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*ドラゴンウォーズ 【どらごんうぉーず】 |ジャンル|RPG|&amazon(B000068H0C)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|3MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|コトブキシステム|~| |発売日|1991年8月9日|~| |定価|6,800円(税抜)|~| |判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~| |ポイント|ダークな世界観&br()キャラメイク自由&br()育成方針も自由&br()イベントの順番も自由&br()基本的に3D迷路&br()合わない人には合わない|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 洋ゲー『Bard's Tale』の4作目として制作されていたゲーム。~ タイトル権の問題でバーズテイルの名称が使えなかったため方針転換し、ドラゴンの要素を加えてドラゴンウォーズというタイトルになった。~ 元はPC用ゲームであり、家庭用ゲーム機ではファミコン版(ケムコ版)が唯一の移植作品である。~ 内容は『[[Wizardryシリーズ]]』やバーズテイルと同様の3DRPGで、PC版ではそれらのゲーム間でキャラの転送も可能であった。~ バーズテイルは名前通り吟遊詩人が鍵を握っていたが、本作は職業という概念自体がなく、他に類を見ない独特のキャラクターシステムを採用している。~ 他のバーズテイルシリーズ同様、最初からラスボスの正体が判明しており、倒すための手掛かりを求めてあちこちさまよい歩くのが冒険のメインとなる。~ ただし「次は○○へ行け」と指示してくれる人物はいない。どこへ行こうが何をしようがプレイヤーの自由なのだ。~ シナリオはどちらかというとシリアスなほうだが、『[[シャドウゲイト]]』に代表されるケムコテキストが絶妙な%%ギャグ要素%%アクセントを加えている。 **ストーリー(説明書より) 恒星シリウスの持つ惑星のひとつ「オセアナ」、この物語はオセアナのなかで最も有名な地方「ディルムン」。~ その中でも最大の勢力をほこるキングスホームの王ドレイクは、魔術師ナムターの陰謀で、ナムターの操り人形と化してしまった。~ 洗脳された王は、ディルムンの都市「プロガトリー」を平和も自由もない地獄に変えてしまったのだ。~ その頃、君は何も知らずディルムンに冒険の旅に出かけていた。~ しかし、ディルムンで君を待ち受けていたのは地獄の歓迎式だった。~ 身ぐるみ剥がされプロガトリーのスラム街に放り出された君は、仲間を殺された怒りに震えた。~ そして悪を倒すため、戦い抜くことを決意した。 **システム -キャラクターを4人作成してからゲームスタートする。 --ボーナスポイントを各種パラメータやスキルに振り分けて、自分好みのキャラクターを作れる。 ---ポイントはキャラメイク時に70ポイント得られ、後はレベルアップ時に追加で得られる。 ---得られたポイントはあえて振らずにストックしておき、必要になった時点で振ることもできる。 ---自分で振り分けずに、あらかじめ作られた4種類のデフォルトタイプから選ぶこともできる。 --名前を入力しなかった場合、デフォルトネームになる。 --パッケージやタイトル画面にドラゴンと戦う男女が描かれているが、キャラクターに性別設定はない。 #region(デフォルトタイプ紹介) |戦士タイプ|各種の武器を使いこなす。しかし使う武器は1種類に絞って、余ったポイントを力などのパラメータに振ったほうが強くなる。悪い割り振りの典型。| |盗賊タイプ|各種の技術を持っている。しかし技術はパーティ内で分担して覚えるべきであり、一人で何もかも抱え込むと一人だけ弱くなる。いわゆる器用貧乏。| |僧侶タイプ|多少割り振りに無駄があるが、最初からドルイドマジックを覚えている。デフォルトタイプでは一番使いやすい。| |魔術師タイプ|最初からハイマジックを覚えている。精神力(MP)に振りすぎの感じだが、このくらい極端なキャラのほうが戦力になる。| #endregion -装備品には重さの概念があり、大抵のものは装備するために力のパラメータが必要になる。 --力ではなく、素早さや精神力など他のパラメータが必要になるものもある。 ---何のパラメータがどのくらい必要なのかは、店で鑑定してもらえば判明する。 --武器にも重さがあり、重い武器ほど命中率が低い。武器のスキルや素早さを高めれば命中率を補える。 --スキルレベル0の武器は装備しても攻撃力が上がらない。 ---装備品の種類は説明書に全て記載されているので迷う事はない。 -魔法は「ローマジック」を基本とし、「ドルイドマジック」「ハイマジック」「サンマジック」という系統に分かれる。 --ローマジックを覚えないと他の系統は覚えられない。ただし誰でも使える雑多な魔法「ミスクマジック」もある。 --魔法のスキルを上げると、威力と消費MPを調節して放つことができるようになる。 --魔法の種類や効果は説明書に全て記載されているので迷う事はない。 -戦闘中は敵との「距離」の概念があり((バーズテイル2作目から採用されたシステム。))、射程の短い武器はまず敵に近付かないと攻撃ができない。 --敵も同様。中には魔法でこちらを吹き飛ばして距離を取ってくる厄介な敵もいる。 -HPの他に「気力」のパラメータがあり、気力がなくなると気絶してしまう。 --「治療」のスキルを使うことで気絶を治すことができる。スキルを持った者が気絶していると使えない。 **評価点 -3Dマップ仕様 --屋外から建物内部などを3D仕様で移動する仕様。広大であるが地図を見る事も出来るので分かり易い、その地図も壁や地面の質感が高品質である。 -オートマッピング完備。 --フィールドも町中も、一度歩いた所はいつでもマップで確認できるようになる。 ---迷わないように隅々まで歩いて地図を完成させるという作業に精を出すこともできる。 -戦力不足の序盤は、魔法で精霊を呼び出してパーティメンバーの空きを埋めることができる。 --精霊はメンバーに空きがある限り何匹でも呼び出せる。一定距離歩くか死ぬと消えてしまうが、また呼び出せる。 --5人目以降は後列扱いとなり敵の直接攻撃を受けない。重い防具を装備できない魔法向きキャラを安全に守ることができる。 -知識系スキルを高めておくと、怪しい場所でヒントを得ることができる。 --それほどポイントを必要としないので、自信がなければ最大まで高めておくといい。パーティ内で一人だけ上げれば十分。 -謎解きのために世界中を何度も周ることになるが、ワープゾーンや定期船のほか「アンダーワールド」と呼ばれる地底トンネルもあり、交通アクセスは割と良い。 --アンダーワールドはシナリオにも深く関わってくる。 -演出 --2分にも渡るオープニング。一枚絵も多く、特殊効果による演出もあり、中には大勢の人々がこちらへ歩いて来るのまで表現。ただし飛ばせない。 --魔法を使うとエフェクトにパーティクルが出る。例えば冷気魔法なら結晶が出る。これはDQ4にすらなかった仕様である。 --アニメーション ---人々や敵がアニメーションする。反転もあるが、剣を振ったり、色々な動作が用意。更にラスタスクロールで独自の味わいも付く。なおラスタスクロールは他でも応用されており雰囲気を出すのに一役買っている。 -BGMが秀逸((PC版にはBGMがなく、FC版で新規に作られた。))。 --オープニングの神秘的な曲、戦闘の熱い曲、会話時の楽しげな曲、危機的状況の激しい曲など、どれも雰囲気が良く出ている。 ---同じ地上でも場所ごとにBGMが違う。 --ファミコンなだけあって3Dグラフィックはショボいが、足りない部分をBGMが見事に補完し、描ききれなかった情景が浮かび上がって来るように感じられる。 **賛否両論点 -ダークな世界観 --オープニングから身ぐるみ剥がされ放り出されるという、かなり厳しめの展開。洋ゲーにはよくあることだが。 --所持金はもちろん装備もない最低の状態から始まる。 --最初の町(プロガトリー)は高い壁に囲まれており、自由な冒険はここを脱出してからとなる。 ---脱出方法は、隠し通路を発見する・技術力を上げて壁を超える・''冒涜行為をして連行される''・''死体袋に入って海に流される''など数種類ある。 ---脱出するまでは練習と割り切ってデフォルトキャラでプレイし、脱出後にあらためて自作キャラでスタートするのもいい。 --闘技場に参加すると最低限の装備を与えられるという優遇を受けられる。 ---ここで''装備を持ち逃げ''すると楽になる。もちろんボロクソにけなされるが。 --スレーブキャンプでは、ケガをした男が瀕死の状態で横たわっており、治療スキルで救おうとするも死んでしまう状況、一枚絵も動いたのも相まってプレーヤーにトラウマを与えた。 -仲間に加わるキャラは4人((PC版よりも減っている。