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新約 聖剣伝説
【しんやくせいけんでんせつ】
ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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メディア
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128MbitROMカートリッジ
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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ブラウニーブラウン
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発売日
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2003年8月29日
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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劣化ゲー
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ポイント
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原作のストーリー改変・設定矛盾 システム面も粗や不親切さが目立つ 単体としてなら楽しめない事もない ファンによってはクソゲー扱い
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聖剣伝説シリーズ
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概要
1991年に発売されたゲームボーイ作品『聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~』のリメイク。
開発はブラウニーブラウン。同社は元々聖剣伝説開発チームがスクウェアの意向に反発、独立して興された会社であり、本作は言わば「仲直り」の出発点となる作品だった。
タイトルから「ファイナルファンタジー(FF)外伝」を外してFF色を減らし、後期の聖剣伝説シリーズの要素を取り入れて作り直されている。
原作には登場しなかった、他の聖剣シリーズからのゲストも多く登場する。
主人公としてヒロインを選択できるようになり、ヒロインの視点で描かれるストーリーが新たに追加されている。
なお、本作の攻略本・小説および『聖剣伝説 CIRCLE of MANA』への客演では、ヒーローに「デューク」、ヒロインに「エレナ」という名前が設定されている。
ストーリー
ヒーローはグランス公国大臣の一人息子だが、同国の公子でありマナの一族の殲滅を行っているシャドウナイトにより「マナの一族であるヒロインを庇った」という理由で両親を殺され、自身は捕らわれの奴隷剣士として生きながらえていた。
数年後に逃げ出す事に成功し、その後にヒロインと再会したのを切っ掛けとして、マナの樹を巡る戦いに巻き込まれていく。
問題点
シナリオ面の問題
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原作であるGB版のシナリオ・キャラ設定は大幅に改変されている(概要のリンク先に記載しているストーリーとの比較を推奨)。かつて名シーンであったところがカットされていたりもするため、改悪とみなす人も多い。
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GB版ではウィリーという奴隷仲間の死をきっかけに国を抜け出すのだが、本作での彼は死なないうえに「ヒロインと同じ村の出身(マナの一族)」という設定が加わった。またボスキャラの一人であるリィ伯爵に、とある設定が追加された。
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これらの改変によって、ストーリー面に人によっては致命的ともとれる矛盾が生じてしまったのである。
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ネタバレ注意
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本編ラストで黒幕の凶行によりマナの樹が枯れ果ててしまうのだが、マナの一族であるヒロインは自らがマナの樹と同化する事によってマナの樹を再生する。同時にそれは、彼女と仲間達の永遠の別れを意味するものでもある。
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ここで問題になるのが生き残ったウィリーの存在。彼もまたマナの一族である為、彼が子孫を残しマナの一族を増やしていけば、わざわざヒロインが犠牲にならずともマナの樹の枯死を防げるのではないか(さらに言うと、この先何度でもマナの樹を再生できてしまうのではないか)という可能性が出てきてしまったのだ。
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一度この可能性に気づいてしまったが最後、悲劇的なラストシーンの筈なのに茶番としか感じられなくなってしまう危険性も…。
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さらに、ビンケットの館に住み着くヴァンパイア「リィ伯爵」の設定も変更されている。原作では処女の生き血目当てにヒロインを攫うのだが、本作では「ある人物に頼まれて、マナの一族の女性を邪教狩りから保護するべく館に滞在しており、ヒーロー達との戦闘で死亡せず和解する」という顛末になっている。
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…もうお分かりであろう。彼の保護下にあったマナの一族の女性達が子孫を残し、マナの一族を増やしていけば、わざわざヒロインが(以下略)
