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マジカルバケーション - (2018/08/29 (水) 13:08:48) の編集履歴(バックアップ)


マジカルバケーション

【まじかるばけーしょん】

ジャンル コミュニケーションRPG

対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 ブラウニーブラウン
発売日 2001年12月7日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:全年齢(全年齢対象)
廉価版 バリューセレクション
2006年2月2日/2,667円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2015年8月19日/702円(税8%込)
判定 良作
マジカルバケーション
マジカルバケーション / 5つの星がならぶとき


概要

  • 聖剣伝説 LEGEND OF MANAのスタッフが旧スクウェアから独立し立ち上げた、ブラウニーブラウン*1の処女作。
  • 非常に美麗なパステル調の2Dグラフィックスや、世界観、魅力的なキャラクターの多さなどから話題になり、1作目は日本国内のみで発売ながら20万本以上を売り上げた。

特徴と評価点

GBAの発売から一年も経っていないにもかかわらず美麗なグラフィック

  • 概要でも触れたが、とにかく圧巻の一言。序盤のエリアである「ヴァレンシア海岸」で感動したプレイヤーも多い。
  • 他にも「ミモレットの森」「レーミッツ宮殿」などはGBA後期と言われても違和感が無い。
    • 但しシナリオを進めていくと、この美麗さ故に不気味さが強まってしまう一面や、進める場所を判別し辛いという思わぬ弊害もあるのだが。

