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GUNGRAVE - (2013/12/26 (木) 14:39:47) の編集履歴(バックアップ)
GUNGRAVE
【がんぐれいう゛】
ジャンル
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フルブレイクガンアクション
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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レッド・エンタテインメント
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開発元
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ポジトロン 戦船(いくさぶね)
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発売日
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2002年7月17日
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定価
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通常版:7,140円 特別限定版10,290円(共に税込)
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ポイント
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キャラクターデザイン&原案・内藤泰弘 ジャンル名に偽りなしの爽快感と演出 シナリオと全体の操作性にやや難あり シリアスだが公式でバカゲー扱い
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概要
レッド・エンタテインメントが発売したガンアクションゲーム。
漫画『トライガン』の作者である内藤泰弘氏がゲームの原案とキャラクターデザインを担当、メカデザインは同じく『トライガン』のアニメ版でメカデザインを担当した神宮司訓之氏と、テイルズオブシリーズのキャラクターデザインで有名な藤島康介氏が担当した。
内藤氏は本作の制作について『トライガン』のあとがきで触れており、本作のコンセプトやゲーム全体の概要についても解説している。
ストーリー
巨大なケースを引きずって、ある人物のもとへやってきた少女・浅葱ミカ。
ミカは母・マリアから託されたそれをある人物に渡せば、母を殺したマフィア『ミレニオン』のボスである、ハリー・マクドゥエルを止めてくれると信じていた。
彼女が向かった先には「Dr.T(トキオカ)」という男と、「ビヨンド・ザ・グレイヴ」という名の隻眼の男がいた。
グレイヴは少女の持ってきたケースに入っていた2丁の巨大な拳銃『ケルベロス』を取り出し、武装を積みこんだ棺桶『デスホーラー』を下げて戦いに赴く。
待ち構えているのはマフィアの構成員や、麻薬『シード』によって変化した人間『オーグマン』など……。
グレイヴは何者なのか?なぜ『ミレニオン』と戦うのか?ハリーやマリアとの関係は?
戦いの中で少しずつ答えが明かされていく。
システム・ゲーム全体の内容
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プレイヤーは主人公・グレイヴを操作する。
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グレイヴは弾数無限の拳銃『ケルベロス』を装備しており、これをメインの武器として戦う。
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ケルベロスは1ボタンで発射可能で、移動やジャンプ中も攻撃可能。連打することで前方の広範囲に弾をばらまく「バースト」となる。
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ケルベロスだけではなく、『デスホーラー』という棺桶を装備。デスホーラーは振り回して接近戦を挑める。
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画面左上に『デモリッションゲージ』が映し出されている。
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オブジェクトや敵に攻撃を加えると「ビート」というコンボのカウントがされ、一定数以上になるごとにゲージが増える。
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ゲージは一本溜まるごとにストックされる。最大で9までストックでき、それを消費することでデスホーラーの武装を使った『デモリッションショット』が使用可能。
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周囲を攻撃できるタイプと、前方に集中して攻撃できるタイプの2種類がある。それぞれに上位の技がある。
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デモリッションショット中は無敵なので回避手段にも使える。
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ストックを消費してライフを回復することが可能。
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画面右上には体力とシールドのゲージが表示されている。
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ダメージは一定量、シールドが肩代わりする。シールドは相手の攻撃を一定時間受けずにいると回復。
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シールドが空になった状態でダメージを受けると上のライフゲージが消費され、空になるとゲームオーバー。
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画面には表示されない「アートポイント」というものがある。
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華麗な戦いを決めると加算される。
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『見栄ポーズ』という決めポーズをとるだけの行動がある。敵を全滅させた後にこれを決めないと評価が下がる。
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ゲームはステージクリア型で、全部で6ステージ。
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各ステージクリアごとにクリアタイムや撃破数、体力などの評価がされる。評価ポイントを一定以上獲得すればデモリッションショットの種類が追加される。
評価点
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このゲームの醍醐味は爽快感。何と言ってもこれに尽きる。
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ジャンル「フルブレイクガンアクション」が示すように、あらゆるオブジェクトがガンガンぶち壊せる。車のようなデカいものからゴミ箱のような小さなものまで。小物の配置なども秀逸。
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回避行動などが少ないので、出来る限り攻撃を避けつつシールドとデモリッションの存在に任せてゴリ押していくのが基本スタイル。さらに弾が無限なので、考えることなくガンガンばらまいていける。
