「せがれいじり」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
せがれいじり - (2017/07/02 (日) 12:47:05) の編集履歴(バックアップ)
注意:本稿では、PS『せがれいじり』とPS2『続せがれいじり 変珍たませがれ』の2本を紹介する。両方とも「バカゲー」に分類。
せがれいじり
【せがれいじり】
ジャンル
|
おバカ
|
|
対応機種
|
プレイステーション
|
発売元
|
エニックス
|
開発元
|
ブレインドック ネメシス
|
発売日
|
1999年6月3日
|
定価
|
5,800円
|
判定
|
バカゲー
|
ポイント
|
「せがれをいじっておおきくしよう!」 エニックスご乱心 徹頭徹尾くだらない出来(良い意味で) 文字通りの糞ゲー(下ネタ的な意味で) 実はおバカではない側面も…?
|
概要
ジャンル「おバカ」と自ら明言した伝説の「バカゲー」。その圧倒的なタイトルや、サイケデリックな設定・世界観に当時衝撃を受けたキッズは少なくない。
「あのドラクエの発売元が出す」という意味でも非常に衝撃的であった。
なお、BGM等音響全般とCGの制作は『ウゴウゴルーガ』で有名な秋元きつね氏である。
エンディングテーマにも氏の楽曲である『ペンギン』(を小学生に合唱してもらったもの)等が使われている。
あらすじ
- 昔々遠い未来にせがれが住んでいました。せがれはサナギなので矢印です。
- ある日、超プリティーなむすめさん(彼女も矢印)を見つけ、ママに言いました。
- 「あのむすめさんとラブラブになりたいなぁ」
- キリンのママはこう言いました。「大きくなったらね」
- こうしてせがれは大きくなるためにセケンへと飛び出していくのでした。
-
…と、突っ込みどころしかないプロローグからゲームが始まる。が、肝心のゲーム自体突っ込みどころ満載なのでこれはまだ序の口である。
-
ついでに言うとせがれを大きくする目的なのに
大きくなるのはママの首
。
内容
-
セケン(フィールド)にあるモノを調べると「作文」が始まる。この「作文」と呼ばれる文章の羅列を組み立て、そこから生まれる「おバカムービー」を鑑賞、組み合わせ次第では新たな「オキモノ」がフィールドに生まれたりする。これらの繰り返しによってゲームを進めていく。
-
作文の内容は本当にデタラメそのものであり、どんな文章でも成立しムービーや紙芝居が観賞できる。
-
ちなみに作文は1つのモノに付き3回まで可能。回数が減ったら家に帰って回復する事も可能。
-
しかもこのムービー、当時からするとマジで品質が高い。そんな全力で作ったムービーを使ってマジでしょーもない作文を本気でそっくりそのまま描写してくれる。最早これだけでツッコミ所である。
-
こういう全力で明後日の方向へぶっ飛んでいる努力もバカゲーっぷりに拍車をぶっ掛けている。
-
ただそのネタが面白いかと言われると、人には薦め辛い内容ではある。シュールギャグのオンパレードと取るか、寒いネタのオンパレードと取るか、評価は真っ二つに分かれる。
-
独創的すぎるキャラクターたち。
-
矢印頭のせがれとむすめさん、ママは元より、人面牛の「件(くだん)」や女なのにオッサンにしか見えない外見のキャラ「はなこ」、何故かモヒカン頭で全裸にしか見えない「ヒト」などほぼ全てのキャラが意味不明な造形をしている。
-
タイトル画面のメニューも狂っている。
-
オプションはゲーム中での作文と同じ仕様であり、変更するたびにムービーが流れる。一応オプションとしての機能はあるのでご安心を。
-
意味不明なモード「
たらいからはじめる
」。これを選択するとムービーが流れて直後に文章が出る。というだけのもの。
-
所謂ミニゲームである「ちびゲーム」も数種類存在するが、どれもユニーク過ぎる。
-
ペンギンを踏んばらせて相手にうんこをぶつける対戦ゲーム。敵の攻撃を頭突きで跳ね返して攻撃するインベーダーゲームのような何か。宇宙を通り越して異次元まで伸びているママの首を落ちてくる金を集めながら登るゲームと、他に類を見ないものが揃っている。
評価点
-
ネタのテンポの良さと芸の細かさ
-
冗長な感じのネタはあまりない。さくぶんネタの種類はCGムービー、手描きムービー、紙芝居の三種類。
-
これらのネタは捻ろうとしているわけではないものが多く、まさに「文字通り」の内容を再生する。ただしあまりにも普通なものは逆転の発想を混ぜてくることもあり、気が抜けない。
-
各ネタの最後には文字による緩いツッコミが入る。これもまたゲームの雰囲気に一役買っている。
-
新しいオキモノが出現する時のみ出てくる一言もある。
-
ゲームの進行具合によっておうちに帰った際のママとの会話も変わる。各ニ・三種類存在する。
-
○と×と移動キーだけでプレイ出来る簡単さ
-
