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タイムクライシス3 - (2020/03/27 (金) 09:16:27) の1つ前との変更点

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#contents() ---- *タイムクライシス3 【たいむくらいしす すりー】 |ジャンル|ガンシューティング|~| |対応機種|アーケード(SYSTEM246)|~| |発売元|ナムコ|~| |開発元|ネクステック|~| |稼働開始日|2003年|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|''前作から武器セレクトを追加''&Br;B級映画的な派手さは更に増した&Br;軍事色・現実味のあるストーリー|~| |>|>|CENTER:''[[タイムクライシスシリーズリンク>タイムクライシスシリーズ]]''| ---- **概要 ガンシューティングの人気シリーズ『[[タイムクライシス]]』シリーズの3作目。~ 開発がナムコからネクステックへ切り替わったと共に、新たな路線へと歩み始めた新世代作。 前作『[[2>タイムクライシス2]]』から多数の新システムを追加し、前作に続く大ヒットを記録した。 ---- **ストーリー >地中海沿岸の小国「ルカノ」の領土「アスティゴス島」が、ルカノとは領土・独立問題で長年対立関係にある軍事大国「ザゴリアス連邦」に軍事占領された。~ 「ルカノは連邦の領土で、これは反乱を鎮圧する正義の戦いである」と称する連邦の最高司令官ジオルジョ・ゾット将軍は、圧倒的な軍事力でルカノ独立解放軍の掃討を開始。~ これを問題視した国連は多国籍軍による介入を検討するも、島は地中海沿岸各国の利害が混在していた為に調整が難航、計画は事実上頓挫してしまった。 > >それから3ヵ月後、連邦によって島の8割を占領された中、ルカノ独立解放軍は「連邦が島の古城に基地を建設、ルカノ攻撃用と目される弾道ミサイルを配備した」との情報を入手。~ 解放軍司令官ダニエル・ウィンストンはミサイル破壊の為、副官のジェイク・ヘルナンデスや部下と共に基地へ潜入したが、ジェイクの裏切りによって彼らは捕らえられてしまう。~ ダニエル等の身柄と引換に降伏を要求してきた連邦に対し、ダニエルの妹である狙撃手アリシア・ウィンストンは、彼らの救出とミサイルを破壊すべく島へ単身潜入。~ その道中でミサイルに核弾頭が搭載されている事を知った彼女は、この一件を調査していた欧州連合(EU)の国際諜報機関「VSSE」に情報を送信・サポートを要請した。~ 情報を受けたVSSEは核ミサイルの存在を「当事国間の他、周辺国にも大きな脅威をもたらす」と判断、若手コンビのアラン・ダナウェイとウェズリー・ランバートを島へ派遣した…。 ---- **ゲームシステム ''「ペダル操作(遮蔽物に隠れる)を駆使して、アクションポイント内の敵を40秒内に倒して進んでいく」''というシリーズのコンセプトを踏襲。~ 前作の基本システムはそのままに、今作では2つの新要素が追加された。 -''武器チェンジ機能'' --今作から装弾数9発のハンドガンの他、連射が効く「マシンガン」(200発)、攻撃範囲の広い((ハンドガン1発分のダメージを与える弾を5発同時に発射。))「ショットガン」(50発)、威力と攻撃範囲に優れる((直撃させた敵にはハンドガン30発分のダメージを与え、更に着弾後の爆風によって周辺の敵にもハンドガン1発分のダメージを与える。))切り札「グレネード」(5発)が追加された。 ---武器の切替にはペダルを放した状態でトリガーを引き、弾数が尽きなければリロードも不要。弾の補充には黄色い服の敵兵を撃った分(最大3回)補充される。 --これにより、初心者はゴリ押しや爽快感の高いプレイが可能となり、上級者は状況に応じて武器を切り替えて有利に戦う・ヒット数を稼ぐといった戦略性が生まれた。 -敵兵 --敵兵士に関しては、命中率が高い敵兵は「赤」・倒すとボーナス要素(サブウェポンの弾補充)の敵兵は「黄」を基調色とする点はそのまま。~ ただ、敵組織が一国の軍隊となった為か、一般兵の色はオリーブ色に変わり、乗り物もジープ・VTOL機・バイク・潜水艦・戦車とミリタリー色が増した。~ 一方で「ナイフ兵」は『1』から復活した「爪兵」と、斧の投擲を行う青服の「斧兵」に分割され、「隊長兵」は廃止された。 --外伝作の『[[クライシスゾーン]]』と同様の''耐久力のある敵兵が追加''され、「爪兵」「マシンガン兵」・新キャラの「火炎放射兵」がその座を担当。~ これらの兵士やボスには撃った後に頭上に緑色、乗り物類では赤色のライフゲージが表示される。 -ガンコンの照準検知方式が変更 --前作までの走査線方式から、『クライシスゾーン』と同じ筐体内のCCDカメラ((SD筐体では筐体上部、DX筐体ではガンホルダー部の裏に設置。))でガンコンの赤外線を読み取る方式へ変更。~ それに伴い、トリガーを引いた際に画面が白く光らなくなった為、より快適にプレイ可能となった。 ---但し、PS2版のガンコン2は旧来の走査線方式の為、トリガーを引くと画面が光る。マシンガン使用時は相当に白くなってしまう。 --ただし、前作に存在したゲーム開始時の隠しコマンドでプレイヤー自らが照準調整できる「ガンアジャストモード」が削除されている。詳細は問題点欄に後述。 -この他、従来は1つのステージで地続きだったエリアが完全に分割された --従来作ではリザルト後に主人公はそのまま次エリアへ移動していたが、今作からはリザルト後にムービー兼ロードを挟むようになった((恐らくは基板のメディアがROMからDVDへと変わった都合と思われる。))。 --前作の1人プレイ時のみの要素だったルート分岐の要素も削除され、キャラ毎に固定のルートで進むようになった。 ***ステージについて #region(ステージ情報) -''ステージ1'' --午前8時。アスティゴス島の「マラノビーチ」に釣り客として接近、連邦の臨検を爆弾で吹き飛ばし、水上バイクで強行上陸したアランとウェズリー。~ 2人は岩礁・砂浜の塹壕で連邦軍と大銃撃戦を繰り広げながら防衛線を突破するも、廃棄された貨物船に追い込まれ、更に爆撃を受けて船が横転、窮地に陥る。~ 脱出を試みる2人はミサイル攻撃を受ける寸前でジープを駆る謎の女性兵士(アリシア)に救われ、そのまま連邦軍との壮絶なカーチェイスを繰り広げる…。 ---中ボスとしてエリア1にて塹壕に設置された巨大砲台兼前線基地が登場。 --ストーリー同様、もはや戦争ものの雰囲気となっているが、避けなければならない・撃てば敵を全滅できる背景物といった基本要素紹介は忘れられていない。 --ボスは巨大ティルトローター機を操るゴリマッチョの赤毛の巨漢、ビクター・ザン。 -''ステージ2'' --無事追っ手を撃破した3人。