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操作系統があまり複雑ではないので、とっつきやすい。前述のようなゴリ押しが基本なので、ゲーム初心者でも遊びやすい。
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公式での解説文『疲れ果てて家に帰って来た人が、10分間だけプレイして、すぐにストレスを解消でき、すぐ寝ることが出来るゲーム』まさにそんな爽快感である。
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演出面の全体のクオリティの高さ。
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内藤デザインのアメコミ風なキャラ。独特のスタイリッシュさと渋さ(とダサさ)がある。
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メカデザインも秀逸で、ギミックが細かく作られている。ステージ開始時にケルベロスを取り出す動作などが細かい。
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グラフィックの質も当時としては高く、内藤氏の画風を忠実に再現している。ムービーはまるでアニメだと錯覚するほどの美麗グラフィック。
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既に述べたようにマップの作りこみもしっかりしており、演出やエフェクトも派手。爽快感の後押しに。
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ムービーも映画のワンシーンのごとく派手な演出がされ、ステージクリア時の倒れたボスなどを背に立つグレイヴの姿などもかっこいい。
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グレイヴのモーションも動きが大きくなかなか派手。『見栄ポーズ』のようなバカバカしさと絶妙なダサさが光る。
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今堀恒雄氏が手がけた音楽も良質。後にアニメ版でも多くが流用されている。
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登場人物の声優陣は豪華。
問題点
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シナリオ面
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設定は細かく、緻密に作られている。…のだが、突拍子もない展開や説明されない部分が多い。
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ゲーム内では設定の解説が極端に少なく、ムービーでの幹部との会話やわずかに記憶を取り戻したグレイヴの回想、ステージ開始前のDr.Tやミカとの会話から少しだけ見れる程度。
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グレイヴは設定上、記憶と感情を失っているため全くしゃべらない(悲鳴や掛け声さえ上げない)。EDのスタッフロールにさえ、主人公にもかかわらずキャストが載っていない。
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敵・ミレニオンの幹部やグレイヴを始め、オーバーテクノロジーが多数使われた設定。渋いハードボイルドものと思ってみると面食らう。
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そしてそのテクノロジーで強化された『オーグマン』たちも、姿が見事にバケモノで、特にボス敵となると人間の形を保った者は少ない。
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ラスボスの正体は明かされない。唐突に出てきて戦闘になり、倒した後はまるで触れられず、何のために出てきたのかわからない。
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続編の設定や名前などからある程度正体は推察できるが、ゲームを遊ぶだけでは全く意味が分からず、推察できるものもまたぶっ飛んだ設定である。
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個々のセリフやキャラクター設定などはなかなか良い。これらの展開についていけるかどうかでシナリオの評価は大分変わるかもしれない。
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スタッフからは「シナリオはおまけ」のような扱いを受けている。あくまで本作が追求しているのは前述した「爽快なアクション」であるということだろう。
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後のアニメ版の存在もあり、アニメ版から入ったプレイヤーにはシナリオや設定の違いに驚く者も少なくはない。
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その一方で、アニメ版を見ていたために登場人物の心情がつかみやすくなったという声もある。
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操作性やシステムの一部に難がある。
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動きがややもっさりしている。
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カメラワークが一部悪い。
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前述したようにゴリ押しが基本となるシステム。本作はガードや特殊な防御手段がないため、そういったところが余計押し出されている。
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近接攻撃が棺桶を一度振り回すだけ、銃のバーストのように連続で振り回すことができず、いったんモーションが終わるまで再度繰り出せない。
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アートポイントが不可視のため、基準となる行動がわかりづらく、増加しているかどうかがわからない。
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少なくとも、前述した「敵全滅後の見栄ポーズ」はやっておかないと満点評価は獲得できない。
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ボリューム不足
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ステージ数が少なく、一つのステージも短いため、一周ごとのプレイ時間も非常に短い。慣れれば1時間ほどでクリアできる。
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隠し要素はあるし、前述したステージクリア時の評価もあるので、周回プレイをすることが前提のゲームであることは間違いない。ステージクリア評価で全て満点を獲得しようとするとかなり骨が折れる。が、全体のプレイでできることが少なく飽きやすい。
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また、ステージ選択不可のため、一周で全部クリアしなければならず(セーブは可能)、最終ステージを遊ぶためにそれまでの全てのステージクリアが必要。
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逆に言うと、「一個ステージをクリアして、セーブして中断する」というプレイをすれば、公式の発言通り「10分だけ遊んで眠る」が実現可能であるのだが。
バカゲー?
