ロックマンワールド4
【ろっくまんわーるどふぉー】
ジャンル
|
アクション
|
裏を見る
|
対応機種
|
ゲームボーイ
|
メディア
|
4MbitROMカートリッジ
|
発売元
|
カプコン
|
開発元
|
水口エンジニアリング
|
発売日
|
1993年10月29日
|
定価
|
3900円
|
配信
|
バーチャルコンソール 【3DS】2013年10月23日/400円
|
書換
|
ニンテンドウパワー 2000年4月1日/800円/F×4・B×0
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
『4』『5』をベースに再構築 本編にも影響を与えた新システムも
|
ロックマンシリーズ
|
概要
ファミコンソフト『ロックマン4』『同5』の内容を元に再構成したソフト。
当時ゲームボーイでは、4メガビットという初期のSFCソフト並みの容量を持ったソフトが次々に出ていたが、本作もその1つである。
特徴・評価点
グラフィックや効果音は前作『ワールド3』に準じているが、様々な新要素がつぎ込まれている。
-
お馴染みのエネルギー缶(E缶)の他、武器エネルギーを回復する「W缶」、全エネルギーを回復できる「S缶」、バスター装備中でも武器エネルギー回復アイテムを取得した際に控えの特殊武器へと自動的に回復を割り振ってくれる「エネルギーバランサー」といった新アイテムが登場。
-
敵を倒すと入手できるアイテム「Pチップ」を集める事で、様々なアイテムを購入できる。
-
ステージセレクト画面でセレクトボタンを押すことでライト博士の研究所へと入場。アイテムショップとして機能する。
-
購入出来るアイテムは1UPやエネルギー缶も含まれている。どちらも時間こそ掛かるがわざわざ複雑なステージを探索しなくても 缶系アイテムの補充が可能な他、前者は短時間で残機を最大まで増やす事が出来たり、後者はステージ開始前に大量に買い込めばゴリ押しも非常に容易になったと言える。
-
この購入システムは本家シリーズの『ロックマン7』にも逆輸入される事になる。
-
後半4ボスのステージからはストーリー上ワイリーステージの内部という扱いになるためか、ステージクリア時に武器エネルギーが回復しなくなる。
-
この仕様はワールドシリーズにおいては『ワールド2』以来である。
-
そのため、ライト博士の研究所において全回復アイテム(その場で使いきりのS缶みたいなもの)が買える他、ゲームオーバーになると武器エネルギーが全回復する抜け道も存在する。
-
ステージセレクト関連
-
ステージ選択画面は前作までは基本的にオリジナル踏襲の四角アイコンが並ぶレイアウトになっていたが、本作ではFC版『初代』と同じくボスの全身が表示+拡大縮小による疑似3Dという独自性溢れるレイアウトに変更された。
-
更に本作のステージ選択画面では、前半ではステージ全景・後半はボスのバストアップが表示される他、前後半でBGMのキーも異なるという、携帯機作品にしては非常にこだわった作りになっている。
-
また、ゲーム後半ステージに進んでも、前半ステージに戻れるようになり、ワールドシリーズ伝統のアイテムの取りこぼし問題も改善される事になった。
-
本編との差別化・独自性を強調するステージ構成。
-
前作では登場する敵の種類こそ異なるものの、基本的にFC版原作を踏襲・再現したステージが多い傾向があったが、本作ではFC版原作のステージの空気を損ねない程度に本作初登場のステージギミックが多く登場する。
-
例えば、ナパームマンステージが「ローリングドリル」の上に乗って進むパズル性の強いステージに変わっていたり、ブライトマンステージでは原作だと「バッタン」の上に乗りトゲを乗り越えていくエリアが別の敵を利用して進む形式に変更されているなど、FC版原作の熱心なファンにも目新しいギミックが用意されている。
-
ちなみにローリングドリルは原作『5』では、狭い通路での障害物としてのごく限られた出番しかなく影が薄かった。
-
最終ステージでのカプセルルームのボスラッシュ(8大ボスとの再戦)が、ワールドシリーズでは初登場。
-
ボスラッシュのシステムは『5』のものを採用している。
-
残機数や所有アイテムが、パスワードで保存できるようになった。
-
その分パスワードは4×6+アルファベット入力形式になり複雑化したため、データを保存しながらプレイする場合はメモ帳がほぼ必須になってしまったのは否めないが。
-
チャージショットの形はファミコン版の『5』に近いが、ダメージを受けてもチャージが解除されることはない。
-
隠し要素として、同じステージで4回コンティニューを繰り返すことでロックバスターとチャージショットの弾速を上げることができる。チャージショットは形が変わり、攻撃範囲が少々広くなる。