町への移動中、VSSEの2人はアリシアから兄ダニエルの存在と彼が率いる解放軍部隊がミサイル破壊の任務中に捕らわれた事を聞く。~ その後町に着いた3人だが、アリシアが山間の連邦基地への移動手段は15時発の貨物列車しかないという事を教えている最中、連邦軍の攻撃を受けて分断されてしまう。~ アリシアと列車で落ち合う事を約束した2人は町外れの貨物集積所を目指し、道中で前線基地へと迷い込むトラブルがありつつも、敵を蹴散らし進んでいく。~ 連邦軍の猛攻を切り抜けた3人は、VSSEが列車の中ほど、アリシアが後部に乗車するも、連邦軍が仕掛けた罠によって列車は谷底に落下しそうになる。 ---中ボスとしてエリア1にてマシンガン兵が運転するバイク部隊、エリア2にて武装潜水艇が登場。 --市街地戦のエリア1では、近距離・高低差戦や『クライシスゾーン』を髣髴とさせる小物破壊、エリア3では前作とはまた違った列車での戦闘が楽しめる。 --ボスは連邦軍に雇われた殺し屋で全身真っ赤のキザな爪男ランディー・ギャレットと、彼が率いる部下の黄色い爪兵。 -''ステージ3'' --3人はランディーら連邦軍を倒すも、貨物列車はランディーによって破壊されてしまった。3人は徒歩で連邦の基地となっている古城に辿り着く。~ そこでゾット将軍に尋問を受けるダニエルを発見、VSSEは敵陣に突入・アリシアは狙撃地点へ移動、2手に分かれてダニエル救出とミサイル破壊を目指す。 ---中ボスとしてエリア1にてシリーズおなじみのワイルド・ドッグと彼が新たに従えた弟子ワイルド・ファングの2人が登場。 --最終面らしくエリア1には弾速が非常に速い戦車が登場、エリア2では全編に渡って不意打ちのオンパレードと、シリーズ中でもかなりの難易度を誇る。 --ボスは連邦の最高司令官ジオルジョ・ゾット将軍と、彼が率いる大量の部下・3台のプラズマ兵器搭載車。 #endregion ---- **評価点 -''前作から進化した爽快感'' --サブウェポンが追加された事で、並居る敵兵をなぎ倒したり、大量の敵や装甲の厚い敵に対してグレネードで一掃等と、爽快感が大幅に強化された。~ 各所で配置されている撃つと敵を全滅できる爆発物や、対乗り物戦のシチュエーションもかなり増やされているのもそれに拍車をかけている。 --前作から恒例の乗り物ステージも、字面では前作と類似したカーチェイス・列車上だが、実際は大変更が加えられており、新鮮さは失われていない。 -''魅力的なキャラクター達'' --開発が変わったという事もあってか、キャラクター達は味方・敵共に前作から「美形」化が進行し、性格面でも従来とは違った特徴が付けられた。 --主人公のアランとウェズリーはそれぞれ明朗・冷静という正反対な性格付けがなされ、エリア間のムービーでは妙に相性の良い掛け合いを見せてくれる。~ 前作のキースとロバートは共に冷静な性格で台詞も少なかったが、今作以降、主人公の2人には今作と同様のキャラ付けと掛け合いが行われるようになった。 --ヒロインのアリシアは捕らわれた兄を助けようと奮闘する「戦う強い女性」という、従来作とは真逆の設定((ディレクターの薩川氏曰く、従来作でのヒロインが「さらわれて最後に出てくるだけだったので変えたかった」と発言している。アリシア自身も当初は「リーダーが兄なので安全な医療班に回されていた」が祖国を救いたい一心から格闘と射撃術を身につけ解放軍きってのスナイパーになっている。))としたのもユーザーに高評価を受けた。 ---更にPS2版の「ヒロインシナリオ」では類稀な格闘技術を披露し、VSSE側と同等数の連邦軍兵士や戦車を単身で相手にしていた事が判明した為、~ 後述の武器成長システムも相まって「主人公の男2人より強いのでは」「『1』のリチャード並の最強主人公」と畏れられたりと、特にユーザーに愛されたキャラと言えるだろう。 --敵でも新登場のワイルド・ファングは、紫系の服・寿司ネタが描かれた白ネクタイ((タマゴやエビ、かっぱ巻きなどが描かれている。続編での暴走族やバブル期のロッカー風のスタイルといい、日本文化が好きな設定なのだろうか。))に金髪という派手な外見もさることながら、~ 攻撃法は銃撃に『1』での師匠ワイルド・ドッグを髣髴とさせるキック&物の蹴り飛ばしという新旧織り交ぜた派手なもので、何れもマンネリ打破として評価された。 ---ただ不幸な事に、続編では裏話のみの登場となったり、師匠ともどもイロモノ路線を突き進む等、今作での扱いや面影がほぼ無くなってしまうのだが… --ラスボスであるジオルジョ・ゾット将軍も、カリスマ指導者という設定らしく、佇まいはダンディな顔に紺色の肩当付軍服・武器に黄金の拳銃という威厳あるもの。~ 一方で射撃・格闘戦の達人で、最終決戦では部下の協力を得ながらもVSSE相手にマシンガンと軍刀を持ち、残像が出るほどのあり得ない動きで真っ向から挑み、~ 最後は4連ロケットランチャー二丁持ちというインパクトある戦いを見せ、最期は核ミサイル発射を成功させたりと、最期まで主人公達を苦しませる点も評価された。 -''非常にバラエティに富んだステージと敵達'' --それぞれ「海岸の防衛線と塹壕」「難破船内部」「エーゲ海風の町」「河」「走行・落下寸前の貨物列車」「火災が起きた基地内」と個性的なシチュエーションでの戦いが多くなった。 ---ゲームのボリューム自体も、前作の2倍にまで増加。プレイ時間も約15~20分から約25~30分となった為、体力に自信が無い人がプレイし辛くなったのは若干ながら賛否両論点か。 --兵士も『1』の「MOZ」のリメイクと言える爪兵や潜水兵、火炎放射兵と外見・戦い方を含めてかなり個性的な兵士が登場、~ 実質1つのステージとなったエリアの最後も砲台・ガンシップ・潜水艇等、「巨大or大量の敵と戦う」状況が多数となり、違和感無く纏める事に成功している。 -従来作と同様、ゲームに見事マッチした迫力あるサウンド --作曲者はナムコの中村和宏氏からネクステック所属の三浦健氏、基板も生音を流せるDVDへと切り替わったが、従来の「ハリウッド風オーケストラ」メインの作風は見事に受け継がれている。~ 特定のフレーズを他の曲で使ったり、一部のステージでは激しさもあるロック調のBGMといったお約束も引き継がれており、何れの音楽も高評価である。 ---唯一、ワイルド・ドッグのテーマは三浦氏による新フレーズが随所に織り込まれた派手なアレンジとなっており、こちらもワイルド師弟・戦場となる夕陽の古城に合っていてかなり好評。 ---エリアクリア・ダメージ音・カウントダウン音は前作のアーケード版、「WAIT」表示の音はPS2版のものが流用されており、「シリーズ共通の音」として引き継がれている。 -軍事色が強く、現実味のあるストーリー設定 --従来の「誘拐」「世界征服」といった悪く言えば「ありがち」な設定から、『領土および独立問題・軍事国家の脅威』という、現在から見てもかなりシビアな問題が主軸となっている。