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デザインや設定、演出など、公式であえてバカバカしく作っている節が見られる。
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そもそも、本作のコンセプトが「何も考えずぶっ壊すゲーム」なので……。
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グレイヴのデザインが「帽子を被って潰れた目が隠れるデザインの眼鏡をかけた、装飾がごついコートの細身な男」で、それが通常の拳銃の数倍はあろうかというようなデカい拳銃二丁と鎖で両腕に縛り付けた重装備の棺桶をぶら下げている。劇中でもコスプレ扱いだが、危険人物以外の何物でもない。
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そもそも、武器が棺桶というのが物凄く胡散臭い。というか劇中でも普通に「棺桶」扱いされているが、武器と機械がゴテゴテ積まれているそれはどう見ても棺桶には見えない。髑髏が覗いているのが辛うじて棺桶らしい部分か。
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メカのギミックは細かいのだが、物理的にありえない武装の積み方がされていたりする。
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ケルベロスの弾は無限と書いたが、設定上は弾数がある。10億発。いくらデカい拳銃とはいえ、どこに入るのか。
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棺桶に積まれている武装はマシンガンに連装ミサイルランチャーに巨大ロケットランチャー。さらに後述するようにファイナルデモリッションショット用の機関部が積まれている。個人で抱える兵装としてはあまりに過剰な上にこれらのすべてが当然のごとく弾数無限。ゲームとはいえ四次元にでもつながっているのか?
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幹部は人物像の描写が少ないながらも、全員なかなか強烈なキャラをしている。オーグマンに変身した後の姿も含めて。
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幹部の一人「ボブ・パウンドマックス」のオーグマン形態は複数のプロペラで飛行するというもの。どういう発想でそんな姿が浮かぶのか……。
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幹部の一人「ベア・ウォーケン」は日本かぶれという設定なのだが、その対決ステージである彼の道場は鳥居が何本も立っているなど間違った日本観を示している。そして待ち構えている彼と対面すると、変身と同時に道場をぶち壊す。
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既に述べたグレイヴの見栄ポーズだが、スタッフ曰く「グレイヴは本気で格好いいと思っている」とのこと。……感情ないんじゃなかったのか。
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あるステージのムービーでは、巨大なサイドカーに棺桶を積んで走るグレイヴの姿が映される。これで壁を走ったり棺桶のミサイルをぶっ放して警察のエアカーを落としたりと豪快に動き回る。
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このバイク、藤島康介氏のセンス全開のデザインで好評なのだが「バカバカしさが足りない」という理由で何度もリテイクを食らったそうな。
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ボスキャラの体力一定以下で、デモリッションショットのストックがあればムービーが入る「ファイナルデモリッションショット」が使えるのだが……。
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巨大なミサイル数発撃っただけで終わりのような地味なものや、『棺桶中央の機関部が動いて、バイクのように棺桶ごと回転しながら周囲に向けて機関銃を乱射する』という技を一体の敵にやったりと、どこか妙なものが集まっている。
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ラスボス相手にはそれまでのファイナルデモリッションを全部ぶっぱなす。や、やりすぎでは……?
