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Celeste - (2019/05/12 (日) 16:52:27) の1つ前との変更点
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*Celeste
【せれすて】
|ジャンル|アクション/アドベンチャー|&image(69.jpg,width=200)|
|対応機種|Windows/Mac OS X/Linux/(Steam)&br;プレイステーション4&br;XboxOne&br;Nintendo Switch&br;&color(red){※全機種ダウンロード専売のみ}|~|
|発売・開発元|Matt Makes Games Inc.|~|
|配信|【Steam】2018年1月25日/1,980円 or $19.99&br()【Playstation4((日本国内では未配信(おま国)))】2018年1月25日/$19.99/&br()【Xbox live(海外)】2018年1月26日/$19.99&br()【Xbox live(日本)】201?年?月??日((2019年1月のGames with Gold(PS+のフリープレイと同様のもの)として国内でも配信されていることは確認済))/2,350円(税込)&br()【Switch(海外)】2018年1月25日/$19.99&br()【Switch(日本)】2018年5月10日/2,160円(税込)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作'' |~|
|ポイント|ビジュアルの割に重度の''死にゲー''&br()だが再挑戦がしやすく死んで覚えて進む設計&br()「難しい」けれども「優しい」ゲーム |~|
//商品画像については国内amazonから適切な画像やASINを持ってこれないので記事化後アップロードで対応します
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#contents()
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**概要
海外のインディーゲームスタジオMatt Makes Gamesが送り出したドット絵による2Dアクションアドベンチャーゲーム。~
主人公の女性マデレン((デフォルトネームはMadelineだがゲーム開始時のみ変更可))を操作してセレステ山の登頂を目指すという流れのゲーム。~
設定上ではマデレンが行うのは登山なのだが、実際は[[スーパーマリオブラザーズ]]のようなジャンプや移動で障害を乗り越えて進む横スクロールアクションである。
----
**ゲームシステム
-シンプルな基本操作
--操作は「十字キーでの移動とジャンプ」「つかみ」「ダッシュ」しかない。必然的に十字キーと、ジャンプ・つかみ・ダッシュの3ボタンですべての操作ができる。
--「移動とジャンプ」
---古今東西の2D横スクロールアクションと同様のもの。
--「つかみ」
---切り立った側面の壁で「つかみボタン」を押すとそのまま壁につかまり続ける。つかまったまま上下にキーを操作すると壁を登り降りができ、ジャンプすると三角跳びになる。ただしつかまっている間はスタミナを消費し続け、ゼロになると落ちてしまう。
--「ダッシュ」
---8方向の十字キー入力と同時にダッシュボタンを押すとその方向にすばやく移動する。地上でも空中でも発動できるため、ジャンプした空中で使えば事実上の二段ジャンプとなる。~
ただしダッシュを発動すると回復するまでは''再使用できない''。ダッシュを使っているか否かはマデレンの髪の色でわかる仕様になっている。
--前述のスタミナやダッシュの消費は「地面に着地」または「ステージ内にある回復するギミックに触れる」と''一瞬で回復する''。なので地面にいる間は連続ダッシュも可能。
-高い難易度と一瞬のリトライ
--ゲームの構成としては全8チャプター中で700を越える「場面」があり、各場面をアクションを駆使して順番に攻略していく。~
場面を突破するとオートセーブを挟んで次の場面に進み、ゲームを中断した場合も最新の場面から再開が可能。~
--それぞれの場面はスムーズに進めば一分もかからないほど短い。~
しかし''ゲームとしての難易度は全体的に高く''、序盤から的確なアクションやシビアな入力が要求される。~
そのため、一つの場面で何十~何百とミスを重ねることもザラ。
--しかし場面の中途で死亡した場合は死んだ''次の瞬間に''その場面の初期位置に復活する。~
そして残機やゲームオーバーの概念もないため、''プレイヤーがあきらめない限り''何度でも各場面の突破を試みることができる。~
''心置きなく死んで再挑戦ができる''ゲーム仕様になっており、つまり''そういう''ゲームである。
-アシストモード
--アクションが苦手だけどストーリーを見たいという人は「アシストモード」をONにすると無敵やスタミナ・ジャンプの制限解除などを設定できる。これを使うとぶっちゃけアクション部分が作業と化す。~
-アシストモードを使うことでペナルティがあるわけではないが、このゲームは難しい場面を努力して越えていく設計なので、~
「強制ではないができれば初回プレイ中は使わないでほしい」という旨の''開発からのメッセージが''アシストモード選択画面で表示される。
-探索要素
--各チャプターのスタートからゴールまで各場面が連続しているが、完全な一本道ではなく探索要素もいくらか用意されており、下記の寄り道やコレクションを楽しむこともできる。
--ストロベリー収集
---各場面内にはイチゴが配置されており、取っても実用的には何も得にならないが取得数がカウントされているため収集意欲をそそる。~
イチゴはマップ内の見えないところに隠されているものもあれば、場所は明確だが''あからさまに危険な位置''にあったりする。((ストロベリーは触れた後に安全な地面に着地しないと取得した扱いにならない。))
--B面カセットテープ
---各チャプターにひとつカセットテープが隠されており、取得するとそのチャプターの"B面"が解禁され以降自由に遊べる。
---B面は表面とギミックこそ共有しているが、コースの構成は刷新されており、更に難易度が上がっている裏面となっている.
