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Xマルチプライ - (2019/08/08 (木) 10:32:52) の編集履歴(バックアップ)


Xマルチプライ

【えっくすまるちぷらい】

ジャンル シューティング
高解像度で見る
対応機種 アーケード
販売・開発元 アイレム
稼働開始日 1989年
プレイ人数 1~2人(交代制)
配信 アーケードアーカイブス
【Switch/PS4】2019年8月8日/823円(税込)
判定 良作
R-TYPEシリーズ関連作品リンク


概要

  • アイレムの作り上げた、自機が高い防御性能を持つ横STG。タイトル画面に浮ぶ、目を見開いた巨大な顔面が印象的*1

特徴・評価点

  • R-TYPE』同様生物的なグラフィックを多用しているのが特徴的。しかし本作は舞台がエイリアンに寄生された人間の体内であり、そこにミクロ化した戦闘機を送り込むという「ミクロの決死圏」な設定、故に比較にならないほどグロテスクに仕上がっている。自機のサイズは多分シューティングゲームの中でも最小クラス*2
    • しかしいくらエイリアンに寄生されているとはいえ「これ本当に人体の中なのか!?」と思いたくなるほど人間離れしたようなステージなので、生理的嫌悪感は逆に感じづらいと思われる。
    • 特に2面で登場する恒例の巨大戦艦ステージの「ギガーリアン(多数のエイリアンが合体した姿という設定の敵)」は体内を舞台に繰り広げるゲームとは思えない雰囲気をステージと共に醸し出している。
    • ちなみに公式設定では寄生されている人体は女性らしい*3。実際、ラスボスの出現演出は受精→誕生であり、女性の胎内を強く連想させられる。
  • 本作最大の特徴はアイテムを手に入れることで追加される、攻撃判定・弾消し判定のある触手
    • 自機の中ほどから直接上下に二本生える。片側だけで自機の約2.5倍の長さを誇り、切り離す事は不可能だが全体が近接戦用武器として活用可能。また、先端から弾を撃てる。
    • レバー入力に連動し、左右の場合は入力と逆方向へ即座に先端を向け、上下要素では自機に引き摺られるように動く。ニュートラルの状態ではゆっくりと上下へ展開していく。
    • 攻撃アイテムを取る事で触手の先端から攻撃を行なう。しかし自機後方に触手を移動させても後方攻撃はほぼできない。
    • 武器パワーアップの種類は威力の高いレーザー、オールラウンドで使えるホーミングミサイル、アイレム恒例のテクニカル武器・シャドウの3種類。武器は場所によって使い分ける必要があり、戦略性も高い。
      + 各武器の説明
    • アイテムキャリアを壊すと画面上に残される3色のクリスタルを取ると、どの色の物でも初期段階の自機で取ると自機に触手が付き、次から各色に対応した武器が装備される。各武器はどれを取っても2段階まで強化される。
      • レーザー(赤):自機と触手、各々の先端からY軸連動するレーザーを撃つ。前方攻撃のみ可能。
      • ホーミングミサイル(青):触手の根元付近からホーミングミサイルを撃つ。自機と触手からノーマルショットも撃てるのでサブウェポン的な扱い。
      • シャドウ(黄):触手の先端が黄色い光球に包まれ、触手の伸びている方向へ(?)残像を引いたリング状の弾を撃つ。 自機からは弾が出ない。
    • ボムアイテムを取得する事によって、サブウェポンの対地ボムを使用する事も可能。対地ボムはメインウェポンと併用可能で2連射まで出来るようになる。またスピードアップアイテムもあるが、珍しくスピードダウンアイテムもある。

難点

  • 覚えゲー。触手の扱いは一筋縄では行かず、更に基本的な難易度からしてかなり高め。
    • 難易度を高くしている要因として、ボス戦で主に安全地帯を多用するバランスになっている事が挙げられる。2面までは安全地帯を利用しなくても撃破が楽だが、3面以降は正攻法では攻略が難しく、安全地帯を利用しないとなかなか先へ進む事が出来なくなっているボスも多い。
    • 他、アイレムシューのお約束として4面以降の地形の複雑化による難易度の急上昇も挙げられる。
    • 更に難易度の上がった2周目も存在するが、本作のエンディングは1周目と2周目で共通であり、いわゆる真エンドは存在しない。

総評

情報規制のおかげで非常にマイナーな作品だが、優れたグラフィック・癖のある触手を駆使して進めるゲームシステムから、操作して楽しい良作に仕上がっている。



余談

  • 本作登場当時、アイレムは理由の分からない情報規制を掛けていた。そのため、本作に関する情報は当時のゲーム雑誌などには殆ど載らなかった。
    • 同じような事になったゲームとして『R-TYPE II』や『ドラゴンブリード』がある。
    • ただしそんな状況にも拘らずゲーム誌「ゲーメスト」の裏技紹介コーナーで本作の安全地帯が紹介されていたのは救いかもしれない。
    • とかく攻撃の激しいボス戦では安全地帯を多用する事でこのゲームはバランスが成り立っている。そんな折の情報規制は、むしろ自殺行為であったと言わざるをえないだろう。
    • 余談の余談だが、「ゲーメスト」では本作は『マルチプライ』と誤植されている。見ての通り一文字目はXである。お間違えのないように。
  • 本作の自機が持つ触手装備は、後に同社発売の『R-TYPE Δ』における「テンタクル・フォース」として組み込まれた*4
    • R-TYPE FINAL』においても、本作の自機をモチーフにしたと思われる機体が登場している。
  • 自機に触手が付くSTGとしては他にX68000のソフトで『スコルピウス』という物もある。
  • 本作のタイトル名はYMOのアルバム『X∞MULTIPLIES』が元ネタと思われるが、明言はされていない。

移植

  • 本作はPS・SS版のアーケードギアーズに、『イメージファイト』と共に収録されている。
    • 『イメージファイト』と比較してしまうと相対的に本作の難易度は低く見られがちだが、本作とて充分どころの騒ぎではなく難しい部類に入る。
    • アーケードギアーズはものによって移植にムラがあるのだが、本作は比較的移植度が良い部類に当たるとされている。反面イメージファイト側の移植度は高くないが、知名度的に『イメージファイト』のおまけのような印象が強い。
    • 希少品なのでプレミアがついている。
  • アーケードアーカイブス(Switch・PS4)
    2019年8月8日:823円(税込) CERO:B(12歳以上対象)
    • 30年の時を経て単体で完全移植が実現した。