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イメージファイト - (2019/05/23 (木) 00:11:09) の編集履歴(バックアップ)


イメージファイト

【いめーじふぁいと】

ジャンル 縦スクロールシューティング この商品はAmazon商品紹介機能をご利用いただけません。
対応機種 アーケード
販売・開発元 アイレム
稼動開始日 1988年
配信 アーケードアーカイブス
【Switch/PS4】2019年5月23日/762円
判定 良作
R-TYPEシリーズ関連作品リンク


特徴

  • 全8ステージ(2周エンド)。5ステージまでは訓練、6~8ステージが実戦となっており、前半5ステージではステージクリア時にそれぞれのステージでの敵の撃破率が記録される。
    • 訓練5ステージの総合敵撃破率が90%を超えなかった場合、激ムズのペナルティエリアに飛ばされる。詳しくは後述。
  • 縦シューにしては珍しく、触れただけでミスになる地形障害物が多い。また安全地帯や攻略法を覚えておかなければ突破が不可能に近い箇所もあり、覚えゲーの傾向が強い。
  • 速度変化の時発生するバックファイア、レバー操作で方向を調節するタイプと前方固定との2種類のオプション、オプションを射出する「ポッドシュート」などの攻撃を使い分けて進むことが要求されるゲーム性のため、覚えることが非常に多い。
    • 特にユニークでオリジナリティがあるのは以下の要素。
      • Bボタンを押すことで、自機の速度をいつでも4段階に変更できる。微妙な弾よけや地形よけを要求される局面で使いこなす必要がある。さらに変速時に自機後方に生じるバックファイアにも攻撃判定があるので、後方から体当たり気味に敵を倒すことが可能*1
      • 自機が特殊ショットを撃てるようになるアイテム「パーツ」は7種類あり、場所に応じて付け替えたいのだが、既にパーツを装備している時は別のパーツを取得できない。そのためわざとパーツだけを被弾させて破壊してから取得する必要がある(パーツ装備中に前方から被弾すると、パーツは一発で壊れるが自機はミスにならない)。
      • パワーアップオプションの一種「赤ポッド」は、レバー操作の反対方向を向いてショットを発射する。この攻撃力に頼る箇所が多いので、赤ポッドの方向を微妙に制御しながら戦う必要がある*2
  • また、このゲームの大きな特徴は固い敵が多いことにある。アイテムキャリアでさえ6発は撃ち込まないと壊れない(上記「パーツ」をぶつけた場合は一発でパーツ諸共壊れる)。そのため漫然とアドリブで動いていると結局どの敵も倒せないまま激しい攻撃に晒されることとなる。したがってパターン化した動きで確実に敵を仕留めていくことが要求され、それが本作の個性となっている。
    • ショットをうまく撃ち込めずに敵を逃がしてばかりだと、補習ステージ送りになる危険性がある(補習ステージについて詳しくは後述)。そのためプレイ中はプレッシャーに晒され、敵を積極的に攻撃するように仕向けられるカラクリである。
  • さらに、この時代のSTGのお約束として、ショットに連射機能などというものはついていない。ひたすら手で連射するのが基本となるが、硬い敵がひっきりなしに出現するため肉体的にも厳しい戦いとなる。もし筐体に連射装置がついていれば、難易度はかなり低下する。

評価点

  • 良い意味で「覚えゲー」の要素が極めて高い。1周目は絶妙なゲームバランスが維持されており、一見して突破不可能に見える箇所でも必ず攻略法があり、それを身につければ突破できる。辛抱強くプレイを続ければ、自らが上達・学習していく快感を味わうことができる。
  • 操作方法やパワーアップシステムなどに独自性が強いが、それらがゲームの攻略と完全に噛み合っており、すべてを使いこなす必要がある。たしかに難しいのだが、それだけに使いこなせた時の感激も大きい。
  • グラフィックやBGMもクオリティが高く、独特の世界観を打ち出している。6面(実戦)開始時の演出はシンプルながら、実に燃える。
    • 実はレイフォース以前の「背景で語るゲーム」でもある。例えば7面(実践2面)の岩は「破壊された月」だと分かる様は、シューターの聖地ミカドの動画配信で「センスの塊」と評価される事も。
  • 全8面にもかかわらず1周クリアは20分前後であり、20分程でありながら「短い!」等の不満も殆どない。