基本的に魔法を使って戦う戦闘

  • 主人公含む自分のパーティは全員が魔法使いである。
  • パーティは主人公の通う学校のクラスメイトで構成されるのだが、クラスメイト15人中14人を戦闘で使用できる(1回の戦闘で出すことの出来るキャラは6人)
    • 残り1名はストーリー序盤のわずかな時期のみ加入のゲストキャラ的存在。
  • 魔法の属性の数も多く、火、水等のメジャーなものから美、刃、獣など一風変わったものも多く全部で16種類の属性がある。さらに属性それぞれに相性がある。
    • ここは逆に言えば「多すぎてややこしい」という難点と表裏一体だが、戦闘中にいつでも相性を確認できる為ある程度緩和される。
    • 得意な属性の相手に撃てばダメージが増加し、反対に苦手な属性の相手だとダメージが減る。但しそれ以上に気をつけなければならないのは、相手の属性と自分の魔法が同じ属性という場合。何と魔法でのダメージが1になってしまうのである。
+ 属性とクラスメイトに関する、簡単な説明。長いので折り畳み
  • 火属性
    • 特に目立った特長は無いが、威力が高く使い勝手のいい攻撃魔法が揃う。
    • 酸素として燃やしてしまうからか風属性に強いが、そもそも熱さを感じない古属性は苦手。
    • 使えるクラスメイトは「キルシュ・ピンテール」
      決めるときは決めてくれる熱血バカな兄貴分。アランシアと幼馴染だが、現在はキャンディにお熱の様子。
      「カエルグミを消費してMPを全快する回復ポイント」を利用した際、ミミズグミを見つけることがある。
  • 風属性
    • 速さを上昇させる魔法が恐ろしく便利。但し、高位魔法を覚えるまでは威力不足に苦労する。
    • 得意な毒属性は吹き飛ばしてしまえるが、苦手な火属性が相手だとよく燃える燃料にされてしまう。
    • 使えるクラスメイトは「キャンディ・ミントブルー」
      おしゃべり大好きなクラスのムードメーカー。 …と思いきや、実はまさかのヤンデレ枠だったり。
      本来はカエルグミを消費して消滅させなければならない障害物を、アイテム消費無しで消すことが可能。
  • 毒属性
    • 攻撃魔法の威力自体は今一つだが、毒の状態異常によるスリップダメージ蓄積は決して侮れない。
    • お姫様を毒林檎で眠らせるというおとぎ話のお約束からか美属性に強いが、風属性には吹き飛ばされる。
    • 使えるクラスメイトは「カベルネ・チープトリック」
      パペット族と呼ばれる、心を持った人形の少年。1年前に故人となった兄を思い出すのか、最近塞ぎこみがち。
      パーティにいる間はフィールド上のカエルグミを捕獲できなくなる。一見不利益な特徴に思えるが…?
  • 美属性
    • 単体攻撃魔法しか覚えないが、あらゆる状態異常を回復する「ホワイトローズ」は美属性の特権。
    • 刃で美しさは切れないからなのか刃属性には強いが、汚される毒属性は大の苦手。
    • 使えるクラスメイトは「シードル・レインボウ」
      魔法のみならず詩文や絵画の製作にも才能を見せる芸術家だが、意外と現実主義的な言動が多い。
      とあるイベントを経て、テコでも動かないとされる障害物・桜文鳥を動かす術を習得する。
  • 刃属性
    • 何と魔法にも拘らず前列の敵単体しか攻撃できないという漢仕様。その代わり威力は絶大。
    • どういうわけか音属性に対して強い。音すら切り裂くという事だろうか? 一方その刃で切れない美属性を苦手とする。
    • 使えるクラスメイトは「カシス・ランバーヤード」
      年齢不詳の例外数名を除くとクラス内最年長で、妙に世間慣れしている。面倒見のいいクラスのまとめ役。
      此方の持つカエルグミを捨てさせようとする刃の精霊と契約する際は、是非とも彼を連れて行きたい。
  • 音属性
    • 確率で当たった相手を眠らせ行動不能にできる。全体攻撃魔法を覚えれば雑魚散らしに便利。
    • 衝撃波か或いは共振か、得意な石属性を粉砕可能。また、どういうわけか刃属性に弱い。
    • 使えるクラスメイトは「アランシア・スコアノート」
      のんびりやだが時折鋭い指摘をする事も。キルシュと幼馴染で、彼がキャンディにお熱なのが面白くないようだ。
      罠宝箱の中から時々コインを見つける他、特定のアイテムを持っていれば音の精霊と契約しやすくなる。
  • 石属性
    • 味方の守りを上げられる…のだが、このゲームでは物理攻撃が不遇な為若干影が薄い。
    • 質量で押し潰してしまうからか虫属性に強く、砕かれるからか音属性には弱い。
    • 使えるクラスメイトは「ショコラ・クラックス」
      マッドマンと呼ばれる、石のような体を持った種族の少年(?)。 たー けー てー すー
      石を蹴って動かした際にミミズグミを発見できる他、後述する家捜しで貴重な能力成長アイテムを入手可能。
  • 虫属性
    • 相手の力を下げられる…のだが、このゲームでは物理攻撃が以下同文。単体攻撃しかできないのも痛い。
    • 得意な木属性ならば食い荒らしてボロボロにできるが、石属性には押し潰される。
    • 使えるクラスメイトは「セサミ・アッシュポット」
      キルシュを慕っている少年。クラス最年少の為か、珍しい虫を見ると全てを忘れて追いかけ回す悪癖あり。