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原作では黒幕の凶行によってマナの樹が完全に破壊されてしまい、文字通りに最後のマナの一族であったヒロインが自らをマナの樹の種子とする事で、新たなマナの樹を誕生させるという展開になっている。これは「次にマナの樹が失われた時こそ世界は滅びる」という事を意味しており、だからこそヒーローがジェマの騎士としてマナの樹を、ヒロインを見守り続けるのである。
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これに対し、本作はウィリーの生存、リィ伯爵による一族の女性保護といった追加設定によって、ヒロインが自己犠牲という行動に至るまでの動機付けと、その尊さを薄めてしまっているのである。
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アマンダ、レスター姉弟にまつわるシナリオの演出についても批判が出ている。
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ネタバレ注意
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吟遊詩人のレスターを助けるために、ヒーローの元奴隷仲間でレスターの姉でもあるアマンダと一緒にメデューサの血を手に入れるため戦うのだが、その際にメデューサに噛まれてしまって魔物化する彼女をやむを得ず殺すシーンが手動から半手動に。ヒーロー(プレイヤー自身)に仲間の殺害を決断させる残酷さが演出として素晴らしかったのに…といった内容の批判を生むことに。
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また、竪琴を奏でるレスターがいないから、という理由で原作ではレスター救出まで完全無音となっていたジャドの街が救出前からBGMを流すように。この点にも不評の声は少なからずある。
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ヒーローのパートナー的存在だった筈のチョコボが本作では登場しない。これに伴いチョコボのサイボーグ化などの名シーンもカット。
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タイトルから『FF外伝』を外したことも関係していると思われるが、不必要にシリーズ色をつけてまでチョコボを消す必要があったのかは疑問が残る。シリーズ作である『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』にもチョコボは出ていたのだが…。
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攻略本『新約聖剣伝説 解体新書』のインタビューで、プロデューサーの石井浩一氏が「今回はキャラクターが入れかわり立ちかわりで仲間になるので、つねにチョコボがそばにいるようにはできない。中途半端なあつかいになるくらいならケズったほうがと、最終的には判断しました。」(長いので一部のみ抜粋)と述べている。
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一応オマケ要素として、エンディング後(「fin.」が出た後)に5分間経つと少しだけ姿を見られるが、それだけである。
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ヒーローが立ち直るきっかけとなるボガードとの口論なども、イベントごと削除されてしまった。
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こうした改変の中でも、特にサブキャラクター「マミーシーカー」関連のシーンについては原作ファン層からの批判が強い。
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ネタバレ注意
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原作のシーンを解説しておくと、ロボットであるマミーシーカー(以下、作中の愛称であるマーシーと表記)はダンジョン「ダイムの塔」で仲間として暫く行動するが、塔が崩壊する際に『自分はジャンプできるから』とヒーローを塔の対岸まで投げ飛ばして脱出させる。しかし本当はジャンプ機能など無く、ヒーローに別れを告げて塔と共に沈んでいく…という名シーンであった。
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しかし、リメイクに伴ってフィールド上で障害物・段差を越えるためのジャンプ機能が追加され、ヒーローだけでなくマーシーも躊躇なくジャンプできるようになったため、ストーリーに変更を迫られるはめに。
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結果として本作でどうなったかというと、マーシーは「ボンボヤジではなくヴァンドール製であり、ダイムの塔内でしか動けない」という設定に変えられてしまった。原作では印象的なシーンであった為、これについては「『改悪』という言葉すら生ぬるい」と評する人もいる。
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一方で新規層からは「特に問題とは感じられない」という声も多い。そもそもの所「ジャンプできない」というのも大分メタ的でご都合な理由であり、どちらかと言えば新設定の方が筋が通っているという意見もある。この辺りは、原作ファンからの
思い出補正
という側面も強いだろう。
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そもそも、ジャンプ機能自体に意味が薄く蛇足だという評価が根強く存在している。そのため「こんなどうでもいい追加要素の為に、原作のストーリーが改変されたのか」という理由が批判の声を強めている、という一面も大きいだろう。
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ただ、ジャンプ機能があるならマーシーが助かるかもしれないという希望、それが打ち砕かれたというのも、それはそれで哀しい。…勿論、聖剣シリーズのシナリオに求められる哀しさとは大分趣を異にするものではある事は否定できないが。
