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*バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海
【ばてん・かいとす おわらないつばさとうしなわれたうみ】
|ジャンル|君とはじめて出会うRPG|&amazon(B00013RAAO)|
|対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~|
|発売元|ナムコ|~|
|開発元|モノリスソフト、トライクレッシェンド|~|
|発売日|2003年12月5日|~|
|定価|7140円|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
ゼノサーガシリーズで知られるモノリスソフトと、スターオーシャンシリーズのサウンドなどを手がけていたトライクレッシェンドが提携して製作した作品。~
ゲームキューブにはいわゆる大作RPGというものがなかったため、RPG好きなユーザーの期待を背負って発売された。~
ハード自体がそれほど売れていないこともあって売り上げはそこまで高くはないものの、そのゲーム性は高く評価されている。~
特にシナリオは、最初こそこそいわゆる王道RPGの典型といえる流れだが、後半からプレイヤーを驚かせる真実が明かされ、以降は前半の流れから一転した急展開となる。意外性のある真相とそれを解決するために奔走する仲間たち、敵方に絶望的なまでに追い込まれながらも窮地を脱しクライマックスへ至るその展開は多くのプレイヤーから絶賛されている。

**特徴
-biohazardでも使われた動画背景の技術を用い、「空に浮かぶ大陸」というファンタジーな世界観を表現しきった緻密かつ鮮やかなグラフィック。雲に包まれた大陸や異次元の狭間の闇の中で幻想的な光を放つ大陸などは独創的かつ美しく表現され壮観である。
-音楽はスターオーシャンシリーズやテイルズシリーズなどで有名な桜庭統氏。この作品の音楽の評価も高く、通常戦闘曲『The true mirror』やそのギターアレンジ版、特定ボス戦で流れるラップが特徴的な『Chaotic dance』といった曲などが人気。ゲーム内にサウンドテストもある。
-この作品におけるプレイヤーは、主人公ではなく『主人公に憑いた精霊』の視点から物語を見届けることになる。
--主人公は要所要所で精霊という位置づけのプレイヤーへ判断を仰ぎ、物事の選択をしてもらう。
--一風変わっているとは思うかもしれないが、これにより主人公がプレイヤーの意思と違う行動をするなどということが納得しやすい。
--そしてシナリオ上ではこのシステムを最大限に利用したトリックが後半の展開の布石となっている。
-アイテムや装備品はマグナスというカードに変化させて持ち歩き、戦闘など必要な時になるとカードを開放して元のアイテムに戻して使用する。マグナスの中には時間がたつと別のマグナスに変わるものもあり、種類自体も非常に多いため収集要素として人気がある。(ただし一部入手法が理不尽なものもある。)

**戦闘システム
-特徴
--マグナスバトルというシステム。
--マグナスとは作品内の世界において、物事の本質を閉じ込めたカードのことである。戦闘においてはアイテムであったり、魔法や必殺技であったり、逃走や通常攻撃といったコマンドであったりする。これらのカードをゲーム中に収集し、それぞれ組み合わせてキャラごとに30~70枚のデッキにする。
--ドラクエやFFタイプのRPGにおいては、基本的にプレイヤーは何をするか自由に行動を選択できるが、マグナスバトルでは戦闘に入るとデッキの中にあるカードの中からランダムで何枚か並べられて表示され、常に提示されたカードの中から行動を選んでいく。提示されたカードは選択すると消え、代わりに別のカードが新たに引かれる。一回の行動でカードを引ける最大の枚数は決まっているが引く時間に制限があり、早く引かないと行動が終了してしまう。
--攻撃1→攻撃2 など同種のカードの発展形や特定のパターンのカード同士は一回の行動で連続して引くとコンボが発生する。技の威力が高まったり、特定の組み合わせでカードを使うと。戦闘終了後に新しいカードが入手できるSPコンボがある。
--また、光属性の攻撃のカードと闇属性の攻撃のカードといった「反対属性」同士を組み合わせると威力が減少するなど、マイナスの効果の組み合わせもあるため、限られた時間でカードの選択はよく考えないといけない。

