NieR Re[in]carnation ストーリー資料館
草原の竜騎槍
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nier_rein
私はとある国の王子だった。国王である父親は、侵略と圧政を繰り返した末に我を失い、民や臣下までも虐殺し始めた。そして実の息子である私にもその牙は迫っていた。
私の寝室に現れた、父に忠誠を誓う飛べない竜。その竜の鱗はおびただしい血で濡れていた。竜の牙が迫る直前、垣間見えた瞳がやけに悲しげだったのを覚えている。
私は小さな荒屋で目を覚ました。私は竜によって国外へと逃がされ、命を救われたのだ。それから数日もたたず祖国は崩壊、父と竜が死んだことを知った。
あの日から何年もの時が過ぎた。私は庶民になり、妻と娘とともに幸せな日々を送っている。娘に話すのは王と竜の昔話。種族を超えて助け合い、最後までお互いを思い合った二人の幸せな物語だ。
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昔、飛べない竜がいた。荒々しい高潔な心を持つ彼は人間と交わることはなかった。だがある日、傷ついた若き騎士と一匹の竜が出会う。
竜は騎士を助けると、彼が目覚めるのを見届け、その場を立ち去ろうとした。翼のない竜は、役立たずと人に忌み嫌われていたからだ。
別れ際、騎士が言った。「この恩は生涯忘れない」
時が流れ、年老いた竜は人間の軍勢に取り囲まれる。竜が死を覚悟したその時……
「翼なき友よ!長く待たせたな!」あの時の騎士が国王となり、数千の兵と共に現れたのだ。
竜は忘れていた牙を剥き出しにして吼えた。
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王は老いていた。精悍だった眼差しからは光が失われ、逞しい体は見るも無惨に弛みきっている。
そして、老いるに従って身につけた虚栄や恐怖が、王の心を醜く蝕んでいた。
王は怖かった。だから守るべき領土を失わないように周辺諸国への侵略を繰り返した。
王は怖かった。国民の声も家臣の言う事も信用ならなかった。だから暴力と圧政で全てを奪い取ろうとした。
王に忠誠を尽くす竜が居る。
翼の無い竜は王の言う事なら何でも従った。彼は王に救われた恩義が故に、魂で報いる事を誓ったのだ。たとえそれが目に余る愚行でも、王の口から命じられたのであれば従った。竜にとって王は正義そのものだった。
ある日、竜が血まみれで王に謁見を申し出る。その血は幼い王子を暗殺した返り血だった。暗殺を命じたのは他ならぬ父王。竜は澱んだ目で王に願い出る。
貴公の命には逆らう訳にはいかない。だが、貴公の命に従う事ももう出来ない。殺してくれ。
そう言うと竜は力なくうなだれた。
それは昔話。数百年前に滅びた国の愚かな王と
翼の無い竜の物語。
草原には今も風が吹いていた。
王と竜が誓いを交わしたあの日と変わらず、風が吹いていた。
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NieR:Automata |
NieR:Automata
ボクは夢を見ていた。カレと会った日の事を。
カレは、小さく弱かった。
ボクも、世界が嫌いだった。
ボクはカレを助けた。
カレもボクを助けた。
気づくとボク達は友達になっていた。
もちろん、全部が上手くいった訳じゃない。
きっとどこかで間違えていたんだろう。
それでも、ボク達は友達だった。
この草原の風は青く、イイ匂いがする。
カレに頬を寄せると、くすぐったそうに身を捩る。
ボクは羽を広げ、カレを乗せて大空に舞い上がった。
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