--ハート
---各チャプターにひとつ配置されている。取得には謎解き的なギミックを解く必要があるものが多い。
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**評価点
-心が折れそうになる難易度と心が折れるギリギリで達成可能なバランス
--セレステ山は登山者をまともに登頂させる気はないらしく序盤からとんでもない位置に穴や即死トゲが置かれ、マデレンを幾度となく殺していく。~
このゲームは各チャプターごとに死亡回数((ミス回数、ではなく骸骨のアイコンまで付けた上で''死亡回数''と明記している。作中でも山中で死者が大勢出ている描写がありセレステ山でのミスは死であるらしい。))が記録される仕様だが、アクションゲームに慣れた人間でも初回クリアまでに''数千人''はマデレンの死体を積み上げていくだろう。~
なんとか進めそうに見えるのだが、実際に挑戦すると絶妙な位置にトゲが置かれていることも多くマデレンをティウンティウンさせてしまう。
---ティウンティウンと書いたが、マデレンは普通の人間という設定なのに死ぬとなぜか[[ロックマン]]と同じエフェクトで散華する。~
これに限らずCelesteには名作アクションゲームのリスペクトネタがいくつも仕込まれている。
--だが前述の通りリトライしやすいシステムを生かし、絶対無理だろうと思えた場面を再挑戦の末に突破した時の達成感は筆舌に尽くしがたい。~
そして難しいのは確かだが絶対に無理だ!と投げ出したくなる理不尽な仕掛けは少ない。~
初見では突破不可能に感じる難所がマデレンの前に立ちはだかるのだが、実際に何回か挑戦して失敗すると~
死んだ原因や次回での対抗策を体感できるようになっておりいつの間にか突破口を見出せる巧妙な構成になっている。~
「くそっ死んだ次こそは」と指を痛くしながらついつい長時間遊んでしまう絶妙なバランスがCelesteの魅力である。~
もちろん操作性や反応も良好なのでストレスなく難関のリトライができる。%%難関自体がストレスとかいうな%%
-優れたシナリオとそれを彩るドットアニメとBGMによる演出
--Celesteはマデレンが黙って山を登るゲームではなく、彼女がなぜセレステ山に登ろうと思い立ったか、山中で起きる謎の現象、道程で出会う人々やマデレン自身の心の中にある闇、などのさまざまなストーリーが山中で展開される。~
これらの先が気になるシナリオを作りこんだドット絵によるアニメや、BGMや音響効果まで駆使して表現しており、~
歯ごたえのあるアクション要素とストーリーイベント、ステージの雰囲気までもが絡み合ってプレイヤーを夢中にする。~
シナリオについての詳細な解説は避けるが、実に優れた演出効果で表現しており~
例えばこの先に進んだら不穏なことが起きそうな時は進み具合に合わせてBGMのテンポやピッチが不安を煽るものに変わるなどの音響面も抜かりない。
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**不評点
-難易度に付いていけない者へのフォローは少ない
--特徴や評価点のそのまま裏返しとなるが、高い難易度に付いていけそうにない者についてはアシストモードを使う以外に対処法はない。~
事前に歯ごたえのあるアクションゲームとわかって購入した者ならばそう脱落することはないが~
たまたまマデレンのイメージビジュアルを見ただけで買ったなど、ゲームの内実を知らなかった者やアクション初心者にはセレステ山の壁は高い。
--そして隠し面などのボリュームは随一だが、突き詰めていけば新しい歯ごたえのある面を進んでいくしかできないためそういう人間がつまづくと厳しい。
-シナリオ面でも陰鬱な描写が多い
--このゲームはマデレンがただ山を登るだけではなく、オカルトファンタジー的な描写が多い物語になっている。
#region(チャプター3~4までのネタバレ)
実はマデレンはとある実在の精神疾患にかかっており、その改善を図るのがセレステ山に挑む理由の''一つ''である。~
しかもセレステ山は心の中の闇を現実に投影する力があり、心の中にしかないはずの''闇''が実体化して彼女を襲う。~
つまり物理的に存在する山の難所と、彼女自身の心の闇という二段構えの壁を越えるのがこのゲームの目的なのだ。~
#endregion
--要は「気分が重くなる」描写が中盤までは多いということである。~
もちろん壁にぶつかってもその都度乗り越えているし最終的にはカタルシスにつながり一通り解決するため決して鬱ゲーではないのだが、~
アクションが難しく何度もリトライをしている長い間、「気がめいる」シナリオ展開もずっと続くことになるため~
難しいアクションと暗い描写の複合効果で投げ出す者が出てもおかしくない。