-評価点
--ランダム性が高いもののデッキの組み合わせの自由度の高さ、行動時間内にカードを消費し新たなカードを引く切り回しの速さが要求されることなどから運の要素だけでなくプレイヤーの慣れやデッキ構成の戦略が重要になり、ランダム性と戦略性、テクニックが全て要求されるためマンネリになりにくい。
--戦闘エフェクトが全体的に派手で爽快。
--SPコンボの内容は 「えび(のマグナス)」+「釣竿」=「鯛」 (えびで鯛を釣る)など洒落のきいたものが多く、効果的なだけでなく変化そのものが面白い。

-問題点
--中盤以降は敵も味方も一度に5回も6回も行動するため一回の戦闘時間がとても長い。ただしロードはほぼないのでもっさり感はしない。一回の行動で複数引いたカードの行動を連続して行う仕様の問題である。また手札のまわりが良ければすぐに終わることもある。
--全体攻撃というものが存在しないので、大量の雑魚を一掃するということができない。(ただし、敵の数は一回の戦闘で多くても3体である。)
--マグナスの装備欄は一人につき30~70。よって思い切った装備変更をしようとすると非常に手間がかかる。また仲間一人一人装備欄が個別であるのも面倒さに拍車をかける。(普通のRPGではそれが当たり前だが、次回作では装備欄をパーティー全体で共有している)

-結論
--このように、他のRPGでは見られない斬新なシステムであり、爽快感やランダム要素による変化が大きい一方、テンポが悪いなどまだまだ練りこむ余地があるといえる。このシステムは次回作において更なる発展を遂げ、前作を上回る評価を得ることとなる。

**シナリオ
-脚本は『[[クロノ・トリガー]]』や『[[ゼノギアス]]』で脚本や演出を担当してきた加藤正人氏が担当している。

#region(&color(red){''※重大なネタバレを含んでいます。これからプレイしようと思う方は注意。''})
-帝国アルファルドの皇帝ゲルドブレイムは、古代の大戦で体を5つに分けられて5つの大陸に封印された邪神マルペルシュロの力を得るために、各地に部下を送っては邪神の封印されたカード(エンドマグナス)を手に入れようとする。
-主人公カラスはゲルドブレイムの部下で祖父を殺した仇を追うために、ヒロインのシェラはゲルドブレイムの企みを阻止するために世界中を周って帝国に先んじてエンドマグナスを回収しようとする。
-プレイヤーの分身たる精霊はゲーム開始の時点では記憶を失っているのだが、精霊はカラスに憑いた存在であり、彼の力となるために行動をともにする。
--と、設定や対立構図は既存のRPGでもよく見られるものであり、何ら珍しいものではない。
戦闘のテンポの悪さもあり、DISC1の途中でだれるプレイヤーもいるようだ。とはいえ、個性豊かで美しいグラフィックの各大陸を回りながらゲーム内世界を理解するのは悪くはない。

-ところが、各大陸のエンドマグナスはことごとく帝国に先んじて奪われてしまう。唯一入手できたエンドマグナスも知らないうちに消えており、仲間の中に裏切り者がいるのではないかという疑惑が持ち上がる。
--主人公とヒロイン以外の仲間は、元騎士の漁師、出世街道から外れた帝国の軍人、帝国の特殊部隊出身者、仮面をかぶった正体不明の自称正義の味方、と、漁師以外は完全に信用しきれない背景を持っている。
-疑っていても状況は開かないので、一行は大陸ミラの領主の孫娘ミローディアの協力を得て最後のエンドマグナスが眠る帝国本土へ乗り込んでいく。
-最後のエンドマグナスが眠る地まで急いでいくと、皇帝ゲルドブレイム自身が既にエンドマグナスを手にして待ち構えていた。そこではパーティーが無くしたものを含めた全てのエンドマグナスが集まっており、やはり裏切り者がいることを確信するも、ゲルドブレイムはエンドマグナスの力を手にしてその姿を異形に変える。しかし逆にエンドマグナスの力に取り込まれてしまう。
ここからがこのゲームを王道のみにとどめない、意表をついたものにしている。しかもしっかりとした背景と要所に施された伏線が、この展開を無理のないものとしている。

