいと考えている」とプロデューサーの間一朗氏から明言までされた。
      • あくまで間氏の考えであり、今後武田氏のヴァン役としての起用がゼロになった訳ではなく、事実スマートフォンアプリゲーム『モンスターストライク』での『FFXII』とのコラボにおいてヴァンの声優は武田氏となっている。繰り返すが、あくまでディシディアシリーズ(及び間Pが携わった作品)でのみヴァンの声は小野氏になるというものだろう。
    • その後、HDリマスターにあたる『ファイナルファンタジーXII ゾディアックエイジ』では武田氏が再びヴァンを演じる事となった。ただし、基本的にはオリジナル版の音声をそのまま使っており、日本語音声が用意されていないインターナショナル版で追加されたシーンのみ再録を行っているとのこと。
      • 公式紹介PVではヴァンとパンネロの掛け合いでゲーム内容を解説していく内容だが、上記のオイヨイヨを意識したのかやたらヴァンの滑舌が良い事をアピールしている

最終更新:2021年10月12日 14:35

*1 ただし、開発者側であらかじめキャラの個性を用意しておいてほしい(またはそれを大事にしたい)、自身で育成の方向性を決めるのが苦手なプレイヤーにはこういったシステムは不評。

*2 サボテンダーやトンベリなどはシリーズを通してデザインが共通である

*3 例えば、今やイメージの固まったシリーズの代表的キャラクターであるチョコボですら、初出のFF2では10m程度の恐竜のような生物とされていた

*4 ゲーム中では説明されないシステムであり、正式な名称ではない。

*5 ヘイトソースとしては「時間攻撃」「歩数攻撃」「算術」などのわざが適している。これはダメージ自体は低い・不安定だが、敵対心増加量がたたかうより高く、かつ攻撃範囲があり複数の敵に攻撃できる(=敵対心を与えられる)ため。

*6 本作には敵の攻撃を集中させる状態異常「おとり」を付与する魔法「デコイ」が用意されている。ヘイト稼ぎ手段の欠如をある程度補完するものだが、厳密には敵対心増加とは別の処理であり、持続時間が短く効果が切れた途端に敵の矛先が変わりやすい、そもそも必中ではないなど癖があり、少々使いにくかった

*7 一応、ガンビット開放時にバルフレアが「『味方1人にポーションを使う』を最優先に設定すると“HPが減っているときは”延々とポーションを使い続けるお節介野郎になる」旨をさらりと述べてはいるが、この言い回しだけで仕様の全貌を正確に理解するのは無理がある

*8 スタッフ曰く「大国が悪なのはおかしい。国民が苦しみ、自分たちの国に誇りを持てないなら強大にはなれない。敵には敵なりの正義がある」とのこと

*9 「アーシェとバッシュは世間では死亡したことになっており、それを誤って公表したのが解放軍の長であるオンドール侯爵。もし表舞台に立って解放軍に協力すると、二人の死亡が嘘だと世間に知れわたり、侯爵が信用を失って解放軍の団結に支障をきたしてしまうため出来ない。そして侯爵に偽の情報を伝えて公表させたのが、帝国の司令官であり敵対勢力の代表的人物であるヴェインである

*10 亡国の王女であるアーシェと同国の将軍であったバッシュは「打倒帝国、祖国再興」を悲願とするが、その手段として強大な武力をどう扱うかなど、根本的な信念は異なっている。ヴァンも強い反帝国感情によって行動するが、政治的信条というよりは「戦争で兄を失った怒りや、懐柔された同郷人や無力な自分への苛立ちに起因する反骨」といった色合いである。パンネロはヴァンと同じ身分だが、強い反帝国感情を持つというよりヴァンの身を案じて同行している面が強い。バルフレアは帝国に同調するわけではないものの、単純な反帝国論を唱える立場でもなく、独自の信条に沿って行動している。フランに至っては純粋にバルフレアのパートナーであるに過ぎず、そもそも自発的に帝国と戦う動機がない

*11 ヴェーネスとは間接的に戦闘することになるが

*12 たとえば「オンドール公爵がアーシェとバッシュの死亡を公表しておきながら、生存が確認された際には匿うかと思いきや帝国へ引き渡す」といった展開は、大変複雑であり一見矛盾しているようにも見える。この時点ではオンドール、ヴェインやウォースラの立場や思惑などが作中で明言されているわけではない。設定資料まで参照して考え合わせれば辻褄が合う行動だと分かるが、本編だけを見てこれをリアルタイムで理解するのは大人でも非常に難しい

*13 武田氏の名誉のために補足すると、起用の理由は「ヴァンには先入観を持って接して欲しくないため、あえて無名の俳優を使った」というスタッフの前向きな意向であった。「見慣れない無名の役者を使って人物像をゼロから作りあげる」「声優以外を主演声優に大抜擢し、意外性で新鮮な風を吹き込む」という起用の仕方はゲームに限らず様々なフィクション作品によくある珍しくないパターン。そういった挑戦的姿勢は評価に値するものの、悪く言えば「未経験者が大作の大黒柱として一発当たるか否か」という博打でもあり、それが裏目に出てしまったと言える

*14 タイムアタックなど、分野によっては国内のやり込みのほうが進んでいる。

*15 ちなみに着色料に人工色素である青色1号が使われていたこともカルト的な話題となった。

*16 栄養ドリンクやサプリメントを混ぜた物が有名。

*17 もっとも本作から後の作品である『ファイナルファンタジー零式』ではPVなどでやたらと有名声優を表記しているため、一部からくどいと言われてもいる。

*18 抜擢された理由は本作のパッケージを飾ったから。そしてそのキャラも正確には人数合わせのゲストのようなものであり、元々DFFにはXII枠がなかったのである。