「がんばれゴエモン ~宇宙海賊アコギング~」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

がんばれゴエモン ~宇宙海賊アコギング~ - (2021/08/03 (火) 06:10:12) の編集履歴(バックアップ)


がんばれゴエモン ~宇宙海賊アコギング~

【がんばれごえもん うちゅうかいぞくあこぎんぐ】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 コナミ
発売日 1996年3月22日
定価 5,800円(税抜)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A (全年齢対象)
配信 ゲームアーカイブス:2007年9月27日
判定 なし
ポイント シリーズ最高クラスの難易度
ゲーム性とBGMは良好
がんばれゴエモンシリーズリンク

概要

プレイステーション版「がんばれゴエモン」シリーズの第1作目。シリーズ10周年記念作品。
SFCシリーズと同じくドットグラフィックによる2Dアクションだが、一部のボス戦などで3Dグラフィックによる演出を取り入れているのが特徴。
システム面ではSFC版『3』を踏襲している。

ストーリー

ある真夜中のはぐれ町。
なぜか素っ裸で眠りこけていたゴエモンは、駆けつけてきたエビス丸にたたき起こされる。
彼が言うにはどうやら裏山で山火事が起きているらしい。
様子を見に行ったうらら山で、山賊ゴロクと出会いを彼を仲間に加えたゴエモンたちは探索の末、大破した謎の宇宙船と、
その持ち主である宇宙警察銀河大隊の女刑事ババンと出会う。
彼女が言うには、宇宙中の宝を我がものにしようとたくらむ宇宙海賊アコギングの船との交戦の末、船が大破し地球に流れ着いてきたという。
アコギングの魔の手が地球に及んでいるらしいと知ったゴエモンたちは、ババンも仲間に加え、新たな冒険の旅に出るのであった。

特徴

  • 町を拠点に各地を回りながらステージに入りボスを倒していく、SFC版『3』を踏襲したアドベンチャー要素の強い内容となっている。
  • プレイヤーキャラはシリーズお馴染みのゴエモンとエビス丸に加え、サスケとヤエに代わり、新キャラの山賊・ゴロク、宇宙刑事の老婆・ババンが登場。
    • 各キャラを切り替えつつ固有の能力を生かして進んでいく。
  • 本作での武器強化は経験値取得によるレベルアップ方式で行っていく。
    • 各キャラの武器は最初レベル1だが、敵を倒すと経験値が溜まっていき、一定値を超えるとレベルアップして攻撃力と武器性能がアップする。
  • 各地に落ちている招き猫を4つ集めるたびに体力の最大値が増える。
  • インパクト戦
    • 本作は『3』を踏襲した二部構成となっており、前哨戦の「激震インパクトステージ」とボス戦の「巨大メカ戦ステージ」からなる。
    • 2D作品であるため3D作品であった視点移動の要素はなく、『3』までと同様、近づいてきた敵への迎撃がメインとなる。
    • 技構成などの大部分も『3』を踏襲している。

キャラクター

従来作同様、各キャラクターに性能差と能力差が付加されており、状況に応じて使い分けながら進んでいく。
また、本作ではダンジョンを除くフィールド上では4人全員が隊列を組んで歩くようになっており、そのままボス戦に突入する場合もある。