~ その為、ゲームとして見栄えする「巨大武装ヘリ」「戦車」等を導入しながら、『B級』的なノリが気に入らなかった人も、ストーリー面で違和感を軽減する事に成功したと言えるだろう。 ---[[ディレクターの薩川隆史氏のインタビュー>http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/0706/18/news012.html]]によると、今作のストーリーには『民族紛争と大量破壊兵器の拡散』という意図もあるらしい。 ---作中の国は勿論架空だが、[[公式設定の地図>https://game.watch.impress.co.jp/docs/20030131/tc303.htm]]は、実際でも領土・領海問題が頻発しているエーゲ海周辺のそれを意識したものになっている。 ---- **賛否両論点 -''更に進んだ『B級』的なノリ'' --『2』を境にB級アクション洋画のノリを強めたシリーズだが、その傾向は健在。今作では主に敵の人外化やギャグ的な描写が進化。賛否の分かれる要因となっている。 --まず''一部敵の動きが明らかにありえない''ものがある。爪兵・ランディーやワイルド師弟の重力を無視した回転突撃・大ジャンプ、ゾット将軍の残像が出る高速移動が該当。 ---ゾット将軍の残像移動に関しては、『[[5>タイムクライシス5]]』で主人公含むVSSEのエージェント達も平然と行っており、この世界では大した事では無いと言う事が明白になってしまった。 --VSSEの2人は、''殆どの行為が行き当たりばったり。''1面でも激しい弾幕の中を水上バイクで強行上陸→敵に追われたので廃貨物船に逃げる→窮地に陥るがアリシアに寸前で助けられる…~ と、全ての出来事が偶然・運頼みで突っ走っている。2-2のムービーでは2人とも相方が正しい道を行っていると勘違いして基地に迷い込む等、完全にギャグ演出として使われている。 ---2-2のムービーで敵の威嚇射撃を受けた際、アランは「どうやらこっちで正解のようだな」と言っているが、連邦は既に島の8割を占領している設定なので、やはりギャグである。 ---一応、2人の無計画っぷりについては、PS2版「ヒロインシナリオ」でVSSEの司令官がアリシアに「2人は極秘行動中で一切の連絡ができない」と遠回しに説明されてはいるが…。 -一部シーンで露骨に邪魔な味方 --2Pプレイを実装した前作同様、難易度調整の一環として相方のキャラ((1P側なら2Pキャラ、2P側なら1Pキャラ。))がプレイヤーの射線を邪魔する形で画面に登場するシーンが幾つかある。~ 今作で問題なのは、前作よりも邪魔するシーンが少なくなった分より露骨に射線に入るようになった事。特に1-1終盤から2-1は敵にほぼ重なるシーンが両者にある為、かなり誤射しやすい。 ---NPCのアリシアにもその仕様が適用されており、誤射で5000点も減点されるが、登場は1-3のみ・かつ誤射しづらいジープの運転席にいる為、こちらは問題にはなっていない。 ---- **問題点 -''シリーズ中でも厳しめな難易度曲線'' --プレイヤーを苦しめる難所や強敵が、今作では比較的多めに用意されており、ナンバリング作でも難易度は『1』に次いで高いと称される。 ---1-1の時点で敵兵との距離が近いシーンが多く用意されており、以降も全編に渡って突発的に撃たれた命中弾に反応できずに被弾というミスが起こりやすい。~ その上でステージ2以降は赤兵の不意打ちが2・3回ある他、3-2は視界が悪い火災中の屋内で画面端からの赤兵の不意打ちが5回もあり、その難しさは語り草となるほど。 ---ラスボスのゾット将軍も、マシンガンで命中弾を高頻度で連発したり、立ち止まったと思ったらいきなり目の前へ瞬間移動して軍刀で斬りかかってきたりと動きに隙が少ない。~ 当然その間にも、巧妙に配置された敵兵やプラズマ兵器搭載車からのいやらしい攻撃が入る為、ファンの間では「歴代シリーズ中で最強のラスボス」との声が多い。 --一応、回避が出来るこのシリーズ中では難しめなだけで、一般的なガンシューティングゲームとして見れば、難易度曲線のさじ加減はきっちりと保たれている。~ 多くの難所は腕前の上達で突破出来るようになっている。サブウェポンの弾を落とす黄兵も適度に出現するので、サブウェポンでゴリ押しが効く場面も多い。 -ガンコンの照準検知方式が変更されたことによる弊害 --『クライシスゾーン』から引き続き採用された「CCDカメラによる赤外線検知方式」だが、プレイヤーとオペレーター双方から不評を買う弊害がいくつか生じてしまった。~ 液晶モニターの普及を見越したこと、撃つ度に画面が点滅し目への負担がかかるという走査線読み取り方式のデメリットへの対策としては良い検知方式((ちなみに国内ガンシューティングにおいて、主に本シリーズと双璧を成す『HODシリーズ』を展開する競合メーカーのセガは既に『ロストワールド ジュラシックパーク』で走査線読み取り方式の採用を取りやめており、赤外線センサーによる検知方式へと移行している。))ではあったが、~ 『2』で評価の高かったガンアジャストモードが無くなった為、''長期稼動した個体にありがちな「照準がズレていてプレイに支障をきたす」問題が再発''した点は特に大きい。 ---『クライシスゾーン』では使用武器がマシンガンのみ・精密射撃によるスコアボーナスは無い為、画面の隅を撃てる限りは一応はプレイできたのでまだマシではあった。~ ただ今作では前作同様、''普通にプレイする上でも精密射撃を要求される場面が頻出する為、照準がズレていると一般のプレイヤーでもストレスを感じやすい。'' --CCDカメラ自体もメンテナンス時の筐体解体の手間、対応作品の少なさ((今作以外の採用作は『クライシスゾーン』と『ヴァンパイアナイト』の3作品と非常に少ない。))からスペアパーツの調達が難しく修理しづらい点もこの問題に拍車をかけた。 ---オマケにゲームの要である基板も他の作品より経年劣化で壊れやすく、何れの故障も1人プレイ固定or筐体撤去となる為、設置数は減少の一途を辿っている。~ 不評だったためか、続編の『4』では照準検知方式がCCDカメラから赤外線センサーによる方式に変わり、ガンアジャストモードも復活した。 ---- **総評 開発が変わったものの、従来作と同様の細かい作りこみにより『2』の長所を受け継ぎつつ、武器セレクトを導入し爽快感をより強化させた良作。~ 若干高めな難易度や、一部演出での突っ込みどころを通り越した荒唐無稽な描写が悪目立ちするが、シリーズ特有のゲーム性は損なわれていない。~ ゲームのボリュームとやり応え、迫力の高さも現在でも十分に一級品と言えるもので、このジャンルが好きな方ならば是非挑戦してほしい一作。~ 現在の稼働数はシリーズ中でも極端に減少している為、これから本作をプレイしてみたいという方は後述の家庭用移植版をお勧めする。 ---- **余談 -日本国外市場のアーケード版では、照準の検知方法に前作と同じ走査線方式を採用したものもあり、そちらは筐体のデザインも異なる。 --先程で記した通り、CCDカメラによる検知方式が色々と複雑であった為か、日本でもこの筐体の稼働を希望する声も少なからずあった。 -今作は1994年の『[[ガンバレット]]』用に開発された拳銃型コントローラー(通称『ガンコン』)を採用した最後のガンシューティングゲームとなった。 --同コントローラーは本シリーズを含む同社のケーブル直結式のガンシューティングゲームのほぼ全てに採用される、お約束のデバイスとなっていた。 --撃つ度に銃の上部がスライドするブローバック機構の採用や、適度な重さとリアルな造形による高い臨場感と使用感は多くのプレイヤーを惹きつけた。~ 続編以降の新作の都度に新設計されている新型ガンコンも、臨場感の高さと安定した使用感を両立した良心的な設計が技術を変えて受け継がれている。 ---- *家庭用移植版 |対応機種|プレイステーション2|CENTER:&amazon(B0000C4F40)| |発売元|ナムコ|~| |開発元|ネクステック|~| |発売日|2003年11月20日|~| |価格|10,290円(税込)(ガンコン2同梱版)&Br;7,190円(通常版)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|AC版をほぼ完全移植&Br;やり応えのある追加要素|~| **概要(PS2) -使用基板の互換性を活かし、アーケード版の稼働開始と同年という驚くべき早さでPS2に移植された。移植度はほぼ完全と言って差し支えないほど非常に高い。 --内容もアーケード版の実質的な完全移植の他、物語の全貌をアリシアの視点で描いた「ヒロインシナリオ」、おなじみの「クライシスミッション」等のモードが追加されている。~ 「ヒロインシナリオ」は全ステージとムービーが新規製作、システム面でも家庭用らしい新要素が追加され、そのボリューム・完成度・難易度の高さはシリーズ一とも評される。 ---「実質的」と書いたのは前述した照準の検知方法の他、全ムービーのフレーム数がアーケード版の60から30に減っていたり、一部演出類((アーケード版初出のBGMの音源見直し、ヒット数表記が「○○HIT!」から「○○HITS!」へ変更、ステージ3開始ムービーのアリシアの双眼鏡の距離計が黄色の「83.45」から緑色の「765.00」に変更、3-2で主人公を食い止める筈の敵兵の台詞が「Go!(仲間に対して「行け!」)」から「Freeze!(主人公に対して「動くな!」)」へ変更された、各ランキング画面の表示変更等が分かりやすい所だろうか。))が変更されている為。 -以下、「ヒロインシナリオ」での追加要素。 --「武器成長システム」 ---サブウェポンを敵にヒットさせることでゲージが溜まり、フルになるとレベルアップし、連射性能・当たり判定・攻撃力・所持弾数が強化される。~ 初期段階ではマシンガンが5連射固定、ショットガンも判定が狭く、アーケードモードの劣化版となっているが、最大のLv.5まで強化すると恐ろしい性能に化ける。 --「スナイパーモード」 ---本編でアリシアが見せていた狙撃シーンが、1ステージに昇格。連射が出来ないボルトアクション式狙撃銃を用いた中~遠距離の狙撃戦を楽しめる。~ 基本システムは本編とほぼ同じだが、こちらは攻撃態勢に移る際に狙っている箇所に画面がズームアップされ、その後は方向キーで照準を移動させる。~ 命中弾が発射された際は音で警告してくれる他、制限時間も「遠距離の敵を探して倒す」というシステムに合わせ、大幅に延長されている。 ---特定ステージでは「5秒以内に特定の部分を1発で撃ちぬかなければ即ゲームオーバー」と言う、非常にシビアな射撃能力が問われることも。 --「民間人」 ---元は前作の「クライシスミッション」で導入されていた要素。このモードでは撃ってしまうとライフが1つ減る。~ 他のガンシューティングゲームと同様、銃撃戦の最中に唐突に出てきて右往左往したり、敵が人質を取って攻撃してくる場面もあり、咄嗟の判断力と精密射撃が求められる。 ---- **賛否両論点(PS2) -「ヒロインシナリオ」でのアリシア自身の扱い --ステージ4(VSSE側1-3に当たる)でなんとジープを運転しながら銃撃戦に加勢していた事が判明。バイク兵やVTOLの一部を破壊しており、もはやこの時点で主人公を上回っている。 --彼女もVSSEの2人ほどではないにしろ、行き当たりばったりで行動している場面が散見。 #region(ヒロインシナリオでのあり得ない行動の数々 ネタバレ含む) -ステージ3にて、VSSEに救援を要請し連邦軍だらけの街から合流を試みるのだが、ビーチからの煙(VSSE側1-1冒頭)を目撃後、''わざわざ民間人の変装を脱ぎ捨てる''。 --その後は言うまでも無く敵に発見され、市民を巻き込む銃撃戦になる。連邦兵を発見した直後に隠れるあたり、彼女も顔バレを想定して脱ぎ捨てたのかもしれない。 ---因みにこの変装は水着に上着とスカートを着用したもの((一瞬とは言え、シリーズ唯一の乳揺れすらある。))なのだが、早着替えでいつもの軍服姿、つまり脱いでいるのに布面積が増える。~ 早着替えのモーションも、マントを脱ぎ去るようなもの。…変装はリアルな肉襦袢だったのだろうか?何れにしろシュールな場面である。 -ステージ7で裏切り者のジェイクと戦闘。最後は戦意を喪失させて兄の行方を問い詰めるも、即座に敵の妨害が入ってジェイクを取り逃がしてしまう。 --「ここでジェイクを始末しておけば…」と考えたファンもいるが、彼に逃げられないとエンディングが綺麗にまとまらなくなるのだ。 #endregion ---- **問題点(PS2) -ヒロインシナリオのコンティニュー関連における不親切な仕様 --ボリューム満点のヒロインシナリオだが、難易度の高さもさることながら、コンティニューの仕様が移植版『1』以上にプレイヤーに不親切で、高難度に拍車をかけている。 --コンティニューすると「ゲームオーバーになったステージの最初からやり直し」となるが、更に「全武器のレベルが1段階下がる」為、クリアがより厳しくなってしまう。~ この仕様はクレジット(コンティニュー制限)の「無制限」を解放したうえでコンティニューしてでもクリアを目指すプレイヤーの根気と努力に水を差すもので批判された。 ---ただし、ヒロインシナリオのステージは本編と異なりエリア式でなく、本編の1エリアに相当する短めのステージを10個以上用意する形で節目を設けてはいる。 -プレイ環境の構築のしづらさ --主に液晶テレビが普及したことによる弊害。ガンコン2は未対応なので稼働するブラウン管テレビを探す必要がある((一応コントローラーで遊べなくはないが、そもそもガンコン2でやるのが基本である。))。
