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CHANGE AIR BLADE - (2018/02/02 (金) 20:56:22) の編集履歴(バックアップ)


CHANGE AIR BLADE

【ちぇんじえあぶれーど】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード(SYSTEM SSV)
発売・開発元 サミー
稼動開始日 1999年12月
判定 なし
ポイント 対戦シューティング、再び

概要

  • 従来より食い合わせが悪いとされて来た2Dシューティングと対戦の組み合わせを実行した縦シューティングゲーム。次期戦闘機採用を巡るドッグファイト形式の企業間競争がこのゲームのストーリー。
  • 対戦とシューティングの組み合わせは『ティンクルスタースプライツ』(SNK/ADK)、更に古いと『ガンファイト』(タイトー)まで遡る事ができる。
    • シューティングの形は取ってはいるが、ラウンド制だったりピヨりがあったり等、実際はシューティングの皮を被った対戦格闘に近い。
  • 本作の特色は1Pと2Pでゲームルールが非対称な点にあり、他に対戦型シューティングと呼ばれるティンクルスタースプライツ旋光の輪舞などは、お互い同じルールの下に試合が行われるが、本作では前衛・後衛という双方のルールが大きく異なる状況で行われる。
    • 大まかに言えば、前衛は従来のシューティングにおける敵ボスで、後衛は同プレイヤー機と言う役割となり、ゲームのルールも前後でそれに準じたものになる。

システム

  • 店舗の設定によるが、対人戦は概ね3ラウンド制。2本先取で勝利。
  • CPU戦では残機制が採用され、自機以外全てを撃破することでゲームクリアとなる
  • 前衛・後衛に分かれて対戦を開始する。前衛は画面上部、後衛は画面下部に位置する。
    • 基本的には乱入する側が前衛、乱入される側が後衛としてスタートする。
    • ゲーム中、前衛と後衛の入れ替えはラウンド終了時、もしくはランダムで出現する「インタラプト」アイテムを取得する事で行う。(取得すると即発動でストックは出来ない。後述)
    • 前衛後衛はお互いにエリアが限られており、共に画面縦中央を越えて移動出来ないので、前後移動での陣地替えは不可能(ラウンド切り替え時の陣地替えを除き、インタラプト取得以外での陣地替えは出来ない)。
  • お互いに弾を当てるとランダムでアイテムが出現する。
    + アイテム一覧
    • 【勲章】 スコアアイテム。
    • 【パワーアップ(大・小)】 ショットパワーを強化する。
    • 【ボム(大・小)】 後衛→ボムゲージを増やす。 前衛→ウェポンゲージを増やす。
    • 【ロックオン】 Cボタンで任意発動する攻撃アイテム。探知衝撃波を発射し、ロックオンした相手を自動攻撃する。ロックオンによる攻撃は、自機の種類だけでなく前衛後衛でも変化する。
    • 【パーサー】 Cボタンで任意発動する攻撃アイテム。後衛→特殊攻撃 前衛→友軍機召喚。呼び出される友軍機は、自機の種類と位置取りによって変化する。
    • 【インタラプト】 本作最大の運ゲー要因。前衛と後衛を即座に入れ替える。また、下記の効果が発動する。
      ・画面内の弾の全消失
      ・前衛の支援機状態(ボスモード)の強制解除
      ・ボムとウェポンゲージの全面初期化
      ・前衛後衛問わず取得した方が僅かに先に動ける

    前衛側のシステム

    • 当り判定が大きく動きも遅いが、防御力・体力ゲージがあり、ある程度被弾を耐えられる。
    • 味方機(STGでいう雑魚敵)を呼び出して攻撃する事もできる。
    • 更にウェポンゲージをMAXまで貯め、ボタンを押す事で巨大支援機と合体出来る(ボスモード)。機体毎に異なる巨大ボスとなって更なる破壊力・弾幕を駆使して後衛を攻撃できる。
      • ボスモードはA/B/Cボタンで各種弾をバラ撒けるが、自機が画面内の上・中・下のエリアのどこに居るかによって弾の種類が変わる。
      • またABC同時押しでボスモード強制解除出来る。一見意味のないコマンドに見えるが、ボスモードで撃破された時に出現するアイテムを出さずに済む。つまり相手の強化を阻害出来る。また、ウェポンゲージが残るので解除してから再度ボス化する時間を短縮できる。