特に序盤で仲間になる盗賊系キャラが削除されたため、盗賊技能はパーティキャラで補う必要ができた。))いるが、パーティメンバーは7人までなので、多すぎる場合は誰かを外さなければならない。このとき''最初に作ったキャラも外せたりする''。 --仲間にしたキャラによってメインシナリオの展開が変わることはない。仲間にしないことも可能。 ---フラグを立てていないと''戦闘になり殺してしまう''という展開もあったりする。 --最初の町で仲間になる前衛向きキャラ以外は、前衛でも後衛でもこなせる能力になっている。前衛が増えすぎて困るといったことはない。 -能力や技術のスキルレベルが足りないと突破できないイベントがある。 --ポイントを振らずに残してあれば振ってみて突破できるかどうか試せるが、残していない場合レベル上げが必要になってくる。 ---このためポイントは全部振らずにある程度残しておき、必要になった時に上げるのが基本である。 -レベルアップしてもらえるポイントが、大体の場合2~4ポイントのランダム。 --ポイントを振らないと強くなれないシステムなのに、運悪く2ポイントが続いたりするとなかなか強くなれない。後半になるほどレベルも上がりにくくなる。 ---レベルアップまでの経験値はいつでも確認できるので、レベルアップ寸前でセーブしておいて4ポイント得るまで粘るようにすると強くなれる。これをやるかどうかはプレイヤー次第。 -ボスから逃げる事が出来てしまう。 **問題点 -持てるアイテムの数が少なく、すぐにいっぱいになってしまう。 --MP回復アイテム「ドラゴンストーン」が大量に手に入るが、1つにまとめることができず、バラバラに持ち歩くしかない。 ---落ちているアイテムは拾わなければその場に残り続けるので、必要になってから拾うべきである。 --魔法を覚えるための巻物もアイテム扱いなので、持ち物がいっぱいだと新たな魔法を覚えることもできない。 --ショップの数が非常に少なく、売りに行こうにもかなり後戻りをしなければならない。それほどお金が必要なゲームでもないが。 -重要なヒントが基本的に一度しか聞けず、忘れてしまうとしらみつぶしに世界中を回るしかなくなってしまう。 --当然メモ機能など無いので、重要な情報は自分でメモを取るしかない。 -自由度が高いため、序盤からかなりの強敵と出会ってしまう危険性が高い。 --その場合は場所を覚えておいて、もっと強くなってから出直すしかない。 --ザコ敵はそれほど強くないのに、ボスだけメチャクチャ強いなんてこともある。 -オープニング以外にも、いきなり拉致されて知らない場所に閉じ込められるイベントがいくつかある。 --大抵の場合、イベントを終わらせないと脱出できない。MPが尽きそうな状態で拉致されたら詰みかねない。 ---セーブデータが1つしか残せないため、回復ポイントを見つけるまではうかつにセーブしないほうがいい。 **総評 町を回る順番がほぼ自由、謎解きのヒントやアイテムが断片的にしか手に入らないなど、「手探りで冒険している感」を味わわせてくれるゲーム。~ 似たようなゲームに『[[Might and Magic (FC)]]』があるが、あちらほど理不尽な謎解きはないし、プレイに支障が出るようなバグもない。~ 手慣れた人なら数時間でクリアできてしまうほどのボリュームしかないが、何も知らない人がプレイすると20~30時間はかかるであろう超大作である。~ 一方で3Dマップや独特の成長システムなど、かなり人を選ぶ所もあり、なじめずにクソゲーと決めつけてしまう人がいたことも事実。~ セーブしてから色々と試してみる系のゲームなので、「何があってもリセットしない!」という厳格主義な人にも向いていない。~ 評価は人によって変わるが、ハマれば一生心に残る思い出の作品となるだろう。今なお名作として名前を挙げる人もいる。~ プレイするならクリアまでに一ヶ月はかかることを見越し、じっくり腰を据えて、毎日少しずつ進めて行くようにしよう。 **その後の展開 バーズテイルシリーズは長らく3作目までしか出ていなかったが、なんと28年もの空白期間を経て4作目が作られた。~ 当然だがその内容は本作と全く関係なく、時代の流れを取り入れまくり全くの別ゲーと化したものであった。~ 本作はというと、ファミコン後期にひっそりと発売されたまま、移植やリメイクもなく知る人ぞ知る隠れた名作のままである。
