TACTICAL GLADIATOR VEIGUES
【たくてぃかる ぐらでぃえーたー う゛ぇいぐす】
| ジャンル | シューティング | 
| 対応機種 | PC-8801mkIISR以降 | 
| 発売・開発元 | ゲームアーツ | 
| 発売日 | 1988年12月 | 
| 定価 | 7,800円 | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要
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強制横スクロールのロボットシューティングゲーム。
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当時のPCゲームとしては、かなり大きなキャラクターを動かしたゲームである。
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様々なロボットアニメの影響を受けている。
ストーリー
西暦2321年。太平洋沿岸部の都市が突如謎の敵に攻撃される。地球連邦軍は直ちに応戦したが、地球上にない技術で構成された敵にはまるで歯が立たなかった。その特殊性から当初、宇宙からの侵入者が考えられたが、その痕跡は見つからず敵は正体不明のままであった。その後、南太平洋の海底に全長1200キロにも及ぶ高エネルギー反応が確認された。分析の結果、敵の基地であることが判明。これを「ミズガルズサーペント」と名づけた。だが、敵の本拠地は分かったものの、そんな深海を攻撃する手段がなかった。そこで、かろうじて撃墜できた敵の残骸を解析。それを元に新兵器の開発が始まった。それから3年後の西暦2324年、数多の犠牲を払い戦術格闘機「TG-20D5 "ヴェイグス"」が完成。連邦軍最高指令部は最後の反撃作戦「オペレーション・ラストラリー」を開始。人類最後の希望はヴェイグスに託された・・・
システム
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強制スクロールのロボット横シューティング。
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ヴェイグスの動作は左右への移動、しゃがみ、そしてバーニアによるジャンプがある。このジャンプはバーニアゲージがなくなるまで飛び続ける事ができる。また方向転換の際に無敵が発生する。しかし、ターン中は攻撃できない。
 
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ヴェイグスの武装は3つ。
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右手に装備されたビーム砲。高威力の弾が発射されるが、水平方向にしか撃てない。
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胸部のバルカン。上下各60度ほどの発射角を持ち、前方をほぼカバーできる。ただ連射速度が速いものの一発の威力が小さく、射撃中はジャンプができない。
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左手のフィールド・パンチ。接近戦専用の攻撃。ザコなら一撃必殺もできる高威力の攻撃だが射程がかなり短い。
 
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ヴェイグスは複数のシールドで防備。
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シールドと言っても楯ではなくバリアのようなもの。このシールドは耐久力があり、ダメージを受けても耐久力内なら時間と共に徐々に回復していく。しかし、それを突破されるとシールドを1枚失う事となる。全てのシールドを失うと、自機に直接ダメージが発生、部位破壊が起こる。
 
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ステージは15面。クリア後にはパワーアップ。
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各ステージは背景は違うものの、地形的にはそう変わらない。だが、敵は各ステージで特徴的なものとなっている。もちろんボスも。
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敵は左右、上部と様々な所からやってくる。ヴェイグスにはレーダーが装備されており、事前にどこから来るか教えてくれるようになっている。
 
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ステージをクリアすると、破損箇所を修理され、パワーアップができるようになる。強化されるのは、胸部のバルカン、左手のフィールド・パンチ。シールドの枚数、バーニアゲージの量。この内、右手にあるビーム砲は自動的に強化されるが、それ以外はプレイヤーが選択する事となる。強化はパワーユニットによって行う。このパワーユニットはステージでの敵の撃破数から数が決まる。
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尚、シールドを強化した後にダメージを受け続けて、シールドがゲージ1本以上減った状態でクリアするとその分は回復せずステージクリア後に再度パワーアップし直しになる。また、パワーユニットは「ステージクリア時にわざと使わず、次のステージに持ち越し可能」なので上級者は一定のパワーユニットが溜まってから一度に強化という手段も取ることが可能。
 
評価点
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これぞロボットゲーム。
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当時としてかなり大きいキャラクターを使ったロボットシューティングゲーム。この大きさのためロボットのディテールが従来のもの以上によく見え、ロボットものである事を強く印象付けた。さらに、様々な機能を備えているため、ロボットを動かしているという実感があった。もちろん、それらの機能はゲーム性とも合致しており、単にロボットらしさを出すためだけではない。
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その無骨なデザインはリアルロボットアニメを彷彿とさせる。ただ腕部にマニピュレーターがないという、変わった面もある。
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マニピュレーターが無い点については、デザイナーのもりくまなお氏のサイト(現在は閉鎖)によると、繊細な作業をするための機体ではないため敢えて装備させないデザインとしたとのこと。
 
