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機動戦士ガンダム 一年戦争 - (2015/10/22 (木) 19:15:03) の編集履歴(バックアップ)


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機動戦士ガンダム 一年戦争

【きどうせんしがんだむ いちねんせんそう】

ジャンル 3Dアクションゲーム
※メーカー公称:一年戦争体感アクション

対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売元 バンダイ
開発元 ナムコ
発売日 2005年4月7日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 82KB以上
レーティング CERO:全年齢対象
判定 クソゲー
ポイント 2005年クソゲーオブザイヤー次点
大規模な広報活動の割に今までと代わり映えのしない内容
値段に見合わない内容の薄さ
好みの別れる操作性
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
ガンダムゲームリンク


概要

ガンダムシリーズの版権を持つバンダイが商品開発力に定評があるとされるナムコと手を組み、売上100万本以上のミリオンヒット*1を目指して立ち上げた商品開発プロジェクト、「プロジェクトペガサス」の最初にして最後の作品。
テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の第1話から最終話までを1本のタイトルで追体験出来るのが特徴であった。
本作品はプロジェクト立ち上げの由来が由来であったために販売元のバンダイも宣伝に非常に力を入れており、また過去の実績としてPS2向けに発売されていたガンダムゲームの売上が50万本を軒並み超えていたこともあり、ユーザーだけでなく、小売店サイドもまたこの作品に期待を寄せていたのだが…。


評価点

  • 美麗なグラフィック
    • 各機体の3Dグラフィックは、足の裏のバーニアや各部のモールド等、細部に至るまで作り込まれている。
      後のクライマックスUCに決して劣るものではなく、「PS2のガンダム作品の中では最高レベル」と評される事もある。
    • ミッション中に特定条件を満たす事で発生する「メモリアルアクション*2」もこのグラフィックが後押しして好意的に見ている意見もある。
  • レアな隠し機体
    高難易度クリアやメモリアクション収集の特典として、追加機体がいくつか用意されている。
    この追加機体の内容が、ガンダム(ロールアウトVer)・フルアーマーガンダム・ガンキャノン重装型・ジムスナイパーカスタム・ジムライトアーマーとMSV世代をピンポイントで狙ったものになっており、直撃世代からの評価は非常に高い。
    これらの機体のモデリングも、ガンダム同様にリデザインされている。
    今でこそ多数の機体を使用できるガンダムオンライン?が存在するが、CS作品という括りでは、今なお本作くらいのものである。
  • TV版「機動戦士ガンダム」を題材にした作品
    1stガンダム作品は、劇場版をベースにしているか、世界観だけを使った外伝作品が殆どであった。
    本作はTV版を題材にした数少ない1stガンダム作品であり、やや荒削り/中途半端ではあるものの、これ自体には一定の評価がされている。
    従来作では取り上げられなかった白兵戦や、ホワイトベースの機銃を用いた銃撃戦がある点も、内容こそ不十分だったがアイデアは秀逸であった。
  • 演出
    ジャブローで流れる「哀・戦士」等コンセプトからは外れる*3ものの、劇場版で評価の高いBGMが流れる点は演出面で非常に好評
    • 無線会話の充実。司令部からの命令や、味方の呟きや雄たけびなど、戦場を賑やかに彩ってくれる。おまけに敵の無線まで聞こえてくる演出は、ナムコ社のエースコンバットシリーズを髣髴とさせる。
    • ソロモン戦で出現するアナベル・ガトーや高難度で出現するア・バオア・クーでシャアが乗るパーフェクトジオング等も、このゲームならではの嬉しい演出。無線会話も凝っている。

好みの別れる点

  • 操作性
    • 本作は、所謂TPS*4等で多く採用されている操作性であり、本作において○ボタンと□ボタンはプレイ中一切使用しない*5
      基本的な操作は、当時の3Dアクションにおいてあまりメインで使用しないであろうL1~L3・R1~R3ボタンにほぼ集約されている。
    • TPS/FPS操作は今でこそある程度は認知されているが、当時はメジャーなものではなかった。
      結果、(当時の)一般的な3Dアクションの操作性に慣れたプレイヤーからは、かなりの批判意見を受ける事となってしまった*6
    • 逆にTPS/FPSに馴染みのあるプレイヤーからは、特にこれといった不満意見は出ていない。
      本作で初めてこの操作に触れたプレイヤーからも、慣れればむしろ良好な操作性であるという評価がされている。
    • ちなみに説明書には「操作性は独特だけれども、慣れてください(意訳)」と記述されている。
+ 本作における基本操作一覧
L1ボタン ダッシュ
L2ボタン ジャンプ
R1ボタン 射撃攻撃
R2ボタン 近接攻撃
×ボタン 視点戻し
△ボタン 第三武装攻撃
アナログスティック押し込み バルカン
左スティック 移動
右スティック 視点・照準移動