この点は最初の操作説明で紹介される。なお、マップ機能を△ボタンで呼び出すことが出来るが、「便利」というだけで使う必要自体はないので嘘は言っていない。
-
一応存在するやりこみ要素
-
全さくぶんの達成、特定のオキモノに触れた回数などが記録され、それらを全て達成するとあるオキモノに話しかけて称号を得ることが出来る。ついでにED後おうちに帰った際の絵が変わる。
-
何気に、セーブデータの文章もゲームの進行状況によって変わっていき、初めは「いじりはじめ」だったのが最終的に「いじりすぎ」になる。
賛否両論点
-
下ネタの多さ
-
「うんこ」というオキモノがあり、それにまつわる作文を作るものがある。今やったら確実にアウトになりそうなくらい直接的な内容で、良くも悪くもくだらない内容が満載。
-
ちなみに下ネタに「うんこ」が多い理由は小学生がパッと見て笑えるものであるためらしく、作者の趣味というわけではないとのこと。
-
明らかに手を抜いたネタがある
-
中盤から後半にかけて出てくるさくぶんに関しては、途中まで内容を同じにしてオチだけ変えるといったものが大変多い。
-
ただそういった内容すら実は本命のネタのための布石だったりすることもあり、同じネタばかりで飽きてきた…なんて思っていると突然ツボを突くネタをぶっ込んでくるため、侮れない。
-
そもそもあくまでコンセプトとしては「文章をそのまま映像化する」というものなので、作り手としてはコンセプトどおりにこなしているだけである。
-
時折挿入されるホラーっぽいネタ
-
勿論笑えるネタとしてのホラーではある(怖いと言いながら騒いで笑えるような感じ)が、苦手な人にはキツイかもしれない。
問題点
-
ホリモノにおける地面堀りが面倒くさい
-
少しでもオキモノに触れれば全体像が出てくるのでそう難しくはないが、他に比べると面倒さは否めない。
-
マップにおけるふすまの繋がりを示す部分が、小さすぎてわかりづらい。
-
一度さくぶんのオキモノに触れるとキャンセル出来ない。
-
もっともキャンセルする必要性自体薄くはある。なお、面倒ではあるが、もしさくぶん回数を消費したくないのであれば既存ネタを見れば無消費である。
総評
存在自体がもはや伝説とも呼べるほどのバカゲーである。
全編にわたって下ネタ・意味不明ネタのオンパレードであるため、そうしたネタが理解できない、受け付けられない人に安易にすすめられるようなものではない。
逆を言えば、そうしたネタが好める人であれば十分おもしろがれるゲームである。
余談
-
そもそも『せがれいじり』というタイトル自体下ネタである。
ただ、タイトルの真の意味に気付かなかったキッズは多いと思われる
-
なお制作者は「語感を意識しての命名で、そういう意味を想定したわけではない」と否定している。「下ネタに聞こえるという意見もあったが、まあそう思う人が居たとしても別にそれもいいんじゃない?と思って名付けた」「(このタイトルの)インパクトがあまりにも強く、最後までこれを上回る代替案が出なかった」との事。
-
説明書のマップ説明にも「眺めるだけでは(役に)立ちません」等と書かれている。特に何も思わず読み飛ばした子供も多かっただろう。
-
びんびん
を調べたあとの反応など、子供には理解できない性的なネタもチラホラ。ある意味ではエンディングへの伏線と言えるかもしれない。
-
意外にも、ラストには……(後述)。
-
「コロコロコミック」での熱烈な紹介や「おはスタ」などのタイアップもあり、最終的には17万本以上をセールス。この種類の作品としては空前の大ヒットを記録した。そのためか『超兄貴』と並び、多作だったPS時代「バカゲー」の代名詞として呼ばれることも多い。
-
「おはスタ」では『ハコいりせがれ』という30秒ほどの短編CGアニメが放映されていた。こちらも本編と同じようにシュールでどこかおバカな感じである。
-
ちなみに本作のキャッチコピーは「プレゼントに最悪」(公式)。
-
2002年には続編『続せがれいじり 変珍たませがれ』が発売された。詳細は後述。
-
2003年にはスクウェアとの合併記念により『半熟英雄 対 3D』にせがれとむすめさんがゲスト出演した。
-
ちなみにキャラクターの著作権は秋元きつね氏にあるとの事で、ゲーム以外では好きに使えるらしく、彼の映像作品にも良くせがれいじりのキャラクターが登場しているほか、ピンバッジ等のグッズも製作されている。
+
|
一見すると只のおバカなゲームに見えるが…(閲覧注意)
|
実は緻密に練り上げたデザインコンセプトの元に製作されたゲームである。
セケンとオカカワリすることで視野を広げていくせがれ、首を長くして待つママなど、深く考えなくてもその片鱗は感じ取れるだろう。
特に、ラストに唐突に訪れる
号泣モノのエンディング
は数多くのプレイヤーの涙腺を破壊した。誰もがこのゲームで「まさか泣かされるとは」と考えていたに違いない。