-「騙したのか、ミローディア!」と、ゲルドブレイムの口から、彼を裏で操っていた黒幕はミローディアであることを明かされる。そしてゲルドブレイムはミローディアが率いてきた兵によって殺害される。
--このミローディアというキャラ、以前のシーンで登場した黒幕であろうと思われる者とボイスが全く同じであり、こいつが黒幕だな!と予測していたプレイヤーはけっこうな数いたと思われる。だがエンドマグナスをパーティーから奪ったのは彼女ではなく・・・

-なんと、これまで主人公だと思われていたカラスがエンドマグナスを奪い、ミローディアに協力した裏切り者であった。彼は復讐のために力が必要だった。それゆえに邪神マルペルシュロの力を欲したのだ。彼はパーティーから離れると邪神の力を手にして背に白い双翼を生やし、邪神の力を完全にものにした。
--実は物語の最初からカラスはこの目的のために行動をしていた。プレイヤーたる精霊が記憶を失っていたのも、カラスの目論見に対し精霊が反発を示したためカラス達によって記憶を消去されたのだ。精霊を殺さなかったのは精霊は邪神の力から異形になるのを守ってくれるからである。
-暗転する中カラスの高笑いが響き「お前の居場所はもうどこにも無いんだよ!」と用済みになったプレイヤーである精霊をつきはなし、消滅させる演出はインパクト大。

主人公が敵になるというゲームは多くはないものの存在する。しかしその大半は主人公が操られるなり取り込まれるなりしているか、主人公が複数いる場合である。この作品のように単独の主人公が最初から明確な目的として仲間やプレイヤーを裏切るような話は稀であろう。~
そしてこの邪道ともとれる流れを無理のないものにしているのは、精霊という存在によって主人公の視点とプレイヤーの視点を分けたことに他ならない。

-その後消滅しかかっていたプレイヤーたる精霊は一時的にシェラにとりつき、とらわれた仲間の救出、邪神に心をとりこまれたカラスを元に戻すために奔走する展開に。
--手ひどく裏切られたものの、それさえ構わずに仲間と認めたカラスを信じ、あらゆる手段を探してカラスを説得・復帰させるのは非常に熱く、手に汗握る展開である。
-しかし主人公復帰には成功したものの、それが裏目に出て邪神マルペルシュロは復活してしまう。
-心を改めたカラスは、かつて邪神を封じた土の民との邂逅や仇との決着を経て新たな力を手にし、最終決戦に臨む。
前半のお約束的な冗長さに反して、後半は主人公の裏切りや邪神の復活、頼みの綱であったかつて邪神を封じたアイテムの破壊などのパーティーを追い込む事態を次々と迎える急展開に。
-復讐の過去に決別した主人公をはじめ、仲間キャラそれぞれが過去の因縁を乗り越えたり、最終決戦に向けての決意をすることで新たに力を手にし、強大な邪神へ挑む様は目が離せない見所がある。

エンディングは、ヒロインであるシェラからプレイヤーを驚かせる自身の真実を明かされ、最後の最後までプレイヤーを裏切ってくれる。~
仲間やメインNPC全員が揃ってプレイヤーたる精霊に別れを告げるラストはとても感慨深く、大作RPGに相応しい結末である。

#endregion

**総評
全体的に高レベルなグラフィック、ミュージックを基盤に驚きのシナリオが展開され、それを演出や背景設定がしっかり支えていることから多数のファンを生んだ。戦闘のテンポの悪さなどの課題もあるものの紛れもなくGCというハードを代表するRPGである。

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