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Wizardry 6 Bane of the Cosmicforge - (2019/06/27 (木) 21:59:19) の編集履歴(バックアップ)


このページでは、PC版『Wizardry #6』及び、その移植であるSFC版『ウィザードリィVi ~禁断の魔筆~』について扱います。
判定はいずれも「良作」「シリーズファンから不評」です。



Wizardry #6 Bane of the Cosmicforge

【うぃざーどりぃ しなりおろく べいんおぶざこずみっくふぉーじ】

ジャンル RPG
対応機種 IBM-PC、国産PC他多数
開発元
原語版発売元
Sir-Tech
日本版発売元 アスキー他
発売日 1990年
判定 良作
シリーズファンから不評
ポイント システムを大幅改変
進行不可能バグあり
Wizardryシリーズリンク

概要

ナンバリングタイトルの第6作にして、「新ウィザードリィ」三部作の始まりの作品。
これまでのシステムを一新し、「もはや別ゲー」と言ってもいいくらいの大幅な改革がなされた。

  • 画面構成や一部システムに『Dungeon Master』からの影響が見て取れるが、あちらと違ってリアルタイム制ではない。

ストーリー

この世には知らねばならないことがある。
100と20年ほどの昔、その城には、もっとも邪悪な王と妃が住んでいた。
王は自らにならぶほど邪悪な魔法使いと手を結び、彼ら以外の邪悪なるものたちを滅ぼす魔法の戦いをくり広げた。
彼らが「コズミック・フォージ」の存在を知ったのは、こうした戦いの最中だった。
彼らが敵の魔神を倒したとき、その最後の言葉によって、彼らはその魔法のペンの存在を知った。
コズミック・フォージと呼ばれるそのペンによって書き記された言葉はすべて現実のものとなるのだ。
彼らはこのペンを盗み出し、だれも想像すらできないほどの恐怖を宇宙の中におりこみ始めた。
しかし、ペンを盗み出すと間もなく、二人はおたがいの力をねたみ始めた。
もはや彼らは、おたがいの力を必要とはしなくなっていたのだ。
そして、おたがいの運命とこの魔法のペンの行く末を定める、最後の戦いがくり広げられた。
それが知られていることのすべてである。
城はそれ以来、住む者もなく、王、妃、魔法使い、魔法のペンがどうなったのかを知る者もない。
しかし、今、新たな冒険者たちがこの城を訪れたことによって、すべてが変わろうとしている…

(SFC版ストーリーより抜粋)