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本作のセーブポイントは『聖剣伝説3』にあやかってマナの女神像になっているのだが、邪教狩りによってマナの一族を排斥している世界観にもかかわらず、その一族のシンボルである筈の女神像がそこら中に存在しているのは不自然極まりない。
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一応、銀の女神像に関しては壊されて首と左の腕・翼がもげているデザインにはなっている。これはこれで悪趣味な気もするが…。
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後半のフィールドBGM「聖剣を求めて」が早い段階で流れる。この改変についても原作ファンからの評判は良くない。
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追加のヒロイン視点も、予め原作かヒーロー視点をやっていないと人物や状況が意味不明だったり無理のある展開も多い。しかもヒロイン視点と言える展開はほぼわずか。この程度なら分ける必要などなく、「一方その頃…」的な演出で両方1プレイで見せても十分だったはずである。
システム面の問題
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追加システム「リングコマンド」をはじめとするUIの使いにくさ
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リングコマンドとは、ボタンを押すとメニューが画面にリング型で表示され、画面を切り替えずにアイテムを使ったり、武器を変えたりできるシステムの事である。
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元々は『聖剣伝説2』や『3』でアイテムや魔法の選択に採用されていたシステムを逆輸入したものだが、使い勝手が劣化しており、元のGB版のコマンドの方がマシとまで言われている。
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『2』『3』のリングコマンドでは開いた最初のページが回復などの道具で、十字ボタン上下でカテゴリ選択を行っていたが、本作では最初のページが「カテゴリ選択のリング」で、最初にリングを回してカテゴリを決めなければならない。そのため、回復アイテムを使うにもいちいちカテゴリを選択しなければならず面倒。
また、選択動作の感度が良すぎてカーソルが行きすぎてしまうこともある。
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そもそもこのような「『どうぐ』→道具一覧」的な処理だと、一般的なRPGのメニュー画面とほぼ同じである。それゆえに十字ボタン上下が使えず、カーソルを合わせなければ項目・アイテムの名称や所持数が分からないという不便さが際立ってしまっている。
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武器・精霊切り替えのリングについては、戦闘中に限りリングコマンドのどこからでもL・Rボタンで飛べることに気付けば、幾らかマシになる。
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なお、後の3Dリメイク版『聖剣伝説』でも同様にリングコマンドを採用しているが、そちらは使いやすく改善されている。
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他にも、操作キャラを交代しないと仲間のアクセサリー変更ができない、敵が出てこないエリアでは画面内にパーティの顔アイコンやHPが表示されず操作キャラの交代もできない、所持金を確認するだけでもいちいち『リングコマンド展開 → ステータス一覧 → ステータス』と入力しなければならないなど、所々にUIの粗雑さが見られる。
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追加アクション「ジャンプ」の必要性が低い
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移動距離が短いうえに、段差にほぼ密着しなければ上り下りができない。さらに動作中は一切攻撃できないため、戦闘システムの拡張に寄与していない。その結果「フィールド上の段差を無駄に増やし、前述のストーリー改変を招いただけ」という批判を招いてしまった。
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武器や魔法に使う精霊の種類は多数あるが、武器はソード(ヒロインならロッド)とボウ、魔法も光属性だけ鍛えれば事足りてしまう。
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比較的扱いやすいソード(ロッド)とランス、遠距離から攻撃できるボウに対し、他の武器はいずれも使い勝手が劣る。
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ボウは発射する矢の攻撃範囲・射程ともに優れており、さらに構えたボウ自体にも当たり判定があるため「密着されても問題なく使える上に、2ヒットを狙うことも可能」と頭一つ抜けた性能になっている。
ソード(ロッド)は初期装備、後述の3連続攻撃が出せる、ボウの攻撃属性と被っていないという特性上、3連続攻撃を安定して出せるようになればボウ並みに重宝する。
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くさりがま・アックス・モーニングスターの3種は、出の遅さと威力・攻撃範囲・怯ませやすさなどが釣り合っておらず、吹っ飛ばし効果や専用ギミックなどの固有能力も持たないので、ほとんど出番がない。
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本作の武器(全9種)は「斬・突・打」の3属性に分かれているが、前述のボウとソード(ロッド)さえ鍛えれば「片方の属性が無効化されるならもう片方に切り替える、両方無効化されるなら攻撃魔法に頼るか逃げる」というテンプレが成立する。他の武器は障害物の撤去や仕掛けの起動専門にしてしまっても全く問題ない。