*ドラゴンウォーズ 【どらごんうぉーず】 |ジャンル|RPG|&amazon(B000068H0C)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|3MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|コトブキシステム|~| |発売日|1991年8月9日|~| |定価|6,800円(税抜)|~| |判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~| |ポイント|ダークな世界観&br()キャラメイク自由&br()育成方針も自由&br()イベントの順番も自由&br()基本的に3D迷路&br()合わない人には合わない|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 元々は1985年に1作目が発売されたRPG、『Bard's Tale』シリーズの4作目として制作されていた。~ だが、商標権の問題((『Bard's Tale』の商標権を同シリーズのパブリッシャーであったEAが保有していたため))で「バーズテイル」のタイトルが使えなかったことから方針を転換し、ドラゴンの要素を加えて「ドラゴンウォーズ」というタイトルになった。~ 元はPC用ゲームであり、家庭用ゲーム機ではファミコン版(ケムコ版)が唯一の移植作品でリリースされたのも日本のみである。((海外でもNES版はPC版のデベロッパーであるInterplayから出る予定だったがこちらは中止となっている。))~ 内容は『[[Wizardryシリーズ]]』やバーズテイルと同様の3DRPGで、PC版ではそれらのゲーム間でキャラの転送も可能であった。~ バーズテイルは名前通り吟遊詩人が鍵を握っていたが、本作は職業という概念自体がなく、他に類を見ない独特のキャラクターシステムを採用している。~ 他のバーズテイルシリーズ同様、最初からラスボスの正体が判明しており、倒すための手掛かりを求めてあちこちさまよい歩くのが冒険のメインとなる。~ ただし「次は○○へ行け」と指示してくれる人物はいない。どこへ行こうが何をしようがプレイヤーの自由なのだ。~ シナリオはどちらかというとシリアスなほうだが、『[[シャドウゲイト]]』に代表されるケムコテキストが絶妙な%%ギャグ要素%%アクセントを加えている。 **ストーリー(説明書より) 恒星シリウスの持つ惑星のひとつ「オセアナ」、この物語はオセアナのなかで最も有名な地方「ディルムン」。~ その中でも最大の勢力をほこるキングスホームの王ドレイクは、魔術師ナムターの陰謀で、ナムターの操り人形と化してしまった。~ 洗脳された王は、ディルムンの都市「プロガトリー」を平和も自由もない地獄に変えてしまったのだ。~ その頃、君は何も知らずディルムンに冒険の旅に出かけていた。~ しかし、ディルムンで君を待ち受けていたのは地獄の歓迎式だった。~ 身ぐるみ剥がされプロガトリーのスラム街に放り出された君は、仲間を殺された怒りに震えた。~ そして悪を倒すため、戦い抜くことを決意した。 **システム -キャラクターを4人作成してからゲームスタートする。 --ボーナスポイントを各種パラメータやスキルに振り分けて、自分好みのキャラクターを作れる。 ---ポイントはキャラメイク時に70ポイント得られ、後はレベルアップ時に追加で得られる。 ---得られたポイントはあえて振らずにストックしておき、必要になった時点で振ることもできる。 ---自分で振り分けずに、あらかじめ作られた4種類のデフォルトタイプから選ぶこともできる。 --名前を入力しなかった場合、デフォルトネームになる。 --パッケージやタイトル画面にドラゴンと戦う男女が描かれているが、キャラクターに性別設定はない。 #region(デフォルトタイプ紹介) |戦士タイプ|各種の武器を使いこなす。しかし使う武器は1種類に絞って、余ったポイントを力などのパラメータに振ったほうが強くなる。悪い割り振りの典型。| |盗賊タイプ|各種の技術を持っている。しかし技術はパーティ内で分担して覚えるべきであり、一人で何もかも抱え込むと一人だけ弱くなる。いわゆる器用貧乏。| |僧侶タイプ|多少割り振りに無駄があるが、最初からドルイドマジックを覚えている。デフォルトタイプでは一番使いやすい。| |魔術師タイプ|最初からハイマジックを覚えている。精神力(MP)に振りすぎの感じだが、このくらい極端なキャラのほうが戦力になる。| #endregion -装備品には重さの概念があり、大抵のものは装備するために力のパラメータが必要になる。 --力ではなく、素早さや精神力など他のパラメータが必要になるものもある。 ---何のパラメータがどのくらい必要なのかは、店で鑑定してもらえば判明する。 --武器にも重さがあり、重い武器ほど命中率が低い。武器のスキルや素早さを高めれば命中率を補える。 --スキルレベル0の武器は装備しても攻撃力が上がらない。 ---装備品の種類は説明書に全て記載されているので迷う事はない。 -魔法は「ローマジック」を基本とし、「ドルイドマジック」「ハイマジック」「サンマジック」という系統に分かれる。 --ローマジックを覚えないと他の系統は覚えられない。ただし誰でも使える雑多な魔法「ミスクマジック」もある。 --魔法のスキルを上げると、威力と消費MPを調節して放つことができるようになる。 --魔法の種類や効果は説明書に全て記載されているので迷う事はない。 -戦闘中は敵との「距離」の概念があり((バーズテイル2作目から採用されたシステム。))、射程の短い武器はまず敵に近付かないと攻撃ができない。 --敵も同様。中には魔法でこちらを吹き飛ばして距離を取ってくる厄介な敵もいる。 -HPの他に「気力」のパラメータがあり、気力がなくなると気絶してしまう。 --「治療」のスキルを使うことで気絶を治すことができる。スキルを持った者が気絶していると使えない。 **評価点 -3Dマップ仕様 --屋外から建物内部などを3D仕様で移動する仕様。広大であるが地図を見る事も出来るので分かり易い、その地図も壁や地面の質感が高品質である。 -オートマッピング完備。 --フィールドも町中も、一度歩いた所はいつでもマップで確認できるようになる。 ---迷わないように隅々まで歩いて地図を完成させるという作業に精を出すこともできる。 -戦力不足の序盤は、魔法で精霊を呼び出してパーティメンバーの空きを埋めることができる。 --精霊はメンバーに空きがある限り何匹でも呼び出せる。一定距離歩くか死ぬと消えてしまうが、また呼び出せる。 --5人目以降は後列扱いとなり敵の直接攻撃を受けない。重い防具を装備できない魔法向きキャラを安全に守ることができる。 -知識系スキルを高めておくと、怪しい場所でヒントを得ることができる。 --それほどポイントを必要としないので、自信がなければ最大まで高めておくといい。パーティ内で一人だけ上げれば十分。 -謎解きのために世界中を何度も周ることになるが、ワープゾーンや定期船のほか「アンダーワールド」と呼ばれる地底トンネルもあり、交通アクセスは割と良い。 --アンダーワールドはシナリオにも深く関わってくる。 -演出 --2分にも渡るオープニング。一枚絵も多く、特殊効果による演出もあり、中には大勢の人々がこちらへ歩いて来るのまで表現。ただし飛ばせない。 --魔法を使うとエフェクトにパーティクルが出る。例えば冷気魔法なら結晶が出る。これはDQ4にすらなかった仕様である。 --アニメーション ---人々や敵がアニメーションする。反転もあるが、剣を振ったり、色々な動作が用意。更にラスタスクロールで独自の味わいも付く。なおラスタスクロールは他でも応用されており雰囲気を出すのに一役買っている。 -BGMが秀逸((PC版にはBGMがなく、FC版で新規に作られた。))。 --オープニングの神秘的な曲、戦闘の熱い曲、会話時の楽しげな曲、危機的状況の激しい曲など、どれも雰囲気が良く出ている。 ---同じ地上でも場所ごとにBGMが違う。 --ファミコンなだけあって3Dグラフィックはショボいが、足りない部分をBGMが見事に補完し、描ききれなかった情景が浮かび上がって来るように感じられる。 **賛否両論点 -ダークな世界観 --オープニングから身ぐるみ剥がされ放り出されるという、かなり厳しめの展開。洋ゲーにはよくあることだが。 --所持金はもちろん装備もない最低の状態から始まる。 --最初の町(プロガトリー)は高い壁に囲まれており、自由な冒険はここを脱出してからとなる。 ---脱出方法は、隠し通路を発見する・技術力を上げて壁を超える・''冒涜行為をして連行される''・''死体袋に入って海に流される''など数種類ある。 ---脱出するまでは練習と割り切ってデフォルトキャラでプレイし、脱出後にあらためて自作キャラでスタートするのもいい。 --闘技場に参加すると最低限の装備を与えられるという優遇を受けられる。 ---ここで''装備を持ち逃げ''すると楽になる。もちろんボロクソにけなされるが。 --スレーブキャンプでは、ケガをした男が瀕死の状態で横たわっており、治療スキルで救おうとするも死んでしまう状況、一枚絵も動いたのも相まってプレーヤーにトラウマを与えた。 -仲間に加わるキャラは4人((PC版よりも減っている。特に序盤で仲間になる盗賊系キャラが削除されたため、盗賊技能はパーティキャラで補う必要ができた。))