  • ゴエモン
    • お馴染み正義の義賊。
    • 武器:黄金キセル。リーチはやや短めだが、レベルが上がると炎が出るようになり持続に優れる。
      • サブウェポン:小判(一両)。溜め攻撃:貫通小判(五両)
    • ジャンプ力は2番目に高い。
  • エビス丸
    • ご存知「自称:正義の忍者」。
    • 武器:マジックハンド。レベルが上がるとリーチと攻撃力が増す。
      また、チェーンキセルのように特定地点に引っ掛けることができ、長さを調節してワイヤーアクションのように移動に利用できる。
    • サブウェポン:手裏剣(二両)。溜め攻撃:反射手裏剣(四両)
    • ジャンプ力は3番目に低い
  • ゴロク
    • うらら山のけわし谷に根城を持つ山賊一味の頭。ゴエモン同様、私腹を肥やす悪人しか狙わぬ義賊であり庶民の味方。アジトの近辺が宇宙海賊に襲われたのを機に、憧れのゴエモンと行動を共にする。シリーズ中でも珍しい、武器を一切使わず肉弾戦を攻撃手段とするキャラ。
    • 口調が少し荒いが、仲間思いの優しい心の持ち主。また、図体は大きいが実は高所恐怖症だったり、ヤエちゃんの従姉妹であるおゆきちゃんに一目惚れしたりするなど、中々個性的なキャラでもある。
    • 武器:武器はなく空手(パンチとキック)で攻撃。レベルが上がると障害物を破壊できるようになる。
    • サブウェポン:岩(三両消費)*1。溜め攻撃:爆発岩(六両消費)*2
    • ジャンプ力はメンバーの中で1番低いが、力を活かして特定のブロックを動かしたり障害物を破壊できる。
  • ババン
    • 宇宙警察銀河大隊に所属する宇宙刑事。名前の通り、パワースーツに身を包んだ老婆。宇宙海賊アコギングの襲撃によって地球に遭難し、アコギングを捕まえるべくゴエモンと共に行動する。パワードスーツを着用しているとはいえ、老婆とは思えぬスタイリッシュな戦い方を披露する。
    • 性格は真面目で、責任感が強く物知りなキャラだが、からくり大介(ボスキャラ)を騙す為のゴエモンの悪戯作戦にノってくれたり、自分が物知りなのを調子に乗って1回だけ嘘を言ったりするなど、お茶目な一面もある。
    • 武器:ステッキ*3。 レベルが上がるとステッキから衝撃波が出るようになり、攻撃範囲が広がる。
    • サブウェポン:エネルギーウェーブ(一両消費)*4。溜め攻撃:エネルギーウェーブ(射程長。四両消費) チャージ攻撃には相手を追尾するホーミング機能があり、接近攻撃が当てにくい敵にはかなり便利。
      • ジャンプ力は最も高く、ホバリングによる短時間の滞空で遠い足場にも移動が出来る。

評価点

  • 場に応じてキャラを変更しながら進んでいくアクションゲーム性、随所に含まれるギャグなど、シリーズ特有の面白さは健在。
    • 仲間キャラであるゴロク、ババンのキャラも良好で、ゲストキャラながらゴエモン達に負けない個性を発揮している。残念ながら、その後のシリーズには一切登場していないが。
      • 敵キャラでも親玉のアコギングは勿論のこと、各ダンジョンの奥に待ち受けるボスは揃いも揃って濃い面子ばかりであり、ただのやられ役に留まらない魅力を放っている。
        戦闘は無いが、あるシーンで登場するロボット「ベンジャミン」は僅かな出番にもかかわらず、その見た目や変態ぶりから強烈な印象を残す。
      • 中盤に出てくる妖怪山姥は演出もあって非常に怖いと好評である。
    • 独自のステージとして、上下の操作が逆転する「川下り」と、同社制作のシューティングゲームのオマージュステージ「カメディウス」が用意されている。
  • BGMは過去作のアレンジ曲が多数を占めているが、いずれも良アレンジ曲が揃っている。
    • 特に「キンカクギンカクの塔」(『がんばれゴエモン! からくり道中』のステージ曲アレンジ)や「亀神殿」(『がんばれゴエモン ~ゆき姫救出絵巻~』の琉球城アレンジ)などのステージBGMは全体的に高評価。
    • 心が洗われるようなメロディの「竜の宮」(『ゆき姫救出絵巻』の曲「ネコがおんねん」のアレンジ)など、ステージBGM以外も人気。
      • その一方で『3』ではぐれ町が襲撃された時のBGMのアレンジ「秋山」*5と言った不気味な曲などもあり、バリエーションは豊富。
      • 『3』で良くも悪くも印象的なからくりタワーの曲は2曲ともアレンジされて効果的に使われている。特に終盤で流れる方はイベント内容も相俟って『3』プレイヤーならニヤリとする演出になっている。
    • 無論、新規曲も過去曲に劣らず良曲揃いである。本作のイメージに見事にマッチングしたメインテーマ、コミカルな和風ロックかと思いきやヘビメタ全開のボス曲など、他のシリーズ作品にも引けを取らない。
    • 作曲陣は山根ミチル、山岡晃、古川もとあきと言ったコナミサウンドの大御所が名を連ねている。
  • CD-ROM媒体になり容量の増加のおかげでアニメーションが滑らかになった。
    • オープニングではPCEのCD-ROM2のような2Dアニメーションムービーが流れる。音声はないがクォリティはなかなか。
    • 一部のシーンでは3DCGムービーも流れる。インパクトに搭乗するシーンはCGとアニメ絵を融合させたような演出である。
  • 旧作に回帰したインパクト戦。
    • 構成自体は完全な2Dで敵への迎撃がメインなので視点移動の要素がある3D作品に比べて迫力はやや落ちるが、戦闘自体は3D化されており、旧作同様の迫力でバトルが楽しめる。
    • コクピット画面自体は2Dで描かれているため、3D作品におけるインパクト戦で削除されたコクピット側のパイロット描写や戦闘開始前の敵とのやりとりが復活しており、『3』同様ににぎやかになった。
    • 搭乗デモ時の演出やBGM、激震インパクト時のBGMも『3』を踏襲しているので、プレイ済みの人はにやりとできるだろう。
  • 恒例のゲスト出演
    • SFC版『3』のラスボスだった獅子重禄兵衛が再登場し、意外な形でゴエモン一行を助けてくれる。

