- 分類:短編小説
- 初出:「週刊小説」1983年8月26日号
- 雑誌時挿絵:中沢潮
- 収録短編集:『顔のない肖像画』
あらすじ
そうです。窓にカーテンをひいた時からおかしいとは思ったんです。私は「あっカーテンそのままにしておいて下さい」って言ったのですから。病室にひとりでいると楽しみなんて何もなくて、その時刻ごろはぼんやり窓から外見てるんです。この六階の窓からは向かいの棟の屋上が見えますが、そこに鳩が来るので、その時も恰度、真っ白な鳩と烏みたいに黒い鳩が羽を絡ませていて、あの二羽は仲良く遊んでるのか、争ってるのかって、そんなことぼんやりと考えていました。ええ確かに四時を十分か十五分過ぎた時刻のことです。先生には私の声が聞こえなかったように思えました。そのままドアの把手に手をかけ出ていってしまう気配でしたから、私はベッドの上に起きあがり、自分の足で窓辺まで歩いていこうと思ったわけです。
病室で起きた患者のレイプ事件。だが、加害者は潔白を主張する。事件は本当にあったのか、それとも患者の狂言なのか?
登場人物
- 築田静子
- 築田雪子
- 村木修三
- 小沢典子
- 島村タエ
- 内藤久江
- 山川
- 藤原真輔
解題
(スタブ)
掲載号「筆者の近況」より
七月初め、お母さんが交通事故にあって三カ月の重傷。幸い治りが早く自宅療養ということだが、家事、洗濯など連城さんが一手引き受け。
「看病も大変だけど、母がいままでやってくれていた家事をやらなくてはならないのが、いちばんこたえる」
重労働の主婦業と比較すれば小説執筆のほうが、はるかにラクだといわんばかりでありました。
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最終更新:2017年08月10日 14:59