挑発

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挑発 - (2010/07/08 (木) 11:20:21) の編集履歴(バックアップ)


「オラオラ!」

「Hey!Come On!Come On!!」

「本気を出せ!」

格闘ゲームにおいて、キャラクターがとれる行動の一つ。多くのゲームに搭載されている。
大抵はワンボタンで発動でき、「かかってこい!」「それで全力か?」などの台詞と共に、手招き・嘲笑・アピールなどの動作をする。
作品によって出し方は異なるが、現在ではスタートボタンに割り当てられている事が多い。

基本的にメリットはなく、ただ隙を見せるだけの行為なので舐めプレイや魅せプレイでよく使用される。
ただしゲームによっては、ゲージを少しだけ回復する効果がついていたり、
攻撃判定があったり、相手のゲージを減らす効果がある挑発もあり、戦略的な意味合いを持つこともある。

なお対人戦においては、こうした挑発は「舐めプレイ」とみなされることが多く、あまり多用したりするとリアルファイト…までいかずとも、
相手に不快感を与える事があるのでなるべくほどほどにするか、身内同士の対戦のときのみにした方がいいだろう。
場合によっては対戦を盛り上げる要素にもなりうるので、時と場と空気を読んで使うことをオススメする。


作品における挑発の扱い

挑発をシステムとして初めて導入したタイトル。
「相手の気力ゲージを減少させる効果を持つ」ため、挑発は遠距離における立派な戦略行動の一つとなっている。
自分のゲージを溜める「気力溜め」に対応する位置付けにある重要システムで、挑発専用のボタンが割り当てられている。
また、挑発を用いたCPU戦パターン構築も龍虎の醍醐味のひとつ。
挑発行為に特別な付加価値を持たせるというスタイルは当時龍虎の専売特許のような印象もあってあまり普及しなかったが、
後に様々な形で見直されていく点を見ると、非常に先進的な発想だったと言える。

『龍虎の拳』の直後に稼動した『餓狼伝説2』からの登場。
相手と一定距離を取った時に強Pを押すことで出るが、こちらはシステム上特に影響のない、純粋な挑発行為となっている。
CPU戦で特定のキャラに挑発を行うと、確実に超必殺技が飛んでくるという小ネタが存在する程度。
続編でも位置付けは変わっていないが、『餓狼 MARK OF THE WOLVES』では通常の挑発とは別に
相手をKOした後にのみ出せる、専用の勝ち挑発が各キャラ2種類も用意されている。
当然リアルファイトの原因になりかねないため知らない人との対戦で出すのは厳禁だが、
かのぼ氏のドンファンなどは身内対戦でここぞとばかりに勝ち挑発を行い、果敢に変態ぶりをアピールしておられる。
MOWには同じく問題視されやすい行為として死体蹴りやタイムアップ後の殴り合いもあるが、
こちらはゲージを溜める戦略的な意味があるので許容される傾向にある。

コマンドは'94と'95では『餓狼伝説』方式、'96のみBC同時押し、以降はスタートボタンに割り当てられた。
ABC同時押しでパワー溜めが可能な、気力ゲージタイプのパワーゲージを採用している'94~'96では
『龍虎の拳』同様に挑発することで相手のゲージを減らすフィーチャーが取り入れられており、戦略的価値がある。
モード選択によってゲージタイプが変わるようになった'97ではただの挑発行為になったが、
'98では双方がEXモード('96以前のゲージタイプ)の場合のみ相手のゲージを減らすことが可能('98UMでは再び削除)。
'99以降はただの挑発行為になったが、例外的に2000のみストライカーボムの補充手段として意味を持っている。

新作が出るたびに独特なシステムを採用してきたシリーズだけあって、挑発も独特のものが揃う。
初登場は2作目の『真』で、ただの挑発行為ながらACorBD同時押しで全キャラに2種類ずつ用意されており、
キャラによってはさらに武器の有り無しで違う挑発が出るという芸の細かさ。
真サムにはこの他、やたら難解なコマンドを入れることで出る(しかもキャラごとに違う)特殊システム「ぬいぐるみ」が存在。
投げ無敵が付いていたりするので実戦的に使えなくもないが、雰囲気完全無視の見た目もあってこれも一種の挑発と言える。