問題点

難易度の高さ
今作はゴエモンシリーズでも屈指の高難度を誇っているが、いずれも調整不足に起因するバランスの悪さやシステム上の不備がその要因のほとんどを占めている。

  • 敵を倒しても回復アイテムやお金が出にくい。
  • ボスにたどり着くまでのステージの道のりが長く厳しい。
    • 失敗するとダメージを受けたりミスになる、やり直しになる等面倒なギミックが多い。
    • 特に中盤の「マグマ採掘工場」のエレベーターで下降していく強制スクロールは多くのプレイヤーにトラウマを与えた。
      • 下降していくエレベーターを左右の壁にあたらないようにコントロールしながら進んでいくのだが、スクロールが速いうえに微妙なコントロールが難しく、壁に5回当たると爆発して即死する。
      • エレベーターに乗らずに飛び降りる事も可能だが、普通なら下から吹き上げる炎にやられてしまう。しかしあまりの難しさから、アイテムを買い込んでその方法で強行突破するプレイヤーもいるほど。
    • 穴に落ちても残機が減らず体力が減るだけなのは唯一の救いといえる。
  • ボスが非常に堅く、強い。
    • 少なくとも70回程度、多い時には200回以上も攻撃しないと倒せない。また、単に攻撃するだけでは倒せないボスもいる*6
    • さらにダメージ度合いで攻撃パターンを変えてくるため苦戦を強いられる。
    • その長期戦の中でダメージを受け続けることになるので、招き猫で体力を増やしていても足りなくなることもしばしば。戦闘中に回復アイテムは出ない。
    • 解析によりボスの体力が異常なまでに多いということが判明。少なくても1万。多いと3万もの膨大な体力を持っているのだが、対するゴエモン達の攻撃力が1ヒットで100から150程度と、雀の涙に等しいダメージ量。これでは時間がかかって当たり前である。
  • セーブ・コンテニュー周りの不便さ
    • SFC版『3』ではボス撃破時の会話イベント後などの節目節目でセーブするか否かが尋ねられるのだが、今作ではそうした配慮がなく、ボス戦終了後には毎回自力でセーブポイントまで帰還しなくてはならない。その上苦労してボスを倒した後、消耗したままの状態で自力でステージから脱出しなければならないケースも少なくなく、せっかくボスを倒したのに帰り道でゲームオーバーなんて事態も起きかねない。
    • また、「コンティニュー」とは名ばかりのもので、再開する度にセーブデータを読み込まなければならないため、タイトル画面に戻って「つづきから」を選択するのと大差無い。
  • 次の地域に進むと前の地域には二度と戻れない。
    • 招き猫集めをしたり、クリアしたダンジョンや通過した町に遊びに行く事など全く出来ない。その時点で町が利用できるならまだマシだが…。
    • 終盤でミニゲーム「カメディウス」に突入すると後戻りができず、ボスやイベントを挟んでラストダンジョンへと強制的に進まされる。当然、ラストダンジョン内に店や宿屋など無く、準備を怠るとここで詰んでしまう可能性も。
    • しかもラストダンジョンはある地点以降は一方通行であり、もう前のエリアには戻れない。最終セーブポイントでセーブするとラスボスと戦う以外の事が何も出来なくなってしまう。
  • 招き猫を取り逃した場合取り返しがつかなくなる。
    • 高難度の今作において招き猫集めは非常に重要なのだが、上記の通り取り逃してしまうと低体力での進行が余儀なくされ、後々の難易度にも大きく響く。
