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タクティカル グラディエーター ヴェイグス - (2014/06/05 (木) 01:49:02) の編集履歴(バックアップ)


TACTICAL GLADIATOR VEIGUES

【たくてぃかる ぐらでぃえーたー う゛ぇいぐす】

ジャンル STG
対応機種 PC-8801mkIISR以降
発売・開発元 ゲームアーツ
発売日 1988年12月
定価 7,800円
分類 良作

概要

  • 強制横スクロールのロボットシューティングゲーム。
  • 当時のPCゲームとしては、かなり大きなキャラクターを動かしたゲームである。
  • 様々なロボットアニメの影響を受けている。

ストーリー

西暦2321年。太平洋沿岸の都市が突如謎の敵に攻撃される。地球連邦軍は直ちに応戦したが、地球上にない技術で構成された敵にまるで歯が立たなかった。その特殊性から当初、宇宙からの侵入者が考えられたが、その痕跡は見つからず敵は正体不明のままであった。その後、南太平洋の海底に1200kmにも及ぶ高エネルギー体を発見。そこが敵の基地と判明する。「ミズガルズサーペント」と名づけられる。しかし敵の本拠が分かったものの、そんな深海を攻撃する手段がなかった。そこで、かろうじて撃墜できた敵の残骸を解析。それを元に新兵器の開発が始まった。それから3年の年月が過ぎ、それはついに完成した。戦術格闘機TG-20D5「ヴェイグス」。人類の反攻が開始される。