      モンスターが潜む罠宝箱を識別することができ、うっかり罠宝箱を開けてしまう前に警告してくれる。
  • 木属性
    • 攻撃魔法の威力は若干低いが、相手の精神(魔法防御)を下げることがある為使いやすい。
    • 植物が無ければ生物は生きていけないという理由から獣属性は得意だが、食い荒らされてしまう為虫属性は苦手。
    • 使えるクラスメイトは「ピスタチオ・メイプルウッド」
      犬のような種族、ヴォークスの少年。怖がり・お調子者・落第寸前の成績と三拍子揃った劣等生*2
      「無料でHPを全快する回復ポイント」を利用した際、カエルグミを見つけることがある。
  • 獣属性
    • パーティ全員の全MPを集めてぶっ放す最強魔法「みんなのちから」を使用可能。しかし他の魔法はというと…。
    • 得意な水属性なら飲み干してしまえる。木属性が苦手なのは上述の通り。
    • 使えるクラスメイトは「オリーブ・ティアクラウン」
      否応無しに相手の心を読んでしまうという特異能力が原因で、人付き合いを苦手とする少女。
      うっかりミミズグミの隠れた穴を調べてしまった際に飛び出してくるモンスターとの戦闘を回避できる。
  • 水属性
    • 相手の守りを下げられるが、その真価は低消費、且つ早期に全体攻撃魔法を使用可能な点にある。
    • 電気を分散させてしまうからか、それとも純水ならばほぼ電気を通さないからか、雷属性を得意とする。獣属性は飲み干されてしまう為苦手。
    • 使えるクラスメイトは「ブルーベリー・レイクサイド」
      優秀な魔法使いの家系に生まれ自身も文句無しの優等生だが、病弱ですぐダウンしてしまうのを気にしている。
      特異な言語を使用する種族・ウォーターピープルの会話を理解し、人間の言葉に翻訳することができる。
  • 雷属性
    • 確率で相手をしびれさせることが可能。全体攻撃魔法こそ無いが、攻撃範囲は広めのものが多い。
    • 他作品では水属性に撃つと有効な事が多いが、このゲームに限っては「こうかはいまひとつ」なので控えるように。
      その代わり、古属性の古代兵器はショートさせることができる為得意。
    • 使えるクラスメイトは「レモン・エアサプライ」
      猫のような種族、ニャムネルトの少女。友達思いの姉御肌だが、若干…というか結構乱暴な言動が玉に瑕。
      その真骨頂は当たり屋の如く此方の通行を妨害してくるピラニアに絡まれた時。サクッと殺して撃退してくれる。
  • 古属性
    • 「いにしえぞくせい」と読む。古代の戦闘兵器を呼び出す魔法(?)で、相手の速さを下げる効果あり。
    • 古代兵器は熱を感じない為、火属性の相手は得意。雷属性はショートしてしまう為苦手。
    • 使えるクラスメイトは「カフェオレ・ラスティネイル」
      魔法学校の校長が骨董市で買ってきたという古代機械。他人に影響されやすいらしく、口調がコロコロ変わる。
      「特技」と言えるかは微妙だが、彼を外すと通れなくなる場所がある、あるイベントの発生までプレーン間の移動は彼のジェネレーターに頼ることになる、属性の説明とは逆に砂漠を長時間歩くと真っ先に倒れる等、シナリオへの絡みも多い。
  • 闇属性
    • シナリオ中では忌み嫌われる属性だが、相手からMPを吸収する効果がある為性能は極めて実用的。
    • 光・愛以外の全属性に対して優位に立てるが、苦手な光属性にだけはその闇を切り裂かれてしまう。
    • 使えるクラスメイトは「ガナッシュ・ナイトホーク」
      本来はえびふりゃーが好きな心優しい少年なのだが、自身の属性ゆえに人付き合いを避けたがる傾向がある。
      先述したストーリー序盤のわずかな時期のみ加入するゲストキャラ。その為か、他のクラスメイトのような特技は無い。
  • 光属性
    • 極悪な威力と効果範囲を兼ね備えた攻撃魔法を使えるが、その分燃費の悪さも極悪。
    • 自身の光を持って切り裂くことが可能な闇属性を得意としている。苦手な属性が存在しない、事実上最強の属性。
    • 使用できるクラスメイトは(主人公と隠しキャラを除くと)居ないが、担任であるマドレーヌ先生がそれらしき魔法を使用するシーンは存在する。
  • 愛属性
    • 全属性で唯一のHP回復魔法を使用可能。但しHP回復魔法は使う度にMPを全消費してしまうのでご利用は計画的に。
    • 回復・補助魔法に特化している為か、それとも愛は全てを包み込むからか、属性の強弱には一切関係していない。
    • 使えるクラスメイトは「ペシュ・ファーマー」
      愛の大使と呼ばれる種族の少女。真面目で世話好きなのだが、その健気な努力はしょっちゅう空回りしている。
      ミミズグミの隠れた穴を調べてしまった際、稀に精霊との契約に使うコインを発見することがある。
  • 毎ターンキャラのパラメータに応じてMPが回復するので、ある程度なら気兼ねなく魔法が使える。
  • 精霊コンボというシステムにより、場に出ている精霊の数に応じて魔法の威力が上昇する。苦手な属性の精霊が場にいると精霊コンボが相殺されてしまう、相手の召喚した精霊を横取りできるといった要素によって、本作独自の駆け引きが味わえる。
    • あえて相手と同族性のクラスメイトをぶつけ、魔法による被害を最小限に抑えつつ相手の精霊コンボを徹底的に妨害する…といった戦法もある。