問題点

  • 出落ちボスが多い。1面と3面のボスは安全地帯があり、そこから撃てばほとんどノーリスクで撃破できる。2面と4面のボスに至っては、全力で撃ちこめば攻撃される前に沈んでいく。その間、1秒未満。
    • 安全地帯は良しとしても、瞬殺可能なボスが前半に2体もいるのはいかがなものか。結局、ボスと緊張感ある戦いができるのは5面以降である。
  • 先述したように、連射装置のない環境では激しい連射を長時間続ける必要がある。
  • 2周目の難易度が極めて高い。敵の硬さも敵弾の量も1周目とは段違い。1周目が、わかっていれば抜けられる箇所の連続であるのに対して、2周目はわかっていてもどうにもならない。
    • その難しさを他のゲームの例に挙げると、縦STG史上最高クラスの難易度で悪名高い『達人王』の1周目に匹敵するといわれる。
    • ただし、2周エンドのアーケードSTGにおいて、2周目の難易度が極端に高いケースは多数あり、本作だけの問題点とは言えない。
    • 元々1周エンドであるゲームの、飽くまでオマケなのだから、余分に遊べるだけありがたいという意識で臨んだ方が良いだろうという話は、当時メーカーインタビュー記事中のライターの感想として既にされていた。

悪夢の補習ステージ

  • 今もなお語り継がれ、本作の代名詞ともなっているのがペナルティエリア(通称・補習ステージ)である。5面をクリアした時点で、それまでの敵の総合破壊率が90%を下回っていると、6面に進む前に補習ステージを経由する羽目になる。
  • この補習ステージ、具体的に何がヤバイのかと言うと、まず今までのステージで手に入れたパワーアップアイテムがすべて没収され、裸一貫で開始される。
    • 更に、補習ステージにはアイテムが出現しないため、補習ステージをクリアするまで自機の貧弱なショットのみで挑む事になる。
  • 敵の弾数が多く、自機の当り判定も見た目よりちょっと小さい程度なので大変避け難い。
    • 更に敵の殆どが耐久力を持ち、上手い事立ち回って出現する敵を瞬殺して進める事は困難。
    • そして弾速の早い、「接触すると一定時間動けなくなる」ビームを撃ってくる敵も出現。この敵もまた相当な耐久力を持つ。
  • はっきり言って補習ステージをクリアすることは、以後に待ち受ける実戦(6~8面)をクリアするよりも難しい(1周目、2周目を問わず)。補習という単語から連想される「成績の悪い者を合格に導くための特別措置」との印象からはほど遠い、「できるものならやってみろ」と言わんばかりの無理難題である。
  • だが実際には、補習ステージがオールクリアを阻む障壁となることは、ほとんどない。なぜなら5面をクリアすることが既に結構な難関であり、それを達成できる腕の持ち主なら序盤のステージで100%に近い成績を取れるので、総合成績が90%を下回ることは少ないのである。
    • 補習ステージに進むためには、故意にザコ敵を撃ち漏らしたり、ボスを撃墜せずタイムアップで逃がす等の措置を行う必要がある。敢えて補習ステージに踏み込み、見事クリアしてみせるのは、上級者の定番魅せプレイである。
  • さらに凶悪なのが、2周目の補習ステージである。弾速が更に上昇。耐久の無い敵が1種類のみになり、敵の数も増加する...。
  • 文章だけでは今一その難易度の高さを連想できないが、映像として見ると一目瞭然。
+ プレイ動画