4作目の『天草降臨』からは通常の挑発の代わりにスタートボタン3連打の「武器捨て挑発」が登場。
非常にモーションが長い上に、サムスピにおいて「武器を失う」ことは大幅な弱体化を意味するため、
ただの挑発にしては重すぎるペナルティである(特に天サムには即死コンボがゴロゴロあるので、自殺行為に等しい)。
しかし中には武器を捨てるモーションに攻撃判定があるリムルル風間蒼月
必殺技でキャンセルが可能なため誘いに使えるシャルロット、武器捨て挑発がある意味最終奥義な素手の方が強いヤツなど、
天サムではまるで実用性が無い訳でもなく、「断末奥義」の発生条件でもあるので敢えて狙うこともある。
また、長い動作中キャラの向きが完全に固定されるため、背面当て限定コンボを挑発+回り込みで容易に検証可能。
…世の中、何が役立つかわからないものである。
ちなみに2D最新作の『天下一剣客伝』では、通常の挑発と武器捨て挑発の両方が用意された。

さらに天サム~零SPでは「自決」も採用されているが、これは出した時点で100%死ぬため、挑発と言うより捨てゲー用
(天サムと零サムでは怒りゲージを溜める効果があるため、戦略的に使うこともある)。

以上のように、SNKは早い段階から積極的に挑発をゲームに組み込む姿勢を見せている。

カプコンが初めて挑発をゲームに組み込んだ作品だが、このときは「キャラ固有技」という位置付けで、
複雑なコマンドを入力しないと出ない(例:ウルヴァリンで小P・中K・中K・大P・中P)。
ただしサイロックだけはスタートボタンで出すことができ、しかも春麗の「ゴメンネ!」に先駆けて攻撃判定が付いていたりする。

初登場は『ストリートファイターZERO*1 で、これがカプコンが本格的に挑発を取り入れた最初の作品。
SNKと比べてかなり後発だが、ここから「スタートボタン=挑発」という格ゲーのお約束が生まれている。

ストリートファイターIII』(2nd~)ではPA(パーソナルアクション)という全キャラ共通の特殊行動として導入された。
一見すると普通の挑発だが、「次の攻撃の威力が上がる」、「次の攻撃のスタン値が増加」、中には「姿を消して見えなくなる」など、
PAを出すことによってキャラごとに異なる様々な効果が付加される。
挑発は「魅せプレイ」であると同時に、一種の「舐めプレイ」(勝ち挑発など)にもなるためリアルファイトの原因にもなっていたが、
これに実用価値を持たせることで戦略として許容させるのがカプコンの出した回答だったと言える。
とは言え、元が挑発なので得られる効果は微々たるものだったり、やたら使いづらいものが殆どである。
ただし、重ねがけすることで防御力が飛躍的に上昇するQ設置飛び道具として起き攻めに使えるダッドリーショーンなど、
実戦的にも十分に使用価値があるPAも存在し、PAは全て必殺技扱いで通常技をキャンセルして出すことが可能。
また、K.O.直後の僅かに動ける状態でもPAが出せるが、これに関しては明らかに勝ち挑発であり、
リアルファイトに発展する危険性が非常に高いため対人戦では決着以降のPAは出さないことが暗黙の了解となっている。
ちなみに家庭用移植版では、決着以降のPAを禁止に設定することが可能。

ストリートファイターIV』ではスタートボタンではなく強P+強Kになり、名前も「アピール」となったが、行動としてはただの挑発。
キャラ毎に複数の挑発が用意されており、カラー(コスチューム)と合わせてプレイヤーの個性をアピールする手段にもなっている。

