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名探偵ピカチュウ ~新コンビ誕生~ - (2016/11/12 (土) 14:14:29) の編集履歴(バックアップ)


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名探偵ピカチュウ ~新コンビ誕生~

【めいたんていぴかちゅう しんこんびたんじょう】

ジャンル シネマティックアドベンチャー
対応機種 ニンテンドー3DS
(ニンテンドー3DSダウンロードソフト)
発売元 ポケモン
販売元 任天堂
開発元 クリーチャーズ
配信開始日 2016年2月3日
定価 1,500円(税8%込)
判定 良作
ポイント ピカチュウ(CV:大川透)
とっつきやすい推理ゲーム
ストーリー面の完成度高し
続編前提なため謎は消化不良気味
ポケットモンスターシリーズ関連リンク


概要

ポケットモンスターのスピンオフであり、ピカチュウを主人公にした推理アドベンチャー。 グラフィックは全て美麗な3DCGで構成されており、シネマティックアドベンチャーというジャンルに見合って様々な部分が作り込まれている。
本作に登場するピカチュウは、これまでのピカチュウと違い、人間的な表情モデリングを採用*1。細かい表情付けを可能とした。

何より本作を象徴とするのは、ピカチュウが人の言葉を喋ることにある。さらにその声優に選ばれたのは、ゲーム本編などでもお馴染みの大谷育江*2ではなく、大川透*3を起用している点にある。
それ以外の声優に関しても、男女を問わず外画の吹き替えを主に担当している人物が多く、本作作の独特な空気感を作り出している。
推理モノ、という体裁なため、先のキャスティングの件を含めて雰囲気はハードボイルドテイストである。ポケモン達の鳴き声は声優によって表現されており、路線としてはアニメ版に近い*4
実際のキャスティングにもアニメ版に携わっている音響監督の三間雅文氏に協力を要請しているという。
これらの要素は、ポケモンの世界観を崩さない程度にシックなイメージを演出しつつ、新たな作風を生み出している。

本作はサブタイトルが付いているように連作の予定であり、現在も続編が開発中である。

基本システム

主人公の少年・ティムと、何故かティムとだけ言葉が通じる相棒のピカチュウの特性を利用しつつ、周囲で起こった事件の解決を目指す。
この際、人間からの聞き込みはティム、ポケモンからの聞き込みをピカチュウが担当する。
そしてそれぞれが集めた証拠から、事件の真相に迫っていくという、推理ゲームとしてはスタンダードな作りである。

なお、行動中はピカチュウに相談することも出来る。ただしこれは捜査の相談という目的より、ピカチュウのキャラクター性の掘り下げという感じの趣きが強い。

本作のピカチュウ

本作のピカチュウは、かつて主人公ティムの父親・ハリーのピカチュウだった。しかし何らかの理由で記憶を失くしている。
探偵帽を被り、アニメ版のニャースよろしく二本足で歩くのがデフォルト。口元も従来のピカチュウと異なり人間的になっているのも特徴。
ただし件のニャースのように人語を話せるわけでなく、何故かティムにだけこのピカチュウの言葉が分かるという設定である。

コーヒーと綺麗な女性が大好きというオッサン臭い設定で、実際中年をイメージしたキャラ作りがなされている。
何故か電撃技を始め、全般的な技を使うのが苦手で、二本足で歩いているせいか走るのも不得意。
「ピカッと閃いた!」が決め台詞。探偵であるハリーの相棒だったためか、彼もまた探偵としては優秀。

ストーリー

舞台は、人とポケモンが共存する街、ライムシティ。 
ある目的を果たすため、少年ティムはこの街にやって来た。 
そこで偶然の出会いを果たす、ティムとピカチュウ。 
新しい物語が、ここから始まる。
                                                                         任天堂ソフト紹介より引用。