問題点

  • ボリューム不足
    本作は「めぐりあい宇宙」と違ってアムロ・レイ視点でしかプレイできない他、ジオン側や他キャラクターでのプレイモードも用意されていない。
    ステージ数自体は全28ステージとそれなりに多いが、各ステージのボリュームには長い短い*7のばらつきがあり、ハードモードまで含めた通しプレイでも総プレイ時間はそう長くない。ある程度アクションやシューティングに慣れた人なら半日ほどでクリアできる、という声も。
    シャアやカイ等の視点で見たストーリーも収録してくれれば良かったのだが、上記の通りボリューム不足感は否めない。
  • 歴代作品と比較して代わり映えのない内容と、中途半端な原作再現。
    本作に限らずキャラゲーにありがちな事だが、一応アニメ本編をなぞってはいるものの、所々端折られていたりするため中途半端。
    主要な戦闘はほぼ収録されているが、ストーリーはやや端折り気味。原作視聴者なら脳内で補完も可能だが、未視聴者にとっては唐突な展開に感じる。
    白兵戦/銃撃戦もアイデアこそ評価されたが、やはり中途半端だったため、より作り込むか他の要素を入れるかして欲しかったところ。
    また、ソロモンでの階段登りや飛来するメガ粒子砲を回避する場面等は、原作とは全く関係ない上難易度が高くテンポが悪い。ここで手詰まりを起こしかけたプレイヤーも少なからずいる。
  • ロックオンの仕様
    • 右スティックで敵を索敵してレティクルに敵が収まればロックオン…という仕様だが、少しずれただけで解除されてしまう。
      旋回速度の遅さも相まって「出来が悪く、(ロックオンが)ない方がむしろやりやすい」とまで言われてしまうことになった。
    • なお、移動はロックオンに左右されず自由に可能で、またオプションでロックオン機能そのものをオフにする事もできる。
      よって、3Dアクションの「ロックオン」というよりは、一般的なTPS/FPSに備わっている「エイムアシスト」に限りなく近い。
  • 格闘攻撃の仕様
    格闘攻撃を当てても敵があまり怯まない他、一定数ヒットさせると高確率で反撃してくるため使い勝手がいまいち悪い。
    それに加えて格闘攻撃には誘導性が無いため、TPSというジャンル上どうしても操作しにくく慣れが必要となる。
    ちなみにこの仕様は現在でも安定しておらず、アサルトサヴァイブに誘導性は無くSEED BATTLE DESTINYにはある・・・とバラバラである。
  • シールドの仕様
    グラフィック上では盾を持っているが、「盾を構えて敵機の攻撃を防ぐ」というシステムが無い。
    TPS/FPSを知っている者からすればそれが当然*8だと割り切れても、そういうゲームとしてアピールも売り出しもしていなかった以上、それらを知らないプレイヤーに押しつけるのは非難されて然りである。
    最低限、盾を持っている方向や正面から来た攻撃位は何らかの方法で防げるようにするくらいの配慮は必要であっただろう。原作のガンダムだって劇中では何度もシールドで攻撃を防いでるわけだし。
  • メモリアルアクション
    原作の都合上仕方がないことではあるのだが、条件が「ビームサーベルで敵を倒す」で占められているので物足りなさがある。
    原作の名場面を自分で見つけ出すコンセプトと合っているとは言い難い。

総評

平たく言えば「出来そのものは評価できる部分もあるが全体的にボリューム不足で荒削り」という、良くも悪くもありふれたキャラゲーである。
しかし、当時あまり一般的ではなかった操作性、大ヒットを目論んだメーカー側の内容と見合わない誇大広告と過剰出荷などの要素からクソゲーとしての評価を固めることとなった。
特にガンダム作品としても当時の3Dアクション全体としてもあまり類を見なかった操作性は、本作のターゲット層には殆ど受け入れられることなく、反発を買う結果に終わった。

高売上を狙ったメーカー側が過剰に出荷した事も相まって、市場では発売してすぐに値崩れを起こす結果となってしまった。
本wikiでは述べないが、開発側の問題発言や、KOTY2005次点を受賞したという事実も、本作の評価に少なからず影響を与えていると思われる。

本作の開発趣旨にあるミリオンヒットを本気で狙っていたのであれば、もっと一般的なシステムを採用し、「一年戦争の決定版」という広告媒体で用いた宣伝文句に違わない相応の作り込みを見せるべきであった。
しかし、本作はグラフィック以外の内容は粗末極まりなく、加えて前提としてメジャーではないTPSの知識を持ち、慣れていることを要求するようなシステムを採用したりと、どうにもちぐはぐ感が否めない。

操作性周りに関しては「過去作のユーザーの反応からこのシステムを採用した」という内容のコラムが公式ページにあるが、結果から見れば完全に読み違えていたと言わざるを得ない。
実際に本作のターゲット層であろうプレイヤーからは「(ニュータイプである)アムロのような戦いを体感したかったのに、こんな操作システムじゃそんなの出来るわけがない」「ガンダムでこんなゲーム(TPSのこと)をしたいわけじゃない」という意見が多く噴出した。
結果として、ターゲット層の望んでいたことを、ものの見事に裏切った形となる本作の仕様に相応の反応・評価が返ってきただけとも言える。

結果的に、プロジェクトペガサスはその後続報もなく自然消滅する事となった。

KOTY2005の総評では「大量出荷と値崩れにより小売店の何件かを閉店させた(意訳)」と書かれたが、大量出荷と値崩れは事実であれど、小売店に関しては真偽のほどは定かではない*9


余談

  • 本作をきっかけとして、バンダイとナムコは本格的な業務提携を結び、後に「株式会社バンダイナムコホールディングス」が設立される事となった。
  • 1/100 マスターグレード
    ゲーム内容と直接の関係は無いが、本作に登場するガンダムを立体化した「MGガンダム Ver.One Year War 0079」が販売されている。
    モデリングを細部に至るまで再現した他、股関節のスライド機構や独立指等の技術が盛り込まれており、当時としては非常に完成度が高く好評を得ている。