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ドラゴンボールZ 超悟空伝 覚醒編 - (2020/03/05 (木) 02:51:27) の編集履歴(バックアップ)


ドラゴンボールZ 超悟空伝 覚醒編

【どらごんぼーるぜっと すーぱーごくうでん かくせいへん】

ジャンル プレイングコミックス(ADV)
対応機種 スーパーファミコン
発売元 バンダイ
開発元 トーセ
発売日 1995年9月22日
定価 10,800円(税別)
判定 なし
ポイント フリーザ編まで収録
やはりコミックスが攻略本
原作を逸脱した様々なif展開も
if展開がなく相変わらずのヤムチャ
ドラゴンボールゲームリンク


概要

ドラゴンボールZ 超悟空伝 突激編』(以下、前編)の後編。
前編が無印DBだった事から分かるように、後編の今作では青年時代の悟空と悟飯の戦いを描く。コミックス14巻~28巻、シェンや匿名希望が参加する第23回天下一武道会からフリーザ戦までを収録。
基本的な進行は前編と同じだが、完全に原作通りでなくとも話が進行し、中にはifのストーリーも存在する。


特徴

  • 基本は前編と同じくADV形式で進行。
  • 新要素として DBZカルトクイズ が登場。時折3択クイズが登場する。
    • 間違えても進行には影響せず、キャラクターの反応が変わるだけだが、「DBZ度」という数値が上昇する。
  • ストーリーが進むと悟飯が誕生し、悟空パートと悟飯パートを切り替えて進む事となる。悟空と悟飯ではステータスが別々となる。
    • 原作の話に沿って進むため自由に変更する事はできない。
  • 話を進めると一区切り毎に神龍が登場し、「セーブ」「戦闘力の上昇」「体力の上昇」から好きな願いを叶える事が可能。
  • バトル
    • 前編と異なり互いににじり寄る形ではなく、パワー(X)・スピード(Y)・反撃(B)・光弾(A)の4系統の技を同時に繰り出すジャンケン形式となった。コマンドはSFCの4ボタンにそれぞれ対応している。
      • パワー>反撃>スピード>光弾>パワー……という形の4すくみとなり、同系統の技、パワーとスピード、反撃と光弾は打ち消し合いになる。また、同じ技を何度か使うとレベルが上がって上位の技を習得する。
      • それ以外に4種類全ての技に強い必殺技(A+X)、必殺技を封じる特殊技(B+Y)も存在する。
    • 戦闘力を溜める要素も継続して存在し、敵味方両方が気を貯める演出となり原作の雰囲気を楽しむのに一役買っている。中には気を貯めずに即コマンド入力する敵も。
    • バトル中に敵の必殺技を喰らうと登録され、技度が上昇するというやり込み要素もある。
  • 前編の最後に出てきたパスワードを入力すると引き継ぎが可能。悟空がある程度強くなり、特殊な技を覚えた状態で始まる。
  • ボイスはゲームオーバー時に採用。フリーザ役・中尾隆聖氏の「 ざまあみろ! (エコーが響く)」のみ。
  • ゲームをクリアすると達成度を引き継いで周回プレイを行える。ピッコロ編・ベジータ編・フリーザ編から選んで開始が可能。
    • ステータスは前の周回でその時点のものが引き継がれる。

