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バハムート戦記 - (2016/05/27 (金) 00:21:25) の最新版との変更点

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*バハムート戦記 【ばはむーとせんき】 |ジャンル|シミュレーション|&amazon(B000148HGY)| |対応機種|メガドライブ|~| |メディア|4MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|セガ・エンタープライゼス|~| |発売日|1991年3月8日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1~4人|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2007年4月24日/600Wiiポイント|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 MD中期のファンタジーSLGの傑作。プレイヤーは複数のマスターから1人を選び、バハムート大陸の統一を目指す。 **ストーリー ここは幻想と魔法が支配する遥かなる大陸バハムート。~ 人々はここに王国を築き上げ、平和な日々を過ごしていた。~ 大陸に邪悪と混沌とが蘇った『闇の時代』が訪れるまで…~ 王国の中心だった城塞都市は死のバルマー卿に支配され、~ ガイラムが指揮する巨人族はドワーフどもを葬り去り、~ 大ドラゴンのベルフレイムは漆黒の天空を舞い、~ かつて葬られた伝説の大魔王クリムトまでが復活した。~ さらに人間たちの中にも、~ 混沌の魔術師シェルファが、最強の狂戦士バストラルが、~ 大陸の覇者になろうと挙兵し軍勢の進撃を開始した。~ だが、混沌とした闇の時代に邪悪を討ち滅ぼそうと、~ エルフの森でエル兄妹が、滅び去った王家でジークが立ち向かい、~ 再び平和な時を呼び戻そうと戦うのであった。~ そして・・・~ バハムートを新たなる時代へ導く戦いが今、始まる。~ **ゲームシステム プレイヤーは以下のマスターから一人を選び、バハムート大陸の統一を目指す。 #region(マスター一覧) -聖戦士 ジーク=フォーリア(属性:善) --バハムートの法と秩序を二千年にわたって守ってきたフォーリア王家の若き王。闇の時代以降父王バーフの後を継ぎ、忠臣レイモンド卿とともに王家復興と大陸の平和を目指して立ち上がった。幼少より剣士の訓練を受けた彼は、すでに聖戦士の称号を持ち、剣の腕はレイモンド卿に勝るとも劣らない腕前を誇る。 --主人公格のマスターだけあって、安定した本人の能力、水準以上の部隊を召集可能、さらに英雄による部隊強化も行え、地理的条件にも恵まれている…と利点が多め。初心者向け。 -狂戦士 バストラル=バインドアウト(属性:中立) --闇の時代の到来前、フォーリア王家に対抗し、皇帝ボルマンにより蛮人たちの帝国が築かれた。その後フォーリアの討伐軍によって倒されたが、落ちのびた残党が密かに皇帝の血を引く子供を連れ出した。それがバストラルである。成人後真実を知った彼は帝国再建を誓い、闇の時代の混乱に乗じて戦斧ウィンドバーグを手に義弟のディーンを伴って挙兵。ジークと反目することになる。 --準主人公格のマスター。格闘戦能力が全マスター中最強で、召集部隊に配置できる英雄の属性を選ばないので柔軟な対応ができる。ただし魔法系部隊の雇用コストが重めで、前衛向け召集部隊の能力にもやや難あり。初心者~中級者向け。 -大魔術師 シェルファ=フレイア(属性:悪) --闇の時代とともに、流星のように現れた混沌の女魔術師。かつてフォーリア王家に背いて弾圧された魔術師たちの末裔を率い、大魔術軍団を結成。