新システム

  • 拠点となる町が存在しない。
    • 訓練場が廃止。ゲーム開始時にキャラメイクを行い、そのときに作ったパーティーで最後までプレイする。
    • ギルガメッシュの酒場が廃止。途中でキャラの入れ替えはできない。
    • 冒険者の宿が廃止。回復はダンジョン内で休息することによって行う。レベルアップは経験値がたまり次第自動で行われる。
    • ボルタック商店が廃止。アイテムの売買はダンジョン内にいるNPCと行う。一度売ったものを買い戻すことはできないが、品切れになることもない。
    • カント寺院が廃止。死亡やステータス異常は呪文やアイテムで治す。軽いステータス異常なら休息でも治る。また、灰化・ロストは廃止された。
  • 味方キャラクター関連
    • 従来作の5種族に加えて、新たに6つの種族が追加。また、旧種族も多少パラメータが変更されている。
    • 性別システムの採用。男性は女性よりも力が2高く、魅力とカルマが1低くなっている。
    • キャラクターの戒律システムは廃止された。
    • 特性値の「素早さ」が「器用さ」と「速さ」に分割され、「運」は「魅力」と「カルマ」に変更。
      • 「カルマ」は生まれた時点(キャラメイク時)に決定され、以後変動しない。極端に低いと色々と不幸な目に遭いやすくなるが、攻略に支障をきたすほどの影響はない。
    • 「スタミナ」の概念が追加。行動すると減っていき、0になると行動不能になる。休息や呪文により回復する。
      • HPとスタミナはレベルアップ時に現在の職業と生命力の値に応じて上がるようになり、従来作の「職業・生命力・現在レベルから算出する」方式ではなくなった。
    • 「アイテムの重量」と「リロード(積載量)」の概念が追加。キャラメイク時の特性値によってリロードが決定し、高ければ高いほど多くのアイテムを運搬できる。所持アイテムの合計重量がリロードの50%を超えてくると、攻撃命中率が下がったりACが上昇したりする。
    • 顔グラフィックの導入。種族に応じた顔が用意されているが、別種族の顔を使うことも可能。
    • 新職業が追加。女性専用の職業もある。
    • スキル制の導入。大きく分けて「武器スキル」「運動スキル」「学術スキル」の3つに分類される。レベルアップ時にスキルポイントを獲得し、それを各スキルに割り振っていく、または戦闘などで関連する行動を行うことで成長していく。
      • 職業によって上げられるスキルは決まっているが、スキル値を1以上にしておいたスキルは他の職業に転職しても忘れることがない。
    • 転職後の特性値が「その職業に就くのに必要な最低値」までしか下がらなくなった。転職後の職業に関係のない特性値は種族基本値まで下がるようになっている。
  • 呪文体系の変更
    • 「錬金術師呪文」と「超能力者呪文」の2系統が追加。従来作の「魔法使い呪文」「僧侶呪文」と合わせて4系統の呪文体系となり、総数も大幅に増えた。
    • 呪文はレベルアップ時に1個を選んで覚える方式になった。高ランクの呪文は各系統のスキル値を高くすることで覚えられるようになる。
      • 呪文は各系統で独立しているとは限らない。例えばHP回復呪文「ヒールウーンズ」は魔術以外の3系統のどれでも覚えられる。
    • 呪文は6つの領域(火・水・気・地・心・魔)のいずれかに分類され、MPも6系統ごとに独立している。
      • MPは旧来の回数制から数値制になった。呪文を覚えた領域のMPはレベルアップで成長していく。
    • 呪文の威力と消費MPを調節できる「パワーレベル」が導入された。パワーレベルは最大6まで存在し、呪文を詠唱する際にパワーレベルも設定して強弱を調整する。ただし、その系統の呪文に精通していないと、高いパワーレベルで呪文を唱えても失敗することが多い。
    • 戦闘中の呪文は「発声術」スキルが低いと、発動に失敗したり詠唱者に逆流したりすることがある。ただし錬金術師呪文は発声術を必要とせず、状態異常「沈黙」の影響を受けることもない。
    • アイテムとして手に入る「呪文の書」を使う事でも呪文を覚えられるようになった。ただし、その呪文を覚えることができる職業であることと、呪文の強さに見合ったレベルが必要。
  • ACシステムの変更。「全体AC」と「体の各部位AC」に分けられる。
    • 全体ACは旧作と同様、攻撃の当たりにくさを表す。パラメータの素早さを高める、盾を装備する、モンクや忍者が「忍術」スキルを高める、元々体が小さい*1などで全体ACは下がる。
    • 各部位ACは、その部位への攻撃の貫通のしにくさを表す。貫通できないとダメージは通らない。
      • 各部位に防具を装備することで下がる。空を飛ぶ敵は頭を、地を這う敵は足を狙ってくることが多い。
      • モンスター限定で「翼」や「尾」などにACが設定されている者もいる。
  • 毒などのステータス異常に強度の概念ができた。
    • 強力なものほど自然治癒に時間がかかり、治癒呪文もパワーレベルを高めないと治らない。
      • どのくらい強力なものなのかは見た目で判別できない。
    • 「恐怖」などの行動に支障をきたすものは、強力なものだと体が動かなくなったり、勝手に逃走したりするようになる。
    • 「睡眠」や「麻痺」など行動不能になるものは、全体ACが+15になり、完全無防備になる。
    • 「石化」の場合、強度によっては即死するようになった。
      • 石化を解いても既に死んでいるため、復活が二度手間になる。生命力も二度低下する。
  • 宝箱・罠システムの仕様変更
    • 宝箱はダンジョン内に置かれるようになり、中身を手に入れられるのは1度だけになった。また、戦闘終了後に宝箱が出現することはなくなり、直接アイテムをゲットする形になった。
    • 最強クラスのアイテムは強敵が落とすのは変わっていない。その確率が異様に低く、種類も多いためかなり偏りが出る。
    • 従来作では盗賊が罠を識別する→仕掛けられているであろう罠の名前が表示される→前述の罠を指定して解除コマンドを選択…という方式であったが、本作では罠の識別を行うと、「仕掛けられている罠の名前に使われているアルファベットが表示される」方式に変更になった。そしてそのアルファベットをヒントに、プレイヤー側で罠の名前を推測することになった。
  • 次作へのキャラ引継ぎ
    • #6から#8までは3部作となっており、#6のクリアデータを自作#7に引継ぎ可能。#7はニューゲーム開始でもプレイ可能なので引き継ぎは強制ではないが、引き継いだ場合は序盤戦が有利になる特典が付く。