    後衛側のシステム

    • 後衛は通常のシューティングスタイルに近く、当り判定は小さいが被弾すると即死。残機(HP)は3機まで。
    • メモリ制のボムゲージを所有しており、15メモリ以下で小ボム、16メモリで大ボムを発動出来る。1メモリでもあれば必ず小ボムは出せる。
      • 大小両方共弾消し効果(ただし自機に無敵効果は無い)があるが、大の方は追加で別効果を発動出来る。
        • この大ボムは前衛のHPを大幅に削れる物が多い為、弾除けの為だけに使う通常のSTGとは違い、守る為に使うのか、攻める為に使うのかが重要。
        • またよくあるSTGのボムとは違い、自機に無敵効果が付与されない。その為、ボムを使っても範囲攻撃や貫通攻撃からは身を守れない。

    機体について。

    • 全4社(内1社は2社合同なので正確には5社)で、各会社毎に2機づつ。計8機から選ぶ。
      • 自機はそれぞれメインショットやボンバー、前衛時の味方機や支援機が全て異なる。
    • 会社毎・機体毎に特徴があり、バランス型や前・後衛特化型、支援機特化等、少ないながらもバリエーションあり。
    + 会社/機体一覧 ※1P時/2P時で機体の名称が異なる

    ・(株)菱沼重工業

    • 社内で社長派と会長派で揉めている模様。機体性能はバランス型。
      • 【社長室付開発室】 F-36B BLASTER(ブラスター)/F-36X XE-RO(ゼロ)
        • 全体的にバランスの良い感じの機体。前衛時は少々決め手に欠けるが、後衛時は驚異的なダメージを叩きだすボムを持っている。
      • 【会長室付開発室】XF-48G GALERIA(ガレリア)/XF-48J JELDA(ジェルダ)
        • 機体性能は突出していないが、通常ショットと後衛時のパーサーが強力。ボスモード時の高速弾も強い。

    ・(株)御子柴技研工業

    • 近未来的なフォルムが特徴。機体性能はスピード重視型。全ての機体の支援機では特徴的なバーナーが、後衛パーサーで近接戦用のブレードが使用できる。
      • 【第三研究開発部】 YF-222Α ALPHA BLADE(アルファブレード)/YF-222Δ DELTA EDGE(デルタエッジ)
        • 本作理論値最強機体。高威力の後衛時パーサー、通称「御子柴ブレード」及び、前衛ボスモード時の「御子柴バーナー」が非常に強力。
      • 【第七研究開発部】F/A-6Ω OMEGA ARROW(オメガアロー)/F/A-6Σ SIGMA LANCER(シグマランサー)
        • 前衛特化型。後衛は貧弱だが前衛時は性能が高く、宇宙ロケットブースターによる攻撃が超強力。避け方を知らないと瞬時に全HPを持って行かれる事も。
        • CPU戦では本機が最終ボスを務める。

    ・(有)松丸エンジニアリング

    • より日本チックな機体名が特徴の父と息子で営業している有限会社。機体性能は前・後衛特化型。
      • 【父・松丸製造】百参拾八式 猛御雷(タケミカヅチ)/百六拾六式 荒御雷(アラミカヅチ)
        • 高火力・高耐久・超鈍足のガチガチ機体。相手を逃がさぬ高い後衛力を持つが、鈍足のせいもあり前衛が貧弱。
      • 【息子・松丸製作】甲-58型 鐘馗(ショウキ)/乙-58型 飛燕(ヒエン)
        • 前衛特化型。猛御雷同様高火力・耐久・鈍足だが、前衛時に驚異的な弾幕を張れ、ボスモード時も避けづらい弾を打てるが後衛が貧弱。