      • 今現在もネット上で情報がほとんど出回ってない事もあって、招き猫回収の難易度も歴代屈指と言われている。
      • また、往年のシリーズのように招き猫をすべて集めてもおまけの要素がないため、収集意欲も湧きにくい。
  • レベルアップ要素があるが、レベル4で成長は頭打ちとなる。
    • ザコ敵が落とすアイテムに経験値微増アイテムが含まれ、ただでさえ出にくい回復アイテムがさらに出にくいという弊害を生んでいる。ちなみにレベル4になってもこの経験値アイテムは出続ける。
    • しかもレベル4になると、表記上は次回レベルアップ累計経験値99999と表示され(レベル4には累計10000で到達する)、引き続き経験値が加算され続けるのだが実際は99998でカウントがストップする。この紛らわしい表記方法の所為で、経験値カンストまで稼ぎを行い時間を無駄にしたと泣きを見た人も少なくない。
      • ちなみに経験値は普通にプレイしているとラストダンジョン直前ぐらいでやっと累計10000に達する。これをカンストまで溜める事が如何に時間の無駄か判るだろう。
    • 一応、集めた経験値はラスボス戦でインパクトのHPに変換されるので全く無駄と言う訳でもないのだが、大して稼がなくても十分なHPは確保できる。
  • 粗の多いインパクト戦
    • せっかく3Dになったインパクトのボスメカ戦も、ラスボスを含めて全三戦と少なめ。しかも一戦目と二戦目は同じボスメカが相手なので、登場ボスメカは二体のみ(一応、戦法は違う)それに加え、激震インパクトステージはたった一回のみと、あまりに味気ない。
      「ボス戦同様のコクピット視点で、視界に現れる敵を蹴散らしながら進む」という新しい試みが終盤にあるものの、どうにもやっつけ感が否めない。
    • 因みにその二戦目のボスメカは、非常に特殊且つ、歴代全シリーズのインパクト戦の中でも屈指の高難度となっている。
      + ... ボスHPは1戦目の時よりも100下がって400になっているものの、インパクトに張り付くという超接近戦によりキセルボムを完全に無効化する作戦をとってくる。
      ならばキセルボムが効かない分、攻撃が甘いのかというと、全くそんなことはない。至近距離から繰り出されるために敵本体の攻撃の予備動作が一切無く、敵のハンマーが画面に現れてから振り下ろされるまでの約1秒で、的確にパンチで打ち返す反射神経が試される。その苛烈さはラスボス以上であり、敵本体のたった400の体力すら削りきるのもままならない。
      ボスを追ってパンチした直後に視界外から攻撃されることもしばしば。モーションの大きい強パンチを打った直後は回避不能である。
      • ダメージ量に関しては小パンチ16、ゲージマックス強パンチでも32ダメージに対し、相手の攻撃は30ダメージ。相手の攻撃時はこちらの攻撃があたらない位置にいることが多く、かつ攻撃も9回しか耐えられないためダメージ覚悟の強行突破も不可。
      • ボス撃破後のこともあわせて、本作全体に漂う「マゾゲー」感が端的に現れている。
    • また、前述の通り、ゲージMAX時のパンチが通常の強パンチのダメージと同じでわずか32ダメージしかない。
      • ゲージが溜まっているとモーションが大きくなり回避が困難になるため、コンボを使わない場合はゲージが溜まるほうが不利という本末転倒な状況になってしまう。