評価点

  • 演出の強化。
    • NPCやモンスターがアニメーションするようになり、迫力が増した。
    • ロケーションの増加に伴い、壁や風景などのグラフィックも多数追加。マッピングしているだけでも飽きさせない。
  • ダンジョン数の増加。
    • 旧作では1つの地下迷宮を探索するだけだったが、本作では複数のダンジョンを渡り歩く方式になり、それらをつなぐ屋外マップも存在する。
    • 「地上階」の概念ができ、階層を1つずつ探索する平面形式から複数階にわたって探索する立体形式になった。
  • 上記のストーリーに代表される重厚なシナリオと、味のあるテキスト。
    • ストーリーを要約すると「記された言葉が現実となる魔法のペンを冒険者たちが取りに行く」というものなのだが、そのペンを巡って何が起きたか、現在進行形で何が起こっているのかが、徐々にかつ断片的に語られていく。
    • プレイヤーの行動によってストーリーが分岐し、終盤の展開が変化する。シナリオの真相を理解できていないと重要人物(裏ボス)を殺してしまうルートへ突入してしまう。ただしバッドエンドというわけではなく、次作へのデータ引継ぎも可能。このルートだと引き継ぎ時のスタートが若干不利にはなるが。
    • 前作からあったNPCもより個性的なキャラが増え、会話内容も独特の魅力あるものとなった。
      • 呪文でNPCの心の中を読めるようになった。内容はちょっとしたヒントだったり、ウィットに富んだジョークだったりする。
  • 謎解きが多彩になった。
    • ダンジョンマスターの影響か、壁にあるスイッチの発見、アイテムの組み合わせなどの仕掛けも用意されるようになった。

賛否両論点

  • グラフィックが海外向けで非常に濃い。
  • 呪文の名称の変更。
    • いわゆる「トゥルーワード」と呼ばれる従来作のネーミングから、英単語の名前に変更された。カティノ→スリープ、ディオス→ヒールウーンズ、ラツモフィス→キュアポイズン、ティルトウェイト→ニュークリアブラスト、など。
    • 名前から効果を予想しやすくなったが、慣れ親しんだ旧作呪文名から大幅に変わってしまったため、旧作ファンに叩かれる要素でもある。
  • ゲームのセーブは前作と同様、戦闘中以外に任意で行う形式で、リセットによるやり直しが効く。
    • 別パーティによる救助という概念がなくなったため、全滅した場合はセーブしたところから再開するしかなくなり、いわゆるノーリセット進行ができなくなった。
  • 休息によりダンジョン内でも回復が可能になった。
    • いつでもどこでも回復できるようになり、旧作のような「MPを節約しながら進んで引き際を見極める」から「全力で敵を倒して休息で回復してとにかく先へ進む」という様式に変貌した。
      • ただし時々休息中に敵に襲われることがあり、場合によっては睡眠状態で戦闘開始することもあるため、休息に頼りすぎると痛い目を見る。