#contents() ---- *タイムクライシス3 【たいむくらいしす すりー】 |ジャンル|ガンシューティング|~| |対応機種|アーケード(SYSTEM246)|~| |発売元|ナムコ|~| |開発元|ネクステック|~| |稼働開始日|2003年|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|''前作から武器セレクトを追加''&Br;B級映画的な派手さは更に増した&Br;軍事色・現実味のあるストーリー|~| |>|>|CENTER:''[[タイムクライシスシリーズリンク>タイムクライシスシリーズ]]''| ---- **概要 ガンシューティングの人気シリーズ『[[タイムクライシス]]』シリーズの3作目。~ 開発がナムコからネクステックへ切り替わったと共に、新たな路線へと歩み始めた新世代作。 前作『[[2>タイムクライシス2]]』から多数の新システムを追加し、前作に続く大ヒットを記録した。 ---- **ストーリー >地中海沿岸の小国「ルカノ」の領土「アスティゴス島」が、ルカノとは領土・独立問題で長年対立関係にある軍事大国「ザゴリアス連邦」に軍事占領された。~ 「ルカノは連邦の領土で、これは反乱を鎮圧する正義の戦いである」と称する連邦の最高司令官ジオルジョ・ゾット将軍は、圧倒的な軍事力でルカノ独立解放軍の掃討を開始。~ これを問題視した国連は多国籍軍による介入を検討するも、島は地中海沿岸各国の利害が混在していた為に調整が難航、計画は事実上頓挫してしまった。 > >それから3ヵ月後、連邦によって島の8割を占領された中、ルカノ独立解放軍は「連邦が島の古城に基地を建設、ルカノ攻撃用と目される弾道ミサイルを配備した」との情報を入手。~ 解放軍司令官ダニエル・ウィンストンはミサイル破壊の為、副官のジェイク・ヘルナンデスや部下と共に基地へ潜入したが、ジェイクの裏切りによって彼らは捕らえられてしまう。~ ダニエル等の身柄と引換に降伏を要求してきた連邦に対し、ダニエルの妹である狙撃手アリシア・ウィンストンは、彼らの救出とミサイルを破壊すべく島へ単身潜入。~ その道中でミサイルに核弾頭が搭載されている事を知った彼女は、この一件を調査していた欧州連合(EU)の国際諜報機関「VSSE」に情報を送信・サポートを要請した。~ 情報を受けたVSSEは核ミサイルの存在を「当事国間の他、周辺国にも大きな脅威をもたらす」と判断、若手コンビのアラン・ダナウェイとウェズリー・ランバートを島へ派遣した…。 ---- **ゲームシステム ''「ペダル操作(遮蔽物に隠れる)を駆使して、アクションポイント内の敵を40秒内に倒して進んでいく」''というシリーズのコンセプトを踏襲。~ 前作の基本システムはそのままに、今作では2つの新要素が追加された。 -''武器チェンジ機能'' --今作から装弾数9発のハンドガンの他、連射が効く「マシンガン」(200発)、攻撃範囲の広い((ハンドガン1発分のダメージを与える弾を5発同時に発射。))「ショットガン」(50発)、威力と攻撃範囲に優れる((直撃させた敵にはハンドガン30発分のダメージを与え、更に着弾後の爆風によって周辺の敵にもハンドガン1発分のダメージを与える。))切り札「グレネード」(5発)が追加された。 ---武器の切替にはペダルを放した状態でトリガーを引き、弾数が尽きなければリロードも不要。弾の補充には黄色い服の敵兵を撃った分(最大3回)補充される。 --これにより、初心者はゴリ押しや爽快感の高いプレイが可能となり、上級者は状況に応じて武器を切り替えて有利に戦う・ヒット数を稼ぐといった戦略性が生まれた。 -敵兵 --敵兵士に関しては、命中率が高い敵兵は「赤」・倒すとボーナス要素(サブウェポンの弾補充)の敵兵は「黄」を基調色とする点はそのまま。~ ただ、敵組織が一国の軍隊となった為か、一般兵の色はオリーブ色に変わり、乗り物もジープ・VTOL機・バイク・潜水艦・戦車とミリタリー色が増した。~ 一方で「ナイフ兵」は『1』から復活した「爪兵」と、斧の投擲を行う青服の「斧兵」に分割され、「隊長兵」は廃止された。 --外伝作の『[[クライシスゾーン]]』と同様の''耐久力のある敵兵が追加''され、「爪兵」「マシンガン兵」・新キャラの「火炎放射兵」がその座を担当。~ これらの兵士やボスには撃った後に頭上に緑色、乗り物類では赤色のライフゲージが表示される。 -ガンコンの照準検知方式が変更 --前作までの走査線方式から、『クライシスゾーン』と同じ筐体内のCCDカメラ((SD筐体では筐体上部、DX筐体ではガンホルダー部の裏に設置。))でガンコンの赤外線を読み取る方式へ変更。~ それに伴い、トリガーを引いた際に画面が白く光らなくなった為、より快適にプレイ可能となった。 ---但し、PS2版のガンコン2は旧来の走査線方式の為、トリガーを引くと画面が光る。マシンガン使用時は相当に白くなってしまう。 --ただし、前作に存在したゲーム開始時の隠しコマンドでプレイヤー自らが照準調整できる「ガンアジャストモード」が削除されている。詳細は問題点欄に後述。 -この他、従来は1つのステージで地続きだったエリアが完全に分割された --従来作ではリザルト後に主人公はそのまま次エリアへ移動していたが、今作からはリザルト後にムービー兼ロードを挟むようになった((恐らくは基板のメディアがROMからDVDへと変わった都合と思われる。))。 --前作の1人プレイ時のみの要素だったルート分岐の要素も削除され、キャラ毎に固定のルートで進むようになった。 ***ステージについて #region(ステージ情報) -''ステージ1'' --午前8時。アスティゴス島の「マラノビーチ」に釣り客として接近、連邦の臨検を爆弾で吹き飛ばし、水上バイクで強行上陸したアランとウェズリー。~ 2人は岩礁・砂浜の塹壕で連邦軍と大銃撃戦を繰り広げながら防衛線を突破するも、廃棄された貨物船に追い込まれ、更に爆撃を受けて船が横転、窮地に陥る。~ 脱出を試みる2人はミサイル攻撃を受ける寸前でジープを駆る謎の女性兵士(アリシア)に救われ、そのまま連邦軍との壮絶なカーチェイスを繰り広げる…。 ---中ボスとしてエリア1にて塹壕に設置された巨大砲台兼前線基地が登場。 --ストーリー同様、もはや戦争ものの雰囲気となっているが、避けなければならない・撃てば敵を全滅できる背景物といった基本要素紹介は忘れられていない。 --ボスは巨大ティルトローター機を操るゴリマッチョの赤毛の巨漢、ビクター・ザン。 -''ステージ2'' --無事追っ手を撃破した3人。町への移動中、VSSEの2人はアリシアから兄ダニエルの存在と彼が率いる解放軍部隊がミサイル破壊の任務中に捕らわれた事を聞く。~ その後町に着いた3人だが、アリシアが山間の連邦基地への移動手段は15時発の貨物列車しかないという事を教えている最中、連邦軍の攻撃を受けて分断されてしまう。~ アリシアと列車で落ち合う事を約束した2人は町外れの貨物集積所を目指し、道中で前線基地へと迷い込むトラブルがありつつも、敵を蹴散らし進んでいく。