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光属性の補助魔法は自分と仲間のHPを回復できる「ヒールライト」。不便なリングコマンドから回復アイテムを使う手間が省けるほか、回復量を高める称号も複数存在するため何かと重宝する。
一方で、他属性の補助魔法は効果時間が短かったり戦闘回避用だったりと、使いどころが限定されがち。
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攻撃魔法の最終形として、かなり派手な演出の全体攻撃魔法というものもある。見た目はかなり綺麗で、発売当時はTVCMでもこの演出を売りにするかのように数種の映像を見せ付ける構成だったのだが…。
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同属性の精霊を8体入手するまでの作業量が途方もないため、使えるようになる段階では殆ど恩恵がない。
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しかも、本作はレベルアップ時における成長パターン6種の選択回数(リセット不可)に応じて随時称号が変わる(巻き戻し不可)にもかかわらず、全体攻撃魔法は特定の称号8種に1属性ずつ割り当てられている。よって、習得できるのは1周につき実質1種のみという酷い仕様。演出8種を全て見たければ8周プレイしろ、と言われているようなものである。
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攻撃・アイテム入手・エリア切り替えのテンポが悪い
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本作ではボタンを押してから武器を振るまでがワンテンポ遅く、連打速度も遅め。
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一部の武器はタイミングよくボタンを押せば3連続攻撃が出せるが、そのタイミングは意外とシビア。また、途中で相手に割り込まれることも間々ある。
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連続攻撃と言っても、他のゲームならボタン連打で簡単に出せるようなアクションである。1段目の繰り返しよりもダメージを稼げるとはいえ、わざわざシビアにする必要があったのだろうか。
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斬属性の武器で草を刈り、敵を引き寄せる設置系アイテムを拾う事もできる。しかし攻撃のテンポが悪いので、必殺技で一気になぎ払わない事にはサクサク刈れない。
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アイテムを入手したりエリアを切り替えた際のテロップは、消えるのに約1秒かかる。自然に消えるまでは動く事さえできず、積み重なるとかなりのストレス要素となりうる。
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不便すぎる装備強化システム
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本作における武器・防具の刷新方法は「ランクの異なる原料を用いて造り変える」「同ランクの原料と野菜・フルーツを併用して少しずつ鍛える」の2種類。つまり、ショップで武器・防具を直接購入することはできない。
また、武器・防具は1つのカテゴリごとに1種類しか所持できず、外せない・仲間と交換できない・売却できないという不便を強いられる。唯一、アクセサリーは過去作同様の方式(購入・拾得する、外せないが付け替えを通して仲間と交換できる、売却できる)となっている。
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「ドワーフが野菜・フルーツを使って武器・防具を鍛える」というのは、作中に説明があるとはいえ、常識で考えればかなり困惑する設定である。
恐らくは『聖剣LoM』での設定を逆輸入したものと思われるが、これが却って原作ファンや新規層の混乱を招いてしまった。
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武器の攻撃力を大きく高めたければ、高ランクの原料を使って武器を造り変えるしかなく、低ランクのままボスに挑めば与ダメージが1桁程度、という極端なバランスである。
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最大の問題は、そもそも素材の入手方法が「エリア切り替えで稀に現れるニキータから掘り出し物を買う」「敵のランダムドロップや固定配置の宝箱に頼る」のどちらかしかないということ。
前者の掘り出し物は自力ではほぼ気付けない隠し要素であり、後者はドロップ対象や野菜・フルーツ栽培の規則性を知らなければ効率が悪い。
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攻略情報なしでの装備強化に手間が掛かる一方で、物理火力の上限は非常に高く、自重しなければラスボスすら秒殺できてしまうという問題もある。
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NPCが役立たず化
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GB版でヒーローと一時的に戦ってくれたNPCの面々が、本作ではヒーローと同じ操作キャラ扱い(プレイヤーが操作しないときは自動で動いて戦う)になっている。
しかし、地形のあちこちに引っかかりまくる、壁際に追い込まれて一方的にボコられ続けることがある、(武器カテゴリが固定なので)主人公がフレイルを杭に引っかけて移動すると置き去り確定になるなど、無様な姿が目立つ。また、再加入時に装備品が刷新されず、放置すると弱いがテコ入れするのも勿体ないという問題もある。
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素の性能だとあっさりやられてしまうことも間々あるが、天使の聖杯で復活させる事は可能。価格も50ルクと低価格にはなっている。
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宝箱の罠