独特なシナリオ

  • 主人公のクラスが臨海学校に来ていると、エニグマと呼ばれる生き物が突如現れクラスメイトと先生をさらっていく。それを助けに行くというストーリー。
    • 最初に主人公の性別と、初期属性として15種類の魔法の属性のうち闇・光・愛を除いた中から1つを選んでスタートする。説明書には属性ごとに「初心者向け」「上級者向け」などの説明もある。
      • 慣れないうちは「初心者向け」とされる火・毒・木・雷を選んでおけば、ほぼ間違いは無い。
      • ある程度システムが分かってきたら、仲間になるクラスメイトや戦うボス敵の順番に応じて属性を選ぶというのもアリ。
    • 初めこそ順調に仲間が見つかっていくがエニグマの妨害や仲間の失踪などにより、出発点である光のプレーンから闇のプレーン、死のプレーンと徐々に闇の世界に足を踏み入れていくなど暗い世界観がある。
  • 15人のクラスメイトそれぞれに魅力があり会話は見ていて面白い。
  • こんにゃくやパペットなど様々な種族の集落が各地にあり、それぞれに掟や習慣などがあり色々な所に行ってみたくなる。
  • 本編中の難易度設定も実に絶妙。
    • きちんと戦闘をこなしてさえいれば難しすぎる事はないし、かといってレベル上げを怠ると要所要所で闇属性の強敵が登場するのもあって詰みかねない。

やりこみ要素が豊富

  • クリア後の隠しダンジョンが3種類存在している。メインである一つは五十階までフロアがあり、さらに三段階から難易度を選べる。
  • また隠しキャラも異常に多い。隠し仲間が9人、隠しマジックドール*3が3体の合計12人。
  • レベルは999まで上がり、魔法それぞれに用意されている魔法レベルも99まで上がる。
  • フィールドの各地にワープポイントがセットしてあり、ワープポイントとしての登録さえしておけば戻る時非常に楽。

通信対戦

  • お互いに育てたパーティを使って、対戦を行う事も可能。勝率が高ければ、能力値を補正してくれる特殊な称号が手に入る。
  • ルールは本編中での戦闘ほぼそのままだが、幾つか対戦時限定の要素が存在する。
    • お互いに全員MP0の状態からスタートする。手数に関わってくる為、ターン開始時のMP回復に関わるパラメータはできるだけ上げておきたい。
    • ターン開始時に3体精霊が召喚される。召喚される精霊はランダムに選ばれる為、戦術に組み込むのは難しい。
    • ターン終了時に、召喚されていた精霊が全て消滅してしまう。1ターンの間で、いかにして精霊コンボを成立させるかがカギとなる。
  • 最高の称号は全ての能力値を10上昇させてくれる。これは終盤の店売り装備品1~2個分とほぼ同等の補正。
    • 但し、この称号を得る為には通信対戦を500回以上戦った上で無敗をキープするというとんでもない条件の達成が必要。八百長以外で手に入れたユーザーは居るのだろうか?

アミーゴシステムという、別の同カセットと通信する機能による特典

  • いずれも必須ではないが、攻略や通信対戦が格段に有利になる。
  • 「レッツアミーゴ」では相手のセーブデータの主人公をアミーゴとして登録する。
    • アミーゴが戦闘で使用する最大8種類の魔法を「極意」として装備し、自分の主人公やクラスメイトも使えるようにできる。
      • アミーゴの極意によって使えるようになった魔法は、極一部の裏技的な例外を除いてどれだけ使っても魔法レベルを上げる事ができない点には注意が必要。
      • 「極意」を装備すると、そのアミーゴの属性が持つ耐性(と、弱点)を得ることもできる。尚同じ属性の極意を装備しても効果は重複しない。
    • 主人公の初期属性と異なる属性の相手を始めてアミーゴ登録した場合、主人公が相手の属性のLv1魔法を覚える。
      • 最初は精霊を1体呼ぶ程度しかできないが、使い続けていけばクラスメイトと同様の多彩且つ強力な魔法を覚えることだって可能。
  • 「レッツおんせん」では相手セーブデータの温泉に入ることで、無条件でパラメータを上昇させられる。
    • このモードのみ、本編を進めて温泉を見つけないと解禁されない…のだが、温泉の位置は序盤も序盤なのであっさり解禁できる。
    • 自分の温泉に一定の数だけ他のプレイヤーが入ると、お金を払ってより多くのパラメータが上昇する可能性のある温泉に改築する事も可能。
      改築しても喜ぶのは通信相手の方だが、より高い効果を持った温泉なら相手も快く通信に応じてくれる…だろう。多分。
  • よくゲームを扱った漫画で題材となる「楽しいが子供達をひきこもらせない、メーカーにもプレイヤーにもその家族にも嬉しいゲームを作れないものか」→「ゲームの中(作品の出来)と外(プレイヤー同士の交流)で何倍も楽しめる作りで大ヒット」という展開を体現しようとしたものと言えよう。しかし…

