ヒットラーの復活 TOP SECRET
【ひっとらーのふっかつ とっぷしーくれっと】
| ジャンル | アクション |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売・開発元 | カプコン | 
| 発売日 | 1988年7月20日 | 
| 定価 | 5,800円 | 
| 判定 | 良作 | 
| バイオニックコマンドーシリーズ | 
 
「私がまだ若かった頃に、出会った1人の男について語ろう」
 
概要
アーケードゲーム『トップシークレット』を原型を留めぬほど大幅改良、スケールアップ。
アレンジ移植の名を借りたオリジナルの2Dアクションゲームである。
世界観やストーリー、作品全体の雰囲気は微妙にSFなだけで泥臭い戦争モノなので硬派。そして、その危険極まりないタイトルが意味するものとは?
原作『トップシークレット』との違い
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元々『トップシークレット』の特徴は「ジャンプはできないが代わりにワイヤーを特定の部位に引っ掛け、そこから振り子の動作で別の足場に飛び移る。あるいは真上の足場へワイヤーを使って登る」というワイヤーアクションであったが…
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本作ではアクションを改善し、ワイヤージャンプ中の再度のワイヤーの使用および銃の発砲を可能にしたことで、ゲーム性が爆発的に向上している。
 
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そして、純粋な面クリア型であった所にストレスにならない範囲で発売当時流行していた「RPG要素の追加」が加えられ、硬派・センセーショナルでありながらも熱い男達のストーリーを追う楽しみが増えている。
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ストーリー的には『トップシークレット』での出来事は一切無かった事になっており、スーパージョーが最重要キャラとして描かれている分むしろ『戦場の狼』の続編に近い。
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戦闘シーンは「通信室でボス部屋のドアを開けてもらう」要素以外は、ほぼ純粋な面クリア型アクション。アクション大好きっ子の邪魔には一切なっていない。
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面単位でのマップ方式の採用、最大体力の要素の追加、面開始前に武器やアクセサリーが選択可能、自軍敵軍中立軍問わず聞き込みが可能な情報・アイテムの収集場であり戦闘が無い中立エリアの存在などなど。
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序盤のある中立エリアにおいて、このストーリーの発端となった敵軍の総統ワイズマンとまで面と向かって会話が出来る。それは最大限に本作の雰囲気を盛り上げている要素であり、ある意味中立エリアとして生々しい機能が成立しているといえる。
 
 
評価点
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ワイヤーアクションの爽快感
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ある程度の慣れは必要だが、自発的なジャンプが不能という根本的制限を忘れてしまうほど爽快に素早く移動できるので病み付きになる。熟練すれば、無茶な移動や天井通過テクニックなどマップを縦横無尽に駆け巡るハチャメチャなプレイさえ可能になる。
 
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ストーリー展開、各所セリフの臨場感と熱さ
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ネタバレとなるので細かい言及は避けるが、通信室でのセリフ・中立エリアでのセリフ・ボスのセリフ・敵兵のセリフ・エンディングなど、基本的にどこもかしこも熱い。
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本筋にあまり絡まない所で一部明らかに笑わせにきているネタゼリフもあるなど、全方位で隙が無い。ほぼ全てのセリフが必見、といっても過言ではないだろう。
 
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戦闘の熱さ
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様々なシチュエーションの中で、様々な種類の敵兵やボスが待ち構える。正統派な武装の兵士から、とんちんかんな武装の兵士、いかにも「帝国」らしいなんだかよく分からないメカやトラップなど、ある意味本来の戦場の雑然とした感じが出ている。
 
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完成度の高いBGM
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全体的にBGMがFC音源であるにもかかわらず質が高く、世界観を盛り立てている。
 