問題点

  • BGMがない機種版が存在する。
  • 序盤のゲームバランスがかなり厳しい。
    • まず敵に攻撃が当たらない。序盤はネズミやコウモリなどの「弱いが小さいので攻撃が当たりにくい敵」が多く出現するのだが、戦闘スキルが低いこともあってか命中率がかなり低い。武器スキルを上げれば当たりやすくはなるのだが、最初にもらえるポイントを全て武器に振っても雀の涙。
    • 攻撃呪文は確実に当たるが、失敗することもあるし、レベル1では多くても2回しか使えない。
      • 職業によっては確実に当たる魔法発動アイテムを持っているが、1回しか使えない。しかもスキルが低いので失敗することもある。
    • 序盤のダンジョンからいきなり最終盤のダンジョンの一部に出れてしまう。行き止まりなので先には進めないが、当然ながら上位ランクの敵が出現、たいていの場合はなすすべもなく全滅する。ただし、豪の者になるとここで敵を選んで勝つことで序盤からキャラを育て切る人もいる。
    • キャラが死んでしまったら基本的にはリセット推奨。死者蘇生アイテムが手に入るが7回しか使えず、もしこれを使い切ると蘇生呪文「リザレクション」を覚えるまでの長期間、メンバーが欠けた状態での探索を強要される。ただし、この蘇生アイテムは高額で売れるので、売って装備を整えるかもしもの時のために取っておくかは悩ましいところ。
  • 転職をすればするほど強くなる。
    • 旧作では転職のたびに加齢するため何度も転職するのはタブーだったが、本作では加齢しないので転職のデメリットがほとんどない。
    • 低レベル帯で転職してレベル1に戻ってもすぐ取り戻せるし、それどころかわざとレベル1に戻って何度もレベルアップすることでHP・MP・呪文・スキルポイントの荒稼ぎができてしまう。
      • 転職回数を縛らないで育成した場合、最初のダンジョンが終わるあたりで最高ランクの呪文を覚えるほどの強力パーティーが出来上がってしまう
    • 転職は各キャラ1回まで、などと制限することで本来のバランスを損なわない程度に楽しむことはできるが…。
  • 種族、職業の格差の拡大。従来作ではそもそもの数が少ないのもあって、「役に立たない」種族や職業は存在しなかったのだが…。
    • 「ノーム」は旧作ではホビットと並ぶ素早さ10の種族であったが、本作では何故か器用さ8、速さ6とどちらもかなり低い。
      • その代わり信仰心が13と全種族最高値だが、僧侶になるには12で十分なため無駄振りであり、魅力も低いためロードにも向かない。新種族「ラウルフ」のほぼ下位互換と言っていい種族になってしまった。
    • 新種族である「リザードマン」は「魔法の扱いが苦手」という設定であり、魔法を使えないわけではないがMP回復量が他の種族よりも遅い。
      • 魅力が3(女性は4)と異常に低いため、魅力が必要な職業に就くのが非常に難しい。転職をすればするほど強くなるこのゲームに根本的に向いてない
    • 新職業「レンジャー」は不遇の代名詞と呼ばれるほどの役立たず職業である。
      • 得意武器は弓だが、このゲームの弓は「1ターン内の攻撃回数が1回固定(他の武器は複数回攻撃する)」「矢は消耗品、かつ最強の矢が超貴重品」という二重苦を背負った欠陥武器である。「弓を扱う=後衛職」というイメージのせいか、防具もろくなものが装備できない。
      • レベルアップ時に役に立たない弓スキルとスカウトスキルに勝手にポイントを割り振られるため、盗賊技能や錬金術を伸ばす余裕が全然ない。ついでにレベルアップもロード並みに遅い。
      • 盗賊技能である「指先技」のスキルを持つ職業のうちの一つであるが、何故かそれらの職業で唯一、鍵のかかった扉を開けても指先技スキルが上達しない。
      • 長所と言えば「転職するのに全てのパラメータがそこそこ必要なため転職してもあまりパラメータが下がらなくてすむ」ということくらい。
    • 旧来の上級職「ビショップ」は僧侶と魔法使いの呪文を両方使えるが習得が遅い。本作でもそれは同様だが、本作では僧侶と魔法使いを交互に転職することで遥かに効率良く上級呪文を早期に覚えられるため、ビショップのまま育てる意義が薄い。さらにビショップの特権であったアイテムの鑑定技能がなくなり、存在意義を疑われる職業になってしまった。
      • 上級職の中ではレベルアップが早い方であったが、本作では忍者に次ぐワースト2の遅さになってしまった。おまけに上級職であることが災いし、ビショップへの転職には相当高いパラメータが必要になった。HPや攻撃力も僧侶に劣るので、無理して転職する必要もないが…。
    • 旧作ではパーティーに一人はほぼ必須だった「盗賊」が、スキル制になったため他の職業でも盗賊技能を上げられるようになり、「呪文を覚えない」という欠点だけが残る職業になってしまった。
      • 戦士も呪文を覚えないが、他に特技もないため「好きなスキルを上げられる」という特徴があり、盗賊ほど不遇ではない。特に力ボーナスがありバルキリーになれない男性にとっては便利な職業。