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敵を倒すと宝箱が出る事がある。開封時にルーレットが始まった場合、OK(セーフ)と罠発動の出目がある。しかし、中盤以降は高確率でルーレットが始まるうえに出目が罠だらけになってしまう。
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罠によるダメージは、正直言って敵の攻撃よりも痛い。そのため敵からの素材アイテム収集がかなり億劫になってしまっている。
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クエストおよびサボテン君日記、モンスター図鑑、モンスターのブラック化といったやり込み要素は増えているが、終盤のストーリーが原作と同じく「ラストダンジョンに入ったら引き返せなくなる」という仕様のまま変わっておらず、クリアデータの引き継ぎもできない。
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この後戻り不可によって、単純にやり込み要素を収集する意欲が削がれてしまう。見落としていたやり込み要素に気づかないままラストダンジョンでセーブしてしまった際の絶望感は、人によっては計り知れないものがあるかもしれない。
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また、クエストには期間限定かつ別のクエストと連動しているものや、「通信ケーブルによるデータ交換で5キャラ集めろ」という面倒なものも存在する。
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セーブを行えるのはセーブポイント限定
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GB版はいつでもセーブできたが、本作では特定のセーブポイントでしかセーブができなくなっている。
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一応ブラウニーブラウンの前作ではいつでもどこでもセーブできたので、技術力の問題という訳ではないのだが…。
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携帯機ならばせめて中断セーブかスリープモードぐらいはつけるべきだったかもしれない。
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レベルアップ時に成長パターンを選ぶのだが、最初のレベルアップから同じパターンを選び続けると、選択したものに応じたアクセサリーがもらえる。しかし、40回(つまりレベル41、最高レベルは99)とかなりの長期計画になるため、狙う品によっては難易度に大きな影響がある。
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もらえるアクセサリーは当該の成長パターンの長所をさらに伸ばすものであるため、尖りすぎた能力値をならす目的には使えない。
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また、成長パターンの選択回数に応じて称号が設定され、特定の能力値や武器・魔法攻撃力にボーナスが発生するのだが、上記アクセサリーを狙うと一部の称号が取得困難ないし取得不能になってしまう。
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しかも成長次第で壁ボスができてしまう。それが海底火山で戦う「イフリート」。ヒーローをバランス型の「バーバリアン」系にするとこいつに剣も魔法もろくに通じなくなる。
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外見通り水に弱いが、魔力を伸ばしていない場合は相当に熟練度を鍛える必要がある。
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能力に素早さが追加され、敵の攻撃を受けても確率で回避できるようになったが、プレイヤー側も素早さを上げていかないと攻撃が殆ど当たらなくなってしまう。
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主人公については、レベルアップ時の成長パターンに気を使ったりアクセサリーで補強すれば解消可能。
仲間については「レベルアップ時の成長パターンが各キャラ独自のものに固定されており、称号も発生しない」「再加入時に装備品が刷新されない」という問題があるが、素早さの値自体はレベルアップとアクセサリーで補えるケースが多い。
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問題は、ヒロイン編において最後の仲間となるヒーローである。彼はレベルアップ時に素早さが上がらないため、隠しアクセサリーで大きく底上げしない限り「武器攻撃しか取り柄がないのに、その攻撃が当たらない」という事態になってしまう。
なお、ヒーロー編におけるヒロインも素早さが上がらないのだが、こちらは魔法主体であるため、そう問題となる事は無い。
評価点
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GBAになった事でフルカラーになった。スクエニ製だけにグラフィックは美麗。文章のフォントも読み易くなっている。
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詰みポイントの解消
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セーブポイントの実装により、結果としてGB版の原作において起こりえた「セーブのタイミングによってはシナリオが進行できなくなる」事態が発生しないようになっている。
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原作にあったカギ・マトックが廃止され、アイテムが無い事による詰みの危険性も消滅した。
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戦闘バランスの調整
