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バイオニックコマンドー (GB) - (2016/07/22 (金) 09:45:10) の編集履歴(バックアップ)


バイオニックコマンドー

【ばいおにっくこまんどー】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイ
発売元 カプコン
開発元 水口エンジニアリング
発売日 1992年7月24日
定価 3568円(税込)
配信 バーチャルコンソール
【3DS】2011年11月16日/411円
分類 良作
バイオニックコマンドーシリーズリンク

概要

ジャンプを排除してワイヤーによるアクションを全面に押し出した『ワイヤーアクション』がテーマのカプコンのアクションゲーム。 アーケードゲーム『トップシークレット』をFCにアレンジ移植した『ヒットラーの復活 TOP SECRET』をさらにリメイクした作品。
基本的にはリメイク元の「ヒットラーの復活」とほぼ同じ内容であるが、数多くの変更点・改善点が存在する。
また、『バイオニックコマンドー』という名称は元々『トップシークレット』及び『ヒットラーの復活』(以下「FC版」)の海外版タイトルであり、日本で発売された作品のタイトルに使用されたのは本作が初めて。
本作以降のシリーズ名称は国内外を問わず全て『バイオニックコマンドー』で統一されている。

FC版からの変更点(長所・短所も含む)

ナチス要素の徹底排除

  • FC版のヒットラー(マスターD)に相当する人物は存在自体がカットされ、ワイズマン総統が順当にラスボスへ昇格することとなった。
    • 元々ナチス要素やヒットラーの存在は無くそうと思えばどうにでも無くせる程度の物であったため、海外進出がスムーズになる点などを考慮しても順当な物だと言える。ちなみにラストのグロ描写も無し。

キャラクターデザインおよび、背景デザイン

  • 対象年齢を引き下げるためか、全体的に「80~90年代前半のSFアクションアニメ」のようなライトなものに徹底変更されている。背景デザインは「ダーティペア」などにイメージが近いか。
    • 主人公であるFF部隊隊員ラッド・スペンサーはFC版の面影が全く残っていない最も大胆な変更が施されており、赤い全身タイツにメタリックなボディアーマー、半透明のバイザーにロックバスターのような銃を装備した細身の男性となった。
      • FC版のラッド・スペンサー大尉は茶髪のチクチク頭、サングラス、バズーカ、腰に下げたワイヤー、タスキのように巻いた弾丸の帯、普通の軍服…という重装備でいかにも屈強な当時のカプコンらしいデザインだった。
    • 救出すべきキャラであるスーパージョーもデザイン変更が著しく、FC版のみプレイした人は必見。ラッド以上の歴戦の勇士であると一目で分かる点は共通しているが、現役の戦士であるというニュアンスが強くなっている。
    • 敵の大ボスであるワイズマン総統も「ステレオタイプの偉そうな中年軍人」から「SF的(+微妙にファンタジー)ないかにもな悪の帝王」風のデザインに変貌。ラスボスとしての風格はバッチリである。
  • FC版からの最大の変更点であり、FC版のファンからは「渋くて男臭い雰囲気が無くなって台無し」「コロコロかボンボンの漫画みたいで安っぽい」と否定的な意見も多い。
    • しかし、グラフィックの完成度はかなり高い部類に入る。「90年代前半のSFアクションアニメ風」というのも、実際に発売されたのが1992年であることを考えれば時代に合わせた妥当な変更だとする肯定的な意見も決して少なくはない。
      • 少なくとも当時の子どもたちにとって「ムキムキマッチョの厳つい歴戦の男」よりは「サイバー的装備を身につけたスマートなヒーロー」のほうが主人公として感情移入できたのは間違いなく、GBプレイ層を対象にした良改変だと言える。