評価点

  • ポケモン図鑑の設定や生態の重視
    • ポケモン達は本編のポケモン図鑑に記されている設定や生態によって個性付けがされており、それが上手く人間社会に溶け込んでいる。
      • 中には大半のプレイヤーが忘れているであろう設定で存在をほのめかすポケモンも存在する。
  • 老若男女に通じる渋い世界観
    • あくまでもポケモンとしてではあるが、これまでと違って渋めのイメージが強く、大人でも楽しめる雰囲気作りがなされている。
      • さりとて子供を置いてきぼりにしているわけではなく、任天堂らしく万人向けな雰囲気作りに成功している。
  • 声優のキャスティング
    • 散々候補を探した結果、満場一致で決まったという大川透の演技は実に絶妙。冒頭、渋い声で「ピカピーカ!」と鳴き声を発するシーンはシュールそのもので、プレイヤーの笑いを誘う。
      • ごくごく一部からはピカチュウのイメージが崩れるという意見もないではないが、そもそもポケモンは同一種でも個体差があり「大谷育江のピカチュウ」以外のピカチュウもたくさんいるのが当たり前なので、見当外れな意見と言えよう。
    • 大川透以外の声優も先の通りTVアニメより外画で活躍している声優が多く、先の世界観に上手く色付けしていると言える。
  • とっつきやすいゲーム性
    • ポケモンの推理ゲー、というだけあって難易度はそれほど高いわけではなく、殺伐とした感じも薄い。
    • ピカチュウとコミュニケーションが取れる、という特徴を最大限に使っており、物証・証言集めは普通に楽しめるレベルに個性は出ている。
  • 美麗なグラフィック
    • 本家とはまた違うモデリングが採用されており、どちらかと言えば据え置き版のポケモンに近い。これにアニメ版のイメージを足して2で割った、という感じ。
    • ピカチュウのモデリングは先の通り人間の表情をモチーフとしており、特に細かく作り込まれている。セリフを喋る際はそれが顕著。
  • 世界観
    • 本作の人間達は本編のRPGとは違い人物も実在に近いモデリングである。そのため、ポケモンと人間が共に生活していて、プレイヤーが本当にポケモンが実際に現れた世界を体験できる。

賛否両論点

  • 登場ポケモンが新作に偏り気味
    • 明らかに万人向けを狙っており、初代ポケモン直撃世代なども十分射程圏内に収めた作風なのだが、登場するポケモンの多くは第三世代以降からのポケモンが多い。
    • ただ、古い作品のポケモンばかり出せば良いというわけでもなく、やはり一番旬の作品から選んでいくのは当然ではある。
      • 新旧のバランスを意識した『ポッ拳』が近い時期に出た事が、賛否を拡大する要因か。どちらが優れているとかではないのだが。

問題点

  • 続編前提+DL専用故にボリュームの薄い
    • 良質な世界観だけに、「もっと浸りたい」と思わされるだけあって、ダウンロード専用故の内容量の物足りなさが噛み合っていない感はある。
      • はっきり言って、普通にプレイすれば大体半日もかからない程度のボリュームしかない。「もっと味わいたい」と思える内容故に、DL専用という点は弱点となっていると言える。1500円という価格を考えても物足りない。
    • さらにピカチュウの謎を初め、伏線なども肝心なことはほとんど明かされていないため、モヤモヤしたというプレイヤーは多い。
      • 続編は製作中とのことだがかなり時間が空いてしまっているため、余計に不満を漏らす声も増えている現状がある。
    • ヒントはいくらか作中に転がっているため、リリースまでに推理せよということなのだろうが。
  • セーブデータが一つのみ+オートセーブ
    • サブイベントを見逃した場合、戻ってやり直すことは不可能。
      • 一応、はじめからやり直すことは可能。
    • 所謂ギャラリーモードのようなものもないので、イベントを回想して見ることも不可能。
    • 二週目としてクリア状態を維持したまま最初から始められる機能もあるが、その機能中はセーブ不可能。
      • なので二週目途中でプレイを中断したい場合は、そのままスリープモードにするしかない。

総評

大川透が演じるピカチュウを聞きたい、というだけでも1,500円を払う価値があるくらいには楽しめる作品。
一見シュールな内容に見えるが、ストーリー自体はかなりガチで、引き込まれるだけの魅力は持っている。

惜しむらくはやはり続編リリースの遅さ、あるいは携帯機のダウンロード専用という、ボリュームをコンパクトにせざるを得ない販売形態にあると言える。
1,500円+税という値段を考えれば十分すぎる面白さなのだが、面白いが故に物足りなさも感じてしまう。
制作側は「鋭意製作中」とインタビューで語っているため、今後の展開に期待が集まる。

余談

  • 2013年に、NHKのテレビ番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』でポケモンシリーズプロデューサーの石原恒和が特集された際、「開発中の新しいポケモン」として本作のタイトルと映像が少しだけ紹介されていた。このため存在だけはかなり早い段階からファンの間で周知されていたが、正式に発表されたのは番組の放送から約2年半が経ってからだった。番外編ながらかなりの難産タイトルであったようだ。
  • ゲーム中に大谷育江版ピカチュウとの共演シーンが存在する。
    • その時に大川ピカチュウが発する「夢はいつか叶う」という台詞はプレイヤーを大いに沸かせた。
    • なお、このシーンでは大川ピカチュウと普通のピカチュウの体型を比較することが可能。
  • ゲームをクリアするとピカチュウとの会話シーンをランダムで見続けられるオマケ機能がある。
    • ただし、背景は全て研究所中庭で固定な為、行動と噛み合わないシーンも見られる。
  • ハリウッドで実写映画化されるポケモンの映画は、この名探偵ピカチュウと同じ世界感で作られることが発表されている。
  • 海外版は未発売である。しかし、このPVを見たプレイヤー達は「自国にローカライズされるなら是非○○を声優に!」として名俳優を推薦するなど、署名運動まで起きているという。