評価点

  • 前編と同様にバトル以外の面も含めて多数のエピソードが収録。原作の話を追うという点ではかなり徹底しており、バトル中の細かいエピソードも多数飛び出すため、バトル中心のDBゲームではあまり見られない小ネタも拾い集められている。
    • 一例では「重い道着を脱ぎ捨てる悟空」「ラディッツが悟空に命乞いをしてだまし討ち」など。
  • 前編と異なる点としてif展開の話も収録。DBZカルトクイズ以外の細かい選択肢で原作と異なる展開を楽しむ事が可能。
    • ラディッツと戦う前にピッコロと1戦交えたり、悟飯でキュイやドドリアを倒したりなど。負けても話が進む場合もある。
    • ほとんどのifイベントは発生が記録され、「イベント度」が増加するのでこれを埋めるのを目的に遊ぶ事もできる。
    • DBZカルトクイズも誤回答で異なる反応を示す事もあり、なかなか面白い。
  • 一度クリアすると選べる選択肢が増える。選ぶと原作の展開とは異なるifイベントが発生し、バッドエンドや、根本的な問題が解決していないブラックな落ちへ発展してしまう。その種類も納得できるものからトンデモなものまで数が豊富。
+ ifイベント・エンディングの一例(ネタバレ)
  • 天下一武闘会の予選会場でピッコロと初めて出会うシーンで、天津飯に正体を明かす選択を取る。
    • これを選ぶと天津飯が命と引き換えに魔封波を仕掛けてピッコロを封印、 1回も戦闘せず数分でエンディングとなる。 「何故魔封波返しを使わないんだ」とか「何故都合よく大魔王封じの瓶*1を持ってたんだ。」「サイヤ人達とはどうやって戦うんだ。」「というかその後の展開は?」とツッコミたくはなる。
  • ベジータ編でクリリンがベジータに止めを刺そうとする展開で止めを刺す選択を取ると、そのままベジータがクリリンに突き刺されて死亡。
    • そこからナメック星のギニュー特戦隊戦まで進行する。グルドの超能力で悟飯とクリリンの動きが封じられるが、 ベジータがいないのでこのままグルドに全滅させられて バッドエンド。ベジータがいないとこうなってしまうという一例。
    • 「キュイやザーボンはどうした」*2とか、「ベジータが宇宙船を内部から爆破しないとどうなる」とか、細かい点にツッコミたくはなる。
  • 特にぶっ飛んでいるのは、ラディッツ戦で悟空が騙されずにラディッツの尻尾を掴みっぱなしにする選択。
    • これを選ぶとラディッツが尻尾を自ら切り落として脱出し*3、ピッコロは魔貫光殺砲を誤射して悟空を殺してしまう。それだけで終わらず悟飯が覚醒、「ピッコロが悟空をいじめた」と勘違いして体当たりを行う。その戦闘力を見たラディッツは 悟飯を連れ帰って しまう。
    • 数年後、地球に 4つの宇宙船 が襲来。 サイヤ人として育てられた悟飯の「クンッ」で都が滅亡 してエンディング。チチでなくとも「 悟飯ちゃんが不良になっちまっただ! 」と叫びたくなるようなギャグに近い展開である。
    • 「何でまた地球に来る必要があるのか」と疑問に思う人もいるかもしれないが、ラディッツ曰く地球が次のターゲットとなっていたため、命令遂行のために再び訪れる事自体おかしくはない。ドラゴンボールに関する情報の有無は無関係である。
  • 今作では、技習得率・イベント消化率等を全て埋めると、孫悟空とピッコロによるおまけ寸劇*4が見られるなど、コンプリート特典があるため、前作と違い周回&上記のIF展開に進む意義がちゃんと存在している。
  • 前作と比べると、戦闘シーンがかなりスピーディで細かく動くようになった。敵の必殺技等も1人1人特有のものが設定されていたり、超武闘伝からの技があったりと細かいネタも多い。悟空のメテオスマッシュ等は見ほれるほどスタイリッシュな乱舞である。
    • 自分と敵が同じ属性同士の技を選択すると、お互いノーダメージになるのだが、この時も双方が攻撃を回避しあったり、気弾が相殺する等のアクションが盛り込まれている。
    • 問題点にもなっている「後出しで戦いをコントロールできる」という点を突いて、自分好みの戦闘を演出するのも一興である。
  • 操作キャラだけでなく敵の技も登録されるようになった。レギュラーキャラだけでなく、アプールやギニュー特戦隊などの当時は余り見かけなかった宇宙人の敵キャラの技も用意されている点は細かい。
  • 前編よりはイベントシーンに使われるイラストが増加しており、巨大化したマジュニア、ギニュー特戦隊のファイティングポーズなど、原作で印象的だったシーンはしっかりと堪能できる。
  • BGMの出来もよく、ラディッツ達サイヤ人とのバトルや、フリーザをイメージした冷たく恐ろしい曲調のBGM、最後の戦いで流れるBGM等は戦闘を盛り上げてくれる。