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そんな本作だが、シナリオ自体はかなり暗く、ギャグが入る余地は全くない。演出の派手さやバカバカしさ、テクノロジーの設定などのぶっ飛びっぷりに目が行くが、全体的に影を落とした雰囲気が本作の持ち味である。
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主人公・グレイヴはハリーの撃破のために、淡々と立ちふさがる敵を撃破していく。まさに死神。
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グレイヴは一度死んでおり、特殊な技術で復活している。これによって通常の人間よりも強靭なのだが、記憶と感情はほとんど失われ、定期的に血液を交換しないと肉体を保てない状態になっている。
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対するハリーは権力に固執し、全てを想いのままに操るべくシードなどの技術を手にした悪党。かつてのボスを死に追いやり、その妻マリアをも手にかけ、ミカの命まで狙うという外道ぶりを発揮する。
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アニメ版では権力に固執するようになった理由と過程が丁寧に描かれているが、ゲームではほとんど描写されないうえに、セリフや各種行動がアニメ版のそれよりもさらに非道。
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グレイヴの仲間と言える人物は今やDr.Tと、戦うことができない幼い少女のミカだけ。さらに中盤でDr.Tはオーグマンに殺されてしまい、グレイヴはただ一人ハリーを倒すこととミカを守ることのため戦いに赴き続ける。
総評
ゲームとしては微妙に至らない部分やボリュームなど、クソゲーとまで言えるほどひどい出来ではないが、手放しで褒められるほどの代物でもない。
また、シナリオ面でも人を選ぶ部分が強い。
しかし、演出の出来と単純な操作で派手さとバカバカしさを兼ね備えたアクションを実現できる快感はなかなかのもの。
人を選ぶ部分は強いが、この雰囲気を楽しめるかどうかで良作にも凡作にもなりうる、まさに奇作とでもいうべき作品である。
特に内藤泰弘のファンであるならば、買っても損はないと言える一品だろう。
その後の展開など
アニメ版
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本作を語るうえで外してはならない話題であろう。2003年10月6日からテレビ東京系列で放送された。全26話。
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基本的に原作の設定を踏襲しているが、一部の設定が変更されており、アクションメインのゲームとは打って変わって登場人物の心理描写や細かい関係などがメインの作品である。そしてアニメ版ではゲームとは異なる結末へと向かっていく。
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原作では必要最小限の描写だったグレイヴとハリーの過去なども、かなりの話数を割いて丁寧に描写しており、一部に原作同様のオーバーテクノロジー設定などを交えながらも、マフィアという特異な世界や劇中で多用される「ファミリィ」という言葉に重点を据えた本格的なハードボイルド作品へと仕上がっている。
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反面、過去を丁寧に描く都合上、過去編が占める割合が非常に多く、話が盛り上がるまで結構な話数を要する。
その為、「淡々として盛り上がらないアニメ」と途中で視聴を切ってしまった視聴者も非常に多い。
最後まで見た視聴者からはなかなかに好評なだけに、残念な話である。
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こちらもまた全体の作画の出来や演出の完成度が高く、今堀恒雄氏作曲のBGMや、Scoobie DoによるEDテーマ『茜色が燃えるとき』など音楽面でもまた好評。
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総じて高いクオリティと実に渋い「男の世界」の描写から、「男の義務教育」などと言われることも。
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ただし、一部の声優がゲームとは変更されていることや、幹部のオーグマン形態(アニメでは幹部のオーグマンは「スペリオール」と呼ばれている)のデザインが変更されていることには賛否がある。
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ゲームでは喋らなかったグレイヴもアニメでは口数は少ないながらも喋るようになっており、関智一氏が担当。この配役は『O.D.』でも継続。
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幹部の一人「バラッドバード・リー」はゲームでは小野坂昌也氏だったが、アニメでは子安武人氏。ボブとの友人設定が強調されており、ボブを殺したグレイヴに「よくもです!」と丁寧なのかなんなのかよくわからない口調で叫びながら殴り続けるシーンはよくネタにされる。
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なお、本作のアニメ版を手がけた製作会社はマッドハウス。脚本の黒田洋介氏や前述の音楽担当である今堀恒雄氏を始め、製作スタッフのほとんどがアニメ版『トライガン』と同一である。放送局やインストゥルメンタルのOPなども共通。
続編
その他の展開
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アイディアファクトリーのゲーム『カオスウォーズ』にて、続編『O.D.』から数人のキャラが参加している。
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が、一部の人物の声優が原作と異なったり、必殺技のカットインが原作のムービーを流用したものであったりと不評。
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2010年7月2日、AnimeExpo2010で実写映画化と書籍化が発表された。