3作目『ヴァンパイアセイヴァー』から「フレンドシップ」という名で登場。
両キャラクターがアナカリスの時に特殊な操作を行うことでアナカリスが踊りだしたり、
フェリシアで相手の近くで挑発すると相手に抱きつく(投げ技扱い、ダメージ0)、
ランダムにキメポーズを取るデミトリなど、キャラクターごとのお遊び要素として取り入れられている。
ちなみに『モータルコンバット』にも名前と使用目的が同じ「フレンドシップ」があるが、こちらはFINISH HIM!!!の一種。

2から普通の挑発が採用されており、ボタンを押す長さで通常技の強弱が決まる関係上、挑発専用のボタンも割り当てられている。
最終作『パーフェクト』では4ボタン制になったためコマンドがBC同時押しに変更されたが、
全キャラ共通でレバーニュートラル・前入れ・後ろ入れ・下入れで4種類の異なる挑発が出るという特筆すべきこだわりを見せる。
この挑発動作はいつでも中断・キャンセル可能なので、あえて釣りに使うということも可能。
さらに全員共通システムであるABC同時押しの「エクストラアタック」でもマッドマンシュラなどがエクストラ挑発を出せる他、
ブロッケンにいたってはガードポイント付き対空挑発攻撃が出せる。
あくまで普通の攻撃にしないあたりが、ADK魂というものなのだろう。

また、パーフェクトでは各キャラが固有のダッシュ攻撃が設定されているため、
普通はダッシュから直接ガード弾き攻撃やガードポイント攻撃を出すことはできないのだが、
「ダッシュを挑発でキャンセル>通常技」とする事でダッシュからスムーズにガード弾きやガードポイント技を出す事ができる。
挑発はガードでもキャンセルできるため、急停止として使うのが必須テクニックと言っても良い。

『闘婚 -Matrimelee-』にて「手合わせ」というシステムが登場。
一見普通の挑発だが、これに合わせて相手側が挑発を返すと「手合わせモード」に突入し、
画面に表示された通りにボタンを押していくミニゲームが始まる。これを受けないと相手のゲージが溜まってしまう。
手合わせモードでは両者が素早く正しいボタンを押すと相殺するが、どちらかが失敗すると微量のダメージが入る。
さらに手合わせモードのラスト1発は浮かせ技になっており、キャンセルして追撃を入れることができるためかなり重要。
ラスボスはこれを多用してゲージをモリモリ溜めていき、超必をばら撒く体勢を整えてくる。

挑発を行うと相手のテンションゲージが少し増える効果がある。
ただでさえ隙を晒す上にわずかとは言え相手をパワーアップさせてしまうため、真の意味での挑発行為と言える。
また、GGには「敬意」というもうひとつの挑発も存在。
文字通り「相手に敬意を示す」行動なため相手のテンションゲージが増える事は無く、いつでもすぐにキャンセルすることが可能。
これもPAなどと同様、相手を怒らせないようにアピールするための工夫である。
しかし、どれが挑発でどれが敬意なのか分らない人や、そもそも敬意の存在自体を知らない人にとっては挑発となんら変わらず、
テンションゲージが増えないことが逆に相手を不快にする恐れもあるので注意
チップは唾を吐き捨てた後「調子悪りぃ」等と発言したりするので、本気で挑発にしか見えない)。
一方で、こういったお遊び的なモーションが豊富なのも、キャラクター性を重視するGGならではである。
なお『♯RELOAD』以降の作品では、KO後に挑発を出すと勝ち挑発「RAKUSYO」と呼ばれるものになり、
次のラウンドで挑発された側のゲージが半分溜まってる状態から始まるシステムが組み込まれている。
これは完全な舐めプレイと取られることが多いので、空気を読んで使うか、一撃準備ぐらいにしておくことを推奨。