問題点

  • ビジュアル
    • イラストは多少増加したとはいえ、アドベンチャーパートは相変わらず顔グラフィックが左右に動くだけ単調な演出が多い。
      • 顔グラフィック自体は表情変化の差分が多いなど、そこまで手抜きというわけではない。
    • 戦闘シーンを使わずに戦闘描写をすることも多いのだが、中盤以降は打ち上げる→左に飛ばす→飛ばした相手を地面に叩き付けるのパターンが連発されるようになって見飽きる。
    • 悟飯やピッコロ、非戦闘キャラのブルマ、チチなど物語によって、髪型などの外見が変わるキャラもいるが、ヤムチャなどは第23回天下一武道会の時のままである。
      • リクームに至っては原作通りベジータに戦闘服をボロボロにされたにも拘らず、顔グラフィックはスカウターを付けたままである。
  • 戦闘パート
  • ジャンケンゲーになったにもかかわらずパッと見で敵の技属性が分からない
    • 悟空たちとの共通技がほとんどなので、技の名前で記憶するしかない。「◯◯カウンター」なら反撃系、「マッハ◯◯・ダッシュ◯◯」ならスピード系など。
    • 特殊技や必殺技も名前だけで判断する必要がある。必殺技は「気功砲」など何となく察せられるが、特殊技は「ミスティックスルー」(超武闘伝2に出ていたピッコロの投げ技)など表示だけではイマイチわかりにくい。
    • また、敵が技を決定して技名が表示された後、数秒間プレイヤーが入力する余地があるため、技名と属性を覚えてしまえば、後出しじゃんけんで一方的に敵をボコボコにするゲームになってしまう。小さい子供がプレイすることを意識してこうなったのだろうか?もっとも悠長に放置してると「無防備」でこっちがボコボコにされるのだが。
    • もっとも、相手のコマンドが出た直後にSTARTボタンでポーズを掛けて、解除してすぐにコマンド入力を行うことにより、この問題もあっさり解決できる。
  • セーブが強化との選択性
    • 効率良く遊ぶにはなるべくセーブせずに一気に進めなくてはならず、キツい。
  • DBZカルトクイズ
    • 細かいセリフを出題されるので単行本必須である。評価点にもある通り間違った時の反応も楽しめるが。
  • 本筋や原作展開に戻されるIF展開&ヤムチャの扱い
    • 原作と違う流れになる選択や展開を迎えても、専用のEDに行かない物であれば、どんな経緯であっても原作の流れに戻されてしまう。
      • 特にサイヤ人編でのナッパとの戦いでは、原作より早く悟空が来るというifがあるものの、辻褄を合わせるように、原作で死亡したキャラは死亡してしまう。
      • 原作と違う展開になって、天津飯や餃子が活躍する場面が見られるなどの長所もある…が、なぜかヤムチャだけはIFの見せ場が無く*5、どうあがいてもサイバイマン戦で爆死する。
    • バッドエンドは選択肢を選ぶとすぐにそのルートに向かい、そのまま周回引き継ぎに直行してしまう。
      • 但しバッド確定の選択を選んでしまった後も普通にゲームが続いた後でバッドエンドだった場合は物凄い手間がかかって再プレイする意欲が減退するので決して間違いとは言えないが…
  • 一部イベントの発生条件の難解さ。
    • 今作は2周目以降、3編のいずれからかでスタート出来るのだが、再び最初(ピッコロ編)から通してプレイしないと発生しないイベントがある。
    • インターネットが普及している現代ならともかく、当時は本作の攻略本すら発売されていなかったため、コンプリートに難儀するプレイヤーもいた。
  • アニメのオリジナルエピソードや劇場版は未収録。
    • あくまでも原作コミックのゲーム化である。「Z」に入ってからはオリジナル展開がかなり多く見られたので惜しい。
    • とはいえそれらを収録してしまうととんでもない量になるため、発売が相当遅れてしまう事が予想できるが……。
  • 原作通りとはいえエンディングがぶつ切り。
    • 悟空の無事が伝えられるだけ『ドラゴンボールZ 悟空激闘伝』よりマシなのだが、「孫悟空は まだかえってこない・・」で終わるのは如何なものか。
    • なお、続編が出ていないため人造人間編以降のストーリーをプレイすることは出来ない。
  • 途中でミニゲームが差し込まれるのだが、そのうちのひとつに「ミスが続くとゲームオーバー」という物がある。難度はそう高いものではないが*6、楽しいかと言われるとそうでもない上、ゲームオーバー内容は悟飯が恐竜に食われるというブラックなオチである。
  • パスワードが正しく入力するのが非常に困難。
    • せっかくの引き継ぎパスワードなのにひらがな・カタカナの「へ」などの区別が分かり難い、文字を消す方法が別の文字で上書きのみ、入力ミスをすると必ず最初から入れ直しになるなど、入力は困難を極める。
    • また前作とは微妙にフォントが違う。これも混乱に拍車をかける要因となっている。
      • この為、引き継ぎを選んでもパスワードが通らず、泣く泣く普通に始める人が続出した。
    • なお説明書には「へ」「べ」「ぺ」「り」はカタカナ入力してくれと書かれている。

総評

徹底した原作再現と意外なif展開により、ドラゴンボール原作の話をより楽しむ事ができる一本。
ゲームオリジナルな展開やストーリーになるゲームは数あれど、「原作からのif展開」を前面に押し出したのは当時かなり珍しく、ほんの些細な違いでZ戦士たちの運命が激変するゲーム内容は子供達に大きな衝撃を与えた。
後にドラゴンボールのifを取り扱ったゲームや話などが増えていくことになったが、これはその先駆けだったと言える。
しかしアドベンチャーパートの演出面は相変わらずで、戦闘も簡単なじゃんけんで深みは無く、今から見るとファンアイテムの枠は出ない。
ゲーム化される機会の多いピッコロ~フリーザ編だが今作はかなり徹底しているため、原作に極めて近い話のDBゲームを遊びたい人にはオススメである。


余談

  • 評価点にあるゲーム要素コンプリート特典のおまけ寸劇では、悟空が次回作への意欲を見せているとも取れる呼びかけをプレイヤーに発していたが、実際には本作の続編は発売されなかった。
  • 前述のように本作では特定条件を満たすことで悟飯とピッコロによる本編をパロディにした寸劇を見ることが出来るのだが、この番外編としてセーブデータが壊れた時のみ発生する専用イベントが存在する。*7これは長らく幻のイベントとして語られていたが、動画サイトの普及により一般に知られるようになった。
  • ドラゴンボール FINAL BOUT』にはピッコロとフリーザ用に本作のBGMのアレンジが収録されている。