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-本作は全編を通して''フルボイスの登場人物のセリフのみで進行''する。従って基本的に''画面上に文字は表示されない''。地の文はもちろん、セリフも字幕として表示されない(バックロールでは文字として読み返すことができる)。 -従来のノベルゲームが小説を読むのに近いプレイ感覚であったのに対し、本作はドラマや映画を鑑賞しているような感覚となる。このため、物語の鑑賞に集中し、キャラクターの声の演技などに注目して楽しむことができる。 -プレイヤーの分身となる主人公は、喋らず、名前もない、いわばドラクエ式の主人公。このため「ロールプレイングドラマ」というジャンル名の通り、キャラクターたちと実際に会話しながら、物語に参加しているような感覚を味わえる。 ''ジブリスタッフ製作のアニメで描かれる世界'' -映像は全編アニメ絵で描かれる。キャラクターデザインはスタジオジブリのアニメ映画『猫の恩返し』で知られる森川聡子。その他スタッフもスタジオジブリの面々が担当した。 -絵柄はデフォルメが少ない比較的リアル寄りのデザインなので、ドラマ『金八先生』のイメージを崩しておらず、アニメ絵に馴染みがない・抵抗があるプレイヤーにも受け要られやすい。 -非現実的な髪の色など派手なマンガ的特徴があるキャラクターはいないため一見地味に見えるが、各キャラクターは繊細に書き分けられており、ジブリスタッフ製作だけあってグラフィックの質はかなり高レベル。 ''シナリオ'' -オムニバス形式であり、連続ドラマのように「第○話」と話数分けされている。1話終了ごとに「次回予告」と称するムービーも入る((ここは『428』に受け継がれている要素の一つ。))。 -各シナリオは「不登校」「いじめ」といった教師ものとして定番の題材を始め、軽いコミカルなものから重たいシリアスなものまでバリエーションが広い。 -シナリオごとにクローズアップされる生徒が変わり、プレイを進めていく事に思い入れのあるキャラクターが増えていく形式である。 ''ゲームの流れ'' -オーソドックスなアドベンチャーと同様、マップを移動する移動パートと、キャラクターとの会話パートの2つにわけられる。 -移動パートでは学校内や街など移動できる場所とそこにいるキャラクターのアイコンが表示され、選択して移動すると会話パートに移行する。 --移動すると日数(ターン)が進行し、期限の日までにシナリオの問題を解決できないとバッドエンド(ゲームオーバー)となる。 -会話パートではフラグに応じてキャラクターとのイベントが起こる。 --本作では会話パートの応答には、選択肢ではなく「''イベントカード''」を使う。 ---イベントカードはゲームを進行すると貰える、キーワードの書かれたカードであり、これを会話時に使うことによって異なる反応が得られる。 ---たとえば「よろしく!」カードを使うと自己紹介をしてもらえ、「不登校の太陽」カードだと不登校の男子生徒についての情報が得られるなど。 ---同じカードでも使う相手によって反応が異なる。一見無関係なカードであっても、思わぬ反応を見せてくれる相手もいる。 -周回方式であり、初回のクリアではすべての物語を見ることができない。2週目では新しいシナリオの他に、すでにクリアしたシナリオを同時に攻略することができる「ザッピング」というシステムがある。 ''才能開花'' -シナリオの進行とは別に、生徒に話しかけることで行うことができるやりこみ要素。シナリオクリアなどで手に入る「''才能カード''」(イベントカードとは別物。「国語」「勇気」「自立」「医学」といった単語のカード)を使ってチャートを埋めていき、生徒の才能を開花させる。最終的には生徒がなれる様々な職業が可能性として描かれる。 --ゲーム性は無い単なるおまけ要素であるが、プレイヤーである教師とのやり取りを通じて生徒が成長する姿を(間接的にではあるが)見ることができるのは教師もののゲームとして嬉しい部分であり、生徒の未来が広がっていく光景はなかなか感動的。また才能開花のチャートをすべて埋めた生徒はエンディングで「仰げば尊し」を唄ってくれるという憎い演出もある。すべての生徒をコンプリートすると、全生徒による大合唱が聴ける。 ''金八はあまり関係ない'' -主人公は金八先生の代理でサクラ中学に赴任するという設定であり、武田鉄矢演じる金八先生やドラマ版の名物脇役である大森巡査も登場するが、ストーリー的な関係はほとんどない。 --したがって原作に興味がない・好きではないプレイヤーでも問題なくプレイできる。 -金八先生は作中''ずっと病院で療養しているだけ''である。病院を訪れると攻略のヒントや教師としてのアドバイスを貰えるが、序盤を除いてストーリー進行には関わらないので影は薄い。 --もっとも金八ボイスはたっぷり聴くことができ、クリア後にドラマで発せられた名言の数々を聴けるシステムがあるなど、原作ファンへのサービス要素はある。 -元々『金八先生』に無関係なオリジナル作品として開発されていた後に、マーケティング他の理由から金八の名を冠することとなった、という経緯の故である。 --本作の携帯アプリ版はタイトルから『3年B組金八先生』のタイトルが削られており、金八先生と大森巡査は別のキャラに置き換えられている。 ''完全版'' -発売から約1年後に完全版が発売された。2つの追加シナリオが収録されている。 --これらは通常版にも内部データとして残されていた没シナリオである。通常版に収録されなかった理由は、CERO審査に引っかかってしまうためだったと開発者が語っている。 --セーブデータの互換性はないので注意。 **問題点 ''シナリオが微妙'' -ノベルゲームの肝であるシナリオがイマイチ。 --シナリオの多くは紋切り型な「無理解な大人」と生徒の対立構造であり、ワンパターンな印象を受ける。主人公をやたら敵視する嫌味な教頭など類型的な悪役も多いため、イライラさせられる。 --生徒が特に証拠もなく犯罪の濡れ衣を被せられるなど非現実的な展開も引っかかる。 --一方で展開や設定は地味なものが多く、先を読みたいという求心力に欠ける。 -主人公は喋らない設定のため、物語に能動的に関わりづらい。 --主人公=プレイヤーのおかげで問題が解決したという印象が薄く、生徒たちの物語を「ただ傍観していた」だけという感じになりがちである。 --「ロールプレイングドラマ」としてプレイヤーの感情移入の余地を残した結果だが、全編フルボイスのゲーム性と上手く噛み合っているかは微妙。 -生徒が「主役回」以外では影が薄い。 --そのシナリオでクローズアップされる生徒の種類がはっきり決まっているので、それ以外の生徒は基本的に蚊帳の外になってしまう。 --せっかく生徒の問題を解決したのに、それ以外のシナリオではまた他人のようにそっけなくなってしまう態度に違和感を覚えたプレイヤーもいる。 --これは後述のザッピングの影響で、どのシナリオをこの周回でプレイしたかに関わらず帳尻を合わせるための仕様と思われる。 --せっかくのキャラクターの多さが群像劇としてあまり活かせてないのは残念。 -暗い雰囲気の最終シナリオ。 --最終話ではそれまでとは雰囲気が変わり、不気味な謎の美術教師「桐谷」をめぐるシリアスな展開となる。自殺未遂やマインドコントロールなど、終始暗い雰囲気のサイコサスペンス的なシナリオであり、やや好みが別れる。 --このシナリオでは主人公の経験した重たい過去が重要な要素として語られるのだが、「喋らない無個性主人公」との相性はやはり良くない。 --またこのシナリオは1周目では問題を解決に導くことができず、もやもやした気分のままエンディングである卒業式を迎えることになる((『かまいたちの夜2』で指摘されていたのに近い問題点である。))。2週目以降に真のエンディングを見ることができるが、それも他のシナリオと同様、なんとも地味ですっきりしない終わり方であり、消化不良気味。 -問題の多い追加シナリオ。 --完全版で追加された2本のシナリオだが、元々没シナリオであったためか、色々と問題がある。 #region(追加シナリオ1『人にやさしく』の問題点ネタバレ) -このシナリオではなんと「''喋るロボット''」が登場する。基本的にリアルな現代日本を舞台にした作品であるため、突飛なSF要素は作中でもかなり浮いている。 -序盤はイジめられっ子の男子生徒とロボットの交流が描かれる、ハートフルな話のようだが、話が進むに連れて展開がきな臭くなっていく。 -このロボットはクラスで「イジめられる」スケープゴートの役割として開発されたという事実が明かされる。まるで『世にも奇妙な物語』の1編のようなオチである。 -思い入れのある生徒たちがロボットを虐める姿を見るのは心苦しく、ショックだったという意見も多い。結末の後味も悪く、賛否が分かれるシナリオになっている。 #endregion #region(追加シナリオ2『社会科教師の異常な愛情』の問題点ネタバレ) -社会科の教師が女子中学生に執拗にストーカー行為を働き、果ては監禁までするという内容なのに''最後は唐突なギャグ展開でお茶を濁して終わってしまう''。彼はその後のシナリオでも何食わぬ顔をして登場する為、お咎め無しだったらしい。 --人質にされた生徒の両親は現場に駆け付けていたはずなのに、''すぐ登場しなくなる''。人質が解放されても両親はまったく画面に出てこない。 --そして冒頭で起こった植木鉢落下による生徒の負傷事件は、''すぐに忘れ去られ、それっきり有耶無耶のままとなる''。立派な傷害事件、というより''未必の故意による殺人未遂''なのだが。 --このエピソードは通常版では没シナリオだったわけだが、''整合性を取る前に没が決まって未完成のまま収録したのでは''とすら思える。 #endregion ''アドベンチャーゲームとしての難易度の低さ'' -ゲームとしての難易度は低い。基本的にそのシナリオの主人公となっているキャラクターのいる場所に移動すればストーリーは進むため、推理などをする楽しみが無い。イベントカードの数も限られているので、総当たりの手間も少ない。 ''フルボイスゆえのテンポの悪さ'' -未読のボイスはスキップできないので自分のタイミングで読み進めることが出来ない。操作が可能になってもまたすぐにボイスになるのでプレイのテンポは良くない。 -プレイの大時間が「ボイスを聴いている時間」であり、ある意味で『MGS4』以上の「ムービーゲー」だとも言える。 -生徒の朝の挨拶シーンは、初見のものでもスキップできるのだが、やはり3パートに分割されていて1パートずつしか飛ばせない為、「ロード→デモ再生」が3連発で発生するため煩わしい。 ''ザッピングの意味の無さ'' -『街』『428』と同様の名を冠したザッピングシステムが搭載されているが、本作のザッピングは単に「同時期に起こる2つ(もしくは3つ)のシナリオを同時に攻略する」というだけのものであり、『街』等のシステムとはまったく異なる。 -第4話の「連弾」と『鉄ちゃんの恋』を除き、シナリオ間に関連などは全く無く、『街』の醍醐味であった、ある選択肢が別の登場人物の運命を変えるというようなシステムではない。 -単に攻略のスケジュールがややタイトになるだけで、それでも難易度はあまり高くない。 ''才能開花システムの細かい問題'' -主役を務めるシナリオをクリア済みである生徒にしか行う事ができない。また周回プレイ時も、その生徒が主役のシナリオでは行えなくなる。 --コンプリートするには、才能開花のためだけに何周もプレイを繰り返さなければならない。もっとも既読ムービーはスキップできるので致命的な手間というほどではないが。 --ラストの2シナリオは才能開花自体が行えない。行動回数が余ることが多いため、ここで才能開花させてくれればちょうど良かったのだが……。 -才能開花のチャートを進めると、到達した職業ごとにミニイラストが見られる。キャラクターが職業の衣装に扮装した可愛らしいイラストなのだが、そのキャラクターの才能開花をすべて終わらせてしまうと、才能開花モードに入れなくなるので、イラストを見る手段がなくなってしまう。出来が良いイラストだけに勿体無い。 ''『金八先生』と冠したデメリット'' -有名ドラマの名前をつけたことにより話題性は増えたが、逆に『金八先生』のゲーム化なのか、と内容を誤解したり、『金八先生』の名前だけで敬遠してしまったりというマイナス面も生まれてしまった。 -金八先生といえば誰でも実写ドラマを連想するのに、内容はアニメ絵、というのもチグハグな印象を受けてしまう。 -ゲーム内容が一切わからないパッケージといい、販売戦略は微妙な結果になってしまった。 --完全版ではアニメ絵が全面に出たパッケージになった。 -OP・EDの『贈る言葉』を歌っているのが海援隊ではなく上戸彩氏。 --原曲にした場合「何で金八先生が主人公じゃないの?」なんて意見が生じる可能性もある。金八先生が脇役である以上、原曲は下手に流せないのだろう。 --なお、上戸氏はドラマ第6シリーズで主役級の生徒・鶴本直を演じているため、安易なタイアップと言う訳ではない。 -進行不能になる不具合 --6月16日に、あるイベントを見ないと翌日にバッドエンドになるのだが、''そのイベントを見ずに翌日に進めてもセーブできてしまう''。当然詰む。 **総評 『金八先生』とのコラボ、アニメ絵で全編フルボイス、とこれまでのチュンソフトサウンドノベルの概念を打ち破り、「ロールプレイングドラマ」という新しいジャンルを切り開こうとした意欲作である。 普通のノベルゲームやアドベンチャーゲームと比べるとやや戸惑うかもしれないプレイ感覚だが、アニメ絵のクオリティは高く、アドベンチャーゲームとしても及第点の出来なので、あまりゲームをやったことがないというプレイヤーにも楽しめるだろう。 一方でシナリオの印象が薄かったりザッピングがあまりに無意味だったりと、密度や完成度の低さは否めない。 攻略本のスタッフコメントによれば、本作はサウンドノベルシリーズで言えば『[[弟切草]]』に当たる存在であり、この後も本作と同ジャンルのソフトを次々と出していく構想だったようだが、結局本作のみに終わってしまった((ただしセリフ部分のフルボイスというシステムは『[[忌火起草]]』に引き継がれた。))ことからも、大成功の作品とは言い難い。

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