-解法自体がわからない場面のヒントはない
--アクション要素が難解なだけならば練習や覚えゲーでなんとかなるし最悪アシストモードで飛ばせるが、~
「どう進めば突破できるかの見当がつかない」というパズル要素のある仕掛けがたまに存在する。~
それはプレイヤーの「気付き」の問題になってしまうため解法が思いつかない場合は外部の攻略を見るしかない。特に隠し収集要素に関してはオマージュネタを知らなければとてもわからないようなものもある。
-死亡回数表示が増える一方
--ゲームの理念的にどうしようもないがプレイするたびにどんどん死亡回数の記録が伸びていくだけで消せないため気になる人は気になる。
--作中で「死亡回数は気にするな!むしろたくさん挑んだ証だ」という旨のフォローがあり、もちろん死亡回数を少なく抑えても何もイベントなどは起こらない。
--なお統計データには「チャプターごとの通算死亡回数」とは別に「1回のチャプタークリアにおける死亡回数の最少記録」も記録される。
-翻訳がやや雑
--本作は海外でしか出ていないリリース当初から日本語訳も収録されているが、不自然な訳が多い。
---とはいうもののシナリオの理解に支障が出るような珍訳は一つもない。「少し引っかかる」程度である。
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**総評
評価点と不評点がコインの裏表のようになっているが、操作性やアクション性、シナリオに演出や難易度曲線などの全てが高いレベルでまとまっている。~
何度も死んでリトライを繰り返すタイプの作品ではあるが、その手のアクションゲームに興味のある人間ならばぜひともセレステ・マウンテンに挑んでみてほしい。~
作中の人物の言葉を借りれば「%%%セレステ山は決して甘くはないが、思いのほか優しい%%%」~
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**余談
-開発者のMatt Thorsonは2004年頃から即死系ジャンプアクションゲームなどをリリースし続けており、本作のシステムはそれらのゲームの流れを汲むものである。
--フリーゲームのJumperシリーズなどで知っている人もいるかもしれない。
-本作の元となったゲームとして、レトロ風ゲーム制作ツールPICO-8で作成されたクラシック版Celesteと呼べるゲームが存在する。~
クラシック版は公式HPでフリーで遊べる上に''本作にも収録されており''条件を満たせば自由に遊べる。
--ステージ自体の難易度は本編よりは低いが、アシストが使えないうえ途中セーブも不可能なためクラシック版の制覇が本作の実績では最難関であると言える。
-ニンテンドーeShopなどでこのソフトの[[公式解説ページ>https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000010822]]を見ると、当然だがソフトについての特徴が箇条書きされている。~
「・魅力的なキャラクター達とホロリとする…」「・700以上のハードコアなプラットフォーム・チャレンジと…」などなど。~
しかしその箇条書きの最後で「・''パイ''」とだけ書かれた謎の二文字がある。~
''パイってなんだ!? ''%%まさかマデレンの!?%% と気になった人がいるかも知れないが、~
これは文章にミスや抜けがあったわけではなく、英語原文もそうなっていてそのままの和訳である。~
パイの意味を知りたければぜひともゲームをエピローグ(エンディング)まで見てから以下のregionを開いてほしい。
#region(マデレンの……パイ)
この「・''パイ''」は原文では「・''Pie''」となっている。つまりエピローグで出てきたあれのことであろう。
#endregion
*Celeste
【せれすて】
|ジャンル|アクション/アドベンチャー|&image(69.jpg,width=200)|
|対応機種|Windows/Mac OS X/Linux/(Steam)&br;プレイステーション4&br;XboxOne&br;Nintendo Switch&br;&color(red){※全機種ダウンロード専売のみ}|~|
|発売・開発元|Matt Makes Games Inc.|~|