-
但しこれだけはパスワードで保存できない。
-
元々ワールドシリーズの弾速は本家に比べて遅かったため爽快感に欠けるところがあったが、それを解消できる。できるんだったら隠し要素と言わず最初から実装してほしいところであるが…
-
「レインフラッシュ」で流砂や炎のトラップを止めたり、「リングブーメラン」で離れたアイテムを引っ張って来れたりと、特殊武器の用途がFC版に比べて広がっている。
-
特に「レインフラッシュ」はガード貫通効果は削除されてしまったものの、消費エネルギー量も減少した影響でゲームバランスにも支障が出る(後述)程の強化を受ける事に。
+
|
本作のボスと特殊武器
|
『4』より登場
|
トードマン
|
レインフラッシュ: 画面全体に酸の雨を降らせて攻撃。本作ではガード貫通しなくなったが、性能がかなり向上(後述)
|
ブライトマン
|
フラッシュストッパー: 敵の動きを止める。停止中はロックバスターだけ使用可能
|
ファラオマン
|
ファラオショット: 溜め撃ち可能な光弾を撃つ。頭上に現れる溜め中の光弾にも攻撃判定あり
|
リングマン
|
リングブーメラン: 一定距離で戻るリングを撃つ。本作では貫通能力は無くなったが、アイテムの引き寄せが可能に
|
『5』より登場
|
クリスタルマン
|
クリスタルアイ: 壁に当たると3方向に分裂する水晶弾を発射。破片は地形で反射する
|
ナパームマン
|
ナパームボム: 時限爆弾を転がす。敵に当たるか時間経過で爆発。本作では特定のブロックも破壊可能に
|
ストーンマン
|
パワーストーン: 3発の岩弾が、発射地点を中心に螺旋状の軌道を描いて広がっていく
|
チャージマン
|
チャージキック: 使用中は、スライディングに攻撃力が付加される。本作では特定のブロックも破壊可能に
|
本作オリジナル
|
バラード
|
バラードクラッカー: 高威力の爆弾を投げる。8方向に投げ分け可能。地形や敵に当たると爆発
|
|
-
前作では弱点武器でボスに与えたダメージが最大チャージショットと同等かそれ以下になるということがあったが、今作では前々作以前と同様に弱点武器でのダメージ量が上回ることが多くなった。
-
また最大チャージショットでの仰け反りなどチャージショットの仕様変更も相まって、弱点武器とチャージショットの使い分けにメリハリが出た。
-
ライト博士、ブルース、ビートがワールドシリーズにおいて初めて登場した。
-
ただしビートは、次作にて新サポートメカのタンゴと入れ替わる形でリストラされた。よって、本作がワールドシリーズ最初で最後の出演となった。
-
ビートは前半ステージ道中にある「BEATプレート」を4つ全て集めると呼べるようになる。
-
「BEATプレート」に関連してか、後半ステージ道中には「WILYプレート」が存在し、それらを4つ全て集めなければワイリーステージには行けない。入手方法はステージによってまちまちであり、楽に入手できることもあれば、特殊武器を駆使しなければならないこともある。
-
これまでのワールドシリーズと比べて、演出が強化された。
-
ワールドシリーズとしては初めて、日本語で文字が表示され、ゲーム中に「会話」が登場するようになった。
-
またデモもかなりの進化を遂げている。特にオープニングや中間ステージ、ラスボス前のデモは必見。
-
特殊武器の習得デモ・使用演出が登場したのは今作が初である。これにより獲得した武器がどのような武器なのか、より分かりやすくなった。後のシリーズでは実際に武器を使用して敵を攻撃する演出になったりと進化を遂げている。
-
BGMは前作と同じく、音源を原曲に限りなく近く再現している。
-
ただし、ファラオマン、リングマンなど一部のステージ曲はテンポを遅めにアレンジしているために好みが分かれる。
-
なお、今作のボス戦のBGMは、この時期のロックマンシリーズには珍しく4曲も収録されている(前半ボス、後半ボス、バラード戦・ボスラッシュ、ワイリー戦)。ちなみにこれまでのシリーズでは1~2曲しか収録されていない。
-
前作と比較すると、幾分か難易度は低くなった。これはアイテム購入システムなどの新システムの導入、ステージの構成などによるものと思われる。
-
前者においては、Pチップを溜めてE缶やW缶などのアイテムを購入し、ステージ道中やボス戦でそれらを使用することで難易度の調節が容易くなった。
よって難易度が前作を含めた本家シリーズ以上に柔軟なものになり、プレイスタイルが大幅に広がった。
-
また後者においては、前作ではトゲなどの即死トラップやギリギリでジャンプしないと届かない地形がやたらと多かったりと、ステージ構成が非常にシビアだったが、今作ではそのような構成がほとんど無くなりかなり遊びやすくなった。