    • 女性だけの新職業「バルキリー」は、僧侶の呪文を覚えて戦闘力は戦士並み、おまけに本職の僧侶よりもレベルアップが早い(ただし神学スキルの成長速度は僧侶に劣る)という非の打ちどころのない職業となっている。
      • バルキリーの陰に隠れる形で「ロード」が不遇になった。成長も遅いし、専用装備である聖なる鎧もなくなってしまった。ちなみにバルキリーには専用武器がある。
  • 一部スキルがほぼ役に立たない。
    • 武器スキルのうち「投げる」と「スリング」は該当する武器自体が非常に少なく、新たな武器を手に入れてパワーアップを望みにくい。「弓」は種類こそ多いものの、前述通りの欠陥品。
      • これらに共通して、弾が消耗品であるため無くなると使用できなくなるし、大量に持ち歩こうにも金がかかったり、重量がのしかかってくる。
    • 「盾」スキルを上げると盾の扱いが上手くなる…わけではなく、盾でブロック(防御行動)した場合にのみ回避しやすくなる。
      • 序盤はスキルポイントが低くて役に立たないし、後半はブロックなど使わなくなる。
    • 「スカウト」スキルは隠されたものを発見する能力だが、スキルポイントを最大まで上げても感知しないことがある。おまけに100%感知できる常駐魔法が存在する。
    • 「早業」スキルはNPCからアイテムを盗みやすくなるが、前作と違ってクリアに必須ではなく、盗みでしか手に入らないアイテムも無く、見つかって戦闘になってしまうリスクもある。
    • 「指先技」スキルは鍵のかかった扉や宝箱を開ける特技だが、呪文で代用可。
    • 「工芸学」「書術」スキルはアイテムや巻物に封じられた魔法の力を引き出す。これも呪文を覚えてそのまま使えばよいので上げる価値は低い。
    • 「神話学」スキルを上げると不確定モンスターの名称が判明しやすくなる。ただし、名称不明でも姿はしっかり見えているので、どんな敵か判断できずに迷う事はない。
  • 即死技が強すぎる。該当するのはスキル「キリジュツ」と、呪文「アスフィクシエイション」。
    • キリジュツは「通常攻撃にクリティカル(即死効果)を付与、スキルポイントに比例して即死発動率が上昇する」という効果で、侍、モンク、忍者が習得可能。問題なのは習熟したキリジュツスキルが転職してもそのまま残ることで、前述の3職のどれかでキリジュツを上げ切った後に転職すれば、以降どの職業でも通常攻撃に即死効果が付与される。こうなると「物理攻撃はキリジュツが本体で武器は飾り」状態になる。
    • アスフィクシエイションは高パワーレベルで詠唱することで高確率で成功するようになり、しかも効果範囲は敵全体。さすがにボス敵や一部の強敵は完全耐性を備えているが、雑魚ならばほとんどの敵に通用する。ただし、パワーレベルを上げるほど消費MPが大きくなる、発動失敗しやすい、逆流したら超危険…とそれなりにリスクもある。
  • 一部呪文の効果が強力すぎる。
    • 敵からHPを吸収する呪文「ライフスティール」は、パワーレベルを上げるとダメージ(=吸収するHP)が指数関数的に上がっていく。パワーレベル最大で放つと、無効化されなければラスボスや隠しボスも一撃必殺の威力である。当然敵に使われた場合も脅威。
    • 扉や宝箱を開ける「ノックノック」の呪文は、確率にもよるがパワーレベル最大なら全ての鍵つき扉を開けることができる。盗賊技能の「指先技」スキルが完全に不要になってしまう。
  • 重要アイテムを捨てることができないため、持ち物欄を圧迫してしまう。
    • 鍵が必要な扉を呪文や盗賊技能でこじ開けると、鍵が余ってしまう。「銅の鍵」と「鉄の鍵」は重要アイテムではないので捨てることができるが、それ以外の鍵は捨てられない。
    • NPCを殺すと重要アイテムを落とすので詰むことはないが、既にそれを持っている状態だと重複して片方余ってしまう。
    • あるアイテムは4つ集める必要があるが、それを落とす敵は5匹いるので、全部倒すと1個余ってしまう。
    • アイテムを使わないと罠が発動する場面があるが、罠をくらいつつも強引に突破すると、突破用アイテムが余ってしまう。
    • 突破ルートが複数あるイベントは、ルート選択によっては突破用アイテムを使う機会がなくなり余ってしまう。
    • イベントクリアに必須なのに、クリア後も自動で廃棄されないアイテムもある。
    • イベントクリアに特に必要ないのに、拾ってしまったが最後手放せなくなるアイテムもある。一部は武器として使えたりもするのだが、性能が低いため出番はほぼ無い。
  • 進行不可能バグの存在
    • レベルアップ時に獲得できるスキルポイントは、余らせることなく使い切らないとレベルアップを終えることができない。
      その職業で習得・習熟できる全てのスキルが育ち切っている状態でレベルアップしてしまうと、スキルポイントを振り切ることができなくなり、結果リセットしてレベルアップ前の状態に戻すしか打つ手が無くなる。
      • 転職して別のスキルを育てられるようにすれば一時しのぎにはなるが、もし全てのスキルを育て切ってしまった場合は、今後一切のレベルアップとそれに関わる戦闘ができなくなるも同義という、極めて厄介な不具合である。