いるが、パーティメンバーは7人までなので、多すぎる場合は誰かを外さなければならない。このとき''最初に作ったキャラも外せたりする''。 --仲間にしたキャラによってメインシナリオの展開が変わることはない。仲間にしないことも可能。 ---フラグを立てていないと''戦闘になり殺してしまう''という展開もあったりする。 --最初の町で仲間になる前衛向きキャラ以外は、前衛でも後衛でもこなせる能力になっている。前衛が増えすぎて困るといったことはない。 -能力や技術のスキルレベルが足りないと突破できないイベントがある。 --ポイントを振らずに残してあれば振ってみて突破できるかどうか試せるが、残していない場合レベル上げが必要になってくる。 ---このためポイントは全部振らずにある程度残しておき、必要になった時に上げるのが基本である。 -レベルアップしてもらえるポイントが、大体の場合2~4ポイントのランダム。 --ポイントを振らないと強くなれないシステムなのに、運悪く2ポイントが続いたりするとなかなか強くなれない。後半になるほどレベルも上がりにくくなる。 ---レベルアップまでの経験値はいつでも確認できるので、レベルアップ寸前でセーブしておいて4ポイント得るまで粘るようにすると強くなれる。これをやるかどうかはプレイヤー次第。 -ボスから逃げる事が出来てしまう。 **問題点 -持てるアイテムの数が少なく、すぐにいっぱいになってしまう。 --MP回復アイテム「ドラゴンストーン」が大量に手に入るが、1つにまとめることができず、バラバラに持ち歩くしかない。 ---落ちているアイテムは拾わなければその場に残り続けるので、必要になってから拾うべきである。 --魔法を覚えるための巻物もアイテム扱いなので、持ち物がいっぱいだと新たな魔法を覚えることもできない。 --ショップの数が非常に少なく、売りに行こうにもかなり後戻りをしなければならない。それほどお金が必要なゲームでもないが。 -重要なヒントが基本的に一度しか聞けず、忘れてしまうとしらみつぶしに世界中を回るしかなくなってしまう。 --当然メモ機能など無いので、重要な情報は自分でメモを取るしかない。 -自由度が高いため、序盤からかなりの強敵と出会ってしまう危険性が高い。 --その場合は場所を覚えておいて、もっと強くなってから出直すしかない。 --ザコ敵はそれほど強くないのに、ボスだけメチャクチャ強いなんてこともある。 -オープニング以外にも、いきなり拉致されて知らない場所に閉じ込められるイベントがいくつかある。 --大抵の場合、イベントを終わらせないと脱出できない。MPが尽きそうな状態で拉致されたら詰みかねない。 ---セーブデータが1つしか残せないため、回復ポイントを見つけるまではうかつにセーブしないほうがいい。 **総評 町を回る順番がほぼ自由、謎解きのヒントやアイテムが断片的にしか手に入らないなど、「手探りで冒険している感」を味わわせてくれるゲーム。~ 似たようなゲームに『[[Might and Magic (FC)]]』があるが、あちらほど理不尽な謎解きはないし、プレイに支障が出るようなバグもない。~ 手慣れた人なら数時間でクリアできてしまうほどのボリュームしかないが、何も知らない人がプレイすると20~30時間はかかるであろう超大作である。~ 一方で3Dマップや独特の成長システムなど、かなり人を選ぶ所もあり、なじめずにクソゲーと決めつけてしまう人がいたことも事実。~ セーブしてから色々と試してみる系のゲームなので、「何があってもリセットしない!」という厳格主義な人にも向いていない。~ 評価は人によって変わるが、ハマれば一生心に残る思い出の作品となるだろう。今なお名作として名前を挙げる人もいる。~ プレイするならクリアまでに一ヶ月はかかることを見越し、じっくり腰を据えて、毎日少しずつ進めて行くようにしよう。 **その後の展開 バーズテイルシリーズは長らく3作目((『The Bard's Tale III: Thief of Fate』が発売されたのが1988年。日本では唯一、PC-9801版がリリースされた。))までしか出ていなかったが、なんと28年もの空白期間を経て4作目が作られた。~ 当然だがその内容は本作と全く関係なく、時代の流れを取り入れまくり全くの別ゲーと化したものであった。~ 本作はというと、ファミコン後期にひっそりと発売されたまま、移植やリメイクもなく知る人ぞ知る隠れた名作のままである。

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