問題点

そのアミーゴシステムに存在する、割と致命的な問題

  • 現在のWi-Fi通信のようなネットワーク環境がないGBAではリアルお友達と通信してアミーゴを集めるしかないわけだが、隠し要素は10人アミーゴを集めるごとに開放される。前述の漫画で描かれるような「ソフトを発売して間もない頃の小学生達の間」とかはともかく、数年経って*4買った大人ゲーマーは今でも同じソフトを持っている相手が近所にいるか探す時点で既に困難である。10人集めることに関しては言うまでもない。
  • 本作の主人公は条件を満たせば愛・闇・光の属性魔法を習得でき、更に闇・光の魔法を習得した場合は主人公の属性が習得した魔法と同属性に変わり、見た目も変化する。しかし闇の魔法を習得する条件は「別々の100人」と通信すること、愛の魔法は「別々の、自分と同じ属性を選んだ5人」と通信すること、そして光の魔法は(闇・愛を含む)それ以外のすべての魔法を習得すること。要するに一人プレイのみではどうあがいても不可能なのである。
    • さらに三つの隠しダンジョンのうち二つは闇、光それぞれの魔法を会得することが入る為の条件なので例によって一人でプレイしている人には以下同文。
  • 手間はかかるが、ROMを二つ用意して片方で一人アミーゴ→リセットを繰り返せば、もう片方のROMのアミーゴは100人に出来る。
    • …というか、現在ではこうでもしないと全ての隠し要素を解禁できない。

キャラクター性能に関する問題

  • 魔法と比べると、キックやビンタなどの物理攻撃があまり役に立たない。精々、魔法が効き辛い一部ザコ敵の体力を削る程度しか出番は無い。
    • 本作のコンセプトが魔法で戦うRPGなので、仕方ないといえば仕方ないのだが…。
    • しかしそれ故に力のパラメータが事実上の死にパラメータになってしまっている。力が高いキャラクターはあまり使われず、MPや速さの高いキャラクターを使うようになってしまい、パーティが偏りがち。通信対戦でガチンコ対決するのであれば、必然的に同じようなパーティ編成で戦うことになる。
  • 前述した通り、本作ではゲーム開始時に主人公の属性と性別を決めるのだが、性別で男性を選ぶと力、守り、HPが高くなる。力は事実上の死にパラメータであり、魔法攻撃を仕掛けてくる相手が多い本作では守りも力ほどではないとはいえ役に立たない。
  • 対して女性の場合は速さ、精神、MPが高くなる。このゲームは速さの高い順に行動するので基本的に速さは高い方が有利であり、精神は魔法攻撃に対する防御力で、魔法が主軸となるこのゲームでは非常に重要なパラメータである。MPについては言わずもがな。
    • このゲームの基準だと男主人公は弱キャラ、女主人公は強キャラに分類されてしまう。さらに主人公はパーティから外せない為、男主人公を選んだ場合は常に弱キャラをパーティに入れなければならないという破目に陥ってしまう。
      • フォローしておくと、男主人公は力や守りが高くなるタイプのキャラ中において魔法関連の能力値が比較的高く、自分で属性や魔法を決められるという点もあって魔法での戦闘がしやすい方ではある。…あくまでも弱キャラの括りの中では、だが。

