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Cuphead - (2020/01/29 (水) 16:30:17) の編集履歴(バックアップ)


Cuphead

【かっぷへっど】

ジャンル アクション
対応機種 Xbox One
Windows 10
Windows/Mac(Steam)
Nintendo Switch
発売・開発元 Studio MDHR
発売日 【One/Windows10/Steam】2017年9月27日
【macOS】2018年10月19日
【Switch】2019年4月18日
定価 【One/Windows10】2,350円(税込)
【Steam/Switch】1,980円(税込)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
ESRB:E10+(10歳以上)
判定 良作
備考 One/Windows10版はクロスバイとなっている
One/Windows/Mac版は2019年4月18日より日本語対応
ポイント 1930年代のカートゥーンを完全再現
難易度はかなり高め


概要

カナダ人の兄弟が立ち上げたデベロッパー、Studio MDHRの処女作となるアクションゲーム。
1930年代のカートゥーンアニメを再現するというコンセプトで作られた。
副題は 「Don't Deal with the Devil」(悪魔と取引するな)


ストーリー

むかしむかし、インクウェル島という魔法の島に、カップヘッドとマグマンという2人の兄弟とケトルじいさんが暮らしていた。ある日、2人はケトルじいさんの忠告を破り、デビルのカジノに入ってしまう。
そこで連勝し、気を良くしているとオーナーであるデビルが現れ、「もし自身との賭けに勝てたらこのカジノの金品は全てくれてやる。ただしお前たちが負けたら魂を頂く」と賭けを持ちかけられる。
金に目が眩んだカップヘッドはサイコロを振ってしまい、賭けに負けてしまう。何か別の方法で支払いができないかと命乞いする2人にデビルは、「明日の夜12時までにカジノから逃げ出した債務者全員の魂を取り立てろ」と命じた。
デビルにカジノから追い出された2人は大急ぎでケトルじいさんの元へと向かい、自分たちの命を賭けた大冒険へと旅立つ。

(Wikipediaより引用)


特徴

基本的なシステムは『魂斗羅』や『メタルスラッグ』のような2Dアクションシューティングである。

  • パリィ
    • 本作独自の要素。ジャンプ中にピンク色の敵や弾にタイミングよくジャンプボタンを押すと、敵や弾を消しつつ踏み台ジャンプができ、さらにパワーゲージを一つ溜めることができる。
  • ステージは債務者から魂を取るために戦うボスステージと、雑魚敵を蹴散らしながらゴール地点に向かうRUN&GUNの2種類。
    • 全4エリアで、最後以外の3エリアは1つのエリアにつきボスステージ5面とRUN&GUN2面で構成されている。
    • ボスステージにもRUN&GUNと同じ形式で戦うアクションタイプと、飛行機に乗って戦うシューティングタイプの2種類がある。比率的にはアクションタイプのほうが多い。
    • RUN&GUNステージでは債務者の魂は手に入らないためゲームクリアには必須ではないが、ショップで使えるコインが配置されており、こちらも攻略すればクリアは当然楽になる。
    • ボスのライフはプレイ中には表示されず、プレイヤーが死んだときに初めてどこまで進んだかが表示される。
    • 各ステージにはクリアランクが設けられている。ボス・RUN&GUN両方で評価が共通し、「クリアタイム」「残HP」「パリィ回数」、さらにボスステージでは「パワーゲージ消費数*1」と「難易度」が、RUN&GUNステージでは「コイン獲得数」が評価される。
      • ただし、難易度によってランクの上限があり、シンプルではランクB+、レギュラーはA+までしか獲得できない。最高ランクであるSランクを獲得するには一度ゲームをクリアして出現する、最高難度・エキスパートをノーダメージで完璧に攻略せねばならない。
      • RUN&GUNステージは難易度評価がレギュラー固定となる代わりに、独自の最高ランクとして「敵を一体も倒さずにクリアした」P*2ランクが存在する。
  • アイテム
    • ショット
      • 指から8方向に撃てる弾を発射する。最大2つまで持っていき、ステージ中に切り替え可能。
      • パワーゲージを一つ消費することでEXショットを放つことができる。
    • お守り(チャーム)
      • ライフを増やしたり、ダッシュ中無敵になるなど、主に防御面の強化をしてくれる。
    • 必殺技(スーパーアーツ)
      • パワーゲージ5個全てを消費する必殺技も複数用意されており、1つだけ持っていける。
  • コイン
    • 集めることで、ショップで「ショット」「お守り」を購入することができる。
    • 基本はRUN&GUNステージで集めるが、NPCがくれたりフィールドマップに隠されていたりもする。
  • 霊廟
    • ピンク色の幽霊をパリィで消し続けるステージ、クリアすると必殺技が手に入る。
  • 難易度はレギュラーとシンプルの2種類。
    • ただし、最終面への挑戦にはレギュラーでの全クリアが必須
    • ゲームクリア後には新たな難易度エキスパートが追加される。
  • 2人プレイ
    • ローカル2人プレイにも対応。相方が死んだ際に昇っていく霊体にパリィを当てると、ライフ1で復活させることができる。
      • 復活回数に制限はないが、霊体が昇っていく速度は復活する度に速くなる。