永遠の魔術王国をつくるため戦陣に立ったといわれるが、真相はわからない。彼女には謎が多く、その氏素性も不明。彼女自身、悪魔の化身ではという噂もある。 --何といっても全属性の魔法を扱えるマスターは彼女のみで、HPこそ全マスター中最低だが装甲が全マスター中最高なので意外と生存能力は高い。魔法系の召集部隊も安価に抑えられ、地理的条件も悪くない。初心者向け。 -エルフ エル=モア&エル=ウィン(属性:善) --大陸の東の森に古くから住むエルフ族の勇者。森一番の弓の腕と魔法の力を見込まれてエルフ元老院の勅命を受けたエル=モアは、闇の時代の邪悪と混沌に終止符を打つため、軍勢とともに心の支えの妹を伴い森を出た。 --弓による遠距離攻撃と魔法を駆使するタイプの召集部隊の性能が低コストながら優秀。英雄の助力や召喚部隊の編成次第で後方支援ユニットとしての目覚ましい活躍を期待できる。しかし火力が全体的に心もとないのが難点。初心者~中級者向け。マスターは通常はエル=モアだが、裏技でエル=ウィンに切り替えることも可能。 --兄のエル=モアは遠距離攻撃回数が3回と最多だが、使える魔法の属性が限られるのと魔法レベルが3どまりなのがネック。妹のエル=ウィンは肉体能力が全マスター中最低だが、暗黒魔法以外の魔法を全て行使できるのが強み。 -巨人族 ガイラム=グリンダム --巨人族のモットーは「世界の中心は俺たちだ」である。だが、欲のない彼らは、自分たちの領域さえ守られればそれで満足する種族だった。しかし巨人族の土地の資源に目をつけたドワーフが、フォーリア王家をだまして彼らを地下に閉じ込めさせてからは、ドワーフと人間を憎悪する凶暴な集団へと変化した。闇の時代に乗じて地下から解放された彼らはドワーフを滅ぼし、怒りに燃えて大陸制覇を目指す。 --全マスター中最大のHPを持ち、岩の投擲2回が光るものの、魔法の助力がほぼ見込めないのが最大の弱点。召集部隊の性能もいまいちなうえに英雄を雇うこともできず地理的にも周囲をマスターで囲まれているため非常に厳しい。上級者向け。 -巨龍 ベルフレイム --かつて大魔王クリムトと対立し、激しい戦いの末に命を落としたドラゴン族の女王。クリムトを呪い、復讐を誓って死んだ彼女の怨念は、闇の時代の暗黒の力に呼応して再びその姿を天空に示すこととなった。 --マスター本人と召集部隊のドラゴンが、共に飛行可能で移動後に範囲攻撃のブレスを吐けるので攻撃面はかなり凶悪。反面、魔法を使えるのがマスターのみなうえにマスターのMPを戦闘中に回復する手段がなく、長期戦は不利。中級者~上級者向け。 -大魔王 クリムト --最も古くから大陸に存在する悪魔族の王。強大な暗黒の力を使って一度は大陸支配に成功したが、フォーリア王家の英雄バルマー卿によって葬られた。しかし、今、大陸に暗黒の力が蘇るとクリムトもまた、亡霊のように地の底から復活し邪悪な野心のもとに殺戮を開始した。 --マスター及び利用可能なすべての召集部隊が飛行可能で召集部隊の性能も屈指。攻守ともにスキの少ない勢力。反面、回復魔法の使い手はマスターのみになるため、支援魔法の選択は重要。中級者向け。 -アンデッド バルマー卿 --フォーリア王家の創始者バルマー=フォーリアはクリムトと戦って絶命した後、王家の城の地下で妖刀ベサルスネーガとともに長い眠りについていた。だが闇の時代、彼は暗黒の力にあやつられ恐怖のアンデッドと化して自らの王家を滅亡に追い込み、王城を死者の群れで埋めつくした。暗黒の力により復活させられた彼には何の野心もなく、ただ死と破壊を求めるだけである。 --かなり特殊な立ち位置のマスター。召集部隊は一切呼び出せず、召喚部隊も基本的に固有のアンデッド部隊のみしか呼び出せない。また、扱える部隊の関係上回復魔法の利用や部隊の訓練も不可能。さらに、他の勢力相手の同盟が不可能で周囲をマスターで囲まれているなど制約が多い。