精霊に関する問題

  • このゲームには精霊が各地に存在しており、それぞれの精霊に合った条件を果たすことで契約できる。しかしその内の一体である愛の精霊「ウィッシュ」は今まで獲ったカエルグミの数、およびカエルグミを一度でも購入したか否かによって契約できるかが決まってしまうのである。
    • カエルグミは道端やダンジョン内など様々な場所に分布しており、さらに捕獲することで回復アイテムとして使用できる為序盤では何も考えずに獲ってしまう場合が多い。そうでなくとも各地の店で普通に売られている回復アイテムの為、知らずに買ってしまったユーザーも多い筈。
    • 一つでもカエルグミを獲ってしまうと、或いは一度でも購入してしまうとそのセーブデータでは愛の精霊をコンプリートできなくなってしまう。攻略情報無しの初見プレイでは精霊コンプリート不可能と言っても過言ではない。一応序盤でそのような伏線が有るが、情報を得る場所が分かりにくい上、さらに意味も分かりにくい。
    • さらに、序盤イベントでどうしても一回はカエルグミを捕獲しなければならない。
      • これはカエルグミ捕獲がストーリー進行に必須なイベントとなっている為。捕獲直後に現れる傷ついたクラスメイトにカエルグミを渡せば、捕獲数をゼロに戻すことができる。
      • 当然クラスメイトにカエルグミを渡さずイベントを進めてしまうと、そのセーブデータでは以下同文。
    • トドメとばかりに終盤には「カエルグミが大量に存在し、さらに触れただけでカエルグミを捕獲できてしまう」という特徴を持ったダンジョンまで存在する。開発スタッフはそんなに精霊コンプリートをさせたくないのか。
  • さらに上記の愛の精霊の問題をクリアしても、光の精霊「ルクス」と闇の精霊「ニルヴァ」の問題が存在する。
    • 光の精霊は、それまでに契約した闇の精霊の数によって契約できるか否かが決まる。闇の精霊と二体以上契約していると契約できなくなってしまうものも多い。
    • 闇の精霊と契約するには、精霊が呼び出したモンスターとの戦闘に勝利することが必要。これだけならまだいいが、問題は精霊が出現する条件。カエルグミを一定数以上捕獲しないと出現しないのである。最後の一体に至っては何と1000匹捕まえる必要がある。ここまでくるとプレイヤーに対する嫌がらせとしか思えない。
    • さらに最後の光の精霊及び闇の精霊は前述の光、闇それぞれの魔法の習得が義務付けられている隠しダンジョン内に存在している。通信環境がなければそもそも精霊コンプリートは不可能である。
  • 以上の点から、精霊コンプリートを狙うのであれば
まず通信プレイの為の環境を整える
→ 序盤から終盤にかけてカエルグミ無捕獲無購入縛りプレイし、全ての愛の精霊・隠しダンジョン以外の光の精霊6体と契約する
→ 別々の100人との通信を達成して闇属性魔法を習得し、主人公の属性を「闇」にする。同時にカエルグミを1000匹捕獲
→ 闇属性魔法の習得が必須の隠しダンジョンに入り、そこにいる闇の精霊と契約する
→ 全ての魔法を覚えて光属性魔法を習得し、主人公の属性を「光」にする
→ 光属性魔法の習得が必須の隠しダンジョンに入り、そこにいる最後の光の精霊と契約する
→ その後残り全ての闇の精霊と契約する

  …という何ともややこしいプレイングを求められるのである。

  • 精霊に関する問題はまだまだある。具体的には刃の精霊「スラッシュ」と美の精霊「パウダー」の二体。こいつらは契約する際に、手持ちの回復アイテムを捨てるよう要求してくるのである。
    • 刃の精霊の方は、特定のクラスメイトをパーティに入れておけば捨てたカエルグミをこっそり回収してくれる。後々の回復アイテム所持についていちゃもんを付けられる事もない。
    • 美の精霊は輪をかけて性質が悪い。MP回復アイテムであるミミズグミを一定数以上所持していると契約できない上に、後々ミミズグミを一定数所持すると「今すぐミミズグミを全て捨てるか、自身との契約を解消するか」の二択を迫ってくるのである。当然、契約解消した場合再契約する手段は無い。
      • 厄介な事に、他の精霊の中には「ミミズグミを一定数以上捕獲すると出現する精霊」「契約の際ミミズグミを要求してくる精霊」が存在している。精霊コンプリートを狙う場合はこれら他の精霊と先に契約を済ませておき、美の精霊との契約は後回しにするのが楽。
  • 作中のとある場所において「精霊が7体集まらなくても気にするな」「愛の精霊との契約にこだわらないほうがいい」というアドバイスを聞く事ができる。スタッフも精霊コンプリートの難度の高さを認識し、それに対して不満意見が出る事を予想していたらしいが、それならばもう少し手心を加えて欲しかった