|配信|【Steam】2018年1月25日/1,980円 or $19.99&br()【Playstation4((日本国内では未配信(おま国)))】2018年1月25日/$19.99/&br()【Xbox live(海外)】2018年1月26日/$19.99&br()【Xbox live(日本)】201?年?月??日((2019年1月のGames with Gold(PS+のフリープレイと同様のもの)として国内でも配信されていることは確認済))/2,350円(税込)&br()【Switch(海外)】2018年1月25日/$19.99&br()【Switch(日本)】2018年5月10日/2,160円(税込)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作'' |~|
|ポイント|ビジュアルの割に重度の''死にゲー''&br()だが再挑戦がしやすく死んで覚えて進む設計&br()「難しい」けれども「優しい」ゲーム |~|
//商品画像については国内amazonから適切な画像やASINを持ってこれないので記事化後アップロードで対応します
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#contents()
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**概要
海外のインディーゲームスタジオMatt Makes Gamesが送り出したドット絵による2Dアクションアドベンチャーゲーム。~
主人公の女性マデレン((デフォルトネームはMadelineだがゲーム開始時のみ変更可))を操作してセレステ山の登頂を目指すという流れのゲーム。~
設定上ではマデレンが行うのは登山なのだが、実際は[[スーパーマリオブラザーズ]]のようなジャンプや移動で障害を乗り越えて進む横スクロールアクションである。
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**ゲームシステム
-シンプルな基本操作
--操作は「十字キーでの移動とジャンプ」「つかみ」「ダッシュ」しかない。必然的に十字キーと、ジャンプ・つかみ・ダッシュの3ボタンですべての操作ができる。
--「移動とジャンプ」
---古今東西の2D横スクロールアクションと同様のもの。
--「つかみ」
---切り立った側面の壁で「つかみボタン」を押すとそのまま壁につかまり続ける。つかまったまま上下にキーを操作すると壁を登り降りができ、ジャンプすると三角跳びになる。ただしつかまっている間はスタミナを消費し続け、ゼロになると落ちてしまう。
--「ダッシュ」
---8方向の十字キー入力と同時にダッシュボタンを押すとその方向にすばやく移動する。地上でも空中でも発動できるため、ジャンプした空中で使えば事実上の二段ジャンプとなる。~
ただしダッシュを発動すると回復するまでは''再使用できない''。ダッシュを使っているか否かはマデレンの髪の色でわかる仕様になっている。
--前述のスタミナやダッシュの消費は「地面に着地」または「ステージ内にある回復するギミックに触れる」と''一瞬で回復する''。なので地面にいる間は連続ダッシュも可能。
-高い難易度と一瞬のリトライ
--ゲームの構成としては全8チャプター中で700を越える「場面」があり、各場面をアクションを駆使して順番に攻略していく。~
場面を突破するとオートセーブを挟んで次の場面に進み、ゲームを中断した場合も最新の場面から再開が可能。~
--それぞれの場面はスムーズに進めば一分もかからないほど短い。~
しかし''ゲームとしての難易度は全体的に高く''、序盤から的確なアクションやシビアな入力が要求される。~
そのため、一つの場面で何十~何百とミスを重ねることもザラ。
--しかし場面の中途で死亡した場合は死んだ''次の瞬間に''その場面の初期位置に復活する。~
そして残機やゲームオーバーの概念もないため、''プレイヤーがあきらめない限り''何度でも各場面の突破を試みることができる。~
''心置きなく死んで再挑戦ができる''ゲーム仕様になっており、つまり''そういう''ゲームである。
-アシストモード
--アクションが苦手だけどストーリーを見たいという人は「アシストモード」をONにすると無敵やスタミナ・ジャンプの制限解除などを設定できる。これを使うとぶっちゃけアクション部分が作業と化す。~
-アシストモードを使うことでペナルティがあるわけではないが、このゲームは難しい場面を努力して越えていく設計なので、~
「強制ではないができれば初回プレイ中は使わないでほしい」という旨の''開発からのメッセージが''アシストモード選択画面で表示される。
-探索要素
--各チャプターのスタートからゴールまで各場面が連続しているが、完全な一本道ではなく探索要素もいくらか用意されており、下記の寄り道やコレクションを楽しむこともできる。
--ストロベリー収集
---各場面内にはイチゴが配置されており、取っても実用的には何も得にならないが取得数がカウントされているため収集意欲をそそる。~