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敵に合った武器でないと、ダメージが全く通らないという極端な部分が緩和された。
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BGMはGB版同様、伊藤賢治氏が担当。アレンジは良質であり評価は高い。
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シナリオ・キャラクター
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シナリオについても、評価できる新イベントがないわけではなく、また前述したようにオリジナルと異なり生き残ったウィリーのキャラクター性は好評である。
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ただし前述の通りそれと引き換えに致命的な矛盾を生むことになったため、このトレードオフの評価は原作ファン層と新規層で大きく分かれる。
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原作とは異なり行動的になったヒロインについても、これはこれでという意見もある。
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やり込み要素
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前述したように、簡素だった原作に比べて、イベント回収やモンスター図鑑埋めなどの楽しみは増えたと言える。
総評
単体作品としては「劣化リメイク」の域を出ておらず、粗は目立つもののそれらに目を瞑れれば遊べなくもない。
原作ファンの本作に対する評価を知った新規層がショックを受けたという声もあり、クソゲーと断じられる程の悲惨な出来栄えでない事は確かである。
しかし無理矢理搭載したシリーズ独自仕様や、必要があったとは思えないストーリー変更等、原作経験者の心情を逆撫でするかの如き改変要素が仇となり、当時の聖剣シリーズファンからは批判が噴出してしまった。
今思うとこの作品こそが、スクウェアの看板シリーズがわずか3年で地に落ちるという、凶兆だったのかもしれない。
余談
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原作と別物と言ってしまってもいい程の改変が行われてしまった最大の要因の一つとして、「シナリオ担当の生田美和氏が原作のGB版をプレイしていなかった」という点がしばしば挙げられる。
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「原作のイメージに捉われない」ためという理由があったそうだが、その割に他のシリーズ作品において培われてきた聖剣シリーズのイメージ(『LOM』の愛憎入り混じった人間関係など)に捉われてしまっている点はどうしても否めず、結果として原作ファンの側からの強烈な反発を生んでしまった。
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あまりにも別物になったため、「新約」と混同しないように明確に区別するため原作を「旧約」とする呼び方が広まった。
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本作に寄せられた評価を反省してか、その後に原作(旧約)を忠実にカラーリメイクした携帯アプリ版、そして携帯アプリ版をベースにグラフィックを3D化リメイクしたPSVita/iPhone/Android版が配信された。
詳細は『聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~』のリメイク版に関する項目を参照。
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また本作以降のリメイク作品では本作のようなアレンジ要素は極力抑えられ、結果的に『聖剣2』『聖剣3』のリメイク作品におけるシナリオは原作に非常に忠実なものとなった。『2』リメイクはともかく、『3』リメイクではその方針が功を奏している。
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本作のシナリオを手がけた生田美和氏は元スクエニ社員(本作の時点で独立している)。その後小説執筆や『FFXII』『黄金の絆』『俺の屍を越えてゆけ2』『よるのないくに』のシナリオなども手がけている。
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彼女の手がけた『サガ フロンティア』や『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』のシナリオを本作以後に叩くプレイヤーもいたが、それらは元来評価が低いわけではなく所謂「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の類である。シナリオについての評価など、詳細な情報は各作品のページや外部サイトを参照して頂きたい。
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ただこの両作はゲームシステムの面白さや演出に助けられた部分も強く、シナリオ単体で見ると唐突なラスボス展開や打ち切りENDを筆頭とした消化不良も多い。新約の出来以前の問題として、好き嫌いがはっきり分かれていた部類である点には留意されたし。
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Vジャンプブックスより出ている攻略本には本作の過去編を元にした読み切り漫画が掲載されている。ただしストーリーはオリジナルのものとなっており、本作とは関わりがない。作者は三好直人氏。
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小説版も上下巻で発売されている。
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ラストシーンでヒロインが一瞬全裸になる。ドット絵でありまた悲劇的なラストシーンという事もあってそこまでネタにはされていないが。
最終更新:2025年04月18日 06:51