ゲームシステム・バランス面

  • ワイヤーアクションの自由度アップ
    • 主人公・ラッドの落下速度が大幅に低下し、咄嗟のアドリブや無茶が利かせやすくなった。また、FC版では超高等テクニックだった「ワイヤーを真上に引っ掛けた状態から一度切り離し、すかさず斜め上に伸ばして振り子状態に戻る」というテクニックも普通に行えるようになった。
      • これはゲーム後半では必須のテクニックであり、説明書にも詳細な手順が記載されている。
  • ライフ仕様のマイルド化
    • 敵が落とすアイテム「カートリッジ(薬莢)」を一定数集めることでライフが増えるのはFC版と同様だが、本作では最初からライフを3メモリ所持しているため、初期状態で攻撃を受けると一発アウトだったFC版よりはかなり取っつきやすくなったと言える。
      • ただ、画面サイズなどの都合上カートリッジがFC版よりかなり大きくなり、小さいブロックの向こうからワイヤーで回収しようとしてもブロックに引っ掛かって落ちてしまうため、結局自分で取りに行かなくてはならなくなってしまった。
  • 通信室の仕様変更
    • FC版では交信・盗聴を一回行う度に強制的に通信画面から出てしまうが、本作ではそのまま連続して行うことが出来るようになった。
      • 盗聴を行い敵に見つかった場合も、警報が鳴って敵が来るまでに演出が挟まるようになったため、FC版のように心臓に悪い思いはしなくなった。
      • 交信や盗聴を行う相手はFC版では全て男性だったが、本作では女性兵も登場するようになった。
    • 通信室では武器と通信機を変更することも可能。ただしアイテムは変更出来ないため、回復薬を使った上で別のアイテムに変更、なんて事は不可能。
      • ただ、通信機をその場で変更出来るということは、間違ってエリアに合わない通信機を持ってきてもその場で持ち替えれば良いだけということになり、通信機が複数存在する意味が「単なるストーリー進行上のフラグ」程度のレベルに薄れてしまったとも言える。
  • 武器バランスの調整
    • FC版では断トツの性能を誇ったロケット砲(本作では「グレネードランチャー」の名称で登場)の威力が大幅に低下。一応他と比べれば高い方だがFC版のような高威力ではなくなり、連射力の無さのせいで貫通力の高さが裏目に出るようにという弱点が浮き彫りに。場面により他の武器の使用も検討する必要が出てきた。
      • ただし、最後に手に入る武器がどうしようもない最弱武器なのはFC版から変わっていない。
    • 武器・アイテム選択画面で説明書きが一切無いのはFC版と同様。この点は不親切なままである。
      • しかもアイコンはSFなデザインとモノクロ4階調の色彩が足を引っ張り、どれが何なのか見ただけではFC版以上に判別しづらくなってしまった。
  • 縦スクロール面の削除
    • マップ上を移動する敵部隊と接触した場合に突入する乱入ステージは容量の都合か、FC版と異なり通常と同じ横スクロール。途中現れる大型敵を撃破することでコンティニューアイテムが入手出来るのは同じ。
      • ちなみに、初期状態でも3回のコンティニューが可能。うっかり乱入ステージのことを忘れたままゲームオーバーになっても、即振り出しに戻るということは無くなった。
  • パスワードコンティニューの追加
    • アクションステージをクリアするとパスワードを入手することが可能。クリアステージ、所持アイテム、経験値が記録される。
      • 縦4×横6のマス目に三種類の記号+空欄を組み合わせたもので、後に同社が開発した『ロックマンワールド4』でも同様の物が採用されている。
      • なお、中立エリアやゲームオーバーでは新パスワードを取得出来ない仕様となっている。
      • これによりパスワードさえメモしておけば、コンティニュー回数を使いきってゲームオーバーになっても最初からということもなく、またゲームの中断再開も容易になった。長時間プレイを想定していない携帯ゲーム機ならではの良仕様といえる。

ストーリー面

  • 基本的には同じだが、ストーリーの肝である「アルバトロス計画」の内容にもアレンジが加わっている。ネタバレになるため詳細は省くが、キャラデザインに合ったSFアクション的な変更だと言える。
    • また、ラッドのライバルとなる敵幹部「ライル・ハインダー」が追加され、より一層SFアクションらしいノリが活かされている。
      • これらストーリー上の変更点の一部は、後に『ヒットラーの復活』XBOX360・PS3アレンジ版『バイオニックコマンドー マスターD復活計画』に逆輸入された。*1
  • これらの変更により最終ステージ最後の戦いも、ハリウッド的なものから漫画ヒーロー的な雰囲気に変わっている。ぜひともプレイして自分の手で戦いに決着をつけて頂きたい。

欠点

  • ファミコン版に比べるとゲームバランスが全体的に再調整されて序盤の難度が下がりとっつきやすくなった事は良いのだが、後半の難度が相当上がっている。
    些細なワイヤーアクションのミスが即転落ミスや大幅なタイムロスにつながる局面が多く、パッと見ではワイヤーで渡れるかわかりにくいポイントも多いのでトライ&エラーが求められる。
    とはいえ、FC版とは異なりパスワードコンティニューが採用された事による調整であるとも考えられる。バーチャルコンソール版(後述)ではやり直しも容易なので根気があれば十分クリア可能。
  • FC版同様アイテムが1つしか持てないのが惜しいところ。自機の基本性能を性能を底上げ出来るもの、1度だけ任意のタイミングでどこでも回復できるものなどがあるが、回復アイテムが滅多にステージに登場しないので他のアイテムを選びにくい点が改善されなかった。

総評

  • 名作との誉れ高い原作『ヒットラーの復活』にもっと磨きをかけようという、開発陣の意気込みが伝わってくる力作でであり、原作ファンにこそプレイして欲しい作品。
  • また原作に比べてリトライがしやすくなっており、ストーリー面も強化され、単体でもGB屈指の名作アクションゲームだと言えるので、原作ゲームを知らない人もぜひ。
  • ちなみに、海外では1999年にゲームボーイカラー専用ソフトとして『Bionic Commando: Elite Forces』という続編が発売されている。残念ながら日本未発売。

移植

  • 2011年11月からニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信が始まった。(400円(後に411円に改定)で購入可能)
  • 3DSのバーチャルコンソールの仕様により、いつでもセーブ・ロード・リセットが可能になっていて非常に遊びやすくなっている。説明書は起動画面、もしくは任天堂公式のソフト紹介ページにあるPDFファイルで閲覧可能。
  • パスワードをメモする必要もなく、ミスした時のやり直しも容易なのでオリジナルよりもクリアしやすい。購入も容易なので未プレイの方は是非。