*ロックマン エグゼ4 トーナメントレッドサン/トーナメントブルームーン 【ろっくまんえぐぜふぉー とーなめんとれっどさん/とーなめんとぶるーむーん】 |ジャンル|データアクションRPG|CENTER:&amazon(B0000TC414)&amazon(B0000TC41E)&amazon(B0002JD7FY)| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |メディア|64MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|カプコン|~| |発売日|2003年12月12日&br()ダブルパック:2004年8月6日|~| |定価|各5,040円&br;ダブルパック:6,279円(共に税5%込)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |セーブデータ|1個(バッテリーバックアップ)|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【WiiU】2015年3月25日/702円(税8%込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|ソウルユニゾンが対戦の戦略性を大きく深めた&br()''ストーリーが周回前提''の仕様に非難が集中&br()ダークチップなどクセの強いシステムが多い|~| |>|>|CENTER:''[[ロックマンシリーズリンク>ロックマンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー WWW(ワールドスリー)との戦いから5ヶ月… WWW本拠地から無事生還した熱斗とロックマンもついに6年生。 あわただしいながらも平和な日常を送っていた。 そんなある日曜日。 熱斗は、パパと一緒に久しぶりの買い物。 朝食をすませ、パパと一緒にデンサンタウンに新しくできた電気屋さんに行くと、偶然買い物に来ていたメイルややいとに出会う。 2人は店頭に置かれたステレオを見ていた。 「熱斗、今このステレオの電脳に、ロールとグライドがいるんだ。熱斗もプラグインしてみたら?」 メイルにすすめられて、ロックマンを電脳に送り込むと、その中には 鋭い眼光とあやしい雰囲気を持つ謎のナビ、シェードマンがいた。 「ククク、そろそろ食事の時間だ…。」 鋭い眼光をギラつかせてつぶやくシェードマン… この出会いが、これから起こる壮絶な戦いの始まりだったのだ… 公式サイトより転載 **概要 -ロックマン エグゼシリーズの第4作目。『レッドサン』と『ブルームーン』の両バージョンが同時発売された。 --今作ではシナリオの間にいくつかのバトルトーナメントが開催され、様々な相手と対戦することになる。また、対戦の前には対戦相手に応じたショートシナリオが挟まれる。 --今作以降タイトルの頭に「バトルネットワーク」が付かなくなった。 -今作に対応する周辺機器として「バトルチップゲート」「改造カード」(後述)が発売された。 **変化・追加点 -スタイルチェンジに代わって登場した&bold(){新たな変身「ソウルユニゾンシステム」} --トーナメントで特定のナビと戦うとロックマンとそのナビのソウルが共鳴し、戦闘中に「ソウルユニゾン」する事ができるようになる。 --戦闘中にソウルに応じた属性のチップ(今作からはチップごとに「ソード系」「置物系」「炎系」などの属性が指定されている)を1枚いけにえにして変身。~ ソウルユニゾンするとロックマンの姿がそのナビを模したものとなり、3ターンの間、チャージショットや基礎性能など様々な面が変化する。 --ソウルを共鳴できるナビはバージョンごとに分かれているため、バージョンによってできるソウルユニゾンも以下のように異なる。括弧内は初登場作品/対応チップ。 ---『レッドサン』:ガッツマン(1/地形) ファイアマン(1/炎) ロール(1/回復) ウインドマン(初登場/風) サーチマン(初登場/インビジブル) サンダーマン(2/雷属性) ---『ブルームーン』:アクアマン(初登場/水) ナンバーマン(1/数字) メタルマン(3/ブレイク) ウッドマン(1/木) ブルース(1/ソード) ジャンクマン(初登場/置物) -ココロウィンドウの導入。 --ロックマンの感情を示す物。戦闘中にHPの下に表示され、バトルにも大きく関わる。 ---普段は「通常」状態だが、ダメージを受け続けると「不安」になってソウルユニゾンができなくなる、強烈なダメージを受けると「怒り」で次のチップの攻撃力が2倍になる、と変わっていく。 ---また、ソウルユニゾン中はロックマンの顔もその通りに変化し、残りの変身維持ターンも表示される。 --設定としては過去のシリーズにもあった「フルシンクロ」も状態として登場。敵の攻撃に合わせてカウンターをすることでフルシンクロ状態となり、次に使うチップの威力が2倍に。 ---フルシンクロ中はカウンターヒットできるタイミングで相手が赤く光るため、連続フルシンクロも狙える。 ---ただし、ソウルユニゾン中はフルシンクロ状態になれない。また、前作と違ってバグのかけら入手にも関わらない。 -&bold(){闇の力「ダークチップ」の登場。}バトル以外にシナリオにも絡む重要なアイテム。 --通常のチップを遥かに凌駕する性能を誇るが、その分使う度に使用者の「ココロ」が闇に蝕まれ、最後には「ハメツ」が待つという、言ってしまえば麻薬のような代物である。 --作中のキャラクターは絶対に使うなと言ってくるので言われた通りにするユーザーが大半、と思いきやタチの悪い事に&bold(){ダークチップを使わないと絶対に勝てないイベント戦が存在する為、ユーザーはその強さを必ず認識してしまう。} ---そこまでのバトルで異様なほど苦戦した敵ナビですら、たった&bold(){一撃}で倒せてしまうという快感を知ってしまえば、ターゲット層である小学生であれば悪の道に走ってしまいたくなるのは道理であろう。製作陣もその辺りを苦悩してもらいたかったと思われる。 --ゲーム中盤以降、戦闘中にココロウィンドウが「不安」状態になると勝手にチップフォルダに出現する。 ---この時ロックマンの「ココロのヤミ」を付け狙うかのように、画面が暗くなると共におぞましい効果音が鳴り響くという演出がなされる。 ---当時のCMでは&bold(){「ダークチップヲ ツカイナサイ…」「ツヨクナリタインダロウ? ツカイナサイ…」}と男性の独特かつ不気味な声でこのシステムを強調していた。 --使用するとココロウィンドウが「悪」状態になる他、使用したダークチップ毎に応じたバグが発生する。その上、&bold(){戦闘終了後に最大HPが1減少してしまう。}失った最大HPはHPメモリやナビカスを駆使しても二度と元に戻らない。 ---永続的にステータスが低下し''ゲーム内で元に戻す手段が存在しない''、という仕様は他のRPG等を見渡してもあまり類を見ない、かなり独特なもの。 --使用すると戦闘終了後にロックマンの色が暗くなり、その後もダークチップを使い続けると完全に真っ黒になる「闇のロックマン」に。この状態だと戦闘開始時から「悪」状態になる。 ---性能も変化。ソウルユニゾンとフルシンクロができなくなる、悪限定チップが使えるなど。~ また、1度だけ、HPが0になる攻撃を受けるとHPを1残して「ダークソウルユニゾン」をする。いわゆる暴走状態で、一定時間操作を受け付けなくなるが無敵状態になってプレイヤーが普段よく使うチップを自動的に使用するようになる。 --悪のロックマンはダークチップを使わずに戦闘を続けても元のロックマンに更生できず、ナビカスパーツ「ソウルクリーナー」を装備する必要がある。~ 一方、通常からダークチップを使わずに、ナビチップやソウルユニゾンを駆使して戦い続けると、光るように色が明るくなる「善のロックマン」になる。フルシンクロやココロウィンドウにも影響を与えるように。 ---ソウルクリーナーは5+5の巨大な十字型で、装備すると他のプログラムは一切組み込めなくなるため、悪状態を脱するまで一種の縛りプレイを強いられることになる。悪の道に走った罰というメッセージも込められているのだろう。 -トーナメントにより進行していくシナリオ。 --基本的に一本道なシナリオが展開される本シリーズだったが、本作では3回のトーナメントを基軸としたシナリオになっており、対戦相手によってそれぞれ話の内容が異なる。 --対戦相手はまったくのランダムというわけではなく、「ノーマルナビ・ヒールナビなどの汎用ナビ」「固有の外見と名前を持つナビ」「ソウルユニゾンができるバージョン限定ナビ」とそれぞれ1回ずつ戦うこととなっている。 --対戦相手ごとのストーリーはあまり長くはないものの、あまり出番のなかった過去作キャラにスポットが当てられていたり、固有のミニゲームや強いキャラ付けによる独自の味がある。 -他、バトルに関しての変更点。 --''暗転チップのカットインシステム。''暗転チップとは使用すると数秒だけ時間が止まるとともに画面の暗くなる演出が発生するもの。これまではあくまで演出でしかなかったが、今作から暗転チップを相手が使用のに合わせて自分も使用すると、割り込んで先に使えるようになった。 ---「バリア」や「インビジブル」も暗転チップになったため、通信対戦では相手のナビチップの使用を見計らって無敵状態の「インビジブル」を使うなど、より戦略的なバトルが可能になった。 --相手エリアの最後尾を「エリアスチール」などで奪えなくなった。 --ソウルユニゾンの登場によってか、不要なチップを捨ててその分選べるチップを増やす「ADD」コマンドが廃止された。 -ナビチップのランク付けの変化。 --これまでのV1~V3のように数字ではなく、「通常」「SP」「DS」の3種類に分けられるようになった。 --SPは善のロックマンしか使用できない。インターネット上に徘徊するSPナビのデリートタイムによって威力が変化する。 --対して悪のロックマン限定の「DS」はフィールド上に「ダークホール」があると威力が上昇。ダークホールは特定のチップを使用することで生じる。 -戦闘中に時々「ミステリーデータ」が登場するようになった。壊さないようにして勝利すれば様々なアイテムが得られる。 ''特定の商品を用いた機能やシリーズ外のソフトとの通信要素の登場'' -「改造カード」によるロックマン強化。 --別売の「カードe+(本シリーズでは改造カードと呼ぶ)」と「カードeリーダー+」を用いることで、ナビカスとは別に更にロックマンを強化する事ができる。 ---単なるステータス強化をするものもあれば、バスターの性能を根本から変化させるものも存在。さらに戦術が豊かに。 --これを使用した状態でインターネットの最深部に行くと、本来そこでエンカウントするナビが「最凶のナビ」になる要素も。 ---VC版では改造カードの要素はないものの、コマンド入力によりそのナビと戦えるようにはなっている。 -オペレーションバトルの追加。別売の「バトルチップゲート」を使うとプレイ可能。 --オペレーションバトルでは通常のバトルとは異なり、ロックマンを直接操作せずにプレイヤーはオペレーティングに専念する事になる。また、ロックマン以外のナビも操作可能に。 --別売の「バトルチップ」をバトルチップゲートに差し込むことでロックマンはそのチップを使用するなど、アニメ版のようなリアリティあるプレイが可能になる。 --特典としてそれぞれのバージョンに対応したバトルチップ((『レッドサン』ならば「メテオレッドサン」、『ブルームーン』ならば「ブルームーンレイ』。))が1枚付属する特別版も販売されていた。 --後にこのバトルに特化した『[[ロックマン エグゼ4.5 リアルオペレーション]]』が発売された。 -PETのデザインが変更。よりコンパクトになった他、無線通信が可能なモデルとなった。 --前作同様、PETは玩具としても発売された。オペレーションバトルで使うバトルチップに対応している。 -''『[[ボクらの太陽]]』とのクロスオーバー。'' --『ボクらの太陽』に関わるストーリーがある他、ジャンゴとオテンコサマがゲスト出演。また、太陽銃ことガンデルソル((『ボクらの太陽』では「ガン・デル・ソル」という表記。))がバトルチップとして登場している。 --逆に『ボクらの太陽』シリーズにもロックマンがゲスト出演している。 --このクロスオーバーは新シリーズの『[[流星のロックマン ペガサス/レオ/ドラゴン]]』まで続いた。 -『[[ロックマン ゼロ3]]』との通信機能。 --通信するとエグゼ側では「Zセイバー」のチップを入手し、ゼロ側ではサイバー空間に登場する敵がエグゼシリーズに登場するウイルスになる。 **評価点 -バトルシステムの大幅な見直し。 --『1』『2』の対戦バランスはかなり悪く、『3』では大幅に改善されたがそれでも細かい問題が存在していた。~ 本作は「ソウルユニゾン」や「カウンターによるフルシンクロ」「ダークチップと善悪の別」「カットインシステム」、そして「改造カードによる更なる強化」など多数のテコ入れによりバトルの戦術と駆け引きが大幅に増した。 ---『レッドサン』と『ブルームーン』で変身できるソウルは全く異なる。このため、&bold(){今作のバトルは購入前のバージョン選びの段階から既に始まっていると言える。} ---特に「カットインシステム」のおかげで相手の手を読む熱い駆け引きができるように。「今作から通信対戦が一気に楽しくなった」という声は多い。 --次回作の『5』でもこれらの要素はすべて引き継がれ、のちのシリーズの礎を作った。 -マップグラフィックの大幅な変化 --『1』~『3』は暗めの配色がされていたが、本作以降は明るい色が多用されている。マップ画面での登場人物の頭身も下がった他、顔アイコンはすべてが新たに描き直されてスッキリとしたものになった。 ---等身が下がったのは、そうやってドット数を節約する必要があるほどに容量がカツカツだったからとのこと。 ---このグラフィックの変化も本作以降に引き継がれている。 -移動周りの簡略化。 --マップ間の移動ではいちいち切符を買う必要はなくなり、駅に入ったら目的地をすぐに選べるように。 --電脳世界も様々な場所に「バナー」や「相互リンク」と題したワープポイントを貼れるようになった。自宅のパソコンから様々な場所に行ける。 **問題点 -''周回システムの仕様。''本作はシリーズでも評価が低めな傾向にあるが、多くはこれが原因。~ 今作ではラスボスを倒すと、再開時に「前回セーブから始める」と「新しい周を始める」から選ぶこととなり、後者を選ぶと新たな周での冒険が始まる。~ とは言ったものの、本作は''周回することが前提の内容で作られている。'' --初回クリアしただけではすべてのソウルを得られず、3周プレイしないとコンプリート出来ない。 ---ソウルのコンプリートは対戦面にも関わる他、隠しシナリオに進む条件のひとつでもある。そもそもウリである要素が3周しないとコンプリートできない時点でなにかが間違っている。 ---1周目は3つ、2周目は2つ、3周目は1つソウルが手に入ると決められているため、必要な周回数は必ず3周となる。~ しかし、その内の何周目で会えるかは最初に手に入るソウルを除きランダム((最初に手に入るソウルだけはガッツソウル(レッドサン)/アクアソウル(ブルームーン)で固定。))。よってサーチソウルやメタルソウルと言った強力なソウルを3周目までお預けにされてしまう事もあり、ゲームの難易度にも決して小さくはない影響を及ぼす。 ---バトルチップやナビカス、サブメモリ・HPメモリなどの強化要素もコンプリートのためには3周が求められている。 --新しい周で起きることは「ミステリーデータの中身が変化」「トーナメントの対戦相手がシャッフル」「ウイルスのパワーアップ(メットールは2周目だとメットール2に、3周目以降はメットール3になるなど)」''だけ。''~ トーナメントの対戦相手イベント以外、ゲーム内容やストーリーの大本が変わらない同じゲームをプレイすることになる。 --ウイルスは周回性に伴い、EXという強化型が登場。2周目だと「メットール2」とその強化版の「メットール2EX」が出てくると言った具合。~ しかし、落とすチップは通常もEXも同じ。1周目では強いチップを入手できないし、敵ばかりパワーアップしている感がある。