評価点

  • 良質な手描きアニメーションで作られたグラフィック
    • 本作最大の特徴かつ評価点。本作のグラフィックのほぼ全てが手描きアニメーションによって作成されている。
    • クオリティーも高くアニメーションは24fpsでぬるぬると動き、背景も水彩画で描かれている。これらにより、プレイ動画を30fps画質で見ただけではゲームのプレイ動画だとは思えないほどグラフィックの出来が違和感なく良い。
    • 敵キャラクターの動きや攻撃方法も機関銃や飛行機などに変身したりと騒がしくコミカル。見てるだけでプレイヤーを楽しませてくれる。
    • 『蒸気船ウィリー』や『ポパイ』のような、昔のカートゥーンアニメそのままの見た目でゲームを楽しめるのは、他のゲームではまず味わえないだろう。
  • 1930年代のカートゥーンの再現度
    • 所々に有名作品のパロディやオマージュも含まれており、製作者のカートゥーンアニメ愛が伝わってくる。
    • BGMもジャズの生演奏を収録して使っており、より一層カートゥーンアニメらしさを醸し出している。
    • 画面に埃やシミが入り込んでいたり、映写機のノイズ音などが聞こえたりと中々凝った演出も。
    • 条件を満たせばモノクロ画面でプレイすることも可能。パリィ可能な攻撃の見分けがつかなくなるので、高難易度チャレンジの一つとなる。
  • 単体のアクションゲームとして見ても完成度が高い
    • アニメーションのフレームレートは24fpsだがゲームパートはしっかりと60fpsを保っている。
    • コインを使って購入できるアイテムは一長一短で、敵やステージにあった選択が必要。
    • パリィの存在によって被弾のリスクを冒してゲージを溜めるといった、駆け引きが生まれている。
    • ステージの再挑戦時はロードがほぼ無く、負けてもストレスなく再挑戦することができる。

賛否両論点

  • 難易度が高い
    • 本作は基本的にライフが少ない割に途中回復手段が存在せず、敵や弾幕も複合的に押し寄せてくるので、旧世代さながらの超シビアな難易度が序盤から続く。
    • カートゥーンアニメらしく奇想天外なアクションも多い。いきなり膨らんだり、伸びてきたり、高速で突っ込んできたりと、初見では予測不能な敵の攻撃パターンも多い。
    • ボス戦で負けた際、形態ごとに台詞が変わることからもわかるように、本作がトライアンドエラーを繰り返す死に覚えゲーであることは、留意しておいたほうがよいだろう。ラストボス戦やその一つ前のボス戦、3度目の飛行機ボス戦等は特に熾烈を極める。
      • 残機と明確なゲームオーバーの概念は無いため、ミスのプレッシャーがゲーム全体に及ぶことはない。スピードの速い攻撃は大抵何かしらの予備動作があるため、繰り返し挑戦して覚えていくことが、主な攻略方法となる。
      • ただし一度クリアした後に挑戦できるエキスパートモードでは攻撃の高速化により見て覚えても反応できない攻撃がいくつかある。
    • ちなみにこの難易度は意図的なもので、「簡単すぎると達成感がない」「本作のみ製作してスタジオ閉鎖の可能性が高かったため、なるべく製作者の意向通りにした」とのことである。
  • 一部のアイテムが突出して強力
    • ダッシュ中無敵になれるお守り「ケムリ玉」は最初から購入することができ、ライフが少なく弾幕も多い本作ではかなり有用。また通常ならパリィを利用して跳び越す必要がある突進攻撃も楽に回避することができる。
    • ショット「チャージ」もゲージの回収率がよく、威力も高めでボス戦では比較的使いやすい。
      • ただし前述したように、難易度が高いので多少の救済措置ともいえる。
  • 全体的にバタ臭い作風
    • これは本作が1930年代のカートゥーンアニメを再現するというコンセプトで作られている以上、当然ではあるのだが人に依ってはこの作風が受け付けられないことも想定できる。