    ・南雲発動機(株) & (株)HAL SYSTEM

    • 共同開発の為か2社表記。機体フォルムも性能もクセが強い。
      • 【機体開発部門】AH-99IV STONEGOREM(ストーンゴーレム)/AH-99VII CYCROPS(サイクロプス)
        • 本作のアイドル。前衛時はショットとボムが結構強いのだが、後衛が非常に貧弱で、弱機体扱い。
      • 【内燃機関開発部門】XH-10IX SYLPH(シルフ)/XH-10X BANSHEE(バンシー)
        • 全体的にまとまってるバランス型だが、パーサーが強力。またボスモードにお手軽強力コンボがある。
    • 対戦開始時に機体の性能パターンを選択出来る。どの強化を選んだかはカラーリングで分かる。
    + 性能パターン一覧
    • 【ノーマル】初期状態。その機体そのままの性能。
    • 【スピード重視】スピードを上げる代わりにショットと防御力が低下する。
    • 【パワー重視】ショットパワー1段階と防御力を上げる代わりに鈍足になる。
    • 【ハンディキャップ】接待プレイ用。派手なカラーになる代わりに全パラメーターを低下させる。
    • スタッフの中に『バトルガレッガ』(エイティング/ライジング)の愛好家が数名いたゲームということもあり、随所で同作のオマージュが見られる。アイテム取得直後に一瞬無敵になるという小ネタも。

    長所

    • 対戦がメインだが、シューティングゲームの形を取っている為、操作が比較的簡単。
      • 本格的に対戦をする場合には色々と知識が必要となるが、操作形態は2Dシューティングの基本から逸脱していない為、縦シューティングをやった事のある人間なら初見でも非常にとっつきやすい。
      • 殆ど例のないタイプの対戦ゲームだが、双方がある程度の腕前であれば、致命的に破綻した部分はほぼない。
    • 雰囲気のある世界設定
      • 明確なストーリーは無いのだが、「次世代主力戦闘機をある機関に採用させるべく、各企業が模擬戦闘という名のコンペを繰り広げる」という設定になっている。
      • コンペに参加している各社も「(株)菱沼重工業」や「(有)松丸エンジニアリング」等、実際にありえそうな社名だったり、各社毎にバックストーリーの想像を掻き立てる開発や機体の方向性がと、中々男の子にそそる要素が多い。一部文字による演出はガレッガと同じライジングの『蒼穹紅蓮隊』を彷彿とさせる。
    • やりこみ甲斐のある機体個性
      • 各機体は各々非常に個性的であり、更に前衛・後衛によってガラリと性能を変える。
        • 特に前衛時のボスモードは特徴の塊。シューティングのボスを操れるのはもちろん昂ぶるポイントではあるが、立ち位置によって打ち分けられるショット等、戦略性も高い。

    賛否両論点

    • 多少強めな運要素
      • 上述の通り、インタラプトによる前・後衛の入れ替えの効果が非常に強力で、弾消しはおろか前衛のボスモードすら強制的に解除、ゲージもリセットしてしまう。それがランダムアイテムとして出現する為、折角発動したボスモードが2秒でオジャンになるなど日常茶飯事。
        • 逆に言えばこの運要素によって試合展開が硬直化しにくくなるので、対戦ゲームとしては良し悪しとも言える。
      • システム的に理論上は後衛やや有利であるが、後衛での回避は実際にプレイすると見た目ほど簡単ではなく、対人戦である以上、思わぬタイミングやパターンの攻撃が飛んでくるので、上級者と言えども傍目から見ると「こんなのに当たるの?」という不意のミスが頻発する。
    • ダメージシステムのアンバランスさ
      • 後衛は基本的に一撃死・前衛は高耐久というコンセプトなのだが、後衛はゲージを跨いでダメージを受ける事が無いのに対し、後衛時に当て方によっては前衛に一瞬で2ゲージ以上のダメージを叩き出せる機体もいるため、本来は耐久面で有利なはずの前衛が逆に不利となる場合がある。
        • 後衛側もこれを狙うにはリスクを冒して接近する必要があり、そうそう成功するものではない。が、ミス後のリスタート時の無敵を利用すればリスクを大幅に軽減できる。