~ 連邦軍の猛攻を切り抜けた3人は、VSSEが列車の中ほど、アリシアが後部に乗車するも、連邦軍が仕掛けた罠によって列車は谷底に落下しそうになる。 ---中ボスとしてエリア1にてマシンガン兵が運転するバイク部隊、エリア2にて武装潜水艇が登場。 --市街地戦のエリア1では、近距離・高低差戦や『クライシスゾーン』を髣髴とさせる小物破壊、エリア3では前作とはまた違った列車での戦闘が楽しめる。 --ボスは連邦軍に雇われた殺し屋で全身真っ赤のキザな爪男ランディー・ギャレットと、彼が率いる部下の黄色い爪兵。 -''ステージ3'' --3人はランディーら連邦軍を倒すも、貨物列車はランディーによって破壊されてしまった。3人は徒歩で連邦の基地となっている古城に辿り着く。~ そこでゾット将軍に尋問を受けるダニエルを発見、VSSEは敵陣に突入・アリシアは狙撃地点へ移動、2手に分かれてダニエル救出とミサイル破壊を目指す。 ---中ボスとしてエリア1にてシリーズおなじみのワイルド・ドッグと彼が新たに従えた弟子ワイルド・ファングの2人が登場。 --最終面らしくエリア1には弾速が非常に速い戦車が登場、エリア2では全編に渡って不意打ちのオンパレードと、シリーズ中でもかなりの難易度を誇る。 --ボスは連邦の最高司令官ジオルジョ・ゾット将軍と、彼が率いる大量の部下・3台のプラズマ兵器搭載車。 #endregion ---- **評価点 -''前作から進化した爽快感'' --サブウェポンが追加された事で、並居る敵兵をなぎ倒したり、大量の敵や装甲の厚い敵に対してグレネードで一掃等と、爽快感が大幅に強化された。~ 各所で配置されている撃つと敵を全滅できる爆発物や、対乗り物戦のシチュエーションもかなり増やされているのもそれに拍車をかけている。 --前作から恒例の乗り物ステージも、字面では前作と類似したカーチェイス・列車上だが、実際は大変更が加えられており、新鮮さは失われていない。 -''魅力的なキャラクター達'' --開発が変わったという事もあってか、キャラクター達は味方・敵共に前作から「美形」化が進行し、性格面でも従来とは違った特徴が付けられた。 --主人公のアランとウェズリーはそれぞれ明朗・冷静という正反対な性格付けがなされ、エリア間のムービーでは妙に相性の良い掛け合いを見せてくれる。~ 前作のキースとロバートは共に冷静な性格で台詞も少なかったが、今作以降、主人公の2人には今作と同様のキャラ付けと掛け合いが行われるようになった。 --ヒロインのアリシアは捕らわれた兄を助けようと奮闘する「戦う強い女性」という、従来作とは真逆の設定((ディレクターの薩川氏曰く、従来作でのヒロインが「さらわれて最後に出てくるだけだったので変えたかった」と発言している。アリシア自身も当初は「リーダーが兄なので安全な医療班に回されていた」が祖国を救いたい一心から格闘と射撃術を身につけ解放軍きってのスナイパーになっている。))としたのもユーザーに高評価を受けた。 ---更にPS2版の「ヒロインシナリオ」では類稀な格闘技術を披露し、VSSE側と同等数の連邦軍兵士や戦車を単身で相手にしていた事が判明した為、~ 後述の武器成長システムも相まって「主人公の男2人より強いのでは」「『1』のリチャード並の最強主人公」と畏れられたりと、特にユーザーに愛されたキャラと言えるだろう。 --敵でも新登場のワイルド・ファングは、紫系の服・寿司ネタが描かれた白ネクタイ((タマゴやエビ、かっぱ巻きなどが描かれている。続編での暴走族やバブル期のロッカー風のスタイルといい、日本文化が好きな設定なのだろうか。))に金髪という派手な外見もさることながら、~ 攻撃法は銃撃に『1』での師匠ワイルド・ドッグを髣髴とさせるキック&物の蹴り飛ばしという新旧織り交ぜた派手なもので、何れもマンネリ打破として評価された。 ---ただ不幸な事に、続編では裏話のみの登場となったり、師匠ともどもイロモノ路線を突き進む等、今作での扱いや面影がほぼ無くなってしまうのだが… --ラスボスであるジオルジョ・ゾット将軍も、カリスマ指導者という設定らしく、佇まいはダンディな顔に紺色の肩当付軍服・武器に黄金の拳銃という威厳あるもの。~ 一方で射撃・格闘戦の達人で、最終決戦では部下の協力を得ながらもVSSE相手にマシンガンと軍刀を持ち、残像が出るほどのあり得ない動きで真っ向から挑み、~ 最後は4連ロケットランチャー二丁持ちというインパクトある戦いを見せ、最期は核ミサイル発射を成功させたりと、最期まで主人公達を苦しませる点も評価された。 -''非常にバラエティに富んだステージと敵達'' --それぞれ「海岸の防衛線と塹壕」「難破船内部」「エーゲ海風の町」「河」「走行・落下寸前の貨物列車」「火災が起きた基地内」と個性的なシチュエーションでの戦いが多くなった。 ---ゲームのボリューム自体も、前作の2倍にまで増加。プレイ時間も約15~20分から約25~30分となった為、体力に自信が無い人がプレイし辛くなったのは若干ながら賛否両論点か。 --兵士も『1』の「MOZ」のリメイクと言える爪兵や潜水兵、火炎放射兵と外見・戦い方を含めてかなり個性的な兵士が登場、~ 実質1つのステージとなったエリアの最後も砲台・ガンシップ・潜水艇等、「巨大or大量の敵と戦う」状況が多数となり、違和感無く纏める事に成功している。 -従来作と同様、ゲームに見事マッチした迫力あるサウンド --作曲者はナムコの中村和宏氏からネクステック所属の三浦健氏、基板も生音を流せるDVDへと切り替わったが、従来の「ハリウッド風オーケストラ」メインの作風は見事に受け継がれている。~ 特定のフレーズを他の曲で使ったり、一部のステージでは激しさもあるロック調のBGMといったお約束も引き継がれており、何れの音楽も高評価である。 ---唯一、ワイルド・ドッグのテーマは三浦氏による新フレーズが随所に織り込まれた派手なアレンジとなっており、こちらもワイルド師弟・戦場となる夕陽の古城に合っていてかなり好評。 ---エリアクリア・ダメージ音・カウントダウン音は前作のアーケード版、「WAIT」表示の音はPS2版のものが流用されており、「シリーズ共通の音」として引き継がれている。 -軍事色が強く、現実味のあるストーリー設定 --従来の「誘拐」「世界征服」といった悪く言えば「ありがち」な設定から、『領土および独立問題・軍事国家の脅威』という、現在から見てもかなりシビアな問題が主軸となっている。~ その為、ゲームとして見栄えする「巨大武装ヘリ」「戦車」等を導入しながら、『B級』的なノリが気に入らなかった人も、ストーリー面で違和感を軽減する事に成功したと言えるだろう。 ---[[ディレクターの薩川隆史氏のインタビュー>http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/0706/18/news012.html]]によると、今作のストーリーには『民族紛争と大量破壊兵器の拡散』という意図もあるらしい。 ---作中の国は勿論架空だが、[[公式設定の地図>https://game.watch.impress.co.jp/docs/20030131/tc303.htm]]は、実際でも領土・領海問題が頻発しているエーゲ海周辺のそれを意識したものになっている。 ---- **賛否両論点 -''更に進んだ『B級』的なノリ'' --『2』を境にB級アクション洋画のノリを強めたシリーズだが、その傾向は健在。今作では主に敵の人外化やギャグ的な描写が進化。賛否の分かれる要因となっている。 --まず''一部敵の動きが明らかにありえない''ものがある。爪兵・ランディーやワイルド師弟の重力を無視した回転突撃・大ジャンプ、ゾット将軍の残像が出る高速移動が該当。 ---ゾット将軍の残像移動に関しては、『[[5>タイムクライシス5]]』で主人公含むVSSEのエージェント達も平然と行っており、この世界では大した事では無いと言う事が明白になってしまった。 --VSSEの2人は、''殆どの行為が行き当たりばったり。''1面でも激しい弾幕の中を水上バイクで強行上陸→敵に追われたので廃貨物船に逃げる→窮地に陥るがアリシアに寸前で助けられる…~ と、全ての出来事が偶然・運頼みで突っ走っている。2-2のムービーでは2人とも相方が正しい道を行っていると勘違いして基地に迷い込む等、完全にギャグ演出として使われている。 ---2-2のムービーで敵の威嚇射撃を受けた際、アランは「どうやらこっちで正解のようだな」と言っているが、連邦は既に島の8割を占領している設定なので、やはりギャグである。 ---一応、2人の無計画っぷりについては、PS2版「ヒロインシナリオ」でVSSEの司令官がアリシアに「2人は極秘行動中で一切の連絡ができない」と遠回しに説明されてはいるが…。 -一部シーンで露骨に邪魔な味方 --2Pプレイを実装した前作同様、難易度調整の一環として相方のキャラ((1P側なら2Pキャラ、2P側なら1Pキャラ。))がプレイヤーの射線を邪魔する形で画面に登場するシーンが幾つかある。~ 今作で問題なのは、前作よりも邪魔するシーンが少なくなった分より露骨に射線に入るようになった事。特に1-1終盤から2-1は敵にほぼ重なるシーンが両者にある為、かなり誤射しやすい。 ---NPCのアリシアにもその仕様が適用されており、誤射で5000点も減点されるが、登場は1-3のみ・かつ誤射しづらいジープの運転席にいる為、こちらは問題にはなっていない。 ---- **問題点 -''シリーズ中でも厳しめな難易度曲線'' --プレイヤーを苦しめる難所や強敵が、今作では比較的多めに用意されており、ナンバリング作でも難易度は『1』に次いで高いと称される。 ---1-1の時点で敵兵との距離が近いシーンが多く用意されており、以降も全編に渡って突発的に撃たれた命中弾に反応できずに被弾というミスが起こりやすい。~ その上でステージ2以降は赤兵の不意打ちが2・3回ある他、3-2は視界が悪い火災中の屋内で画面端からの赤兵の不意打ちが5回もあり、その難しさは語り草となるほど。 ---ラスボスのゾット将軍も、マシンガンで命中弾を高頻度で連発したり、立ち止まったと思ったらいきなり目の前へ瞬間移動して軍刀で斬りかかってきたりと動きに隙が少ない。~ 当然その間にも、巧妙に配置された敵兵やプラズマ兵器搭載車からのいやらしい攻撃が入る為、ファンの間では「歴代シリーズ中で最強のラスボス」との声が多い。 --一応、回避が出来るこのシリーズ中では難しめなだけで、一般的なガンシューティングゲームとして見れば、難易度曲線のさじ加減はきっちりと保たれている。~ 多くの難所は腕前の上達で突破出来るようになっている。サブウェポンの弾を落とす黄兵も適度に出現するので、サブウェポンでゴリ押しが効く場面も多い。 -ガンコンの照準検知方式が変更されたことによる弊害 --『クライシスゾーン』から引き続き採用された「CCDカメラによる赤外線検知方式」だが、プレイヤーとオペレーター双方から不評を買う弊害がいくつか生じてしまった。~ 液晶モニターの普及を見越したこと、撃つ度に画面が点滅し目への負担がかかるという走査線読み取り方式のデメリットへの対策としては良い検知方式((ちなみに国内ガンシューティングにおいて、本シリーズと双璧を成す『HODシリーズ』を主に展開する競合メーカーのセガは既に『ロストワールド ジュラシックパーク』で走査線読み取り方式の採用を取りやめており、赤外線センサーによる検知方式へと移行している。))ではあったが、~ 『2』で評価の高かったガンアジャストモードが無くなった為、''長期稼動した個体にありがちな「照準がズレていてプレイに支障をきたす」問題が再発''した点は特に大きい。 ---『クライシスゾーン』では使用武器がマシンガンのみ・精密射撃によるスコアボーナスは無い為、画面の隅を撃てる限りは一応はプレイできたのでまだマシではあった。~ ただ今作では前作同様、''普通にプレイする上でも精密射撃を要求される場面が頻出する為、照準がズレていると一般のプレイヤーでもストレスを感じやすい。'' --CCDカメラ自体もメンテナンス時の筐体解体の手間、対応作品の少なさ((本作を含めて採用作は『クライシスゾーン』と『ヴァンパイアナイト』の計3作品と非常に少ない。))からスペアパーツの調達が難しく修理しづらい点もこの問題に拍車をかけた。 ---オマケにゲームの要である基板も他の作品より経年劣化で壊れやすく、何れの故障も1人プレイ固定or筐体撤去となる為、設置数は減少の一途を辿っている。さらにメーカーの修理サポートは2017年10月をもって終了している。 --不評だったためか、続編の『4』では照準検知方式がCCDカメラから赤外線センサーによる方式に変わり、ガンアジャストモードも復活した。 ---- **総評 開発が変わったものの、従来作と同様の細かい作りこみにより『2』の長所を受け継ぎつつ、武器セレクトを導入し爽快感をより強化させた良作。~ 若干高めな難易度や、一部演出での突っ込みどころを通り越した荒唐無稽な描写が悪目立ちするが、シリーズ特有のゲーム性は損なわれていない。~ ゲームのボリュームとやり応え、迫力の高さも現在でも十分に一級品と言えるもので、このジャンルが好きな方ならば是非挑戦してほしい一作。~ 現在の稼働数はシリーズ中でも極端に減少している為、これから本作をプレイしてみたいという方は後述の家庭用移植版をお勧めする。 ---- **余談 -日本国外市場のアーケード版では、照準の検知方法に前作と同じ走査線方式を採用したものもあり、そちらは筐体のデザインも異なる。 --先程で記した通り、CCDカメラによる検知方式が色々と複雑であった為か、日本でもこの筐体の稼働を希望する声も少なからずあった。 -今作は1994年の『[[ガンバレット]]』用に開発された拳銃型コントローラー(通称『ガンコン』)を採用した最後のガンシューティングゲームとなった((本作は先程の項目でも記した通り、照準検知方式が他作品と異なるため内部パーツは異なる。))。 --同コントローラーは本シリーズを含む同社のケーブル直結式のガンシューティングゲームのほぼ全てに採用される、お約束のデバイスとなっていた。 --撃つ度に銃の上部がスライドするブローバック機構の採用や、リアルな造形による高い臨場感と、適度な重さや握りやすい安定した使用感は多くのプレイヤーを惹きつけた。~ 続編以降の新作の都度に新設計されている新型ガンコンも、臨場感の高さと安定した使用感を両立した良心的な設計が技術を変えて受け継がれている。 ---- *家庭用移植版 |対応機種|プレイステーション2|CENTER:&amazon(B0000C4F40)| |発売元|ナムコ|~| |開発元|ネクステック|~| |発売日|2003年11月20日|~| |価格|10,290円(税込)(ガンコン2同梱版)&Br;7,190円(通常版)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|AC版をほぼ完全移植&Br;追加要素はやり応え満載&難易度も凄まじい|~| **概要(PS2) -使用基板の互換性を活かし、アーケード版の稼働開始と同年という驚くべき早さでPS2に移植された。移植度はほぼ完全と言って差し支えないほど非常に高い。 --内容もアーケード版の実質的な完全移植の他、物語の全貌をアリシアの視点で描いた「ヒロインシナリオ」、おなじみの「クライシスミッション」等のモードが追加されている。~ 「ヒロインシナリオ」は全ステージとムービーが新規製作、システム面でも家庭用らしい新要素が追加され、そのボリューム・完成度の高さは文句なしな一方で難易度の高さもシリーズトップクラスとも評される。 ---「実質的」と書いたのは前述した照準の検知方法の他、全ムービーのフレーム数がアーケード版の60から30に減っていたり、一部演出類((アーケード版初出のBGMの音源見直し、ヒット数表記が「○○HIT!」から「○○HITS!」へ変更、ステージ3開始ムービーのアリシアの双眼鏡の距離計が黄色の「83.45」から緑色の「765.00」に変更、3-2で主人公を食い止める筈の敵兵の台詞が「Go!(仲間に対して「行け!」)」から「Freeze!(主人公に対して「動くな!」)」へ変更された、各ランキング画面の背景や表示形式の変更等が分かりやすい所だろうか。))が変更されている為。 -以下、「ヒロインシナリオ」での追加要素。 --「武器成長システム」 ---サブウェポンを敵にヒットさせることでゲージが溜まり、フルになるとレベルアップし、連射性能・当たり判定・攻撃力・所持弾数が強化される。~ 初期段階ではマシンガンが5連射固定、ショットガンも判定が狭く、アーケードモードの劣化版となっているが、最大のLv.5まで強化すると恐ろしい性能に化ける。 --「スナイパーモード」 ---本編でアリシアが見せていた狙撃シーンが、1ステージに昇格。連射が出来ないボルトアクション式狙撃銃を用いた中~遠距離の狙撃戦を楽しめる。~ 基本システムは本編とほぼ同じだが、こちらは攻撃態勢に移る際に狙っている箇所に画面がズームアップされ、その後は方向キーで照準を移動させる。~ 命中弾が発射された際は音で警告してくれる他、制限時間も「遠距離の敵を探して倒す」というシステムに合わせ、大幅に延長されている。 ---特定ステージでは「5秒以内に特定の部分を1発で撃ちぬかなければ即ゲームオーバー」と言う、非常にシビアな射撃能力が問われることも。 --「民間人」 ---元は前作の「クライシスミッション」で導入されていた要素。このモードでは撃ってしまうとライフが1つ減る。~ 他のガンシューティングゲームと同様、銃撃戦の最中に唐突に出てきて右往左往したり、敵が人質を取って攻撃してくる場面もあり、咄嗟の判断力と精密射撃が求められる。 ---- **賛否両論点(PS2) -「ヒロインシナリオ」でのアリシア自身の扱い --ステージ4(VSSE側1-3に当たる)でなんとジープを運転しながら銃撃戦に加勢していた事が判明。バイク兵やVTOLの一部を破壊しており、もはやこの時点で主人公を上回っている。 --彼女もVSSEの2人ほどではないにしろ、行き当たりばったりで行動している場面が散見。 #region(ヒロインシナリオでのあり得ない行動の数々 ネタバレ含む) -ステージ3にて、VSSEに救援を要請し連邦軍だらけの街から合流を試みるのだが、ビーチからの煙(VSSE側1-1冒頭)を目撃後、''わざわざ民間人の変装を脱ぎ捨てる''。 --その後は言うまでも無く敵に発見され、市民を巻き込む銃撃戦になる。連邦兵を発見した直後に隠れるあたり、彼女も顔バレを想定して脱ぎ捨てたのかもしれない。 ---因みにこの変装は水着に上着とスカートを着用したもの((一瞬とは言え、シリーズ唯一の乳揺れすらある。))なのだが、早着替えでいつもの軍服姿、つまり脱いでいるのに布面積が増える。~ 早着替えのモーションも、マントを脱ぎ去るようなもの。…変装はリアルな肉襦袢だったのだろうか?何れにしろシュールな場面である。 -ステージ7で裏切り者のジェイクと戦闘。最後は戦意を喪失させて兄の行方を問い詰めるも、即座に敵の妨害が入ってジェイクを取り逃がしてしまう。 --「ここでジェイクを始末しておけば…」と考えたファンもいるが、彼に逃げられないとエンディングが綺麗にまとまらなくなるのだ。 #endregion ---- **問題点(PS2) -ヒロインシナリオのコンティニュー関連における不親切な仕様 --ボリューム満点のヒロインシナリオだが、難易度の高さもさることながら、コンティニューの仕様が移植版『1』以上にプレイヤーに不親切で、高難度に拍車をかけている。 --コンティニューすると「ゲームオーバーになったステージの最初からやり直し」となるが、更に「全武器のレベルが1段階下がる」為、クリアがより厳しくなってしまう。~ この仕様はクレジット(コンティニュー制限)の「無制限」を解放したうえでコンティニューしてでもクリアを目指すプレイヤーの根気と努力に水を差すもので批判された。 ---このせいで、コンティニューする度にクリアがより厳しくなっていく悪循環に陥ってしまい、最悪詰んでしまうことも珍しくない。 ---ただし、ヒロインシナリオのステージは本編と異なりエリア式でなく、本編の1エリア分に相当する短めのステージを10個以上用意する形で節目を設けてはいる。 -プレイ環境の構築のしづらさ --主に液晶テレビが普及したことによる弊害。ガンコン2は未対応なので稼働するブラウン管テレビを探す必要がある((一応コントローラーで遊べなくはないが、そもそもガンコン2でやるのが基本である。))。

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