しかし、このゲームはあえて明確なテーマを提示せず、その解釈を(あるいは考える事そのものを放棄するのを)プレイヤーに委ねている。
よって、ここでそのテーマを表記する事、またはテーマがある事自体に触れることは、このゲームの存在意義に関わる危険な行為であると言える。
詳しくは秋元きつね氏のホームページ内のせがれいじり解説書(大人向け)を参照。
しかし、秋元きつね氏曰く「あくまで『せがれいじり』の1側面でしかなく、ただバカなゲームとして楽しみたい方は絶対に読まないで下さい」との事。
|
続せがれいじり 変珍たませがれ
【ぞくせがれいじり へんちんたませがれ】
ジャンル
|
おバカ
|
|
対応機種
|
プレイステーション2
|
発売元
|
エニックス
|
開発元
|
ブレインドック ネメシス
|
発売日
|
2002年6月27日
|
定価
|
6,800円
|
判定
|
バカゲー
|
ポイント
|
間違いなく血筋を受け継いだ怪作 作業感が強くなった点は賛否両論 一部劣化した面もある
|
概要(続)
↑の直接の続編。プラットフォームをPS2に移し、様々なシステムの変更と追加がなされている。
タイトルは言うまでもなく、「南京玉すだれ」との引っ掛けである。
今回はセケンに暮らす様々な人から、「オネガイ」を受けて彼らの「ドロイド」を作文を作ることで、オネガイに合わせて「変珍」させることが目標になる。
作文を作る以外にも「新しい漢字を作る」「ポーズを選ぶ」「(トイレの)我慢の度合いを決める」などと言った新しいオカカワリ方が登場している。
尚、続編ではあるが、ストーリー的には前作の過去の話である。
問題点(続)
-
ギャグのパワーが落ちた。
-
個人の好みにもよるが、前作に比べるとはっちゃけ度が全体的に落ちたという意見が大半を占める。
-
前作でメインだった秋元きつね以外の作家もギャグに参加しており、統一性に欠ける点がある。
-
新システムが今一つ。
-
上記の通り、ドロイドを変珍させる事が目的なのだが…。
-
ただ無目的におカカワリしていれば目標を達成できていた前作に比べて明確な目標が出来た…ともいえるが無目的に作文を作って楽しむことができなくなった、ともいえる。
-
できあがった作文によっては目標が遠ざかることもある。この場合再び正解と同じ作文を作ってまた変珍させる必要がある。スキップはできるが、まどろっこしい。
-
ちなみに今回は作文作成の回数は設定されていないので、何度でも作る事が出来る。逆に言えば、そうしなければクリアできないという事。
-
新たに「ジャマッコ」というお邪魔キャラが登場。遭遇するとカードジャンケンにより撃退することになる。
-
…しかし負けるとペナルティが科せられるだけで勝ったところでメリットがない。勝ったとしても新たなカードが手に入るだけ(全て最大2個まで所持可能)。
-
このため極力避けて進むことになり、うっかり遭遇すると面倒なことになる。だがゲーム中は必ず戦わなければいけない時が…
-
前作では全ての作文にコメントが用意されていたのだが、今作では汎用の数種類しか存在せず、どんな作文を作っても変珍をさせても同じようなコメントが返って来るだけである。
-
一部オキモノについては、作文を作っても変珍するだけでムービーが流れないものが幾つかある。変珍専用と言ってしまえばそれまでだが、せっかく作文を作ってもムービーが無ければ面白くも何ともない。
-
マップが劣化。
-
球状のマップになっており、地平線の向こうは見えない。マップからのダイレクトワープもなくなり、移動が面倒になった。
-
ダイレクトワープが無くなったのは、前述のジャマッコとの兼ね合いかと思われる。本当に、名前の通り邪魔な奴らである……。
-
一応「○○チョッコー」というモノが存在するが、特定の場所で行き帰り2つのワープしか出来ない。色々な場所に配置されているが。
評価点(続)
-
グラフィックの向上。
-
オブジェクトがポリゴンになるなど、マシンパワーの向上を実感できるものになっている。
-
とは言え、元がPSとしてはトップクラスのグラフィックレベルであったため、そこまで変わったものでもないが。
-
変珍そのものは各パーツのデザインが非常にぶっ飛んでおり、組み合わせで奇想天外なものができるなどなかなか面白い。
-
自宅でいままで集めた変珍パーツのコレクションを見ることもできる。解説もついておりコンプリートを目指すのも一興。
-
ギャグの方向性はそのまま。楽しめる人には十分楽しめる。
-
ちびゲームも健在。ボス視点の弾幕シューティングなど、本作でも他ではまず見ないような内容のものが揃っている。
総評(続)
バカゲーとして見れば標準以上の出来であるのは確か。しかしシステム的にはお世辞にも進化しているとは言い難い。
ギャグ自体もややテンションが落ちたように感じると指摘されることが多く、前作ほどの評価は受けていない。