さらに特殊武器を使用することで隠し通路や隠しアイテムを発見するなど、ステージを探索する楽しみが増えた。
-
ただし、罠配置や敵の行動などが前作よりも理に適っているとはいえ、一概に簡単とは言いきれない場面もある(後述)。
賛否両論点
特殊武器の性能の格差
-
前半ボスの特殊武器は、それぞれ使い勝手が良いものがそろっている。
-
中でも「レインフラッシュ」が高性能すぎる。画面全体に攻撃、攻撃までに隙があるなどといった特徴は『4』と同じだが、今作では前述の効果に加え攻撃時間が長くなって2ヒットするようになった。さらに消費エネルギーが1になり、最大19発攻撃できるなど『4』と比べるとかなり使い勝手が良くなっている(ちなみに『4』では、消費エネルギーは4で最大7発まで)。
-
また本作では流砂や炎のトラップを止めることも可能になった。『4』にあったガード貫通効果は削除されたが、それでも強い。
-
「リングブーメラン」には、上述されている様にアイテムを引き寄せる効果が付いた(その代わりに敵貫通能力は無くなった)。ワイリーステージで1UPやE缶を入手できる機会も多く、必須アイテムのWILYプレートも引き寄せることができる。
-
原作でも高性能な「フラッシュストッパー」、溜めで高ダメージを与えて燃費も良い「ファラオショット」も強い。
-
前者は敵だけではなく一部のギミックも停止できる他、後者は敵に当てて消えたショットを更にチャージし続けることで何度も頭上に当たり判定を発生出来る凶悪な仕様に変更されている。
-
また、バラードの特殊武器「バラードクラッカー」も非常に使いやすい。入手できるのが終盤・壁を貫通することが不可能・連射性能が低いといった欠点はあるものの、消費エネルギーが1/2で、8方向に投げ分けられ、威力が非常に高い。
-
対して「パワーストーン」「チャージキック」など後半ボスの特殊武器は、クセが強く、局地的にしか使えないものが多い。
-
そもそも『5』の特殊武器にはこういったものが多く、チャージショットが一番使いやすいという結果になっていた。
-
また今作では『ワールド2』以来となる「前半ステージで入手した特殊武器が後半ボスに通用する」仕様が復活しているため、当てやすさやダメージ量などを鑑みると「後半ボスに後半ステージで入手した特殊武器で攻撃」する必要性が低くなる場合がある。
-
ナパームマンは本来「クリスタルアイ」が弱点だが、「ファラオショット」の方がダメージが大きい。
-
クリスタルマンは本来「チャージキック」が弱点だが、「リングブーメラン」の方が当てやすい。
-
加えてストーンマンやナパームマン、クリスタルマンは本来の弱点武器で与えるダメージが最大チャージショットと同じであるため、特殊武器で攻撃するよりもチャージショットで攻撃した方が戦いやすい場合もある。
-
実は、今作における『5』の特殊武器は原作と比較して威力が底上げされている物も多いのだが、上記の理由によって原作以上に使い道が局所的になってしまっているのは否めない。
-
ただし今作は前作と比べるとボスの数が多いため、様々な特殊武器で攻撃する機会も多くなる。
無論、後半ボスの特殊武器で攻撃した方がダメージが大きいボスも存在するため(チャージマンに「パワーストーン」など)、それらの需要も皆無ではないことを付け加えておく。
-
ちなみに「チャージキック」には特定のブロックを破壊できる機能が追加されている。(説明書には「『ナパームボム』で特定のブロックを破壊できる」とあるが誤りである)
一部のステージの難易度が高い
-
クリスタルマンステージ
-
道中の落下クリスタル地帯では、クリスタルの落下タイミングが一定になった。しかしその一方で「乗る前に攻撃して動かすムーブホバー地帯」「乗ると90度回転する白い足場地帯」「隆起と陥没を繰り返すプレス地帯」などそれ以上に嫌らしいトラップがあちこちにあり、慎重にプレイせざるを得ない場面が多々存在する。
-
またボス部屋前に到達したとしても、下側にトゲがあり操作を誤って当たってしまいミスすると、リトライポイントからやり直す必要がある。
-
しかもそこからボス部屋まで道のりがかなり長く、上記のトラップ地帯も相まって(プレイヤーによっては)かなりだるく感じてしまう。
-
ただムーブホバーを「ファラオショット」で乗ったまま動かしたり、プレス地帯を「フラッシュストッパー」で動きを止めて突破したり、ボス部屋前のトゲを敵の攻撃を受けその無敵時間中に強引に進むなど、突破方法があるのが救いか。また、白い足場地帯についてはルートによっては突破せずに済む。
-
ストーンマンステージ
-
白い足場地帯やボス部屋前のトゲなどなかなかのいやらしさを誇る。
-