総評

発売当時、ウィザードリィのファンを賛否両論真っ二つに分けた作品。 システムの刷新を行った結果、旧来のシステムに馴染んだファンにとっては期待を裏切る形となり不評を買ってしまってはいるが、実際にプレイしてみると旧作Wizardryの良さを引き継ぎつつも強化された部分もしっかりあることがわかる。


移植

家庭用ハードへの移植は、アスキー&ゲームスタジオが制作した『ウィザードリィVI ~禁断の魔筆~』と、データイーストが移植した『ウィザードリィ VI&VIIコンプリート(シナリオ#6と7のカップリング移植)』の2種類が存在している。

  • 残念ながらSS版は数々のバグ・不具合があるため、「まともにプレイする事すら難しいクソゲー」と言わざるを得ない出来になってしまっている。以下、SS版に存在する不具合の一例。
    • 難易度設定が可能なのだが、「やさしい」だと戦闘で必ず味方先行、「ふつう」以上だと必ず敵先行になってしまう。
    • スカウトのスキルや探索呪文を使っていなくても勝手に隠しスイッチに100%気付く。
    • 動きを遅くする呪文「スロー」がかかったキャラは、その戦闘中に一切動けなくなってしまう。
    • 発声術が必要ないはずの錬金術師呪文が、沈黙すると使用不可能になってしまう。
    • 入手したアイテムを床に置くと使用回数が255になってしまう。
    • 宝箱の中身を何回でも入手可能。