 
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多彩な機能を使いこなす面白さ。
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動きはやや重く、リアルロボットものとしての重量感を感じる。そんな動きで一番重要なのがターンである。ヴェイグスはサイズが大きく、動きも重い。このため敵の弾を全てかわすのはなかなか難しい。そこでこのターンをどれだけ使いこなせるかが、ダメージを減らす鍵となる。ただしターン中は攻撃ができないので、避けてばかりでは敵をまるで倒せない。これはパワーアップにも影響するので、ダメージ回避ばかり注視していると、先のステージでかなり厳しい事となる。使いこなしが必要。
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三種類の武装の使い分け。各種武装は一長一短で、状況に応じて使い分けていく。特に、高威力のフィールド・パンチの使い方は、攻略の鍵となる。
 
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自由度の高いパワーアップ。
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ビーム砲以外の強化は自由にできる。効果はかなりハッキリでるので、自分なりのプレイに合わせたパワーアップが可能。
 
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敵も多彩で大きい。
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個性のハッキリした様々な敵がいる。その平均的大きさはヴェイグスの半分程度。それでも当時のゲームとしては大きいほう。その中には動きが速いものも結構いる。しかも硬い敵も多い。ボスキャラ的存在もしっかりいる。敵は中々手ごわい。
 
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基本的には覚えゲー。
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自機が大きいので、当然被弾しやすい。ターンで避けてばかりもいかないので、対策としては撃たれる前に撃つとなる。しかし相手は速くて硬いので、見つけてからでは対処しきれない事もよくある。そこでどの場所でどんな敵が出て、どこに位置取りをして、どの武装で対応するかという攻略方法を見出すことが重要。そして攻略方法を見出してしまえば、面白いように敵を撃破できる。それに実は、攻略方法を示唆するような敵の配置と攻撃になっている。
 本作のゲームとしての楽しさは、この覚えゲーの部分も大きい。
 
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一工夫された明滅する弾。
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飛び交う弾は明滅するようになっている。大した事ではないようだが、PC88のゲームとしてはこの点が大きい。PC88は同時に8色しか表示できず、背景を描き込んだゲームなどでは、背景に弾が埋もれてしまう事もあった。しかし本作では弾は明滅させる事により、それをうまく解決している。
 
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力の入った演出。
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ゲームアーツ作品ではお馴染みとなったメカノアソシエイツによるベースの効いたBGMは小気味よく、ゲームによく合っている。
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デモも手が込んでおり、3枚組みのディスクの内、一枚が丸々OPというほど。OPデモに力を入れたゲームはすでにあったが、その中でも本作はかなりのボリュームだった。
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エンディングで戦艦ダイダロスと本部とのやり取りがあるのだが、こちらもゲームアーツ作品でお馴染みとなったCSM合成音声によるフルボイスで行われる。その内容も胸を熱くさせるだろう。
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前述のもりくま氏のサイトによると、戦術格闘機(TACTICAL GLADIATOR)の名が示す通り、ヴェイグスの主兵装はあくまでフィールドパンチであり、無骨な機体も相まって実に漢らしい。
 
問題点
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当時のゲームではありがちだったが、コンティニューがない。
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セーブ機能もない。15面という長丁場。さすがにSTGでは集中力が切れてしまう事も。
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難易度も高めなため、長時間STGをやり続けるのはやや疲れる。普通にやってもクリアまでに2時間半程度は掛かるのはさすがに長い。
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但し、隠しコマンドで難易度を下げる方法はあるのでそれを使えば多少はマシなのが救いではある。
 
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ハード性能の限界を感じる。PC88はアクションゲーム向きとは言えず、やや力足らずの部分も目に付く。
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例えば、スクロールがコンシュマーに比べると滑らかではない。特に敵キャラが多くなり負荷がかかる時など、背景が波打ったようにスクロールしてしまう。
 
    
    
        | + | 隠しコマンド | 
以下のキーを同時に押しながらゲームを起動する。[I][Y][A]を押しながら起動する→難易度が1段階下がる
 [A][N][O]を押しながら起動する→難易度が2段階下がる
 [I][W][A]を押しながら起動する→難易度が3段階下がる
 
 
逆に[S][U][M]を押しながら起動すると難易度が上がった状態でプレイできる。
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総評
当時としてはレベルの高いロボットゲーム。主役機ヴェイグスの多彩な動きは、ロボットゲームを望んでいたプレイヤーを十分満足させるもの。STGとしてもやり応えがあり、難易度が高いながらも、攻略方法を見つけていく楽しさがあった。Win以前の代表的ロボットゲームの一つである。
余談
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本作は実はSLG性も備えたゲームになるはずだった。そして移動も戦略性を持つため、強制右スクロールではなく自由に左右へ行けるシステムとなっていた。しかし、本作の発売前に、同様のゲーム性を持った『獣神ローガス』というロボットゲームが出てしまう。そこで急遽、本作はSTGに路線変更されたという経緯がある。
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PCエンジンで移植版が発売されたが、大雑把な出来となってしまった。
最終更新:2022年07月14日 08:53