- 分類:短編小説
- 初出:「小説推理」2005年2月号
- 雑誌時挿絵:未確認
- 収録短編集:『誰かヒロイン』(文庫版のみ)
あらすじ
窓を雨のしずくがつたっている。
ガラスが泣いているんだわ、私みたいに……それとも、醜い三十女の顔を映しだすのが恥ずかしくて冷や汗でも流しているってとこかしら。
あれから10年。良子と架世の元に、藤野英一の結婚式の招待状が届いた。鮎美も連れて三人は軽井沢に向かうが、道中では孫の幽霊と一緒に新幹線に乗る老女と出会い、さらに藤野の〝結婚式〟では闇の中を生首が飛ぶ……。
登場人物
- 彩羽良子
- 野川架世
- 宮原鮎美
- 藤野英一
- 石井夏枝
- 鷹野夫人
- 鷹野将
- 真弓
解題
長編『
誰かヒロイン』の10年後を描いたスピンオフ短編。100枚。
95年に刊行された本編から10年経って、「小説推理」誌上に突然発表された。
2009年に刊行された『
誰かヒロイン』双葉文庫版にボーナストラックとして追加収録。
シリーズキャラクターの起用は1冊限りの連作のみで、複数冊に渡って登場するシリーズキャラクターを持たず、過去作品のキャラの別作品での再登場ということも一切しなかった連城が、単行本刊行から10年後に突然スピンオフを書いた理由は不明である。ちなみに長編の方では主役三人組の苗字は書かれておらず、この短編で初めて書かれた(ただし架世は野川新兵と結婚して野川姓となっているため、長編の時点での旧姓は不明のまま)。
長編の方は恋愛小説だが、こちらのスピンオフは、グリーン車に現れた少年の幽霊と、教会で闇の中を飛ぶ光る生首という、島田荘司チックな謎をぶちあげるトリッキーな本格ミステリ短編。日本推理作家協会の年鑑アンソロジーにも収録された。
収録アンソロジー
- 日本推理作家協会編『事件の痕跡 最新ベスト・ミステリー』(2007年、カッパ・ノベルス)
- 日本推理作家協会編『事件の痕跡 日本ベストミステリー選集』(2012年、光文社文庫、上の文庫版)
関連作品
最終更新:2017年07月28日 01:05