しかしマスター及び召喚部隊のバンパイアが直接攻撃で相手のHPを吸収可能、壁役のユニットをコスト0で召喚可能、マスターと召喚部隊のリッチーによる強力な暗黒魔法の連発が行えるといった利点も持つ。上級者向け。 #endregion --なお、選択可能なマスターは最初に選んだシナリオによって異なる。 -ゲームの展開は1ターンごとにイベント・政策・作戦の各フェイズをこなすことで進行していく。 --イベントフェイズでは各領地へのイベント発生や策略の配布が行われる。 --政策フェイズでは主に同盟の締結や領土の購入などが行える。 --作戦フェイズでは部隊の訓練や召集・召喚、他の領土への侵攻などを行う。 -部隊には召集部隊と召喚部隊の2種類がある。 --召集部隊はLP(いわゆる資金。占領した土地によって得られるLPも異なる)で召集を行う部隊。部隊の訓練を行え、戦闘においてもこちらの指揮で操作が可能((ただし、マスターか英雄付きの召集部隊がいないと自動的に委任状態になる。))。 ---人間系マスターであれば英雄を付けることによって召集部隊が強化できるほか、英雄を付けた部隊のいる土地に対しても作戦フェイズを行うことができるようになる。 ---英雄の雇用と維持にはLPが必要であり、LPが払えなくなった場合は英雄は去って行ってしまい、以降同じ勢力には二度と雇用できなくなる。 ---英雄には善・中立・悪の属性が存在し、マスターの属性に合わない英雄は雇用できない。 --召喚部隊は敵を倒すことで得られるSPを用いて召喚する。SPは戦闘モードに勝利しないと得られない。全般的にパラメータは高いが、部隊の訓練を行えない、領土によって召喚できる部隊が異なる、行動は委任((設定で召喚部隊についても指揮を行えるように変更することは可能。))となるなどの制約がある。 ---一般的に強力な召喚部隊を呼び出せるのはLP収入の低い土地が多い。 -他の土地に侵攻をする・自分の領土にほかの勢力が侵攻してくると戦闘画面となる。 --戦闘モードもSLGでおなじみのヘックス画面戦闘から簡素なRPG風コマンド式の戦闘、トップビューのアクション画面戦闘を行えるなど多彩。 ---なお、戦闘モードでの勝利条件は敵全滅か敵マスターの撃破となるので、状況が不利な時にはマスターを倒して一発逆転を狙うこともできる。 --侵攻してくる勢力は他マスターの部隊のほかにも、中立地帯からモンスターやロック鳥などもイベントで侵攻してくるため、緊張感のあるプレイが楽しめる。 -これらのフェイズを繰り返し、最終的に自分以外のマスターを全員倒せば勝利となる。 --なお、マスターが倒された際には倒されたマスターの領地はすべて中立地帯となる。 **評価点 -初心者にも優しい作りながら奥の深いゲーム構成 --SLGでは複雑になりがちな内政を極力簡素化しており、初心者プレイヤーにもとっつきやすい。 --ゲームの設定も細かく行えるため、上級者でもいろいろな設定環境で遊べる。 ---加えてマスターごとの個性が強いため、選択したマスターによってプレイスタイルも大きく変わるので長く楽しめる。 --勝利条件が自分以外のマスターの敗北のため領土を全部取る必要はないので、比較的テンポよくゲームが進むのも大きい。 ---CPUの思考時間の短さもゲームのテンポの良さにつながっている。 --ターン開始時に発生するイベント・配布される策略はプレイ状況を一変させる力を持っており、不利な状況になっても立て直せる状況に持っていける機会も多い。 -世界観の完成度の高さ --15分もの長さを誇る真のエンディングは、展開の衝撃の強さも相まって今なお語り継がれるエンディングの一つである((余談だが、本作の真のエンディングへの到達条件がゲーム専門誌に掲載されたのは発売より実に1年半を要している。))。 ---真のエンディングへの伏線は、取扱説明書の記述や一部マスターのエンディングメッセージからも示唆されており、本作の奥深さが浮き彫りになってくる。 -裏技が豊富 --なぜかよい意味でのバグが多く、ルールに反した遊び方もかなり出来る。なかでも「紛れ込み」と言われる他軍の部隊を鹵獲するバグが有名。条件は長らく謎だったが2012年に解明がなされ、自力でも比較的簡単に出来ることになり、現役バハムーター達が盛り上がった。やり方は[[こちら>http://www.geocities.jp/kisaran_ragiran/bahamut/extra1.html]]を参照。 **問題点 -マスター間の格差が大きい。 --特に魔法による強化ができず召集できる部隊も今一つなガイラムが最弱マスターの筆頭。地理的条件も悪いため彼を用いたプレイはかなりのいばらの道。 -部隊の処分を任意で行うことができず、偵察失敗による全滅か戦闘での敗北でしか部隊の処分を行えない。 --1つの領地に配置できる部隊数は最大12までなので余剰部隊の処分は行う機会が多いが、この仕様のおかげでプレイのテンポが阻害されることも。 -策略コマンドがバランスブレイカー気味。 --中でも強力なのは強力な召喚ユニットを呼び出せる「巨神降臨」や問答無用で開戦時に大ダメージを与える「大地滅壊」「大気滅壊」など。 --他にもLPやSPを問答無用で別のマスターからすべて奪う「盗人」「妖精」もあげられやすい。 ---そのため、策略を封印して遊ぶ縛りプレイを行っているプレイヤーも多い。 **総評 ファンタジー世界を舞台とした作品ながら、世界観の構築、初心者へのとっつきやすさと設定の細かさで多種多様な遊び方ができるシステムなど、MDのSLGの中でも屈指の名作。~ 比較的潤沢に出回っていたこともあってか、中古価格も安価なうえVC配信も行われているので、遊ぶハードルも低い。興味があれば手に触れてみるのもよいだろう。
*バハムート戦記 【ばはむーとせんき】 |ジャンル|シミュレーション|&amazon(B000148HGY)| |対応機種|メガドライブ|~| |メディア|4MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|セガ・エンタープライゼス|~| |発売日|1991年3月8日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1~4人|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2007年4月24日/600Wiiポイント|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 MD中期のファンタジーSLGの傑作。プレイヤーは複数のマスターから1人を選び、バハムート大陸の統一を目指す。 **ストーリー ここは幻想と魔法が支配する遥かなる大陸バハムート。~ 人々はここに王国を築き上げ、平和な日々を過ごしていた。~ 大陸に邪悪と混沌とが蘇った『闇の時代』が訪れるまで…~ 王国の中心だった城塞都市は死のバルマー卿に支配され、~ ガイラムが指揮する巨人族はドワーフどもを葬り去り、~ 大ドラゴンのベルフレイムは漆黒の天空を舞い、~ かつて葬られた伝説の大魔王クリムトまでが復活した。~ さらに人間たちの中にも、~ 混沌の魔術師シェルファが、最強の狂戦士バストラルが、~ 大陸の覇者になろうと挙兵し軍勢の進撃を開始した。~ だが、混沌とした闇の時代に邪悪を討ち滅ぼそうと、~ エルフの森でエル兄妹が、滅び去った王家でジークが立ち向かい、~ 再び平和な時を呼び戻そうと戦うのであった。~ そして・・・~ バハムートを新たなる時代へ導く戦いが今、始まる。~ **ゲームシステム プレイヤーは以下のマスターから一人を選び、バハムート大陸の統一を目指す。 #region(マスター一覧) -聖戦士 ジーク=フォーリア(属性:善) --バハムートの法と秩序を二千年にわたって守ってきたフォーリア王家の若き王。