特に後者に関してはクリスタルマンステージとは違い、前の画面から降りてトゲの真上に来る形なので画面が切り替わるまでトゲが見えない。その上近くに敵がいないため「敵の攻撃を受けその無敵時間中に強引に進む」という方法が利かなくなっている。
-
加えて今作のストーンマンは、「パワーストーンを撃ち出す頻度が高い」「狭い画面内をピョンピョン跳ねまくる」など強化されており、「出来るだけ接近して弱点武器やチャージショットを打ち込む」という戦法が採り辛くなった。
-
ワイリーステージ2の爆弾地帯
-
障害物となる大量の爆弾を攻撃(基本的にはバラードクラッカーの8方向ショット)で壊しながら進むのだが、当然距離を置かないと爆風に巻き込まれる上、足場となっている爆弾もあるため誤って壊さないようにしなければならない。これを足場が崩れていく強制スクロールの中で行うため、難易度は高め。
-
ただ、これらは難易度が高いとは言っても慎重に覚えながら進むことにより突破可能なものであり、特段技術が要求されるというものではない。
その他
-
本作では敵キャラ「タテパッカン」の上に乗れる仕様になっておりそれを利用したギミックもある。
-
オリジナルではできなかったことなのでそれに気づくのは困難。あきらかに乗れるような「ホバー」などとは違い盾の上とはいえあまり乗れるという感覚はしない。
-
とはいえこれを利用したギミックで進む部屋にはこの敵しかおらず、部屋の構造からして利用できることに気付けないこともない。また、気付かなくてもクリアには支障はない。
問題点
-
チャージショットは威力こそ前作と変わっていないが、撃つと反動で少し後ろに流されるようになった。
-
うっかり今までのような感覚でチャージショットを放つと位置がズレてしまい、それが操作ミスにもつながるためアクションゲームとして難がある追加要素となってしまった。
-
大ジャンプが必要な場面で使用すると飛距離が微妙に足りなくなることもあるため、常にチャージしていれば良いというものでもなくなった。
-
またボス戦に弱点武器でなくバスターで挑む場合、大抵反動が邪魔になる為通常弾でチマチマと体力を削らなくてはならない。
-
ほか、ボス部屋前のシャッターを通る際、チャージショットを撃った瞬間にシャッターを通ってしまうと、閉まるシャッターにチャージショットの反動で下がったロックマンが挟まれてしまうのか、なんと一発死してしまう。
-
幸いタイミングはシビアで意図的にやらない限りまず起こらないが、チャージショットを撃ちながらシャッターは通らないほうがいいだろう。
-
この仕様は、本家にも他のワールドシリーズにもない本作独自のものであり、次作に引き継がれることはなかった。
-
エディーの扱いが不遇。
-
とあるステージのみに登場するというもの。また目的のアイテムを出すまで粘る手段が、地形の影響で出来なくなっている。
-
しかもそのステージは分岐点があり、分岐点によっては一度も会えずにクリアしてしまうことも…。
-
また本作初登場のブルースの役割とかぶっている。エディーと比べると「Sボール(S缶と同じ効果を持つアイテム)を出してくる事がある」「3回登場する」などといった点が異なる。
総評
移植作感が強かった前作よりシステム面、演出面が大幅に向上し、本編からさらにオリジナル要素を付け加えることでワールドシリーズとして独自の立場を確立した一作。
ただでさえGBの狭くなった画面でダメージを食らいやすくなった上に、オリジナルよりステージ構成の難易度も上昇し、慎重なプレイを要求される点は考慮に入れなければならないものの、購入システムなどの新システムにより難易度の調節がこれまで以上にしやすくなった点は評価に値する。
購入システムやエネルギーバランサーの導入など今作が後のシリーズに与えた影響は大きく、ロックマンワールドシリーズの中でもトップクラスの出来と言っても過言ではない。
余談
-
エンディングではボスキャラの紹介パートとしてロックマンと戦うシーンが順番に流れるのだが、最初の3体と4体目以降ではプレイしている人が明らかに変わっている。
-
最初の3体は正直あまり上手とは言い難く、武器の無駄撃ちが多かったり変なところでダメージを受けたりしているのだが、4体目以降は敵の攻撃を全て回避し、ほぼ全ての攻撃を的確に命中させる完璧なプレイとなっている。
-
もっとも、プレイヤーが直接介入できないデモプレイの一種なので特に気にする必要はない。
-
今作で登場したバラードは、次作や『ロックマン10』にて再登場している。
-
今作は後に3DSバーチャルコンソールに配信されていたのだが、こちらはBGMのキーがGB実機よりも少し高くなっている。楽曲面での差異なのでプレー時には影響が無い。
最終更新:2024年08月03日 13:31