    短所

    • お世辞にも完成しているとは言い難い機体バランス
      • 対戦ゲームとしての常ではあるが、弱機体・強機体の差が存在する。
        • 特に後衛時も並以上の性能を持つ上、前衛時のボス攻撃にボンバーがないとほぼかわせない撃ち方がある「アルファブレード」、全体的にバランスが良く、ロックオンが強力な「シルフ」は強機体とされている。
        • 逆に、後衛時のショットパワー・防御力が弱く、支援機のクセが強い「ストーンゴーレム」は弱機体とされている。前衛時ならそこそこ強いのだが、そこそこ止まりなのが運の尽き。
      • (株)御子柴技研工業の「アルファブレード」「オメガアロー」の2機体の支援機が放つ通称「御子柴バーナー」の初見殺し力が強く、初心者が為す術無く3タテで1ラウンドを取られる姿も多々見る。初見でなくてもよく殺されるのだが。
    • 前衛・後衛が固定
      • 乱入側・被乱入側で前・後衛が固定されている為、機体選択が出来てしまう乱入側がやや有利。
        • その為、大会の際は前衛・後衛を選ぶか、コンパネ権を選ぶかの選択をする場合が多い。
    • ボタン同時押しの一部のに非常に癖があり、出しづらい。
      • このゲームはどういうわけか、3つボタン同時押し以外の同時押しを受け付けてくれない。このため、「後衛時、ショットを連射しながらボムを咄嗟に撃とうとしたら出なかった」「前衛の攻撃でボタンずらし押しの2パターン攻撃を仕掛けようとしたら出なかった」などの事態が、慣れないと多発する。相当やりこんでいる人でも、うっかり同時押ししてしまうことは在り得るレベル。
    • CPUの後衛時のアルゴリズムが非常にお粗末。
      • 対戦に主軸が置かれているからか、こちらが前衛になってしまえばほぼ何もさせずに勝つ事が出来る。
        • 開発陣もわかっていたのか、CPU戦時には自機は各面必ず後衛スタートで、インタラプトアイテムも滅多に出てこない(CPU戦を複数回クリアしても全く出ない事も多い程)。
    • プレイヤー同士での対戦環境が非常に限られている
      • 恐らくこれが最大の短所。本作は「対戦型STG」なのだが、出回りが悪かったため設置店舗が少なく対戦環境が非常に限られていた。このため本作最大のウリである対戦の面白さが広まらず、殆ど評価される事もなく埋もれてしまった。
      • サミーが販売しているが版権周りもあやふやで、上述の出回りの悪さも相まって家庭用移植も絶望的。
        • しかし近年、一部のゲーセンによる対戦会が開かれ動画配信が行われたりと、以前に比べれば本作のプレイに触れる機会は増えた。実際にプレイするのが非常に難しいことは変わらないが、興味があれば動画で本作の空気を感じて欲しい。

    総評

    対戦シューティングはシステムの構築やアイデア・バランス調整が難しく、多くの企業が同じような事を考えて頓挫して行った。
    まさに「お前が考えた事は既に誰かが考えて辞めた事だ」を体現するようなジャンルだったが、本作はそれを一蹴する形で世に出され、やはり「対戦シューティング」という物の色々な問題点を体現した。
    だが、前衛の「自機が突然支援機とドッキングして巨大ボスになる」アイデアは『旋光の輪舞』(グレフ)へと受け継がれた事を考えると、本作がこの後に与えた影響は少なくは無い。
    対戦自体も、知識を持ってプレイしたり見ているとかなり面白い部分も多く、別にクソゲーと言う訳ではない。
    むしろ、アイテムを駆使して敵を狙い撃つ・ショットが途中で息切れする・前衛になってボス気分を味わえる等、一般的なシューティングゲームに無い独特の操作性に魅了された人達が、限定的ではあるが、熱い盛り上がりを見せている。