ウィザードリィVI ~禁断の魔筆~

【うぃざーどりぃしっくす きんだんのまひつ】

ジャンル RPG
対応機種 スーパーファミコン
メディア 24MbitROMカートリッジ
発売元 アスキー
開発元 ゲームスタジオ
発売日 1995年9月29日
定価 12,800円(税抜)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個(バッテリーバックアップ)
判定 良作
シリーズファンから不評
ポイント 日本人向けに良アレンジ
致命的な不具合あり
Wizardryシリーズリンク

概要

シナリオ#6のSFC移植作品。
日本人向けに良アレンジを施した「わかっている」作品ではあるが、残念ながら続編の移植には至らず、引き継ぎは不可能である。

SFC版の特徴・評価点

  • グラフィックがゲームスタジオ監修版ではおなじみの末弥純氏によりフルリライトされた。NPCやモンスターもカクカクではあるがアニメーションする。
  • BGMはこれまたゲームスタジオ監修版ではおなじみの羽田健太郎氏によって新たに作り直された。また、モンスターが鳴き声や叫び声を発するようになった。
  • 顔グラフィックのエディット機能が搭載された。顔グラのセーブ枠は6つあるので6人全員の顔を作成可能。また、顔グラはいつでも変更可能。
  • リロードは現在の力・生命力から算出される形に変更となり、初期状態で低くてもレベルアップで上げられるようになった。
  • オートマップ機能が搭載され、現在地の確認がしやすくなった。ON・OFF切り替えも可能なので、手動マッピング派の人は使わないことも可能。
  • PC版ではNPCに伝えるキーワードが手入力方式だったが、SFC版では自動で会話する代わりに、キーワードを知らないと話が進展しないようになっている。
  • アイテム図鑑の追加。一度手に入れたことのあるアイテムは、簡単なデータを確認できるようになった。
    • 入手した段階では白文字で、分析すると緑文字、鑑定呪文をかけると黄文字になる。全てのアイテムを黄色にするといったやりこみも可能。ただし、二者択一のアイテムなどもあるため、ひとつのセーブデータにおいてのコンプリートはできない。
  • 不要になったイベントアイテムの一部をNPCが引き取ってくれるようになった。しかしそのNPCが行方不明になると当然引き取ってもらえなくなる。
  • PC版で存在した「スキルポイント割り振り時に、ポイントを余らせてしまうと進行不可能になる」不具合の解消。全スキルをカンストさせても問題が無くなり、気のすむまでキャラを強化できるようになった。

問題点

  • 「最悪の場合、ゲームをプレイすることが不可能になる」という、致命的な不具合が存在する。
    • 開始時のメニューに「ぼうけんをやりなおす」というコマンドがあるが、それをしたデータで既存のキャラを二人以上消し、新規キャラを作ってアイテム欄を開くとバグる。その後リセットしてタイトル画面に戻り、再開のためにセーブデータをしても、前述のバグが発生したセーブデータにカーソルをあわせただけでフリーズするようになってしまう。
    • そしてこのバグを1番目のスロットのデータで実行してしまうと、「ゲームの開始、セーブデータからの再開、セーブデータの消去」全てが実行不可能になり、オープニングデモを眺めることしかできなくなってしまう。
    • この状態を解除するには、カセット分解後にバックアップ用の電池を外してバックアップクリアをするしかない。当然ながら知識と特別な工具が必要になるので、素人は生兵法で手を出さず電池交換サービス(とセットでセーブデータの消去)を依頼した方が無難。

総評(SFC版)

SS版がダメすぎることとオリジナルからの改良点が多いことから、シナリオ6をこれからプレイする、というのであれば一番おすすめできる作品ではある。前述の致命的な不具合さえなければ文句なしの名作と評価できたのだが…。