挑発を使用するとGGと同じように相手のゲージが溜まるのだが、その量がとんでもなく多い。
どれぐらい多いかというと、最大値2のオーラゲージと最大値3のブーストゲージがそれぞれ1本溜まる
(一応、使用することで無理やりキャンセルをかけることが可能だが、この世紀末ゲーではこのリスクは非常に大きい)。
ジャギに至っては「武器捨て挑発」でもあり、動きが大幅に制限され、「捨てた武器の上でダウンしている時のみ」使える技もある。
しかし、挑発全てが実戦とは無縁ではなく、ユダ等は挑発を利用した固めでハート様を詰ませることができ、
一部の即死コンボにはこの挑発を使用するものもある。
実戦外ではアーケードでゲージを使用したコンボ練習をするときに、ボタン一つでゲージが溜まることが有効活用されることもある。

  • 『ブレイブルー』シリーズ
相手のゲージ増加などの効果は無いため、純粋な挑発行為に近い。
ただし続編の『CONTINUUM SHIFT』では、CPU戦で挑発を行うとラウンド中一度のみパワーゲージがMAXになる効果があり、
ゲージを消費するコンボ練習が行いやすくなるというプラクティスモードを意識した機能として役目を果たしている。
また、タオカカの挑発には攻撃判定があるだけでなく、なんとコンボ補正が110%に設定されており、
これを組み込むことで高火力を生み出す「挑発コンボ」なるものが実戦投入されている。



対戦格闘全般においては、挑発という行動はプレイヤーのアピールであると同時に、キャラ付けにもよく用いられる要素である。
そのため、なかには挑発そのものが持ち味になっているキャラもいる。例えば・・・
  • 挑発自体が超必殺技として昇華されてしまったダン
  • KOF96で突如としてケツを出し、CVSでダンの対キャラ認定されたジョー東
  • 長時間かけて聞きたくもない豆知識を披露する霧島恭子
  • 原作中唯一攻撃判定を持つ上に、モーションもアレなルイージ
などがある。

一方MUGENキャラでは、存在自体が挑発に近いネタキャラというジャンルもあるせいか、「挑発が持ち味」というキャラはそう多くない。
敢えて挙げるならなんなんだアンタとかMr.師範D4霊夢あたりだろうか。


MUGENでの挑発

コモンステートとして必須な訳ではないが、KFMに倣ってState 195~199までを挑発に使用しているキャラが多い。
ただの挑発行為や、攻撃判定を持たせたり自分のステータスを変更させる程度なら再現は簡単だが、
「挑発で相手のゲージを減らす」というのはMUGEN仕様上難しく、再現するには相手キャラの協力が必要となる。

ニコニコMUGENでは基本的にAI戦がメインになっているため、挑発の出番は少ない……かと思いきや、
強すぎるAIだと味気なくなるためか、結構目にする機会は多かったりする。
特にダンは存在している全てのAIが暇さえあれば挑発しまくるため、視聴者からのウケが大変良い。
このため、挑発のしすぎでタッグの相方を見殺しにしたり、なくてもいい挑発をやったせいでとどめを刺されるようなケースもたまにある。
こういった場合、多くの視聴者の笑い(失笑か爆笑かはともかく)を誘うことになる。
また、サクラカ氏のAIは挑発の多用に定評がある。対人戦を想定し、敢えて付け込む隙を作っているそうな。

MUGENでは、決着後(RoundState=3)に行動できるかどうかは、fight.defファイルのover.waittimeの設定で決められる。
この数値が大きいほど決着後(RoundState=3)から勝利ポ-ズを取る(RoundState=4)までの間を長くできる。
その間に挑発を出せば、決着後以降に勝ち挑発が可能となっている。
もちろんであるが、挑発を出すにあたってはcmdファイルでRoundState=3でも出せる状態にすることが前提である。

最近では挑発こそ正義!いい時代になったものだ。トーナメントの影響で、
安全な状況で挑発を繰り返すキャラに対して「挑発トナメでやれ」とコメが付く事がある。


関連項目:勝ち挑発 ○作シリーズ ○作AI


*1 それ以前ではマッスルボマーシリーズで攻撃力が増加する「アピール」があるが、
これはプロレスゲームの性格上「観客に向かってアピールする」というものであり、挑発とは若干異なる。