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QUAKE III Arena - (2020/07/14 (火) 19:02:06) の編集履歴(バックアップ)


QUAKE III Arena

【くえいく すりー ありーな】

ジャンル FPS
対応機種 Windows
Dreamcast
PlayStation2
Xbox360(XBLA)
メディア CD-ROM
発売元 Activision(オリジナル)
マイピック(日本発売元)*1
id Software(Steam版)
【DC】SEGA
【PS2】Electronic Arts
【PS2日本版】EAスクウェア
【360】Bethesda Softworks
開発元 id Software
【DC】Raster Productions
【PS2】Bullfrog Productions
【360】Pi Studios*2
発売日 1999年12月2日
【DC】2000年10月22日
【PS2】2001年3月26日
【PS2日本版】2001年8月30日
【360】2010年12月15日
定価 1,680円(Steam)
配信 Steamにてオンライン販売中
判定 良作
ポイント オンラインマルチに特化
エンジンの改良により更なる美しさへ
シングルプレイは空気
QUAKEシリーズ


ストーリー

はるか未来、人類とサイボーグ生命体「ストログ」の戦争が行われている時代。

惑星ストロゴスでの戦闘中、ストログに囲まれ絶体絶命となっていた戦闘狂の海兵隊員Sargeは、マシンガンの弾を切らしたため撤退を余儀なくされる。

逃げ場を無くし覚悟を決めたSargeは素手で単身ストログの群れに突撃するが、その瞬間彼の体は光に包まれて消滅、愛用の葉巻だけを残して別次元へと連れ去られる。

Sargeが連れ去られたのは、娯楽を求めた地獄の主「ヴァトリガー」が創造した、召還した現世の戦士たちを戦わせ、生き返らせる無限のレース「アリーナ・エターナル」だった。Sargeたちは最強の戦士となるため、地獄の剣闘士として闘いに挑む。


概要

フル3Dで描く立体的なゲームプレイや充実したオンライン対戦が絶大な人気を博した『QUAKE』『QUAKE II』の更なる続編として、IIから2年後の1999年にid Softwareが世に送り出したFPS。前作及び1998年の「Unreal」で完成し地位を確立した「アリーナ型マップを用いたオンラインマルチ対戦」を作品のメインコンテンツに据え置き、オンラインマルチプレイ重視のスポーツ系FPSとして発売された。
ストーリー上は「『QUAKE II』と同時期~その後の別次元」という扱いになっており、一部キャラクターは『II』由来となっている。


基本システム

  • 基本的には前作である『QUAKE II』のマルチプレイ部分を切り出したようなアリーナ対戦となっている。武器の効果音や種類も準拠。
    • 初期武器はマシンガンと近接攻撃であるガントレットとなり、手投げのグレネードとチェーンガンは廃止された。またショットガンは見た目はスーパーだが、弾が飛ぶ範囲はノーマルのものとなっている。また武器一つに弾一つが対応する形になったため、共用が無くなった。
  • 対戦人数は最大16人。ルールはFree for All(FFA)、クラシックデスマッチ、チームデスマッチ(TDM)、トーナメント、キャプチャーザフラッグ、フリーズレール等豊富。
  • シングルプレイはマルチプレイを流用したボット対戦となっており、それぞれデスマッチが道中戦・トーナメントがボス戦という扱いになっている。

評価点

豊富なプレイヤーキャラクター

  • 全32体のキャラクターが登場し、それぞれにキャラクター性を付与することで差別化が図られている。解禁されたキャラクターにも現世でのことが書かれており、それを読む楽しみもある。
    • 海兵隊員で戦闘狂のSerge、『QUAKE』のレンジャー、『QUAKE II』のBitterman、元監視カメラ、部族の長、サイバーパンカー、果てはストログや『DOOM』のドゥームガイまでも参戦し、id Softwareのパーティーゲームの様相を呈している。元のゲームのファンが自分の好きなキャラを愛用でき、前作と比較して圧倒的にキャラクターの重要性が向上した。

趣向を凝らした対戦マップ

  • 前作で導入され人気を博したオンライン専用マップは更に磨き上げられ、快適かつ戦略的なプレイを提供するように。それぞれのマップで個性も付けられており、一筋縄では行かないマップ構造が対戦を盛り上げる。
    アイテムのリポップタイミングを抑えるアイテム管理と、そのタイミングで取れるような移動テクニック、そして射撃を軸とした戦闘テクニックの2つが駆け引きの軸となる。
    アイテムを抑えて相手に不利な状況を押し付けたり、アイテムを囮として、取りに来たところで大ダメージのレイルガンをぶち当てる等、上級者の対戦では異次元の駆け引きが行われていた。

スピード感のある対戦

  • キャラクターのレスポンスが非常に良く、プレイヤーの入力に対して機敏に反応してくれる。これによりプレイヤーの入力がダイレクトにキャラクターの強さへと直結するようになり、極めて競技性の高いスポーツFPSを実現している。
    • 武器交換ラグやスタミナ制といったプレイヤーを縛る要素は極力削られている。前作のように対戦中に自分のキャラが思うように動かせずにストレスが溜まるといったことはほぼないと言っていい。
    • もっとも、この仕様は後述の問題点へと繋がってしまうのだが。