シナリオの問題

  • 本作は徐々にシナリオが暗くなっていく流れがある。
    • クラスメイトがエニグマと融合し戦うことになったりする等、鬱イベントが多い。しかし基本的にはどれも救いが残されておりそこまで酷くはないが、中盤になって行くことになるマサラティ村のイベントは中々きつい。
+ シナリオのネタバレあり、閲覧注意!
  • ざっくり説明するならば「とある病気にまつわる迷信と、それによる差別・偏見」が引き起こす問題に主人公たちが巻き込まれる、というもの。
    • 迷信の詳細は「とある少年の父親が病気にかかって命を落とした。その病気は悪魔にかかる不治の病であり、その病気にかかった男の子供もまた悪魔である」というもの。
      • これだけでも病気で父親を亡くした少年の傷口に塩を塗るような腹立たしい内容だが、その真相は「病気の特効薬が危険な場所にあり誰も取りに行く勇気が無く、しかし薬を取りに行けなかったという事実を認めたくないがためにかつて存在した迷信を引っ張り出して親子に責任転嫁した」というもの。当然ながら親子には微塵の非も無い
    • 主人公達が上記の真相を聞かされた後、差別を受けていた少年が「村長の娘が悪魔の病気にかかった」と嘘を吹き込まれ、病気の特効薬である薬草を取りに行くことになる。主人公達の助太刀もあって無事薬草を手に入れられたのだが、結局少年は「村長の娘に薬草を渡す」ことと引き換えに村を出て行ってしまうのである。
      • その後、病気になどかかっていない村長の娘が事情を知り、少年の後を追って旅に出る。主人公の選択次第ではあるが、とある場所で無事再会できる為一応の救いは存在している。
    • このイベントの何が酷いかというと、他の村でのイベントとは異なり「迷信に基づく差別と迫害」という根本的問題がこれっぽっちも解決に向けて動かない*5上、少年に嘘を吹き込んだ張本人に対しては一切お咎め無しという点。確かに現実でもこの手の迷信や差別は解決の難しい問題ではあるのだが、何もここまで徹底的にやらんでも…。
      • その人物に話しかけると、少年から「村長の娘に必ず渡して欲しい」と託された筈の薬草を何の感慨も無く渡される。この時点で彼に対して明確にどす黒い感情が芽生えたユーザーも決して少なくはないだろう。

戦闘システムの問題

  • 戦闘で精霊コンボを使うことにより魔法威力が上昇するのだが、その上昇幅がとんでもないことになっている。
    • 精霊コンボとは場に出ている同種族の精霊の数に応じて威力を上げるシステムだが、精霊が一体増えるごとに威力が倍になるのである
      • このゲームには精霊を二体同時に出すダブルコールの魔法が存在する。速さを調整してやれば「主人公、及び主人公と同族性の仲間の内より速い方がダブルコール、然る後攻撃魔法」という手順を踏むことで、最低でも4倍の威力を叩き出すことが可能。マジックドールを活用すればより高い倍率も狙える。
      • 更に前述のアミーゴシステムを使えば、本来1種類の魔法しか使えないクラスメイトでも別属性の魔法が使えるようになる。これを活用すれば「速さを高めた他5人でコール魔法を連発し、最後に行動する1人が攻撃魔法」という手順で通常の128倍という世紀末レベルの威力を持つ攻撃魔法を、相手に一切妨害の隙を与える事無くぶっ放す事だって可能なのである。
  • 主人公達が臨海学校で乗ってきたバスを家探しする事ができるが、これによって手に入る温泉セットは全てそろえると全てのパラメータに大幅な補正がかかる為、バランスブレイカーとなる可能性がある。
    • しかもバスと合流しさえすればコマンド一つで家捜し可能となる為、その気になれば序盤にセットを全て揃える事も可能。但し正攻法で温泉セットを入手できる確率は結構低いので、何度も家捜しを繰り返す根気か、奥の手である乱数調整に手を出す覚悟のどちらかが必要となるが。