闇の時代以降父王バーフの後を継ぎ、忠臣レイモンド卿とともに王家復興と大陸の平和を目指して立ち上がった。幼少より剣士の訓練を受けた彼は、すでに聖戦士の称号を持ち、剣の腕はレイモンド卿に勝るとも劣らない腕前を誇る。 --主人公格のマスターだけあって、安定した本人の能力、水準以上の部隊を召集可能、さらに英雄による部隊強化も行え、地理的条件にも恵まれている…と利点が多め。初心者向け。 -狂戦士 バストラル=バインドアウト(属性:中立) --闇の時代の到来前、フォーリア王家に対抗し、皇帝ボルマンにより蛮人たちの帝国が築かれた。その後フォーリアの討伐軍によって倒されたが、落ちのびた残党が密かに皇帝の血を引く子供を連れ出した。それがバストラルである。成人後真実を知った彼は帝国再建を誓い、闇の時代の混乱に乗じて戦斧ウィンドバーグを手に義弟のディーンを伴って挙兵。ジークと反目することになる。 --準主人公格のマスター。格闘戦能力が全マスター中最強で、召集部隊に配置できる英雄の属性を選ばないので柔軟な対応ができる。ただし魔法系部隊の雇用コストが重めで、前衛向け召集部隊の能力にもやや難あり。初心者~中級者向け。 -大魔術師 シェルファ=フレイア(属性:悪) --闇の時代とともに、流星のように現れた混沌の女魔術師。かつてフォーリア王家に背いて弾圧された魔術師たちの末裔を率い、大魔術軍団を結成。永遠の魔術王国をつくるため戦陣に立ったといわれるが、真相はわからない。彼女には謎が多く、その氏素性も不明。彼女自身、悪魔の化身ではという噂もある。 --何といっても全属性の魔法を扱えるマスターは彼女のみで、HPこそ全マスター中最低だが装甲が全マスター中最高なので意外と生存能力は高い。魔法系の召集部隊も安価に抑えられ、地理的条件も悪くない。初心者向け。 -エルフ エル=モア&エル=ウィン(属性:善) --大陸の東の森に古くから住むエルフ族の勇者。森一番の弓の腕と魔法の力を見込まれてエルフ元老院の勅命を受けたエル=モアは、闇の時代の邪悪と混沌に終止符を打つため、軍勢とともに心の支えの妹を伴い森を出た。 --弓による遠距離攻撃と魔法を駆使するタイプの召集部隊の性能が低コストながら優秀。英雄の助力や召喚部隊の編成次第で後方支援ユニットとしての目覚ましい活躍を期待できる。しかし火力が全体的に心もとないのが難点。初心者~中級者向け。マスターは通常はエル=モアだが、裏技でエル=ウィンに切り替えることも可能。 --兄のエル=モアは遠距離攻撃回数が3回と最多でMPも比較的多めだが、使える魔法の属性が限られるのと魔法レベルが3どまりなのがネック。妹のエル=ウィンは肉体能力が全マスター中最低だが、MPがシェルファに次いで高いうえに暗黒魔法以外の魔法を全て行使できるのが強み。 -巨人族 ガイラム=グリンダム --巨人族のモットーは「世界の中心は俺たちだ」である。だが、欲のない彼らは、自分たちの領域さえ守られればそれで満足する種族だった。しかし巨人族の土地の資源に目をつけたドワーフが、フォーリア王家をだまして彼らを地下に閉じ込めさせてからは、ドワーフと人間を憎悪する凶暴な集団へと変化した。闇の時代に乗じて地下から解放された彼らはドワーフを滅ぼし、怒りに燃えて大陸制覇を目指す。 --全マスター中最大のHPを持ち、岩の投擲2回が光るものの、魔法の助力がほぼ見込めないのが最大の弱点。召集部隊の性能もいまいちなうえに英雄を雇うこともできず地理的にも周囲をマスターで囲まれているため非常に厳しい。上級者向け。 -巨龍 ベルフレイム --かつて大魔王クリムトと対立し、激しい戦いの末に命を落としたドラゴン族の女王。クリムトを呪い、復讐を誓って死んだ彼女の怨念は、闇の時代の暗黒の力に呼応して再びその姿を天空に示すこととなった。 --マスター本人と召集部隊のドラゴンが、共に飛行可能で移動後に範囲攻撃のブレスを吐けるので攻撃面はかなり凶悪。