進化したグラフィック

  • 前作までのid Tech 2からid Tech 3に移行し、前作ではボヤけ気味だったグラフィックがより鮮明に映し出されるように。そのエンジン性能と軽さはゲーマー・開発者共に評価され、『RtCW』『MoH:AA』『Call of Duty』などの多くのシングルプレイFPSにエンジンとして利用された。
    • キャラクターの腕、足、頭が胴体と別に可動するようになっており、どこを見ているか、どこを狙っているかが即座に分かる。マウスルックが完全に定着してはいなかった『QUAKE』では反映されなかった点であり、より対戦の魅力が増した。

賛否両論点

シングルプレイの排斥

  • ボット相手にマルチプレイの練習をするといった側面が強く、ストーリー性もほぼない。強いて言えばラスボスの僧侶ぐらいであり、前作のような複雑かつ濃厚なシングルプレイの面影はない。
    • 前作でもシングルプレイ面が評価されたとは言いづらく、むしろオンラインマルチが本編のような扱いを受けていた。そういう面で見れば悪い方向ではないものの、前作のSF路線を評価したファンからは落胆の声が見られた。
  • 最終面はマップの形状故に、ほぼインスタギブ(レイルガンオンリーモード)とネタにされるレベルで大味。

エンジン固有のバグ

  • PCのスペックが足りていても、巨大マップになるとfpsが落ちる。
    それだけならいいのだが、id Tech 3固有のバグで、fpsが125の時になぜかジャンプ力が上がるという現象があり、巨大マップになるとこの恩恵を得られないのである。ちなみにfpsを333にすると更にジャンプ力が上がるが、333で安定させるのが難しいため、基本的には125にセットしているプレイヤーが多かった。

拡張パックが微妙過ぎる

  • 拡張パックとして発売された「Team Arena」だが、拡張として出す意味があるのかというレベルで広まらなかった。
    • 既に無料のMODでサポートされていたゲームモードもあったのも人気低迷の一つではある。

空気なBFG

  • 一応マップによっては出るのだが、出るマップが少ない。
    出たら出たでBFGを取ったもの勝ちというバランスブレイクにも程がある性能である。
    • 同じ爆発系武器のロケットランチャーと比べると、ダメージは直撃100dmgで同一、爆発範囲も同等、しかし弾速は2倍強で0.2秒に1発打てる(ロケランは全武器で2番目に遅い上、0.8秒に1発)…と文字で書いただけでも壊れてると分かる性能。
      体力は基本100で復活するため、直撃で1発。直撃じゃなくとも足元に1発貰えば爆風で浮いて操作不能→着地でもう一発当てられれば死ぬ。

問題点

初心者お断りの難易度

  • プレイヤーの知識や反射速度がダイレクトにキャラクターの強さに繋がるため、後の協力プレイ重視のFPSのような「弱いプレイヤーが活躍・貢献できる場・クラス」が実質的に存在しない。
    • 現在では常識となっているマッチングシステムが存在しない(というか当時はそれが当たり前だが)。独特なプレイスピードは慣れるまでが難しく、極めるまでの道のりの間に挫折するプレイヤーも多かった。
      一応サーバーごとに「初心者向け」「上級者向け」と住み分ける事もあったが、レーティングのような物も無いので初心者狩りも当たり前な世界である。
    • リリースから2年も経過すると初心者と熟練者の溝は更に深まることとなり、何がなにやら分からないまま狩られてやる気を無くすプレイヤーも続出する結果に。
      上級者対上級者でもアイテムを抑えられたら逆転がかなり難しいのだが、初心者が相手なら尚更である。

総評

『Unreal TOURNAMENT(UT99)』と共に2000年代のスポーツFPSブームを牽引した立役者。『DOOM』から始まるオンラインマルチ搭載FPS前4作の利点を継承・問題点を順調に解消し、本作を以って「スポーツ系FPSとしてのQUAKE」が完成した。以降のQUAKE 4やQUAKE LIVEも本作のデザインをベースとして設計されている。
シングルプレイの薄さや初心者お断りのシステムなどプレイヤー層が極めて絞られる形となっているが、その競技性は賞金大会とマッチしたことで大成し、Quakeconなどの競技大会を通じて多くのプロゲーマーが誕生した。現在のeスポーツ文化の基礎とも呼べる時代の、代表的なスポーツ系FPSの筆頭と言えるだろう。


移植

  • 2000年にDreamcast版、2001年にPS2版である『Quake III Revolution』、2010年にはXbox360のXBLAにて『Quake III Arcade』と言った形で移植版が出ている。この内PS2版は日本でもEAスクウェアから2001年8月30日に発売された*3
    • DC版は無印ベース、PS2版は無印と「Team Arena」の内容を折衷したもの、360版は「Team Arena」ベースとそれぞれ異なっている。
    • DC版が移植版の中で唯一、DCキーボードとDCマウスも使用可能という「PC版に近いプレイスタイル」を実現している。*4
    • PS2版はマルチタップを併用しての画面4分割対戦が可能となっているが、オンライン対戦が非対応なこと*5や、ロード時間がPC版やDC版よりも長い*6という問題点が批判の的となった。

余談

  • 野良サーバー、大会問わずMODの適応が前提となっていた。特に使われていたのがChallenge Pro Mode Arena(CPMA)というMOD。このMODに入っていたBOTはデフォルトのものよりかなり強く、上級者でもLv100BOTは手こずるほど。
    さらにこのMOD特有のCPMAモードでは、Quake Worldのテクニックであるバニーホップが使えたり、一部アイテムの出るタイミングが変わったりと、大幅な改変が加わっていた。
  • 他にもチームゲームに特化したThree-Waveや、ラウンド制&ロケットランチャーの自爆ダメージ無しというRocket Arenaは、稼働後期でも盛り上がっていた。