問題点

  • レギュラーでクリアしないとラスボスと戦えずゲームクリアすることができない
    • 一応途中までは先のステージに進むことができるので、シンプルでクリアして、先のステージでコインを集め、装備を購入するなど活用ができる。しかし、難易度についてこれないプレイヤーの為にシンプルでもクリアできるようにして欲しかったところ。
  • 一部のステージでキャラクターや弾幕が手前にあるオブジェクトで隠れてしまう。
    • 特にエリア3のシューティングステージ、「踊る廃品工場」ではプレイに支障が出るレベルでこの問題点が表面化する。
      • 最終形態が繰り出す弾幕と障害物の波状攻撃において、自機が必ず潜り抜けなければならない画面下の隙間にオブジェクトが重なる事が多々あり、被弾ないしは事故死する可能性が非常に高い。
  • 霊廟をクリアしてしまうと再び遊ぶことができない
    • パリィの練習や実績解除に使えるため、クリア後もプレイできるようにして欲しかったところ。
  • シューティングステージでは一部のお守り以外のアイテムが反映されない。
    • ショットは2種類で固定、必殺技も1種のみ。
    • これによりアクションステージと比べて、とれる戦法の幅が狭まってしまっている。
  • 再戦時のロードは殆どないが、ゲーム開始時やステージ選択時など、それ以外のロードはそこそこ長め。
    • Switch版が顕著。極端な例だがSSDを搭載したPCでプレイしていた人にはストレスを感じさせるかもしれない。
  • 4つのエリアに分かれたマップを歩いて各々のボスやステージを選択するというシステムだが、ダッシュやファストトラベルなどがなく、移動が面倒。
    • 4つのエリアは縦にしか繋がっておらず、オールAランクやエキスパートのクリアを目指す場合、各エリアを順繰りに再度歩き直す必要がある。エリア1のボスの後にエリア4のラスボスをプレイしようとしても、中間の2つのエリアをスキップするといった事はゲームクリア後でも出来ない。

総評

手描きアニメのグラフィックをキャラクターとして動かせるゲームは過去にいくつかあったものの、その中でも本作は破格の出来を誇る。
手応えある高難易度&カートゥーン系という路線は、懐古主義的なマニアックゲーマーに決して損をさせないだろう。


発売後の展開

  • 2018年6月10日にE3でDLC「The Delicious Last Course」が2019年に配信されることが発表された。
  • 2019年4月18日にSwitch版が配信された。
    • これに伴い、キャラクター選択(1人プレイでもマグマンで遊べる)や、完全アニメ化されたシネマティック、日本語含む10言語へのローカライズ、新しいアニメーションとアート、バグ修正と調整といった多くの追加・変更が全機種で無料アップデートとして配信された。
      • 日本語のローカライズは原作の雰囲気を損ねないように、ステージ名を職人の手書きにしたり、アメリカンジョークをわかりやすい駄洒落にしたりと非常に丁寧。韻を踏むステージ名にも絶妙な翻訳をしているので興味がある人は見比べてみるも一興である。
    • なお、Switch版の移植にもMicrosoftが関わっており、任天堂ハードながらXbox Liveに対応予定。

余談

  • 本作の開発は非常に苦労が多く、 発売に至るまで7年、スタッフも資金を得るために自宅を抵当に入れ、開発に集中するために仕事を辞めている。
    • 開発当初は「ボス戦のみで構成されたゲーム」という企画内容であり、RUN&GUNステージを追加するために開発期間がさらに延長される事となった。
    • 他社ハードへの移植要望も多いが、表向きは「そもそもゲーム制作をしたことをない素人が一から始めたこともあり、他ハードの制作環境のノウハウが皆無」、実際は「開発にあたってMicrosoftからの資金・技術面での支援を受けている」ため、契約の都合上他機種への移植はありえないとされてきた。
    • 2019年3月にNintendo Switch版がダウンロード専用でリリースされることが発表された。
  • クオリティの高さは売上にも反映され、発売2週間で100万本売れ、3か月後には200万本に到達した。
    • そして発売1周年を前に売上300万本を突破。小規模デベロッパーの処女作としては異例中の異例と言っても過言ではない驚異のスピードである。
  • 2019年7月にNetflixで『The Cuphead Show!』というタイトルでアニメ化されることが発表された。