その他の短所

  • フィールドグラフィックはSFC時代に比べて描き込みが緻密で立体感あるものになったが、そのせいで距離感が掴みづらい場面がある。
    序盤のジャンプで飛び石を渡る場面で落下した人は多いのではないだろうか。
  • 序盤に貫通小判を使ってスイッチを作動させるシーンがあるが一切ヒントが表示されない。
    • 説明書を読め、といわれたらそれまでだが『3』では似たようなシチュエーションでゴエモンがヒントとなるセリフを言う。
    • 短所かどうかはプレイヤーの受け取り方次第ではあるが、それ以前の問題として、あらゆるギミックがノーヒントで登場する上に、仕組みを理解しておかないとダメージを受けたり、それだけならまだしも即死する場合すらあったりと、やたらと意地の悪い作りになっている。
  • 最序盤のシナリオ進行の誘導が弱い 
    • システム踏襲元のSFC版『3』と比較すると、OPの寸劇で冒険の目的と最初の行先がはっきりする『3』と異なり、今作は最序盤のゴエモン一行の目的がハッキリ定まらないままゲーム本編が開始される*7ため、最初のステージまでたどり着く手順が解りづらい。
  • 伝説の秘宝「たーとるおれ」について作中では会話内でさんざん言及されるが、そのものは影も形も出てこず、終盤には忘れ去られる。
    • その正体は特殊な鉱石であり、ラスボスがそれを使って強力な兵器を作ろうとしているとも語られるが、その兵器も結局出て来る事は無く思わせぶりのまま終わってしまい、肩透かし感が否めない。
  • エンディングが味気ない
    + ネタバレ
  • 本作ではエピローグ的なシーンが存在せず、最後のインパクト戦が終わった後はコクピット画面における会話シーンを挟んだのち、そのままスタッフロールが始まって終わりになってしまう。ゲーム中のキャラクターによるエピローグシーンや、オープニングと同様のアニメシーンによるビジュアルデモなどもないので、締めくくり方としては非常に味気ない。
    • スタッフロール時も『からくり道中』の面クリア時の小判をばらまくデモシーンが延々と背景に映し出されるという、ファンサービスを狙ったにしても脈絡なくいまいち意義が不明な演出が挿入される。当然、原作を知らない人からすれば、突然画面がファミコン風になってそのまま終了するので困惑する。
  • ゲームプレイ中のキャラボイスがなく寂しい
    • SFC版『きらきら道中』でサブキャラのみについていたのだが、今作はメイン・サブ含め一切存在しない。
  • サスケとヤエがNPC扱いで、プレイヤーとして使用できない。
    • 今作におけるストーリー展開上、メインキャラが変わること自体は不自然ではなく、「たまには違うキャラでプレイできるのもいい」と肯定的に受け取る声もあるが、双方とも人気の高いレギュラーキャラだけに、一時的に使用できる局面を設けるなどの配慮がないのはやはりいただけないだろう。
    • ヤエは中盤のステージでゴエモンたちと再会し、会話を交わして別れた後はほぼ出番の無いチョイ役程度の扱い。一応、オリジナルキャラの従姉妹が登場したり、本人も終盤に僅かながら活躍シーンはあるが、出番が少ない事に変わりは無い。
    • サスケは展開上、ゴエモンと同行する機会が存在するのでヤエよりも露出は多いが、ストーリー上のキャラの扱いに難色を示す声も聴かれる。
  • 『3』のネタバレを含む会話がある
    • 今作は時間軸的に『3』本編終了後のエピソードとなっており、その前提でゲストの獅子重禄兵衛との会話シーンがあるのだが、
      その会話の内容に『3』のエンディングで明かされる核心部分のネタが含まれている。
      『3』をクリア済のプレイヤーには問題ないファンサービスではあるものの、『3』を未クリアのプレイヤーには重大なネタバレとなってしまう。

総評

過去作の良点の踏襲と上質なBGMは十分に及第点と言えるレベルであったが、不安定なゲームバランスと難易度の高さがネックとなってしまい、難易度以外の細かい点でも不備が多いことも相まって、名作と呼ぶには今一歩足りない、惜しい出来栄えに落ち着いてしまっている。
また、お馴染みのレギュラーキャラクター4人の内、トップクラスの人気を誇っているサスケとヤエ双方が使えないというのも、シリーズファンにとっては大きなマイナスポイントとなってしまったのは否めないだろう。

とはいえ不評・悪評がほとんどを占めているプレイステーションシリーズの作品の中ではかろうじてシリーズらしい作風はキープできており、根本的なゲーム性と面白さも旧作からしっかりと引き継いでいる。

それだけに、このバランスの悪さが惜しいところであった。

余談

  • 後に徳間書店より攻略本が発行された。本作の唯一の攻略本であるが、冒頭に操作テクニックやアイテムの説明などがなく、いきなりストーリー攻略から始まるという妙な内容で、町や草原のマップも載っておらず、他のゴエモンの攻略本と比べても手抜き感漂う内容となっている。
  • 『コミックボンボン』で連載されていた帯ひろ志氏による漫画版でも「アコギング編」にて本作を扱っている。
    • しかし全4話という同漫画の中でも最も短いエピソードであり、かなり端折った内容となっている。例として第一話を挙げると、「夜中のうちうらら山に向かい、焼け跡で倒れていたゴロクと合流」「そのままイチバンブロ号を発見して乗り込み、番車を倒してババンを仲間に」「番車の転送に巻き込まれて海上へ」と言った具合で、本編プレイヤーは相当早いペースなのが判るだろう。
    • 一方、ババンが若作りをして登場し、ゴエモンと恋愛関係になりかけるというオリジナルのエピソードも存在する。
      • 普段は化粧で美少女の顔になっているが、事ある毎に化粧が崩れたり腰を痛めるなどして元の婆さんに戻ってしまうという、漫画ならではのギャグとなっている。