問題点
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武器・および補助アイテムのバランスが悪い
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武器は早い段階で入手出来る「ロケット砲」が間違いなく最強。「威力が高く敵を貫通するが、撃った弾が消えるまで次の弾を撃てないため乱戦では不利」……というコンセプトなのだろうが、いくらなんでも威力が高すぎる。
 他の武器では破壊するのに30発近く要する敵基地の動力装置をわずか5発で破壊出来ると言えばどれほどのものかよく分かるだろう。
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発射弾数や攻撃範囲に多少の欠点はあるが、この超破壊力のお陰で全く気にならない。それどころか、他の全ての武器がロケット砲の下位互換にしか見えなくなること請け合い。
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ちなみに、終盤にイベントを経て入手する最後の武器にいたってはまさかの最弱武器という罠。
 
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補助アイテムは、1機につき1回だけ体力を完全回復させる「くすり」以外は効力が弱すぎて存在意義が微妙。せめて同時に複数のアイテムを所持出来れば……
 
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コンティニューの仕様が面倒
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マップ上で敵部隊と遭遇することにより突入する乱入ステージで、大型敵を倒すと残す「勲章」を入手しないとコンティニュー不能。勲章1つにつきコンティニュー1回補充。
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乱入ステージは通常ステージとは全く異なる、『戦場の狼』を髣髴とさせるトップビューだが難易度は大したことはない。また、ステージ自体が何度でも出てくるため、よほどのヘマをしない限りコンティニュー回数は実質無制限となる。
 
 
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パスワードやセーブなど、途中で中断する方法が一切無い
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展開やパターンを把握していても、普通のプレイでは1時間はかかる。クリアできるようになっていないなら何時間でもかかる。
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後述のGBアレンジ移植『バイオニックコマンドー』ではパスワードコンティニューが追加された。携帯アプリ版ではセーブ機能が追加された。
 
 
総評
原作のAC版以上にワイヤーアクションに磨きをかけた本作は、多くのプレイヤーからゲーム内容的にもストーリー的にも「ファミコン史上に残る傑作」と評されている。
問題点もなかなか挙げられない。
余談
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中古での値段が今でも高めで、特に箱説付きはかなり稀少。
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徳間書店の書籍『大技林』では、「スーパージョーが敵地に乗り込んだ。彼はジャンプができない」と、スーパージョーが主人公であるかのように間違って紹介されていた。
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本作の海外展開について
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本作はそのタイトルと、ヒトラー(ゲーム中ではヒットラーと表記)がゲームに深くかかわる内容の為、NESでは原作『トップシークレット』の海外版タイトルでもある『バイオニックコマンドー』の名で発売されている。
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国内版からの変更点は全セリフの英語化、ハーケンクロイツの修正、一部固有名詞の変更、敵の配置の激化。それ以外は同一。
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そして肝心のヒットラーであるが、今ではリメイク版でご存知の通り名称が「マスターD」となっている。
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見た目は国内版から変更無しなのだが、それだけで審査を通るのは大丈夫なんだろうか…。
 
 
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カプコンが製作・販売したゲームでは「前作から交代した主人公はパッとしない」という点がジンクスとして言われているのだが、今作でスーパージョーから交代した主人公のラッド・スペンサーは以降のシリーズ作品でもほぼリストラされる事無く主人公を続けていることから、同社のゲームとしては珍しく法則から外れている存在と言えなくもない。
他機種への移植
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GB『バイオニックコマンドー』
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初代ゲームボーイにて、4年の時を経てのリメイク。詳細は該当記事参照。
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見た目に大胆なアレンジが加わっている点には賛否ある作品だが、本作にさらなる磨きをかけた力作である。
 
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携帯アプリ版『バイオニックコマンドー』
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ゲームの内容は本作(FC版)がベースとなっている。
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一部の台詞の変更やヒットラーの存在自体を抹消、乱入ステージの削除、最後のシーンとエンディングも削除されている。
 
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海外GBA版『CAPCOM CLASSICS MINIMIX』でも本作の海外版が収録されている。
 
最終更新:2025年01月25日 14:11