特徴

  • これぞロボットゲーム。
    • 当時としてかなり大きいキャラクターを使ったロボットシューティングゲーム。この大きさのためロボットのディテールが従来のもの以上によく見え、ロボットものである事を強く印象付けた。さらに、様々な機能を備えているため、ロボットを動かしているという実感があった。もちろん、それらの機能はゲーム性とも合致しており、単にロボットらしさを出すためだけではない。
    • その無骨なデザインはリアルロボットアニメを彷彿とさせる。ただ腕部にマニュピレーターがないという、変わった面もある。
  • 多彩な機能を持ったヴェイグス。
    • ヴェイグスの動作は左右への移動、しゃがみ、そしてバーニアによるジャンプがある。このジャンプはバーニアゲージがなくなるまで飛び続ける事ができる。動きはやや重く、リアルロボットものとしての重量感を感じる。そんな動きで一番重要なのがターンである。これはヴェイグスの向きを変える動作だが、なんとターン中は無敵になれる。しかも結構長い。ヴェイグスはサイズが大きく、動きも重い。このため敵の弾を全てかわすのはなかなか難しい。そこでこのターンをどれだけ使いこなせるかが、ダメージを減らす鍵となる。ただしターン中は攻撃ができない。ただ避けてばかりでは敵をまるで倒せない。
    • ヴェイグスの武装は3つ。右手に装備されたビーム砲。胸部のバルカン。そして、左手のフィールド・パンチである。右手のビーム砲は言わば銃。高威力の弾が発射されるが、水平方向にしか撃てない。胸部のバルカンは上下各60度ほどの発射角を持ち、前方をほぼカバーできる。ただ連射速度が速いものの一発の威力が小さく、射撃中はジャンプができない。フィールド・パンチは接近戦専用の攻撃。ザコなら一撃必殺もできる高威力の攻撃だが射程がかなり短い。これらの一長一短の武装を、状況に応じて使い分けていく。
    • ヴェイグスは複数のシールドで守られている。シールドと言っても楯ではなくバリアーのようなもの。このシールドは耐久力があり、ダメージを受けても耐久力内なら時間と共に徐々に回復していく。しかし、それを突破されるとシールドを1枚失う事となる。全てのシールドを失うと、自機に直接ダメージが発生、部位破壊が起こる。最悪、まともに戦う事もできず、逃げ回るしかない場合も。
  • 敵は大きく速い。
    • 様々な敵がいるが、その平均的大きさはヴェイグスの半分程度。それでも当時のゲームとしては大きいほう。その中には動きが速いものも結構いる。しかも硬い敵も多い。ボスキャラ的存在もしっかりいる。敵は中々手ごわいのである。
    • 強制横スクロールのゲームだが、敵は左右、上部と様々な所からやってくる。大きくて速い敵が、あちこちから出てくるので、見えてからでは対応しきれない。だがヴェイグスにはレーダーが装備されており、事前にどこから来るか教えてくれるようになっている。
  • ステージは15面。クリア後にはパワーアップ。
    • 各ステージは背景は違うものの、地形的にはそう変わらない。だが、敵は各ステージで特徴的なものとなっている。もちろんボスも。
    • ステージをクリアすると、破損箇所を修理され、パワーアップができるようになる。強化されるのは、胸部のバルカン、左手のフィールド・パンチ。シールドの枚数、バーニアゲージの量。この内、右手にあるビーム砲は自動的に強化されるが、それ以外はプレイヤーが選択する事となる。強化はパワーユニットによって行う。このパワーユニットはステージでの敵の撃破数から数が決まる。だから被弾を恐れて、ターンで避けてばかりいるとパワーアップがロクにできない。ステージによっては撃破必須のボスもおり、パワーアップが十分ではないとほとんど手詰まりに近い状態に…という事も。
      • パワーアップはかなり自由にできる。効果はかなりハッキリでるので、自分なりのプレイに合わせたパワーアップが可能。
  • 基本的には覚えゲー。
    • 自機が大きいので、当然被弾しやすい。ターンで避けてばかりもいかないので、対策としては撃たれる前に撃つとなる。しかし相手は速くて硬いので、見つけてからでは対処しきれない事もよくある。そこでどの場所でどんな敵が出て、どこに位置取りをして、どの武装で対応するかという攻略方法を見出すことが重要。特に、敵が硬いため高威力のフィールド・パンチの使い方は、攻略の鍵となる。そして攻略方法を見出してしまえば、面白いように敵を撃破できる。それに実は、攻略方法を示唆するような敵の配置と攻撃になっている。
      本作のゲームとしての楽しさは、この覚えゲーの部分も大きい。
  • 一工夫された明滅する弾。
    • 飛び交う弾は明滅するようになっている。大した事ではないようだが、PC88のゲームとしてはこの点が大きい。PC88は同時に8色*1しか表示できず、背景を描き込んだゲームなどでは、背景に弾が埋もれてしまう事もあった。しかし本作では弾は明滅させる事により、それをうまく解決している。
  • 力の入った演出。
    • ベースの効いたBGMは小気味よく、ゲームによく合っている。
    • デモも手が込んでおり、3枚組みのディスクの内、一枚が丸々OPというほど。OPデモに力を入れたゲームはすでにあったが、その中でも本作はかなりのボリュームだった。

問題点

  • 当時のゲームではありがちだったが、コンティニューがない。
  • セーブ機能もない。15面という長丁場。さすがにSTGでは集中力が切れてしまう事も。
    • 難易度も高めなため、長時間STGをやる続けるのはやや疲れる。
  • ハード性能の限界を感じる。PC88はアクションゲーム向きとは言えず、やや力足らずの部分も目に付く。
    • 例えば、スクロールがコンシュマーに比べると滑らかではない。特に敵キャラが多くなり負荷がかかる時など、背景が波打ったようにスクロールしてしまう。

総評

当時としてはレベルの高いロボットゲーム。主役機ヴェイグスの多彩な動きは、ロボットゲームを望んでいたプレイヤーを十分満足させるもの。STGとしてもやり応えがあり、難易度が高いながらも、攻略方法を見つけていく楽しさがあった。Win以前の代表的ロボットゲームの一つである。

余談

  • 本作は実はSLG性も備えたゲームになるはずだった。そして移動も戦略性を持つため、強制右スクロールではなく自由に左右へ行けるものだった。しかし本作が発売される前に、目指すゲーム性を持った『獣神ローガス』というロボットゲームが出てしまう。そこで急遽、本作はSTGへと変わったという経緯がある。
  • PCエンジンで移植版が発売されたが、大雑把な出来となってしまった。