取り返しのつかない要素の存在

  • 光・闇・愛の精霊の他にも、プレイング次第で取り返しがつかなくなってしまう要素は比較的多め。
  • 光属性魔法を習得し「光」の魔法使いになってしまった場合、闇属性魔法の習得が必須の隠しダンジョンには二度と入れなくなる。
    • そのダンジョンにいる敵の図鑑登録や隠し仲間加入、さらには闇の精霊との契約を行わなかった場合、そのセーブデータでは諦めざるを得なくなってしまう。主人公の属性を変える際は注意しておくこと。
  • 隠しキャラの何人かは、一度手順をミスしてしまうとそのデータでは二度と仲間にならない。
    • 上述した闇属性魔法ダンジョンにいる隠し仲間の他、難易度を選べる隠しダンジョンのボスを倒すと仲間になるキャラも厄介。最初に最低難易度で倒した場合、二度と仲間にすることができなくなるのである。
    • 当然だが、隠しキャラはパーティが5人以下でないと仲間にできない。うっかり6人パーティで条件を満たしてしまい、一度しか仲間にするチャンスの無い隠し仲間を逃してしまうと泣くに泣けない。
  • メニュー画面から、成績表という形でプレイングの評価を見ることができる。のだが…
    • この評価においては「対モンスターの勝率」「仲良くなった精霊の数」「HPが尽き気絶した回数」など、一度ケチがついてしまうと取り返しがつかなくなる要素の比重がかなり高め。一度でもモンスターとの戦闘から逃走したら最高評価はまずありえないと考えてよいだろう。
    • 幸いにして、評価が影響するのは自分の温泉の改築パターンのみ。通信をしないのであればそれほど気に病む必要は無い。
      • 評価が高ければゆっくり浸れないんじゃないかと思う位に豪華な外観の温泉に改築する事も可能。逆に評価が低いとまさかのドラム缶風呂コースに。
      • 基本は評価が高い状態で改築すれば、より効能の高い温泉となる。
        しかし、これはあくまで有志の検証に基づく非公式情報だが……何らかの設定ミスが原因で、本来高評価で改築するほどより高くなるはずの効能の設定が逆になっており、より高い効能を狙うのであればむしろドラム缶風呂のほうが良いのではないかとする報告が存在している。……信じるか信じないかは閲覧者次第。

総評

知名度は他のメジャーどころのRPGに劣るものの、荒削りながらも面白味のある戦闘と、GBA初期とは思えない美麗なグラフィック。
独特でありながらも魅力的なキャラクターとストーリー等、評価点は多い。王道から一歩外れたRPGを楽しみたい人には間違いなくおすすめできる。
やり込み要素も、通信必須のものや取り返しがつかないものこそ多いが中々に骨太な内容。「徹底的にRPGを遊び倒したい!」という人も是非やってみてほしい。

目玉でもあったアミーゴシステムの欠点は擁護し辛いが、しかしこうした「プレイヤー同士の交流」を促す試行錯誤の積み重ねが
ニンテンドー3DSのスタンダードでもある「すれちがい通信機能」の発達に繋がっていると考えれば、中々に感慨深いものがある…と言えなくもないか。


その後の展開

  • 現在はGBA本体ともども中古量販店で安く販売されているので、本体とソフトを二つずつ買って一人で隠し要素を楽しむこともできる。
    • 勿論、相応の手間と時間はかかるが…。
  • 2015年8月19日にWii Uでバーチャルコンソールが配信開始。
    • ハードの制約から通信機能を使用できないが、セーブデータがある状態でタイトル画面内の「つうしん」を選択することで、オリジナル版で通信機能を使用して入手できる以下の効果を、本ソフトでも得ることができる。
主人公の属性が「闇」になる。
すでに習得している魔法を除くすべての魔法を、Lv.1の状態で習得することができる。