反面、魔法を使えるのがマスターのみなうえにマスターのMPを戦闘中に回復する手段がなく、長期戦は不利。中級者~上級者向け。 -大魔王 クリムト --最も古くから大陸に存在する悪魔族の王。強大な暗黒の力を使って一度は大陸支配に成功したが、フォーリア王家の英雄バルマー卿によって葬られた。しかし、今、大陸に暗黒の力が蘇るとクリムトもまた、亡霊のように地の底から復活し邪悪な野心のもとに殺戮を開始した。 --マスター及び利用可能なすべての召集部隊が飛行可能で魔法の行使が可能なため召集部隊の性能は屈指。攻守ともにスキの少ない勢力。反面、回復魔法の使い手はマスターのみになるため、支援魔法の選択が重要。中級者向け。 -アンデッド バルマー卿 --フォーリア王家の創始者バルマー=フォーリアはクリムトと戦って絶命した後、王家の城の地下で妖刀ベサルスネーガとともに長い眠りについていた。だが闇の時代、彼は暗黒の力にあやつられ恐怖のアンデッドと化して自らの王家を滅亡に追い込み、王城を死者の群れで埋めつくした。暗黒の力により復活させられた彼には何の野心もなく、ただ死と破壊を求めるだけである。 --かなり特殊な立ち位置のマスター。召集部隊は一切呼び出せず、召喚部隊も基本的に固有のアンデッド部隊のみしか呼び出せない。また、扱える部隊の関係上回復魔法の利用や部隊の訓練も不可能。さらに、他の勢力相手の同盟が不可能で周囲をマスターで囲まれているなど制約が多い。しかしマスター及び召喚部隊のバンパイアが直接攻撃で相手のHPを吸収可能、壁役のユニットをコスト0で召喚可能、マスターと召喚部隊のリッチーによる強力な暗黒魔法の連発が行えるといった利点も持つ。上級者向け。 #endregion --なお、選択可能なマスターは最初に選んだシナリオによって異なる。 -ゲームの展開は1ターンごとにイベント・政策・作戦の各フェイズをこなすことで進行していく。 --イベントフェイズでは各領地へのイベント発生や策略の配布が行われる。 --政策フェイズでは主に同盟の締結や領土の購入などが行える。 --作戦フェイズでは部隊の訓練や召集・召喚、他の領土への侵攻などを行う。 -部隊には召集部隊と召喚部隊の2種類がある。 --召集部隊はLP(いわゆる資金。占領した土地によって得られるLPも異なる)で召集を行う部隊。部隊の訓練を行え、戦闘においてもこちらの指揮で操作が可能((ただし、マスターか英雄付きの召集部隊がいないと自動的に委任状態になる。))。 ---人間系マスターであれば英雄を付けることによって召集部隊が強化できるほか、英雄を付けた部隊のいる土地に対しても作戦フェイズを行うことができるようになる。 ---英雄の雇用と維持にはLPが必要であり、LPが払えなくなった場合は英雄は去って行ってしまい、以降同じ勢力には二度と雇用できなくなる。 ---英雄には善・中立・悪の属性が存在し、マスターの属性に合わない英雄は雇用できない。 --召喚部隊は敵を倒すことで得られるSPを用いて召喚する。SPは戦闘モードに勝利しないと得られない。全般的にパラメータは高いが、部隊の訓練を行えない、領土によって召喚できる部隊が異なる、行動は委任((設定で召喚部隊についても指揮を行えるように変更することは可能。))となるなどの制約がある。 ---一般的に強力な召喚部隊を呼び出せるのはLP収入の低い土地が多い。 -他の土地に侵攻をする・自分の領土にほかの勢力が侵攻してくると戦闘画面となる。 --戦闘モードもSLGでおなじみのヘックス画面戦闘から簡素なRPG風コマンド式の戦闘、トップビューのアクション画面戦闘を行えるなど多彩。 ---なお、戦闘モードでの勝利条件は敵全滅か敵マスターの撃破となるので、状況が不利な時にはマスターを倒して一発逆転を狙うこともできる。 --侵攻してくる勢力は他マスターの部隊のほかにも、中立地帯からモンスターやロック鳥などもイベントで侵攻してくるため、緊張感のあるプレイが楽しめる。 --なお、侵攻の際には先に侵攻対象の土地を偵察する必要がある。ただし、偵察に失敗すると偵察した部隊は全滅するので注意。 -これらのフェイズを繰り返し、最終的に自分以外のマスターを全員倒せば勝利となる。 --なお、マスターが倒された際には倒されたマスターの領地はすべて中立地帯となる。 **評価点 -初心者にも優しい作りながら奥の深いゲーム構成 --SLGでは複雑になりがちな内政を極力簡素化しており、初心者プレイヤーにもとっつきやすい。 --ゲームの設定も細かく行えるため、上級者でもいろいろな設定環境で遊べる。 ---加えてマスターごとの個性が強いため、選択したマスターによってプレイスタイルも大きく変わるので長く楽しめる。 --勝利条件が自分以外のマスターの敗北のため領土を全部取る必要はないので、比較的テンポよくゲームが進むのも大きい。 ---CPUの思考時間の短さもゲームのテンポの良さにつながっている。 --ターン開始時に発生するイベント・配布される策略はプレイ状況を一変させる力を持っており、不利な状況になっても立て直せる状況に持っていける機会も多い。 -世界観の完成度の高さ --15分もの長さを誇る真のエンディングは、展開の衝撃の強さも相まって今なお語り継がれるエンディングの一つである((余談だが、本作の真のエンディングへの到達条件がゲーム専門誌に掲載されたのは発売より実に1年半を要している。))。 ---真のエンディングへの伏線は、取扱説明書の記述や一部マスターのエンディングメッセージからも示唆されており、本作の奥深さが浮き彫りになってくる。 -豊富かつ良質なBGM --各マスターごとに固有の政策・作戦フェイズ時のBGMと戦闘モードのBGMが用意されており、各マスターのイメージに合ったものになっている。 ---作曲は当時セガに所属していた塚原啓介氏によるもの。 ---オプションからサウンドテストも可能。曲名も全曲に設定されている。 -裏技が豊富 --なぜかよい意味でのバグが多く、ルールに反した遊び方もかなり出来る。なかでも「紛れ込み」と言われる他軍の部隊を鹵獲するバグが有名。条件は長らく謎だったが2012年に解明がなされ、自力でも比較的簡単に出来ることになり、現役バハムーター達が盛り上がった。やり方は[[こちら>http://kisaragi.g3.xrea.com/bahamut/extra1.html]]を参照。 **問題点 -マスター間の格差が大きい。 --特に魔法による強化ができず召集できる部隊も今一つなガイラムが最弱マスターの筆頭。地理的条件も悪いため彼を用いたプレイはかなりのいばらの道。 -部隊の処分を任意で行うことができず、偵察失敗による全滅か戦闘での敗北でしか部隊の処分を行えない。 --1つの領地に配置できる部隊数は最大12までなので余剰部隊の処分は行う機会が多いが、この仕様のおかげでプレイのテンポが阻害されることも。 -策略コマンドがバランスブレイカー気味。 --中でも強力なのは強力な召喚ユニットを呼び出せる「巨神降臨」や問答無用で開戦時に大ダメージを与える「大地滅壊」「大気滅壊」など。 --他にもLPやSPを問答無用で別のマスターからすべて奪う「盗人」「妖精」もあげられやすい。 ---そのため、策略を封印して遊ぶ縛りプレイを行っているプレイヤーも多い。 **総評 ファンタジー世界を舞台とした作品ながら、世界観の構築、初心者へのとっつきやすさと設定の細かさで多種多様な遊び方ができるシステムなど、MDのSLGの中でも屈指の名作。~ 比較的潤沢に出回っていたこともあってか、中古価格も安価なうえVC配信も行われているので、遊ぶハードルも低い。興味があれば手に触れてみるのもよいだろう。

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