イチゴはマップ内の見えないところに隠されているものもあれば、場所は明確だが''あからさまに危険な位置''にあったりする。((ストロベリーは触れた後に安全な地面に着地しないと取得した扱いにならない。))
--ハート
---各チャプターにひとつ配置されている。取得には謎解き的なギミックを解く必要があるものが多い。
--B面カセットテープ
---各チャプターにひとつカセットテープが隠されており、取得するとそのチャプターの"B面"が解禁され以降自由に遊べる。
---B面は表面とギミックこそ共有しているが、コースの構成は刷新されており、更に難易度が上がっている裏面となっている。
--C面
---B面をすべてクリアすると最後の隠しステージ「C面」がアンロックされる。難易度は更に上昇しているが、コース全体の長さは短い。
--ゴールデンストロベリー
---C面と同時にアンロック。すべてのステージ開始地点に金色のイチゴが配置され、コースを最後まで''ノーミスでクリア''すれば取得できる。
---特に難易度が高くコースも長いB面のゴールデンストロベリー取得は超高難易度。これをコンプできれば名実ともにセレステ山の「ベテラン登山家」を名乗っても良いだろう。
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**評価点
-心が折れそうになる難易度と心が折れるギリギリで達成可能なバランス
--セレステ山は登山者をまともに登頂させる気はないらしく序盤からとんでもない位置に穴や即死トゲが置かれ、マデレンを幾度となく殺していく。~
このゲームは各チャプターごとに死亡回数((ミス回数、ではなく骸骨のアイコンまで付けた上で''死亡回数''と明記している。作中でも山中で死者が大勢出ている描写がありセレステ山でのミスは死であるらしい。))が記録される仕様だが、アクションゲームに慣れた人間でも初回クリアまでに''数千人''はマデレンの死体を積み上げていくだろう。~
なんとか進めそうに見えるのだが、実際に挑戦すると絶妙な位置にトゲが置かれていることも多くマデレンをティウンティウンさせてしまう。
---ティウンティウンと書いたが、マデレンは普通の人間という設定なのに死ぬとなぜか[[ロックマン]]と同じエフェクトで散華する。~
これに限らずCelesteには名作アクションゲームのリスペクトネタがいくつも仕込まれている。
--だが前述の通りリトライしやすいシステムを生かし、絶対無理だろうと思えた場面を再挑戦の末に突破した時の達成感は筆舌に尽くしがたい。~
そして難しいのは確かだが絶対に無理だ!と投げ出したくなる理不尽な仕掛けは少ない。~
初見では突破不可能に感じる難所がマデレンの前に立ちはだかるのだが、実際に何回か挑戦して失敗すると~
死んだ原因や次回での対抗策を体感できるようになっておりいつの間にか突破口を見出せる巧妙な構成になっている。~
「くそっ死んだ次こそは」と指を痛くしながらついつい長時間遊んでしまう絶妙なバランスがCelesteの魅力である。~
もちろん操作性や反応も良好なのでストレスなく難関のリトライができる。%%難関自体がストレスとかいうな%%
-優れたシナリオとそれを彩るドットアニメとBGMによる演出
--Celesteはマデレンが黙って山を登るゲームではなく、彼女がなぜセレステ山に登ろうと思い立ったか、山中で起きる謎の現象、道程で出会う人々やマデレン自身の心の中にある闇、などのさまざまなストーリーが山中で展開される。~
これらの先が気になるシナリオを作りこんだドット絵によるアニメや、BGMや音響効果まで駆使して表現しており、~
歯ごたえのあるアクション要素とストーリーイベント、ステージの雰囲気までもが絡み合ってプレイヤーを夢中にする。~
シナリオについての詳細な解説は避けるが、実に優れた演出効果で表現しており~
例えばこの先に進んだら不穏なことが起きそうな時は進み具合に合わせてBGMのテンポやピッチが不安を煽るものに変わるなどの音響面も抜かりない。
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**不評点
-難易度に付いていけない者へのフォローは少ない
--特徴や評価点のそのまま裏返しとなるが、高い難易度に付いていけそうにない者についてはアシストモードを使う以外に対処法はない。~
事前に歯ごたえのあるアクションゲームとわかって購入した者ならばそう脱落することはないが~
たまたまマデレンのイメージビジュアルを見ただけで買ったなど、ゲームの内実を知らなかった者やアクション初心者にはセレステ山の壁は高い。
--そして隠し面などのボリュームは随一だが、突き詰めていけば新しい歯ごたえのある面を進んでいくしかできないためそういう人間がつまづくと厳しい。