  • イメージファイトが数あるシューティングゲームの中で最高の難易度を誇ると噂されるのは、この2周目補習ステージの存在によるところが大きい*3。もっとも、先述の通り補習は経由しなくてもクリア可能である。
  • しかし補習抜きに考えても『R-TYPE II』と同様、本作の2周目をクリアするのは、あらゆるSTGの中でも難しい部類と言える(1周目のみクリアであれば、極端に難しくはない)。
+ そして…(EDネタバレ注意)
  • 2周目をクリアをすると真のEDが見られる。
  • 最終的に自機を全壊一歩手前にされつつも全ての敵を倒し、後は任務報告と救援依頼をするのみの主人公。しかし救援が助けようとした瞬間に自機が爆発し主人公は死んでしまう。ちなみにタイミングが悪すぎて、味方が主人公を撃墜したのでは?という疑惑も浮上していたが、真偽は文字通り闇の中である。

総評

2周目の存在から「STGの中でも最高に難しい」などとされてきた本作は、実際のところも全編にわたって、嫌らしい位置に硬い敵が出現して嫌らしい攻撃をしてくる場面の連続である。全STG中の位置づけはともかく、難易度の高いゲームであることは間違いない。
しかし1周目の内容を見れば、攻略方法のイメージを続けながら辛抱強くプレイし、確実な突破口を見出し壁を乗り越える快感が味わえる、「計算された難しさ」が本作に込められている。
パターン性の極めて強い内容だが、本作独自のポッドの操作性が爽快感を殺していない点も見逃せない。グラフィックや音楽、演出なども高品質。難しさには賛否あるが、全体的な完成度は高い。80年代後半のシューティングゲームを代表する名作と言っても過言ではないだろう。


移植版等

  • 本作はFC、PCE、X68k、FM TOWNS、PS、SSに移植されている。
    • FC版(1990年3月16日発売、アイレム):家庭用初移植。マシン性能差がありすぎるため移植度は高くはないが、FCにしてはグラフィックも頑張っている。1面ボスはAC版と違い、縦座標が自機と合うとダッシュで突っ込んで来る仕様にされている。
    • PCE版(1990年7月27日発売、アイレム):当時の家庭用移植としては相当水準の高い移植である。オリジナルの縦長画面から横長画面に変更されているが、縦画面風モードも裏技として備えており、よりアーケードに近い感覚でプレイ出来るのが嬉しいところである。
      • またPCEオリジナルの続編『イメージファイト2』(1992年12月18日、アイレム)も発売されている。こちらは前作と違いメディアはCD-ROMとなっており、BGMはCD-DAで奏でられる。
    • TOWNS版(1990年発売、ビング):縦長画面の一部しか表示せず、表示されていない部分を任意スクロールで表示させるというかなり特異な仕様となっている。後に他機種での縦STG移植でもこの仕様のスクロール法を採用した作品は幾つか作られるが、初出はX68k版『A-JAX』である。
    • X68k版(1990年、アイレム):縦長画面が横長画面に変更になったことを除いては、かなり高い移植度を実現している。
    • PS版(1998年3月19日発売、エクシング):『アーケードギアーズ』シリーズのうちの一本として『イメージファイト&Xマルチプライ』というタイトルでカップリング移植された。ちなみに『Xマルチプライ』は本ソフトが唯一の家庭用移植である。
    • SS版(1998年8月20日発売、エクシング):基本的にPS版と同一である。
  • 他に同社の『R-TYPE』シリーズにも関わりがあり、同『FINAL』にて本作の自機を模した自機と補修ステージを模した最終ステージが、同『TACTICS2』にて本作の3面と同ステージのボスが登場している。
  • 海外ではPC「Irem Arcade Hits」に収録されており、DL販売店も多く値段も1,000円程度(セール時にはワンコインくらい)と入手も容易である。

余談

  • 業界内では『ニンジャガイデン』などを制作したテクモの「Team NINJA」のリーダーだった板垣伴信やアイレムソフトウェアエンジニアリングの中心クリエイターだった九条一馬などが、好きなゲームとして本作の名を挙げている。
    • 特に九条は自身が携わったR-TYPEシリーズで本作の内容を拝借したステージを組み入れている。