-分類:短編小説 -初出:「週刊小説」1983年8月26日号 -雑誌時挿絵:中沢潮 -収録短編集:&bold(){『[[顔のない肖像画>顔のない肖像画(短編集)]]』} *あらすじ > そうです。窓にカーテンをひいた時からおかしいとは思ったんです。私は「あっカーテンそのままにしておいて下さい」って言ったのですから。病室にひとりでいると楽しみなんて何もなくて、その時刻ごろはぼんやり窓から外見てるんです。この六階の窓からは向かいの棟の屋上が見えますが、そこに鳩が来るので、その時も恰度、真っ白な鳩と烏みたいに黒い鳩が羽を絡ませていて、あの二羽は仲良く遊んでるのか、争ってるのかって、そんなことぼんやりと考えていました。ええ確かに四時を十分か十五分過ぎた時刻のことです。先生には私の声が聞こえなかったように思えました。そのままドアの把手に手をかけ出ていってしまう気配でしたから、私はベッドの上に起きあがり、自分の足で窓辺まで歩いていこうと思ったわけです。 病室で起きた患者のレイプ事件。だが、加害者は潔白を主張する。事件は本当にあったのか、それとも患者の狂言なのか? **登場人物 -&bold(){築田静子} --入院患者。レイプ事件の被害者。 -&bold(){築田雪子} --静子の妹。通訳。 -&bold(){村木修三} --医師。レイプ事件の加害者。 -&bold(){小沢典子} --看護婦。村木の婚約者。 -&bold(){島村タエ} --病院の食事係。 -&bold(){内藤久江} --看護婦。 -&bold(){山川} --医師。 -&bold(){藤原真輔} --六十になる癌患者。 *解題 (スタブ) ***掲載号「筆者の近況」より > 七月初め、お母さんが交通事故にあって三カ月の重傷。幸い治りが早く自宅療養ということだが、家事、洗濯など連城さんが一手引き受け。 >「看病も大変だけど、母がいままでやってくれていた家事をやらなくてはならないのが、いちばんこたえる」 > 重労働の主婦業と比較すれば小説執筆のほうが、はるかにラクだといわんばかりでありました。 **各種ランキング順位 -[[オールタイムベスト・連城三紀彦短編>http://togetter.com/li/742694]] &bold(){63位} **関連作品 -証言集形式の短編 --「[[前夜祭]]」(『[[前夜祭>前夜祭(短編集)]]』収録) --「[[喜劇女優]]」(『[[美女>美女(短編集)]]』収録) #comment