-シナリオ面でも陰鬱な描写が多い
--このゲームはマデレンがただ山を登るだけではなく、オカルトファンタジー的な描写が多い物語になっている。
#region(チャプター3~4までのネタバレ)
実はマデレンはとある実在の精神疾患にかかっており、その改善を図るのがセレステ山に挑む理由の''一つ''である。~
しかもセレステ山は心の中の闇を現実に投影する力があり、心の中にしかないはずの''闇''が実体化して彼女を襲う。~
つまり物理的に存在する山の難所と、彼女自身の心の闇という二段構えの壁を越えるのがこのゲームの目的なのだ。~
#endregion
--要は「気分が重くなる」描写が中盤までは多いということである。~
もちろん壁にぶつかってもその都度乗り越えているし最終的にはカタルシスにつながり一通り解決するため決して鬱ゲーではないのだが、~
アクションが難しく何度もリトライをしている長い間、「気がめいる」シナリオ展開もずっと続くことになるため~
難しいアクションと暗い描写の複合効果で投げ出す者が出てもおかしくない。
-解法自体がわからない場面のヒントはない
--アクション要素が難解なだけならば練習や覚えゲーでなんとかなるし最悪アシストモードで飛ばせるが、~
「どう進めば突破できるかの見当がつかない」というパズル要素のある仕掛けがたまに存在する。~
それはプレイヤーの「気付き」の問題になってしまうため解法が思いつかない場合は外部の攻略を見るしかない。特に隠し収集要素に関してはオマージュネタを知らなければとてもわからないようなものもある。
-死亡回数表示が増える一方
--ゲームの理念的にどうしようもないがプレイするたびにどんどん死亡回数の記録が伸びていくだけで消せないため気になる人は気になる。
--作中で「死亡回数は気にするな!むしろたくさん挑んだ証だ」という旨のフォローがあり、もちろん死亡回数を少なく抑えても何もイベントなどは起こらない。
--なお統計データには「チャプターごとの通算死亡回数」とは別に「1回のチャプタークリアにおける死亡回数の最少記録」も記録される。
-翻訳がやや雑
--本作は海外でしか出ていないリリース当初から日本語訳も収録されているが、不自然な訳が多い。
---とはいうもののシナリオの理解に支障が出るような珍訳は一つもない。「少し引っかかる」程度である。
----
**総評
評価点と不評点がコインの裏表のようになっているが、操作性やアクション性、シナリオに演出や難易度曲線などの全てが高いレベルでまとまっている。~
何度も死んでリトライを繰り返すタイプの作品ではあるが、その手のアクションゲームに興味のある人間ならばぜひともセレステ・マウンテンに挑んでみてほしい。~
作中の人物の言葉を借りれば「%%%セレステ山は決して甘くはないが、思いのほか優しい%%%」~
----
**余談
-開発者のMatt Thorsonは2004年頃から即死系ジャンプアクションゲームなどをリリースし続けており、本作のシステムはそれらのゲームの流れを汲むものである。
--フリーゲームのJumperシリーズなどで知っている人もいるかもしれない。
-本作の元となったゲームとして、レトロ風ゲーム制作ツールPICO-8で作成されたクラシック版Celesteと呼べるゲームが存在する。~
クラシック版は公式HPでフリーで遊べる上に''本作にも収録されており''条件を満たせば自由に遊べる。
--ステージ自体の難易度は本編よりは低いが、アシストが使えないうえ途中セーブも不可能なためクラシック版の制覇が本作の実績では最難関であると言える。
-ニンテンドーeShopなどでこのソフトの[[公式解説ページ>https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000010822]]を見ると、当然だがソフトについての特徴が箇条書きされている。~
「・魅力的なキャラクター達とホロリとする…」「・700以上のハードコアなプラットフォーム・チャレンジと…」などなど。~
しかしその箇条書きの最後で「・''パイ''」とだけ書かれた謎の二文字がある。~
''パイってなんだ!? ''%%まさかマデレンの!?%% と気になった人がいるかも知れないが、~
これは文章にミスや抜けがあったわけではなく、英語原文もそうなっていてそのままの和訳である。~
パイの意味を知りたければぜひともゲームをエピローグ(エンディング)まで見てから以下のregionを開いてほしい。
#region(マデレンの……パイ)
この「・''パイ''」は原文では「・''Pie''」となっている。つまりエピローグで出てきたあれのことであろう。
#endregion