((ファンの中ではつよくてハードゲーム、と称する人もいる。)) ---最強形態「○○3EX」となると一撃で200ダメージも。シリーズで最高クラスのバリア「ドリームオーラ」すら役に立たなくなる(これ自体、3周目でないと入手できないが)。前作でこの威力を持つのはイベント出現する形態のみのため、通常エンカウントすらちょっとしたボス戦の強さに相当と言える。 ---このほか、周を重ねるにつれてミニゲームで失敗するたびに受けるダメージも増加し、必然的にそれらの難易度も上がっていく。 --2番目のトーナメント会場となる「シェロ・カスティロ」で必ず起こるイベントはどれもテンポが悪く周回制にそぐわない。 ---遊園地で暴走したロボットを止めるために、電脳世界をイカダで移動しながら物語を完成させるというもの。ストーリーの長さこそそれなりだが、イカダ移動も物語の朗読もスキップできない。これが周回制なので毎回発生するのが最大のストレス要素。 ---トーナメントの予選としてバトラーズポイントを集めるというものもあるが、色々な場所を調べたり人物に話したりを繰り返してちまちまと50ポイントも集めなければならない((1箇所で手に入るポイントは大体が1ポイントで、稀に2~3ポイントがある程度。4ポイント以上貰える所も数箇所あるが、ウイルスバトルやゼニーの支払いを要求される。))。攻略サイト等を見ながらでも面倒臭く、周回制でやらされるには不適当として不評。 -トーナメント性のシナリオゆえの弊害。 --本作のストーリーは「善と悪」「ダークチップ」を中心にしているが、本編でそこに深く切り込んでいるのは計3話分の固定シナリオとブルームーン限定のブルースイベントくらい。本筋のトーナメントがそれらにあまり関わらないこともあり、単発のストーリーとしてはやや薄味な仕上がりになっている。 --対戦相手ごとのイベントは短いとはいえ、おつかいに終始するものが多い。フォルダが弱いサブフォルダに固定されるスパークマン、電脳世界で操作が正反対になってしまうビデオマンなど、わずらわしいイベントも多い。また、全国大会編では2バージョン計8人いる対戦相手のうち半数が「オブジェクトに対処しながらパークエリアの最深部まで向かう」ものだったりする。 --両バージョンで共通して登場する対戦相手のナビ及びそのオペレーターは、ソウルが共鳴しないというシステムの都合上か、勝つ為に卑怯な手段を用いたり迷惑行為で周囲を困らせたりと、人格面に難のあるキャラが多い。かといって歴代のボスキャラ達のような極悪人というほどでもない((一人だけ「気象衛星をハッキングし、試合会場がある国を極寒の環境に変える」という歴代の犯罪組織に並ぶ悪行を働く者もいるが、こちらもただ単に暑がりだからというしょうもない動機))ため撃破してもいまいちすっきりしないうえ、善と悪の対立という本作のシナリオにも余り合っていない。 --隠しシナリオのボリュームが前作までと比べて格段に下がっている。 ---ソウルコンプリート後(要3周)に入れるようになるウラインターネットのエリアが1つ。そこではシリーズ恒例のフォルテ戦や、隠しチップ獲得に関連したイベントが起こる。 ---それらを完了させると隠しエリアに入れるようになるが、こちらはなんと2エリアで終わってしまう。出てくるボスもこれまでに登場したボスの強化形態だけで、新たな裏ボスは居ないためなんとも味気ない。 -意図的な仕様だが、シナリオにおける悪のロックマンが不遇。 --前述の通り、&bold(){ダークチップを使うと戦闘終了後に最大HPが-1され、二度と戻らない。} ---隠しシナリオをクリアすると善のロックマンへの更生を早めるナビカスパーツが貰えるのだが、&bold(){失ったHPは取り戻させてくれない。}さらにHPは周回で引き継がれる要素なので、永遠にHPが失われることとなる。 --シナリオの都合上、ラスボス戦ではダークチップを使用できず、悪だと非常に難易度が高くなる。ダークチップ連発で簡単に倒せても困るだろうが…… --戦闘でダークチップを使わないとロックマンが善に傾いていく為、悪状態を維持すると最終的に最大HPが1になってしまう。 ---攻略本で極端な悪状態だと善には向かわない、と書かれてはいるがゲーム中では悪と極端な悪を見分ける方法はない。極端な悪になる参考回数が書かれてもいるが、戦闘回数をいちいち数えている人がどれだけいることやら。 --もっとも、主人公たちは悪を倒すべき立場にあり、それが前提でストーリーが進行する。ダークチップの使用をしないように忠告されるし、デメリットも存在。よって善のロックマンによるプレイを強要することで、シナリオとの矛盾を起こしにくくさせる効果がある。 -ラスボス「デューオ」がシリーズ屈指の強さ。 --本作は周回制の採用やゲームバランス調整でチップの威力が低く設定されており、HP2000を削り取るには中々骨が折れる。悪ならダークチップが使えないので尚更。 ---デューオは敵エリア後方の縦3マス×横2マス間に存在するが、そのスペースは穴となっているため、「エアホッケー」など強力なチップが性能を発揮できない。 ---この仕様を突いて「カンケツセン」を使えばいくらか倒しやすいのだが、前座の「ロックマンDS」戦では穴がないため、どうにか作らなければカンケツセンは死にチップに。しかし穴を作る手段をチップに任せるとデューオ戦でそれが死ぬ……というジレンマに陥る。特に1周目で顕著。 ---そのロックマンDSもこちらとHPやナビカスを共有している上に、こちらの使用チップを学習して使ってくるため回避がしにくく、強敵ではないが面倒な相手。デューオ戦の際には全回復できるのだが、何度も挑戦する際には煩わしい。 --攻撃もかなり凶悪で、広い範囲を対象とし回避の難しいジャイアントフックや、インビシ状態でも被弾するデストロイレーザーが強烈。ダメージを与えられるタイミングも限られている。 ---こんな調子なのに周を重ねるごとにパワーアップまでしていく。3周目のV3ともなるとHP3000に至る他、すべての証を手に入れるとSPにまでなる。 -通信対戦における悪のロックマンの調整不足。 --「ダークソウルユニゾン」中はよく使うチップやプログラムアドバンスをランダムで使用するため、あらかじめ強力なものを大量に使い込ませておくと&bold(){無制限に強力な攻撃を使いまくる凶悪戦闘兵器と化す。} ---このため、やり込みプレイヤー同士の同士の対戦では善の方が不利になる。悪限定のチップの方が善限定のチップよりも軒並み強いことも拍車をかけている。 ---せっかく通信対戦は今作から駆け引きを増したのに、このダークソウルユニゾンのせいでバランスが崩れてしまった。 -バグのかけらの集めにくさ。 --『3』では隠しシナリオ攻略に必須なので、特定のナビをひたすらカウンターで倒しまくる必要があるという問題があったのだが、本作では攻略に一切必要でなくなった。 --その代わり&bold(){ミステリーデータからでしか入手できなくなったため、集めるのが非常に面倒になった。}バグのかけらとの交換でしか手に入らないバトルチップやナビカスパーツは多いので尚更面倒。 ---この問題は『5』『6』にも同じように引き継がれた。 -PET画面が『3』から流用されており、チップ編成時やライブラリで画像データの外側が不自然に空いている。 -関連商品「改造カード」「バトルチップゲート」のみのパワーアップが多く見られる。 --この傾向は今後のエグゼシリーズ、ひいては『流星のロックマン』にも継がれる問題点となる。 -シナリオをクリアしても、現実世界のBGMが平常時のものに戻らず、緊迫時のものに固定されたたままとなる。 --前作まではクリアすればBGMが平常時のものに戻り、その場所によって変化するBGMを楽しめただけに残念極まりない。 --或いは、緊迫時BGMのままが嫌ならさっさと新しい周に行け、という事なのだろうか? ***バグ・不具合 -''セーブデータが消失しやすい。'' --中でも初期版であるカートリッジが赤および青の物はそれが顕著である((後期版は通常のカートリッジと同じ灰色。但し、多少の差こそあれ、後期版もデータは消えやすい模様。))。周回制のかったるさと絡み合って本作の印象をさらにダウンさせている。 --原因はチート対策の暴発(チェックサム異常)と言われているが、確固たるソースはない。 --また、接触不良が起きやすい為とも言われる。いずれにせよデータが消えやすい事は確か。 ---このデータ消失による最大の問題は『[[ロックマン ゼロ3]]』との連動にある。&br;『ゼロ3』側から『エグゼ4』にチップ「ゼットセイバー」を送ってもらう事ができるのだが、『ゼロ3』側からはチップ送信フラグを覚えているのか&bold(){一度しか送る事ができない。} //初期ロムブルームーンをプレイしていて3週する前にデータが飛ぶのが3回。もうプレイするのは諦めました ---バーチャルコンソール版であればそのような心配はないため、今からプレイする際はそちらを推奨。 ---ただしこちらはシェードマンSP戦で実機と違う挙動を起こすバグあり。 -バグがそこそこ多い。 --ウインドマンシナリオで通常であれば居なくなるNPCに話し掛けるとフリーズ、クラッシャーイベントの悪ナビに話しかけるとフリーズなど、一切操作できなくなるバグが特に多い。念のため調べておくことをお勧めする。 //セーブデータが消失するバグもある //↑参考文献求む。 --シェードマンSPをダークチップで倒すとリザルト画面で本来存在しない「シェードマンDS S」(通常のチップコードはX)が表示され、何も手に入らないというバグも確認されている。 --バグとは少し異なるが、後述の注意点にも目を通しておく事をお奨めしておきたい。 **総評 GBAの「期待外れだったゲーム」という項目になるとよく名前が載る作品である。~ これは前作『3』が傑作で期待されていたこと、アニメや漫画などのメディアミックスが盛んだったこと、雑誌やポスターなどで宣伝されていたことなどに起因する。~ 新システムも不評な物が多く、特に周回制はプレイヤーのやる気を削るほどとも言われた。~ 他にもダークチップや悪のロックマンなど「エグゼ」の世界観にそぐわないと批判するファンも多かった。~ また、周辺機器と連動しないと出来ない遊びなど商法においても問題点が散見される。~ しかし、新しいバトルシステムは好評な物が多く、それらは次作でも多く引き継がれた。~ ソウルユニゾンやココロウィンドウは通信対戦の駆け引きを深め、今後のシリーズにてさらに対戦バランスの完成度を高める一躍を担った。~ 総じて、良くも悪くもロックマン エグゼのターニングポイントとなった作品である。~ **余談 -本作の作曲を担当した堀山俊彦氏は、後に同社の『[[逆転裁判4]]』における作曲も担当することになる。 //--恐らくは偶然だろうがナンバリング「4作目」、シリーズで「最も売れた作品」、ゲームの内容がシリーズファンから「評判が芳しくない」という共通点がある。 //--氏の名誉の為に、''BGMの品質それ自体は両作品共に良好である''という点は明記しておく。 -特徴の項目でも触れたが、発売当時のCMは相当印象に残るものとなっており話題を呼んだ。 --独特且つ不気味な声でダークチップの使用を勧める男性の他に、「ダメー!」「ツカワナイデー!」とダークチップを使わない事を懇願する女性の声も流れる。 --エグゼシリーズが完結した現在でも、ファンによってこのCMがネタにされる事がある。男性の台詞で検索すれば割と簡単に動画が見つかるので、未見の方も1回は目を通してみて欲しい。 ---- **注意点 -''ニンテンドーDSでプレイすると正常に動作しない'' --本作をDSでプレイするとウッドマンのイベントにおいて戦闘終了後などに音楽が流れたまま画面がブラックアウトして''フリーズ''し、シナリオが一時進行不可になる。 --気長に待っていればそのうち正常に進行するが、クリアまでにはかなりの時間を要する。 ---DSはアドバンスより高い電圧が流れたり、一部のソフトに対応していないため起こる不良とも考えられる。 --また、DSでプレイしている際に、ガッツマンなど一部のナビチップの暗転中の動作が重くなる。フリーズと言った支障は確認されておらず、暗転中なので回避されてしまうなどの影響も無いのが救いではある。 --国内でDS本体が発売されたのは2004年12月2日。『ダブルパック』発売日より後のため、仕方がない部分もある。